タッチパネル及びそのための駆動装置
【課題】 タッチパネル及びそのための駆動装置を提供する。
【解決手段】 電気粘性流体を使う相互静電容量方式のタッチパネルのための駆動装置が開示される。駆動装置は、少なくとも一つの静電容量ノードを有するタッチパネルのための駆動装置であって、少なくとも一つの静電容量ノードに電位差を発生させるための駆動電圧と少なくとも一つの静電容量ノードの静電容量変化を感知するための感知電圧パルスとを組み合わせて、少なくとも一つの静電容量ノードの第1電極に選択的に印加する。そして、駆動装置は、駆動電圧を第1電極に印加するための第1スイッチング素子と、感知電圧パルスを第1電極に印加するための第2スイッチング素子と、を含む。
【解決手段】 電気粘性流体を使う相互静電容量方式のタッチパネルのための駆動装置が開示される。駆動装置は、少なくとも一つの静電容量ノードを有するタッチパネルのための駆動装置であって、少なくとも一つの静電容量ノードに電位差を発生させるための駆動電圧と少なくとも一つの静電容量ノードの静電容量変化を感知するための感知電圧パルスとを組み合わせて、少なくとも一つの静電容量ノードの第1電極に選択的に印加する。そして、駆動装置は、駆動電圧を第1電極に印加するための第1スイッチング素子と、感知電圧パルスを第1電極に印加するための第2スイッチング素子と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ入力装置(user’s input apparatus)に係り、より具体的に、タッチパネル(touch panel)に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、ユーザからの接触を感知して、入力有無とともに入力位置を判定するユーザ入力装置の一つである。ユーザは、指やスタイラスペンなどを用いてタッチパネルを接触または加圧することによって、データや信号などを入力することができる。例えば、タッチパネルは、ラップトップコンピュータやネットブックなどでマウスの代用に備えられるタッチパッド(touch pad)として使われるか、または電子機器の入力スイッチの代用として使われる。または、タッチパネルは、ディスプレイと一体に結合されて使われるが、このように、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)のようなディスプレイの画像表示面に設けられるタッチパネルを、‘タッチスクリーン(touch screen)’と言う。タッチスクリーンは、ディスプレイの画像表示面を構成するようにディスプレイと一体に設けられるか、またはディスプレイの画像表示面上にさらに付着される。
【0003】
タッチパネルは、キーボードのような機械的なユーザ入力装置を代替できるだけではなく、操作が簡単である。そして、タッチパネルは、実行されるアプリケーションの種類やアプリケーションの進行段階によって、さまざまな形の入力ボタンをユーザに提供することができる。タッチパネルは、現金自動預け払い機(Automated TellerMachine、ATM)、情報検索器、無人チケット発売機などはもとより、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、PMP(Portable MultimediaPlayer)、デジタルカメラ、携帯用ゲーム機、MP3プレーヤーのような電子機器の入力装置として幅広く使われている。
【0004】
タッチパネルは、ユーザからの入力有無を感知する方法によって、抵抗膜方式(resistive type)、静電容量方式(capacitive type)、超音波方式(ultrasonic type)、赤外線方式(infrared type)などに区分することができる。各方式のタッチパネルは、固有の長所と短所とを有するので、アプリケーションの種類やタッチパネルの用途などによって、適した方式が選択されて使われる。従来のタッチパネルは、その類型に関係なく共通的にマルチタッチを認識することができないという限界があったが、最近、マルチタッチの認識が可能なタッチパネルが開発されて、携帯用電子機器などに広く採用されている。
【0005】
一方、既存のタッチパネルは、機械式キーパッドのような入力有無に対する感じ、すなわち、入力感(input feeling)を触覚でユーザに伝達することができない。入力感を提供するために、タッチパネルの下部に振動モータを設置する方法が提案されたが、これによれば、入力感知されれば、振動モータを用いてタッチパネル全体を振動させることによって、ユーザに入力感を提供する。しかし、タッチパネルの振動を通じて伝達される入力感は、機械式キーパッドが提供する入力感とは差がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、機械式キーパッドのようなクリック感を提供し、マルチタッチを認識することができるタッチパネル及びそのための駆動装置を提供することである。
【0007】
本発明は、構造が簡単かつ狭い面積に具現が可能な駆動装置及びそれを備えるタッチパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による駆動装置は、少なくとも一つの静電容量ノード(capacitance node)を有するタッチパネルのための駆動装置であって、少なくとも一つの静電容量ノードに電位差を発生させるための駆動電圧と少なくとも一つの静電容量ノードの静電容量変化を感知するための感知電圧パルスとを組み合わせて、少なくとも一つの静電容量ノードの第1電極に選択的に印加する。そして、駆動装置は、駆動電圧を第1電極に印加するための第1スイッチング素子と、感知電圧パルスを第1電極に印加するための第2スイッチング素子と、を含む。
【0009】
本発明の一実施形態によるタッチパネルは、第1基板と、第1方向に平行に延びるように第1基板に配されている多数の第1電極ラインと、第1基板と所定の間隙をおいて離隔配置されている第2基板と、第1方向に対して垂直である第2方向に平行に延びて、第2基板に配設されている多数の第2電極ラインと、第1基板と第2基板との間に介在されている電気粘性流体と、感知電圧パルスと電気粘性流体の粘度を変化させるための駆動電圧とを組み合わせて、多数の第1電極ラインに印加する駆動装置と、多数の第2電極ラインと接続されて、前記感知電圧パルスに応答して入力有無を判定する感知装置と、を含む。そして、駆動装置は、駆動電圧を多数の第1電極ラインに選択的に印加するための第1スイッチング素子と、感知電圧パルスを多数の第1電極に選択的に印加するための第2スイッチング素子と、を含む。
