タオル地とその製造法
【課題】タオル地の経糸の配列を変えて経糸同士の摩擦を無くし、織り組織の改良でパイルの出る方向をリバースさせた時に生じやすい筬折れや裏パイル現象などの弊害を防止し、使いやすいタオル地を提供する。
【解決手段】一群の地経糸3に複数の緯糸9を織り込んでタオル地組織2を織成し、タオル地組織2の表面又は裏面若しくは表裏両面にパイル経糸5を織成してパイルを形成するタオル地において、2本を一組とした地経糸3a、3bとパイル経糸5a、5bとを交互に配列し、筬の各筬羽に交互に挿通し、3本で一組をなす緯糸9を前記地経糸3とパイル経糸5とで形成した杼口から引き込んで筬打ちし、テリーモーションでパイル7をタオル地組織2に形成し、前記パイル経糸5を任意にリバースする時は同時に地経糸3も過渡的な1リピートの組織を経てリバースさせ、常に中央の緯糸9に地経糸3とパイル経糸5が交互にクロスする組織を維持する。
【解決手段】一群の地経糸3に複数の緯糸9を織り込んでタオル地組織2を織成し、タオル地組織2の表面又は裏面若しくは表裏両面にパイル経糸5を織成してパイルを形成するタオル地において、2本を一組とした地経糸3a、3bとパイル経糸5a、5bとを交互に配列し、筬の各筬羽に交互に挿通し、3本で一組をなす緯糸9を前記地経糸3とパイル経糸5とで形成した杼口から引き込んで筬打ちし、テリーモーションでパイル7をタオル地組織2に形成し、前記パイル経糸5を任意にリバースする時は同時に地経糸3も過渡的な1リピートの組織を経てリバースさせ、常に中央の緯糸9に地経糸3とパイル経糸5が交互にクロスする組織を維持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タオル地とその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タオル地(織物)は、地経糸及びパイル経糸と緯糸とを組織して、独特の筬打ち(テリーモーション)をすることにより片面または両面にパイルを織り出すことにより得られる。このタオル地は、柔軟性に優れて肌触りが良く、吸水性や通気性に富むことから、バスタオルや浴用タオル等のタオル類、タオルケットやシーツ等の寝具類、バスローブ等のホームウェア類、バスマットなどに広く用いられている。
【0003】
図10、11に示した従来のタオル地の製織工程は、地経糸(23)とパイル経糸(25)とで一組をなす経糸を交互に平行に配列し、それぞれの糸を複数の「綜絖」あるいは「通じ」(図示せず)と筬(10)の筬羽(11)に挿通し、前記「綜絖」あるいは「通じ」により地経糸(23)とパイル経糸(25)をそれぞれ交互に上下動させて上下に二分して杼口を形成し、該杼口に複数の緯糸(29)を杼入れした後、筬打ち(テリーモーション)しパイル(27)を打出してタオル地(20)を織り上げる。
【0004】
前記地経糸(23)とパイル経糸(25)は、筬(10)の各筬羽(11)に1本の地経糸と1本のパイル経糸を一組にしてそれぞれ挿通してある。即ち、材質の異なる2種類の経糸(23、25)が一つの筬羽(11)に挿通してあり、糸のテンションは地経糸(23)を強く張り、パイル経糸(25)は緩く張っていて、テリーモーション(筬打ち)すると仮織された3本を一組とする緯糸(29)の摩擦抵抗によりパイル経糸(25)は打ち寄せられてパイル(27)が形成される。一方で強く張られた地経糸(23)は、仮織された複数の緯糸(29)の摩擦抵抗に耐え、打ち寄せられずに地組織を構成する。
【0005】
前記テリーモ−ションは、複数の緯糸、例えば3本の緯糸(29)を一組(1リピート)とし、地経糸(23)に対して1本目(29b1)と2本目(29b2)の緯糸は、同じ杼口の開口で杼入れされて筬で打込まれるが、この時の筬の動作は織前(前の一組の織り上がった部分)から6mmないし15mm手前で止まる。3本目(29b3)の緯糸は地経糸(23)が前記2本の場合と逆の開口で杼入れされ、地経糸(23)は交差した形になる。ついで筬によって打込まれるが、この筬打ちは織前まで動作し、前記2本と合わせて仮織した3本の緯糸(29)があわせて打込まれる(この動作をテリーモーションという)。
【0006】
前記パイル経糸(25)は、前記3本の緯糸(29)に対して上、下、上と開口するか、または下、上、下と開口する。従ってパイル経糸(25)は、地経糸(23)と緯糸(29)が織成する地組織に対して、2本目(29b2)によってのみ押さえられた形となる。テリーモーションの間は前記の同じ開口で杼入れされた1本目(29b1)と2本目(29b2)の緯糸に挟まれ、この摩擦抵抗によってパイル(27)として立ち上がる。緯糸(29)の2本目(29b2)と3本目(29b3)の間には、地経糸(23)の交差が入るので十分な摩擦抵抗は得られない。パイル(27)の長さは、織前のパイル(29a2)からテリーモーション時の手前で止まった2本目(29b2)までの間隔によって理論上は決まる。この距離が広いと長いパイルとなり、狭ければ短いパイルとなる。この距離(即ちパイルの高さ)は任意に設定でき、タオル地の用途に応じて適宜設定することができる。
【0007】
前記パイル(27)が織前の1リピート(1組をなす3本の緯糸)と同じ向きで形成されている場合は、織前の2本目(29a2)と3本目(29a3)の緯糸に挟まれたパイル経糸(25)の方向と、次の1リピートの1本目(29b1)と2本目(29b2)の緯糸に挟まれたパイル経糸(25)の方向が同じであるため、前記のようにパイル(27)が形成されるが、これをリバース(表裏逆に)した場合は短いパイルとなる。すなわちパイル経糸(25)は織前の2本目(29a2)から立ち上がらず、3本目(29a3)を超えてから、次のリピートの1本目(29b1)と2本目(29b2)の緯糸に挟まれた(今までと逆の)方向に形成される。ただしこのリバースポイントのみの組織であり、このまま継続して製織すれば次のパイルからは通常の長さになる。
【0008】
前記したタオル地(20)の製織方法において、強く張った地経糸(23)と緩く張ったパイル経糸(25)を一組として一つの筬羽(11)に挿通して織成することにより、地経糸(23)とパイル経糸(25)が交互に位置して、パイル(27)の目が詰まったきれいなタオル地(20)を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−70875号公報
【0009】
前記の従来の製織方法においては、1本の地経糸(23)と1本のパイル経糸(25)を交互に配列し、これを一組として同じ筬羽(11)に挿通していたことにより、地経糸(23)とパイル経糸(25)との間に以下のような問題があった。
(1) 同じ筬羽(11)に地経糸(23)とパイル経糸(25)が対をなして挿通しているため、テリーモーション(筬打ち)の時には、パイル経糸(25)は仮織の摩擦抵抗のため速いスピードで打込まれ、一方の地経糸(23)は強い張りのため摩擦に耐えてほとんど動かない。このスピードの差が、接触している地経糸(23)とパイル経糸(25)の表面を毛羽立たせ、また相互の動きにブレーキを掛ける結果となる。即ちパイル経糸(25)は地経糸(23)との摩擦で理論上の間隔分(所定の長さ)のパイルが形成できず、少し短いパイルとなる。また、地経糸(23)もパイル経糸(25)の動きに引き込まれて、強いテンションにもかかわらずテリーモーション終了時に緩みが生じる。これがいわゆる杼間開きであり、緯糸(29)の間隔に不規則な隙間ができてしまい、織物の寸法が不揃いになるという問題点がある。地組織が広がれば当然パイルも短くなり、また緯糸の挟みつけが緩いためパイル抜けしやすくなる。このような不具合は製織環境の湿度に影響されやすく、厳しい湿度管理が必要となる。
(2) 接触している地経糸(23)とパイル経糸(25)の表面の毛羽立ちは、相互に絡みつきやすく、また筬にも絡んで糸の送りを邪魔して糸切れを発生させ、停台の大きな原因となる。さらに毛羽が筬でしごかれて飛び散ると「風綿」となり、織物へのイレギュラーな飛込みでキズ物(風綿飛込み)を作り、空中に舞い散って製織環境を悪くする。当然タオルの出来上がりにも影響し、顔を拭くと毛羽が付きやすく、洗濯時の落綿の原因にもなり、使っている間に毛羽が絡んでタオルの硬化の原因となりやすいなどの問題がある。
