説明

タグシステムおよびタグ

【課題】リーダーライターとタグおよびタグ同士の双方の通信を可能とする。
【解決手段】固有のIDを有するタグ10−1〜10−14とリーダーライター装置20とを有し、複数のタグは第1タグまたは第2タグとして動作し、第1タグは第2タグとの間でタグ間通信を行う場合に、自己および第2タグに対して固有のIDとは異なるタグ間通信用のIDをそれぞれ付与する付与手段(制御回路14)と、第2タグに対してタグ間通信用のIDを送信する送信手段(RF送受信回路22)と、タグ間通信用のIDに基づいて第2タグとタグ間通信する第1通信手段(RF送受信回路22)と、を有し、第2タグは第1タグにより付与されたタグ間通信用のIDを受信する受信手段(RF送受信回路22)と、タグ間通信用のIDに基づいて第1タグとタグ間通信する第2通信手段(RF送受信回路22)とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグシステムおよびタグに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、タグ間で通信を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−18166号公報
【特許文献2】特開2008−97585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1,2に開示される技術では、各タグは、タグ同士の通信と、リーダーライターとの通信の双方に対応することができないという問題点がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、タグ同士の通信と、リーダーライターとの通信の双方に対応することが可能なタグシステムおよびタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、固有のIDを有する複数のタグと、前記固有のIDを用いて前記複数のタグとの間で通信を行うリーダーライターと、を有するタグシステムにおいて、前記複数のタグは第1タグまたは第2タグのいずれかとして動作し、前記第1タグは、前記第2タグとの間でタグ間通信を行う場合に、自己および前記第2タグに対して、前記固有のIDとは異なる、タグ間通信用のIDをそれぞれ付与する付与手段と、前記第2タグに対してタグ間通信用のIDを送信する送信手段と、前記タグ間通信用のIDに基づいて前記第2タグとタグ間通信する第1通信手段と、を有し、前記第2タグは、前記第1タグにより付与されたタグ間通信用のIDを受信する受信手段と、前記タグ間通信用のIDに基づいて前記第1タグとタグ間通信する第2通信手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、タグ同士の通信と、リーダーライターとの通信の双方に対応することが可能なタグシステムを提供できる。
【0006】
また、他の発明は、上記発明において、前記複数のタグは、タグ間通信の実行を要求する際に操作される操作部材を有し、当該操作部材が操作された場合に、前記第1タグとして動作することを特徴とする。
この構成によれば、操作部材を操作することにより、タグ間通信モードへ移行できるので、ユーザーの所望のタイミングでタグ間通信を実行することができる。
【0007】
また、他の発明は、上記発明において、前記タグ間通信用のIDは、前記固有のIDよりも短い語長とされていることを特徴とする。
この構成によれば、タグ間通信用IDの語長を短くすることで、信号におけるIDの相対的な情報量を減少させ、情報の伝送効率を高めることができる。
【0008】
また、他の発明は、上記発明において、前記リーダーライターとの通信は固定語長の信号によって実行され、前記タグ間通信は可変語長の信号によって実行されることを特徴とする。
この構成によれば、伝送しようとする情報に応じた長さの信号によって通信を行うことができるので、情報の伝送効率を高めることができる。
【0009】
また、他の発明は、上記発明において、前記第1および前記第2タグは、信号の先頭近傍に付された所定の情報の有無によって、タグ間通信用の信号であるか否かを判定することを特徴とする。
この構成によれば、信号の受信開始から早い時点で、タグ間通信用の信号か否かの判定ができるので、自己宛の信号か否かを迅速に判定できる。
【0010】
また、他の発明は、上記発明において、前記第1および前記第2タグは、所定の条件に該当する場合には、タグ間通信を終了し、前記リーダーライターとの間の通信を実行することを特徴とする。
この構成によれば、所定の条件に該当する場合には、タグ間通信からリーダーライターとの通信に戻るので、タグが通信不能な状態に陥ることを防止できる。
【0011】
また、他の発明は、上記発明において、前記所定の条件は、所定の時間以上タグ間通信が実行されない場合、所定の回数以上タグ間通信が成功しない場合、または、タグ間通信を終了する指示がなされた場合であることを特徴とする。
この構成によれば、前述したいずれかの条件に該当する場合には、リーダーライターとの通信に復帰するので、タグが通信不能な状態に陥ることを防止できる。
【0012】
また、他の発明は、上記発明において、前記第1タグは、通信を開始する権限を有し、当該権限を前記第2タグに移転することが可能であることを特徴とする。
この構成によれば、通信を開始する権限を移転可能とすることにより、任意のタグが通信を開始することが可能となる。
【0013】
