タッチスクリーン装置及び自動分析装置
【課題】消毒などの清掃状態を管理して操作者に告知するようにし、装置の汚染度を告知できるようにして操作者に消毒作業を促したり、当該装置に触る場合の注意を喚起することのできるタッチスクリーン装置及び自動分析装置を提供することである。
【解決手段】試料容器に収容された被検体から採取された被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置に於いて、タッチスクリーン30は、前記測定のための入力操作を行う複数のタッチスイッチを画面上に有して成る。そして、操作者が前記タッチスクリーンの画面に触れると位置検出部31はその位置を検出する。この検出された位置及び画面に触れた回数は記憶部33に記憶され、その回数が所定回数を超えた場合には、前記操作者に前記画面の清掃を促すように、制御部32によってディスプレイ24にメッセージを表示する。
【解決手段】試料容器に収容された被検体から採取された被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置に於いて、タッチスクリーン30は、前記測定のための入力操作を行う複数のタッチスイッチを画面上に有して成る。そして、操作者が前記タッチスクリーンの画面に触れると位置検出部31はその位置を検出する。この検出された位置及び画面に触れた回数は記憶部33に記憶され、その回数が所定回数を超えた場合には、前記操作者に前記画面の清掃を促すように、制御部32によってディスプレイ24にメッセージを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチスクリーン装置及び自動分析装置に関し、より詳細には、タッチスクリーン装置を使用して、血液や尿などの体内成分を分析して、成分濃度、定性判定を行うための自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、検査する項目(測定項目)に応じて、被検体から採取された血液や尿などの被検試料と試薬とを反応容器に分注し、被検試料と試薬との混合液の反応によって生ずる色調などの変化を、光の透過量を測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や活性を測定するものである。そして、自動分析装置には、測定開始の指示や測定の条件の入力、測定された結果の表示や処理、保守作業の指示を行うための表示装置と入力装置が備わっている。通常、これらの表示装置としてはCRTやLCD等の表示装置、入力装置としてはキーボードやマウス等がある。
【0003】
また、近年、作業のしやすさから、表示装置上にタッチすることで操作指示を行うことが可能なタッチスクリーンを備える表示装置が増えてきている。検査作業は立ち作業が多く、大量の検体やその結果の伝票処理などもあって、操作する際、画面上に表示された指示ボタンをタッチするだけで操作が行なえることは、作業の効率を向上させることにつながっている。
【0004】
加えて、院内感染をはじめとして、検体の取扱い上、感染に対する危険性も重視されてきている。このため、手袋の着用、操作機器、環境の消毒、清掃が、感染防止や拡散を防止する上で重要な作業となっている。
【0005】
検査員は、業務上、検体に触ることが多いため、手袋を着用するなどして感染防止対策を行っている。しかしながら、その手、または、手袋のまま、検査装置に触れることになるため、検査装置の入力部等は、その汚れ、感染物質が付着することになる。このため、定期的な消毒や清掃を、検査室内で取り決めて作業することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−92520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、従来でも定期的な消毒などが行われているが、消毒作業を忘れてしまったり、稼動していた、しないにも関わらず消毒を行うことは無駄な作業となることがある。また、多くの場合、消毒液はタッチスクリーン等の電子機器に少なからずダメージを及ぼす可能性があるため、必要最小限の回数で消毒作業を行うことも重要になる。
【0008】
したがって本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、消毒などの清掃状態を管理して操作者に告知するようにし、装置の汚染度を告知できるようにして操作者に清掃作業を促したり、当該装置に触る場合の注意を喚起することのできるタッチスクリーン装置及び自動分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、複数のタッチスイッチを画面上に有して成るタッチスクリーン装置であって、操作者が前記画面に触れた位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面の清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する制御部と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、試料容器に収容された被検体から採取された被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置に於いて、前記測定のための入力操作を行う複数のタッチスイッチを画面上に有して成るタッチスクリーンと、操作者が前記タッチスクリーンの画面に触れた位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面の清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する制御部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、消毒などの清掃状態を管理して操作者に告知するようにし、装置の汚染度を告知できるようにして操作者に消毒作業を促したり、当該装置に触る場合の注意を喚起することのできるタッチスクリーン装置及び自動分析装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に於ける自動分析装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の自動分析装置のコンソール部を示した斜視図である。
【図3】ディスプレイ及びタッチスクリーンの例を示す斜視図である。
【図4】(a)は本発明の第1の実施形態に於けるタッチスクリーン装置の構成を示した機能ブロック図、(b)は本発明の第2の実施形態に於けるタッチスクリーン装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に於けるタッチスクリーンの清掃告知の動作について説明するためのフローチャートである。
【図6】(a)はタッチスクリーン上で操作者がタッチ位置の例を表した図、(b)はタッチスクリーンを4分割して各エリア毎に操作者がタッチした位置の例を表した図である。
【図7】清掃を促すメッセージの表示例を示した図である。