(3) 図11に示すごとく、地経糸(23)は緯糸(29)に対して上、上、下または下、下、上と組織して地組織を構成している。これに対してパイル経糸(25)は上、下、上または下、上、下と組織していて、テリーモーションの後では3本を一組とする緯糸のそれぞれ中央の緯糸(図10の29a2と29b2)だけで押さえられている。同じ筬目にある地経糸(23)とパイル経糸(25)がそれぞれ中央の緯糸(図10の29a2と29b2)に対して交差する関係になるのが普通の組織であり、この場合は地経糸(23)とパイル経糸(25)が左右入れ替わることは無い(この組織を表パイルという)。しかしパイルを表裏入れ替える場合、従来の組織では中央の緯糸に対して交差が消え、それぞれ上または下に揃ってしまうことになる(この組織を裏パイルという)。この場合に同じ筬目にある地経糸(23)とパイル経糸(25)が左右入れ替わってしまう筬折れ(筬割れ)という現象が起きることがある。例えばリバースしたパイル経糸が上、下、上と動作する時、となりの地経糸が下、下、上と動作すれば、中央の緯糸に対して共に下に位置することになり、入れ替わりが起きやすくなる。筬折れ現象は従来の組織でパイル経糸をリバースした場合には避けられない現象で、突発的に発生し、また元に戻る。織物は均等に揃ったパイルが、ある部分だけ片方に寄ってしまうため縦に筋ができ、糸切れのように見えるので二等品とされてしまう。
(4) 前述の表パイルと裏パイルの組織の違いでは、もう一つの問題がある。表パイルの場合、例えばパイル経糸(25)が上、下、上と動作し、上へのパイルを形成する時、同じ筬目にある地経糸(23)は上、上、下と動作し、テリーモーションの直前では両者が緯糸(29a1)の上に位置しているため、テリーモーションが始まると両者は共に上への動きを始める。従ってこのパイルは間違いなく上へ形成される。下に向かうパイルも同様に間違いなく下に形成される。ところがパイルをリバース(表裏逆に)して裏パイルの組織になった場合、パイル経糸(25)は下、上、下となり、地経糸(23)の上、上、下の動作と合わせると緯糸(29a1)に対して、パイル経糸(25)は下、地経糸(23)は上となる。テリーモーションが始まって両者のテンションが緩む時、組織的には下に向かうはずのパイル経糸(25)が地経糸(23)に引かれて上に出てしまうことがある。この場合のパイルは緯糸(29a1)と緯糸(29a2)に挟まれて後半は下を向くが、前半の一部が少しだけ上に出たイレギュラーなパイルとなる。一般的には「ブツ」あるいは「鬼毛」といわれ、織の欠点とされる。特にパイルを片方の面にだけ出し、もう片方が地組織の平地にする場合、この「ブツ」は不規則に発生して非常に目立ち、修復も困難であり、筬折れと並び二等品の発生率を大きくしていた。またいずれも組織上の欠点であり、技術では防ぎにくいものであった。
(5) 図11及び図12に示す通り従来の組織では、パイル経糸(25)と地経糸(23)とが緯糸(29)の中央の緯糸に対して各一対ずつ上または下に揃い、精錬・漂白等の加工や消費者の使用中にパイルの引っ張り抵抗によって緯糸が浮き上がる現象がある。このためパイルの立ち上がりが悪くなり、ボリューム感が損なわれ、肌への接触感や吸水性や保温性・通気性が悪く感じられ、パイルの引けの発生も多くなる。もともとタオルのパイルは緯糸(29a1)と緯糸(29a2)に強く挟まれて立ち、緯糸(29a2)と緯糸(29a3)の間には地経糸(23)の交差が入るので挟む力は弱い。このために、タオルのパイルには順目と逆目が発生する。すなわち織方向に沿って緯糸(29a1)と緯糸(29a2)の間は立ち、緯糸(29a2)と緯糸(29a3)の間は寝た形となり、順目のパイルを形成する。逆に織方向に逆らう向きでは逆目となる。このパイルの向きは工場での染晒工程や家庭での乾燥の時に重視されるポイントになるが、パイルの根が緯糸(29a2)にしっかり押さえられていれば、パイルの立ち上がりは良く、前述のように浮いてしまうと順目に寝てしまう。これは緯糸の密度を高くしても防げず、かえって緯糸(29a2)を浮き上がらせる結果になりやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明はタオル地の製織時において、パイルと地の経糸同士の摩擦による上記弊害を防止し、両面にパイルを有するタオル地でドビー織やジャカード織のようにパイル経糸をリバースさせた時、パイル経糸(25)の筬割れや裏パイル現象を防止して、パイル経糸(25)と緯糸(29)をしっかり締着させ、パイルの根をしっかり保持することにより、立ち上がりの良いパイルを織り込んで形成したタオル地と、その製造法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)において、2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通し、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して形成した杼口に複数の緯糸(9)を織り込むと共に、3本を一組とした緯糸(9)のそれぞれ中央の緯糸には前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成することを特徴とする。
前記一群の地経糸(3)及びパイル経糸(5)は、それぞれ2本で一組をなし、また前記一群の緯糸(9)は3本で一組をなすことが基本となる。
【0012】
それ故、上記のようにそれぞれ対をなす地経糸(3)とパイル経糸(5)とをそれぞれ別々の筬羽に挿通したことにより、テリーモーション時にスピードに差がある糸同士の接触を防ぎ、毛羽立ちや杼間開きを防止し、またそれぞれ中央の緯糸に対して地経糸(3)とパイル経糸(5)が交互にクロスする織組織にすることによりパイルの根の浮き上がりやズレを防止し、さらにこの織組織によりパイルの根を緊密に保持し、緯糸(9)によるパイル経糸(5)の締着が良くなるため、立ち上がりのよいパイルを形成し、吸水性、通気性、保温性に優れた肌触りの良いタオル地を織成することができる。
【0013】
請求項2の発明は、平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)において、2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通し、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して形成した杼口に複数の緯糸(9)を織り込むと共に、3本を一組とした緯糸(9)のそれぞれ中央の緯糸に前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成し、前記パイル経糸(5)のパイル形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせ、それぞれ中央の緯糸に対する地経糸(3)とパイル経糸(5)の交互のクロスを維持することを特徴とする。
【0014】
従って、テリーモーション時にスピードに差がある地経糸(3)とパイル経糸(5)とを別々の筬羽に挿通し、地経糸(3)とパイル経糸(5)の摩擦による毛羽立ちを防ぎ、またこの摩擦抵抗による杼間開きや糸切れ、筬や綜絖・通じへの毛羽の絡みつき、さらには風綿の飛散などを防止することができる。また、パイル経糸(5)のパイル形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせるため、この1リピートのみ、緯糸(9)に対して過渡的に上、下、上または下、上、下の組織を持たせ、緯糸(9b)に対する地経糸(3)とパイル経糸(5)の交互のクロスを維持させることにより、筬割れと裏パイル現象を防止し、パイル目の揃った立ち上がりの良いきれいなパイルを製織することができる。
【0015】
請求項3の発明は、平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成すると共に、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)の製造法において、2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通する工程と、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して杼口を形成する工程と、該杼口に3本を一組とした緯糸(9)を直角方向に織り込むと共に、それぞれ中央の緯糸には前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成する工程とからなることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記パイル経糸(5)のパイル形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせ、それぞれ中央の緯糸に対する地経糸(3)及びパイル経糸(5)の1本ずつ交互のクロスを維持するために、前記地経糸(3)も前記複数の緯糸(9)に対する動きを逆転させ、かつ、前記地経糸(3)がリバース時の1リピートのみ、緯糸(9)に対して過渡的に上、下、上または下、上、下の組織を持たせる工程をさらに有してなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るタオル地を製織する地経糸とパイル経糸を筬に挿通して組織している状態の要部を示す説明図で、図2は緯糸3本を一組としたテリーモーション状態を示し、新旧共通の並パイルでテリーモーション直前の断面図である。