また、本発明は、固有のIDを有し、当該固有のIDを用いてリーダーライターと通信を行うことが可能なタグにおいて、他のタグとの間でタグ間通信を行う場合に、自己および前記他のタグに対して、前記固有のIDとは異なる、タグ間通信用のIDをそれぞれ付与する付与手段と、前記他のタグに対してタグ間通信用のIDを送信する送信手段と、前記タグ間通信用のIDに基づいて前記他のタグとタグ間通信する第1通信手段と、前記他のタグにより付与されたタグ間通信用のIDを受信する受信手段と、前記タグ間通信用のIDに基づいて前記他のタグとタグ間通信する第2通信手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、タグ同士の通信と、リーダーライターとの通信の双方に対応することが可能なタグを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(A)実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係るタグシステムの構成例を示す図である。この図に示すように、タグシステムは、タグ10−1〜10−14、リーダーライター装置20、ネットワーク30、および、サーバー装置40を有している。ここで、タグ10−1〜10−14は、例えば、社員証程度の大きさのカード形状を有し、図1に示すタグシステムが配置されている企業の各構成員によって所有され、リーダーライター装置20との間の通信(通常通信)によって、情報を授受することができるとともに、他のタグとの間の通信(タグ間通信)により、他のタグとの間で情報を授受することができる。リーダーライター装置20は、例えば、オフィスに配置され、所定の広さを有する通信エリア内に存在するタグ10−1〜10−14との間で情報を授受する。なお、図1の例では、リーダーライター装置20は、1台しか示していないが、実際にはオフィスの規模等に応じて複数の台数が配置されている。また、タグ10−1〜10−14についても14台には限定されない。ネットワーク30は、例えば、LAN(Local Area Network)によって構成され、リーダーライター装置20とサーバー装置40との間で情報を伝送する。サーバー装置40は、各リーダーライター装置の通信エリア内に存在するタグをデータベースに登録することにより、各タグの所在位置を管理する。
【0016】
図2は、図1に示すタグ10−1〜10−14の構成例を示す図である。なお、タグ10−1〜10−14は、同様の構成とされているので、以下では、これらをタグ10としてまとめて説明する。図2に示すように、タグ10は、アンテナ11、RF(Radio Frequency)送受信回路12、バッテリー13、制御回路14、表示部15、操作部16、メモリー17、および、タイマー18を有している。
【0017】
ここで、アンテナ11は、例えば、ループアンテナによって構成され、リーダーライター装置20または他のタグから送信された交番磁界を電気信号に変換してRF送受信回路12に供給するとともに、RF送受信回路12から供給された信号を交番磁界に変換してリーダーライター装置20または他のタグに対して放射する。RF送受信回路12は、制御回路14に制御され、リーダーライター装置20が近くに存在し、これとの間で通信が可能である場合には、アンテナ11を介してリーダーライター装置20との間で情報を送受信する。また、他のタグとの間でタグ間通信を行う場合には、アンテナ11を介して他のタグとの間で情報を送受信する。
【0018】
バッテリー13は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池によって構成され、装置の各部に電源電力を供給する。なお、バッテリー13は、リーダーライター装置20から送信された交番磁界を受信して整流することよって得られる直流電力によって充電される。なお、二次電池の代わりにスーパーキャパシタを用いたり、二次電池ではなく一次電池を用いたりしてもよい。制御回路14は、メモリー17に格納されている制御プログラム56(図3参照)に基づいて装置の各部を制御するとともに、通信プロトコルの制御等を行う。表示部15は、例えば、EPD(Electrophoretic Display)によって構成され、制御回路14から供給された情報を表示する。操作部16は、例えば、キーデバイスによって構成され、ユーザーの操作に応じた情報を生成して出力する。メモリー17は、例えば、半導体メモリーによって構成され、制御回路14から供給されたデータを記憶するとともに、記憶されたデータを読み出して制御回路14に供給する。タイマー18は、日時情報を生成して出力するとともに、制御回路14によって設定された所定の時間が経過した場合には割り込みを発生する。
【0019】
図3は、図2に示すメモリー17に格納されている情報の一例を示す図である。この図3に示すように、メモリー17に格納されている情報50としては、固有ID(Identification)51、タグ間通信用ID52、動作モード識別子53、イニシエーターフラグ54、対応テーブル55、および、制御プログラム56が主に存在する。ここで、固有ID51は、各タグに付与されたユニークな識別番号であり、例えば、32ビットのデータによって構成され、リーダーライター装置20と通信を行う際には、当該固有ID51によって各タグが識別される。タグ間通信用ID52は、タグ間通信を実行する際に各タグを識別するために用いられる識別番号であり、例えば、4ビットのデータによって構成される。動作モード識別子53は、例えば、1ビットのデータによって構成され、動作モードがタグ間通信モードであるか、または、通常モードであるかを示す。イニシエーターフラグ54は、例えば、1ビットのデータによって構成され、タグ間通信の開始権限を有するイニシエーターであるか否かを示す。対応テーブル55は、図4を参照して後述するように、タグ間通信を実行する場合に、通信相手となるタグの固有ID51と、タグ間通信用ID52とを対応付けて格納するテーブルである。制御プログラム56は、装置の各部を制御するためのプログラムであり、当該制御プログラム56を実行することにより、後述する図8の処理その他が実行される。なお、固有ID51は、書き換え不能とされ、それ以外の情報については、必要に応じて書き換えまたは消去がなされる。
