説明

タクトスイッチのクリック感発生構造

【課題】 押しボタンを押したときに、タクトスイッチのクリック感を向上できて、クリック感のばらつきを低減でき、また、押しボタンとタクトスイッチを製作するための金型に特別な費用を必要とすることがなくてコスト的にも有利なタクトスイッチのクリック感発生構造を提供する。
【解決手段】 押しボタン4を押すことにより、この押しボタン4のタクトスイッチ3への接触でクリック感が発生するようにしたタクトスイッチのクリック感発生構造において、タクトスイッチ3の先端面と押しボタン4の先端面が凹凸面3b、4cに形成されており、押しボタン4を押すことにより、この押しボタン4の凹凸面4cがタクトスイッチ3の凹凸面3bに噛み合った状態で接触してクリック感を発生するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンを押すことにより、この押しボタンのタクトスイッチへの接触でクリック感が発生するようにしたタクトスイッチのクリック感発生構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタクトスイッチのクリック感発生構造は、図3(a)(b)に示すように、基板101に実装されたタクトスイッチ102の円柱状部102aの先端面102bは平らな面に形成され、フロントパネル103に設けられた押しボタン104におけるタクトスイッチ102に接触する円柱状部104aの奥端面104bも平らな面に形成されていた。そして、押しボタン104を押すとヒンジ部104cを中心にして円弧状に奥側に移動するために、この押しボタン104の円柱状部104aの奥端面104bとタクトスイッチ102の円柱状部102aの先端面102bが点接触して接触面積が小さく押しボタン104とタクトスイッチ102が噛み合うことがなかったために、タクトスイッチ102のクリック感が悪く、複数のタクトスイッチ102のクリック感のばらつきも大きいという問題があった。
【0003】
第1の従来技術を図4に示す。この従来の操作パネルユニットは、図4に示すように、スイッチ225が搭載された基板224を覆うように対向配置されたキーケース223の開口223a内には、操作キー234が設けられ、その操作キー234の押圧面234aは、開口223aの縁部表面より上方に位置し、押圧操作により裏面側に移動するようにスプリング部234bにより保持される。この操作キー234は、押圧操作時、押圧部234cによってスイッチ225を作動させる。キーケース223の表面は本体ケース221により覆われ、操作キー234は、本体ケース221の遊嵌口221aを通してその表面に表出する。さらに、操作キー234の押圧面234a及びこの遊嵌口221a周囲の本体ケース表面の表示シート222により覆って接触させることにより、操作キー234の移動ストロークを制限する。(例えば、特許文献3参照)
【0004】
ところが、これにおいては、操作キー234の先端面とスイッチ225の先端面が平面に形成されているために、操作キー234を押すとその先端面とスイッチ225の先端面が点接触することになって接触面積が小さいために良好なクリック感が得られないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2007−227017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、DVDプレーヤーなどのセットにおいて、再生ボタン等の各種押しボタンを押したときに、タクトスイッチのクリック感を向上することができて、クリック感のばらつきを低減することができ、また、押しボタンとタクトスイッチを製作するための金型に特別な費用を必要とすることがなくてコスト的にも有利なタクトスイッチのクリック感発生構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、請求項1に記載の発明は、押しボタンを押すことにより、この押しボタンのタクトスイッチへの接触でクリック感が発生するようにしたタクトスイッチのクリック感発生構造において、前記タクトスイッチの先端面と押しボタンの先端面が凹凸面に形成されており、前記押しボタンを押すことにより、この押しボタンの凹凸面が前記タクトスイッチの凹凸面に噛み合った状態で接触してクリック感を発生するように構成したことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押しボタンと前記タクトスイッチの各凹凸面がシボ加工により山谷形状に形成されている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押しボタンと前記タクトスイッチの各凹凸面が、押しボタンのヒンジ部の方向と同方向に形成された間隔の狭い複数の凹溝によって形成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、押しボタンを押したときに、この押しボタンの先端面の凹凸面がタクトスイッチの先端面の凹凸面が噛み合って接触するから、タクトスイッチを押しボタンで正確に押すことができて、タクトスイッチのクリック感を向上することができる。また、押しボタンとタクトスイッチが複数ある場合には、これらタクトスイッチのクリック感のばらつきを低減することができる。また、押しボタンとタクトスイッチの先端面に凹凸面を形成するだけであるから、これら押しボタンとタクトスイッチを製作するための金型に特別な費用を必要とすることがなくてコスト的にも有利である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、押しボタンとタクトスイッチの各凹凸面がシボ加工により山谷形状に形成されているから、押しボタンを押したときに山形形状の凹凸面をタクトスイッチの山形形状の凹凸面に確実に噛み合わすことができて、タクトスイッチのクリック感をより一層向上することができる。また、山形形状の凹凸面をシボ加工により簡単に形成することができて、コスト的にも有利である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、押しボタンとタクトスイッチの各凹凸面が押しボタンのヒンジ部の方向と同方向に形成された間隔の狭い複数の凹溝によって形成されているから、押しボタンを押したときに各凹凸面が正確に噛み合うことにより、押しボタンを押したときにタクトスイッチのクリック感をより一層向上することができる。また、凹凸面の凹溝を簡単に形成することができるから、コスト的にも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るタクトスイッチのクリック感発生構造の実施の形態について、図を参照しつつ説明する。尚、下記するタクトスイッチは、DVDプレーヤーなどのセットに用いられるものであり、押しボタンとしては、再生スイッチ等の各種ボタンを含むものである。
