説明

タイルカーペット

【課題】
通気性にすぐれ、裁断時に溶融小塊が隙間から出ることもなく、また層間剥離を起こさないタイルカーペットを提供する。
【解決手段】
通気性を有し、パイル抜け防止処理されたカーペット1の裏面に内層としてガラス繊維織布よりなる基材3を積層し、更にその内層に高融点短繊維と熱接着性複合短繊維の混繊からなるマット状不織布2を積層してなる積層体をくもの巣状あるいは網目状構造のシートよりなる接着材4で熱接着一体化して構成すると共に、通気度が20〜100cc/cm2/sec,カーペットとマット状不織布との剥離強度が10N/25mm以上である特性を具備せしめた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオフィスビルの床吹き出し空調方式の床や集合住宅,一般家屋の床表面に敷設して通気性をもたせると共に、床下空調に用いてエネルギーの削減に寄与し得るタイルカーペットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスや集合住宅,一般家屋のフローリング等の床上には床表面の保護や保温性を高め快適な居住空間を作ることを目的としてカーペットが多く用いられているが、近年、床下空調に対応するため置き敷き型の通気性を有するタイルカーペットが使用されている。
【0003】
このタイルカーペットは通気性を有するカーペット部材と、その裏面にメッシュ部材,通気性芯材及び通気性下地の少なくとも1つを積層してなるバッキング層から構成されたもの(例えば特許文献1参照)や、ゴムチップ層と網及び不織布から選ばれた粗目布の繊維をホットメルト接着剤で被覆したホットメルト多孔質接着布と通気性カーペット様仕上材から構成されたもの(例えば特許文献2参照)あるいはカーペット表層部と、その裏面に位置するバッキング部と、両者の間に熱可塑性樹脂接着剤を介在させ両者を接合せさた構造のもの(例えば特許文献2参照)などが知られているが、上記従前のタイルカーペットは一般にはパイル抜け防止処理されたカーペットの裏面に内層としてガラス繊維よりなる織布を基材として、更に短繊維層からなるマット状不織布を積層し接着剤で一体化することによって構成されており、その接着材には溶剤による接着や接着樹脂の粉体が主に使用されている。
【0004】
しかし、上記用いられている接着材はそれなりに優れた効用を有しているが、溶剤による接着の場合、使用した溶剤の処理や処理コストが高く、また環境面でも問題があり、一方、接着剤樹脂の粉末では接着処理を行っても裁断処理で樹脂の溶融塊の一部が積層間に隙間からこぼれ出て層間剥離を起こし易い問題を有している。
【特許文献1】特開平8−42912号公報
【特許文献2】特開2001−329469号公報
【特許文献3】特開2003−225153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は上述の如き諸問題に対処し、タイルカーペットについて改めてその問題を検討し、その結果、通気性のあるタイルカーペットは床からの空調で使用されるため、通気性と更にそれを使用する積層体において層間剥離を起こさないことが重要であることを知見した。そこで、本発明はかかる知見にもとづいてタイルカーペットとして必要な通気度及び剥離強度を見出すと共に、積層体においてその接着材を特定することを見出すことにより、通気性に優れ、エネルギー削減に寄与し得るのみならず、裁断時に溶融小塊が隙間から出ることもなく、かつ層間剥離を起こさないタイルカーペットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、上記目的に適合する本発明タイルカーペットは、通気性を有し、パイル抜け防止処理されたカーペットの裏面に内層としてガラス繊維織布よりなる基材を積層し、更にその内層に高融点短繊維と熱接着性複合短繊維の混繊からなるマット状不織布を積層してなる積層体をくもの巣状あるいは網目状構造のシートよりなる接着材で熱接着一体化してなり、かつ通気度が20〜100cc/cm2/sec、カーペットとマット状不織布との剥離強度が10N/25mm以上の特性を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、くもの巣状あるいは網目状構造のシートよりなる接着材はカーペットの裏面に積層熱接着されてもよく、また、ガラス繊維織布よりなる基材に積層熱接着されてもよい。なお、この熱接着材は融点が70〜160℃、好ましくは90〜150℃で、目付質量が80〜250g/m2であることが好適である。