図3は本発明に係るタオル地の地経糸とパイル経糸と緯糸の織組織の状態を示す要部拡大平面図で、図4は本発明に係るタオル地のパイル経糸をリバースさせる時の組織状態を示す組織図、図5はパイル経糸をリバースさせる時のパイルの状態を示す断面図、図6は図5のリバース時のパイル経糸と地経糸とが交互のクロスを維持する組織を組み入れた状態を示す組織図である。
図7は本発明に係る組織でパイル経糸と地経糸が中央の緯糸に交互にクロスしている製織状態を示す要部拡大図で、図8はこの織組織が使用中に力を受けて変形する状態を示し、旧組織(図12)と比較した要部拡大図、図9はこの織組織におけるパイルの根の保持とパイルの立ちを良くした状態を示す断面図である。
図10は従来の旧組織で製織する地経糸とパイル経糸を同じ筬羽に挿通して組織している状態の要部を示す説明図、図11は従来の組織の要部拡大図であり緯糸に対してパイル経糸と地経糸が一対ずつ並んでいることを示す説明図、図12は従来の織組織が使用中に力を受けて変形する状態(図9と比較するとパイルの根が浮き上がり不安定になっている)の断面図である。
このタオル地1は主に綿100%の糸あるいは他の天然繊維や化学繊維との混紡糸などからなる複数の地経糸(3)と複数のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)をそれぞれ組み織りしたもので、このタオル地(1)を構成するタオル組織部(2)の表と裏にそれぞれパイル(7)を形成している。
【0017】
図1において、タオル地(1)を構成するタオル組織部(2)の製織は、織機(図示せず)に対し、2本の地経糸(3a、3b)と2本のパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ一組として交互に平行にして配列し、複数の「綜絖」または「通じ」(図示せず)に挿通し、それぞれを二群に分割して上下に交差をさせて織組織を構成する。前記「綜絖」または「通じ」を上下動させることによって地経糸(3)とパイル経糸(5)のそれぞれ二群を開口させ、シャトルなどの杼入れ装置を入れるための杼口を得る。該杼口にシャトルなどの杼入れ装置を介して緯糸(9)を引き入れ、筬(10)によって打込むことによって製織する。筬(10)の各筬羽(11)には2本の地経糸(3)と2本のパイル経糸(5)からなる一組ずつを交互に挿通してあり、地経糸(3)のテンションは強く張ってあり、パイル経糸(5)は緩く張ってある。
【0018】
タオル地(1)を構成するタオル地組織(2)の組み織りは、前記二群に分けた地経糸(3)とパイル経糸(5)の開口によって得られた杼口に緯糸(9)を引き入れた後に、筬打ちをする。この筬打ち動作はタオル独特の動き(テリーモーション)で、3本で一組の緯糸(9)は織前より手前まで打込まれて仮織りした状態となり、最後に織前まで打込まれてパイルを形成する。この工程を繰り返すことによりタオル組織部(2)を形成する。パイルの無い地織り部分(例えばヘムや界切など)はテリーモーションをせず、緯糸(9)の各1本ごとに織前まで筬打ちする。
【0019】
図2に示すごとく、タオル地(1)が左側に織り出されていて、3本で一組の緯糸(9)が2組(2リピート)あり、パイル(7)を2個形成している。パイル経糸(5a、5b)はこの一組の緯糸(9)の中央の緯糸(例えば9a2)にのみ交差し、一方地経糸(3a、3b)は一組の緯糸(9)の1本目と2本目(例えば9a1、9a2)を挟み、3本目(9a3)で交差する。この図2は次の1リピートの緯糸(9b1,9b2,9b3)が織前より一定のスペースXを空けて仮織りされ、テリーモーション直前を示している。テリーモーションの筬打ちはこの3本で一組とした緯糸(9)を織前まで打込む。この動作の間、パイル経糸(5a、5b)は緯糸3本に挟まれ、特に1本目と2本目の緯糸(9b1,9b2)には強く挟まれて仮織り部分と一体になり、パイル経糸(5a)は上向きに、パイル経糸(5b)は下向きに強制され、テリーモーション終了時にはそれぞれ上と下のパイルを形成する。またパイル経糸(5)のテンションは緩く張られていてこの動作を容易にする。
一方、地経糸(3a、3b)は、3本で一組をなす緯糸(9)のうち緯糸(9b2、9b3)の間に挟まれるが、パイル経糸(5a、5b)も有るので強くは挟まれず、従って仮織り部分は地経糸(3a、3b)を滑って打込まれる。また地経糸(3)のテンションは強いためこの動作を助ける。
【0020】
パイル(7)のできる方向は、前記の通りテリーモーション時の1本目と2本目の緯糸
(9b1,9b2)に挟まれた方向で決まる。例えば図2に示すごとくパイル経糸(5a)は上向きに挟まれて上向きのパイルとなり、パイル経糸(5b)は下向きに挟まれて下向きのパイルとなる。パイルのできる方向をリバースする場合は挟む方向が逆になる。例えばパイル経糸(5a)を下向きのパイルにする時は一組の緯糸(9b1,9b2,9b3)に対してパイル経糸の開口動作を下、上、下に変えることにより、1本目と2本目の緯糸(9b1、9b2)に挟まれた方向が下向きに変わり、テリーモーションで下向きのパイルとなる。このリバース時のパイルは図5と図6の断面図に示すごとく、通常より短いパイルとなる。これは通常のパイルがそれぞれ一組の緯糸(9)の中央の1本から立ち上がるのに対して、リバース時のパイルは織前のパイルの方向と逆になるため、織前の一組の緯糸(9)の3本目を交差してから立ち上がるためである。
【0021】
パイル(7)の長さ(高さ)はタオル地(1)の用途や使用目的によって相違し、最適の長さに設定される。これは前述のごとく緯糸(9)の3本を一組とした組と組の間に設定したテリーモーションのための間隙、すなわちスペースXによって決まる。しかし従来の組織でパイル経糸(5)と地経糸(3)が同じ筬羽(11)に挿通され、相互に擦れ合う場合にはパイル経糸(5)の進行にブレーキが掛かり、設定より短いパイルとなるが、本発明の組織ではパイル経糸(5)と地経糸(3)はそれぞれ別の筬羽(11)に挿通されるので擦れ合うことが無く、ほぼ設定通りのパイル長となる。パイル(7)は3本一組の緯糸(9)の中央の緯糸から次の3本の中央の緯糸までの間で形成される。従って織り上がりはU字型のパイルが連続することになるが、リバース時の1パイルのみは前項に述べたように織前の一組の緯糸(9)の3本目を交差してから立ち上がるためスペースXは同じでも、パイル(7)は横置きのS字型となり小さくなる。
【0022】
図7に示すごとく、地経糸(3a、3b)とパイル経糸(5a、5b)は、3本で一組をなす緯糸(9)の中央の緯糸(9b)に対して、それぞれ上下反対方向に交差させてある。すなわち地経糸(3a、3b)とパイル経糸(5a、5b)は緯糸(9b)に沿って左右に滑って移動することが無い。一方で図11あるいは図12に示すごとく従来の組織では必ず上または下にパイル経糸と地経糸が並んでしまうためお互いに接触し、図12に示すごとくタオルの使用時あるいは加工工程時にパイル(7)が引っ張られると中央の緯糸(9b)が浮いて大きく波を打つ現象が起き、パイルの根が浮いた状態になる。使用や加工によってはパイル経糸と地経糸が左右入れ替わることもある。本発明の組織では図8に示すごとくパイル経糸(5a、5b)のそれぞれの方向への引っ張りに対して、地経糸(3a、3b)はそれを押さえる働きをするため、図9に示すごとく緯糸(9b)はほぼ直線状を保ち、パイルの根の浮き上がりを少なくする作用を有し、さらに上下に交互に位置する関係はパイルの立ち上がりを保持し、左右への滑りを少なくできる利点を有する。
【0023】
本発明の組織では、ドビー織りやジャカード織りでパイル(7)の出る方向をリバースする場合には、パイル経糸(5a、5b)をリバースすると同時に地経糸(3a、3b)もリバースすることに特徴がある。図6に示すごとく3本で一組の緯糸(9c1,9c2,9c3)はパイル経糸(5a、5b)をリバースすると同時に地経糸(3a、3b)もリバースする独特の組織になる。すなわちリバース前の地経糸(3a、3b)の動きは、A、Bのリピートで見る通りそれぞれの緯糸(9a1,9a2,9a3)(9b1,9b2,9b3)に対して、上・上・下または下・下・上と組織されているが、リバース時のCのリピートでは過渡的に緯糸(9c1.9c2,9c3)に対してそれぞれ上・下・上または下・上・下と組織され、Dのリピートでリバースしたパイル経糸(5a、5b)に対して、地経糸(3a、3b)は従前の上・上・下または下・下・上の動きに戻り、裏パイル状態にならず、中央の緯糸に対して従前通り上下交互の交差と位置関係を維持できるようにしている。リバース時のパイルは前述の通りS字型の矮小なパイルとなり、図6のY区間は従来の組織でもパイルの出方が変わる。本発明の組織の違いはこのタイミングで地経糸(3a、3b)もリバースするところにあり、テリーモーション時のパイル経糸(5a、5b)を挟む力は緯糸(9c1,9c2)の間に地経糸(3a、3b)が挟まる分弱くなるが、S字型の矮小なパイルなので影響は少ない。図4に示すごとくリバース時のCで既に緯糸(9c2)に対してパイル経糸(5a、5b)も地経糸(3a、3b)も上下交互の組織を維持するため、前述のメリットを持つことができる。
