説明

タウおよびβ−アミロイドが関連する神経変性病の処置および/または治療のためのガンビエロールの利用

本発明は、下記化学構造の化合物の薬剤を調製するための利用、好ましくはタウおよびβアミロイドタンパク質が関連する病理の進行を予防するまたは治療するためにデザインされた薬剤を調製するための利用に関する。好ましくは、本化合物はガンビエロールである。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は生物医学分野に属する。特に、次に示す化学構造を持つ化合物の利用に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
この薬物の調製は、例えばアルツハイマー病のような、TAUおよびベータアミロイドタンパク質が関連する病理の進行の予防および/または治療のために好ましいようデザインされている。
【0004】
〔背景技術〕
神経変性病の治療または予防は今日の社会が立ち向かっている最も偉大な挑戦の一つである。人口の高齢化のため、これらの神経変性病はますます罹患率が高くなってきている。それらの病理には様々な原因が存在するので、1つの分類でくくることは難しい。にもかかわらず、それらの病気の多くは共通の要因を持っている。
【0005】
65歳以上の人々の間で身体障害および依存の最も一般的な原因になるという事実から、これらの病気の中で最も重大なものは、アルツハイマー病(AD)である。これはまだ原因の分かっていない進行性の神経変性病である。現在、世界中で2500万人の人々がこの病気に苦しめられており、その数は2020年に2倍、2050年に3倍になると予測されている。
【0006】
現在認可されているアルツハイマー病の治療薬は、この病気の進行期にだけ投与されるメマンチンのみである。この化合物はN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体の非拮抗的なアンタゴニストで、神経内でのグルタミン酸塩の高濃度化による中毒効果を予防する。この薬の他に、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤として働くドネペジルやリバスティグミンのように、アルツハイマー病の進行を遅らせる化合物が存在する。(A.Fisher 2008,Neurotherapeutics;5:433-442)
この病気は患者の認知能力の低下、運動機能調整の障害、そして主として記憶力の低下を必然的に伴う。これは脳の特定領域の委縮の中に神経の変性が存在することが原因である。分子レベルでは、アルツハイマー病は、アミロイド沈着の出現、およびタウタンパク質の異常な会合による神経原線維班より測定される。アミロイド沈着は、不溶性ベータアミロイドの集積により形成される。
【0007】
神経原線維斑や神経原線維性変異は変性した神経の細胞質に集積する細胞内構造である。これらの構造は繊維状の形状を持つ。それらの主な構成物は、異常な凝集を示す高リン酸化タウタンパク質である。非病理的な状態下では、これは神経の軸索中に存在する微小管に結合している。これらの構造物は当初、「対になったらせん状フィラメント(paired helical filaments)」すなわちPHFと呼ばれていた。タウの高リン酸化はタウのリン酸化を引き起こすキナーゼの活性増加によりもたらされ得る一方、他方ではキナーゼの発現の増加によりもたらされ得る。なぜならば、キナーゼ反応のために利用できる基質が増加し、結果としてキナーゼの反応による生成物が増加するからである。アルツハイマー病に加え、タウの高リン酸化は、例えばピック病、認知症を伴うパーキンソン病、前頭葉型認知症(もしくは前頭側頭葉型神経変性)および大脳皮質基底核変性症の病気などの他の多くの病状を含む。
【0008】
他方、アミロイド沈着は細胞内および細胞外に存在する不溶性繊維である。これらの繊維はベータアミロイドペプチドのβA40およびβA42の形で構成されている。これらの形は、β−セクレターゼおよびγ−セクレターゼによるβ−アミロイド前駆体タンパク質(APP)の連続的タンパク質分解切断から生じる(Shirwany et al. 2007 Neuropsychiatric Disease and Treatment; 3, 597-612)。非病理的な状況下では、脳内においてピコおよびナノオーダー量内でβ−アミロイドペプチドは見つけられる。このため、β−アミロイドペプチドは可溶化されている。前駆体タンパク質APPの異常なプロセシングによる上述のペプチドの濃度増加は、ペプチド自身の不溶化および凝集体の形成を促す。自己の異常なプロセシングを引き起こし、結果としてβ-アミロイド凝集体の形成を引き起こすので、APPタンパク質における特定の変異が例えばアルツハイマー病のような病気に関連していることはよく知られている。β-アミロイドの凝集体は脳の特定領域に現れ、神経細胞の死の結果、進行性の認知障害を必然的に伴う炎症反応を促す。β-アミロイドペプチドはまた、例えばダウン症または血管性認知症での個々の神経欠損のような、他の病理とも関連する。
【0009】
神経変性の進行におけるタウおよびβ−アミロイド両方の重要性のため、当初の研究はそれぞれのタンパク質について独立に行われ、また、アルツハイマー病におけるそれぞれの個々の関与において行われた。結果として、アルツハイマー病の治療のための最初の試みは、それぞれのタンパク質により独立にもたらされる効果の向上を狙ったものだった。現在は、両タンパク質がアルツハイマー病へ関わると考えられているので、それらのタンパク質の相互反応または関連性が研究されている。そのメカニズム自身は未だよく分かっていないが、これらの研究は両タンパク質間の関連性の存在を示している。いくつかのデータはアミロイド沈着の形成が、タウのリン酸化、その結果として、その後のタウの凝集を促進する別々の分子経路に作用し得ることを示している(Blurton-Jones et al. 2006, Current Alzheimer Research, 3(5), 435-448)。これは、例えば、β−アミロイド沈着の一部における、タウをリン酸化する働きを持つ種々のキナーゼ(例えば、グリコーゲンシンターゼ3β(GSK−3β)またはサイクリン依存キナーゼ5(CDK5))の活性化によって行われる。上述の関連性が存在するものの、いくつかの研究では、一方のタンパク質の変質の改善は、他方の変質の改善を必ずしも引き起こすものではないことを示唆し、いくつかのケースではますます悪化することさえ示唆しているため、後者については明らかになっていない(Oddo et al., 2005. Proc Natl Acad Sci U.S.A, 102(8),3046-51)。これらの理由から、両方の病理が同時に存在するモデルについて研究を行うことが必要である。
【0010】
結果として、アルツハイマー病のような一つまたは両方のタンパク質の変質が関係する病気の予防と治療のためには、両方のタンパク質の変質に連帯して働く有用な薬を得ることが不可欠である。
【0011】
現在、薬の生産に有用な化合物の最も重要な源の一つが海洋の環境である。例えば抗腫瘍活性を持つ薬のような、大きな医学的有用性が証明されている資源など、非常に多くの生物化学的資源がそこで見つかっている。それらの化合物の中で、海洋性フィコトキシン(phycotoxin)はそれらの非常な多様性と、その結果非常に多くの反応メカニズムおよびこれにより引き起こされる細胞応答とにより、大きな臨床的応用性を持つ。これらの化合物の一つに渦鞭毛類のGambierdiscus toxicusによって生産されるガンビエロールがある。この毒は多環式のエーテル構造を持ち、シガテラ中毒を起こす毒性要素からいわゆるシガトキシン(Yasumoto, 2001. Chem Rec, 1(3), 228-242)と呼ばれているグループに分類される。ガンビエロールの効果を解明するために行われた研究において、この毒は電位依存性のナトリウムチャネル(VGSC)およびカリウムチャネル(VGPC)の両方に作用することが明らかになった。しかしながら、ガンビエロールの投与は特定の病気の治療や予防に関連していない。
【0012】
〔発明の説明〕
本発明は次の(I)に示す化学構造の化合物の利用に関する。
【0013】
【化2】

