説明

タッチパネルおよびタッチパネルを有する端末装置

【課題】タッチパネルを有する端末装置では、装置の小型化のためタッチパネルを筐体で保持する外取付けすると防水性または耐衝撃性のどちらかが犠牲になっていた。
【解決手段】筐体に外側から取り付けて前記筐体を密閉状態とするタッチパネルに、タッチパネル内の気体を密閉した筐体内部に通じる通気手段を設ける。タッチパネルへの衝撃による内部の圧力上昇が生じても、圧力をを筐体内に開放するため耐衝撃性が犠牲にならない。また、記間隙内に柔軟な物質が気体とともに充填されていても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを有する端末装置に関し、特に物流業界、在庫管理、資材管理等で用いられる携帯される端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流業界等で使用される端末装置は、雨天の戸外での使用、あるいは炎天下で使用者の汗等が多く存在する環境で携帯される等の使用環境であるため防水性が望まれる。さらに、荷物の搬送に伴って携帯されるため、耐衝撃性を備えることが望まれる。
また、このような端末装置は、操作に習熟した人のみが用いるものではないため、タッチパネルを装備して表示部のアイコンにタッチして操作を行なう直感的で簡易な操作方法が望まれる。
また、このようなタッチパネルの構造は、タッチパネル内の間隙に存在する気体をタッチパネルの内部に封じた密閉タイプと、間隙内の気体をタッチパネルの外部に開放した開放タイプのものとに大別され、密閉タイプのものは防水構造とするのに好ましく、開放タイプのものはに内部の気体が放出できるために衝撃に強いという特性を有している。
また、このような端末装置はタッチパネルを筐体に外側から貼り付け、タッチパネルの支持を筐体の外壁でおこなって小型化と軽量化を図り携帯を容易とするのが好ましい。
特許文献1には、このような問題の解決として、上下パネル間の間隙に通じるボンベ状の空気溜まりを設け、パネル間隙内の空気圧の急激な上昇を緩和するものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−17888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のタッチパネルを有する端末装置では、タッチパネルを筐体の外から取り付けると防水性または耐衝撃性のどちらかが犠牲になるものであった。また、上述の特許文献のものでは装置の小型化、軽量化型化が阻害されるるものであった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的は、小型化、軽量化で、かつ耐衝撃性、防水性を備えた端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため本願においては、操作時にタッチされる上パネルと、下パネルと、これらの両パネルの間に設けた間隙と、前記間隙内の気体を開放する通気手段とを設けたタッチパネルであって、前記タッチパネルの周に沿い前記下パネルの側に設けた装着部と、前記装着部の外縁より内側であって前記装着部と同一の側に前記通気手段を設けた前記タッチパネルとした。 また、筐体に外側から取り付けられて前記筐体を密閉状態とするタッチパネルであって、
操作時にタッチされる上パネルと、下パネルと、これらの両パネルの間に設けた間隙と、前記間隙内の気体を前記筐体内部に開放する通気手段とを設けた前記タッチパネルとした。
また、記間隙内に柔軟な物質が気体とともに充填されている前記タッチパネルとした。
これらの構成により、タッチパネルに衝撃的な圧力が加わった場合にも上パネル、下パネル間の空気が筐体内に逃げることができるためタッチパネルが破裂して壊れることを防止することができる。
また、筐体に外側から取り付けられて前記筐体内を密閉状態とし上パネルと下パネルとこれらの両パネルの間に設けた間隙と前記間隙内の気体を前記筐体内に流通させる通気手段とを有するタッチパネルと、前記筐体とよりなる端末装置とした。
また、筐体に外側から取り付けられるタッチパネルと筐体とよりなる端末装置であって、前記タッチパネルは上パネルと下パネルとこれらの両パネルの間に設けた間隙と前記間隙内の気体を外部と流通させる通気手段とを有するものであり、前記筐体は前記タッチパネルと筐体通気手段とを取り付けることにより密閉状態となり、前記タッチパネル内の気体を前記通気手段と前記筐体通気手段とで前記筐体内部に導くものである前記端末装置とした。
この構成によりさらに装置の小型化、軽量化に寄与し、防水性、耐衝撃性に優れた入力部を提供することができる。