【図8】タッチした箇所が色分けて表示されたタッチスクリーン30の画面の例を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に於けるタッチスクリーン装置のタッチスイッチの表示例を示した図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に於けるタッチスクリーンの清掃告知の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に於ける自動分析装置の外観を示す斜視図であり、図2は図1の自動分析装置のコンソール部を示した斜視図である。
【0015】
この自動分析装置1は、分析部10とコンソール部20とから構成されている。前記分析部10は、被検体を検査する項目の標準試料や被検体から採取された被検試料の測定を行い、標準データや被検データを生成するものである。一方、コンソール部20は、被検試料を測定して被検体を識別するための認証データを生成し、分析部10を制御して、該分析部10から出力される標準データや被検データを処理し、各項目の検量線の作成や分析データの生成を行う機能を有したパーソナルコンピュータ(PC)本体22を備えている。
【0016】
尚、以下の説明に於いて、分析部10とコンソール部20に於ける一般的な構成及び動作については周知であるのでここでは説明を省略するものとし、後述するタッチスクリーンの清掃告知に関することについて説明する。
【0017】
コンソール部20は、装置全体を載置しているラック21と、このラック21に載置されたパーソナルコンピュータ本体22、入力装置としてのキーボード23、表示装置としてのディスプレイ24、出力装置としてのプリンタ25を有して構成される。
【0018】
ディスプレイ24は、図3に示されるように、その表面にタッチスクリーン30が貼り付けられている。このタッチスクリーン30は透明であり、該タッチスクリーン30を通して、ディスプレイ24の画面に表示されている内容を見ることができる。
【0019】
図4(a)は、こうしたタッチスクリーン30を含むタッチスクリーン装置の構成を示した機能ブロック図である。
【0020】
本タッチスクリーン装置は、ディスプレイ24の前面に貼り付けられたタッチスクリーン30と、位置検出部31と、制御部32と、記憶部33と、表示処理部34と、を有して構成される。ここで、位置検出部31、制御部32、記憶部33、表示処理部34は、パーソナルコンピュータ22内に含まれている。
【0021】
このような構成に於いて、タッチスクリーン30でタッチされた場所の情報は、表示上の座標数値として位置検出部31で検出され、タッチスクリーン30からパーソナルコンピュータ22内に送られる。通常、ここで検出された座標データは制御部32に送られ、この制御部32にて、ディスプレイ24に表示されている操作対象物が特定され、その操作が入力されたとして判断されて、その操作が実行される。例えば、スタートボタンの位置であれば、動作が開始される等である。
【0022】
前記座標データは、記憶部33内に保存される。この座標データは、タッチスクリーン30上のどの位置を操作者がタッチしたかがわかるようにするために記憶される。また、座標データと共に、操作者が触れた回数が記憶される。表示処理部34では、前記制御部32で特定された入力操作に対応する画像の処理がなされて、ディスプレイ24に当該画像を表示させる。
【0023】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態に於けるタッチスクリーンの清掃告知の動作について説明する。
【0024】
尚、本フローチャートに於ける制御動作は、主に制御部32の指令により行われる。
【0025】
図6(a)に示されるように、操作者が自動分析装置1のディスプレイ24上のタッチスクリーン30を操作する。すると、ステップS1に於いて、位置検出部31によってタッチスクリーン30上で操作者がタッチした位置41が検出されて、座標データに変換される。ステップS2では、この変換された座標の位置が記憶部33に記憶される。
【0026】
このように、操作者がタッチした回数を累積して記憶するだけの処理は最も単純な方法であり、最大数に見合う記憶領域だけ使用すればよい。例えば、1ワード(16ビット)であれば、2バイトの領域でよく、これで65,534回のタッチを記録することができる。この場合、65,535回目は、オーバーフローとして、これ以上の累積は行わないようにする。
【0027】
次いで、ステップS3に於いて、操作者がタッチスクリーン30にタッチした回数が規定回数を超えたか否かが判定される。この規定回数は予め設定されているもので、例えば100回とする。ここで、100回未満の場合は前記ステップS1に移行して、タッチした回数が100回になるまでは前述した処理動作が繰り返される。
【0028】
そして、タッチスクリーン30にタッチした回数が100回に到達したならば、ステップS4に移行して、図7に示されるような、清掃を促すメッセージがディスプレイ24に表示される。このメッセージによって、操作者はタッチスクリーン30が消毒等の清掃作業が必要になったことを知ることができる。尚、このメッセージは、清掃作業がなされるまでディスプレイに表示されたままの状態にしておいてもよい。
【0029】
実際には、タッチスクリーン30にタッチした回数が100回では清掃が必要ない場合もあるので、前述したメッセージは注意喚起として捕らえ、操作者がタッチスクリーン30の状態を確認した上で清掃作業を行えようにする。この場合、次回の清掃作業を必要とする回数(規定値)を設定し直すようにしてもよい。
【0030】
また、消毒作業を行った場合、キーボード23や図示されないマウス等の入力装置によってその旨を入力して記憶部33に記憶できるようにしておく。そして、装置の起動時、または、定期的に、消毒の有無をディスプレイ24に表示して、この装置の汚染具合を知らせるようにしてもよい。
【0031】
このようにすれば、操作者等が清掃の時期を覚えていなくとも清掃が必要な時期を知ることができるので、必要なときだけ確実に清掃作業を行うことができ、無駄な作業を行うことがなくなる。
【0032】
(第1の変形例)
前述した実施形態では、操作者がタッチスクリーン30にタッチした回数を単純に記憶した例で説明したが、これに限られるものではない。
【0033】
例えば、図6(b)に示されるように、画面表示をエリア毎に分割してタッチした箇所がエリア単位で記録されるものであってもよい。この例では、画面表示は30a、30b、30c、30dの4つのエリア(Area1〜4)に分割されている。
【0034】
こうした場合、前記制御部32では、操作者が触れた位置が、画面上のどの座標であるか、更には、その座標がどのエリアに属するかが判定され、そのエリア毎にタッチされた回数が累積されて記憶される。そして、タッチスクリーン30にタッチした回数が規定値を超えたか否かは、エリア毎に判定される。したがって、例えばエリア1のタッチ回数が100回に到達しても、他のエリア2〜4が100回未満であれば、エリア1の画面の部分だけ清掃を促すようにメッセージを表示するようにすればよい。