【0014】
上述の化合物は、アルツハイマー病のようなタウおよび/またはβ-アミロイドが関連する病気の進行の予防および/または治療に好ましいようデザインされている。
【0015】
本発明の実施例は、3重トランスジェニックマウスから得られたインビトロ皮質神経細胞培養を使用する。3重トランスジェニックマウスは、プレセニリン(PS1M146v)ののヒトトランス遺伝子、β−アミロイド前駆体タンパク質(APPSwe)、およびタウタンパク質(taup301L)を同時に過剰発現している。これら3要素の同時過剰発現はβ−アミロイドの蓄積と神経原線維斑の形成を必然的に伴うので、結果、これらのトランスジェニック動物から得られるインビトロ細胞培養は、β−アミロイドの増加およびタウの高リン酸化に関連する病気に対する上記の化合物の効果の研究に有用である。本発明の実施例において、ガンビエロールの処方は細胞内外レベルでのβ−アミロイドの過剰発現の減少を引き起こし、セリン残基(Ser)202においても、スレオニン(Thr)212およびセリン214残基においてと同様に、高リン酸化されたタウを減少させることを明示している。
【0016】
ガンビエロールはシガトキシンと呼ばれる毒のグループに属している化合物である。ガンビエロールの化学構造は(II)の通りである。
【0017】
【化3】