【0010】
本発明の一実施形態によるタッチパネルは、駆動装置の動作を制御して機械式キーパッドのようなクリック感を提供し、またマルチタッチも認識することができる。そして、4個のトランジスタを用いて駆動装置を構成することができるので、駆動装置の構造が簡単かつ狭い面積に具現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるタッチパネルの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のタッチパネルのタッチパネル本体の構造を示す分離斜視図である。
【図3】図2のIII−III’ラインに沿って切り取った断面図である。
【図4】メタルドームを有する機械的なキーパッドでの力と変位との関係を示すグラフである。
【図5】図2のタッチパネル本体の電極対で駆動電圧Vdが印加及び解除されるタイミングを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるタッチパネルを駆動及び感知するための回路構造を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態による駆動装置から印加される駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせについてのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図8】駆動装置から入力される組合わせ信号Vcについてのタイミングチャートの一例及びそれに対応する静電容量C変化を示す図である。
【図9A】図8のタイミングチャートの一時間に対応する当該静電容量ノードでのタッチパネル本体の構造を図式的に示す断面図である。
【図9B】図8のタイミングチャートの一時間に対応する当該静電容量ノードでのタッチパネル本体の構造を図式的に示す断面図である。
【図9C】図8のタイミングチャートの一時間に対応する当該静電容量ノードでのタッチパネル本体の構造を図式的に示す断面図である。
【図10】図1のタッチパネルの駆動装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図10の駆動装置を構成する回路図の一例である。
【図12A】図11の回路図を有する駆動装置の動作状態を説明するための図である。
【図12B】図11の回路図を有する駆動装置の動作状態を説明するための図である。
【図12C】図11の回路図を有する駆動装置の動作状態を説明するための図である。
【図12D】図11の回路図を有する駆動装置の動作状態を説明するための図である。
【図13】図8のタイミングチャートを駆動選択信号及び感知選択信号とともに示すタイミングチャートである。
【図14】図11の回路図についての変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明する。使われる用語は、実施形態での機能を考慮して選択された用語であって、その用語の意味は、ユーザ、運用者の意図または慣例などによって変わりうる。したがって、後述する実施形態で使われた用語の意味は、本明細書に具体的に定義された場合には、その定義に従い、具体的な定義がない場合は、当業者が一般的に認識する意味として解釈せねばならない。
【0013】
後述するタッチパネルは、ユーザ入力装置としてさまざまな種類の電子機器に提供されうる。例えば、タッチパネルは、ノート型パソコンやネットブックなどのタッチパッドとして使われるということはもとより、タッチ入力機能が具現されたさまざまな種類の家庭用電子機器や事務用電子機器などでユーザ入力装置として使われる。それだけではなく、タッチパネルは、電子機器のディスプレイの上面に装着されて使われるタッチスクリーンとして使われうるが、例えば、携帯電話やPDA、PMP、電子ブック端末機(E−book terminal)、携帯用コンピュータのような携帯用電子機器や現金自動預け払い機(ATM)、情報検索器、無人チケット発売機のような電子機器のユーザ入力装置として使われる。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態によるタッチパネルの構成を示すブロック図である。図1は、電気粘性流体(Electrorheological Fluid)を用いる相互静電容量方式のタッチパネルの一例に対する構成図である。相互静電容量方式のタッチパネルは、所定のパターン、例えば、マトリックス状に配された多数の静電容量ノードを含むが、各静電容量ノードでの静電容量変化を用いて入力有無を判断する。そして、電気粘性流体を用いるタッチパネルは、静電容量ノードに加えられる電位差によって粘度が増加する電気粘性流体の特性を利用する。以下、本発明の一実施形態によるタッチパネルについて先に具体的に説明する。
【0015】
図1を参照すると、タッチパネル1は、タッチパネル本体(touch panel body)10、駆動装置(driving device)20、感知装置(sensing device)30を含む。そして、タッチパネル1は、電源部(power source)40及び制御器(controller)50をさらに含む。タッチパネル本体10は、タッチパネル1を構成する物理的構造体を示す。一方、駆動装置20、感知装置30、電源部40、及び制御器50は、タッチパネル本体10の動作を制御する電気回路及び/またはハードウェアやソフトウェアなどの形態で具現可能である。本明細書で、単純に‘タッチパネル’と称する場合に、狭い意味では、タッチパネル本体10のみを示すが、広い意味では、駆動装置20、感知装置30、電源部40、及び/または制御器50もともに含むタッチパネル1の全体を示すこともできる。
【0016】