【0020】
図4は、図3に示す対応テーブル55の一例を示している。この図4に示すように、対応テーブル55は、タグ間通信の通信相手となるタグが有する固有IDと、当該タグに付与されたタグ間通信用IDとを対応付けて格納している。具体的には、第1番目の情報の場合では、固有IDは32ビットの16進数データとしての「FFFFFF01」とされ、タグ間通信用IDは4ビットの16進数データとしての「01」とされている。なお、第1番目のデータは、通信を開始したタグの固有IDとタグ間通信用IDであり、第2番目以降のデータは、通信相手となる他のタグの固有IDとタグ間通信用IDである。
【0021】
図5は、図1に示すリーダーライター装置20の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、リーダーライター装置20は、アンテナ21、RF送受信回路22、制御回路23、メモリー24、および、I/F(Interface)25を有している。ここで、アンテナ21は、タグ10と同様にループアンテナによって構成され、タグ10から送信された交番磁界を電気信号に変換してRF送受信回路22に供給するとともに、RF送受信回路22から供給された信号を交番磁界に変換してタグ10に対して放射する。RF送受信回路22は、制御回路23に制御され、タグ10が近くに存在し、これとの間で通信が可能である場合には、アンテナ21を介してタグ10との間で情報を送受信する。制御回路23は、メモリー24に格納されている制御プログラムに基づいて装置の各部を制御する。メモリー24は、例えば、半導体メモリーによって構成され、制御回路23が実行する制御プログラム等を記憶している。I/F25は、ネットワーク30を介してサーバー装置40との間で情報を授受する際に、データの表現形式を適宜変換する。
【0022】
図6は、図1に示すサーバー装置40の詳細な構成例を示すブロック図である。この図6に示すように、サーバー装置40は、I/F41、制御回路42、ROM(Read Only Memory)43、RAM(Random Access Memory)44、および、HDD(Hard Disk Drive)45を有している。ここで、I/F41は、ネットワーク30を介してリーダーライター装置20との間で情報を授受する際に、データの表現形式を適宜変換する。制御回路42は、ROM43またはHDD45に記憶されている制御プログラムに基づいて装置の各部を制御する。ROM43は、制御回路42が実行する基本的なプログラムまたはデータを記憶している。RAM44は、制御回路42がプログラムを実行する際のワーキングエリアとして機能する。HDD45は、制御回路42が実行する制御プログラムおよびデータを記憶するとともに、リーダーライター装置20と、当該リーダーライター装置20の通信圏内に属するタグとを対応付けしたテーブルを記憶している。
【0023】
(B)実施形態の動作の説明
つぎに、本実施形態の動作について説明する。以下では、まず、(1)通常モードにおけるタグ10とリーダーライター装置20との間の通信動作について説明し、つぎに、(2)タグ間通信モードにおけるタグ間の通信動作について説明する。
【0024】
(B−1)通常モードにおける動作
通常モードでは、リーダーライター装置20は、周辺に存在するタグ10に対して一定の時間間隔で一斉に読み出し信号を送信するブロードキャスト動作を実行しており、リーダーライター装置20からの交番磁界が到達可能な範囲に存在するタグ10は、アンテナ11を介してRF送受信回路12によって当該読み出し信号を受信し、これに応答する処理を実行する。より具体的には、タグ10の制御回路14は、当該読み出し信号を受信した場合、メモリー17から固有ID51を読み出し、RF送受信回路12を介してリーダーライター装置20に対して送信する。図7(A)は、タグ10から送信される信号のフォーマットの一例を示す図である。この例では、タグ10から送信される信号60は、同期ビット61、固有ID62、データ63、および、同期ビット64を有している。ここで、同期ビット61は、例えば、5ビットの情報量を有し、信号の開始を示すとともに、この同期ビット61に基づいてタグ10およびリーダーライター装置20が通信のタイミングを同期させる。固有ID62は、各タグが有する固有ID51であり、例えば、32ビットの情報量を有する。データ63は、タグ10からリーダーライター装置20に送信する実データであり、固定長のデータである。同期ビット64は、例えば、5ビットの情報量を有し、信号の終了を示すとともに、この同期ビット64に基づいてタグ10およびリーダーライター装置20が通信を同期させる。
【0025】
タグ10のこのような応答は、複数のタグ10で同時に実行されるため、応答が競合する場合も生じるが、そのような場合には、リーダーライター装置20は、交番磁界の強度が最も高い(最も近くに存在する)タグ10からの応答を受信し、固有IDを取得する。リーダーライター装置20は、受信に成功したタグ10に対しては、ブロードキャストに対して応答しないように指示するので、複数のタグ10が存在する場合であっても、リーダーライター装置20からの距離が近い順に、各タグ10の応答が順次受信される。
【0026】
