説明

タグプリンタ

【課題】 簡単な構成で印字不能な箇所への印字を防止したタグプリンタを提供する。
【解決手段】 糸などの係止用11の穴が形成され、かつ、印字不能な箇所の係止用の穴を中心部位の目安として係止用の穴より大きなスキップ用の穴14が形成されたタグ連続体と、タグ連続体を印字部に搬送する搬送手段と、スキップ用の穴のほほ直径に見合う所定直線距離内に等間隔に連続して少なくとも3つのセンサ17a、17b、17cが配設されるとともに係止用およびスキップ用の穴を検出する検出手段と、検出手段の検出結果が係止用の穴か、あるいはスキップ用の穴かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果、スキップ用の穴と判定された場合、次の係止用の穴を検出するまで印字部による印字を行わず搬送手段によるタグ連続体の搬送を制御する制御手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特につなぎ目におけるタグへの印字を防止したタグプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の長さに満たない半端な部分を繋ぎ合せてタグ連続体を作製することが行われていた。これにより無駄な部分がなくなり、タグ連続体を安価に提供できるようになったものの、テープによって繋ぎ合せた「つなぎ目」が存在することになり、これをタグプリンタで使用するとつなぎ目を繋いでいるテープの上にも所望の印字を印字してしまい、実際には使えない「不良タグ」が発生する原因となった。そこで、つなぎ目の存在する印字不能な箇所をスキップするようなタグプリンタが開発された(例えば、特許文献1参照)。
同文献のタグプリンタによれば、印字不能な箇所にパンチ穴をあけたタグ連続体を印字部に搬送する途中で前記パンチ穴を検出し、パンチ穴が検出されたら印字不能な箇所であると判断してスキップするよう制御することにより「不良タグ」の発生、すなわち、つなぎ目のテープの上への印字を防止している(特許文献1の図3参照)。
しかしながら、前記パンチ穴のあけ方が難しく、あけ方によっては「つなぎ目」の検出が困難であるという問題があった。すなわち、タグ連続体の幅方向の所定箇所にパンチ穴をあける必要があり、ずれるとパンチ穴の検出が不能となるため、パンチ穴を確実に検出できることが望まれた。
また、特許文献1では、パンチ穴検出のために、位置検出用のセンサとは別個にパンチ穴検出用のセンサを設ける必要があるため部品点数が増える上、前述したようにパンチ穴の幅方向でのズレがあるため前記パンチ穴検出用のセンサの幅方向での調整が面倒であるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開2001−30556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、簡単な構成で印字不能な箇所への印字を防止したタグプリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るタグプリンタは、糸などの係止用の穴が形成され、かつ、印字不能な箇所の前記係止用の穴を中心部位の目安として前記係止用の穴より大きなスキップ用の穴が形成されたタグ連続体と、前記タグ連続体を印字部に搬送する搬送手段と、前記スキップ用の穴のほほ直径に見合う所定直線距離内に等間隔に連続して少なくとも3つのセンサが配設されるとともに前記係止用およびスキップ用の穴を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果が係止用の穴か、あるいはスキップ用の穴かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定の結果、スキップ用の穴と判定された場合、次の係止用の穴を検出するまで印字部による印字を行わず前記搬送手段によるタグ連続体の搬送を行うよう制御する制御手段と、を備えた。
また、スキップ用の穴は、係止用の穴の3ないし4倍であるようにできる。