【0024】
本発明の組織では図1と4に示すごとくパイル経糸(5a、5b)と地経糸(3a、3b)がそれぞれ一組として筬羽(11)に挿通されるため、従来の組織のようにテリーモーション時にスピードの違うパイル経糸と地経糸の擦れが無いので、前述のようにパイルの形成が設定に近い長さになるだけでなく、この接触による擦れは相互にスピードの異なる経糸にブレーキを掛けるため、テリーモーション終了時に地経糸に緩みを生じさせ、杼間開きの原因となっていたが、本発明の組織ではこれが改良される。
【0025】
また、擦れによる毛羽立ちも発生しないため筬への絡みが減り、風綿の発生と織物への飛込みも減り、従って糸切れも減少する。同様に常に緯糸(9)の中央に対して交差を維持するためパイルをリバースしても筬折れが発生せず、裏パイルでの地経糸の影響が無いのでブツ(鬼毛)の発生も少ない。
【0026】
本発明の組織ではパイル経糸の擦れが無いため、毛羽立ちの少ないきれいなパイルが形成され、緯糸(9)の中央の糸に交互のクロスがあるためパイルの根の浮き上がりを防ぐと同時に左右への移動が無く、加工時と使用時を通じて立ち上がりの良いパイルとなる。このため肌触りが良く、吸水性に優れ、通気性や保温性が良くまた乾きの早いタオルとなる。また毛羽の絡みによるパイルの硬化も少ないので耐久性も改良される。
【0027】
次に本発明に係るタオル地(1)の製造法を説明する。主に綿100%の糸あるいは他の天然繊維や化学繊維との混紡糸などからなる地経糸(3)とパイル経糸(5)を、それぞれ設計上の必要本数分用意し、整経機でビームに巻く。地経糸(3)とパイル経糸(5)はそれぞれ2群(3a,3b)(5a,5b)に分割できるように綾を取ってある。これらの経糸は地組織とパイルを形成し、それぞれの役割が異なるため、それぞれ専用に作られた糸を使用するのが望ましい。すなわちパイル経糸(5)には肌触りが柔らかく、バルキー性に富み、吸水性が良く、パイルになってから軽く撚りが戻ってスナール(もつれ)ができるような糸、従って繊維長が長くて成熟度が良い、太目の繊維で天然の撚りに富んだ原綿を使用し、比較的甘い撚りで紡出したものが望ましい。一方の地経糸(3)には製織上からテリーモーション時の滑りがよく、毛羽の出にくい、引っ張り強度のある糸を使用するのが望ましい。従って繊維長が長くて成熟度の良い、引っ張り強度の強い比較的細めの繊維を使用し、比較的強めの撚りで紡出したものが望ましい。これら地経糸(3)とパイル経糸(5)は一定の揃ったテンションで製織用ビームに巻き取られ、織機にセットされる。
緯糸(9)に使用される糸は、テリーモーション時にパイル経糸を挟んで打ち寄せるために、ある程度毛羽が多く、曲がりにくく、潰れにくくしかし硬すぎないものが望ましい。これらを織成してタオル地組織(2)とパイル(7)を形成する。
【0028】
地経糸(3)とパイル経糸(5)は、それぞれ必要に応じた複数の綜絖や通じ(図示せず)に挿通された後、筬(10)の筬羽(11)に挿通されるが、従来と異なりパイル経糸(5)の(5a、5b)が一つの筬目に挿通され、次の筬目には地経糸(3)の(3a、3b)が挿通される。
【0029】
前記「綜絖」あるいは「通じ」を開口装置によって上下動させて杼口を作り、杼入れ装置により緯糸(9)を引き入れ、筬によって打込む。この筬打ち動作はタオル特有のテリーモーションであり、緯糸3本で一組の仮織り部分を打込んでスペースXの長さのパイル経糸(5)でパイル(7)を形成する。開口装置の上下動はパイルの柄あるいは地織や界切など、織物の都合で変化する。これによりパイルの出る方向がリバースした時は、同時に地経糸(3)も過渡的な1リピートの組織を経てリバースし、本発明の特長である3本一組の緯糸の中央に対する地経糸(3)とパイル経糸(5)の上下交互のクロスを維持する。またパイルを形成しない織物部分ではテリーモーションも作動せず、緯糸1本ずつの打込みとなる。
【0030】
このようにして製織された織物は、設定通りの大きさであって毛羽の少ないきれいなパイルを持ち、杼間開きの無い、良く打込まれてしっかりした地組織を持つタオルとなり、糊抜きあるいは精練漂白の工程を経て、地経糸(3)と緯糸(9)が密着し、パイル(7)の根がしっかり支えられ、立ち上がりが良くて抜けにくいパイルを持つタオルを製造することができる利点を有する。パイル経糸に前述のような上質で強度のある糸を使用する場合、本発明のような組織でパイルの根を緊密に保持しなければパイルの引けが問題になり、良い糸を使った意味が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るタオル地を製織する地経糸とパイル経糸を筬に挿通して組織している状態の要部を示す説明図。
【図2】緯糸3本を一組としたテリーモーション状態を示し、新旧共通の並パイルでテリーモーション直前の断面図。
【図3】本発明に係るタオル地の地経糸とパイル経糸と緯糸の織組織の状態を示す要部拡大平面図。
【図4】本発明に係るタオル地のパイル経糸をリバースさせる時の組織状態を示す組織図。
【図5】パイル経糸をリバースさせる時のパイルの状態を示す断面図。
【図6】図5のリバース時のパイル経糸と地経糸とが交互のクロスを維持する組織を組み入れた状態を示す組織図。
【図7】本発明に係る組織でパイル経糸と地経糸の緯糸に交互にクロスしている製織状態を示す要部拡大図。
【図8】この織組織が使用中に力を受けて変形する状態を示し、旧組織(図12)と比較した要部拡大図。
【図9】この織組織におけるパイルの根の保持とパイルの立ちを良くした状態を示す断面図。
【図10】従来の組織の地経糸とパイル経糸を同じ筬羽に挿通して組織している状態の要部を示す説明図。
【図11】従来の組織の要部拡大図であり緯糸に対してパイル経糸と地経糸が一対ずつ並んでいることを示す説明図。
【図12】従来の織組織が使用中に力を受けて変形する状態(図9と比較するとパイルの根が浮き上がり不安定になっている)の断面図。
【符号の説明】
【0032】
1 タオル地
2 タオル地組織
3 地経糸
5 パイル経糸
7 パオル
9 緯糸
10 筬
11 筬羽
【技術分野】
【0001】
本発明は、タオル地とその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タオル地(織物)は、地経糸及びパイル経糸と緯糸とを組織して、独特の筬打ち(テリーモーション)をすることにより片面または両面にパイルを織り出すことにより得られる。このタオル地は、柔軟性に優れて肌触りが良く、吸水性や通気性に富むことから、バスタオルや浴用タオル等のタオル類、タオルケットやシーツ等の寝具類、バスローブ等のホームウェア類、バスマットなどに広く用いられている。
【0003】
図10、11に示した従来のタオル地の製織工程は、地経糸(23)とパイル経糸(25)とで一組をなす経糸を交互に平行に配列し、それぞれの糸を複数の「綜絖」あるいは「通じ」(図示せず)と筬(10)の筬羽(11)に挿通し、前記「綜絖」あるいは「通じ」により地経糸(23)とパイル経糸(25)をそれぞれ交互に上下動させて上下に二分して杼口を形成し、該杼口に複数の緯糸(29)を杼入れした後、筬打ち(テリーモーション)しパイル(27)を打出してタオル地(20)を織り上げる。
【0004】
前記地経糸(23)とパイル経糸(25)は、筬(10)の各筬羽(11)に1本の地経糸と1本のパイル経糸を一組にしてそれぞれ挿通してある。即ち、材質の異なる2種類の経糸(23、25)が一つの筬羽(11)に挿通してあり、糸のテンションは地経糸(23)を強く張り、パイル経糸(25)は緩く張っていて、テリーモーション(筬打ち)すると仮織された3本を一組とする緯糸(29)の摩擦抵抗によりパイル経糸(25)は打ち寄せられてパイル(27)が形成される。一方で強く張られた地経糸(23)は、仮織された複数の緯糸(29)の摩擦抵抗に耐え、打ち寄せられずに地組織を構成する。
【0005】
前記テリーモ−ションは、複数の緯糸、例えば3本の緯糸(29)を一組(1リピート)とし、地経糸(23)に対して1本目(29b1)と2本目(29b2)の緯糸は、同じ杼口の開口で杼入れされて筬で打込まれるが、この時の筬の動作は織前(前の一組の織り上がった部分)から6mmないし15mm手前で止まる。3本目(29b3)の緯糸は地経糸(23)が前記2本の場合と逆の開口で杼入れされ、地経糸(23)は交差した形になる。ついで筬によって打込まれるが、この筬打ちは織前まで動作し、前記2本と合わせて仮織した3本の緯糸(29)があわせて打込まれる(この動作をテリーモーションという)。
【0006】