そして、駆動装置20、感知装置30、電源部40、及び制御器50の区分も、単にその機能による論理的な区分であって、二つ以上の機能ユニットは統合されて具現されるか、または個別的に具現可能である。また、駆動装置20、感知装置30、電源部40、及び制御器50という論理的な機能区分も、単に説明の便宜のためのものであって、何れか一つの機能ユニット、例えば、制御器50が、駆動装置20、感知装置30、及び電源部40が行うあらゆる機能または一部機能を行うことができる。以下、タッチパネル本体10の構造及び物理的な動作に関して先に説明する。
【0017】
図2は、図1のタッチパネル1のタッチパネル本体10の構造を示す分離斜視図であり、図3は、図2のIII−III’ラインに沿って切り取ったタッチパネル本体10の断面図である。図2及び図3を参照すると、タッチパネル本体10は、一対の基板、すなわち、下部基板110及び上部基板120とともに一対の基板110、120の間の間隙に満たされて密封されている電気粘性流体130、及び複数の電極対(a pluralityof electrodes pairs)140を含む。
【0018】
下部基板110は、タッチパネル本体10のベース基板であって、電気粘性流体130をタッチパネル本体10に満たすための容器の一面として機能する。タッチパネル1が、電子機器のタッチスクリーンとして機能する場合に、下部基板110は、電子機器の画像表示面自体になるか、または画像表示面上に付加的に付着される基板であり得る。下部基板110は、上部基板120との間に所定の引力や斥力が作用しても、変形されないこともある。そのために、下部基板110は、硬い材料で作られることができるが、例えば、透明ガラスで作られたガラス基板(glass substrate)でもよい。しかし、下部基板110が、必ずしも硬い材料で形成される必要はない。例えば、タッチパネル本体10が、硬いディスプレイの上部に付着される場合であれば、下部基板110は、透明なポリマーフィルム(polymer film)で作られることもできる。
【0019】
上部基板120の上面は、ユーザが入力する時に接触するユーザ接触面である。上部基板120は、所定の力が加えられれば、変形が生じることがある。例えば、ユーザが指やスタイラスペンなどを使ってユーザ接触面を接触または加圧する場合に、上部基板120は変形される。そのために、上部基板120は、透明で変形が可能なポリマーフィルムなどで作ることができる。ポリマーの種類には、特別な制限がない。上部基板120は、下部基板110と所定間隔で離隔して配置され、これによって、上部基板120と下部基板110との間には、所定の高さを有する間隙(gap)が形成される。間隙の高さは、駆動電圧の大きさやタッチパネル本体10の広さ、駆動電極対140の断面積の大きさなどによって変わりうる。
【0020】
下部基板110と上部基板120との間の間隙には、電気粘性流体130が満たされている。電気粘性流体130は、外部から密封され、そのために、上下部基板110、120の間のフレームには、密閉剤(sealant)160が配置される。電気粘性流体130は、一般的に電気絶縁性流体132に非常に微細な粒子134が分散されている懸濁液(suspension)を示す。電気粘性流体130は、電場が印加されれば、粘度(viscosity)が急激に(例えば、最大100,000倍程度)増加する。そして、電気粘性流体130のこのような粘度の変化は可逆的であって、電場が解除されれば、元の状態に復元される。
【0021】
電気粘性流体130は、透明な液体であるが、これに限定されるものではない。電気絶縁性流体132としては、例えば、シリコン油、ケロシン鉱油、ポリ塩化ビフェニールなどが使われる。そして、電気粘性流体130に含まれる粒子134の大きさは、最大50μm程度であって、非常に微細な粒子であるが、透明であるか、または不透明な粒子である。このような粒子134としては、例えば、アルミノケイ酸塩(aluminosilicate)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)のような高分子物質やフラーレン(fullerene)などが使われる。前述したように、アプリケーションによって不透明な電気粘性流体が使われることもある。
【0022】
そして、上下部基板110、120の間の間隙には、スぺーサ150が配置されうる。スぺーサ150は、数十μm以下の小さくて透明な固体であって、電気粘性流体130内にランダムに、または規則的に分散されて配されている(図2に示されているスぺーサ150は、その大きさが多少誇張されたことがあるが、これは、単に説明及び図面作成の便宜のためのものである)。スぺーサ150は、上部基板120が変形された場合に、復元力を提供し、また上部基板120を構造的に支持する役割も行うことができる。このような機能を行う物質であれば、スぺーサ150を構成する物質には、特別な制限がない。例えば、スぺーサ150としては、エラストマー(elastomer)が使われる。
【0023】
複数の電極対140は、下部基板110に形成された下部電極と上部基板120に形成されている上部電極とで構成された一対の電極の集合である。相互静電容量方式のタッチパネルで、複数の電極対140は、タッチパネル本体10の全面(entire surface)または一部領域にマトリックス状(matrix type)に配列されている。マトリックス状に配列された複数の電極対140には、所定の組合わせ(例えば、一部の電極対140にのみ)で駆動電圧が印加され、このような組合わせは、アプリケーションの種類や進行段階によって変わりうる。そして、タッチパネル1は、複数の電極対140のうちから駆動電圧が加えられる電極対の位置や個数、加えられた駆動電圧が解除される時点や駆動電圧が解除される電極対の個数などを制御するか、または変化させることによって、ユーザにクリック感や多様な入力感を提供することもできる。
【0024】
図2に示されている複数の電極対140は、マトリックス状に配列された電極対140の一例である。図2を参照すると、下部基板110の上面と上部基板120の下面には、それぞれライン状の電極パターン142、144が多数個が平行に形成されている。ここで、下部基板110に形成されている電極パターン、すなわち、下部電極パターン142は、第1方向に伸張され、上部基板120に形成されている電極パターン、すなわち、上部電極パターン144は、第1方向に垂直である第2方向に伸張されている。したがって、多数の下部電極パターン142と多数の上部電極パターン144との交差点で、タッチパネル本体10の全面(entire area)にマトリックス状に配列された多数の電極対140、すなわち、静電容量ノードが定義される。図2に示されたものとは異なって、電極対140を構成する下部電極と上部電極は、それぞれ下部基板110と上部基板120とにドット状に互いに対向するように配置されることもある。この場合に、電極対のそれぞれは、他の電極対とは別個に接続及び制御が可能である。