また検出手段は、等間隔のセンサの配設状態を維持したまま、タグ連続体の幅方向での位置調整が可能なようにできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のタグプリンタは、係止用の穴を中心部位の目安としてスキップ用の穴をあけ、スキップ用の穴のほぼ直径に見合う所定直線距離内に等間隔に連続して少なくとも3つのセンサを配設するとともに係止用およびスキップ用の穴を検出手段にて検出し、判定手段により検出手段の検出結果が係止用の穴か、あるいはスキップ用の穴かを判定し、判定手段の判定結果、スキップ用の穴と判定された場合、次の係止用の穴を検出するまで印字部による印字を行わず搬送手段によるタグ連続体の搬送を行うよう制御手段により制御するので、1つの検出手段で係止用の穴とスキップ用の穴の双方を検出できるため、センサの位置合わせが効率的であり、かつ、つなぎ目がある不良なタグへの印字を確実に防止できるという効果がある。
また、スキップ用の穴を、係止用の穴の3ないし4倍にすれば、係止用の穴とスキップ用の穴とを確実に検出・判定できる。
また、検出手段を、等間隔のセンサの配設状態を維持したまま、タグ連続体の幅方向での位置調整が可能なようにすれば、係止用の穴の位置が異なっても、センサの位置合わせが効率的にできるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態につき、図1および図4に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るタグプリンタの一実施の形態を示す概略側面説明図であり、タグプリンタ1は、主に、タグ供給軸2、印字部3、カッター部4、および後述する係止用およびスキップ用の「穴」を検出する検出手段としての検出部5を備えている。
印字部3は、印字ヘッド6、プラテンローラ(以下、適宜、単に「プラテン」と称す)7、リボン供給軸8、リボン巻取り軸9およびリボンRより構成される。リボンRはリボン供給軸8に装着し、印字ヘッド6とプラテン7の間を挿通してリボン巻取り軸9に掛け回される。
【0008】
タグ供給軸2には、図2に示すようなタグ連続体10を装着する。図2は、タグ連続体10の一部を示す平面説明図である。このタグ連続体10は、「センターホールタグ」と称し、図示しない糸やピンを止着するための係止用の穴11がタグ連続体10の幅W方向の中央部に位置しており、また、このタグ連続体10には、テープ12よって繋ぎ合わせたつなぎ目13が存在し、さらに、ロール状に巻回されている。
前記係止用の穴11、11間はピッチPと称し、穴11から搬送方向F側へ所定距離送った位置が「タグ片」の先頭位置Hであり、この先頭位置H、H間の1ピッチP分が1枚のタグ片Tとされる。なお、係止用の穴11は、直径が1.5〜2mmの円形とされている。
前述したように、つなぎ目13部分は、テープ12が存在する「印字不能な箇所」であるためスキップ用の穴14があけられている。すなわち、係止用の穴11a(想像線で図示)を中心部位の目安として前記穴11aよりも大きなスキップ用の穴14を手作業であけて不良なタグ片Txであることを示すものであり、スキップ用の穴14の大きさは、前記係止用の穴11の3ないし4倍に当たる直径4.5〜6mmの円形とされている。なお、以降、説明の都合上、係止用の穴11は1.5mm、また、スキップ用の穴14は5mmとして説明する。
そして、例えばモーターなどの図示せぬ駆動源によりリボン巻取り軸9およびプラテン7を駆動し、印字ヘッド6とプラテン7の間に挿通されたタグ連続体10をカッター部4側へと搬送する途中で、印字部3にて図示省略の印字情報を必要枚数印字するようになっており、印字後のタグ連続体10はカッター部4にて切断され、1枚1枚のタグ片Tとして得られるようになっている。
【0009】
次に、主に、図3に基づき、検出部5を説明する。
図3は、検出部5の拡大概略平面図であり、検出部5は、検出部本体15と移動位置決め機構16とを備えている。
検出部本体15には、3つの透過型のセンサ17a、17b、17cが直線状に等間隔に配設されており、隣り合ったセンサ17の距離Dは、2mm間隔とされている。
移動位置決め機構16としては、例えば、レールやスパイラルシャフトが採用可能であり、等間隔に連続してセンサ17a、17b、17cが配設された前記検出部本体15をタグ連続体10の幅W方向で位置調整可能としている。
【0010】
また、図4に基づき、前記検出部5によるスキップ用の穴14の検出状態を説明する。
図4は、係止用およびスキップ用の穴11、14とセンサ17との位置関係を示す概略拡大説明図であり、タグ連続体10のスキップ用の穴14が検出部5に到達した状態を示している。なお、係止用の穴11(想像線にて図示)には、移動位置決め機構16に沿って検出部5をタグ連続体10の幅W方向に移動してセンサ17のうち、真ん中のセンサ17bを位置決めしてある。
