説明

タッチスクリーン及びその製造方法

【課題】本発明は、耐久性を保証することができ、感度に優れたタッチスクリーン及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施例によるタッチスクリーンは、フレキシブルプラスチックフィルム(10)の上面に蒸着されたITO(Indium Tin Oxide)フィルム(20)と、前記ITOフィルムに蒸着された第1の金属層(30)と、前記第1の金属層上にメッキされた第2の金属(40)層とを含む。本発明の実施例によれば、耐久性を保証することができ、感度に優れたタッチスクリーン及びその製造方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスクリーン及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンは、指やタッチペンを近接または接触する場合、その位置を感知することができる装置であって、映像表示装置の画面上に設けられて簡単に情報を入力することができる。
【0003】
このようなタッチスクリーンは、透明電極を用いて、手やペンによるタッチ入力を感知する。透明電極は、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電性酸化物フィルムに金属膜を配線して形成することができる。
【0004】
ところが、ITOフィルムに直接に金属膜を形成する場合、金属膜の密着力が低下して耐久性が落ちたり、または、ITO表面の抵抗が上昇して、タッチスクリーンの感度が低下する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例では、耐久性を保証することができ、感度に優れたタッチスクリーン及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例によるタッチスクリーンは、フレキシブルプラスチックフィルムの上面に蒸着されたITO(Indium Tin Oxide)フィルムと、前記ITOフィルムに蒸着された第1の金属層と、前記第1の金属層上にメッキされた第2の金属層とを含む。
【0007】
本発明の実施例によるタッチスクリーンの製造方法は、ITOフィルムの収縮を防止するために熱処理するステップと、前記ITOフィルムの表面の不純物を除去して、前処理するステップと、前記前処理されたITOフィルムに第1の金属層を蒸着するステップと、前記第1の金属層上に第2の金属層を蒸着するステップと、前記第2の金属層上に第3の金属層をメッキするステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施例によれば、耐久性を保証することができ、感度に優れたタッチスクリーン及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例によるタッチスクリーンの断面図である。
【図2】本発明の第2実施例によるタッチスクリーンの断面図である。
【図3】本発明の実施例によるタッチスクリーンの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付図面を参照しながら、本発明の実施例によるタッチスクリーン及びその製造方法について詳細に説明する。ただし、本発明の実施例の説明において、関連する公知機能や構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にする可能性があると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施例によるタッチスクリーンの断面図である。
図1に示されているように、本発明の第1実施例によるタッチスクリーンは、フレキシブルプラスチックフィルム10の上面に蒸着されたITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電性フィルム20と、透明導電性フィルム20に蒸着された金属蒸着層30及び金属メッキ層40を含む。
【0012】
フレキシブルプラスチックフィルム10は、PES、PC、PE、PI、アクリルなどのフィルムを用いることができ、本発明の実施例では、PET(Polyethylene terephthalate)フィルム10を用いる場合を例示する。
【0013】
ここで、PETフィルム10は、100〜150℃の範囲では収縮する特性がある。これに、透明導電性フィルム20が蒸着されたPETフィルム10をタッチスクリーンの製作に用いる場合、上下板の合着工程のための熱処理時のPETフィルム10の収縮により、配列(align)が一致しない問題点がある。したがって、PETフィルム10を150℃付近で90分間熱処理して、フィルムの収縮を予め発生させるアニーリング(annealing)工程を行うことにより、金属層の蒸着と後工程で発生可能な収縮を防止することができる。
【0014】
ITOフィルム20には、電極として用いられる金属メッキ層40と、金属メッキ層40の密着力を向上させるための金属蒸着層30とが、順に形成される。ITOフィルム20に金属蒸着層30及び金属メッキ層40を形成する前に、プラズマまたはイオンビームを用いて表面の不純物を除去する前処理工程を行うことが好ましい。
【0015】
金属蒸着層30は、ITOフィルム20と金属層との間の密着力を向上させるバッファ層と、金属メッキのためのシード層(seed layer)とを含む。バッファ層は、ITOフィルム20と金属層との間の密着力を向上させる。ここで、バッファ層は、Ni、Cr、Ni−Cr、Ti、Sn、Moなどの物質を蒸着して形成する。また、シード層は、金属メッキ層40の形成のために蒸着される層であって、Ag、Cu、Au、Alなどの物質を用いる。
【0016】
金属メッキ層40は、金属蒸着層30のシード層と同一の物質であって、伝導度に優れる物質を電気メッキ方法などを用いて形成することができる。金属メッキ層40は、ITOフィルム20の電極として動作するようにすることが好ましい。
【0017】
このような構成を有するタッチスクリーンにおいて、金属層である金属蒸着層30及び金属メッキ層40は、タッチスクリーンの感度に直接影響を及ぼすため、抵抗値が0.1Ω/□以下に調節できるように、金属蒸着層30及び金属メッキ層40の厚さを調節することができる。
【0018】
図2は、本発明の第2実施例によるタッチスクリーンの断面図である。
【0019】
図2に示されているように、本発明の第2実施例によるタッチスクリーンは、PETフィルム10に蒸着されたITOフィルム20に、Ni−Crを蒸着して形成したバッファ層33と、Cuを蒸着して形成したシード層(seed layer)35と、Cuをメッキして形成したメッキ層(plated layer)45とを含む。
【0020】
ITOフィルム20に直接蒸着される金属蒸着層30は、ITOフィルム20と金属層との間の密着力を向上させるバッファ層33と、メッキのためのシード層35とを含む。
