説明

タグを認識する方法及びこれを用いたRFIDタグ

【課題】RFIDシステムにおいてタグ認識方法を提供する。
【解決手段】RFIDリーダとタグ間のクエリ応答に応じてクエリツリーを生成して上記タグを認識するタグ認識方法は、上記RFIDリーダが上記タグでクエリメッセージを伝送する段階、及び上記タグから上記クエリメッセージに対する応答メッセージを受信する段階を含み、上記タグが有する文字列(string)の逆順に上記クエリツリーを生成する。クエリツリー基盤プロトコルにおいてタグが有するIDに対して逆順にクエリツリーを生成してタグ間の衝突回数を減らしてRFIDリーダの認識領域内の全てのタグを認識するときにかかる時間を短縮させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグに関し、より詳しくは、タグ間の衝突を防止してタグを認識する方法及びこれを用いたRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)技術は、非接触無線認識技術であって、IC(Integrated Circuit)チップと無線通信のためのアンテナを内蔵したタグ(tag)に必要な情報を格納し、タグの情報を収集できるRFIDリーダ(reader)がラジオ周波数帯域を介してタグと通信する技術である。
【0003】
RFID技術はバーコード方式に比べて多様な長所を有している。
第一に、タグはバーコードのように表面に印刷する必要がないため、汚染に対する心配がない。第二に、RFID技術は、無線通信を使用するため、タグをRFIDリーダに一つずつ近接させなくてもよい。第三に、RFID技術は、多重認識技術を提供するため、短い時間に多数のタグ情報を認識できる。第四に、単純な識別コードだけが印刷されるバーコードとは違ってタグには多量の情報を入力することができる。第五に、バーコード方式は、同じ種類の製品に同じ識別コードを使用するが、RFID技術は各々の製品ごとに固有な識別コードを使用することができるため、製品販売や在庫管理の側面で正確且つ迅速な管理を行うことができる。
【0004】
RFIDリーダは、無線通信環境で多数のタグ情報を認識しなければならず、この過程で多数のタグ間の衝突(collision)問題が発生する。タグはRFIDリーダから受けたクエリ(query)に対応する情報を報告しなければならず、タグは現在の無線チャネルの使用状態を確認できる機能がない。また、多数のタグは無線チャネルを共有するため、一つ以上のタグがRFIDリーダに同時にデータを伝送でき、同じチャネルを介して多数のタグから同時にデータが伝送されれば、RFIDリーダはタグ情報を認識できない。これをRFIDシステムにおいてタグ間衝突といい、衝突を防止するためのRFIDリーダとタグ間のプロトコルを衝突防止(anti-collision)プロトコルという。
【0005】
衝突防止プロトコルは、大きくアロハ(ALOHA)基盤プロトコル及びツリー(tree)基盤プロトコルに分かれる。アロハ基盤プロトコルは、時間をスロット単位に分けて一つの時間スロットに一つのタグだけが無作為で応答するようにして、RFIDリーダがタグを認識するようにするプロトコルである。アロハ基盤プロトコルは、無作為という確率の不確実性に基礎をおいているため、RFIDリーダが全てのタグを認識できないこともあって、全てのタグを認識するのにかかる時間を予測するのは難しい。
【0006】
ツリー基盤プロトコルは、タグの固有なIDを使用してタグ認識過程を進行しつつツリーを作るプロトコルである。ツリー基盤プロトコルを使用するRFIDリーダは、全てのタグを認識でき、その過程を予測できるのに対し、類似のIDを有したタグが多い場合、ツリーを生成する間、衝突が頻繁に発生し、これに伴ってツリーが深くなってタグを認識する時間が長くかかるという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする技術的課題は、RFIDシステムにおいてタグを認識する時間を減らすことができるタグ認識方法、衝突防止方法及びこれを用いたRFIDタグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係るRFIDリーダとタグ間のクエリ応答に応じてクエリツリーを生成して上記タグを認識するタグ認識防止方法は、上記RFIDリーダが上記タグでクエリメッセージを伝送する段階、及び上記タグから上記クエリメッセージに対する応答メッセージを受信する段階を含み、上記タグが有する文字列(string)の逆順に上記クエリツリーを生成する。上記クエリメッセージは、上記文字列のサフィックス(suffix)である。上記応答メッセージが、他のタグからの応答メッセージと衝突が発生すれば、上記RFIDリーダは、上記サフィックスに追加文字を加えた文字列をキュー(queue)に生成させることができる。上記タグは、上記文字列のLSB(Least Significant Bit)からMSB(Most Significant Bit)への順に上記クエリメッセージと上記文字列を比較して上記応答メッセージを伝送できる。上記タグは、自分のID(IDentifier)に対する逆順IDを生成して上記クエリメッセージと比較できる。
