説明

タイルユニット及びその施工方法

【課題】目地幅を容易に大きくしたり小さくしたり調整することができるタイルユニット及びその施工方法を提供する。
【解決手段】タイルユニット1は、複数枚のタイル2が目地間隙をあけて配列され、これらのタイル2が、各々の裏面に接着されたネット3によって連結されたものである。ネット3は、タイル2,2同士の目地と斜交する糸条のみによって構成されている。ネット3は、最上段及び最下段以外のタイル2にあっては、各タイル2の裏面のうち上下方向の中間付近に接着され、上辺部及び下辺部に対しては非接着となっている。最上段のタイル2においては、ネット3は、各タイル2の裏面のうち各タイル2の上下方向の中間付近及び上辺部に接着されている。最下段のタイル2においては、ネット3は、各タイル2の裏面のうち各タイル2の上下方向の中間付近及び下辺部に接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルユニット及びその施工方法に係り、特に施工に際し目地幅を容易に調整することができるタイルユニットと、その施工方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚のタイルを連結したタイルユニットは、タイルを1枚ずつ張付施工する場合に比べて施工効率が良好である。このタイルユニットとして、タイルの裏面にネットを接着し、該ネットにより各タイルを一体化した目地付きタイルユニットがある(特開平4−30068号、特開2005−256488号)。
【0003】
上記特開平4−30068のタイルユニットは、ネットが目地と斜交する糸条のみよりなる2軸ネットである。このネットは、タイルの裏面の全体に対して、熱可塑性合成樹脂で接着される。この合成樹脂は、ネットに含浸されたものであり、ネットは熱圧着によってタイルに接着される。
【0004】
上記特開2005−256488のタイルユニットのネットは、屈曲性を有するものである。このネットは、タイルの裏面に塗付された接着剤又は、ネットに塗付された接着剤によってタイル裏面の全体に結着される。
【特許文献1】特開平4−30068号
【特許文献2】特開2005−256488号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開平4−30068のタイルユニットのネットは、熱可塑性合成樹脂の硬化により剛性が高いものとなっている。そのため、施工に際して目地幅を調整することができない。
【0006】
上記特開2005−256488のタイルユニットは、ネットが屈曲性を有しているため、施工に際し目地幅を手で押し狭めることができる(第0006,0007,0018段落)。しかしながら、ネットがタイル裏面の全体に結着されているため、目地幅を手で押し広げることはできない。
【0007】
また、目地幅を狭めるように調整する場合であっても、目地幅をかなり狭める場合にあっては、目地の間隙においてネットが盛り上るように変形してしまい、施工不良となってしまうので、目地幅を狭める目地幅調整も、微調整に止まる。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、目地幅を容易に大きくしたり小さくしたり調整することができるタイルユニット及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のタイルユニットは、複数枚のタイルが目地間隙を介して配列され、各タイル同士が、それらの裏面に接着されたネットを介して連結されており、壁面に目地が水平となるように張付施工されるタイルユニットであって、該ネットは、目地と斜交する糸条のみによって構成されているタイルユニットにおいて、最上段及び最下段以外のタイルにあっては、前記ネットは、タイル裏面のうち各タイルの上下方向の中間付近においてタイルに接着され、タイルの上辺部及び下辺部に対し非接着となっていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2のタイルユニットは、請求項1において、前記糸条と水平目地との交叉角度が30〜60°であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3のタイルユニットは、請求項1又は2において、最上段のタイルにあっては、前記ネットは、タイル裏面のうち上辺部と上下方向の中間付近に接着され、下辺部に対し非接着となっており、最下段のタイルにあっては、前記ネットは、タイル裏面のうち下辺部と上下方向の中間付近に接着され、上辺部に対し非接着となっていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4のタイルユニットの施工方法は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイルユニットを壁面に接着剤によって張り付け施工する方法において、該壁面に接着剤を塗付しておき、該タイルユニットを上側のタイルから順次に、目地幅を調整しながら壁面に押し付けて張り付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のタイルユニットにおいては、最上段及び最下段のタイル以外のタイルにあっては、タイルの上辺部及び下辺部にはネットが接着されていない。