【0035】
このようにすれば、使用頻度の高いエリアのみ消毒を行えばよく、まだ消毒を必要としないエリアについては作業を行わなくてもよいので、タッチスクリーンの寿命を延ばすことにもつながる。
【0036】
勿論、画面上のエリアの分割は4分割に限られるものではなく、9分割、16分割等、細かく設定が可能である。また、エリア分割は固定ではなく、1つを含む複数のエリアとの間で分割数を切り替えることも可能である。
【0037】
(第2の変形例)
前述した第1の実施形態及び第1の変形例では、操作者がタッチスクリーン30をタッチした位置、回数を記憶して、その回数が規定値に到達したらメッセージの表示によってタッチスクリーン30の清掃作業を促すようにしている。しかしながら、メッセージの表示による告知だけでなく、その他の方法による告知であってもよい。
【0038】
この第2の変形例では、操作者がタッチスクリーン30をタッチした回数によって画面上の表示色で告知するようにしている。
【0039】
例えば、図8は、タッチした箇所が色分けて表示されたタッチスクリーン30の画面の例を示した図である。
【0040】
この場合、例えば色の薄い領域42cがタッチした回数が最も少なく、最も色の濃い領域42bがタッチした回数が最も多い(頻度が高い)と判断することができ、領域42a、42dはその中間に相当する。そして、タッチした領域がある所定の警告を表す色(例えば赤)になった時点で、この色が清掃作業を促すメッセージとすることができる。この際、前述した第1の実施形態のように、メッセージを表示して更なる告知を行うようにしてもよい。
【0041】
このようにすれば、タッチスクリーンの色によって清掃が必要か否かを判断することができる。しかも、タッチした箇所がそのままの領域で表示されるので、本当に清掃が必要な領域を知ることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0043】
前述した第1の実施形態では、タッチスクリーンの使用回数を記憶して清掃を促すようにしているが、本第2の実施形態では、使用頻度の高い場所は表示される操作対象の位置を変えるようにしている。
【0044】
尚、本第2の実施形態に於いて、自動分析装置、タッチスクリーン装置の基本的な構成は前述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
例えば、図9(a)に示されるように、タッチスクリーン30上にタッチスイッチ45a、45b、45cが表示されているとする。そして、同じタッチスイッチ、例えば45aが操作者によってタッチされたとすると、図9(b)に示されるように、実線で示される最初の表示位置から2点鎖線で示される位置へと徐々に移動して表示されるようにする。
【0046】
図4(b)は、こうしたタッチスクリーン30を含むタッチスクリーン装置の構成を示した機能ブロック図である。
【0047】
第2の実施形態によるタッチスクリーン装置は、ディスプレイ24の前面に貼り付けられたタッチスクリーン30と、位置検出部31と、制御部32と、記憶部33と、表示処理部34と、表示位置シフト部35と、を有して構成される。ここで、位置検出部31、制御部32、記憶部33、表示処理部34、表示位置シフト部35は、パーソナルコンピュータ22内に含まれている。
【0048】
このような構成に於いて、記憶部33内に保存される座標データは、タッチスクリーン30上のどの位置を操作者がタッチしたかがわかるようにするために記憶される。また、座標データと共に、操作者が触れた回数が記憶される。そして、表示位置シフト部35は、記憶部33に記憶された座標位置に対応する、タッチスクリーン30上のタッチスイッチの表示位置を所定方向に移動させる。例えば、元の位置より左側に所定距離だけシフトさせる。表示処理部34では、タッチスクリーン30上で前記シフトされた位置に、当該タッチスイッチが表示される。
【0049】
次に、図10のフローチャートを参照して、本実施形態に於けるタッチスクリーンの清掃告知の動作について説明する。
【0050】
尚、本フローチャートに於ける制御動作は、主に制御部32の指令により行われる。
【0051】
図9(a)に示されるように、操作者が自動分析装置1のディスプレイ24上のタッチスクリーン30を操作する。すると、ステップS11に於いて、位置検出部31によってタッチスクリーン30上で操作者がタッチした位置41が検出される。次に、ステップS12及びS13に於いて、操作されたタッチスイッチがスイッチa、b、c(タッチスイッチ45a、45b、45c)の何れであるかが検出される。
【0052】
ここで、操作されたタッチスイッチがスイッチa(タッチスイッチ45a)であった場合は、ステップS14に移行して、検出された座標の位置が座標データに変換されると共にタッチされた回数が記憶部33に記憶される。同様に、操作されたタッチスイッチがスイッチb(タッチスイッチ45b)であった場合は、ステップS15に移行して、検出された座標の位置が座標データに変換されると共にタッチされた回数が記憶部33に記憶される。更に、操作されたタッチスイッチがスイッチc(タッチスイッチ45c)であった場合は、ステップS16に移行して、検出された座標の位置が座標データに変換されると共にタッチされた回数が記憶部33に記憶される。
【0053】
ステップS17では、操作者がタッチスイッチ45aにタッチした回数が規定回数を超えたか否かが判定される。この規定回数は予め設定されているもので、例えば100回とする。ここで、100回未満の場合はステップS18に移行して、タッチスイッチ45aの表示位置を所定量だけシフトさせる。例えば、最初の表示位置よりも2mm左側に表示されるようにシフトさせる。その後、前記ステップS11に移行する。
【0054】
そして、ステップS17にて、タッチスイッチ45aがタッチされた回数が100回になるまでは前述した処理動作が繰り返される。タッチスイッチ456aにタッチした回数が100回に到達したならば、ステップS17からステップS19に移行して、タッチスイッチ45aに対しての清掃を促すメッセージがディスプレイ24に表示される。このメッセージによって、操作者はタッチスイッチ45aの部分について消毒等の清掃作業が必要になったことを知ることができる。尚、このメッセージは、清掃作業がなされるまでディスプレイに表示されたままの状態にしておいてもよい。
【0055】
実際には、タッチスイッチ45aにタッチした回数が100回では清掃が必要ない場合もあるので、前述したメッセージは注意喚起として捕らえ、操作者がタッチスイッチ45aの状態を確認した上で清掃作業を行えようにする。この場合、次回の清掃作業を必要とする回数(規定値)を設定し直すようにしてもよい。
【0056】
同様に、ステップS20では、操作者がタッチスイッチ45bにタッチした回数が規定回数(100回)を超えたか否かが判定される。ここで、100回未満の場合はステップS21に移行して、タッチスイッチ45bの表示位置を所定量だけシフトさせる。その後、前記ステップS11に移行する。