【0009】
本発明のもう一つの実施例に係るクエリツリープロトコルを用いるRFIDリーダからのクエリに対して応答するRFIDタグは、RFIDリーダからのクエリメッセージを受信して復調する復調部、タグIDを上記クエリメッセージに含まれた文字列と逆順に比較して一致すれば、応答メッセージを生成する制御部、及び上記応答メッセージを変調して伝送する変調部、を含む。上記応答メッセージは上記タグIDである。
【0010】
本発明の他の実施例に係るタグ間の衝突を防止するための衝突防止方法は、タグがRFIDリーダから第1のサフィックスを受信する段階、上記第1のサフィックスを上記タグのIDと逆順に比較して第1の応答メッセージを伝送する段階、上記第1の応答メッセージを伝送した後、上記第1のサフィックスより長い第2のサフィックスを受信する段階、及び上記第2のサフィックスを上記タグのIDと逆順に比較して第2の応答メッセージを伝送する段階、を含む。上記第1のサフィックスは、上記タグのIDのLSBからm番目ビットまでの文字列であり、上記第2のサフィックスは、上記タグのIDのLSBからn番目ビットまでの文字列である(n>mであり、n、m>0である整数)。
【発明の効果】
【0011】
クエリツリー基盤プロトコルにおいてタグが有するIDに対して逆順にクエリツリーを生成してタグ間の衝突回数を減らして、RFIDリーダの認識領域内の全てのタグを認識するにかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】RFIDシステムの一例を示したブロック図である。
【図2】RFIDリーダの構成の一例を示したブロック図である。
【図3】タグの構成の一例を示したブロック図である。
【図4】RFIDリーダがタグを認識する過程を示した流れ図である。
【図5】本発明の一実施例に係る命令メッセージを示したブロック図である。
【図6】一般的なクエリツリープロトコル(QT)でクエリツリーの一例を示した例示図である。
【図7】本発明の一実施例に係る逆順クエリツリープロトコル(QTR)でクエリツリーを示した例示図である。
【図8】一般的なクエリツリープロトコル(QT)及び逆順クエリツリープロトコル(QTR)でクエリメッセージの伝送回数を示したグラフである。
【図9】一般的なクエリツリープロトコル(QT)及び逆順クエリツリープロトコル(QTR)で伝送されるビット数を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、RFIDシステムの一例を示したブロック図である。
図1を参照すると、RFID(Radio Frequency IDentification)システムは、RFIDリーダ(RFID reader;10)及び少なくとも一つのタグ(tag;20)を含む。タグ(20)の数には制限がない。
【0014】
RFIDリーダ(10)は、質問器(interrogator)、タグ認識装置(tag identify apparatus)、タグ検出器(tag detector)など、他の名称で呼称することができる。RFIDリーダ(10)はタグ(20)の情報を読み出すためにタグ(20)と通信する。RFIDリーダ(10)は、データをインコーディングしてラジオチャネルを介してタグ(20)に伝送し、タグ(20)から伝送される信号をデコーディングしてタグ(20)の固有情報を認識する。RFIDリーダ(10)は固定型RFIDリーダであってもよく、移動型RFIDリーダであってもよい。
【0015】
タグ(20)はIC(Integrated Circuit)チップとアンテナを含む。タグは固有情報であるID(IDentifier)を有する。IDは二進文字列(binary string)形態で記録されることができる。タグのIDは一般的に複数のフィールド(field)からなる。例えば、供給業体の特定物品の固有識別番号を表すEPC(Electronic Product Code)はヘッダ(header)、会社ID、製品ID及びシリアルナンバ(serial number)など、4つのフィールドで構成される。ヘッダはEPCの長さ及び構成を定義して、会社IDは会社ごとに固有番号で決められ、製品IDは会社で製品の種類に応じて固有番号で与えられる。従って、各製品に相異のシリアルナンバが与えられる。即ち、各製品に相異のEPCを有したタグ(20)が付着されて各製品を区分できる。