【0008】
また、マット状不織布は高融点ポリエステル短繊維と熱接着性複合短繊維の混繊比率が35/65〜70/30で、目付質量が200〜1000g/m2であることが好ましい。更にガラス繊維織布よりなる基材は目付質量が15〜50g/m2のものが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明タイルカーペットは、パイル抜け防止処理された通気性カーペットにガラス繊維織布よりなる基材を載せ、くもの巣状あるいは網目構造のシートよりなる接着材を置いて高融点短繊維と熱接着性複合短繊維の混繊からなるマット状不織布を積層し、熱処理により一体化したものであるから、フィルムシートによる接着や接着樹脂粉体による接着と異なり、通気性を阻害したり、裁断時に溶融小塊が隙間からでることもなく、良好な通気性を保って、充分接着することができると共に、熱接着性複合繊維の存在によりマット状不織布は繊維間接着があって形崩れを起こすことがない効果を有している。
【0010】
そして、本発明タイルカーペットは特に通気度20〜100cc/cm2/sec,剥離強度10N/25mm以上の特性を具備せしめたことにより床下空調において冷気,暖気の通過が良好で、快適な空調を行うことができ、エネルギーの削減に寄与すると共に、剥離強度により裁断加工時に剥離を生じたり、使用時に剥離することがないなどの各効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、更に本発明の具体的な態様について詳述する。先ず、本発明タイルカーペットはその構成として図1に示す如く通気性を有し、パイル抜け防止処理1aを施したカーペット1の裏面にカーペットの寸法安定のため内層としてガラス繊維の織布からなる基材3を積層し、更にその内層に高融点繊維と熱接着性複合短繊維の混繊よりなるマット状不織布2を積層した積層体構造を基本としてこれらカーペット1,ガラス繊維基材3、マット状不織布2をくもの巣状あるいは網目構造のシートよりなる接着材4で熱接着一体化した構成によって形成される。
【0012】
ここで上記通気性を有し、パイル抜け防止されたカーペット1としてはニードルパンチタイプのもの、タフトタイプのもの、織カーペットのものなど、何れのものも使用されるが、通気性の適度に高いもの、通常、通気度60cc/cm2/sec以上のものが好ましく、これに適合するようナイロン,ポリエステル,ポリプロピレン等のスパンボンド不織布にナイロン,ポリエステル,ポリプロピレン,アクリル等の化学繊維,ウール,コットン等の天然繊維をタフトしたタフトカーペットあるいは織カーペットが使用され、必要に応じて裏面に少量のゴム系、ラテックス系の接着剤を含浸させてパイル抜け防止処理1aが施される。
【0013】
このパイル抜け防止処理が施されたカーペット1は目付質量400〜1800g/m2位、好ましくは800g/m2前後が好適である。そして、上記カーペット裏面には寸法安定性を確保するためガラス繊維基材3が積層される。ガラス繊維織布よりなる基材3は目付質量が15〜50g/m2、好ましくは30g/m2前後のネット状織布が用いられる。20g/m2未満であると各層間の寸法安定性の寄与が少なく、50g/m2を超えると寸法安定として過剰となるので何れも好ましくない。
【0014】
次に上記ガラス繊維基材3の裏面に続いて積層されるマット状不織布2には高融点短繊維と熱接着性複合短繊維の混繊からなる不織布が使用される。このマット状不織布2は特に黒色等の原着繊維として高融点繊維を添加して色合いつけることも可能である。高融点短繊維は、熱接着性複合短繊維に用いられる高融点樹脂と同様か、少なくとも同等の融点を有するものであることが好ましい。
【0015】