図1は本発明の第1実施形態のタクトスイッチのクリック感発生構造を示し、(a)はそのタクトスイッチと押しボタンの斜視図、(b)はその押しボタンが押されてタクトスイッチに接触した状態の部分側面図である。
【0014】
この第1実施形態のタクトスイッチのクリック感発生構造は、図1(a)(b)に示すように、フロントパネル1の内側に縦向きに配置された基板2にタクトスイッチ3が実装され、フロントパネル1にはタクトスイッチ3をON.OFFする押しボタン4が取り付けられている。この押しボタン4はヒンジ部4aを中心に内側に押し操作できるようになっている。タクトスイッチ3の円柱状部3aの先端面と押しボタン4の円柱状部4bの先端面はシボ加工により山谷形状の凹凸面3b、4cに形成されている。図1(b)に示すように、押しボタン4を押すと、ヒンジ部4aを中心に押しボタン4が奥側に移動し、押しボタン4の山谷形状の凹凸面4cがタクトスイッチ3の山谷形状の凹凸面3bが噛み合ってクリック感が発生するようになっている。
【0015】
従って、この第1実施形態によれば、押しボタン4を押したときに、押しボタン4の山谷形状の凹凸面4cがタクトスイッチ3の山形形状の凹凸面3bに噛み合って接触するから、タクトスイッチ3を押しボタン4で正確に押すことができて、タクトスイッチ3のクリック感を向上することができる。また、押しボタン4とタクトスイッチ3が複数ある場合には、これらタクトスイッチ3のクリック感のばらつきを低減することができる。また、押しボタン4とタクトスイッチ3の先端面にシボ加工により山谷形状の凹凸面3b、4cを形成するだけであるから、これら押しボタン4とタクトスイッチ3を製作するための金型に特別な費用を必要とすることがなくてコスト的にも有利である。
【0016】
図2は第2実施形態のタクトスイッチのクリック感発生構造を示し、(a)はそのタクトスイッチと押しボタンの斜視図、(b)はその押しボタンが押されてタクトスイッチに接触した状態の部分側面図である。尚、上記した第1実施形態と同一部材、同一箇所には同一符号を付して、その説明を省略する。
この第2実施形態のタクトスイッチのクリック感発生構造は、図2(a)(b)に示すように、押しボタン4の円柱状部4bの先端面とタクトスイッチ3の円柱状部3aの先端面に、押しボタン4のヒンジ部4aの方向と同方向に間隔の狭い複数の凹溝3c、4dを形成することによって凹凸面3d、4eが形成されている。図2(b)に示すように、押しボタン4を押すと押しボタン4の凹溝4dにより形成された凹凸面4eがタクトスイッチ3の凹溝3cにより形成された凹凸面3dに噛み合ってクリック感が発生するようになっている。
【0017】
従って、この第2実施形態によれば、押しボタン4とタクトスイッチ3の各凹凸面3d、4eが押しボタン4のヒンジ部4aの方向と同方向に形成された間隔の狭い複数の凹溝3c、4dによって形成されているから、押しボタン4を押したときに各凹凸面3d、4eが正確に噛み合うことにより、押しボタン4を押したときにタクトスイッチ3のクリック感をより向上することができる。また、凹凸面3d、4eの凹溝3c、4dを簡単に形成することができるから、コスト的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態のタクトスイッチのクリック感発生構造を示し、(a)はそのタクトスイッチと押しボタンの斜視図、(b)はその押しボタンが押されてタクトスイッチに接触した状態の部分側面図である。
【図2】第2実施形態のタクトスイッチのクリック感発生構造を示し、(a)はそのタクトスイッチと押しボタンの斜視図、(b)はその押しボタンが押されてタクトスイッチに接触した状態の部分側面図である。
【図3】従来のタクトスイッチのクリック感発生構造を示し、(a)はそのタクトスイッチと押しボタンの斜視図、(b)はその押しボタンが押されてタクトスイッチに接触した状態の部分側面図である。
【図4】従来の操作パネルユニットを示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 フロントパネル
2 基板
3 タクトスイッチ
3a 円柱状部
3b 山谷形状の凹凸面
3c 凹溝
3d 凹凸面
4 押しボタン
4a ヒンジ部
4b 円柱状部
4c 山谷形状の凹凸面
4d 凹溝
4e 凹凸面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンを押すことにより、この押しボタンのタクトスイッチへの接触でクリック感が発生するようにしたタクトスイッチのクリック感発生構造において、前記タクトスイッチの先端面と押しボタンの先端面が凹凸面に形成されており、前記押しボタンを押すことにより、この押しボタンの凹凸面が前記タクトスイッチの凹凸面に噛み合った状態で接触してクリック感を発生するように構成したことを特徴とするタクトスイッチのクリック感発生構造。
【請求項2】
前記押しボタンと前記タクトスイッチの各凹凸面がシボ加工により山谷形状に形成されている請求項1に記載のタクトスイッチのクリック感発生構造。
【請求項3】
前記押しボタンと前記タクトスイッチの各凹凸面が、押しボタンのヒンジ部の方向と同方向に形成された間隔の狭い複数の凹溝によって形成されている請求項1に記載のタクトスイッチのクリック感発生構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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