説明

タッチパネルセンサー

【課題】特に押し込み荷重などのような縦方向に対する耐久性に優れており、断線や経時的な電気抵抗の増加が起こり難い、信頼性の高いタッチパネルセンサーを提供する。
【解決手段】本発明のタッチパネルセンサーは、透明導電膜、および前記透明導電膜と接続する配線を有するタッチパネルセンサーにおいて、配線は、基板側から順に、高融点金属膜と、Al合金膜と、高融点金属膜とから構成されており、Al合金膜は、希土類元素を0.05〜1原子%含有し、且つ、硬度は2〜3.5GPaであり、Al合金組織に存在する粒界三重点の密度は2×108個/mm2以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電膜およびこれと接続する配線を有するタッチパネルセンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置の前面に配置された、画像表示装置と一体型の入力スイッチとして用いられるタッチパネルセンサーは、その使い勝手のよさから、銀行のATMや券売機、カーナビ、PDA、コピー機の操作画面など幅広く使用されている。その入力ポイントの検出方式には、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式、超音波表面弾性波方式、圧電式等が挙げられる。これらのうち、抵抗膜方式が、コストがかからず構造が単純である等の理由から最も広く用いられている。
【0003】
抵抗膜方式のタッチパネルセンサーは、大別して、上部電極、下部電極、およびテール部分から構成されており、上部電極を構成する基板(例えばフィルム基板)上に設けられた透明導電膜と、下部電極を構成する基板(例えばガラス基板)上に設けられた透明導電膜が、スペーサを隔てて相対した構成となっている。この様な構成のタッチパネルセンサーにおける上記フィルム面を、指やペン等でタッチすると、上記両透明導電膜が接触し、透明導電膜の両端の電極を介して電流が流れ、上記それぞれの透明導電膜の抵抗による分圧比を測定することで、タッチされた位置が検出される。
【0004】
上記タッチパネルセンサーを製造するプロセスにおいて、透明導電膜と制御回路を接続するための引き回し配線や透明導電膜間を接続する金属配線などの配線は、一般に、銀ペーストなどの導電性ペーストや導電性インクを、インクジェットやその他の印刷方法で印刷することにより形成される。しかし、純銀または銀合金からなる配線は、ガラスや樹脂等との密着性が悪く、また、外部装置との接続部分において基板上で凝集することにより、電気抵抗の増加や断線等による不良を招く、といった問題がある。
【0005】
更にタッチパネルセンサーは、人の指等による押し込みを感知するセンサーであり、タッチ時に加わる応力により一時的に微小変形が生じる。タッチパネルの度重なる使用により、この微小変形が繰り返し生じ、配線にも応力が繰り返し加わる。よって、上記配線には、特に耐久性(応力に対する耐性)も要求される。しかし、純銀または銀合金からなる導電性ペーストを用いて形成された配線は、上記耐久性が十分であるとは言い難く、タッチパネル使用中に配線が損傷し易い。配線が損傷すると、該配線の電気抵抗が大きくなり電圧降下が生じて、タッチパネルセンサーの位置検出の精度が低下し易くなる。また、ペンタッチ方式を採用する場合には、上記配線の狭ピッチ化が必要であるが、ペーストを用いる場合には塗布法で形成するため、狭ピッチ化が難しい。
【0006】
一方、電気抵抗率の十分に低い純Alを配線の材料に適用することも考えられる。しかし、配線の材料に純Alを使用すると、タッチパネルセンサーにおける透明導電膜と純Al膜の間に絶縁性の酸化アルミニウムが形成され、電気伝導性を確保することができない、といった問題が発生する。そこで、Alの酸化を防止して電気伝導性を確保するためにMo、Tiなどの高融点金属からなるバリアメタル層を透明導電膜と純Al膜との間に介在させて下地層として用いたり、純Alの代わりに耐熱性などに優れたNdを含むAl−Nd合金を用いる方法が提案されている。また、本願出願人は、透明導電膜と直接接続させても低い電気抵抗を示すと共に、経時的な電気抵抗の増加や断線も生じ難いAl膜として、Niおよび/またはCoを所定量含むAl−Ni/Co合金膜(単層の配線材料)を特許文献1に開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−245422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に押し込み荷重などのような縦方向に対する耐久性に優れており、断線や経時的な電気抵抗の増加が起こり難い、信頼性の高いタッチパネルセンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し得た本発明のタッチパネルセンサーは、透明導電膜、および前記透明導電膜と接続する配線を有するタッチパネルセンサーにおいて、前記配線は、基板側から順に、高融点金属膜と、Al合金膜と、高融点金属膜とから構成されており、前記Al合金膜は、希土類元素を0.05〜1原子%含有し、且つ、硬度は2〜3.5GPaであり、Al合金組織に存在する粒界三重点の密度は2×108個/mm2以上であるところに要旨を有するものである。