一方、熱接着性複合繊維は高融点成分を芯として、低融点成分を鞘とする芯鞘型が好ましく、サイドバイサイド型は接着面が反面となるので好ましくない。複合短繊維を構成する高融点成分は融点が低融点成分の融点より50℃以上高いこと、また、低融点の成分の融点は100℃〜180℃の範囲にあることが好ましい。高融点成分の融点が低融点成分の融点より50℃未満であると単繊維間の接着時に高融点繊維側も軟化して所望の通気度を得ることができない。低融点成分の融点が100℃未満であると繊維間の接着を実施する処理条件が難しく、耐熱性の点から好ましくない。逆に低融点成分の融点が180℃を超えると高融点繊維の熱特性に影響し接着を実施することで通気度特性が変動するので好ましくない。
【0016】
上記熱融着性複合短繊維を構成するポリマーは例えば、ポリエステル系樹脂,ポリエチレン系樹脂,ポリプロピレン系樹脂,ポリアミド系樹脂のいずれかの熱可塑性樹脂の高融点成分と低融点成分である。具体例としては、高融点ポリエステル繊維(融点250℃〜270℃程度)と低融点ポリエステル繊維(融点100℃〜200℃程度)の複合繊維、エステル/ナイロン複合繊維、ポリエステル/ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維などが挙げられ、特に高融点ポリエステルと、低融点ポリエステルとの複合は最も実用的である。
【0017】
不織布を構成する上記高融点短繊維と熱接着性複合短繊維は、混繊比率が25/75〜70/30、好ましくは35/65〜70/30で、高融点短繊維が高融点樹脂で、熱接着性複合短繊維がポリエステルの低融点樹脂と高融点樹脂の芯鞘複合で、短繊維の繊度が1.0〜20.0デシテックス(dtex)の範囲であることが好ましい。混繊比率が25/75〜70/30で、熱接着性複合短繊維が75を超えると通気度を制御することが難しく、30未満であると繊維間の接着が弱いのでマットとしての形態保持性に劣るので好ましくない。
【0018】
短繊維の繊度は1.0〜20.0デシテックス(dtex)の範囲が好ましく、1.0デシテックス未満ではマット自身が密となり、通気度が制御しにくい。また、20.0デシテックス(dtex)を超えると通気度は制御できるがマットとしての嵩が乏しくなるので好ましくない。そして、このマット状不織布は目付質量が200〜1000g/m2であることが好ましい。200g/m2未満ではマットとしてのクッション性が乏しく、1000g/m2を超えるとクッション性能には充分であるが、通気性の制御が困難になるので好ましくない。
【0019】
そして、上記通気性のあるパイル防止処理されたカーペット1とガラス繊維よりなる基材3とクッション材としてのマット状不織布2は積層し一体化するために接着材が使用される。接着一体化にあたってはフィルムシートでは通気性がなく接着力も悪い。また接着樹脂粉体を使用すると接着量がかなり必要で、かつ一体化した後の裁断時に溶融小塊が隙間から出てくる等の問題があるため、くもの巣状あるいは網目状構造のシート4が用られる。
【0020】
くもの巣状あるいは網目構造のシートよりなる接着材4は通常の目付質量20〜40g/m2でもよいが、本発明においては目付質量80〜250g/m2、好ましくは100〜200g/m2の薄いくもの巣状あるいは網目構造の不織布が用いられ、融点は70〜160℃、好ましくは90〜150℃の範囲が効果的で、熱接着性の低融点ポリエステルの外、ポリオレフィン,ポリアミド,ポリウレタン等の使用も可能であり、通常、スパンボンド状に溶融紡出され、くもの巣状あるいは網目状に集積されてシートに形成される。この接着材は良好な接着性と共に通気性に優れている。
【0021】
目付質量が80g/m2未満では各層間の接着が不十分となる恐れがあり、一方、250g/m2を超えると接着は充分であるが、通気度の面で制御しにくくなるので好ましくない。また、熱接着材の融点は70〜160℃の範囲が好ましく、70℃未満では接着の点では好ましいが、耐熱性の点で問題があり、一方、160℃を超えると高融点繊維の熱特性に影響し、通気度特性が変動するので好ましくない。
【0022】