【0016】
タグ(20)はRFIDリーダ(10)からクエリ(query)メッセージを受信すれば、固有情報または固有情報から計算した値をRFIDリーダ(10)に応答する。タグは、それ自体バッテリーを有する能動型タグ(active tag)であってもよく、バッテリーを有しない受動型タグ(passive tag)であってもよい。
【0017】
RFIDリーダ(10)からタグ(20)への伝送を伝送リンク(forward link)といい、タグ(20)からRFIDリーダ(10)への伝送を搬送リンク(return link)という。RFIDリーダ(10)が伝送リンクで信号を伝送できる範囲は制限され、タグ(20)が搬送リンクで伝送できる範囲は制限される。RFIDリーダ(10)は、伝送リンクの範囲及び搬送リンクの範囲内にあるタグ(20)とデータを送受信できる。RFIDリーダ(10)がタグ(20)とデータを送受信できる範囲をRFIDリーダ(10)の認識領域という。
【0018】
図2は、RFIDリーダの構成の一例を示したブロック図である。
図2を参照すると、RFIDリーダ(100)は、アンテナ(110)、通信部(120)、格納部(130)、インターフェース部(140)及び制御部(150)を含む。
【0019】
通信部(120)は、RFモジュール(不図示)及び変復調モジュール(不図示)を含み、タグと高周波信号で通信を遂行する。RFモジュールは、データ信号を高周波信号に変換してアンテナ(110)を介して送信したり、アンテナ(110)から受信される高周波信号を一定帯域のデータ信号に変換する。変復調モジュールは、タグで伝送するデータをデータ信号に変調したり、タグから受信されるデータ信号をデータに復調する。
【0020】
格納部(130)はタグの認識のために必要な情報を格納する。格納部(130)は、タグから受信したタグID、タグIDに対応する物品情報、各種命令メッセージなどを格納する。
【0021】
インターフェース部(140)は特定インターフェースを含んで外部のシステムとデータを送受信する。インターフェース部(140)は、直列通信インターフェース、並列通信インターフェース、USBインターフェース、イーサネット(登録商標)インターフェースなどを含むことができる。
【0022】
制御部(150)は、通信部(120)、格納部(130)、インターフェース部(140)を制御する。制御部(150)は、タグから受信される信号らの衝突状態を感知し、タグ間の衝突を解決するための多様なプロセッサを遂行する。ツリー基盤プロトコルにおいて制御部(150)はツリーを生成して管理する。制御部(150)は、キュー(queue)の文字列(string)を生成し、クエリメッセージに文字列を載せて伝送する。制御部(150)は、タグの有する文字列(タグID)に対して逆順にツリーを生成できる。これに対する詳細な説明は後述する。
【0023】
図3は、タグの構成の一例を示したブロック図である。
図3を参照すると、タグ(200)は、受信アンテナ(210)、送信アンテナ(220)、復調部(230)、RF-DC(Radio Frequency-Direct Current)整流部(240)、変調部(250)、制御部(260)及びID格納部(270)を含む。
【0024】
受信アンテナ(210)は、RFIDリーダからの高周波信号を受信してRF-DC整流部(240)に送る。RF-DC整流部(240)は、高周波信号から電源を発生させて復調部(230)、変調部(250)、制御部(260)及びID格納部(270)に電源を供給する。
【0025】
復調部(230)は受信アンテナ(210)を介して受信される受信信号を復調する。変調部(250)は、RFIDリーダに伝送するデータをデータ信号に変調して送信アンテナ(220)を介してRFIDリーダに伝送する。
【0026】
ID格納部(270)はタグの固有認識IDを格納する。制御部(260)はRFIDリーダから受信される命令メッセージ、クエリメッセージなどに応じて応答信号を生成する。制御部(260)はRFIDリーダから受信される命令メッセージに応じて応答方式を決定できる。ツリー基盤プロトコルにおいて、制御部(260)は、RFIDリーダからクエリメッセージを受信すれば、ID格納部(270)に格納されたタグIDと、クエリメッセージに含まれた文字列とを、お互いに比較して応答メッセージを生成して伝送できる。制御部(260)は、クエリメッセージに含まれた文字列をタグIDと逆順に比較して応答できる。制御部(260)は逆順IDを生成してクエリメッセージに含まれた文字列と比較できる。