リーダーライター装置20の制御回路23は、以上のようにして受信した各タグ10からの応答に含まれている固有IDと、メモリー24に格納されている自己のID(リーダーライター装置20に付与されたID)とを、I/F25を介してサーバー装置40に送信する。サーバー装置40では、制御回路42がI/F41を介して当該情報を受信し、HDD45のテーブルにリーダーライター装置20のIDと、当該リーダーライター装置20の通信エリアに属しているタグ10の固有IDとを対応付けて格納する。
【0027】
以上のような動作を一定の頻度で実行することにより、リーダーライター装置20と、それぞれのリーダーライター装置20の通信エリア内に存在するタグ10との対応関係を示すテーブルを生成し、常に最新の状態に保つことができる。なお、各リーダーライター装置20が設置されている場所は予め分かっていることから、各タグ10を有するユーザーがどこに存在しているかを知ることができる。また、ユーザー毎に、このような履歴を作成することにより、各ユーザーの行動履歴を作成することもできる。
【0028】
(B−2)タグ間通信モードにおける動作
つぎに、タグ間通信モードにおける動作について説明する。以下では、一例として、タグ10−1とタグ10−2との間でタグ間通信を行う場合においてタグ10−1,10−2でそれぞれ実行される処理について説明する。
【0029】
図8は、タグ10−1とタグ10−2において実行される処理の流れを説明するフローチャートである。まず、タグ10−1とタグ10−2とがお互いに通信可能な距離(例えば、数メートル以内)に接近されるとともに、タグ10−1のユーザーが操作部16を操作し、タグ10−2との間におけるタグ間通信の実行を指示したとすると、タグ10−1の制御回路14は、ステップS10において、タグ間通信が指示されたと判定し(ステップS10;Yes)、ステップS11に進む。なお、指示がされていないと判定した場合(ステップS10;No)には、同様の処理を繰り返す。
【0030】
ステップS11では、タグ10−1の制御回路14は、タグ間通信マスターモードに移行する。ここで、タグ間通信マスターモードとは、タグ間通信を行う動作モードにおいて、他のタグを制御するマスターとして動作するモードである。なお、本実施形態では、これ以外の動作モードとして、タグ間通信スレーブモードおよび通常モードが存在する。タグ間通信スレーブモードとは、タグ間通信を行う動作モードにおいて、マスターに制御されて従属的に通信するスレーブとして動作するモードである。通常モードとは、前述したように、リーダーライター装置20との間で通信を行うモードである。タグ間通信マスターモードに移行すると、制御回路42は、動作モード識別子53を通常モードを示す「00」から、タグ間通信マスターモードを示す「01」に変更する。また、イニシエーターフラグ54を「0」から「1」に変更する。なお、本実施形態では、タグ間通信を開始する要求を行ったタグ(いまの例ではタグ10−1)がマスターとなるとともに、イニシエーターとなる。
【0031】
ステップS12では、タグ10−1の制御回路14は、自己の周辺に存在するタグ10に対してタグ間通信の呼びかけを行うための周辺インターロゲート信号を送信する。周辺インターロゲート信号の送信の際には、送信に先立ち、RF送受信回路12による受信動作を実行してリーダーライター装置20または他のタグ10から信号が送信されていないかを確認し、送信されていないことが確認された場合には周辺インターロゲート信号を送信する。なお、周辺インターロゲート信号は、図7(A)に示す信号60と同様のフォーマットを有しており、少なくとも以下の情報を有する。
(1)ブロードキャストアドレス(ブロードキャストを示す特定のアドレス値)
(2)リードまたはライトを指示するコマンド
(3)リード先またはライト先を指定するアドレス
(4)必要に応じたデータ
なお、周辺インターロゲート信号を、通常のブロードキャスト信号から弁別するために、例えば、(1)のブロードキャストアドレスを、通常のブロードキャストアドレスとは異なる特別なブロードキャストアドレスとしたり、あるいは、(3)のアドレスを、タグ間通信用に予約された特定のアドレスとしたりするようにしてもよい。これらの方法により、周辺インターロゲート信号を、通常のブロードキャスト信号から容易に弁別することができる。
【0032】
ステップS12においてタグ10−1から送信された周辺インターロゲート信号は、タグ10−1と通信可能な位置に存在し、かつ、通常モードで受信待ち状態のタグ10−2によって受信される(ステップS30)。周辺インターロゲート信号を受信したタグ10−2の制御回路14は、自己の固有IDを含むタグ間アクノレッジ信号を返信する(ステップS31)。ここで、タグ間アクノレッジ信号は、図7(A)に示す信号60と同様のフォーマットを有しており、自己の固有IDのみを有する信号である。
【0033】
ステップS13において、タグ10−1は、タグ10−2から送信されたタグ間アクノレッジ信号を受信する。そして、タグ10−1の制御回路14は、受信したタグ間アクノレッジ信号から、通信相手であるタグ10−2の固有IDを抽出する。例えば、タグ10−2の固有IDが「FFFFFF02」である場合には、当該固有IDが取得される。
【0034】
ステップS14では、タグ10−1の制御回路14は、タグ間アクノレッジ信号を返信したタグ10−2に対してタグ間通信用IDを付与するとともに、自己に対してもタグ間通信用IDを付与する。より詳細には、タグ10−1の制御回路14は、自己に対してはタグ間通信用IDとしてマスターを示す「1」を付与し、自己のタグ間通信IDと、自己の固有IDとを対応付けして図4に示す対応テーブル55に格納する。例えば、タグ10−1の固有IDが「FFFFFF01」である場合には、当該固有IDと、タグ間通信用IDとしての「1」が図4に示すように格納される。また、制御回路14は、タグ10−2に対してタグ間通信用IDとしてスレーブを示す「2」を付与する。なお、スレーブに対しては、例えば、2〜14のタグ間通信用IDのいずれかが付与される。