このため、目地幅を広げたり狭めたりするように力を加えると、ネットのうち目地部に位置する部分だけでなく、このタイル裏面に対面しており、タイルに対しフリーとなっている部分のネットも伸びたり縮んだりする。そのため、このタイルユニットを用いて施工を行うと、目地幅をかなり広げたり、逆にかなり狭めたりするように調整することができる。また、目地幅をかなり狭める場合でも、目地部におけるネットの縮み量は僅かであり、ネットが浮き上ることもない。
【0014】
請求項2の通り、水平目地と糸条との交叉角度を30〜60°とすることにより、ネットが目地幅拡張又は縮小方向に伸縮し易いものとなる。
【0015】
請求項3のように、最上段のタイルにおいて下辺部とネットとを非接着とし、最下段のタイルにおいて上辺部とネットとを非接着することにより、この最上段及び最下段のタイルに沿う目地の幅の調整もさらに容易となる。
【0016】
なお、最上段のタイルの上辺部及び最下段のタイルの下辺部にネットを接着すると、この部分でネットの縁がめくれることが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態に係るタイルユニット及びその施工方法を説明する。
【0018】
第1図は本発明の実施の形態に係るタイルユニットの裏面図及び側面図、第2図はこのタイルユニットの最上段のタイルの裏面側からの拡大斜視図、第3図はこのタイルユニットの施工方法を示す縦断面図である。なお、第1図において、左側の図がタイルユニットの裏面図であり、右側の図がタイルユニットの側面図である。
【0019】
以下の説明において、左右方向及び上下方向は、第1図のタイルユニットの裏面図における左右方向及び上下方向と一致する。また、この左右方向及び上下方向は、タイルユニットを壁面に張付施工したときの、該タイルユニットを裏側(壁側)から見た左右方向及び上下方向とも合致する。
【0020】
このタイルユニット1は、複数枚のタイル2が目地間隙をあけて配列され、これらのタイル2が、各々の裏面に接着されたネット3によって連結されたものである。ネット3は、タイル2,2同士の目地と斜交する糸条のみによって構成されている。このネット3は、最上段及び最下段以外のタイル2にあっては、各タイル2の裏面のうち各タイル2の上下方向の中間付近において接着剤4により各タイル2に接着され、各タイル2の上辺部及び下辺部に対しては非接着となっている。
【0021】
以下に、このタイルユニット1の各部の構成について詳細に説明する。
【0022】
この実施の形態では、タイル2は、略長方形平板状のものである。第1図の通り、各タイル2は、各々の長辺方向を左右方向として、該左右方向に多列に且つ上下方向に多段に配列されている。なお、第1図では、タイル2は左右3列×上下5段の配列となっているが、タイル2の配列はこれに限定されない。また、タイル2の向きもこれに限定されない。
【0023】
各タイル2は、規格品であり、上下方向(即ち短辺方向。以下、同様。)の幅が15〜60mmとされ、左右方向(即ち長辺方向。以下、同様。)の幅が45〜230mmとされ、厚さが5〜18mmとされている。
【0024】
隣り合うタイル2,2の長辺同士の間及び短辺同士の間にはそれぞれ目地間隙があいている。この隣り合うタイル2,2の長辺同士の間の目地間隙が水平目地となる。この目地間隙の幅は、ネット3に該目地間隙を広げる方向及び狭める方向のいずれにも外力が加えられていない状態(以下、この状態を平常状態という。)において、好ましくは3〜15mm、特に好ましくは5〜10mmとなっている。
【0025】
この実施の形態では、各タイル2の裏面に、2条の凹条2b,2bが形成されている。これらの凹条2b,2bは、それぞれ左右方向に延在しており、上下に所定の間隙をあけて配置されている。上側の凹条2bは各タイル2の上辺から離隔しており、下側の凹条2bは各タイル2の下辺から離隔している。これらの凹条2b,2bにより、各タイル2の裏面には、各タイル2の上辺と上側の凹条2bとの間、これらの凹条2b,2b同士の間、並びに下側の凹条2bと各タイル2の下辺との間に、それぞれ、左右方向に延在する凸条よりなる裏足2aが形成されている。
【0026】
各タイル2において、凹条2b,2b同士の間の裏足2a(以下、中段の裏足2aと称することがある。)は、各タイル2の上下方向の中間付近に位置している。
【0027】