2mm間隔で3つ等間隔に配設されるセンサ17a、17b、17cにて、直径5mmのスキップ用の穴14が検出されると、図示の例では、センサ17a、17bの2つのセンサ17が透過、すなわち、「タグなし」を検出することにより、係止用の穴11とは異なるスキップ用の穴14が検出されたと図示省略のCPUにて判定されるようになっており、スキップ用の穴14が検出された場合、次の係止用の穴11が検出されるまで印字を行わないで「スキップ」するよう図示省略のCPUにて制御することにより「印字不能な箇所」である不良なタグTxへの印字を防止するものである。
【0011】
上述したように、係止用の穴11を中心部位の目安としてスキップ用の穴14をあけ、スキップ用の穴14のほぼ直径に見合う所定直線距離内に等間隔に3つのセンサ17a、17b、17cを配設し、真ん中のセンサ17bにて係止用の穴11を検出し、かつ、2つのセンサ17a、17bが透過してタグなしを検出した場合はスキップ用の穴14と判定されるため、1つの検出部5にて係止用の穴11とスキップ用の穴14の双方を検出できるばかりでなく、スキップ用の穴14を検出した場合、「印字不能な箇所」としてスキップするため、不良なタグTx部分への印字を防止できるものである。
【0012】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0013】
例えば、上記実施の形態では、説明の都合上、「センターホールタグ」で説明したがこれに限定されないことは勿論であり、「横穴タグ」でも構わない。「横穴タグ」であっても、検出部5の検出部本体15を移動位置決め機構16を介してタグ連続体10の幅W方向に移動し、真ん中のセンサ17bを係止用の穴11に位置決めすれば、「センターホールタグ」と同様、1つのセンサ17で係止用およびスキップ用の穴11、14の双方を検出できる位置に位置決めできるので、センサの位置合わせが効率的にできるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るタグプリンタの概略側面説明図である。
【図2】同、タグプリンタで使用するタグ連続体の一部を示す平面説明図である。
【図3】同、検出部の拡大概略平面図である。
【図4】同、係止用およびスキップ用の穴とセンサの位置関係を示す概略拡大説明図である。
【符号の説明】
【0015】
R リボン
T タグ片
H タグ片Tの先頭位置
D センサ17の距離(間隔)
1 タグプリンタ
2 タグ供給軸
3 印字部
4 カッター部
5 検出手段(検出部)
6 印字ヘッド
7 プラテンローラ(プラテン)
8 リボン供給軸
9 リボン巻取り軸
10 タグ連続体
11、11a 係止用の穴
12 テープ
13 つなぎ目
14 スキップ用の穴
15 検出部本体
16 移動位置決め機構
17、17a、17b、17c センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸などの係止用の穴が形成され、かつ、印字不能な箇所の前記係止用の穴を中心部位の目安として前記係止用の穴より大きなスキップ用の穴が形成されたタグ連続体と、
前記タグ連続体を印字部に搬送する搬送手段と、
前記スキップ用の穴のほほ直径に見合う所定直線距離内に等間隔に連続して少なくとも3つのセンサが配設されるとともに前記係止用およびスキップ用の穴を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果が係止用の穴か、あるいはスキップ用の穴かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果、スキップ用の穴と判定された場合、次の係止用の穴を検出するまで印字部による印字を行わず前記搬送手段によるタグ連続体の搬送を行うよう制御する制御手段と、を備えたタグプリンタ。
【請求項2】
前記スキップ用の穴は、前記係止用の穴の3ないし4倍であることを特徴とする請求項1記載のタグプリンタ。
【請求項3】
前記検出手段は、等間隔のセンサの配設状態を維持したまま、前記タグ連続体の幅方向での位置調整が可能なことを特徴とする請求項1記載のタグプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−30113(P2010−30113A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193677(P2008−193677)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】