【0035】
ステップS15では、タグ10−1の制御回路14は、タグ10−2に対してタグ間通信開始信号を送信する。ここで、タグ間通信開始信号は、図7(A)と同様のフォーマットを有するとともに、以下の情報を有している。
(1)タグ10−2の固有ID(いまの例では、FFFFFF02)
(2)書き込みコマンド(タグ間通信用IDを記憶するように指示するコマンド)
(3)タグ間通信用IDを記憶するアドレス(図3のタグ間通信用ID52のアドレス)
(4)タグ間通信用IDを含むデータ(タグ間通信用IDである「2」を含むデータ)
【0036】
タグ10−2は、タグ10−1から送信されたタグ間通信開始信号を受信し(ステップS32)、自己の固有IDが含まれていることから、自己宛の信号であると判定する。そして、タグ10−2の制御回路14は、当該信号がタグ間通信開始信号であると判断し、タグ間通信スレーブモードに移行する(ステップS33)。タグ間通信スレーブモードに移行すると、制御回路42は、動作モード識別子53を通常モードを示す「00」から、タグ間通信スレーブモードを示す「10」に変更する。また、イニシエーターには該当しないので、イニシエーターフラグ54は「0」にする。
【0037】
タグ間通信スレーブモードへの移行が完了すると、タグ10−2の制御回路14は、タグ10−1に対してタグ間通信アクノレッジ信号を送信する(ステップS34)。ここで、タグ間通信アクノレッジ信号は、図7(B)に示す信号70と同様のフォーマットを有する。この例では、タグ10−2から送信される信号70は、同期ビット71、タグ間通信プリフィックス(E)72、タグ間通信用ID73、データ長74、データ75、および、同期ビット76を有している。ここで、同期ビット71は、例えば、5ビットのデータ量を有し、信号の開始を示すとともに、この同期ビット71に基づいてタグ同士が通信を同期させる。タグ間通信プリフィックス72は、固有ID62の先頭4ビットでは使用されていない、4ビットの情報(この例では「E」=1110)によって構成され、当該タグ間通信プリフィックス72が同期ビット71の次に存在することを検出することで、タグ間通信信号であることが認識できる。タグ間通信用ID73は、タグ間通信において使用されるIDであり、タグ間通信マスターには「1」が付与され、タグ間通信スレーブには「2」〜「14」の何れかが付与される。データ長74は、例えば、8ビットの情報であり、その後に格納されるデータの長さを1〜256バイトの間で指定する。すなわち、データ長74の値が「0」である場合には「1」バイトのデータが格納され、データ長74の値が「255(=FF)」である場合には「256」バイトのデータが格納されることが示される。データ75は、1〜256バイトの可変長のデータである。同期ビット76は、例えば、5ビットのデータ量を有し、信号の終了を示すとともに、この同期ビット76に基づいてタグ同士が通信を同期させる。
【0038】
タグ10−1は、ステップS16において、タグ10−2から送信されたタグ間通信アクノレッジ信号を受信する。より詳細には、タグ10−1は、受信待ち状態において、タグ10−2から送信されたタグ間通信アクノレッジ信号を受信すると、同期ビット71において同期を図る。そして、タグ間通信プリフィックス72を受信した時点で、タグ間通信信号であることを認識するので、タグ間通信プリフィックス72に続くタグ間通信用ID73から、送信元のタグであるタグ10−2を特定する。つづいて、データ長74を参照することで、タグ10−2から送信されたデータのデータ長を特定し、データ75を受信する。つづいて、同期ビット76を受信することにより、データの受信を終了する。このようにして、タグ間通信アクノレッジ信号を受信すると、タグ10−1の制御回路14は、タグ10−2の固有ID(=FFFFFF02)と、タグ間通信用ID(=2)とを対応付けて、図4に示す対応テーブル55に格納する。これ以降は、当該対応テーブル55を参照することにより、通信相手のタグの固有IDとタグ間通信IDとの対応関係を知ることができる。
【0039】
ところで、タグ間通信開始およびタグ間通信アクノレッジが正常に受信できない場合には、タグ10−1はリトライ動作を実行する。具体的には、タグ10−1は、以下の2種類の原因を想定する。
(1)相手のタグ10−2は、タグ間通信スレーブモードに既に移行しているが、タグ間通信アクノレッジ信号の送信または受信が正常に実行できなかった。
(2)相手のタグ10−2に、タグ間通信開始信号が正常に伝わっていない。
タグ10−1は、まず、(1)が原因であると想定して、図7(B)に示すタグ間通信のフォーマットにより、タグ10−2に対して応答するように要求を行い、応答がなされた場合にはタグ間通信アクノレッジ信号を受信したとみなしてタグ間通信処理に移行する。一方、応答がなされない場合には、所定の回数だけ同様の処理を繰り返し、応答がなされた場合には、タグ間通信アクノレッジ信号を受信したとみなしてタグ間通信処理に移行し、それ以外の場合には、(2)が原因であると想定を変更して、図7(A)に示す通常のフォーマットにより、タグ間通信開始信号送信し、タグ10−2からタグ間通信アクノレッジ信号を受信した場合には、正常と判定してタグ間通信処理に移行する。なお、それでもタグ間通信アクノレッジ信号を受信できない場合には、所定の回数だけタグ間通信開始信号を送信し、その結果、タグ間通信アクノレッジ信号を受信した場合には正常と判定し、それ以外の場合には異常であると判定して、警告を行うとともに、処理を終了する。
【0040】