【0018】
この化合物は自身の毒性を神経システム、特に電位依存性ナトリウムチャネル(VGSC)および電位依存性カリウムチャネル(VGPC)において働かせる。アルツハイマー病においてはそのナトリウムチャネル、特にkv3.1チャネルを縮小させることが明らかになっている。驚くことに、β−アミロイドの過剰発現およびタウタンパク質の高リン酸化の両方を減少させるために有用であるにもかかわらず、ガンビエロールはそれ自身の減少を引き起こす。
【0019】
一方、上述の化合物は毒物と言われているにもかかわらず、本発明が、皮質神経細胞培養の20μM以下の濃度のガンビエロール処理はその生存能の減少を引き起こさないということも明示していることは注目すべきである。
【0020】
それゆえ、本発明は、アルツハイマー病等の病気の進行に最も関連する要因である、β−アミロイドタンパク質の過剰発現および/またはタウタンパク質の高リン酸化に関連する神経変性病の効果的な治療のための解決策を提供する。
【0021】
ガンビエロールは類似した活性および機能を持つ様々な異性体を示し得る。さらに、ガンビエロールは修飾され得、それにより、類似の物理的化学的特徴を持ち、その結果、類似の機能性をも持つ非常に多くの誘導体をもたらし得る。これらの全ての化合物がガンビエロールに共通の構造(I)を示す。(I)中、R、RおよびRは互いに同一もしくは独立に互いに異なるものであってよく、OR´鎖、ヒドロキシル基またはアシル基であり得、Rはメチル基または水素であり、Rは:
−R´−O−Zであって、R´はC1−C6アルキル基、かつZはC1−C6アルキル基もしくはアシル基、
−C1−C10アルキル基、
−C1−C10アルケニル基であり得、
符号
【0022】
【化4】

【0023】
は単結合もしくは二重結合であり得る結合を示している。
【0024】
【化5】

【0025】
これら全ての理由のため、本発明の第1の態様は(I)の構造を有し、
、RおよびRは互いに同一もしくは独立に互いに異なるものであってよく、OR´鎖、ヒドロキシル基またはアシル基であり得、
はメチル基または水素であり、
は:
−R´−O−Zであって、R´はC1−C6アルキル基、かつZはC1−C6アルキル基もしくはアシル基、
−C1−C10アルキル基
−C1−C10アルケニル基であり得、
符号
【0026】
【化6】

【0027】
は単結合または2重結合であり得る結合を示している
化合物を、薬剤を調製するために利用することに関する。
【0028】
本発明の本態様の好ましい実施形態は、(I)の化学構造を持つ化合物のうちRがR´−O−ZでR´はメチル基である化合物を、薬剤を調製するために利用することに関する。
【0029】
グループのうち一つが、これらの分子の活性に通常関係している要素の一つであるので、Rにおいて7個の炭素原子を持つアルケニル基である誘導体を莫大な数のガンビエロール誘導体の中から見つけ出した。この理由から、本発明の本態様の好ましい他の実施形態は(I)の化学構造を持つ化合物のうち、Rが7個の炭素原子を持つアルケニル基である化合物を、薬剤を調製するために利用することに関する。
【0030】
ガンビエロールのケースでは、R、RおよびRはヒドロキシル基であるのに対し、Rはメチル基で、Rは7個の炭素原子を持つアルケニル基で、
【0031】
【化7】

【0032】
は2重結合である。この理由により、本発明の本態様のさらに好ましい実施形態は、(I)の化学構造を持つ化合物のうちR、RおよびRがヒドロキシル基でRがメチル基であり、Rは7個の炭素原子を持つアルケニル基であって、
【0033】
【化8】