【0025】
次いで、図1及び図2を参照すると、複数の電極対140に印加される駆動信号、すなわち、駆動電圧Vdは、電気粘性流体130の粘度を局部的に変化させるための駆動力を提供する。このような駆動電圧は、電源部40の駆動電源から供給されうる。そして、駆動電圧が加えられる電極対140の位置及び個数、加えられた駆動電圧が解除される時点、加えられた駆動電圧が解除される電極対140の位置及び個数などは、制御器50によって制御されることもできる。制御器50は、駆動選択信号(driving selection signal、Sd)を適切に駆動装置20に入力することによって、電極対140に対する駆動電圧の印加の有無を制御することができる。
【0026】
図3には、領域Iに位置した電極対140にのみ駆動電圧Vdが印加され、領域IIに位置した電極対140には、駆動電圧Vdが印加されない場合が示されている。そのために、上部電極パターン144に所定大きさの電位Vdが印加された状態で、領域Iに位置した下部電極パターン142は、接地状態(ground state)にし、領域IIに位置した下部電極パターン142は、フローティング状態(floating state)にする。これとは反対に、所定大きさの電位Vdが下部電極パターン142に印加され、上部電極パターン144は、接地状態になるか、フローティング状態にもなりうるということは当業者に自明であろう。以下、それぞれの静電容量ノードで所定大きさの電位Vdが印加される電極は、‘駆動電極(driving electrode)’と言い、この駆動電極に対向する電極(接地状態になるか、フローティング状態になる電極)は、‘感知電極(sensing electrode)’と言う。
【0027】
図3の領域Iでのように、電極対140に駆動電圧Vdがが印加されれば、領域Iでは、上下部基板110、120の間に局部的に電場が誘導される。そして、誘導された電場によって、この部分(領域I)にある電気粘性流体130の粘度は増加する。電場によって、電気粘性流体130の粘性が増加することは、図3に示されたように、分極特性を有する粒子134が電場の方向に一列に並ぶためである。一方、領域IIでのように、電極対140に駆動電圧が印加されなければ、領域IIでは、上下部基板110、120の間には、電場が形成されず、この部分(領域II)にある電気粘性流体130の粘度は変化がない。もちろん、領域Iに印加された駆動電圧Vdが解除されれば、この領域にある電気粘性流体130の粘度は、初期状態に復元される。
【0028】
このような電気粘性流体の粘度の変化を用いるタッチパネルの一例は、本出願の出願人が2009年6月19日に出願した韓国特許出願第2009−0055034、“タッチパネル及びそれを備える電子機器”に詳しく記述されている。前記韓国特許出願には、電気粘性流体の粘度の変化を用いてユーザ接触面に所定の入力ボタン領域を限定し、また機械的なキーパッドを操作する時のようなクリック感をユーザに提供するタッチパネルが開示されているが、前記韓国特許出願は、参照によって本明細書に完全に結合される。
【0029】
クリック感(click sensation)とは、携帯電話などで使われる機械的なキーパッド(key pad)またはキーボタン(key button)などを押す時、ユーザが指を通じたしっかりとしたクリック感を示す。機械的なキーパッドには、メタルドーム(metal dome)と言うドーム状の金属薄板がキーボタンの下部に設けられている。所定の大きさ以上の力で加圧し続けられる場合に、メタルドームはある瞬間にドーム状に急な変形が発生するが、これをバックリングポイント(bucklingpoint)と言う。メタルドームが変形される過程には、このようなバックリングポイントが存在するために、ユーザは機械的なキーパッドを押す時、しっかりとしたクリック感を受けるようになるが、これをクリック感と言う。
【0030】
図4は、このようなメタルドームを有する機械的なキーパッドでの力(force)と変位(displacement)との関係を示すグラフである。図4を参照すると、初期にはユーザが加圧力によってメタルドームの変位が徐々に増加する。メタルドームの変位が増加すれば、それによってメタルドームの支持力(変形に対する抵抗力)も増加するので、ユーザが感じる反発力もそれだけ増加する。そして、メタルドームの変位がx1に到逹すれば、メタルドームの支持力が最大(作動力)に到達されながら急減するが、このようにメタルドームの支持力が最大となる地点(すなわち、タッチパネルで作動力が作用する地点)がバックリングポイントである。バックリングポイントに到逹した以後にも、ユーザが加圧力が保持し続ければ、メタルドームの変位は増加し続けるが、変位がx2に到逹すれば、メタルドームは下部電極に触れるようになる。バックリングポイントに到逹した以後に、ユーザが加圧力を除去すれば、復帰力によってメタルドームは最初の状態に復元される。
【0031】
図1のタッチパネル1は、このような機械的なキーパッドでのメカニズムを模写することによって、ユーザにクリック感を提供することができる。図5は、そのために、タッチパネル1の電極対140で駆動電圧Vdが印加及び解除されるタイミングを示す図である。
【0032】
前述したように、電極対に駆動電圧が加えられれば、当該領域にある電気粘性流体が局部的に駆動されて粘度が増加する。電気粘性流体が駆動されて粘度が増加した領域(以下、‘駆動領域’と称する)は、それ以外の領域(以下、‘非駆動領域’と称する)に比べて加圧力に対してより大きな反発力を提供することができる。それを利用すれば、ユーザは、タッチパネルの駆動領域を押す時、機械的なキーパッドを押すことと類似した反発力を感じることができる。
【0033】