タグ10−1が、タグ10−2から送信されたタグ間通信アクノレッジ信号を受信した後は、タグ間通信処理がタグ10−1およびタグ10−2において実行され(ステップS17およびステップS35)、図7(B)に示す信号70に基づいてこれらのタグの間で情報が送受信される。詳細には、タグ10−1からタグ10−2に信号を送信する場合には、図7(B)のタグ間通信用ID73として「2」が付与され、所定のデータと、当該データのデータ長とがデータ75およびデータ長74としてそれぞれ格納された信号が送信される。タグ10−2は、当該信号のタグ間通信プリフィックス72によってタグ間通信であることを認識し、その後に続くタグ間通信用ID73が「2」であることから自己宛の信号であると判断して受信する。そして、データ長74を参照してその後に続くデータ75のデータ長を特定し、特定された結果に基づいてデータを抽出する。抽出されたデータは、例えば、タグ10−2のメモリー17に格納されるとともに、制御回路14による解析が実行され、該当する動作が実行される。例えば、当該動作が、タグ10−1に対する応答である場合には、タグ10−2の制御回路14は、図7(B)に示す信号のタグ間通信用ID73としてタグ10−1のタグ間通信IDである「1」を格納するとともに、必要に応じたデータと当該データのデータ長とをデータ75およびデータ長74として格納した信号を返信する。このようにしてタグ10−2によって送信された信号は、タグ10−1により、前述の場合と同様の動作により、受信される。なお、具体的な動作例としては、例えば、タグ10−1のユーザーとタグ10−2のユーザーとの間で、個人情報(例えば、氏名、所属部署名、内線番号、メールアドレス等)を交換する際に、タグ10−1のユーザーがタグ10−1の操作部16を操作してタグ間通信モードに移行し、当該タグ間通信モードにおいて前述した情報を送受信することができる。このようにして交換した情報は、例えば、操作部16を操作することにより、表示部15に表示させることができる。また、図示せぬパーソナルコンピューターのインターフェースにタグ10を接続し、得られた情報を前述の場合と同様に、タグ間通信によってパーソナルコンピューターに転送することにより、情報をパーソナルコンピューターに読み込むことができる。なお、タグ間通信においては、イニシエーターフラグが「1」にセットされているタグが送信開始権限を有するので、いまの例では、イニシエーターフラグが「1」であるタグ10−1が送信開始を行う。
【0041】
そして、タグ10−1またはタグ10−2の操作部16が操作されて、タグ間通信を終了することが指示された場合には、タグ間通信を終了する(ステップS17およびステップS36においてYes)と判定し、通常モードへ移行する(ステップS19およびステップS37)。その際、タグ10−1の制御回路14は、動作モード識別子53をタグ間通信マスターモードを示す「01」から、通常モードを示す「00」に変更するとともに、イニシエーターフラグ54を「1」から「0」に変更する。また、必要に応じてタグ間通信用ID52および対応テーブル55をクリアする。また、タグ10−2の制御回路14は、動作モード識別子53をタグ間通信スレーブモードを示す「10」から、通常モードを示す「00」に変更する。また、必要に応じてタグ間通信用ID52をクリアする。そして、タグ10−1およびタグ10−2が通常モードに移行すると、図7(A)に示すフォーマットの信号によってリーダーライター装置20との間で情報が送受信される。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態では、タグ間通信を行う場合には、タグ間通信専用のIDを用いて通信を行うようにした。このため、タグ間通信と、リーダーライター装置20との間の通信を、当該IDに基づいて簡単に峻別することができるので、リーダーライター装置20が存在する環境下であっても、通信を混信させることなく、タグ間とリーダーライター間で通信を行うことができる。また、タグ間通信と通常通信のモードを切り換えることにより、タグ間通信と通常通信の動作を両立させ、自由度が高いシステムを構築することができる。
【0043】
また、本実施形態では、タグ間通信用IDとして1〜14の値を予め割り当て、タグ間通信の要求がなされた場合には、これらの中からタグ間通信用IDを選択して付与するようにした。タグ間通信用IDと、通常通信のID(固有ID)は、同じフィールドが用いられるため、このようにタグ間通信用IDの個数を限定することにより、通常通信で使用されるIDの個数が大幅に減少することを防止できる。すなわち、タグ間通信では、通常は2〜10個程度のタグの間で通信が行われることから必要なIDの種類は多くても数十種類であり、一方、通常通信で使用される固有IDは、例えば、数百〜数万程度の数が必要である。このため、タグ間通信用IDとして妥当な個数のIDを予め割り当てることにより、IDの資源を有効に利用することができる。
【0044】
また、本実施形態では、プリフィックスとして固有IDの先頭には使用されない「E」を用いるようにした。これにより、タグおよびリーダーライター装置20は、プリフィックス「E」を受信した時点でタグ間通信用IDと認識することができるので、例えば、通常モードのタグ10およびリーダーライター装置20は、当該信号を自己宛てではないと早期に判断することができる。また、タグ間通信中のタグは、自己宛か否かの判断状態に入ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、プリフィックス(4ビット)とタグ間通信用IDの双方で、8ビット程度の情報となるようにしたので、固有IDに割り当てられている32ビットに比べて、IDに割かれる情報量を少なくすることができる。これにより、情報の伝達効率(送信しようとする情報の全体に対する割合)を向上させることができるので、バッテリー13の消費を抑えることが可能になる。また、本実施形態では、データを可変データ長とするようにしたので、情報の伝達効率を更に向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、操作部16が操作された場合に、タグ間通信モードに移行するとともに、操作部16の操作により、通常モードに復帰するようにしたので、ユーザーの要求に応じて所望のタイミングでタグ間通信モードおよび通常モードに移行することができる。