【0034】
が2重結合である化合物の利用に関する。この化合物はガンビエロールと一致し、次の(II)に示す化学構造を持つ。
【0035】
【化9】

【0036】
本発明では、「アルキル」とは1から10個の炭素原子を持つ直鎖のまたは分枝鎖の脂肪族鎖を指す。より好ましくは、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n―ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n−ペンチル基など、1から6個の炭素原子を持つ脂肪族鎖を指す。
【0037】
本発明では、「アルケニル」とは1から10個の炭素原子を持ち、1つ以上の不飽和結合を持つアルキルラジカルを指す。このアルキルラジカルは、例えばアリル基やハロゲン、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、ニトロ基、メルカプト基等で随意に置換されてもよい。
【0038】
本明細書において「アシル」はオキソ酸由来の基を意味すると理解される。例えば、それらは限定されることはないが、少なくとも1個のヒドロキシル基を除去したカルボキシル酸でもよい。
【0039】
本発明では、「類似物」は、他の化学物質と構造と機能の両方もしくはいずれか一方が類似している化学物質を指す。
【0040】
本発明では、「誘導体」は、他の化合物を修飾することにより供され、同様の機能を有している化合物を意味すると理解される。これらの修飾は、その方法を限定しないが、例えば化学的、物理的、微生物学的、または薬理的な方法を用いて行われてもよい。
【0041】
β−アミロイドおよびタウのリン酸化の両方の増加は、別々にもしくは共に、通常病理学的進行と関係する。それらの蓄積は基本的に神経細胞内で起こり神経細胞自身の変性をもたらすので、これらの進行は初め神経系に関連する。これら2要素が共に主な病理に関係しているのが、アルツハイマー病である。神経原線維性変異を引き起こすβ−アミロイド沈着および高リン酸化したタウタンパク質の増加とともに、この病気は進行する。神経原線維性変異は更なる神経細胞の変異をもたらし、同時に認知障害や運動障害をひきおこす。例に示したとおり、ガンビエロールはβ−アミロイドの過剰発現およびタウの高リン酸化を減少させる効能がある。しかし、これらが変異していないときは、これらの構造のいずれにも何の効果も示さない。これは、β−アミロイドの発現および高リン酸化タウが、別個に、および共に増加することに関係する病理の治療のために、これらの化合物が有用であることを示す。この理由により、本発明の本態様の好ましい実施形態は、神経変性の病気の予防および/または治療のためデザインされた薬剤の調製のために(I)または(II)の化学構造を持った化合物の利用に関する。本発明の本態様の他の好ましい実施形態は、コントロールに対するβ−アミロイドおよび/またはタウの高リン酸化の増加に関連する病理の予防および/または治療のためデザインされた薬剤の調製のために(I)または(II)の化学構造を持った化合物の利用に関係する。
【0042】
本発明では、「コントロールに対するβ−アミロイドタンパク質の増加に関連する病理の予防および治療」という表現は、上記タンパク質の濃度コントロール値に対する、β−アミロイドタンパク質の増加を指す。β−アミロイドの濃度コントロール値は、健康な個体、すなわち、従来技術で知られているβ−アミロイドタンパク質の過剰供給に関連するあらゆる病理の兆しもみられない個体における上述のタンパク質の値である。β−アミロイドタンパク質の濃度コントロール値はまた、病気にかかっている個体でも、健康なときの個体でも同じ個体のベースラインの値であってもよい。上述の値は健康な個体のグループにおける上述タンパク質の濃度レベルの平均値であってもよい。同様に、「コントロールに対するタウタンパク質の高リン酸化」は、上述タンパク質のリン酸化のコントロール値より、タウタンパク質の濃度が極めて高いことを指す。タウタンパク質のリン酸化のコントロール値はβ−アミロイドタンパク質の濃度コントロール値の説明と同じ手法で測定される。β−アミロイドタンパク質の濃度および/またはタウタンパク質のリン酸化は、個体から単離されたサンプルにおいて測定される。サンプルは、生体液であることが好ましい。生体液は、脳脊髄液であることが好ましい。
【0043】
本発明では、「β−アミロイドの増加に関係する病理」は、β−アミロイド前駆体タンパク質レベルの増加、または、非溶解量が増加し結果的に細胞内外のβ−アミロイド沈着の大きさおよび量の増加を引き起こす当該タンパク質の異常なプロセシングのどちらかとともに進行する全ての病理を意味すると理解される。これらの病理は、限定されることはないが、例えば筋委縮性側索硬化症、ダウン症、血管性認知症、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、およびクロイツフェルト・ヤコブ病を含む。これらの理由から、本発明の本態様の好ましい実施形態は、β−アミロイドの増加に関連する病理の予防および/または治療のためデザインされた薬剤を調製するため、(I)または(II)の化学構造を持った化合物を利用することに関する。この病理は、筋委縮性側索硬化症、ダウン症、血管性認知症、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、およびクロイツフェルト・ヤコブ病を含む一覧から選択される病理である。
【0044】