【0057】
そして、ステップS20にて、タッチスイッチ45bがタッチされた回数が100回になるまでは前述した処理動作が繰り返される。タッチスイッチ45bにタッチした回数が100回に到達したならば、ステップS20からステップS22に移行して、タッチスイッチ45bに対しての清掃を促すメッセージがディスプレイ24に表示される。このメッセージによって、操作者はタッチスイッチ45bの部分について消毒等の清掃作業が必要になったことを知ることができる。
【0058】
また、ステップS23では、操作者がタッチスイッチ45cにタッチした回数が規定回数(100回)を越えたか否かが判定される。ここで、100回未満の場合はステップS24に移行して、タッチスイッチ45cの表示位置を所定量だけシフトさせる。その後、前記ステップS11に移行する。
【0059】
そして、ステップS23にて、タッチスイッチ45cがタッチされた回数が100回になるまでは前述した処理動作が繰り返される。タッチスイッチ45cにタッチした回数が100回に到達したならば、ステップS23からステップS25に移行して、タッチスイッチ45cに対しての清掃を促すメッセージがディスプレイ24に表示される。このメッセージによって、操作者はタッチスイッチ45cの部分について消毒等の清掃作業が必要になったことを知ることができる。
【0060】
尚、何れのタッチスイッチ45a〜45cの場合も、タッチされた回数が規定回数に到達したならば、清掃を促すメッセージが表示されると共に、当該タッチスイッチの表示位置は最初の位置に戻るように制御されている。
【0061】
このようにすれば、操作者等が清掃の時期を覚えていなくとも清掃が必要な時期を知ることができるので、必要なときだけ確実に清掃作業を行うことができ、無駄な作業を行うことがなくなる。また、タッチスイッチの表示位置によって清掃が必要な時期を知ることもできる。
【0062】
更に、操作者がタッチした頻度が高い場所は、その場所に表示される操作対象であるタッチスイッチの位置を変えることで、その場所のタッチ頻度を下げて、タッチスクリーンの寿命を延ばすようにすることができる。
【0063】
尚、本実施形態では、操作者がタッチしたタッチスイッチの位置を徐々にシフトしていくように説明したが、これに限られるものではなく、操作者が操作可能な範囲で表示位置を変えるようにしてもよい。
【0064】
また、前述した実施形態では、自動分析装置に使用されるタッチスクリーン装置として説明したが、これに限られるものではなく、タッチスクリーン装置を使用するものであれば何れの装置にも適用可能である。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0066】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、消毒などの清掃状態を管理して操作者に告知するようにし、装置の汚染度を告知できるようにして操作者に消毒作業を促したり、当該装置に触る場合の注意を喚起することのできるタッチスクリーン装置及び自動分析装置が得られる。
【符号の説明】
【0068】
1…自動分析装置、10…分析部、20…コンソール部、21…ラック、22…パーソナルコンピュータ(PC)本体、23…キーボード、24…ディスプレイ、25…プリンタ、30…タッチスクリーン、31…位置検出部、32…制御部、33…記憶部、34…表示処理部、35…表示位置シフト部、45a、45b、45c…タッチスイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチスクリーン装置及び自動分析装置に関し、より詳細には、タッチスクリーン装置を使用して、血液や尿などの体内成分を分析して、成分濃度、定性判定を行うための自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、検査する項目(測定項目)に応じて、被検体から採取された血液や尿などの被検試料と試薬とを反応容器に分注し、被検試料と試薬との混合液の反応によって生ずる色調などの変化を、光の透過量を測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や活性を測定するものである。そして、自動分析装置には、測定開始の指示や測定の条件の入力、測定された結果の表示や処理、保守作業の指示を行うための表示装置と入力装置が備わっている。通常、これらの表示装置としてはCRTやLCD等の表示装置、入力装置としてはキーボードやマウス等がある。
【0003】
また、近年、作業のしやすさから、表示装置上にタッチすることで操作指示を行うことが可能なタッチスクリーンを備える表示装置が増えてきている。検査作業は立ち作業が多く、大量の検体やその結果の伝票処理などもあって、操作する際、画面上に表示された指示ボタンをタッチするだけで操作が行なえることは、作業の効率を向上させることにつながっている。
【0004】
加えて、院内感染をはじめとして、検体の取扱い上、感染に対する危険性も重視されてきている。このため、手袋の着用、操作機器、環境の消毒、清掃が、感染防止や拡散を防止する上で重要な作業となっている。
【0005】
検査員は、業務上、検体に触ることが多いため、手袋を着用するなどして感染防止対策を行っている。しかしながら、その手、または、手袋のまま、検査装置に触れることになるため、検査装置の入力部等は、その汚れ、感染物質が付着することになる。このため、定期的な消毒や清掃を、検査室内で取り決めて作業することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−92520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、従来でも定期的な消毒などが行われているが、消毒作業を忘れてしまったり、稼動していた、しないにも関わらず消毒を行うことは無駄な作業となることがある。また、多くの場合、消毒液はタッチスクリーン等の電子機器に少なからずダメージを及ぼす可能性があるため、必要最小限の回数で消毒作業を行うことも重要になる。
【0008】
