説明

タケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末

【課題】本発明は、地下茎から地上300cmまでの成長したタケノコの有効利用として、コーヒの色と風味を持つ飲料を抽出するための粉末を作ることにある。
【解決手段】タケノコを乾燥、粉砕した粉末をコーヒ色になるまで金属製のフライパン或いは鍋又はドラムでコーヒ色になるように炒って、適度に炭化させることで、コーヒ風味の飲料を抽出できる粉末を作ることである。また、メイラード反応が起きるまで炭化することにより、煮出すことなくコーヒと同様のドリップ方式の抽出で、簡単にコーヒ風味の飲料が抽出できる。また、食用に適さない地上50cmから300cmまでの成長しすぎたタケノコでも利用できることから、タケノコの原料コストを安くすることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タケノコを乾燥して粉末したものを、フライパンか鍋或いはドラムなどの金属を介して加熱し、コーヒ色になるまで炒って炭化さす。又は、直接バーナー、或いはヒータで加熱して炭化さすことにより、タケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末を作ることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
竹類を原料とした茶の製造方法として、[特開2005−333969公報](特許文献1)にバンブー茶の製造方法がある。本方法は、竹の茎・葉・根元のみを原料とした茶葉・お茶の製造方法(請求項1)と記載されている。
【0003】
特開2002−65227広報(特許文献2)には、イネ科植物を原料とした健康茶および健康飲料並びにその製造方法がある。本方法は、イネ科植物の緑葉処理物を含む健康茶である。
【0004】
[特開2000−60509公報](特許文献3)には、竹茶の製造方法がある。
本方法は青竹を粉砕して得た竹粉末を、水分率18%以下となるよう乾燥した後、焙煎することを特徴とする竹茶の製造方法(請求項1)と記載されている。
【0005】
そして、[特許第4547480号](特許文献4)には、筍茶並びに筍茶飲料及びその製造方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−333969公報
【特許文献2】特開2002−65227広報
【特許文献3】特開2000−60509公報
【特許文献4】特許第4547480号
【先行技術文献】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
竹の有効利用の特許文献1では、1年ものの若い竹の中から葉・茎・根元が原料であり、特許文献2では、イネ科植物の緑葉を原料としたものであり、特許文献3は竹を原料とするものであり、いずれもタケノコとは異なる。すなわちタケノコを原料にしたものではない。
【0008】
また、特許文献4は地下茎から地上50cmまでの食用に適している柔らかいタケノコであり、50cm以上成長して食用に適さないタケノコは利用されない。
また、本発明は、筍の機能性成分を高含有で維持するために、筍中の含水率を調整し、焙煎の温度と時間を抑制することでメイラード反応を抑制しお茶の風味を出した機能性筍茶を製造することにあるとしている。
【0009】
タケノコは、表1に記載している通りタンパク質が100gに30.3gと大豆と変わらないほど含まれている。また、食物繊維も100g中25.6gと豊富で成長も著しく、大変有用な食料であるが、発芽してから収穫できる時期が短く、また、収穫後の鮮度が短時間で著しく劣化するため、米や小麦、或いはトウモロコシのように食料として幅広く利用されていなかった。
【0010】
また、地下茎から発芽して20センチ出たぐらいの収穫が、繊維が柔らかく、人が食するには最適である。よって、地上から芽が出た寸前の収穫になるため、収穫が難しく、計画的収穫が困難という課題があった。その結果、タケノコの取り残しによる、竹林の繁茂を招き竹の侵食による、山林の荒廃が環境問題化している現状がある。
【表1】