そして、所定の時点(図5の時点ta)に駆動領域が加圧されれば、上部基板120がリセスされて電極対間の間隔は減少し、その結果、ノードでのキャパシタンス(capacitance、C)は増加する。そして、ユーザが同じ駆動領域を押し続ければ、上部基板120の変位が増加するが、これによって、タッチパネルの反発力も増加するだけではなく、このノードでのキャパシタンスCも増加し続ける。そして、上部基板120の変位が一定の大きさ以上に到逹して、当該ノードでのキャパシタンスCが所定の臨界値Crefに到逹し、タッチパネルは、この時点(図5の時点tb)に当該ノードにユーザから入力があると判定する。そして、これと同時に電極対に加えられていた駆動電圧Vdを解除する。駆動電圧Vdが解除されれば、電気粘性流体130の粘度は急減し、それによって、加圧力に対する反発力も急減する。このように、タッチパネルは、駆動電圧Vdが解除される時点(図5の時点tb)でバックリングポイントでのようなクリック感をユーザに提供することができる。
【0034】
次いで、図1ないし図3を参照すると、駆動装置20は、静電容量ノードに電位差を発生させるための駆動電圧Vdと静電容量ノードの静電容量変化を感知電圧パルスVsとを組み合わせて、電極対140に入力する。駆動電圧Vdは、電源部40の駆動電源から供給され、感知電圧パルスVsは、電源部40の感知電源から供給される。そして、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせは、制御器50から入力される駆動選択信号Sdと入力選択信号Ssとの組合わせによって決定されるが、これについては後述する(図12Aないし図12D参照)。
【0035】
駆動電圧Vdは、複数の電極対140の全部または一部に印加されうる。そして、駆動電圧Vdは、所定の時間の間のみ印加されるか、または相対的に長い時間の間(例えば、タッチパネル1が作動する時間の間は、常に)に印加される。前者・後者の場合でも、駆動電圧Vdは、所定の時間(t9、図7参照)の間に駆動電極に印加される駆動パルス電圧として見なされる。パルス電圧の持続時間t9は、固定されているか、または可変的であり、ユーザによって任意の値に設定されることもできる。
【0036】
本明細書で、一つの電極対140に駆動電圧Vdを印加するということ、または一つの駆動電極に駆動電圧を印加するということは、上下部基板110、120に形成された一対の電極に所定の電位差を形成して、上下部基板110、120の間に電場を局部的に誘発するということを示す。電場が局部的に誘発されれば、電気粘性流体130の粘度も局部的に増加する。したがって、一部の電極対140にのみ駆動電圧Vdを印加すれば、電場が形成されて電気粘性流体130の粘度が増加する領域のみ駆動領域になり、それ以外の領域(非駆動領域)では、電気粘性流体130の粘度は変化がない。
【0037】
前述したように、複数の電極対140は、図2に示されたような互いに直交する一対の電極ライン142、144によって定義される。この場合に、駆動装置20は、全体上部電極ライン144のうちから少なくとも一つの駆動セル(一つの電極対によって定義される駆動領域を構成する単位領域)と接続される上部電極ライン144(図6の場合には、列(row)方向の電極ラインR1、R2、R3にのみ所定大きさVdの駆動電圧を印加することができる。そして、駆動装置20は、全体下部電極ライン142のうちから少なくともこの駆動セルと接続される下部電極ライン142は接地に連結するが、他の下部電極ライン142は、フローティング状態になるようにできる(図6の場合には、行(column)方向の電極ラインC4、C5、及びC6)。もちろん、駆動装置20が、上部電極ライン144と下部電極ライン142とに印加する電位は、変わりうるということは自明であろう。
【0038】
感知電圧パルスVsは、複数の電極対140、より具体的に、複数の駆動電極に順次に入力することができる。ここで、感知電圧パルスVsを複数の駆動電極に順次に印加するということは、駆動電極に対して個別的に順次に入力することであり、一グループの駆動電極(例えば、駆動電極として機能する一つの下部電極ライン142、または一つの上部電極ライン144)に対してグループ単位で順次に入力することである。駆動装置20が、感知電圧パルスを複数の駆動電極に順次に印加すれば、感知装置30は、これに応答して感知電極を通じて静電容量変化を感知することによって、入力有無はもとより、入力位置もともに把握することができる。
【0039】
感知電圧パルスVsは、例えば、所定の持続時間(駆動電圧Vdに比べて非常に短い持続時間(t1、図7参照))を有する複数の電圧パルスである。すなわち、感知電圧パルスVsは、駆動電圧Vdが印加された時間の間(t9、図7参照)に全体的に1回またはそれ以上のセンシングがなされるように印加される。この場合に、感知装置30は、駆動電極を通じて印加された感知電圧パルスVsに応答して、静電容量ノードでのキャパシタンスの変化による感知電極での出力をセンシングして入力有無を判定することができる。
【0040】
このような感知電圧パルスVsは、駆動電圧Vdが印加された駆動電極にのみ入力されるか、またはあらゆる駆動電極に順次に入力される。特に、後者の場合に、駆動電圧Vdが入力された駆動電極はもとより、駆動電圧Vdが印加されていない駆動電極に対しても感知が行われる。このように、駆動電圧Vdが印加されていない駆動電極に対しても、感知電圧パルスVsが入力されれば、タッチパネルの駆動領域はもとより、非駆動領域でも入力有無に対するセンシングができる。
【0041】
センシング電圧パルスVsは、感知装置30がマルチタッチ入力を感知できるように、駆動電極(例えば、行方向の電極ラインまたは列方向の電極ライン)に対して順次にスキャンされて駆動電極に入力される。この場合に、マルチタッチの感知のために、単に駆動電極に対してのみセンシング電圧パルスVsがスキャンされるので、既存のX−Y全面マトリックススキャン(X−Y full matrix scan)方式に比べて速いセンシング速度を具現することができる。
【0042】
感知装置30は、タッチパネル本体10にユーザからの入力があるか否かを判定する。そして、感知装置30は、入力があると判定される場合には、入力位置(input location)を計算して入力位置情報をともに制御器50に伝達するか、または制御器50に入力信号のみを伝達することもできる(この場合に、入力位置は、制御器50が計算することもできる)。例えば、図5を参照して説明したように、感知装置30は、電極対140間の間隔の変化によるキャパシタンスの変化(ΔC)を用いて、入力有無及び/または入力位置を判定することができる。