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、前記希土類元素は、Nd、Gd、La、Y、Ce、PrおよびDyよりなる群から選択される1種以上の元素である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、前記透明導電膜は、酸化インジウム錫(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)からなるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タッチパネルセンサー用配線として、希土類元素を含むAl合金膜の上および下に高融点金属膜が配置された配線材料を用いたタッチパネルセンサーにおいて、上記Al合金膜の硬度および粒界三重点密度を適切に制御しているため、特に、押し込み荷重などのような縦方向に対する耐久性に優れており、断線や経時的な電気抵抗の増加が起こり難く、信頼性の高いタッチパネルセンサーを提供することができた。本発明は各種タッチパネルに有効であるが、例えば銀行など金融機関のATM、駅やレストランなどの自動販売機などのように画面に表示された部分を押して操作する接触式のタッチパネルセンサーに好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、タッチパネルセンサー用配線として汎用されている配線材料、すなわち、希土類元素を含むAl合金膜(以下、Al−希土類元素合金膜、または単にAl合金膜と略記する場合がある。)の上および下にMoなどの高融点金属膜が積層された配線材料を有するタッチパネルセンサーにおいて、特に、人の指やペンなどでタッチしたときに加わる押し込み荷重によって生じる縦方向の変形に対して適度な耐性を有しており、断線や剥離を防止し得、更にはこれらに伴う経時的な電気抵抗の増加を防止することが可能な配線材料を提供するため、検討を重ねてきた。その結果、上記Al−希土類元素合金膜として、所定の硬度と粒界密度を有するAl合金膜を用いれば所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明の特徴部分は、高融点金属膜と共に用いられる配線用Al−希土類合金膜として、硬度が2〜3.5GPaであり、且つ、Al合金組織に存在する粒界三重点の密度が2×108個/mm2以上のAl合金膜を採用したところにある。
【0015】
まず、Al−希土類合金膜の硬度は2〜3.5GPaとする。タッチパネルには、タッチしたとき(使用時)の変形能(追随性)に優れており、特に画面をペンや指などで強くタッチして過度の荷重が負荷され、センサー端部に応力が一時的に集中して配線が変形したり劣化したりしても配線の断線、破断、剥離などが発生しない程度の縦方向に対する耐久性も備えていることが要求される。上記硬度はこのような観点から設定されたものであり、Al合金膜の上下に配置される高融点金属膜の硬度とのバランスも考慮して設定されたものである。
【0016】
詳細には、配線を構成する配線材料が軟らかすぎる場合には、応力集中により配線の変形が繰り返されて配線が劣化し、破断や剥離等が生じて電気抵抗が増加する等の不具合が生じる場合がある。一方、配線材料が硬すぎると、押し込み荷重に対して変形が起こり難くなるため、微小なクラックが入ったり剥がれなどの劣化が生じ得る。また、本発明のようにAl合金膜と高融点金属膜との積層物を配線材料として用いる場合は、Al合金膜の硬度を設定するに当たり、高融点金属膜の硬度とのバランスも更に考慮する必要があり、Al合金膜の硬度の上限は、高融点金属膜を構成する高融点金属とおおむね同程度の硬さに制御することが良く、一方、Al合金膜の硬度の下限は、高融点金属の硬度とあまり差が大きくならない方が良い。このような観点に基づき、本発明では、Al合金膜の硬度を2GPa以上3.5GPa以下と定めた。好ましくは2.5GPa以上3.3GPa以下である。なお、Al合金膜の硬度は、後記する実施例に記載の方法で測定した値である。
【0017】
更に本発明に用いられるAl合金膜は、Al合金組織に存在する粒界三重点の密度(以下、三重点密度と略記する場合がある。)が2×108個/mm2以上を満足するものである。上述したように本発明では、Al合金膜の硬度を所定範囲に制御する必要があるが、通常、硬度は三重点密度と密接な関係を有し、希土類元素の含有量が本発明の範囲内(1原子%以下)にあるときは、三重点密度が大きくなる程、硬度も大きくなる傾向にある。本発明では、Al合金膜の硬度の下限(2GPa)を確保するとの観点から、三重点密度を2×108個/mm2以上と定めた。好ましくは2.4×108個/mm2以上である。三重点密度の上限は、スパッタリング成膜の効率性などを考慮すると、8.0×108個/mm2であることが好ましい。なお、Al合金膜の三重点密度は、後記する実施例に記載の方法で測定した値である。
【0018】
以上、本発明を最も特徴付けるAl合金膜の硬度および三重点密度について説明した。
【0019】