前記パイル経糸(25)は、前記3本の緯糸(29)に対して上、下、上と開口するか、または下、上、下と開口する。従ってパイル経糸(25)は、地経糸(23)と緯糸(29)が織成する地組織に対して、2本目(29b2)によってのみ押さえられた形となる。テリーモーションの間は前記の同じ開口で杼入れされた1本目(29b1)と2本目(29b2)の緯糸に挟まれ、この摩擦抵抗によってパイル(27)として立ち上がる。緯糸(29)の2本目(29b2)と3本目(29b3)の間には、地経糸(23)の交差が入るので十分な摩擦抵抗は得られない。パイル(27)の長さは、織前のパイル(29a2)からテリーモーション時の手前で止まった2本目(29b2)までの間隔によって理論上は決まる。この距離が広いと長いパイルとなり、狭ければ短いパイルとなる。この距離(即ちパイルの高さ)は任意に設定でき、タオル地の用途に応じて適宜設定することができる。
【0007】
前記パイル(27)が織前の1リピート(1組をなす3本の緯糸)と同じ向きで形成されている場合は、織前の2本目(29a2)と3本目(29a3)の緯糸に挟まれたパイル経糸(25)の方向と、次の1リピートの1本目(29b1)と2本目(29b2)の緯糸に挟まれたパイル経糸(25)の方向が同じであるため、前記のようにパイル(27)が形成されるが、これをリバース(表裏逆に)した場合は短いパイルとなる。すなわちパイル経糸(25)は織前の2本目(29a2)から立ち上がらず、3本目(29a3)を超えてから、次のリピートの1本目(29b1)と2本目(29b2)の緯糸に挟まれた(今までと逆の)方向に形成される。ただしこのリバースポイントのみの組織であり、このまま継続して製織すれば次のパイルからは通常の長さになる。
【0008】
前記したタオル地(20)の製織方法において、強く張った地経糸(23)と緩く張ったパイル経糸(25)を一組として一つの筬羽(11)に挿通して織成することにより、地経糸(23)とパイル経糸(25)が交互に位置して、パイル(27)の目が詰まったきれいなタオル地(20)を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−70875号公報
【0009】
前記の従来の製織方法においては、1本の地経糸(23)と1本のパイル経糸(25)を交互に配列し、これを一組として同じ筬羽(11)に挿通していたことにより、地経糸(23)とパイル経糸(25)との間に以下のような問題があった。
(1) 同じ筬羽(11)に地経糸(23)とパイル経糸(25)が対をなして挿通しているため、テリーモーション(筬打ち)の時には、パイル経糸(25)は仮織の摩擦抵抗のため速いスピードで打込まれ、一方の地経糸(23)は強い張りのため摩擦に耐えてほとんど動かない。このスピードの差が、接触している地経糸(23)とパイル経糸(25)の表面を毛羽立たせ、また相互の動きにブレーキを掛ける結果となる。即ちパイル経糸(25)は地経糸(23)との摩擦で理論上の間隔分(所定の長さ)のパイルが形成できず、少し短いパイルとなる。また、地経糸(23)もパイル経糸(25)の動きに引き込まれて、強いテンションにもかかわらずテリーモーション終了時に緩みが生じる。これがいわゆる杼間開きであり、緯糸(29)の間隔に不規則な隙間ができてしまい、織物の寸法が不揃いになるという問題点がある。地組織が広がれば当然パイルも短くなり、また緯糸の挟みつけが緩いためパイル抜けしやすくなる。このような不具合は製織環境の湿度に影響されやすく、厳しい湿度管理が必要となる。
(2) 接触している地経糸(23)とパイル経糸(25)の表面の毛羽立ちは、相互に絡みつきやすく、また筬にも絡んで糸の送りを邪魔して糸切れを発生させ、停台の大きな原因となる。さらに毛羽が筬でしごかれて飛び散ると「風綿」となり、織物へのイレギュラーな飛込みでキズ物(風綿飛込み)を作り、空中に舞い散って製織環境を悪くする。当然タオルの出来上がりにも影響し、顔を拭くと毛羽が付きやすく、洗濯時の落綿の原因にもなり、使っている間に毛羽が絡んでタオルの硬化の原因となりやすいなどの問題がある。
(3) 図11に示すごとく、地経糸(23)は緯糸(29)に対して上、上、下または下、下、上と組織して地組織を構成している。これに対してパイル経糸(25)は上、下、上または下、上、下と組織していて、テリーモーションの後では3本を一組とする緯糸のそれぞれ中央の緯糸(図10の29a2と29b2)だけで押さえられている。同じ筬目にある地経糸(23)とパイル経糸(25)がそれぞれ中央の緯糸(図10の29a2と29b2)に対して交差する関係になるのが普通の組織であり、この場合は地経糸(23)とパイル経糸(25)が左右入れ替わることは無い(この組織を表パイルという)。しかしパイルを表裏入れ替える場合、従来の組織では中央の緯糸に対して交差が消え、それぞれ上または下に揃ってしまうことになる(この組織を裏パイルという)。この場合に同じ筬目にある地経糸(23)とパイル経糸(25)が左右入れ替わってしまう筬折れ(筬割れ)という現象が起きることがある。例えばリバースしたパイル経糸が上、下、上と動作する時、となりの地経糸が下、下、上と動作すれば、中央の緯糸に対して共に下に位置することになり、入れ替わりが起きやすくなる。筬折れ現象は従来の組織でパイル経糸をリバースした場合には避けられない現象で、突発的に発生し、また元に戻る。織物は均等に揃ったパイルが、ある部分だけ片方に寄ってしまうため縦に筋ができ、糸切れのように見えるので二等品とされてしまう。
(4) 前述の表パイルと裏パイルの組織の違いでは、もう一つの問題がある。表パイルの場合、例えばパイル経糸(25)が上、下、上と動作し、上へのパイルを形成する時、同じ筬目にある地経糸(23)は上、上、下と動作し、テリーモーションの直前では両者が緯糸(29a1)の上に位置しているため、テリーモーションが始まると両者は共に上への動きを始める。従ってこのパイルは間違いなく上へ形成される。下に向かうパイルも同様に間違いなく下に形成される。ところがパイルをリバース(表裏逆に)して裏パイルの組織になった場合、パイル経糸(25)は下、上、下となり、地経糸(23)の上、上、下の動作と合わせると緯糸(29a1)に対して、パイル経糸(25)は下、地経糸(23)は上となる。テリーモーションが始まって両者のテンションが緩む時、組織的には下に向かうはずのパイル経糸(25)が地経糸(23)に引かれて上に出てしまうことがある。この場合のパイルは緯糸(29a1)と緯糸(29a2)に挟まれて後半は下を向くが、前半の一部が少しだけ上に出たイレギュラーなパイルとなる。一般的には「ブツ」あるいは「鬼毛」といわれ、織の欠点とされる。特にパイルを片方の面にだけ出し、もう片方が地組織の平地にする場合、この「ブツ」は不規則に発生して非常に目立ち、修復も困難であり、筬折れと並び二等品の発生率を大きくしていた。またいずれも組織上の欠点であり、技術では防ぎにくいものであった。
(5) 図11及び図12に示す通り従来の組織では、パイル経糸(25)と地経糸(23)とが緯糸(29)の中央の緯糸に対して各一対ずつ上または下に揃い、精錬・漂白等の加工や消費者の使用中にパイルの引っ張り抵抗によって緯糸が浮き上がる現象がある。このためパイルの立ち上がりが悪くなり、ボリューム感が損なわれ、肌への接触感や吸水性や保温性・通気性が悪く感じられ、パイルの引けの発生も多くなる。もともとタオルのパイルは緯糸(29a1)と緯糸(29a2)に強く挟まれて立ち、緯糸(29a2)と緯糸(29a3)の間には地経糸(23)の交差が入るので挟む力は弱い。このために、タオルのパイルには順目と逆目が発生する。すなわち織方向に沿って緯糸(29a1)と緯糸(29a2)の間は立ち、緯糸(29a2)と緯糸(29a3)の間は寝た形となり、順目のパイルを形成する。逆に織方向に逆らう向きでは逆目となる。このパイルの向きは工場での染晒工程や家庭での乾燥の時に重視されるポイントになるが、パイルの根が緯糸(29a2)にしっかり押さえられていれば、パイルの立ち上がりは良く、前述のように浮いてしまうと順目に寝てしまう。これは緯糸の密度を高くしても防げず、かえって緯糸(29a2)を浮き上がらせる結果になりやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明はタオル地の製織時において、パイルと地の経糸同士の摩擦による上記弊害を防止し、両面にパイルを有するタオル地でドビー織やジャカード織のようにパイル経糸をリバースさせた時、パイル経糸(25)の筬割れや裏パイル現象を防止して、パイル経糸(25)と緯糸(29)をしっかり締着させ、パイルの根をしっかり保持することにより、立ち上がりの良いパイルを織り込んで形成したタオル地と、その製造法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)において、2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通し、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して形成した杼口に複数の緯糸(9)を織り込むと共に、3本を一組とした緯糸(9)のそれぞれ中央の緯糸には前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成することを特徴とする。