【0027】
以下、RFIDリーダとタグ間のツリー基盤プロトコルについて説明する。
図4は、RFIDリーダがタグを認識する過程を示した流れ図である。ツリー基盤プロトコルを表す。
【0028】
図4を参照すると、RFIDリーダは命令(command)メッセージを伝送する(S110)。命令メッセージは、RFIDリーダの認識範囲内にあるタグ間の衝突または複数のRFIDリーダ間の衝突を防止するために、タグの状態(status)を制御するメッセージである。また、命令メッセージは、タグの伝送する応答メッセージの類型、応答時間、応答方式などに対する制御情報を含む。
【0029】
RFIDリーダはクエリ(query)メッセージをタグに伝送する(S120)。クエリメッセージは、ブロードキャスト(broadcast)方式にRFIDリーダの伝送リンクの範囲内にあるタグに伝送される。ツリー基盤プロトコルにおいてRFIDリーダは、1ないし数ビットの大きさを有する文字列(string)をクエリメッセージで伝送し、伝送された文字列より1ビット大きい文字列をキュー(queue)に維持する。初期キューは文字列(string)0と1を有する。RFIDリーダはキューの文字列の長さを順次増加させながらツリー(tree)を生成して多数のタグを認識する。ツリーの生成方法に対しては後述する。
【0030】
タグはクエリメッセージに対する応答(response)メッセージをRFIDリーダに伝送する(S130)。タグは、0または1をランダムに生成してクエリメッセージと比較して応答でき、これをバイナリツリープロトコル(binary tree protocol)という。タグは、自分の有したIDとクエリメッセージを比較して応答でき、これをクエリツリープロトコル(query tree protocol)という。
【0031】
以下、クエリツリープロトコルにおいてクエリメッセージの特徴について説明する。
クエリメッセージに含まれる文字列はタグID(文字列)のプリフィックス(prefix)であってもよい。プリフィックスは、1ビットまたはnビットの大きさを有することができ(n>1である整数)、タグが有する文字列(ID)の前部を占める。即ち、プリフィックスは、MSB(Most Significant Bit)またはMSBからn番目ビットまでの文字列である。タグは、自分のIDの前部がクエリメッセージに含まれたプリフィックスと一致すれば応答する。例えば、プリフィックスが‘01’である場合に‘01xxx’のIDを有するタグが応答する。
【0032】
クエリメッセージに含まれる文字列は、タグID(文字列)のサフィックス(suffix)であってもよい。サフィックスは、1ビットまたはmビットの大きさを有することができ(m>1である整数)、タグが有する文字列(ID)の後部を占める。即ち、サフィックスは、LSB(Least Significant Bit)またはLSBからm番目ビットまでの文字列である。タグは、自分のIDの後部がクエリメッセージに含まれたサフィックスと一致すれば応答する。例えば、サフィックスが‘01’である場合に‘xxx01’のIDを有するタグが応答する。
【0033】
プリフィックスを使用してクエリツリーを生成する方式を一般的なクエリツリープロトコル(QT)といい、サフィックスを使用してクエリツリーを生成する方式を逆順クエリツリープロトコル(QTR)という。
【0034】
図5は、本発明の一実施例による命令メッセージを示したブロック図である。
図5を参照すると、命令メッセージは、プレアンブル検出(Preamble Detect)フィールド、プレアンブル(Preamble)フィールド、区分文字(Delimiter)フィールド、命令(Command)フィールド、QTR指示フィールド及びCRC(Cyclic Redundancy Check)フィールドを含む。
【0035】
プレアンブル検出フィールドは、プレアンブルの検出のためのフィールドであり、一般的に400μm間変調されない一定の搬送波で構成される。プレアンブルフィールドはNRZ(Non−Return to Zero)形式にマンチェスターコードを使用することができる。NRZは‘1’と‘0’の二進値の各々を正(+)の電圧値と負(−)の電圧値に変換するインコーディングの形態である。区分文字フィールドはデータの開始を知らせるフィールドであり、多様な区分文字が入力されることができる。
【0036】