【0021】
抵抗値を0.1Ω/□以下に調節するために、バッファ層33は、真空蒸着技術を用いてNi−Crの厚さを70Åに蒸着して形成する。シード層35は、真空蒸着技術を用いてCuを900Åに蒸着して形成する。また、金属メッキ層45としてCuを8000Åの厚さで蒸着して、タッチスクリーンの電極を形成する。
【0022】
ここで、Ni−Crバッファ層33とCuシード層35を蒸着する際には、プラズマ処理またはイオンビームの照射などの方法を用いて、ITOフィルム20の表面を前処理した後、金属層を蒸着することにより、ITOフィルム20の表面の損傷を防止し、金属層の密着力と伝導度を向上させることができる。
【0023】
図3は、本発明の実施例によるタッチスクリーンの製造方法のフローチャートである。
図3に示されているように、本発明の実施例によりタッチスクリーンを製造する場合、まず、ITOフィルム20が蒸着されたPETフィルム10を熱処理する(S110)。
【0024】
金属層の密着力を向上させるために、プラズマまたはイオンビームを用いてITOフィルム20の表面を前処理する(S120)。ここで、イオンビームの発生のための反応性ガスとして、O2、O3、N2、N2O、NO2、CO2の中から選び、または、不活性ガスとして、Ar、Kr、Xe、Neのいずれかを選択する。また、反応性ガスや不活性ガスを単独または混合した状態で適用することができる。そして、イオンビームの照射量は、1X1015/cm2〜1X1018/cm2の範囲で用いることができる。
【0025】
前処理されたITOフィルム20に、バッファ層の機能を果たす金属蒸着であるNi−Crバッファ層33を蒸着する(S130)。Ni−Crバッファ層33は、RFスパッタ、DCスパッタ、CVDなどの真空蒸着技術を用いて蒸着して形成する。
【0026】
Ni−Crバッファ層33の上にはシード層の機能を果たす金属蒸着層である、Cuシード層35を蒸着する(S140)。Cuシード層35も、RFスパッタ、DCスパッタ、CVD等の真空蒸着技術を用いて蒸着して形成する。
【0027】
Cuシード層35が形成されると、タッチスクリーンの電極機能を果たすCuメッキ層45をメッキする(S150)。Cuメッキ層45は、電気メッキ方法などを用いて形成することができる。
【0028】
Cuメッキ層45を用いてタッチスクリーンの電極を形成した場合、Cu金属の酸化を防止するために、防錆コーティングを行う(S160)。防錆コーティングは、Cuメッキ層45の防錆剤に浸漬してコーティング処理することができる。
【0029】
以上で、実施例を中心に説明したが、これは単なる例示的なものであって、本発明を限定するものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から外れない範囲で、以上に例示されていない様々な変形や応用が可能であることが分かるだろう。例えば、実施例に具体的に示された各構成要素は、変形して実施可能なものである。また、かかる変形や応用に係る相違点は、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、耐久性を保証することができ、感度に優れたタッチスクリーンを提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 PETフィルム
20 ITOフィルム
30 金属蒸着層
40 金属メッキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプラスチックフィルムの上面に蒸着されたITOフィルムと、
前記ITOフィルムに蒸着された第1の金属層と、
前記第1の金属層上に蒸着された第2の金属層と、
前記第2の金属層上にメッキされた第3の金属層とを含むことを特徴とするタッチスクリーン。
【請求項2】
前記フレキシブルプラスチックフィルムは、
PET、PES、PC、PE、PI、アクリルの内少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項3】
前記第1の金属層は、
Ni、Cr、Ni−Cr、Ti、Sn、Moの内少なくともいずれか一つから構成されるバッファ層を含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項4】
前記第2の金属層は、
Ag、Cu、Au、Alの内少なくともいずれか一つから構成されるシード層を含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項5】
前記第3の金属層は、
前記シード層と同一の金属から構成されるメッキ層を含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項6】
ITOフィルムの収縮を防止するために熱処理するステップと、
前記ITOフィルムの表面の不純物を除去して、前処理するステップと、
前記前処理されたITOフィルムに第1の金属層を蒸着するステップと、
前記第1の金属層上に第2の金属層を蒸着するステップと、
前記第2の金属層上に第3の金属層をメッキするステップとを含むことを特徴とするタッチスクリーンの製造方法。
【請求項7】
前記ITOフィルムの表面の不純物を除去して、前処理するステップは、
2、O3、N2、N2O、NO2、CO2の内少なくともいずれか一つを用いたイオンビームを発生させ、前処理するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載のタッチスクリーンの製造方法。
【請求項8】
前記ITOフィルムの表面の不純物を除去して、前処理するステップは、
Ar、Kr、Xe、Neの内少なくともいずれか一つを用いたプラズマを発生させ、前処理するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載のタッチスクリーンの製造方法。
【請求項9】
前記前処理されたITOフィルムに、Ni、Cr、Ni−Cr、Ti、Sn、Moの内少なくともいずれか一つを真空蒸着して、前記第1の金属層を形成するステップと、
Ag、Cu、Au、Alの内少なくともいずれか一つを真空蒸着して、前記第2の金属層を形成するステップと、
前記第2の金属層と同一の金属で前記第3の金属層をメッキするステップとを含むことを特徴とする請求項6に記載のタッチスクリーンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−508924(P2012−508924A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536245(P2011−536245)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006669
【国際公開番号】WO2010/056055
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】