前記一群の地経糸(3)及びパイル経糸(5)は、それぞれ2本で一組をなし、また前記一群の緯糸(9)は3本で一組をなすことが基本となる。
【0012】
それ故、上記のようにそれぞれ対をなす地経糸(3)とパイル経糸(5)とをそれぞれ別々の筬羽に挿通したことにより、テリーモーション時にスピードに差がある糸同士の接触を防ぎ、毛羽立ちや杼間開きを防止し、またそれぞれ中央の緯糸に対して地経糸(3)とパイル経糸(5)が交互にクロスする織組織にすることによりパイルの根の浮き上がりやズレを防止し、さらにこの織組織によりパイルの根を緊密に保持し、緯糸(9)によるパイル経糸(5)の締着が良くなるため、立ち上がりのよいパイルを形成し、吸水性、通気性、保温性に優れた肌触りの良いタオル地を織成することができる。
【0013】
請求項2の発明は、平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)において、2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通し、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して形成した杼口に複数の緯糸(9)を織り込むと共に、3本を一組とした緯糸(9)のそれぞれ中央の緯糸に前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成し、前記パイル経糸(5)のパイル形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせ、それぞれ中央の緯糸に対する地経糸(3)とパイル経糸(5)の交互のクロスを維持することを特徴とする。
【0014】
従って、テリーモーション時にスピードに差がある地経糸(3)とパイル経糸(5)とを別々の筬羽に挿通し、地経糸(3)とパイル経糸(5)の摩擦による毛羽立ちを防ぎ、またこの摩擦抵抗による杼間開きや糸切れ、筬や綜絖・通じへの毛羽の絡みつき、さらには風綿の飛散などを防止することができる。また、パイル経糸(5)のパイル形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせるため、この1リピートのみ、緯糸(9)に対して過渡的に上、下、上または下、上、下の組織を持たせ、緯糸(9b)に対する地経糸(3)とパイル経糸(5)の交互のクロスを維持させることにより、筬割れと裏パイル現象を防止し、パイル目の揃った立ち上がりの良いきれいなパイルを製織することができる。
【0015】
請求項3の発明は、平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成すると共に、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)の製造法において、2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通する工程と、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して杼口を形成する工程と、該杼口に3本を一組とした緯糸(9)を直角方向に織り込むと共に、それぞれ中央の緯糸には前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成する工程とからなることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記パイル経糸(5)のパイル形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせ、それぞれ中央の緯糸に対する地経糸(3)及びパイル経糸(5)の1本ずつ交互のクロスを維持するために、前記地経糸(3)も前記複数の緯糸(9)に対する動きを逆転させ、かつ、前記地経糸(3)がリバース時の1リピートのみ、緯糸(9)に対して過渡的に上、下、上または下、上、下の組織を持たせる工程をさらに有してなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るタオル地を製織する地経糸とパイル経糸を筬に挿通して組織している状態の要部を示す説明図で、図2は緯糸3本を一組としたテリーモーション状態を示し、新旧共通の並パイルでテリーモーション直前の断面図である。
図3は本発明に係るタオル地の地経糸とパイル経糸と緯糸の織組織の状態を示す要部拡大平面図で、図4は本発明に係るタオル地のパイル経糸をリバースさせる時の組織状態を示す組織図、図5はパイル経糸をリバースさせる時のパイルの状態を示す断面図、図6は図5のリバース時のパイル経糸と地経糸とが交互のクロスを維持する組織を組み入れた状態を示す組織図である。
図7は本発明に係る組織でパイル経糸と地経糸が中央の緯糸に交互にクロスしている製織状態を示す要部拡大図で、図8はこの織組織が使用中に力を受けて変形する状態を示し、旧組織(図12)と比較した要部拡大図、図9はこの織組織におけるパイルの根の保持とパイルの立ちを良くした状態を示す断面図である。
図10は従来の旧組織で製織する地経糸とパイル経糸を同じ筬羽に挿通して組織している状態の要部を示す説明図、図11は従来の組織の要部拡大図であり緯糸に対してパイル経糸と地経糸が一対ずつ並んでいることを示す説明図、図12は従来の織組織が使用中に力を受けて変形する状態(図9と比較するとパイルの根が浮き上がり不安定になっている)の断面図である。
このタオル地1は主に綿100%の糸あるいは他の天然繊維や化学繊維との混紡糸などからなる複数の地経糸(3)と複数のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)をそれぞれ組み織りしたもので、このタオル地(1)を構成するタオル組織部(2)の表と裏にそれぞれパイル(7)を形成している。
【0017】
図1において、タオル地(1)を構成するタオル組織部(2)の製織は、織機(図示せず)に対し、2本の地経糸(3a、3b)と2本のパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ一組として交互に平行にして配列し、複数の「綜絖」または「通じ」(図示せず)に挿通し、それぞれを二群に分割して上下に交差をさせて織組織を構成する。前記「綜絖」または「通じ」を上下動させることによって地経糸(3)とパイル経糸(5)のそれぞれ二群を開口させ、シャトルなどの杼入れ装置を入れるための杼口を得る。該杼口にシャトルなどの杼入れ装置を介して緯糸(9)を引き入れ、筬(10)によって打込むことによって製織する。筬(10)の各筬羽(11)には2本の地経糸(3)と2本のパイル経糸(5)からなる一組ずつを交互に挿通してあり、地経糸(3)のテンションは強く張ってあり、パイル経糸(5)は緩く張ってある。
【0018】
タオル地(1)を構成するタオル地組織(2)の組み織りは、前記二群に分けた地経糸(3)とパイル経糸(5)の開口によって得られた杼口に緯糸(9)を引き入れた後に、筬打ちをする。この筬打ち動作はタオル独特の動き(テリーモーション)で、3本で一組の緯糸(9)は織前より手前まで打込まれて仮織りした状態となり、最後に織前まで打込まれてパイルを形成する。この工程を繰り返すことによりタオル組織部(2)を形成する。パイルの無い地織り部分(例えばヘムや界切など)はテリーモーションをせず、緯糸(9)の各1本ごとに織前まで筬打ちする。
【0019】
図2に示すごとく、タオル地(1)が左側に織り出されていて、3本で一組の緯糸(9)が2組(2リピート)あり、パイル(7)を2個形成している。パイル経糸(5a、5b)はこの一組の緯糸(9)の中央の緯糸(例えば9a2)にのみ交差し、一方地経糸(3a、3b)は一組の緯糸(9)の1本目と2本目(例えば9a1、9a2)を挟み、3本目(9a3)で交差する。この図2は次の1リピートの緯糸(9b1,9b2,9b3)が織前より一定のスペースXを空けて仮織りされ、テリーモーション直前を示している。テリーモーションの筬打ちはこの3本で一組とした緯糸(9)を織前まで打込む。この動作の間、パイル経糸(5a、5b)は緯糸3本に挟まれ、特に1本目と2本目の緯糸(9b1,9b2)には強く挟まれて仮織り部分と一体になり、パイル経糸(5a)は上向きに、パイル経糸(5b)は下向きに強制され、テリーモーション終了時にはそれぞれ上と下のパイルを形成する。またパイル経糸(5)のテンションは緩く張られていてこの動作を容易にする。
一方、地経糸(3a、3b)は、3本で一組をなす緯糸(9)のうち緯糸(9b2、9b3)の間に挟まれるが、パイル経糸(5a、5b)も有るので強くは挟まれず、従って仮織り部分は地経糸(3a、3b)を滑って打込まれる。また地経糸(3)のテンションは強いためこの動作を助ける。