命令フィールドは、タグが伝送する応答メッセージの類型、応答時間、応答方式などに対する制御情報が載せるフィールドである。QTR指示フィールドは、逆順クエリツリープロトコル(QTR)の遂行状態を指示するフィールドである。逆順クエリツリープロトコルに対しては後述する。QTR指示フィールドは、1ビットの大きさで逆順クエリツリープロトコルの遂行状態を指示できる。例えば、QTR指示フィールドの値が‘1’である場合、逆順クエリツリープロトコルを遂行することを意味し、このとき、タグは、RFIDリーダからのクエリメッセージに対して自分のIDを逆順に比較して応答メッセージを伝送する。また、QTR指示フィールドの値が‘0’である場合、逆順クエリツリープロトコルを遂行せず、一般的なクエリツリープロトコルを遂行することを意味し、このとき、タグはRFIDリーダからのクエリメッセージに対して自分のIDをMSB(Most Significant Bit)から順に比較して応答メッセージを伝送する。CRCフィールドは、データ伝送過程で発生する誤謬を検出するために、循環二進符号が入力されるフィールドである。各フィールドの配置は例示に過ぎず、制限ではない。特に、区分文字フィールド、命令フィールド及びQTR指示フィールドはお互いに位置が変えられることができる。
【0037】
以下、一般的なクエリツリープロトコル(QT)でクエリツリーを生成してタグを認識する方法について説明する。
【0038】
図6は、一般的なクエリツリープロトコルにおいてクエリツリーの一例を示した例示図である。
図6を参照すると、RFIDリーダの認識領域に5つのタグが位置し、各タグのIDが{01001,01010,01011,01100,01101}であると仮定する。
【0039】
表1は、一般的なクエリツリープロトコル(QT)を用いて5つのタグを全部認識する間クエリ(query)及び応答(response)を表す。ラウンド(round;R)は、クエリ及び応答に使用される同じ長さの文字列が使われる区間であり、使われる文字列の長さまたはツリーの深さを意味する。ステップ(step)はクエリ及び応答の回数を表す。
【0040】
【表1】

【0041】
RFIDリーダは初期キューに0と1を有する。RFIDリーダはキューにある文字列を一つずつ取り出してプリフィックスとしてクエリする。
【0042】
1Step:RFIDリーダがキューで0を取り出してタグにクエリすれば、タグはこれを自分の有したID(文字列)のMSB(Most Significant Bit)の値と比較する。MSBは文字列の一番目の(左側から)ビットである。RFIDリーダのクエリと自分のMSB値が一致するため、5つのタグの全部が自分のIDで応答する。タグの応答は、一番目のビット値は一致するが、残りのビット値は一致しないため、RFIDリーダがタグの応答を認識できない衝突(collision)が発生する。RFIDリーダは衝突が発生すれば、0に引き続いて0及び1を加えてキューに‘00’及び‘01’を生成する。
【0043】
2Step:RFIDリーダはキューで1を取り出してタグにクエリする。タグはクエリと自分のMSB値が一致しないため応答しない(no response)。応答のない場合、RFIDリーダは何もせず、キューに待機中である次の文字列でクエリを続ける。RFIDリーダは初期キューの0と1を全て使用して1ラウンドを終了し、このとき、ツリーの深さは1となる。
【0044】
3Step:RFIDリーダはキューに待機中である‘00’を取り出してタグにクエリする。タグはMSBから二度目のビットまでの値をRFIDリーダのクエリと比較する。タグはクエリと自分のMSB値が一致しないため応答しない(no response)。
【0045】
4Step:RFIDリーダはキューに待機中である‘01’を取り出してタグにクエリする。5つのタグの全部が応答して衝突が発生する(collision)。RFIDリーダは、01に引き続いて0及び1を加えて、キューに‘010’及び‘011’を生成する。2ラウンドが終了してツリーの深さは2となる。
【0046】
5Step:RFIDリーダはキューに待機中である‘010’をタグにクエリし、ID={01001,01010,01011}であるタグから応答を受けて衝突が発生する(collision)。キューには‘0100’及び‘0101’が生成される。
【0047】
6Step:RFIDリーダはキューに待機中である‘011’をタグにクエリし、ID={01100,01101}であるタグから応答を受けて衝突が発生する(collision)。キューには‘0110’及び‘0111’が生成される。3ラウンドが終了してツリーの深さは3となる。