第1図のタイルユニットの裏面図及び第2図に示すように、この実施の形態では、ネット3は、交叉二方向に延在する糸条によって構成された2軸ネットであり、その網目形状は略方形(好ましくは正方形又は菱形)となっている。このネット3は、網目がタイル2,2同士の間の目地間隙を斜めに横切るように配材されてタイル2の配列体の裏面に重ね合わされている。
【0028】
本発明においては、このネット3は、交叉二方向の一方に延在する糸条と他方に延在する糸条とが左右対称に略等角度にて水平目地と斜交するように配材されていることが好ましい。このネット3の各糸条と水平目地との交叉角度は30〜60°、特に40〜50°であることが好ましい。
【0029】
第1図の通り、このネット3は、タイル2の配列体の裏面の略全体を覆う大きさとされており、このネット3の上辺、下辺、左辺及び右辺は、それぞれ、最上段の各タイル2の上辺、最下段の各タイル2の下辺、左端列の各タイル2の左辺、及び右端列の各タイル2の右辺にほぼ沿うようにカットされている。
【0030】
この実施の形態では、最上段及び最下段以外のタイル2においては、各タイル2の裏面のうち中段の裏足(第1図においてドットを付した裏足)2aの裏面にのみ接着剤4が付着されており、ネット3は、この中段の裏足2aにのみ接着され、それよりも上辺側(即ち上側の凹条2b及び上段の裏足2a)及び下辺側(即ち下側の凹条2b及び下段の裏足2a)に対しては非接着となっている。
【0031】
また、この実施の形態では、最上段のタイル2においては、各タイル2の裏面のうち、第1図においてそれぞれドットを付した上段の裏足2aの裏面及び中段の裏足2aの裏面にのみ接着剤4が付着されており、ネット3は、これらの上段及び中段の各裏足2aにのみ接着され、それよりも下辺側(即ち下側の凹条2b及び下段の裏足2a)に対しては非接着となっている。この最上段のタイル2の上段の裏足2aには、ネット3の上縁部が接着されている。
【0032】
さらに、この実施の形態では、最下段のタイル2においては、各タイル2の裏面のうち、第1図においてそれぞれドットを付した下段の裏足2aの裏面及び中段の裏足2aの裏面にのみ接着剤4が付着されており、ネット3は、これらの下段及び中段の各裏足2aにのみ接着され、それよりも上辺側(即ち上側の凹条2b及び上段の裏足2a)に対しては非接着となっている。この最下段のタイル2の下段の裏足2aには、ネット3の下縁部が接着されている。
【0033】
なお、接着剤4は、ネット3を接着すべき裏足2aの裏面の略全体に塗布されていてもよく、第2図のように、ネット3を接着すべき裏足2aのうち該ネット3の各糸条が重なった部分にのみ付着されていてもよい。ネット3を接着すべき裏足2aの上下幅が大きいときには、同一の裏足2aの裏面において上下に位置を異ならせて2箇所以上にてネット3が接着されてもよい。
【0034】
従って、このタイルユニット1にあっては、ネット3のうち目地に露出した部分だけでなく、さらに、最上段及び最下段以外のタイル2においては各タイル2の中段の裏足2aよりも上辺側及び下辺側のネット3がその伸縮に寄与し、最上段のタイル2においては各タイル2の中段の裏足2aよりも下辺側のネット3がその伸縮に寄与し、最下段のタイル2においては各タイルの中段の裏足2aよりも上辺側のネット3がその伸縮に寄与しうるようになっている。
【0035】
本発明においては、ネット3は、目地の幅を平常状態から1〜8mm、特に3〜5mm広げたり狭めたりすることができるように構成されていることが好ましい。
【0036】
このネット3の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの化学繊維が好適である。
【0037】
このネット3の糸条の太さは、材質にもよるが、一般に0.5〜5mm、特に1〜3mmであることが好ましい。
【0038】
このネット3の略方形の網目の一辺の長さは18〜40mm、特に20〜30mmであることが好ましい。この網目の一辺の長さが18mmよりも短いと、ネット3が伸び縮みしにくいものとなる。また、この網目の一辺の長さが40mmよりも長いと、各タイル2におけるネット3の接着点の数が少なくなり、施工時にタイルユニット1を持ち上げたときにタイル2がグラつき易くなる。このネット3の網目の大きさは、各タイル2におけるネット3の接着点の数(ネット3を接着すべき同一の裏足2aを横切る糸条及び糸条同士の交叉部分の数)が2〜5個、特に2〜3個となるように決定されることが好ましい。
【0039】
本発明においては、ネット3はその糸条同士の交叉部分又はその近傍が各タイル2に接着されていることが好ましい。これにより、ネット3の各タイル2に対する接着が点接着となり、この接着点がヒンジのように作用するようになるため、ネット3をタイル2に接着したことによりネット3の伸縮機能が損なわれることが防止ないし緩和される。
【0040】
次に、このように構成されたタイルユニット1の施工方法について説明する。
【0041】