本発明では、「タウの高リン酸化に関係する病理」はタウの発現増加とともに進行する全ての病理を意味すると理解される。これは、発現になんら変化がなくても、リン酸化されたタンパク質の量の増加、もしくはこのタンパク質の高リン酸化を伴う。なぜなら、何れの場合も、リン酸化タウの異常な凝集から産生される神経原線維性変異のサイズまたは数の増加を引き起こすからである。タウの高リン酸化に関連する病理は、これらに限定されることはないが、例えば、前頭側頭葉型認知症、進行性核上麻痺、多系統tau症(tauopathy)にかかわる認知症、大脳皮質基底核変性症、および前頭側頭葉型変性もしくはピック病のような病理を含む。これらの理由から、本発明の本態様の好ましい他の実施形態はコントロールに対するタウの高リン酸化に関係する病理の予防および/または治療のためデザインされた薬剤を調製するため、(I)または(II)の化学構造を持った化合物を利用することに関連する。この病理は、前頭側頭葉型認知症、進行性核上麻痺、多系統tau症(tauopathy)にかかわる認知症、大脳皮質基底核変性症、および前頭側頭葉型変性もしくはピック病を含む一覧から選択される病理である。
【0045】
一方、アルツハイマー病に加えて、両方のタンパク質の変性と同時に進行する多数の病気が存在する。限定されることはないが、例えば緩やかな認知障害または認知の欠落、オランダ型のアミロイド症による遺伝性脳出血、脳アミロイド血管症、パーキンソン病からくる認知症、びまん性レビー小体病、大脳皮質基底核変性症、亜急性硬化性全脳炎、嗜銀顆粒性認知症および家族性のゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病のような病気が存在する。これらの理由から、本発明の本態様の好ましい他の実施形態はβ−アミロイドの増加とコントロールに対するタウの高リン酸化に関係する病理の予防および/または治療のためデザインされた薬剤を調製するため、(I)または(II)の化学構造を持った化合物を利用することに関する。この病理は、アルツハイマー病、緩やかな認知障害または認知の欠落、オランダ型のアミロイド症による遺伝性脳出血、脳アミロイド血管症、パーキンソン病からくる認知症、びまん性レビー小体病、大脳皮質基底核変性症、亜急性硬化性全脳炎、嗜銀顆粒性認知症および家族性のゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病を含む一覧から選択される病理である。
【0046】
本発明では、「緩やかな認知障害または認知の欠落」とは、人の知的能力の変性を意味すると理解される。限定されることはないが、見当識の障害、近時記憶障害、論理的思考の障害、計算の困難、言語障害、複雑な作業を行う能力の変性、および計画能力の変性のような知的能力の変性を含む。限定されることはないが、例えばアルツハイマー病や総合失調症もしくは老年性認知症のような種々の病気の初期段階においてこれら知的能力の変性は現れる。
【0047】
(I)または(II)の化学構造を持つ全ての化合物は、医薬組成物の一部を形成する他の化合物と一緒に調製されてもよい。この化合物に加え、医薬組成物は、薬理学的に許容される賦形剤、他の有効成分、または(I)もしくは(II)の構造を持つ化合物の任意の組合せを含む。
【0048】
上述の医薬組成物は動物、さらに好ましくは人間を含む哺乳類に投与するために、従来技術で知られている多様な形状で調製されてもよい。従って、限定されることはないが、水性または非水性溶液で、エマルジョンまたは懸濁液であり得る。非水性溶液の例としては、限定されることはないが、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイル等の植物油、およびオレイン酸塩等の注射可能な有機エステルがある。水性溶液の例としては、限定されることはないが、水、水中のアルコール溶液、および塩類媒体がある。水性溶液は緩衝剤で処理されていなくともよく、他の活性または不活性成分を含んでいてもよい。その追加の成分はイオン強度を緩衝するための塩類、防腐剤、および栄養素を含む。限定されることはないが、防腐剤は抗菌剤、抗酸化物質、キレート剤またはその類似物を含み、栄養素はグルコース、ブドウ糖、ビタミンおよびミネラルを含んだ栄養素を含む。
【0049】
代わりに、上記の医薬組成物は固形で投与するよう調製されてもよい。組成物はいくつかの不活性媒体もしくは添加剤と組み合わされてもよい。限定されることはないが、その不活性媒体や添加材は、微結晶性セルロースのような結合剤、トラガカントゴムまたはゼラチン、スターチやラクトースのような添加剤、アルギニン酸やコーンスターチのような分散剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑油、コロイド状二酸化ケイ素のようなスリップ剤、スクロースまたはサッカリンのような甘味料、ミントやサリチル酸メチルのような香料を含んでいてもよい。
【0050】
上述の任意の組成物および/または調製物は、哺乳類を含み、それゆえ人間を含む動物に、多様な形式で投与されてよい。その投与形式は、限定されることはないが、経口投与、非経口投与、腹腔内投与、静脈投与、皮内投与、硬膜外投与、髄腔内投与、基質内投与、関節内投与、ずい液内投与、鞘内投与、病巣内投与、動脈内投与、心臓内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、頭蓋内投与、皮下投与、眼窩内投与、嚢内投与、局所投与、経皮用貼り付け剤による投与、直腸、膣または尿道経路による投与、坐薬による投与、経皮的投与、鼻腔用スプレーによる投与、手術による移植、体内部の手術的塗布、点滴ポンプによる投与、またはカテーテルによる投与が含まれる。本発明の好ましい実施形態は、(I)または(II)の化学式を持ち、経口または腹腔内の経路を用い投与される化合物の利用に関する。
【0051】
治療上効果的な量を得るための投薬量は、例えばその哺乳類の年齢、体重、性別または耐性等の種々の要因に依存する。この説明において用いられる場合は、「治療上効果的な量」という表現は、本発明の医薬組成物の、所望の効果を生み出す量を指し、他の要因はるものの、一般的に、上述の医薬組成物および達成されるべき治療効果の特性よって決定される。
【0052】