したがって本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、消毒などの清掃状態を管理して操作者に告知するようにし、装置の汚染度を告知できるようにして操作者に清掃作業を促したり、当該装置に触る場合の注意を喚起することのできるタッチスクリーン装置及び自動分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、複数のタッチスイッチを画面上に有して成るタッチスクリーン装置であって、操作者が前記画面に触れた位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面の清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する制御部と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、試料容器に収容された被検体から採取された被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置に於いて、前記測定のための入力操作を行う複数のタッチスイッチを画面上に有して成るタッチスクリーンと、操作者が前記タッチスクリーンの画面に触れた位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面の清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する制御部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、消毒などの清掃状態を管理して操作者に告知するようにし、装置の汚染度を告知できるようにして操作者に消毒作業を促したり、当該装置に触る場合の注意を喚起することのできるタッチスクリーン装置及び自動分析装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に於ける自動分析装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の自動分析装置のコンソール部を示した斜視図である。
【図3】ディスプレイ及びタッチスクリーンの例を示す斜視図である。
【図4】(a)は本発明の第1の実施形態に於けるタッチスクリーン装置の構成を示した機能ブロック図、(b)は本発明の第2の実施形態に於けるタッチスクリーン装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に於けるタッチスクリーンの清掃告知の動作について説明するためのフローチャートである。
【図6】(a)はタッチスクリーン上で操作者がタッチ位置の例を表した図、(b)はタッチスクリーンを4分割して各エリア毎に操作者がタッチした位置の例を表した図である。
【図7】清掃を促すメッセージの表示例を示した図である。
【図8】タッチした箇所が色分けて表示されたタッチスクリーン30の画面の例を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に於けるタッチスクリーン装置のタッチスイッチの表示例を示した図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に於けるタッチスクリーンの清掃告知の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に於ける自動分析装置の外観を示す斜視図であり、図2は図1の自動分析装置のコンソール部を示した斜視図である。
【0015】
この自動分析装置1は、分析部10とコンソール部20とから構成されている。前記分析部10は、被検体を検査する項目の標準試料や被検体から採取された被検試料の測定を行い、標準データや被検データを生成するものである。一方、コンソール部20は、被検試料を測定して被検体を識別するための認証データを生成し、分析部10を制御して、該分析部10から出力される標準データや被検データを処理し、各項目の検量線の作成や分析データの生成を行う機能を有したパーソナルコンピュータ(PC)本体22を備えている。
【0016】
尚、以下の説明に於いて、分析部10とコンソール部20に於ける一般的な構成及び動作については周知であるのでここでは説明を省略するものとし、後述するタッチスクリーンの清掃告知に関することについて説明する。
【0017】
コンソール部20は、装置全体を載置しているラック21と、このラック21に載置されたパーソナルコンピュータ本体22、入力装置としてのキーボード23、表示装置としてのディスプレイ24、出力装置としてのプリンタ25を有して構成される。
【0018】
ディスプレイ24は、図3に示されるように、その表面にタッチスクリーン30が貼り付けられている。このタッチスクリーン30は透明であり、該タッチスクリーン30を通して、ディスプレイ24の画面に表示されている内容を見ることができる。
【0019】
図4(a)は、こうしたタッチスクリーン30を含むタッチスクリーン装置の構成を示した機能ブロック図である。
【0020】
本タッチスクリーン装置は、ディスプレイ24の前面に貼り付けられたタッチスクリーン30と、位置検出部31と、制御部32と、記憶部33と、表示処理部34と、を有して構成される。ここで、位置検出部31、制御部32、記憶部33、表示処理部34は、パーソナルコンピュータ22内に含まれている。
【0021】
このような構成に於いて、タッチスクリーン30でタッチされた場所の情報は、表示上の座標数値として位置検出部31で検出され、タッチスクリーン30からパーソナルコンピュータ22内に送られる。通常、ここで検出された座標データは制御部32に送られ、この制御部32にて、ディスプレイ24に表示されている操作対象物が特定され、その操作が入力されたとして判断されて、その操作が実行される。例えば、スタートボタンの位置であれば、動作が開始される等である。
【0022】
前記座標データは、記憶部33内に保存される。この座標データは、タッチスクリーン30上のどの位置を操作者がタッチしたかがわかるようにするために記憶される。また、座標データと共に、操作者が触れた回数が記憶される。表示処理部34では、前記制御部32で特定された入力操作に対応する画像の処理がなされて、ディスプレイ24に当該画像を表示させる。
【0023】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態に於けるタッチスクリーンの清掃告知の動作について説明する。
【0024】
尚、本フローチャートに於ける制御動作は、主に制御部32の指令により行われる。
【0025】
図6(a)に示されるように、操作者が自動分析装置1のディスプレイ24上のタッチスクリーン30を操作する。すると、ステップS1に於いて、位置検出部31によってタッチスクリーン30上で操作者がタッチした位置41が検出されて、座標データに変換される。ステップS2では、この変換された座標の位置が記憶部33に記憶される。
【0026】
このように、操作者がタッチした回数を累積して記憶するだけの処理は最も単純な方法であり、最大数に見合う記憶領域だけ使用すればよい。例えば、1ワード(16ビット)であれば、2バイトの領域でよく、これで65,534回のタッチを記録することができる。この場合、65,535回目は、オーバーフローとして、これ以上の累積は行わないようにする。
【0027】
次いで、ステップS3に於いて、操作者がタッチスクリーン30にタッチした回数が規定回数を超えたか否かが判定される。この規定回数は予め設定されているもので、例えば100回とする。ここで、100回未満の場合は前記ステップS1に移行して、タッチした回数が100回になるまでは前述した処理動作が繰り返される。
【0028】
そして、タッチスクリーン30にタッチした回数が100回に到達したならば、ステップS4に移行して、図7に示されるような、清掃を促すメッセージがディスプレイ24に表示される。このメッセージによって、操作者はタッチスクリーン30が消毒等の清掃作業が必要になったことを知ることができる。尚、このメッセージは、清掃作業がなされるまでディスプレイに表示されたままの状態にしておいてもよい。