まず、このタイルユニット1が施工される壁面5の上下幅を計る。そして、タイルユニット1のタイル2を途中でカットしたり、タイルユニット1の上下に切物タイルを継ぎ足したりしなくても、タイルユニット1を壁面5の全体に略均等に分布させることができる目地幅を算出する。
【0042】
次に、壁面5に接着剤6を塗布した後、第3図のように、タイルユニット1の最上段のタイル2から順次にタイル2を壁面5に押し付けて張り付けていく。この際、最上段のタイル2を張り付けた後、目地幅が予め算出しておいた幅となるように、ネット3を引き伸ばしたり押し縮めたりしながら2段目のタイル2を張り付ける。その後、3段目以降のタイル2も、2段目と同様にして目地幅を調整しながら壁面5に張り付けていく。
【0043】
最下段のタイル2まで張り付けた後、接着剤6が硬化することにより、タイルユニット1の壁面5への張付施工が完了する。
【0044】
このタイルユニット1にあっては、上記の通り、最上段及び最下段以外のタイル2においては、各タイル2の中段の裏足2aよりも上辺側及び下辺側にはネット3が接着されておらず、最上段のタイル2においては、各タイル2の中段の裏足2aよりも下辺側にはネット3が接着されておらず、最下段のタイル2においては、各タイル2の中段の裏足2aよりも上辺側にはネット3が接着されていない。このため、目地幅を広げたり狭めたりするように力を加えると、ネット3のうち目地に位置する部分だけでなく、各タイル2の裏面に対面する、フリーとなっている部分のネット3も伸びたり縮んだりする。
【0045】
そのため、このタイルユニット1を施工すると、目地の幅をかなり広げたり、逆にかなり狭めたりするように調整することができる。また、目地の幅をかなり狭めた場合でも、この目地内におけるネット3の縮み量は僅かであり、目地内においてネット3が浮き上ることもない。
【0046】
この実施の形態では、水平目地とネット3の各糸条との交叉角度を30〜60°としているので、ネット3が目地拡張方向及び縮小方向に伸縮し易いものとなっている。
【0047】
この実施の形態では、最上段のタイル2の上段の裏足2aにネット3の上縁部が接着されると共に、最下段のタイル2の下段の裏足2aにネット3の下縁部が接着されているので、ネット3の上縁部及び下縁部がタイル2の裏側からめくれることが防止される。
【0048】
この実施の形態では、各タイル2の裏面に、上下に間隔をあけて2条の凹条2b,2bを形成することにより、それぞれ凸条よりなる上段、中段、下段の3条の裏足2aを形成している。このように構成されたタイル2にあっては、ネット3を接着すべき裏足2aの裏面に接着剤4を塗布する際に、接着剤4がこの裏足2aからはみ出しても、このはみ出した接着剤4は凹条2bに入り込む。そのため、ネット3は、このネット3を接着すべき裏足2aにのみ接着され、他の裏足2aには接着されない。これにより、容易に且つ確実にネット3が各タイル2の裏面のうち所定の裏足2aにのみ接着されたタイルユニット1を製造することができる。
【0049】
なお、各タイル2の裏面の裏足2a及び凹条2bは省略されてもよい。
【0050】
第4図は、裏面に裏足2aが設けられていないタイルを用いたタイルユニットの裏面図及び側面図である。なお、第4図において、左側の図がタイルユニットの裏面図であり、右側の図がタイルユニットの側面図である。
【0051】
この第4図のタイルユニット1Aに用いられているタイル2Aは、裏面に裏足2a及び凹条2bが形成されておらず、裏面が一様な平坦面となっている。
【0052】
この実施の形態でも、第4図の通り、タイル2Aは略長方形平板状の規格品であり、複数枚のタイル2Aが、各々の長辺方向を左右方向として、該左右方向に多列に且つ上下方向に多段に配列されている。この実施の形態でも、隣り合うタイル2A,2Aの長辺同士の間が水平目地となる。なお、第4図では、タイル2Aは左右3列×上下6段の配列となっているが、タイル2Aの配列はこれに限定されない。また、タイル2Aの向きもこれに限定されない。
【0053】
この実施の形態でも、ネット3は、交叉二方向に延在する糸条によって構成された2軸ネットであり、その網目がタイル2A,2A間の水平目地を斜めに横切るように配材されてタイル2Aの配列体の裏側に重ね合わされている。
【0054】
そして、この実施の形態でも、最上段及び最下段以外のタイル2Aにあっては、ネット3は、各タイル2Aの裏面のうち上下方向の中間付近にのみ接着され、上辺部及び下辺部に対しては非接着となっている。また、最上段のタイル2Aにおいては、ネット3は、各タイル2Aの裏面のうち各タイル2Aの上下方向の中間付近及び上辺部にのみ接着され、下辺部に対しては非接着となっている。さらに、最下段のタイル2Aにおいては、ネット3は、各タイル2Aの裏面のうち各タイル2Aの上下方向の中間付近及び下辺部にのみ接着され、上辺部に対しては非接着となっている。
【0055】