【0043】
感知装置30が感知した入力有無に関する情報及び/または入力位置に関する情報(入力信号)は、制御器50に伝達される。そして、制御器50は、感知装置30から入力信号を受信すれば、駆動領域にある駆動電極の全部または一部に印加された駆動電圧Vdを解除させる駆動選択信号Sdを駆動装置20に伝達することができる。このように、入力信号に応答して印加された駆動電圧Vdが解除されれば、タッチパネル1を用いてクリック感をユーザに提供することができるということは前述した通りである。
【0044】
前述したように、駆動装置20は、制御器50から入力される駆動選択信号Sdと感知選択信号Ssとの組合わせによって、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを組み合わせて、電極対140に入力することができる。駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせによって、電極対140に入力される組合わせ信号は、0V信号(駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとがいずれも入力されていない場合)、駆動電圧Vd、感知電圧パルスVs、及び駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの結合信号のうちから何れか一つである。
【0045】
通常、電気粘性流体130の粘度を増加させるための駆動電圧Vdは、数十ボルト以上、例えば、少なくとも50V以上、望ましくは、約200V程度になる(もちろん、電気粘性流体130を構成する物質の物理的、化学的特性や上下部基板110、120の間の距離などによって、駆動電圧Vdの大きさは変わりうる)。一方、静電容量ノードでのキャパシタンスの変化を感知するための感知電圧パルスVsは、数ボルト(例えば、約5V以下)程度であれば十分である(もちろん、感知装置30を構成する感知回路の電気的特性によって、この感知電圧パルスVsの大きさも変わりうるが、駆動電圧Vdに比べて相当小さな電圧でも感知が可能になるように感知回路を構成することができる)。このような場合に、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの結合信号は、駆動電圧Vdから感知電圧パルスVsを減算した減算電圧(Vd−Vs)、または駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを加算した合算電圧(Vd+Vs)になりうる。減算電圧(Vd−Vs)または合算電圧(Vd+Vs)(以下、本明細書では、単純に‘減算電圧’と称する)は、電気粘性流体130の駆動には全然影響を及ぼさないだけではなく、感知信号としての機能も同時に行うことができる。
【0046】
制御器50は、駆動装置20が駆動電極に印加する信号の類型を制御する。より具体的に、制御器50は、0V信号(駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとがいずれも入力されていない場合)、駆動電圧Vd、感知電圧パルスVs、及び駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの結合信号のうちから何れか一つの信号が駆動電極に入力されるように駆動装置20を制御する。そのために、制御器50は、駆動電圧Vdの印加の有無を指示する駆動選択信号Sdと感知電圧パルスVsの印加の有無を指示する感知選択信号Ssとを駆動装置20に伝達することができる。
【0047】
駆動選択信号Sdは、駆動電圧Vdの印加を指示する信号であるか、またはその反対である。すなわち、駆動選択信号Sdが駆動装置20に入力される時、駆動装置20が駆動電極に駆動電圧Vdを印加するかは、駆動選択信号Sdの特性や駆動装置20の回路構成などによって変わる。同様に、感知選択信号Ssも感知電圧パルスVsの印加を指示する信号であるか、またはその反対である。すなわち、感知選択信号Ssが駆動装置20に入力される時、駆動装置20が駆動電極に感知電圧パルスVsを印加するかも、感知選択信号Ssの特性や駆動装置20の回路構成などによって変わる。
【0048】
そして、制御器50は、駆動電圧Vdは相対的に長い時間間隔(t9、図7参照)の間に(例えば、1秒以上)、駆動電極に印加されるように制御することができる。このような駆動電圧Vdの持続時間t9は、装置で設定された所定の値であるか、またはユーザによって設定された任意の値である。一方、制御器50は、感知電圧パルスVsが数百または数千分の1秒単位やマイクロ秒単位で非常に短い時間間隔(t1、図7参照)の間のみ持続されるように制御することができる。感知電圧パルスの持続時間t1が短ければ、それほどタッチパネルの全面に対するセンシング周期が短くなる。
【0049】
制御器50は、あらゆる列方向の電極ラインR1〜R9ではない9個の駆動セルと接続されている3個の列方向の電極ラインR4〜R6のみのために、駆動電圧Vdが印加されるように駆動装置20を制御することができる。この場合に、3個の列方向の電極ラインR4〜R6に対しては、同時に駆動電圧パルスVdが入力されうる。一方、制御器50は、感知電圧パルスVsが列方向の電極ラインR1〜R9の全部に入力されるように駆動装置20を制御することができる。そして、この場合に、感知電圧パルスVsは、列方向の電極ラインR1〜R9のために同時に入力されるものではなく、順次に入力されるように制御される。感知電圧パルスVsが、複数の列方向の電極ラインR1〜R9のために順次に入力されれば、感知装置30は入力有無はもとより、入力位置に対するセンシングが同時になすことができる。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態によるタッチパネルを駆動及び感知するための回路構造を説明するための図である。図6に示された回路構造は、図2に示されたタッチパネル本体10の電極対140の一部(例えば、9個の下部電極ライン142と9個の上部電極ライン144)に対してのみ回路構造を示したものである。この場合、図2の下部電極ライン142及び上部電極ライン144は、それぞれ図6の列方向の電極ラインR1ないしR9と行方向の電極ラインC1ないしC9とに対応するか、またはその反対の場合である。そして、図6では、示された静電容量ノード(列方向の電極ラインR1ないしR9のそれぞれと行方向の電極ラインC1ないしC9のそれぞれとの交差点)のうちからドット(dot)で表示された静電容量ノード(R4ないしR6のそれぞれとC4ないしC6のそれぞれとの交差点)のみが駆動セル(したがって、9個のドットを含む領域が駆動領域)である場合であるが、これは単に例示的なものである。