【0029】
実際には、タッチスクリーン30にタッチした回数が100回では清掃が必要ない場合もあるので、前述したメッセージは注意喚起として捕らえ、操作者がタッチスクリーン30の状態を確認した上で清掃作業を行えようにする。この場合、次回の清掃作業を必要とする回数(規定値)を設定し直すようにしてもよい。
【0030】
また、消毒作業を行った場合、キーボード23や図示されないマウス等の入力装置によってその旨を入力して記憶部33に記憶できるようにしておく。そして、装置の起動時、または、定期的に、消毒の有無をディスプレイ24に表示して、この装置の汚染具合を知らせるようにしてもよい。
【0031】
このようにすれば、操作者等が清掃の時期を覚えていなくとも清掃が必要な時期を知ることができるので、必要なときだけ確実に清掃作業を行うことができ、無駄な作業を行うことがなくなる。
【0032】
(第1の変形例)
前述した実施形態では、操作者がタッチスクリーン30にタッチした回数を単純に記憶した例で説明したが、これに限られるものではない。
【0033】
例えば、図6(b)に示されるように、画面表示をエリア毎に分割してタッチした箇所がエリア単位で記録されるものであってもよい。この例では、画面表示は30a、30b、30c、30dの4つのエリア(Area1〜4)に分割されている。
【0034】
こうした場合、前記制御部32では、操作者が触れた位置が、画面上のどの座標であるか、更には、その座標がどのエリアに属するかが判定され、そのエリア毎にタッチされた回数が累積されて記憶される。そして、タッチスクリーン30にタッチした回数が規定値を超えたか否かは、エリア毎に判定される。したがって、例えばエリア1のタッチ回数が100回に到達しても、他のエリア2〜4が100回未満であれば、エリア1の画面の部分だけ清掃を促すようにメッセージを表示するようにすればよい。
【0035】
このようにすれば、使用頻度の高いエリアのみ消毒を行えばよく、まだ消毒を必要としないエリアについては作業を行わなくてもよいので、タッチスクリーンの寿命を延ばすことにもつながる。
【0036】
勿論、画面上のエリアの分割は4分割に限られるものではなく、9分割、16分割等、細かく設定が可能である。また、エリア分割は固定ではなく、1つを含む複数のエリアとの間で分割数を切り替えることも可能である。
【0037】
(第2の変形例)
前述した第1の実施形態及び第1の変形例では、操作者がタッチスクリーン30をタッチした位置、回数を記憶して、その回数が規定値に到達したらメッセージの表示によってタッチスクリーン30の清掃作業を促すようにしている。しかしながら、メッセージの表示による告知だけでなく、その他の方法による告知であってもよい。
【0038】
この第2の変形例では、操作者がタッチスクリーン30をタッチした回数によって画面上の表示色で告知するようにしている。
【0039】
例えば、図8は、タッチした箇所が色分けて表示されたタッチスクリーン30の画面の例を示した図である。
【0040】
この場合、例えば色の薄い領域42cがタッチした回数が最も少なく、最も色の濃い領域42bがタッチした回数が最も多い(頻度が高い)と判断することができ、領域42a、42dはその中間に相当する。そして、タッチした領域がある所定の警告を表す色(例えば赤)になった時点で、この色が清掃作業を促すメッセージとすることができる。この際、前述した第1の実施形態のように、メッセージを表示して更なる告知を行うようにしてもよい。
【0041】
このようにすれば、タッチスクリーンの色によって清掃が必要か否かを判断することができる。しかも、タッチした箇所がそのままの領域で表示されるので、本当に清掃が必要な領域を知ることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0043】
前述した第1の実施形態では、タッチスクリーンの使用回数を記憶して清掃を促すようにしているが、本第2の実施形態では、使用頻度の高い場所は表示される操作対象の位置を変えるようにしている。
【0044】
尚、本第2の実施形態に於いて、自動分析装置、タッチスクリーン装置の基本的な構成は前述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
例えば、図9(a)に示されるように、タッチスクリーン30上にタッチスイッチ45a、45b、45cが表示されているとする。そして、同じタッチスイッチ、例えば45aが操作者によってタッチされたとすると、図9(b)に示されるように、実線で示される最初の表示位置から2点鎖線で示される位置へと徐々に移動して表示されるようにする。
【0046】
図4(b)は、こうしたタッチスクリーン30を含むタッチスクリーン装置の構成を示した機能ブロック図である。
【0047】
第2の実施形態によるタッチスクリーン装置は、ディスプレイ24の前面に貼り付けられたタッチスクリーン30と、位置検出部31と、制御部32と、記憶部33と、表示処理部34と、表示位置シフト部35と、を有して構成される。ここで、位置検出部31、制御部32、記憶部33、表示処理部34、表示位置シフト部35は、パーソナルコンピュータ22内に含まれている。
【0048】
このような構成に於いて、記憶部33内に保存される座標データは、タッチスクリーン30上のどの位置を操作者がタッチしたかがわかるようにするために記憶される。また、座標データと共に、操作者が触れた回数が記憶される。そして、表示位置シフト部35は、記憶部33に記憶された座標位置に対応する、タッチスクリーン30上のタッチスイッチの表示位置を所定方向に移動させる。例えば、元の位置より左側に所定距離だけシフトさせる。表示処理部34では、タッチスクリーン30上で前記シフトされた位置に、当該タッチスイッチが表示される。
【0049】
次に、図10のフローチャートを参照して、本実施形態に於けるタッチスクリーンの清掃告知の動作について説明する。
【0050】
尚、本フローチャートに於ける制御動作は、主に制御部32の指令により行われる。
【0051】
図9(a)に示されるように、操作者が自動分析装置1のディスプレイ24上のタッチスクリーン30を操作する。すると、ステップS11に於いて、位置検出部31によってタッチスクリーン30上で操作者がタッチした位置41が検出される。次に、ステップS12及びS13に於いて、操作されたタッチスイッチがスイッチa、b、c(タッチスイッチ45a、45b、45c)の何れであるかが検出される。
【0052】
ここで、操作されたタッチスイッチがスイッチa(タッチスイッチ45a)であった場合は、ステップS14に移行して、検出された座標の位置が座標データに変換されると共にタッチされた回数が記憶部33に記憶される。同様に、操作されたタッチスイッチがスイッチb(タッチスイッチ45b)であった場合は、ステップS15に移行して、検出された座標の位置が座標データに変換されると共にタッチされた回数が記憶部33に記憶される。更に、操作されたタッチスイッチがスイッチc(タッチスイッチ45c)であった場合は、ステップS16に移行して、検出された座標の位置が座標データに変換されると共にタッチされた回数が記憶部33に記憶される。