かくして上述の如く通気性のあるカーペット1とガラス繊維よりなる基材3、マット状不織布2の各層がくもの巣状あるいは網目構造のシートよりなる接着材4で積層された構成を前提として、本発明は更にタイルカーペットとして通気性と積層体の層間剥離が起こらないことが重要であることに鑑み、これに適合した通気度ならびにカーペットとマット状不織布との間の剥離強度を見出した。通気度は20〜100cc/cm2/secが好ましく、20cc/cm2/sec未満ではカーペットを床に敷設すると空調時、通気抵抗が高く、カーペットが浮き上がることがあるので好ましくない。また、100cc/cm2/secを超えると通気性は良好であるが、通気性制御が難しくなり、クッション性も減殺される恐れがあるので好ましくない。
【0023】
一方、層間剥離強度は10N/25mm以上、とりわけ15N/25mm以上が好ましく、10N/25mm未満であると裁断加工時に剥離を生じたり、使用時に剥離したりするので好ましくない。また上限は上記10N/25mm以上の範囲であれば、特に必要以上に余分な剥離強度を具備させるまでもない。
【0024】
以下、更に本発明の具体的な実施例を比較例と共に説明する。
【実施例1】
【0025】
繊度16.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmのポリエステル短繊維50質量%と、繊度11.1デシテックス(dtex)、繊維長64mmの黒原着ポリエステル短繊維10質量%と、繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)40重量%からなる目付質量592g/m2(ニードル加工後、熱接着処理済み)の不織布(通気度:100cc/cm2/sec)の上にくもの巣状接着シート(呉羽テック株式会社製:ダイナック(登録商標))ポリエステル樹脂の目付質量120g/m2を重ね、その上にガラス繊維ネット目付質量30g/m2を載せ、更にその上にスパンボンド基材(ポリエステル繊維、目付質量100g/m2)に繊度2800デシテックスのナイロン長繊維がタフトされ、裏面にバッキングされた通気度102cc/cm2/secの目付質量が813g/m2であるタフトカーペットの裏面を下にして積層し、150℃の熱風熱処理機(長さ24m、処理速度4.0m/min)に通し、出口部に常温の一対の鉄製ローラでクリアランス4mm、圧力4.0Kg/cm2で積層接着して全目付1559g/m2、厚さ7.3mmのタイルカーペットを得た。
【実施例2】
【0026】
繊度16.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmのポリエステル短繊維50質量%と、繊度11.1デシテックス(dtex)、繊維長64mmの黒原着ポリエステル短繊維10質量%と、繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)40重量%からなる目付質量592g/m2(ニードル加工後、熱処理済み)の不織布(通気度:100cc/cm2/sec)の上にくもの巣状接着シート(呉羽テック株式会社製:ダイナック(登録商標))ナイロン樹脂の目付質量105g/m2を重ね、その上にガラス繊維ネット目付質量30g/m2を載せ、更にその上にスパンボンド基材(ポリエステル繊維、目付質量100g/m2)に繊度2800デシテックスのナイロン長繊維がタフトされ裏面にバッキングされた通気度102cc/cm2/secの目付質量が813g/m2であるタフトカーペットの裏面を下にして積層し、150℃の熱風熱処理機(長さ24m、処理速度4.0m/min)に通し出口部に常温の一対の鉄製ローラでクリアランス4mm、圧力4.0Kg/cm2で積層接着して全目付1526g/m2、厚さ6.9mmのタイルカーペットを得た。
【実施例3】
【0027】
繊度16.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmのポリエステル短繊維50質量%と、繊度11.1デシテックス(dtex)、繊維長64mmの黒原着ポリエステル短繊維10質量%と、繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)40重量%からなる目付質量592g/m2(ニードル加工後、熱接着処理済み)の不織布(通気度:100cc/cm2/sec)の上に線径0.1mmφのランダムコイルの構造を有する接着ネットでポリエチレン樹脂の目付質量200g/m2の接着材を重ね、その上にガラス繊維ネット目付質量30g/m2を載せ、更にその上にスパンボンド基材(ポリエステル繊維、目付質量100g/m2)に繊度2800デシテックスのナイロン長繊維がタフトされ裏面にバッキングされた通気度102cc/cm2/secの目付質量が813g/m2であるタフトカーペットの裏面を下にして積層して150℃の熱風熱処理機(長さ24m、処理速度4.0m/min)に通し、出口部に常温の一対の鉄製ローラでクリアランス4mm、圧力4.0Kg/cm2で積層接着して全目付1638g/m2,厚さ7.8mmのタイルカーペットを得た。