【0020】
パイル(7)のできる方向は、前記の通りテリーモーション時の1本目と2本目の緯糸
(9b1,9b2)に挟まれた方向で決まる。例えば図2に示すごとくパイル経糸(5a)は上向きに挟まれて上向きのパイルとなり、パイル経糸(5b)は下向きに挟まれて下向きのパイルとなる。パイルのできる方向をリバースする場合は挟む方向が逆になる。例えばパイル経糸(5a)を下向きのパイルにする時は一組の緯糸(9b1,9b2,9b3)に対してパイル経糸の開口動作を下、上、下に変えることにより、1本目と2本目の緯糸(9b1、9b2)に挟まれた方向が下向きに変わり、テリーモーションで下向きのパイルとなる。このリバース時のパイルは図5と図6の断面図に示すごとく、通常より短いパイルとなる。これは通常のパイルがそれぞれ一組の緯糸(9)の中央の1本から立ち上がるのに対して、リバース時のパイルは織前のパイルの方向と逆になるため、織前の一組の緯糸(9)の3本目を交差してから立ち上がるためである。
【0021】
パイル(7)の長さ(高さ)はタオル地(1)の用途や使用目的によって相違し、最適の長さに設定される。これは前述のごとく緯糸(9)の3本を一組とした組と組の間に設定したテリーモーションのための間隙、すなわちスペースXによって決まる。しかし従来の組織でパイル経糸(5)と地経糸(3)が同じ筬羽(11)に挿通され、相互に擦れ合う場合にはパイル経糸(5)の進行にブレーキが掛かり、設定より短いパイルとなるが、本発明の組織ではパイル経糸(5)と地経糸(3)はそれぞれ別の筬羽(11)に挿通されるので擦れ合うことが無く、ほぼ設定通りのパイル長となる。パイル(7)は3本一組の緯糸(9)の中央の緯糸から次の3本の中央の緯糸までの間で形成される。従って織り上がりはU字型のパイルが連続することになるが、リバース時の1パイルのみは前項に述べたように織前の一組の緯糸(9)の3本目を交差してから立ち上がるためスペースXは同じでも、パイル(7)は横置きのS字型となり小さくなる。
【0022】
図7に示すごとく、地経糸(3a、3b)とパイル経糸(5a、5b)は、3本で一組をなす緯糸(9)の中央の緯糸(9b)に対して、それぞれ上下反対方向に交差させてある。すなわち地経糸(3a、3b)とパイル経糸(5a、5b)は緯糸(9b)に沿って左右に滑って移動することが無い。一方で図11あるいは図12に示すごとく従来の組織では必ず上または下にパイル経糸と地経糸が並んでしまうためお互いに接触し、図12に示すごとくタオルの使用時あるいは加工工程時にパイル(7)が引っ張られると中央の緯糸(9b)が浮いて大きく波を打つ現象が起き、パイルの根が浮いた状態になる。使用や加工によってはパイル経糸と地経糸が左右入れ替わることもある。本発明の組織では図8に示すごとくパイル経糸(5a、5b)のそれぞれの方向への引っ張りに対して、地経糸(3a、3b)はそれを押さえる働きをするため、図9に示すごとく緯糸(9b)はほぼ直線状を保ち、パイルの根の浮き上がりを少なくする作用を有し、さらに上下に交互に位置する関係はパイルの立ち上がりを保持し、左右への滑りを少なくできる利点を有する。
【0023】
本発明の組織では、ドビー織りやジャカード織りでパイル(7)の出る方向をリバースする場合には、パイル経糸(5a、5b)をリバースすると同時に地経糸(3a、3b)もリバースすることに特徴がある。図6に示すごとく3本で一組の緯糸(9c1,9c2,9c3)はパイル経糸(5a、5b)をリバースすると同時に地経糸(3a、3b)もリバースする独特の組織になる。すなわちリバース前の地経糸(3a、3b)の動きは、A、Bのリピートで見る通りそれぞれの緯糸(9a1,9a2,9a3)(9b1,9b2,9b3)に対して、上・上・下または下・下・上と組織されているが、リバース時のCのリピートでは過渡的に緯糸(9c1.9c2,9c3)に対してそれぞれ上・下・上または下・上・下と組織され、Dのリピートでリバースしたパイル経糸(5a、5b)に対して、地経糸(3a、3b)は従前の上・上・下または下・下・上の動きに戻り、裏パイル状態にならず、中央の緯糸に対して従前通り上下交互の交差と位置関係を維持できるようにしている。リバース時のパイルは前述の通りS字型の矮小なパイルとなり、図6のY区間は従来の組織でもパイルの出方が変わる。本発明の組織の違いはこのタイミングで地経糸(3a、3b)もリバースするところにあり、テリーモーション時のパイル経糸(5a、5b)を挟む力は緯糸(9c1,9c2)の間に地経糸(3a、3b)が挟まる分弱くなるが、S字型の矮小なパイルなので影響は少ない。図4に示すごとくリバース時のCで既に緯糸(9c2)に対してパイル経糸(5a、5b)も地経糸(3a、3b)も上下交互の組織を維持するため、前述のメリットを持つことができる。
【0024】
本発明の組織では図1と4に示すごとくパイル経糸(5a、5b)と地経糸(3a、3b)がそれぞれ一組として筬羽(11)に挿通されるため、従来の組織のようにテリーモーション時にスピードの違うパイル経糸と地経糸の擦れが無いので、前述のようにパイルの形成が設定に近い長さになるだけでなく、この接触による擦れは相互にスピードの異なる経糸にブレーキを掛けるため、テリーモーション終了時に地経糸に緩みを生じさせ、杼間開きの原因となっていたが、本発明の組織ではこれが改良される。
【0025】
また、擦れによる毛羽立ちも発生しないため筬への絡みが減り、風綿の発生と織物への飛込みも減り、従って糸切れも減少する。同様に常に緯糸(9)の中央に対して交差を維持するためパイルをリバースしても筬折れが発生せず、裏パイルでの地経糸の影響が無いのでブツ(鬼毛)の発生も少ない。
【0026】
本発明の組織ではパイル経糸の擦れが無いため、毛羽立ちの少ないきれいなパイルが形成され、緯糸(9)の中央の糸に交互のクロスがあるためパイルの根の浮き上がりを防ぐと同時に左右への移動が無く、加工時と使用時を通じて立ち上がりの良いパイルとなる。このため肌触りが良く、吸水性に優れ、通気性や保温性が良くまた乾きの早いタオルとなる。また毛羽の絡みによるパイルの硬化も少ないので耐久性も改良される。
【0027】
次に本発明に係るタオル地(1)の製造法を説明する。主に綿100%の糸あるいは他の天然繊維や化学繊維との混紡糸などからなる地経糸(3)とパイル経糸(5)を、それぞれ設計上の必要本数分用意し、整経機でビームに巻く。地経糸(3)とパイル経糸(5)はそれぞれ2群(3a,3b)(5a,5b)に分割できるように綾を取ってある。これらの経糸は地組織とパイルを形成し、それぞれの役割が異なるため、それぞれ専用に作られた糸を使用するのが望ましい。すなわちパイル経糸(5)には肌触りが柔らかく、バルキー性に富み、吸水性が良く、パイルになってから軽く撚りが戻ってスナール(もつれ)ができるような糸、従って繊維長が長くて成熟度が良い、太目の繊維で天然の撚りに富んだ原綿を使用し、比較的甘い撚りで紡出したものが望ましい。一方の地経糸(3)には製織上からテリーモーション時の滑りがよく、毛羽の出にくい、引っ張り強度のある糸を使用するのが望ましい。従って繊維長が長くて成熟度の良い、引っ張り強度の強い比較的細めの繊維を使用し、比較的強めの撚りで紡出したものが望ましい。これら地経糸(3)とパイル経糸(5)は一定の揃ったテンションで製織用ビームに巻き取られ、織機にセットされる。
緯糸(9)に使用される糸は、テリーモーション時にパイル経糸を挟んで打ち寄せるために、ある程度毛羽が多く、曲がりにくく、潰れにくくしかし硬すぎないものが望ましい。これらを織成してタオル地組織(2)とパイル(7)を形成する。
【0028】
地経糸(3)とパイル経糸(5)は、それぞれ必要に応じた複数の綜絖や通じ(図示せず)に挿通された後、筬(10)の筬羽(11)に挿通されるが、従来と異なりパイル経糸(5)の(5a、5b)が一つの筬目に挿通され、次の筬目には地経糸(3)の(3a、3b)が挿通される。
【0029】
前記「綜絖」あるいは「通じ」を開口装置によって上下動させて杼口を作り、杼入れ装置により緯糸(9)を引き入れ、筬によって打込む。この筬打ち動作はタオル特有のテリーモーションであり、緯糸3本で一組の仮織り部分を打込んでスペースXの長さのパイル経糸(5)でパイル(7)を形成する。開口装置の上下動はパイルの柄あるいは地織や界切など、織物の都合で変化する。これによりパイルの出る方向がリバースした時は、同時に地経糸(3)も過渡的な1リピートの組織を経てリバースし、本発明の特長である3本一組の緯糸の中央に対する地経糸(3)とパイル経糸(5)の上下交互のクロスを維持する。またパイルを形成しない織物部分ではテリーモーションも作動せず、緯糸1本ずつの打込みとなる。
【0030】