本発明に用いられるAl合金膜は、希土類元素を0.05〜1原子%含有し、残部:Alおよび不可避的不純物である。本発明では、使用するAl合金膜の組成に特徴はなく、希土類元素を含むAl合金膜が耐熱性を有しており、配線材料として用いられることは知られているが、特に、接触式のタッチパネルセンサーに好適な素材を提供するとの観点から硬度および三重点密度が制御されたAl合金膜はこれまで開示されていない。希土類元素の含有量の下限および上限は、本発明で規定する硬度および三重点密度の範囲を確保するために定められたものである。後記する実施例に示すように、希土類元素の含有量が少なくなるにつれ、硬度が低下する傾向にあり、希土類元素の含有量が本発明で規定する下限を下回るものは、硬度または三重点密度の少なくとも一方が、本発明の範囲を外れてしまう。一方、希土類元素の含有量が多くなるにつれ、硬度も増加する傾向にあり、希土類元素の含有量が本発明で規定する上限を超えるものは、硬度または三重点密度の少なくとも一方が、本発明の範囲を外れてしまう。
【0020】
本発明に用いられる希土類元素としては、ランタノイド元素(周期表において、原子番号57のLaから原子番号71のLuまでの合計15元素)に、Sc(スカンジウム)とY(イットリウム)とを加えた元素群が挙げられる。本発明ではこれらの元素を、単独または2種以上を併用して用いることができ、上記希土類元素の含有量とは、単独で含むときは単独の量であり、2種以上を含むときはその合計量である。好ましい希土類元素は、Nd、Gd、La、Y、Ce、PrおよびDyよりなる群から選択される1種以上の元素である。
【0021】
本発明では、配線材料として、上記のAl合金膜の上下に高融点金属膜が積層されたものを用いる。上述したように高融点金属膜は、Alの酸化を防止するためにAl合金膜の下地層などとして汎用されており、本発明でも、Mo、Ti、Cr、W、またはこれらの合金を用いることができる。Al合金膜の上下に配置される高融点金属膜の組成は、上および下の夫々において同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0022】
上記Al合金膜の好ましい厚さは、おおむね150〜600nmであり、高融点金属膜の好ましい厚さは、おおむね30〜100nmである。
【0023】
本発明において、硬度および三重点密度が適切に制御されたAl合金膜を得るためには、所定の希土類元素を含有するAl合金膜を用いることに加え、成膜後のAl合金膜を、室温〜230℃の範囲内で熱処理(アニール)することが好ましい。タッチパネルの製造プロセスでは、一般に室温〜約250℃程度の熱履歴を被ることが多いが、アニール温度が高くなると、希土類元素の析出およびAl合金の粒成長のため、硬度および三重点密度が低下するようになる。具体的には希土類元素の添加量などに応じて、適切なアニール温度を設定すれば良いが、より好ましくは150〜230℃である。
【0024】
更に本発明では、細線化や膜内の合金成分の均一化を図り、添加元素量を容易にコントロールできるなどの観点から、Al合金膜をスパッタリング法で形成することが好ましい。スパッタリング法では、スパッタリング時の成膜温度をおおむね、180℃以下、Arガス圧をおおむね、3mTorr以下に制御することが好ましい。基板温度や成膜温度が高いほど形成される膜の膜質はバルクに近づき、緻密な膜が形成され易く、膜の硬度が増加する傾向にある。また、Arガス圧を上げるほど膜の密度が低下し、膜の硬度が低下する傾向にある。この様な成膜条件の調整は、膜の構造が疎となって腐食が生じやすくなるのを抑制する観点からも好ましい。
【0025】
本発明では、透明導電膜と接続するAl合金膜と高融点金属膜の積層からなる配線に特徴があり、それ以外の構成は特に限定されず、タッチパネルセンサーの分野で通常用いられる公知の構成を採用することができる。
【0026】
例えば、抵抗膜方式のタッチパネルセンサーは、次の様にして製造することができる。即ち、基板上に透明導電膜を形成してから、レジスト塗布、露光、現像、エッチングを順次行った後、高融点金属膜、Al合金膜、高融点金属膜を順次形成して、レジスト塗布、露光、現像、エッチングを実施して配線を形成し、次いで、該配線を被覆する絶縁膜等を形成して、上部電極とすることができる。また、基板上に透明導電膜を形成してから、上部電極と同様にフォトリソグラフィを行い、次いで、上部電極の場合と同様に、高融点金属膜、Al合金膜、高融点金属膜からなる配線を形成してから、該配線を被覆する絶縁膜を形成し、マイクロ・ドット・スペーサ等を形成して下部電極とすることができる。そして、上記の上部電極、下部電極、および別途形成したテール部分を張り合わせて、タッチパネルセンサーを製造することができる。
【0027】
上記透明導電膜は特に限定されず、代表例として、酸化インジウム錫(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)からなるものを使用することができる。また、上記基板(透明基板)は、一般的に使用されているものとして、例えばガラス、ポリカーボネート系、またはポリアミド系のものを使用することができ、例えば、固定電極である下部電極の基板にガラスを用い、可撓性の必要な上部電極の基板にポリカーボネート系等のフィルムを用いることができる。