本説明および特許請求の範囲を通じ、用語「含む(comprise)」およびその変形は、他の技術的特徴、付加物、構成要素または段階を除外することを意図していない。当業者にとって、本発明の他の目的、効果および特徴は、本説明の一部からおよび本発明の実施の一部から現れるであろう。以下の図面および実施例は、例示を目的として提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0053】
〔図面の説明〕
図1はガンビエロール処理の後に細胞内でのβ−アミロイドが発現レベルにおいて減少したことを示す。
【0054】
(A)野生型の動物(NoTg)由来の新皮質培養および3×Tg−AD(3×Tg)マウスから得られた新皮質培養およびガンビエロール処理した3×Tg−ADマウス(3×Tg+Gamb)由来の新皮質培養内のβ−アミロイドペプチド量を、6E10抗体により評価した際のβ−アミロイドの発現を示すウェスタンブロットバンド。このインビトロモデルにおいてβ−アミロイドの過剰発現を減少させるガンビエロールへの3重トランスジェニックマウス由来の皮質培養の処理。(B)ガンビエロール処理の後にβ−アミロイドの過剰発現が有意に減少していることを示しているウェスタンブロットバンドの定量化(トランスジェニック培養におけるβ−アミロイドの発現に対してp>0.05である)。
【0055】
図2はガンビエロール処理したトランスジェニック新皮質培養内のリン酸化されたタウのレベルの減少を示している。
【0056】
(A)AT8抗体(Ser202がリン酸化されたタウとして知られている)を使用し、野生型の培養(NoTg)およびトランスジェニック培養(3×Tg)およびガンビエロール処理したトランスジェニック培養(3×Tg−Gamb)のタウのリン酸化レベルを示している、ウェスタンブロットの画像。(B)リン酸化されたタウ(AT8抗体でラベルされた)の発現の定量化は、ガンビエロール処理(p<0.05、n=3、3つの代表的な試験により得られ、それぞれ2回繰り返した)したトランスジェニック培養におけるタウのリン酸化の、有意な減少を示している。
【0057】
図3は、ガンビエロール処理したトランスジェニック神経培養のリン酸化タウの、Thr212残基およびSer214残基(AT100抗体でラベルされた)での発現阻害を示している。
【0058】
(A)非トランスジェニックマウス(NoTg)から得られた培養およびトランスジェニック培養(3×Tg)およびガンビエロール処理したトランスジェニック培養(3×Tg+Gamb)における、AT100抗体に対する免疫活性を示すウェスタンブロットバンド。(B)リン酸化タウ(AT100抗体でラベルされた)の発現の定量化は、ガンビエロール処理(p<0.05、n=3、3つの代表的な試験により得られ、それぞれ2回繰り返した)したトランスジェニック培養においてタウのリン酸化の有意な減少を示している。
【0059】
図4は細胞外のβ−アミロイドペプチドの量を決定するために使用した直線パターンを示している。
【0060】
直線パターンは、495nmの波長での吸光度測定により得られた、β−アミロイドの様々な濃度の定量化により得られた。
【0061】
図5は細胞外β−アミロイドペプチドのレベルの減少を示している。
【0062】
これらのレベルは培養基およびガンビエロール処理したトランスジェニック培養の中から分泌されたβ−アミロイドの定量により決定された。上述の定量化はガンビエロール処理した3重トランスジェニック培養における細胞外β−アミロイドペプチドが処理をしていないものと比べ減少していることを示している。NoTgはコントロールの培養である。3×Tgは3重トランスジェニック動物から得られた皮質神経細胞培養である。3×Tg+Gambはガンビエロール処理した3重トランスジェニック動物得られた皮質神経細胞培養である。
【0063】
〔実施例〕
この特許文献において提供される以下の特定の実施例は、発明の本質を説明するため提示される。これらの実施例は例示の目的でのみ含まれるのであり、本発明の請求範囲を限定するとは解釈されない。ゆえに、下記で説明される実施例はさらに、適用する分野を限定されることなく本発明を説明する。
【0064】
(実施例1.ガンビエロール処理の細胞生存能の測定)
本発明の実施を行うため、次に挙げるもののうち一方が使用された。すなわち、国際出願WO2003/053136で説明された方法を用いて得ることができ、前述の国際出願の保有者によって提供される3重トランスジェニックマウス(3×Tg−ADまたは3×Tg)内のアルツハイマー病モデルから得られたタウおよびβ−アミロイドを同時に過剰発現するインビトロ皮質神経細胞モデル、または非トランスジェニックマウス(No Tg)から得られるインビトロ皮質神経細胞モデルが使用された。3重トランスジェニック神経モデルは、プレセニリン(PS1M146V)、β−アミロイド前駆体タンパク質(APPSwe)、およびタウタンパク質(tauP301L)のヒトトランス遺伝子の同時過剰発現を示しており、これは、β−アミロイドの過剰発現およびタウの高リン酸化を伴うアルツハイマーモデルを導く。
【0065】
一次皮質細胞培養は生後15−17日の3×Tg−ADマウスの胚から得られ、野生型細胞の培養はコントロールであるnon−3×Tg−ADマウスで、同じ血統のマウスの胚から得られた。本発明で使用された化合物の細胞生存能における効果は、アラマーブルー生存指数を使用した蛍光アッセイを用いて測定された。このアッセイを行うため、96穴プレートに播かれた一次皮質細胞培養を使用した。ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解され、種々の濃度になるよう培地を加えられた本発明の化合物とともにその神経細胞はインキュベートされた。そして、インビトロにおける種々の処理回数における神経細胞の生存能に対するそれらの効果が測定された。インビトロにおけるガンビエロールの最大濃度は20μMであると算出され、アラマーブルーの濃度は10%であった。用いられた反応量は200μlであった。蛍光は530nm(励起)および590nm(放出)の波長で測定された。本発明の化合物はインビトロにおける細胞生存能を変化させなかった(表1)。
【0066】
【表1】