【0048】
7Step:RFIDリーダはキューに待機中である‘0100’をタグにクエリし、ID={01001}であるタグから応答を受けてタグを認識する(identified)。タグを認識したRFIDリーダはキューに待機中である次の文字列でクエリを続ける。
【0049】
このように、RFIDリーダは、初期キューに文字列0及び1を有し、プリフィックスを伝送して衝突が発生すれば、文字列の長さを1ビット増加させてキューに新しい文字列を生成し、タグから応答がなかったり、一つのタグを認識するようになれば、キューにある次の文字列でクエリを続ける。RFIDリーダはキューに待機中である文字列がなくなる時までクエリを繰り返して全てのタグを認識するようになる。
【0050】
ここではキューに待機中である文字列がなくなる時まで、即ち、5つの全てのタグを認識する時まで、14回のクエリ及び応答が遂行され、ツリーの深さは5となる。
【0051】
以下、逆順クエリツリープロトコル(QTR)でクエリツリーを生成してタグを認識する方法について説明する。
【0052】
図7は、本発明の一実施例に係る逆順クエリツリープロトコルにおいてクエリツリーを示した例示図である。
図7を参照すると、図6と同様に、RFIDリーダの認識領域に5つのタグが位置して、各タグのIDが{01001,01010,01011,01100,01101}であると仮定する。
【0053】
表2は、逆順クエリツリープロトコル(QTR)を用いて5つのタグを全部認識する間クエリ(query)及び応答(response)を表す。ラウンド(round;R)は、クエリ及び応答に使われる同じ長さの文字列が使われる区間であり、使われる文字列の長さまたはツリーの深さを意味する。ステップ(step)はクエリ及び応答の回数を表す。
【0054】
【表2】

【0055】
RFIDリーダは初期キューに0と1を有する。RFIDリーダはキューにある文字列を一つずつ取り出してサフィックスとしてクエリする。タグは自分のIDを逆順にRFIDリーダのサフィックスと比較する。タグはRFIDリーダのサフィックスと逆順IDを比較する。タグのIDをLSBからMSBへの順に読むものを逆順IDという。各タグの逆順ID(reversed ID)は{10010,01010,11010,00110,10110}となる。タグはRFIDリーダのクエリ(サフィックス)を逆順IDと比較し、自分の逆順IDがサフィックスと一致すれば、自分のIDで応答する。
【0056】
下の表3は逆順クエリツリープロトコル(QTR)のアルゴリズムの一例を表す。
【0057】
【表3】

【0058】
RFIDリーダは、初期キューに文字列0及び1を有し、サフィックスを伝送して衝突が発生すれば、文字列の長さを1ビット増加させ、キューに新しい文字列を生成し、タグから応答がなかったり、一つのタグを認識するようになれば、キューにある次の文字列でクエリを続ける。RFIDリーダはキューに待機中である文字列がなくなる時までクエリを繰り返して全てのタグを認識するようになる。
【0059】
逆順クエリツリープロトコル(QTR)に従って、1Step:RFIDリーダがキューで0を取り出してタグにクエリすれば、タグはこれを自分の逆順IDのMSB値と比較する。逆順IDのMSBはIDのLSBに対応する。逆順IDのMSB値が0であるID={01100,01010}であるタグが応答して衝突が発生する(collision)。RFIDリーダは0に引き続いて0及び1を加えてキューに‘00’及び‘01’を生成する。
【0060】
2Step:RFIDリーダがキューで1を取り出してタグにクエリすれば、逆順IDのMSB値が1であるID={01001,01101,01011}であるタグが応答して衝突が発生する(collision)。RFIDリーダは1に引き続いて0及び1を加えてキューに‘10’及び‘11’を生成する。1ラウンドが終了してツリーの深さは1となる。
【0061】
3Step:RFIDリーダがキューに待機中である‘00’を取り出してタグにクエリすれば、逆順IDのMSBから二度目のビットまでの値が00であるID={01100}であるタグから応答を受信してタグを認識する(identified)。
【0062】
4Step:RFIDリーダがキューに待機中である‘01’を取り出してタグにクエリすれば、逆順IDのMSBから二度目のビットまでの値が01であるID={01010}であるタグから応答を受信してタグを認識する(identified)。
【0063】