また、前記間隙内に柔軟性の物質が気体とともに存在しているの端末装置とした。
この構成により装置の小型化、軽量化、防水性、耐衝撃性に優れた端末装置を得ることができる。
また、タッチパネルが生じる信号を伝達するケーブルが、通気手段を通っている端末装置とした。
この構成によりタッチパネルのケーブルを通す部位より気体を流通させるため、装置全体をさらに小さくできる。また基板周辺の温度の高い気体(空気)をタッチパネルに通じさせることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタッチパネルおよびタッチパネルを有する端末装置は、このような問題を解決するためのもので、小型化、軽量化で、かつ耐衝撃性、防水性を備えたタッチパネルを備えた端末装置を実現することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態における端末装置の外観を示す図
【図2】本発明の第1の実施の形態における端末装置のタッチパネルの取り付けを示す図
【図3】本発明の第1の実施の形態における端末装置の断面を示す図
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるタッチパネルを図2のA矢印の方向より示す図
【図5】本発明の第1の実施の形態に示すタッチパネルを図4のB−B断面で内部を示す図
【図6】本発明の第1の実施の形態に示すタッチパネルを取付け面側よりベース44を除いて示した図
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるタッチパネルの断面を示す図
【図8】本発明の第2の実施の形態における端末装置の断面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態では、タッチパネル4を有し運送業者の作業者、ドライバー、荷扱者等が使用する携帯可能な端末装置を示す。以下、本発明の実施の形態に係る端末装置について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
まず図1に端末装置1の外観を示す。この端末装置1の筐体は上筐体2と下筐体3とよりなる。上筐体2にタッチパネル4と操作部5とが設けてある。操作者は片手でこの携帯端末1を片手で保持し、もう一方の手でタッチパネル4に表示される内容にしたがってタッチパネル4または操作部5より入力操作をおこなう。より具体的にはタッチパネルの直下に設けた表示部に表示された内容にしたがって、「配送完了」「受取人不在」「中継地点での荷受」等の処理を入力したり荷物の識別番号、配送先の名称を入力する。あるいはタッチパネルを用いて届け先の受け取りサイン等を入力する場合もある。
【0010】
上筐体2と下筐体3とは組み立て時にはパッキン(図示せず)で隙間を塞ぎ、外部からの水の浸入を防ぐ防水構造としている。望ましくは筐体を密閉して外部から水蒸気も入らないようにする。さらに、装置の劣化、特に腐食を防ぐために、あるいは引火性の環境が予想されるガソリンスタンド、地下で用いる防爆のためにに不活性ガスを充填しても良い。またこの端末装置の内部には図3に示すように回路32が格納されておりCPU、メモリ等の発熱する電子部品31が回路32に装着されている。
【0011】
図2で表示取付部22として示した位置には液晶表示部(図示せず)が組み込まれ、この液晶表示に操作に関する種々のアイコン、荷物、処理に関する種々の表示がされる。アイコンが表示された場合、このアイコンへのタッチをタッチパネル4が検出して端末装置1への入力として検出する。このように端末装置1は操作部5の操作とタッチパネル4からの操作とにより入力作業をすることができる。タッチパネル4は液晶表示に示すアイコンを変更して、操作者に種々の入力を指示できるため、表示に従ってタッチパネルへの入力を行なえば操作が非常に容易になる。
【0012】
タッチパネル4は図2に示すように端末装置1の外側から上筐体2のパネル取付部2aにはめ込み、タッチパネル周囲の筐体に対向する面に、(ベース44)に設けた接着部45を設け筐体に固定する。接着部45は防水性のある接着テープで構成されることが多い。また防水性を考慮して接着部45はタッチパネル4の最外周に沿って設けられる。タッチパネル4の接続ケーブル6はベース44に設けたケーブル引き出し口41と筐体のケーブルガイド21を通って装置内の回路32に接続されている。ケーブルガイド21は液晶表示部を取り付ける表示取付け部22と一体になっていてもよい。
【0013】