【0067】
(実施例2.細胞内のβ−アミロイドの過剰発現およびタウの高リン酸化におけるガンビエロールの効果)
本発明の化合物のタウおよびβ−アミロイドに対する効果を測定するため、ウェスタンブロット法が使用された。神経細胞の一次培養は培地に加えられた本発明の化合物とともに所定の期間インキュベートされた。本実施例において、神経細胞の一次培養は3日から7日の間、10μMガンビエロールの培養で処理された。続いて、細胞は以下に続く常用であるウェスタンプロットプロトコルで処理された。ウェスタンブロット調査のために、一次抗体のanti−β−アミロイド 6E10の1:500希釈を、anti−Tau AT8(セリン202がリン酸化されたタウ、1:1000希釈)を、およびanti−Tau AT100(スレオニン212とセリン214がリン酸化されたタウ、1:1000希釈)を使用しタンパク質の発現が評価された。anti−β−アミロイド6E10抗体はCovanceから得られ、anti−tau AT100およびanti−TauAT8抗体はThermo Scientificから提供された。
【0068】
ウェスタンブロットアッセイのため、本発明の化合物で処理された神経細胞培養は、冷却したPBSで洗浄され、50mM Tris−HClバッファー(pH7.4)に溶解された。このバッファーは150mM NaCl、1mM EDTA、1%TritonX−100、2mM DTT、2.5mM PMSF、40mg/mlアプロチニン、4mg/mlロイペプチン、5mM NaF、1mM Na3VO4、1mg/mlペプスタチンA、および1mg/mlベンズアミジンを含む。タンパク質全体の濃度はウシアルブミンを基準として使用したブラッドフォード法により測定された。全体で20μgのタンパク質を含んでいる細胞溶解物アリコートはローディングバッファー(50mM Tris−HCl、100mMジチオスレイトール、2% SDS、20% グリセロール、0.05% ブロモフェノールブルー、pH6.8)内に供され、タンパク質は電気泳動によって分離され、PVDFメンブレンに転写された。メンブレンは一次抗体とともにインキュベートされ、洗浄され、そして続いてHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)結合2次抗体とともにインキュベートされ、化学発光を用いてその免疫反応性が検出された。サンプルのタンパク量に応じてデータを補正するため、同じメンブレンを抗β−アクチン一次抗体とともに再インキュベートした。これらのアッセイは、3重トランスジェニックマウスから得られた神経細胞において、ガンビエロール処理がβ−アミロイド(図1)の過剰発現、ならびにSer202残基(図2)またはスレオニン212およびSer214残基(図3)がリン酸化されたタウの過剰発現を減少させることを明らかにした。
【0069】
(実施例3.コントロール神経細胞でのタウのリン酸化の基準値においての本発明の化合物の効果)
タウのリン酸化の基準値においてガンビエロールの効果を測定するためウェスタンブロット法が使用された。非トランスジェニックマウスから得られたインビトロ皮質神経細胞モデルが使用された。神経細胞培養およびサンプルのプロセシングは上述の例と同じ様式で行われた。得られたデータは、サンプルのタンパク量に応じてβ−アクチン量を用いて補正された。得られたデータは、コントロール神経細胞のガンビエロール処理が全てのタウの基準量(リン酸化タウおよび非リン酸化タウ(表2)両者の異なるアイソフォームを認識するTau46抗体を用いて決定される。)、またはSer202残基がリン酸化されたタウの基準値(表3)に影響を及ぼさないことを示している。
【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
(実施例4.細胞外β−アミロイドの過剰発現におけるガンビエロールの効果)
3重トランスジェニックマウスまたはガンビエロールで処理されたコントロールマウスから得られた皮質神経細胞の、培地中における細胞外β−アミロイドのレベルは、β−アミロイド1−42またはβ−アミロイド1−40を検出する市販のELISAキットを用いて、製造者の推奨する指示に従って測定された(Covance)。これらのキットはβ−アミロイドペプチドをそのアミノ末端で捕捉する抗体で処理されたプレートを含んで構成される。β−アミロイド量が既知の基準、β−アミロイドが未知の神経細胞調製物から回収した培地がウェルに加えられ、インキュベートされた。プレートは、未結合のペプチドを除去するために洗浄され、β−アミロイドペプチドのカルボキシル末端に結合する抗体の存在下において2時間インキュベートされた。続いて、プレートは洗浄され、ペルオキシダーゼ結合2次抗体とともにインキュベートされた。25分のインキュベーションの後、プレートは洗浄され、ペプチドのバンドを可視化するために、基質であるオルト−フェニレンジアミン(OPD)が加えられた。光学濃度は495nmの吸光度により測定され、加えたβ−アミロイドの定量により直線パターンが得られた(図4)。この直線パターンから、本発明の化合物で処理された神経細胞調製物から回収された培地内のβ−アミロイドの量を推定することができる。
【0073】
本発明で説明される全ての方法は、細胞があらかじめ加えられており、少なくとも6日間培養されており、本発明の化合物で処理が施された培養プレートを使用したHTS(ハイスループット・スクリーニング)によって自動化されてもよい。これらのプレートは種々の測定方法(吸光度測定、ルミネセンス、けい光測定)を用いて任意のマーカーを測定する自動化システムに組み込むことが可能である。同様に、アルツハイマー病および/またはタウのリン酸化もしくはβ−アミロイドの発現の変化を引き起こす他の神経病理性変異に関連する、細胞、分子および生化学的ターゲットに対する、本発明の化合物自身または他の薬剤との組合せによる本発明の化合物の効果は、対象となっている処理に細胞が供された後、アルツハイマー病もしくはタウおよびβ−アミロイドに関係する病気の進行に対するこれらの処理の効果を評価するための任意の市販のキットを利用したHTS法による調査に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】ガンビエロール処理の後に細胞内でのβ−アミロイドが発現レベルにおいて減少したことを示す図である。
【図2】ガンビエロール処理したトランスジェニック新皮質培養内のリン酸化されたタウのレベルの減少を示す図である。
【図3】ガンビエロール処理したトランスジェニック神経培養のリン酸化タウの、Thr212残基およびSer214残基(AT100抗体でラベルされた)での発現阻害を示した図である。
【図4】細胞外のβ−アミロイドペプチドの量を決定するために使用した直線パターンを示した図である。
【図5】細胞外β−アミロイドペプチドのレベルの減少を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を調製するための、次の(I)に示す化学構造を持つ化合物の利用:
【化1】