【0028】
また、本発明のタッチパネルセンサーは、上記抵抗膜方式以外に、静電容量方式や超音波表面弾性波方式等のタッチパネルセンサーとしても用いることができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0030】
実施例1
無アルカリ硝子板(板厚0.7mm、直径4インチ)を基板とし、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法で、下記表1に示すように希土類元素の種類および含有量(単位は原子%であり、残部:Alおよび不可避的不純物)が異なるAl合金膜(膜厚はいずれも約500nm)を形成した。成膜は、成膜前にチャンバー内の雰囲気を一旦、到達真空度:3×10-6Torrにしてから、各Al合金膜と同一の成分組成の直径4インチの円盤型ターゲットを用い、下記に示す条件で行った。次に、成膜後のAl合金について、窒素雰囲気中、表1に記載の種々のアニール温度にて30分間熱処理を行なった。表1中、「−」とは加熱なし(すなわち室温)を意味する。尚、形成されたAl合金膜の組成は、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)質量分析法で確認した。
(スパッタリング条件)
・Arガス圧:2mTorr
・Arガス流量:30sccm
・スパッタパワー:260W
・成膜温度:室温℃
【0031】
上記の様にして得られたAl合金膜を用いて、ナノインデンターによる膜の硬度試験を行った。この試験では、MTS社製 Nano Indenter XP (解析用ソフト:Test Works 4)を用い、XPチップを用い、連続剛性測定を行った。押し込み深さを300nmとし、励起振動周波数:45Hz、振幅:2nmの条件で15点を測定した結果の平均値を求めた。
【0032】
更に上記の様にして得られたAl合金膜を倍率15万倍でTEM観察し、測定視野(一視野は1.2μm×1.6μm)中に観察される、粒界三重点に存在するAl合金の密度(三重点密度)を測定した。測定は合計3視野で行い、その平均値をAl合金の三重点密度とした。
【0033】
Al合金膜の代わりに純Al膜を形成した試料についても、上記と同様にして硬度および三重点密度を測定した。
【0034】
これらの結果を表1に併記する。表1中、「E+07」とは107を意味する。例えば表1のNo.1の「9.0E+07」とは9.0×107の意味である。
【0035】
【表1】

【0036】
表1中、No.5〜18および37〜39は、いずれも希土類元素としてNdを含むAl合金膜の例である。アニール温度が同じ場合、Nd量の増加に伴って硬度および三重点密度が増加する傾向にあり[例えばアニール温度が室温(−)の場合、No.5、9、13、37を参照]、硬度および三重点密度を所定範囲内に制御するためには、Nd量の上限を1原子%にすることが有効であることが分かる。またNd量が同じであっても、アニール温度が本発明の好ましい範囲を超えて高くなると、硬度および三重点密度が減少する傾向にあり[例えばアニール温度が250℃の場合、No.8、12、17、18を参照]、硬度および三重点密度を所定範囲内に制御するためには、アニール温度の上限を230℃に制御することが有効であることが分かる。
【0037】
表1中、No.19〜36は、Nd以外の希土類元素を含むAl合金膜を用いた例である。これらはいずれも、本発明で規定する希土類元素の含有量を含み、且つ、アニール温度を本発明の好ましい範囲に制御して作製したため、硬度および三重点密度が本発明の範囲内に制御されていた。また、Nd以外の上記希土類元素を用いた場合にも、上述したNdと同様の実験結果が見られることを実験により確認している(表1には示さず)。
【0038】
これらの結果より、本発明のAl−希土類元素合金膜を用いれば、縦方向に対する耐久性に優れており、断線や経時的な電気抵抗の増加が起こり難い、信頼性の高いタッチパネルセンサーを提供できることが大いに期待される。
【0039】
これに対し、No.1〜4は、希土類元素を含まない純Alの例であり、アニール温度をどのように制御しても、本発明で規定する硬度および三重点密度に制御することはできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電膜、および前記透明導電膜と接続する配線を有するタッチパネルセンサーにおいて、
前記配線は、基板側から順に、高融点金属膜と、Al合金膜と、高融点金属膜とから構成されており、
前記Al合金膜は、希土類元素を0.05〜1原子%含有し、且つ、硬度は2〜3.5GPaであり、Al合金組織に存在する粒界三重点の密度は2×108個/mm2以上であることを特徴とするタッチパネルセンサー。
【請求項2】
前記希土類元素は、Nd、Gd、La、Y、Ce、PrおよびDyよりなる群から選択される1種以上の元素である請求項1に記載のタッチパネルセンサー。
【請求項3】
前記透明導電膜は、酸化インジウム錫(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる請求項1または2に記載のタッチパネルセンサー。