タッチパネル4の取り付けはパネル取り付け部2aに嵌合またはネジ止めでも良いが、防水機能を持たせるためには接着部が好ましい。タッチパネルを操作する力は接着部45を圧縮する方向であり、筐体の内側からタッチパネルを接着する場合と比べて接着部を小さくすることができ、また筐体側の接着部は筐体の外壁と一体であるためタッチパネルを十分な強度で支持しながら防水性を得ることができる。前述のタッチパネル4のケーブルガイド21は防水性の面から当然にこの接着部より内側に設けられる。
【0014】
パネル取り付け部2aの内側に設けた表示取付部22には液晶表示(図示せず)が取り付けられて端末装置1の操作に必要な情報を表示する。ここで、タッチパネル4の通気孔42と通じているケーブルガイド21は、ケーブルを通す機能のみでなく、発熱性部品31が搭載されていてケーブルが接続される回路32の付近に一方の口が設けられており、回路32周辺の温められて相対湿度の下がった空気とタッチパネル4内の空気とが流通するようにしている。
【0015】
次にタッチパネルの構成を図3、図4、図5および図6を用いて説明する。図4は図2に示す矢印Aの方向からタッチパネルを見た図である。タッチパネル4のベース44は特許請求の範囲では「下パネル」として示したものに相当する。ベース44はタッチ時の圧力を受け止め、タッチ面43との間の間隙に変化を生じさせる。
【0016】
タッチ面43は特許請求の範囲に示す上パネルに相当する。ベース44に開けたケーブル孔41にはタッチによる電気信号を伝えるケーブル6が通っているがこのケーブル孔41の内部の空間はタッチパネル内でタッチパネルの接点部53a,53bの間の空間と通気孔42で通じている。この空間には空気と、圧縮により抵抗が変化する柔軟性のある物質、あるいは所定の静電容量を得るための柔軟性のある物質が存在しても良い。
【0017】
また、図5はタッチパネルのB−B(図4に示すもの)断面を示す図である。また図6は図4と同一方向から見た図であるが、ベース44を除いて透明なタッチパネル接点部a53aとタッチパネル配線部51、およびタッチパネル配線部51より伸びるケーブル6を示したものである。
【0018】
タッチパネル4はタッチ時の圧力を受けるため所定の強度を有しているベース44の上に形成した下部のタッチパネル接点部53bおよび柔軟性のあるタッチ面53aの内側に形成された上部のタッチパネル接点部53a、およびタッチ面43を支持するスペーサ54、および圧力で抵抗の変化する物質(図示せず)で構成される。タッチ面43とベース44との間の間隙には前述の圧力で抵抗が変化する柔軟性のある物質とともに空気が存在している。
【0019】
タッチ面43とベース44とはスペーサ54で通常は所定の間隙を保っていて、ベース44には筐体へ接着する接着部45を外周に沿って設けてある。
またタッチパネルは、押された場所のX軸位置、Y軸位置を検出して座標信号としてケーブルより出力する。このX軸位置、Y軸位置を検出するための簡単な回路が図5に示すケーブル孔41通じているタッチパネル内部の空間に設けられていても良く、耐腐食性、防爆性を持たせるために端末内、ひいてはタッチパネルの内部を窒素ガス、ヘリウム等の不活性ガスで満たしているのも好適である。
【0020】
次に図5、図6を用いてタッチパネルの動作について説明する。まず柔軟性のある透明な材料で構成されたタッチ面43が操作者の指、又は端末装置に付属したスタイラス等で押されると、タッチパネル接点部53a,53bが設けられたパネル間の空間が狭くなり上パネル、下パネルとの間に設けられた物質の抵抗値が変化してタッチパネルの押された位置を検出して表示部のアイコンと押された位置の関係から端末装置が入力情報を得る。
【0021】
このとき上下のパネルの間に存在していた空気が通気孔42、ケーブル孔41、ケーブルガイド21を通過して図3に示す筐体内部に排出される。タッチパネルへの押圧が開放されるとタッチ面43が平面にもどるため、間隙内の容積が元に戻り、空気は上記の経路をたどって逆方向に移動し筐体内の気体(空気)がタッチパネル内に吸い込まれる。
【0022】
また、タッチパネル4の最外周には接着部45が設けられる。多くの場合は防水性のある接着テープで構成される。通常の操作においてはタッチパネルを外部から押す力が接着部45にかかり、最終的には筐体に設けたパネル取付け部2aでパネルを押す力を受ける。このため操作力は接着部を密着させる方向で作用するため、接着部が剥離する心配がない。さらにパネル取付け部2aは筐体の一部であるため、接着部を小さく設定できるため、端末装置全体の軽量化、小型化に寄与することができる。
【0023】
また、二次的な効果としてタッチパネルと筐体との段差をなくすことも可能であるためポケット等への出し入れも容易な優れた外観を作ることができる。
(第2の実施の形態)