【0053】
ステップS17では、操作者がタッチスイッチ45aにタッチした回数が規定回数を超えたか否かが判定される。この規定回数は予め設定されているもので、例えば100回とする。ここで、100回未満の場合はステップS18に移行して、タッチスイッチ45aの表示位置を所定量だけシフトさせる。例えば、最初の表示位置よりも2mm左側に表示されるようにシフトさせる。その後、前記ステップS11に移行する。
【0054】
そして、ステップS17にて、タッチスイッチ45aがタッチされた回数が100回になるまでは前述した処理動作が繰り返される。タッチスイッチ456aにタッチした回数が100回に到達したならば、ステップS17からステップS19に移行して、タッチスイッチ45aに対しての清掃を促すメッセージがディスプレイ24に表示される。このメッセージによって、操作者はタッチスイッチ45aの部分について消毒等の清掃作業が必要になったことを知ることができる。尚、このメッセージは、清掃作業がなされるまでディスプレイに表示されたままの状態にしておいてもよい。
【0055】
実際には、タッチスイッチ45aにタッチした回数が100回では清掃が必要ない場合もあるので、前述したメッセージは注意喚起として捕らえ、操作者がタッチスイッチ45aの状態を確認した上で清掃作業を行えようにする。この場合、次回の清掃作業を必要とする回数(規定値)を設定し直すようにしてもよい。
【0056】
同様に、ステップS20では、操作者がタッチスイッチ45bにタッチした回数が規定回数(100回)を超えたか否かが判定される。ここで、100回未満の場合はステップS21に移行して、タッチスイッチ45bの表示位置を所定量だけシフトさせる。その後、前記ステップS11に移行する。
【0057】
そして、ステップS20にて、タッチスイッチ45bがタッチされた回数が100回になるまでは前述した処理動作が繰り返される。タッチスイッチ45bにタッチした回数が100回に到達したならば、ステップS20からステップS22に移行して、タッチスイッチ45bに対しての清掃を促すメッセージがディスプレイ24に表示される。このメッセージによって、操作者はタッチスイッチ45bの部分について消毒等の清掃作業が必要になったことを知ることができる。
【0058】
また、ステップS23では、操作者がタッチスイッチ45cにタッチした回数が規定回数(100回)を越えたか否かが判定される。ここで、100回未満の場合はステップS24に移行して、タッチスイッチ45cの表示位置を所定量だけシフトさせる。その後、前記ステップS11に移行する。
【0059】
そして、ステップS23にて、タッチスイッチ45cがタッチされた回数が100回になるまでは前述した処理動作が繰り返される。タッチスイッチ45cにタッチした回数が100回に到達したならば、ステップS23からステップS25に移行して、タッチスイッチ45cに対しての清掃を促すメッセージがディスプレイ24に表示される。このメッセージによって、操作者はタッチスイッチ45cの部分について消毒等の清掃作業が必要になったことを知ることができる。
【0060】
尚、何れのタッチスイッチ45a〜45cの場合も、タッチされた回数が規定回数に到達したならば、清掃を促すメッセージが表示されると共に、当該タッチスイッチの表示位置は最初の位置に戻るように制御されている。
【0061】
このようにすれば、操作者等が清掃の時期を覚えていなくとも清掃が必要な時期を知ることができるので、必要なときだけ確実に清掃作業を行うことができ、無駄な作業を行うことがなくなる。また、タッチスイッチの表示位置によって清掃が必要な時期を知ることもできる。
【0062】
更に、操作者がタッチした頻度が高い場所は、その場所に表示される操作対象であるタッチスイッチの位置を変えることで、その場所のタッチ頻度を下げて、タッチスクリーンの寿命を延ばすようにすることができる。
【0063】
尚、本実施形態では、操作者がタッチしたタッチスイッチの位置を徐々にシフトしていくように説明したが、これに限られるものではなく、操作者が操作可能な範囲で表示位置を変えるようにしてもよい。
【0064】
また、前述した実施形態では、自動分析装置に使用されるタッチスクリーン装置として説明したが、これに限られるものではなく、タッチスクリーン装置を使用するものであれば何れの装置にも適用可能である。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0066】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、消毒などの清掃状態を管理して操作者に告知するようにし、装置の汚染度を告知できるようにして操作者に消毒作業を促したり、当該装置に触る場合の注意を喚起することのできるタッチスクリーン装置及び自動分析装置が得られる。
【符号の説明】
【0068】
1…自動分析装置、10…分析部、20…コンソール部、21…ラック、22…パーソナルコンピュータ(PC)本体、23…キーボード、24…ディスプレイ、25…プリンタ、30…タッチスクリーン、31…位置検出部、32…制御部、33…記憶部、34…表示処理部、35…表示位置シフト部、45a、45b、45c…タッチスイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタッチスイッチを画面上に有して成るタッチスクリーン装置であって、
操作者が前記画面に触れた位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面の清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する制御部と、
を具備することを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記画面を所定のエリア毎に分割して、該エリア毎に前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記エリア毎の画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面に触れたエリアの清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数に応じて、前記操作者が前記画面に触れた位置の色を変化させて表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項4】
前記画面上のタッチスイッチの表示位置をシフトさせる表示位置シフト部を更に具備し、
前記制御部は、前記操作者が前記タッチスイッチに触れた回数に応じて、当該タッチスイッチの表示位置をシフトさせるべく前記表示位置シフト部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項5】
操作者が清掃作業を行った旨を入力する入力部を更に具備し、