【0047】
(C)変形実施の態様
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
たとえば、以上の実施形態では、1対1のタグ間通信を例に挙げて説明したが、1対複数のタグ通信に適用することも可能である。具体的には、図8のステップS12〜S16およびステップS30〜S34の処理を、タグ間通信を行おうとするタグとの間で繰り返し実行することにより、1対複数のタグ間通信が可能になる。例えば、タグ10−1とタグ10−2〜10−14の間で1対13のタグ間通信を行う場合には、図4に示すような対応テーブル55が作成され、タグ10−1とタグ10−2〜10−14の間での通信が実行される。なお、1対複数のタグ間通信が確立されている状態においては、(1)タグ10−1がタグ10−2〜10−14に対してブロードキャストによって通信を行う動作と、(2)タグ10−1がタグ10−2〜10−14の中から1または複数のタグを選択して通信を行う動作の2種類の通信が可能である。なお、後者の場合には、例えば、タグ10−1がタグ10−2〜10−14とタグ間通信を確立する際に、タグ10−2〜10−14から個人情報(例えば、ユーザーの氏名)を取得し、当該氏名を表示部15に一覧表示し、通信相手となるタグを、ユーザーの氏名を参照して特定するようにしてもよい。具体的には、タグ10−2〜10−14のユーザーの氏名が「○○○○」、「××××」、・・・、「△△△△」である場合には、図4に示す対応テーブル55にこれらのユーザーの氏名を併せて登録しておくとともに、これらを表示部15に一覧表示してこの中から所望のユーザーの氏名が1または複数選択された場合には、当該氏名に対応するタグ間通信IDを取得して通信相手を特定するようにしてもよい。なお、1対複数の通信において、マスターで通信を終了する操作がなされた場合には、全てのタグ間通信を終了し、いずれかのスレーブで通信を終了する操作がなされた場合には、全てのタグ間通信を終了するか、または、当該タグだけがタグ間通信を終了し、それ以外のタグは通信を継続するようにできる。例えば、スレーブであるタグ10−2〜10−14のうち、タグ10−2においてタグ間通信を終了する操作がなされた場合には、タグ10−1とタグ10−3〜10−14の間のタグ間通信が維持された状態で、タグ10−2が通常モードに移行するようにしたり、あるいは、タグ10−1〜10−14の全てが通常モードに移行したりするようにしてもよい。
【0048】
また、以上の実施形態では、イニシエーターとなるタグは固定としたが、例えば、イニシエーターの権限を移転できるようにしてもよい。具体的には、例えば、イニシエーターのタグにおいて、イニシエーターとしての権限(送信開始を行う権限)を、所定のスレーブに移転する操作がなされた場合には、当該タグにおいてイニシエーターフラグ54をクリアし、移転する相手のタグに対してイニシエーターフラグ54を「1」にセットさせる。そして、図4に示す対応テーブル55を、移転する相手のタグに対して送信する。その結果、これ以降は、イニシエーターフラグ54が「1」にセットされたタグがイニシエーターとしての権限を有し、通信を開始することが可能となる。なお、このようにして移転された権限は、再度、もとのタグに戻したり、あるいは、さらに他のタグに移転できるようにしたりしてもよい。
【0049】
また、以上の実施形態では、全てのタグをユーザーが所有する形態としたが、例えば、一部のタグをパーソナルコンピューターまたはその周辺装置に装備するようにしてもよい。具体的には、パーソナルコンピューターにタグを装備するとともに、ユーザーがタグを所有する。そして、タグを有するユーザーがパーソナルコンピューターの前に座って、所定の操作を行った場合には、これらのタグの間でタグ間通信が開始される。タグ間通信が実行されると、パーソナルコンピューターは、タグ間通信の相手となるタグを有しているユーザーの操作を許可する。そして、ユーザーがパーソナルコンピューターから離れて通信圏外となり、タグ間通信が成立しなくなった場合にはパーソナルコンピューターが保留状態となり、他のタグを有するユーザーがパーソナルコンピューターの前に座って操作を行おうとした場合であっても、操作を禁止することにより、例えば、入力中または編集中の情報を保護することができる。
【0050】
また、以上の実施形態では、ユーザーによって操作部16が操作された場合にタグ間通信を終了するようにしたがこれ以外の方法によってタグ間通信を終了するようにしてもよい。例えば、タグ間通信が所定の時間以上発生しない場合に、タグ間通信を終了するようにしてもよい。具体的には、通信が実行されると、各タグはタイマー18によるカウントを開始し、カウントされた時間が所定の時間(例えば、3分)を超えた場合に、自動的に通常モードに移行するようにしてもよい。また、タグ間通信に所定の回数連続して失敗した場合に、通常モードに移行するようにしてもよい。
【0051】