本願の第2の実施の形態を図7、図8を用いて説明する。タッチパネル、端末装置の構成のおおくは第1の実施の形態と同様であるが、図8に示すように差異はタッチパネル74の通気口がタッチパネルの側面に形成されたものを用いる点および、タッチパネルの側面から呼吸される空気を筐体内に導き、タッチパネルとともに装着されると筐体を密閉状態とするタッチパネルカバー71をタッチパネルの周囲に設ける点である。タッチパネル、端末装置において第1の実施の形態と共通するところは同一の番号で示している。
タッチパネル74、タッチパネルカバー71は筐体に外部から装着するが、タッチパネルカバーは上筐体2と一体とすることも可能である。ここで、タッチ面43とベース44の間隙に存在する空気は通気口75より外部に出入りするが、タッチパネルカバー71に設けた通気部A72および筐体に設けた通気部B73とで筐体内部に導いている。
このためタッチパネル内の空気はタッチパネルの側面からタッチパネルカバーと筐体に設けた通気部により筐体内と流通する。タッチパネルカバー71は上筐体2およびタッチパネル74に防水性を有し筐体を密閉するように接着する。このような構成をとればベースにケーブル引出し穴41を設ける必要が無く、タッチパネルの構成をさらに単純にできる。
タッチパネルカバーは接着によらず、溶着、ねじ固定等、種々の方法でも良いが外部に対して防水性があり、筐体を密閉し、通気部でタッチパネルに出入りする空気を筐体内に導くものであることが必要になる。
【0024】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明にかかるタッチパネル、およびタッチパネルを有する端末装置は、上述のように単純な構成により装置の小型化と軽量化を実現し、さらにタッチパネルへの耐衝撃性と防水性を両立させることができるため、特に物流過程で用いる端末装置として有用である。
【符号の説明】
【0026】
1 読取装置
2 上筐体
3 下筐体
4 タッチパネル
6 ケーブル
31 電子部品
32 回路
33 通気部
41 ケーブル引き出し口
42 通気孔
43 タッチ面
44 ベース
45 接着部
51 タッチパネル配線部
53a タッチパネル接点部a
53b タッチパネル接点部b
74 タッチパネル
75 通気口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作時にタッチされる上パネルと、下パネルと、これらの両パネルの間に設けた間隙と、前記間隙内の気体を開放する通気手段とを設けたタッチパネルであって、
前記タッチパネルの周に沿い前記下パネルの側に設けた装着部と、前記装着部の外縁より内側であって前記装着部と同一の側に前記通気手段を設けた前記タッチパネル。
【請求項2】
筐体に外側から取り付けられて前記筐体を密閉状態とするタッチパネルであって、
操作時にタッチされる上パネルと、下パネルと、これらの両パネルの間に設けた間隙と、前記間隙内の気体を前記筐体内部に開放する通気手段とを設けた前記タッチパネル。
【請求項3】
前記間隙内に柔軟な物質が気体とともに充填されている請求項1または請求項2に記載の前記タッチパネル。
【請求項4】
筐体に外側から取り付けられて前記筐体内を密閉状態とし上パネルと下パネルとこれらの両パネルの間に設けた間隙と前記間隙内の気体を前記筐体内に流通させる通気手段とを有するタッチパネルと、
前記筐体とよりなる端末装置。
【請求項5】
筐体に外側から取り付けられるタッチパネルと筐体とよりなる端末装置であって、
前記タッチパネルは
上パネルと下パネルとこれらの両パネルの間に設けた間隙と前記間隙内の気体を外部と流通させる通気手段とを有するものであり、
前記筐体は
前記タッチパネルと筐体通気手段とを取り付けることにより密閉状態となり、
前記タッチパネル内の気体を前記通気手段と前記筐体通気手段とで前記筐体内部に導くものである
前記端末装置。
【請求項6】
前記間隙内に柔軟性の物質が気体とともに存在している請求項4または請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記タッチパネルが生じる信号を伝達するケーブルが、前記通気手段を通っている請求項4乃至請求項6に記載の端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−282534(P2010−282534A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136977(P2009−136977)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】