このようにして製織された織物は、設定通りの大きさであって毛羽の少ないきれいなパイルを持ち、杼間開きの無い、良く打込まれてしっかりした地組織を持つタオルとなり、糊抜きあるいは精練漂白の工程を経て、地経糸(3)と緯糸(9)が密着し、パイル(7)の根がしっかり支えられ、立ち上がりが良くて抜けにくいパイルを持つタオルを製造することができる利点を有する。パイル経糸に前述のような上質で強度のある糸を使用する場合、本発明のような組織でパイルの根を緊密に保持しなければパイルの引けが問題になり、良い糸を使った意味が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るタオル地を製織する地経糸とパイル経糸を筬に挿通して組織している状態の要部を示す説明図。
【図2】緯糸3本を一組としたテリーモーション状態を示し、新旧共通の並パイルでテリーモーション直前の断面図。
【図3】本発明に係るタオル地の地経糸とパイル経糸と緯糸の織組織の状態を示す要部拡大平面図。
【図4】本発明に係るタオル地のパイル経糸をリバースさせる時の組織状態を示す組織図。
【図5】パイル経糸をリバースさせる時のパイルの状態を示す断面図。
【図6】図5のリバース時のパイル経糸と地経糸とが交互のクロスを維持する組織を組み入れた状態を示す組織図。
【図7】本発明に係る組織でパイル経糸と地経糸の緯糸に交互にクロスしている製織状態を示す要部拡大図。
【図8】この織組織が使用中に力を受けて変形する状態を示し、旧組織(図12)と比較した要部拡大図。
【図9】この織組織におけるパイルの根の保持とパイルの立ちを良くした状態を示す断面図。
【図10】従来の組織の地経糸とパイル経糸を同じ筬羽に挿通して組織している状態の要部を示す説明図。
【図11】従来の組織の要部拡大図であり緯糸に対してパイル経糸と地経糸が一対ずつ並んでいることを示す説明図。
【図12】従来の織組織が使用中に力を受けて変形する状態(図9と比較するとパイルの根が浮き上がり不安定になっている)の断面図。
【符号の説明】
【0032】
1 タオル地
2 タオル地組織
3 地経糸
5 パイル経糸
7 パオル
9 緯糸
10 筬
11 筬羽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)において、
2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通し、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して形成した杼口に複数の緯糸(9)を直角方向に織り込むと共に、3本を一組とした緯糸(9)のそれぞれ中央の緯糸に前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成することを特徴とするタオル地。
【請求項2】
平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)において、
2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通し、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して形成した杼口に複数の緯糸(9)を直角方向に織り込むと共に、3本を一組とした緯糸(9)のそれぞれ中央の緯糸に前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成し、
前記パイル(7)の形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせ、それぞれ中央の緯糸(9)に対する地経糸(3)及びパイル経糸(5)の1本ずつ交互のクロスを維持するために前記地経糸(3)とパイル経糸(5)のクロスを維持することを特徴とするタオル地。
【請求項3】
平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)の製造法において、
2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通する工程と、
前記地経糸(3a、3b)とパイル経糸(5a、5b)とを複数の綜絖あるいは通じに挿通して、それぞれの経糸を上下動させて杼口を形成する工程と、
該杼口に3本を一組とした緯糸(9)を直角方向に織り込むと共に、それぞれ中央の緯糸に前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成する工程とからなることを特徴とするタオル地の製造法。
【請求項4】
前記パイル経糸(5)のパイル形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせ、それぞれ中央の緯糸に対する地経糸(3)及びパイル経糸(5)の1本ずつ交互のクロスを維持するために、前記地経糸(3)も前記複数の緯糸(9)に対する動きを逆転させ、かつ、前記地経糸(3)がリバース時の1リピートのみ、緯糸(9)に対して過渡的に上、下、上または下、上、下の組織を持つことを特徴とする請求項3記載のタオル地の製造法。
【請求項1】
平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)において、
2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通し、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して形成した杼口に複数の緯糸(9)を直角方向に織り込むと共に、3本を一組とした緯糸(9)のそれぞれ中央の緯糸に前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成することを特徴とするタオル地。
【請求項2】
平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)において、
2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通し、前記地経糸(3)とパイル経糸(5)を交互に上下動させて上下に二分して形成した杼口に複数の緯糸(9)を直角方向に織り込むと共に、3本を一組とした緯糸(9)のそれぞれ中央の緯糸に前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成し、
前記パイル(7)の形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせ、それぞれ中央の緯糸(9)に対する地経糸(3)及びパイル経糸(5)の1本ずつ交互のクロスを維持するために前記地経糸(3)とパイル経糸(5)のクロスを維持することを特徴とするタオル地。
【請求項3】
平行に位置した一群の地経糸(3)及び一群のパイル経糸(5)に、複数の緯糸(9)を直角方向に杼入れしてタオル地組織(2)を織成し、このタオル地組織(2)の表面または裏面若しくは表裏両面に、前記パイル経糸(5)を織成してパイル(7)を形成するタオル地(1)の製造法において、
2本を一組とした地経糸(3a、3b)と、同じく2本を一組としたパイル経糸(5a、5b)をそれぞれ交互に平行にして配列し、筬(10)の各筬羽(11)に組ごとに挿通する工程と、
前記地経糸(3a、3b)とパイル経糸(5a、5b)とを複数の綜絖あるいは通じに挿通して、それぞれの経糸を上下動させて杼口を形成する工程と、
該杼口に3本を一組とした緯糸(9)を直角方向に織り込むと共に、それぞれ中央の緯糸に前記地経糸(3)とパイル経糸(5)とを交互に1本ずつ上または下からクロスさせ、テリーモーションしてパイル(7)をタオル地組織(2)の表裏両面に形成する工程とからなることを特徴とするタオル地の製造法。
【請求項4】
前記パイル経糸(5)のパイル形成方向を任意にリバースさせる時に、同時に地経糸(3)をリバースさせ、それぞれ中央の緯糸に対する地経糸(3)及びパイル経糸(5)の1本ずつ交互のクロスを維持するために、前記地経糸(3)も前記複数の緯糸(9)に対する動きを逆転させ、かつ、前記地経糸(3)がリバース時の1リピートのみ、緯糸(9)に対して過渡的に上、下、上または下、上、下の組織を持つことを特徴とする請求項3記載のタオル地の製造法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−261076(P2008−261076A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105859(P2007−105859)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(507123279)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(507123279)
【Fターム(参考)】
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