【0028】
比較例1
スパンボンド基材(ポリエステル繊維、目付質量100g/m2)に繊度2800デシテックスのナイロン長繊維がタフトされ裏面にバッキングされた通気度102cc/cm2/secの目付質量が813g/m2であるタフトカカーペットの裏面を上にして、300μmのポリエチレン粉体を散布量160g/m2で散布し、次いで複数の粒子がほぼ融着しあい、他の部分では隣の粒子と融着が始まったポリエチレン樹脂の三次元ネットが形成された状態の上にガラス繊維ネット目付質量30g/m2を載せ、更にその上に繊度16.7デシテックス、繊維長64mmのポリエステル短繊維50質量%と、繊度11.1デシテックス、繊維長64mmの黒原着ポリエステル短繊維10質量%と、繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)40重量%からなる目付質量592g/m2(ニードル加工後、熱接着処理済み)の不織布(通気度:100cc/cm2/sec)を載せて150℃の熱風処理機(長さ24m、処理速度5m/分)に通し、出口部に常温の一対の鉄製ローラでクリアランス4mm、圧力4.0Kg/cm2で積層接着して全目付1568g/m2、厚さ6.9mmのタイルカーペットを得た。
【0029】
比較例2
繊度16.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmのポリエステル短繊維50質量%と、繊度11.1デシテックス、繊維長64mmの黒原着ポリエステル短繊維10質量%と、繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)40重量%からなる目付質量592g/m2(ニードル加工後、熱接着処理済み)の不織布(通気度:100cc/cm2/sec)の上に変性ポリエチレン接着フィルムの目付質量80g/m2を重ね、その上にガラス繊維ネット目付質量30g/m2を載せ、更にその上にスパンボンド基材(ポリエステル繊維、目質量100g/m2)に繊度2800デシテックスのナイロン長繊維がタフトされ裏面にバッキングされた通気度102cc/cm2/secの目付質量が813g/m2であるタフトカーペットの裏面を下にして積層し、150℃の熱風熱処理機(長さ24m、処理速度4.0m/min)に通して出口部に常温の一対の鉄製ローラでクリアランス4mm、圧力4.0Kg/cm2で積層接着して全目付1476g/m2、厚さ6.9mmのタイルカーペットを得た。
【0030】
比較例3
繊度16.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmのポリエステル短繊維20質量%と、繊度11.1デシテックス(dtex)、繊維長64mmの黒原着ポリエステル短繊維10質量%と、繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)70重量%からなる目付質量601g/m2(ニードル加工後、熱接着処理済み)の不織布(通気度:100cc/cm2/sec)上にくもの巣状接着シート(呉羽テック株式会社製:ダイナック)ポリエステル樹脂の目付質量120g/m2を重ね、その上にガラス繊維ネット目付質量30g/m2を載せ、更にその上にスパンボンド基材(ポリエステル繊維、目付質量100g/m2)に繊度2800デシテックスのナイロン長繊維がタフトされ、裏面にバッキングされた通気度102cc/cm2/secの目付質量813g/m2であるタフトカーペットの裏面を下にして積層し、150℃の熱風処理機(長さ24m、処理速度4.0m/min)に通し、出口部に常温の一対の鉄製ローラでクリアランス5mm、圧力4.0Kg/cm2で積層接着して全目付1566g/m2,厚さ5.9mmのタイルカーペットを得た。