5Step:RFIDリーダがキューに待機中である‘10’を取り出してタグにクエリすれば、逆順IDのMSBから二度目のビットまでの値が10であるID={01001、01101}であるタグから応答を受信して衝突が発生する(collision)。RFIDリーダは10に引き続いて0及び1を加えてキューに‘100’及び‘101’を生成する。
【0064】
6Step:RFIDリーダがキューに待機中である‘11’を取り出してタグにクエリすれば、逆順IDのMSBから二度目のビットまでの値が11であるID={01011}であるタグから応答を受信してタグを認識する(identified)。2ラウンドが終了してツリーの深さは2となる。
【0065】
7Step:RFIDリーダがキューに待機中である‘100’を取り出してタグにクエリすれば、逆順IDのMSBから三番目のビットまでの値が100であるID={01001}であるタグから応答を受信してタグを認識する(identified)。
【0066】
8Step:RFIDリーダがキューに待機中である‘101’を取り出してタグにクエリすれば、逆順IDのMSBから三番目のビットまでの値が101であるID={01101}であるタグから応答を受信してタグを認識する(identified)。3ラウンドが終了してツリーの深さは3となる。RFIDリーダはキューに待機中である文字列がないため、タグの認識過程を終了する。RFIDリーダが5つの全てのタグを認識する時まで8回のクエリ及び応答が遂行される。
【0067】
逆順クエリツリープロトコル(QTR)が一般的なクエリツリープロトコル(QT)に比べてツリーの深さも少なく、クエリ及び応答の回数も少ない。即ち、逆順クエリツリープロトコル(QTR)を用いて、RFIDリーダはさらに短い時間にRFIDリーダの認識領域にある全てのタグを認識できる。また、逆順クエリツリープロトコル(QTR)で、タグがRFIDリーダのクエリを逆順に認識して応答し、RFIDリーダは一般的なクエリツリープロトコル(QT)でと同じ方式にクエリツリーを生成できるため、RFIDリーダに追加的なプロセッサが必要ない。
【0068】
図8は、一般的なクエリツリープロトコル(QT)及び逆順クエリツリープロトコル(QTR)でクエリメッセージの伝送回数を表したグラフである。
図8を参照すると、タグのIDが連続的(sequent;Seq)である場合と、任意的(random;Rdm)である場合、タグの数に応ずるクエリの数を表す。一般的なクエリツリープロトコル(QT)より逆順クエリツリープロトコル(QTR)の方がクエリの数が少ないため、より一層効果的にタグを認識することができる。
【0069】
複数のタグIDが連続された整数と仮定し、RFIDリーダとタグ間の通信でクエリの数に対して説明する。A={b,b,・・・,bn−1}は同じ長さの文字列の集合とする。キュー(A)は、Aにクエリツリープロトコルが適用されて得られるクエリツリーで定義される。キュー(A)は、Aに応じて決定される。e(A)は、キュー(A)のエッジ(edge)の数、即ち、RFIDリーダによるクエリの数である。数学式1は一般的なクエリツリープロトコル(QT)でRFIDリーダによるクエリの数を表す。数学式2は逆順クエリツリープロトコル(QTR)でRFIDリーダによるクエリの数を表す。
【0070】
【数1】

【0071】
【数2】

【0072】
ここで、AはAの文字列を逆順に読む逆順文字列を意味する。B={d,d,・・・,dn−1}で、b=cd(0=i=n−1)である。cdは文字列cに続いてdがついて形成される文字列である。HはタグIDの長さ、hはdの長さ、nはタグIDの数を表す。e(B)=2(n−1)n個のタグIDに対した最小限のクエリの数を意味する。従って、e(B)=e(B)とし、e(A)=e(A)となる。即ち、逆順クエリツリープロトコル(QTR)におけるクエリの数が一般的なクエリツリープロトコル(QT)におけるクエリの数より少ない。
【0073】
図9は、一般的なクエリツリープロトコル(QT)及び逆順クエリツリープロトコル(QTR)で伝送されるビット数を表したグラフである。
図9を参照すると、タグのIDが連続的(Seq)である場合にタグの数に応じて伝送されるビット数を表す。一般的なクエリツリープロトコル(QT)より逆順クエリツリープロトコル(QTR)の方が、伝送ビット数が少ないため、より一層効果的にタグを認識することができる。
【0074】
逆順クエリツリープロトコルは、EPCコードのように同じ会社ID、製品IDなどがタグIDの前部を占めて、後部にシリアルナンバがつく時、少ない数のクエリで多くの数のタグを効率的に認識するものとして使用することができる。よって、類似のIDを有するタグが多く使われる供給業体で連続的なIDのタグが付着された物品を管理する時に効率的に使用することができる。