【0051】
図6を参照すると、タッチパネルは、電源部40、駆動装置20、及び感知装置30を含む。そして、図面に図示していないが、タッチパネルは、駆動装置20などの動作を制御する制御器などをさらに含みうる(図1参照)。
【0052】
電源部40は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを生成して駆動装置20に入力する。そのために、電源部40は、駆動電圧Vdを生成させる駆動電源と感知電圧パルスVsを生成する感知電源とを含みうる。駆動電圧Vdは、電気粘性流体を駆動するための駆動信号の一例であり、感知電圧パルスVsは、ユーザからの入力有無を判定するための感知信号の一例である。駆動電圧Vdは、電気粘性流体を駆動するために数十ボルト以上(例えば、約50V)の高電位を有する一方、感知電圧パルスVsは、感知装置30で入力有無の感知に必要な数ボルト以下(例えば、約3.3V)の低電位を有するということは前述した通りである。
【0053】
駆動電源Vdと感知電圧パルスVsは、電源部40から常に駆動装置20に供給される。すなわち、駆動装置20は、常に電源部40と接続されている。この場合に、駆動装置20は、制御部50から入力される制御信号(例えば、駆動選択信号Sdと感知選択信号Ssとの組合わせ)によって、駆動電源Vd及び/または感知電圧パルスVsを選択的に駆動電極に入力することができる。これとは違って、必要な場合にのみ選択的に駆動電源Vdと感知電圧パルスVsとが供給されるように回路を構成することができるということは当業者に自明であろう。
【0054】
駆動装置20は、電源部40から入力される駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを組み合わせて、列方向の電極ラインR1〜R9に印加することができる。そのために、駆動装置20は、列方向の電極ラインR1〜R9のそれぞれのために、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを組み合わせるための複数の駆動回路(driving circuit)を含みうる。複数の駆動回路のそれぞれは、列方向の電極ラインR1〜R9のそれぞれと一対一で対応することができるが、この場合に、駆動装置20は、列方向の電極ラインR1〜R9の個数と同じ個数の駆動回路を含みうる。これとは違って、駆動装置20は、一つの駆動回路のみを含み、マックス(mux)のようなスイッチング素子を用いて、それぞれの列方向の電極ラインR1〜R9に順次に組合わせられた信号を印加することもできる。駆動回路の具体的な構成については、後述する(図10及び図11参照)。
【0055】
図7は、駆動装置20が、図6の列方向の電極ラインR1〜R9のそれぞれに入力する駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせについてのタイミングチャートの一例を示す図である。図7を参照すると、駆動電圧Vdは、全体列方向の電極ラインR1〜R9のうちから3個の列方向の電極ラインR4〜R6にのみ入力される。これは、この3個の列方向の電極ラインR4〜R6のみが駆動セルと接続されているためである(図6参照)。そして、感知電圧パルスVsは、全体列方向の電極ラインR1〜R9に順次に入力される。図7に示された駆動電圧Vdの大きさ及び持続時間と感知電圧パルスVsの大きさ及び持続時間などは、単に説明の便宜のためのものであって、両信号の大きさや持続時間の比率は、実際とは異なりうる。また、図7では、駆動電圧Vdが印加されている間に感知電圧パルスVsが各列方向の電極ラインR1〜R9に1回のみ順次に印加されると示されているが、2回以上のサイクルで入力されることもできるということは自明であろう。
【0056】
図7に示されているダイヤグラムを通じて分かるように、駆動装置20は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせ信号Vcのうちから何れか一つをそれぞれの列方向の電極ラインR1〜R9に入力する。組合わせ信号Vcは、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの如何なる信号も含まれていないOV信号(図7の点線の円のD参照)、駆動電圧Vdのみ含まれ、感知電圧パルスVsは含まれていない駆動電圧信号(図7の点線の円のC参照)、駆動電圧Vdは含まれないが、感知電圧パルスVsは含まれた感知電圧パルス信号(図7の点線の円のA参照)、または駆動電圧Vdから感知電圧パルスVsが減算された減算電圧信号(図7の点線の円のB参照)でありうるということは前述した通りである。したがって、駆動装置20の駆動回路は、このような組合わせ信号をいずれも出力することができる回路でなければならない。
【0057】
図8は、駆動装置20が、駆動電極に入力する組合わせ信号Vcについてのタイミングチャートの一例及びそれに対応する静電容量C変化を示す図である。図8に示されたタイミングチャートは、ユーザにクリック感を提供する場合であって、図6で四角形ドットで表示された静電容量ノード(すなわち、R5とC5との交点)の駆動電極、すなわち、第5列方向の電極ラインR5に時間t4から時間t5(図7参照)まで印加される組合わせ信号Vcのタイミングチャートであり得る。そして、図9Aないし図9Cは、それぞれ図8のタイミングチャートの一時間に対応する当該静電容量ノード(すなわち、R5とC5との交点)でのタッチパネル本体10の構造を図式的に示す断面図である。
【0058】