第4図の通り、この実施の形態では、ネット3は、可能な限り、その糸条同士の交叉部が各タイル2Aの裏面の上下方向の中間付近に位置するように配材され、各交叉部又はその付近がそれぞれ接着剤4により各タイル2Aに接着されている。これにより、前述のように、ネット3の各タイル2Aに対する接着が点接着となり、この接着点がヒンジのように作用するようになるため、ネット3をタイル2Aに接着したことによりネット3の伸縮機能が損なわれることが防止ないし緩和される。
【0056】
また、ネット3は、最上段のタイル2Aにあっては、各タイル2Aの裏面の上辺付近にも、可能な限り、その糸条同士の交叉部が位置するように配材され、該交叉部又はその付近が接着剤4により最上段のタイル2Aの上辺付近に接着されている。さらに、ネット3は、最下段のタイル2Aにあっては、各タイル2Aの裏面の下辺付近にも、可能な限り、その糸条同士の交叉部が位置するように配材され、該交叉部又はその付近が接着剤4により最下段のタイル2Aの下辺付近に接着されている。このようにすることにより、ネット3の上縁部及び下縁部の各タイル2Aに対する接着点の数を少なくすることができ、接着剤4の節約や、ネット3の接着工程の簡略化を図ることができる。
【0057】
この実施の形態では、接着剤4は、糸条同士の交叉部又はその付近にのみ付着されているが、第1図と同様に、各タイル2Aの裏面に左右方向に帯状に塗布されてもよい。
【0058】
このタイルユニット1Aのその他の構成及び各部の好ましい寸法等は、第1〜3図のタイルユニット1と同様である。第4図において第1〜3図と同一符号は同一部分を示している。また、このタイルユニット1Aの施工手順も、タイルユニット1と同様である。
【0059】
このように裏面が一様な平坦面となっているタイル2Aにより構成されたタイルユニット1Aにあっては、第3図のように壁面5に接着剤6を塗布してタイルユニット1Aを張付施工する場合、各タイル2Aを壁面5に押し付けて接着したときに、ネット3の網目を通して各タイル2Aの裏面の略全体に万遍なく接着剤6が付着するため、接着強度が高いものとなる。
【0060】
上記実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明は図示の構成に限定されない。
【0061】
例えば、タイルユニットを構成するタイルの形状は、略長方形平板状に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施の形態に係るタイルユニットの裏面図及び側面図である。
【図2】図1のタイルユニットの最上段のタイルの裏面側からの拡大斜視図である。
【図3】図1のタイルユニットの施工方法を示す縦断面図である
【図4】実施の形態に係るタイルユニットの裏面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0063】
1,1A タイルユニット
2,2A タイル
2a 裏足
2b 凹条
3 ネット
4 接着剤
5 壁面
6 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のタイルが目地間隙を介して配列され、
各タイル同士が、それらの裏面に接着されたネットを介して連結されており、
壁面に目地が水平となるように張付施工されるタイルユニットであって、
該ネットは、目地と斜交する糸条のみによって構成されているタイルユニットにおいて、
最上段及び最下段以外のタイルにあっては、前記ネットは、タイル裏面のうち各タイルの上下方向の中間付近においてタイルに接着され、タイルの上辺部及び下辺部に対し非接着となっていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記糸条と水平目地との交叉角度が30〜60°であることを特徴とするタイルユニット。
【請求項3】
請求項1又は2において、
最上段のタイルにあっては、前記ネットは、タイル裏面のうち上辺部と上下方向の中間付近に接着され、下辺部に対し非接着となっており、
最下段のタイルにあっては、前記ネットは、タイル裏面のうち下辺部と上下方向の中間付近に接着され、上辺部に対し非接着となっていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイルユニットを壁面に接着剤によって張り付け施工する方法において、
該壁面に接着剤を塗付しておき、該タイルユニットを上側のタイルから順次に、目地幅を調整しながら壁面に押し付けて張り付けることを特徴とするタイルユニットの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−221793(P2009−221793A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69804(P2008−69804)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】