、RおよびRは互いに同一もしくは独立に互いに異なるものであってよく、OR´鎖、ヒドロキシル基またはアシル基であり得、
はメチル基または水素原子であり、

−R´−O−Zであって、R´はC1−C6アルキル基、かつZはC1−C6アルキル基もしくはアシル基、
−C1−C10アルキル基、
−C1−C10アルケニル基であり得、
符号
【化2】

は単結合もしくは二重結合であり得る結合を示している。
【請求項2】
はR´−O−Zであり、R´はメチル基である、請求項1に記載の化合物の利用。
【請求項3】
は7個の炭素原子を持つアルケニル基である、請求項1に記載の化合物の利用。
【請求項4】
、R、Rはヒドロキシル基であり、Rはメチル基であり、
【化3】

は2重結合である、請求項3に記載の化合物の利用。
【請求項5】
神経変性病の予防および/または治療のための薬剤を調製するための、請求項1から4の何れか1項に記載の化合物の利用。
【請求項6】
コントロールに対するβ−アミロイドの増加および/またはタウの高リン酸化と関連する病理の、予防および/または治療のための薬剤を調製するための、請求項1から4の何れか1項に記載の化合物の利用。
【請求項7】
コントロールに対するβ−アミロイドの増加と関連する上記病理は、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症、血管性認知症、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症およびクロイツフェルト・ヤコブ病を含む一覧の中から選択される、請求項6に記載の化合物の利用。
【請求項8】
コントロールに対するタウの高リン酸化と関連する上記病理は、前頭側頭葉型認知症、進行性核上麻痺、多系統tau症(tauopathy)に関連した認知症、大脳皮質基底核変性症およびピック病を含む一覧の中から選択される、請求項6に記載の化合物の利用。
【請求項9】
コントロールに対するβ−アミロイドの増加およびタウの高リン酸化と関連する上記病理は、アルツハイマー病、緩やかな認知障害または認知の欠落、オランダ型のアミロイド症による遺伝性脳出血、脳アミロイド血管症、パーキンソン病に関連した認知症、びまん性レビー小体病、大脳皮質基底核変性症、亜急性硬化性全脳炎、嗜銀顆粒性認知症および家族性のゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病を含む一覧の中から選択される、請求項6に記載の化合物の利用。
【請求項10】
コントロールに対するβ−アミロイドの増加およびタウの高リン酸化と関連する上記病理はアルツハイマー病である、請求項9に記載の化合物の利用。
【請求項11】
請求項1から4の何れか1項に記載された化合物を含む医薬組成物。
【請求項12】
さらに薬学上許容される賦形剤を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
さらに他の有効成分を含む、請求項11または12に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509386(P2013−509386A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535887(P2012−535887)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/ES2010/070634
【国際公開番号】WO2011/051521
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512114936)ウニベルシダッド デ サンティアゴ デ コンポステラ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDADE DE SANTIAGO DE COMPOSTELA
【住所又は居所原語表記】Edificio CACTUS−CITT,Campus Sur,E−15782 Santiago de Compostela (A Coruna) Spain
【Fターム(参考)】