前記制御部は、前記入力部により入力された前記清掃作業を行った旨の通知を、該装置の起動時若しくは定期的に前記画面に表示させるように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項6】
試料容器に収容された被検体から採取された被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置に於いて、
前記測定のための入力操作を行う複数のタッチスイッチを画面上に有して成るタッチスクリーンと、
操作者が前記タッチスクリーンの画面に触れた位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面の清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する制御部と、
を具備することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記画面を所定のエリア毎に分割して、該エリア毎に前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記エリア毎の画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面に触れたエリアの清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数に応じて、前記操作者が前記画面に触れた位置の色を変化させて表示するように制御することを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記画面上のタッチスイッチの表示位置をシフトさせる表示位置シフト部を更に具備し、
前記制御部は、前記操作者が前記タッチスイッチに触れた回数に応じて、当該タッチスイッチの表示位置をシフトさせるべく前記表示位置シフト部を制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項10】
操作者が清掃作業を行った旨を入力する入力部を更に具備し、
前記制御部は、前記入力部により入力された前記清掃作業を行った旨の通知を、該装置の起動時若しくは定期的に前記画面に表示させるように制御する
ことを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の自動分析装置。
【請求項1】
複数のタッチスイッチを画面上に有して成るタッチスクリーン装置であって、
操作者が前記画面に触れた位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面の清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する制御部と、
を具備することを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記画面を所定のエリア毎に分割して、該エリア毎に前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記エリア毎の画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面に触れたエリアの清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数に応じて、前記操作者が前記画面に触れた位置の色を変化させて表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項4】
前記画面上のタッチスイッチの表示位置をシフトさせる表示位置シフト部を更に具備し、
前記制御部は、前記操作者が前記タッチスイッチに触れた回数に応じて、当該タッチスイッチの表示位置をシフトさせるべく前記表示位置シフト部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項5】
操作者が清掃作業を行った旨を入力する入力部を更に具備し、
前記制御部は、前記入力部により入力された前記清掃作業を行った旨の通知を、該装置の起動時若しくは定期的に前記画面に表示させるように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項6】
試料容器に収容された被検体から採取された被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置に於いて、
前記測定のための入力操作を行う複数のタッチスイッチを画面上に有して成るタッチスクリーンと、
操作者が前記タッチスクリーンの画面に触れた位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面の清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する制御部と、
を具備することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記画面を所定のエリア毎に分割して、該エリア毎に前記操作者が前記画面に触れた位置及び前記画面に触れた回数を記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記エリア毎の画面に触れた回数が所定回数を超えた場合に、前記操作者に前記画面に触れたエリアの清掃を促すように前記画面上に注意メッセージを表示するように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記画面に触れた回数に応じて、前記操作者が前記画面に触れた位置の色を変化させて表示するように制御することを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記画面上のタッチスイッチの表示位置をシフトさせる表示位置シフト部を更に具備し、
前記制御部は、前記操作者が前記タッチスイッチに触れた回数に応じて、当該タッチスイッチの表示位置をシフトさせるべく前記表示位置シフト部を制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項10】
操作者が清掃作業を行った旨を入力する入力部を更に具備し、
前記制御部は、前記入力部により入力された前記清掃作業を行った旨の通知を、該装置の起動時若しくは定期的に前記画面に表示させるように制御する
ことを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の自動分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−230399(P2010−230399A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76621(P2009−76621)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
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