また、以上の実施形態では、通常通信とタグ間通信を共通のアンテナ11およびRF送受信回路22によって実行するようにしたが、例えば、タグ間通信用に特化したアンテナおよびRF送受信回路を設けるようにしてもよい。そのような構成によれば、リーダーライター装置20に比較して、信号強度が弱いタグ間通信信号に適した設計を行うことで、タグ間通信信号を効率よく送受信することができる。
【0052】
また、以上の実施形態では、タグ間通信用ID52と、動作モード識別子53とを別々の構成としたが、これらをまとめて1つの構成としてもよい。具体的には、4ビットの情報を用いて、この情報が「0」である場合には通常モードであるとし、「1」の場合にはタグ間通信マスターモードであるとし、「2」〜「14」である場合にはタグ間通信スレーブモードであるとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のタグを含むタグシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すタグの構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示すタグのメモリーに格納されている情報の一例である。
【図4】図3に示す対応テーブルの一例である。
【図5】図1に示すリーダーライター装置の構成例を示す図である。
【図6】図1に示すサーバー装置の構成例を示す図である。
【図7】通常通信およびタグ間通信における信号の一例である。
【図8】タグ間通信における処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
10…タグ、11…アンテナ、12…RF送受信回路、13…バッテリー、14…制御回路、15…表示部、16…操作部、17…メモリー、18…タイマー、20…リーダーライター装置、30…ネットワーク、40…サーバー装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有のIDを有する複数のタグと、前記固有のIDを用いて前記複数のタグとの間で通信を行うリーダーライターと、を有するタグシステムにおいて、
前記複数のタグは第1タグまたは第2タグのいずれかとして動作し、
前記第1タグは、
前記第2タグとの間でタグ間通信を行う場合に、自己および前記第2タグに対して、前記固有のIDとは異なる、タグ間通信用のIDをそれぞれ付与する付与手段と、
前記第2タグに対してタグ間通信用のIDを送信する送信手段と、
前記タグ間通信用のIDに基づいて前記第2タグとタグ間通信する第1通信手段と、を有し、
前記第2タグは、
前記第1タグにより付与されたタグ間通信用のIDを受信する受信手段と、
前記タグ間通信用のIDに基づいて前記第1タグとタグ間通信する第2通信手段と、
を有することを特徴とするタグシステム。
【請求項2】
請求項1記載のタグシステムにおいて、
前記複数のタグは、タグ間通信の実行を要求する際に操作される操作部材を有し、当該操作部材が操作された場合に、前記第1タグとして動作することを特徴とするタグシステム。
【請求項3】
請求項1または2記載のタグシステムにおいて、
前記タグ間通信用のIDは、前記固有のIDよりも短い語長とされていることを特徴とするタグシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載のタグシステムにおいて、
前記リーダーライターとの通信は固定語長の信号によって実行され、前記タグ間通信は可変語長の信号によって実行されることを特徴とするタグシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載のタグシステムにおいて、
前記第1および前記第2タグは、信号の先頭近傍に付された所定の情報の有無によって、タグ間通信用の信号であるか否かを判定することを特徴とするタグシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載のタグシステムにおいて、
前記第1および前記第2タグは、所定の条件に該当する場合には、タグ間通信を終了し、前記リーダーライターとの間の通信を実行することを特徴とするタグシステム。
【請求項7】
請求項6記載のタグシステムにおいて、
前記所定の条件は、所定の時間以上タグ間通信が実行されない場合、所定の回数以上タグ間通信が成功しない場合、または、タグ間通信を終了する指示がなされた場合であることを特徴とするタグシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載のタグシステムにおいて、
前記第1タグは、通信を開始する権限を有し、当該権限を前記第2タグに移転することが可能であることを特徴とするタグシステム。
【請求項9】
固有のIDを有し、当該固有のIDを用いてリーダーライターと通信を行うことが可能なタグにおいて、
他のタグとの間でタグ間通信を行う場合に、自己および前記他のタグに対して、前記固有のIDとは異なる、タグ間通信用のIDをそれぞれ付与する付与手段と、
前記他のタグに対してタグ間通信用のIDを送信する送信手段と、
前記タグ間通信用のIDに基づいて前記他のタグとタグ間通信する第1通信手段と、
前記他のタグにより付与されたタグ間通信用のIDを受信する受信手段と、
前記タグ間通信用のIDに基づいて前記他のタグとタグ間通信する第2通信手段と、
を有することを特徴とするタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−160685(P2010−160685A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2419(P2009−2419)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】