【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、タケノコを乾燥して粉末したものを、フライパンか鍋、或いはドラムなどの金属を介して加熱し、コーヒ色になるまで炒って炭化さす。又は、直接バーナー、或いはヒータの直火で、加熱して炭化さすことにより、タケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末をつくる。本発明は、あえて、メイラード反応をおこさせることにより、タケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末をつくるのである。また、地下茎から50cm以上300cmまで成長した食用に適さないタケノコでも、同様の方法でコーヒに似た、色と風味を備えたタケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末をつくることが出来る。
【発明の効果】
【0012】
タケノコは、芽が地上に出た直後に収穫しなければならなかったため、収穫が困難な上、1日に1メートルも成長することがあるタケノコは、食材として利用すれば有用な食材であるが、地上から50cm以上成長すると繊維が硬く、食用できなくなる欠点がある。そして、そのまま成長に任せ放置すると、竹林の繁茂につながり、他の樹木を侵食して森林荒廃の一因になっている。この成長し過ぎたタケノコを乾燥し粉末にした後、加熱して、適度に炭化することで、コーヒ風味の飲料を抽出するための粉末をつくることができ、新しい有用な食材として活用できる。また、タケノコにはたんぱく質、カリウム、シロチン、食物繊維を豊富に含んでおり機能性飲料としても期待できる。また、意識的にメイラード反応をおこすよう加熱することにより、タケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末ができ、そのため、お湯で簡単にドリップ抽出ができる。本発明の飲料は、コーヒのようにカフェインを含有しない為、子供や妊婦にも最適の飲み物になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る、タケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末を作る製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0015】
本発明において、タケノコを乾燥させ粉末にしたあと、フライパン或いは鍋又はドラムなどの金属を介して、コーヒ色になるまで適度に炒って炭化させることにより、タケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末をつくることが出来る。タケノコは15%以下に乾燥して粉末にし、その後、加熱して炒るほうが好ましい、粉末にしてから炒ることにより、粉末の粒子全体に満遍なく適度な炭化が出来ることは実験済みである。また、炒る温度は120℃以上から700℃までの高熱が好ましく、コーヒ風の色と風味を得るために、あえて、メイラード反応をおこさせてコーヒ色にする。タケノコを乾燥させ粉末にしたあと、コーヒ色になるまで適度に炭化さすことで、お湯で簡単にドリップ抽出ができることも実験済みである。
【0016】
また、本発明において、タケノコを乾燥させ粉末にしたものを、直接バーナーやヒータで加熱して炭化しても、同様の、タケノコのコーヒ風味の飲料及び抽出用粉末を作ることが出来る。
【0017】
本発明は、食用に適さない地下茎から高さ50cm以上、300cmまでに成長したタケノコでも利用できることから、原料コストを安く抑えることができる。
【0018】
本発明の粉末を水、或いはお湯で抽出することによりコーヒ風味の飲料を作り、容器に入れて販売することも可能である。
【0019】
この飲料を再度乾燥させてインスタント飲料用粉末を作ることも出来る。この場合はフリーズドライ或いはスプレードライ乾燥が好ましい。
【0020】
インスタントとは、お湯で溶かすだけで簡単にコーヒ風味の飲料を作れる粉末である。
【0021】
本発明の、コーヒ風味の飲料をゼリーやプリン或いはアイスクリーム等の菓子類に混ぜてコーヒ風味の菓子を作ることが出来る。
【0022】
また、本発明のコーヒ風味の飲料の抽出用粉末を穀物に混ぜてパン等の食品を作ることも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0023】
タケノコは1日で1mも成長する大変有望な食材ではあるが、採取後2時間からシュウ酸の灰汁が増してくることと、保存が難しい為、旬の食材としてか利用されていなかった。また、地下茎から地上50cmまでが食用として利用できるが、それ以上になると繊維が硬くなり採取されず放置されているのが現状であった。
タケノコを乾燥して粉末にすることによりタケノコのシュウ酸の灰汁味を抜くことが出来る。そして、地下茎から地上300cmまで成長したタケノコでも食料として利用できるようになった。この成長したタケノコの最も有効な利用法として本発明があるが、粉末にすることにより他の食材に混ぜ合わせてやすくなり、その利用範囲が大幅に広がった。そして、大きく成長したタケノコでも乾燥して、粉末にすることで食用に利用できることから、タケノコ自身の収穫方法を大きく変えることが出来る。すなわち、食料として利用できる可能な限度まで大きく成長させて収穫することで、収穫量の大幅増大と、ある一定の大きさまで待って収穫できることから計画的な収穫が出来る。その結果、タケノコの乾燥、粉末材の価格を安くできるとともに、大きくなりすぎて食用に出来なかったタケノコが利用できるので、竹の繁茂による山林の荒廃を食い止めることができる可能性がある。竹は1日に1mも成長する植物であり且つ、有用なビタミンB1やB2、カリウム、そしてタンパク質やシロチン、有用グルタミン酸を含み、体内の余分な脂肪を排出するとされる食物繊維が豊富なのでダイエット食品としても最適なうえ、米や小麦を補完する新たな食料になる可能性を持っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タケノコを乾燥させて粉末にしたものを、鍋、或いはドラムなどの金属を介して、でコーヒ色まで炒って炭化させた、タケノコのコーヒ風味の飲料を抽出するための粉末。
【請求項2】
タケノコを乾燥させて粉末にしたものを、直接、直火で加熱し炭化させたタケノコのコーヒ風味の飲料を抽出するための粉末。
【請求項3】
上記請求項1記載の、コーヒ風味の飲料を抽出するための粉末から抽出した飲料。
【請求項4】
上記請求項2記載の、コーヒ風味の飲料を抽出するための粉末から抽出した飲料。
【請求項5】
上記請求項1記載の、タケノコを乾燥させて粉末にしたものを、鍋、或いはドラムなどの金属を介して、でコーヒ色まで炒って炭化させた、タケノコのコーヒ風味の飲料を抽出するための粉末の製造方法
【請求項6】
上記請求項2記載の、タケノコを乾燥させて粉末にしたものを、直接、直火で加熱し炭化させたタケノコのコーヒ風味の飲料を抽出するための粉末の製造方法

【図1】
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