【0031】
次に上記得られた各実施例,比較例のタイルカーペットについて評価をするため、通気度,剥離強度の特性を加味してその性能を対比した。その結果を表1に示す。
【0032】
なお、表中の各項目についての測定方法ならびに評価については下記に従った。
目付質量:g/m2
試料から500mm×500mmの試料片を切り出し、0.1gの単位まで質量を測定する。質量を4倍してg/m2で表す。3回測定(n=3)し、その平均値を四捨五入し整数で示す。
厚さ:mm
試料から50mm×50mmの試料片を切り出し、接触面積5cm2、押し圧20gのダイヤルゲージにて3点測定し、mmで表す。3回測定(n=3)し、その平均値を四捨五入し、小数点以下2桁までで示す。
通気度:cc/cm2/sec
JIS L 1096の6.27.1に記載のフラジール形試験機で測定した。
剥離強度:N/25mm
試料は25×200mmの試料片を取り、短片からカーペット裏面/不織布界面を長辺に平行に約50mm剥がす。剥がしたカーペット裏面と不織布をテンシロンの引張試験機のチャックにそれぞれ取り付け速度200mm/minで引き剥がす。このときの剥離強度を求める。5回測定(n=5)し、その平均値で示す。
裁断状態評価
製品は50cm×50cmに裁断するが、その裁断加工による裁断面の状態を下記のように評価した。
裁断面はきれいで層間剥離等が認められない。 ○
裁断面はきれいであるが層間剥離がやや認められる。 △
裁断面はきれいであるが層間剥離が見られ、樹脂等の漏れが認められる。 ×
【0033】
【表1】

上記表より本発明の実施に係るタイルカーペットは比較タイルカーペットに比し裁断性評価ならびにタイルカーペットとしての総合評価において優れたものであることが理解され、既知タイルカーペット等に対し問題点に充分、改善がなされていることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るタイルカーペットの構成を示す斜視展開図である。
【符号の説明】
【0035】
1:通気性を有し、パイル抜け防止処理されたカーペット
2:マット状不織布
3:ガラス繊維基材
4:くもの巣状あるいは網目構造体接着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有し、パイル抜け防止処理されたカーペットの裏面に内層としてガラス繊維織布よりなる基材を積層し、更にその内層に高融点短繊維と熱接着性複合短繊維の混繊からなるマット状不織布を積層してなる積層体をくもの巣状あるいは網目状構造のシートよりなる接着材で熱接着一体化してなり、かつ、通気度が20〜100cc/cm2/sec、カーペットとマット状不織布との層間剥離強度が10N/25mm以上の特性を有することを特徴とするタイルカーペット。
【請求項2】
くもの巣状あるいは網目状構造のシートよりなる熱接着材が融点70〜160℃で、目付質量が80〜250g/m2であり、前記カーペットの裏面に積層するか、前記ガラス繊維の織布の基材裏面に積層するか何れかで積層接着される請求項1記載のタイルカーペット。
【請求項3】
マット状不織布が高融点ポリエステル短繊維と熱接着性複合短繊維が35/65〜70/30の比率で混繊されてなり、目付質量が200〜1000g/m2である請求項1または2記載のタイルカーペット。
【請求項4】
ガラス繊維織布基材の目付質量が15〜50g/m2である請求項1,2または3記載のタイルカーペット。

【図1】
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【公開番号】特開2009−233259(P2009−233259A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86133(P2008−86133)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(391021570)呉羽テック株式会社 (57)
【出願人】(596063403)山本産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】