【0075】
以上、タグが有するIDの長さを5ビットとして例を上げたが、これは例示に過ぎず、タグIDの長さには制限がない。また、タグのIDを二進数で表現したが、これに限定されず、タグのIDを本実施例とは異なる方法で表現しても逆順クエリツリープロトコルは同一に適用することができる。
【0076】
以上、本発明について実施例を参照して説明したが、該当技術分野における通常の知識を有した者は、本発明の技術的思想及び領域から外れない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させて実施することが可能である。従って、上述した実施例に限定することなく、本発明は特許請求範囲の範囲内の全ての実施例を含む。
【符号の説明】
【0077】
10、100 RFIDリーダ
20、200 タグ
110 アンテナ
120 通信部
130 格納部
140 インターフェース部
150、260 制御部
210 受信アンテナ
220 送信アンテナ
230 復調部
240 RF-DC(Radio Frequency−Direct Current)整流部
250 変調部
270 ID格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDリーダとタグ間のクエリ応答に応じてクエリツリーを生成して上記タグを認識するタグ認識方法において、
上記RFIDリーダが上記タグでクエリメッセージを伝送する段階;及び、
上記タグから上記クエリメッセージに対する応答メッセージを受信する段階を含み、上記タグが有する文字列(string)の逆順に上記クエリツリーを生成するタグ認識方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記クエリメッセージは、上記文字列のサフィックス(suffix)であるタグ認識方法。
【請求項3】
請求項2において、
上記応答メッセージが、他のタグからの応答メッセージと衝突が発生すれば、上記RFIDリーダは、上記サフィックスに追加文字を加えた文字列をキュー(queue)に生成させるようにするタグ認識方法。
【請求項4】
請求項1において、
上記タグは、上記文字列のLSB(Least Significant Bit)からMSB(Most Significant Bit)への順に上記クエリメッセージと上記文字列を比較して上記応答メッセージを伝送するタグ認識方法。
【請求項5】
請求項1において、
上記タグは、自分のID(IDentifier)に対する逆順IDを生成して上記クエリメッセージと比較するタグ認識方法。
【請求項6】
RFIDリーダから第1のサフィックスを受信し;
上記第1のサフィックスをタグIDと逆順に比較して第1の応答メッセージを伝送し;
上記第1の応答メッセージを伝送した後、上記第1のサフィックスより長い第2のサフィックスを受信し;及び、
上記第2のサフィックスを上記タグIDと逆順に比較して第2の応答メッセージを伝送するタグの衝突防止方法。
【請求項7】
請求項6において、
上記第1のサフィックスは、上記タグのIDのLSBからm番目ビットまでの文字列であり、上記第2のサフィックスは、上記タグのIDのLSBからn番目ビットまでの文字列であり、上記“n>m”であり、上記“nとm>0である整数”であるタグの衝突防止方法。
【請求項8】
RFIDリーダからのクエリメッセージを受信して復調する復調部;
上記クエリメッセージに含まれた文字列とタグIDを逆順に比較して一致すれば、応答メッセージを生成する制御部;及び、
上記応答メッセージを変調して伝送する変調部を含むことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項9】
請求項8において、
上記応答メッセージは上記タグIDであるRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−507877(P2010−507877A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549014(P2009−549014)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006094
【国際公開番号】WO2009/088153
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(507415303)チュン−アン ユニバーシティー インダストリー−アカデミー コーポレーション ファンデーション (4)
【Fターム(参考)】