図8を参照すると、時間t4以前には駆動電極に駆動電圧Vdのみが印加されており、時間t4に感知電圧パルスVsが印加され始める。すなわち、時間t4からは駆動電極に減算電圧(Vd−Vs)が印加されている。そして、時間taにユーザが当該地点を押し始めるが、それによって、上下部基板110の間の間隔が減り始める(図9A参照)。上下部基板110の間の間隔が減れば、静電容量ノードの電極間の距離が減少するので、静電容量Cは増加し始める。
【0059】
そして、ユーザが当該地点を押し続ければ、上下部基板110の間の間隔は、以前の状態からさらに減る。その結果、静電容量ノードでの静電容量Cは増加し続けて、時間tbに所定の臨界値Crefに到逹する。タッチパネルの感知装置30(図1参照)は、この瞬間に当該地点に入力があると判断し、入力信号を制御器50(図1参照)に伝達する。
【0060】
入力信号を受信した制御器50は、駆動選択信号Sdを用いて駆動装置20(図1参照)が駆動電極に印加する駆動電圧Vdの印加を終了するように制御する。その結果、時間tb以後には、当該地点にはこれ以上の駆動電圧Vdは印加されず、センシング電圧パルスVsのみが入力される。当該地点には、駆動電圧Vdが印加されないので、電気粘性流体の粘度は、急に減少(図9B参照)し、ユーザは、これによってクリック感を感じることができる。
【0061】
そして、時間tb以後に、ユーザが当該地点を押し続けていれば、上下部基板110の間の間隔は、以前からさらに減って静電容量Cも増加し続ける。時間tcにユーザが入力を終了すれば、復元力によって上下部基板110の間の間隔は増加し始める。上下部基板110の間の間隔が増加して静電容量Cが減少し始めれば、制御器50は、駆動選択信号Sdを用いて駆動装置20(図1参照)が引き続き駆動電圧Vdを印加するように制御することができる。駆動電圧Vdが再び印加される時間(図8の場合には、時間td)は、あらかじめ設定されていてもよいが、これに限定されるものではない。駆動電圧Vdが再び印加される時間が感知電圧パルスVsの持続時間の以内であれば、駆動電極には、減算電圧が印加し続ける。駆動電圧Vdが駆動電極に印加されれば、当該地点で電気粘性流体の粘度は増加する(図9C参照)。
【0062】
図10は、図1のタッチパネル1の駆動装置20の構成の一例を示すブロック図である。前述したように、駆動装置20は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを組み合わせた組合わせ信号Vcを少なくとも一つの静電容量ノードの駆動電極に印加する。そのために、駆動装置20は、駆動電圧Vdを駆動電極に印加するための第1スイッチング素子22と感知電圧パルスVsを駆動電極に印加するための第2スイッチング素子24とを含みうる。この際、第1スイッチング素子22の入力端と出力端は、それぞれ駆動電源及び駆動電極と連結されていて、第2スイッチング素子24の入力端と出力端は、それぞれ感知電源及び駆動電極と連結されている。
【0063】
第1スイッチング素子22は、制御器50(図1参照)から入力される駆動選択信号Sdに応答して駆動電極に駆動電圧Vdが印加されるか、または印加されないようにする。そして、第2スイッチング素子24は、制御器50(図1参照)から入力される感知選択信号Ssに応答して駆動電極に感知電圧パルスVsが印加されるか、または印加されないようにする。第1スイッチング素子22の出力端と第2スイッチング素子の出力端は、駆動電極に並列連結されているが、これによって、第1スイッチング素子22と第2スイッチング素子24とがいずれもオン(ON)であれば、減算電圧、すなわち、駆動電圧Vdから感知電圧パルスVsを差引いた電位が駆動電極に印加されうる。感知装置30は、感知電極と連結されており、感知電圧パルスVsに応答して静電容量ノードでの入力有無を判断するということは前述した通りである。
【0064】
図11は、図10の駆動装置20を構成する回路図の一例であって、4個のトランジスタ(transistor)を含む場合である。駆動装置20は、電気粘性流体の粘度増加のために高電圧(例えば、約200V)を印加するので、使われるトランジスタは、いずれも高電圧(high voltage)トランジスタである。そして、図11には、使われる高電圧トランジスタがいずれもN型MOS(N−type Metal Oxide Semiconductor、NMOS)トランジスタであると示されているが、これは単に例示的であるということは当業者に自明であろう。例えば、回路のデザインによっては、高電圧トランジスタはP型MOS(PMOS)トランジスタであるか、またはNMOSとPMOSとの組合わせにもなりうる。そして、以下(図11ないし図14)では、駆動選択信号Sdと感知選択信号Ssは、それぞれ駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの印加を指示する信号であると仮定する。
【0065】
図11を参照すると、駆動回路20は、駆動電極に対する駆動電圧Vdの印加の有無をスイッチングする第1トランジスタT1と駆動電極に対する感知電圧パルスVsの印加の有無をスイッチングする第2トランジスタT2とを含む。駆動電圧Vdの印加の有無をスイッチングできるように、第1トランジスタT1は、そのソース/ドレイン(S1/D1)がそれぞれ駆動電源Vd及び駆動電極(静電容量ノードの一電極)と接続されている。そして、感知電圧パルスVsの印加の有無をスイッチングできるように、第2トランジスタT2は、そのソース/ドレイン(S2/D2)がそれぞれ感知電源Vs及び駆動電極と接続されている。
【0066】
前述したように、駆動装置20は、制御器50(図1参照)から入力される駆動選択信号Sdによって駆動電圧Vdの印加の有無が制御される。そのために、駆動装置20は、駆動選択信号Sdとは相反する論理値を有する信号である駆動選択信号バー
【0067】
【数1】
によって、第1トランジスタT1にオン/オフさせるためのスイッチング素子、すなわち、第3トランジスタT3をさらに含みうる。そのために、第3トランジスタT3のゲートG3は、駆動選択信号バー
【0068】
【数2】
を印加する端子と接続される。そして、第3トランジスタT3のソース/ドレインS3/D3のうち、一つ(図11の場合には、ドレインD3)は、第1トランジスタT1のゲートG1と電気的に接続されており、この接続端子の電位によって、第1トランジスタT1のオン(ON)/オフ(OFF)が決定される。これとは違って、実施形態によっては、駆動選択信号Sdを印加する端子が第1トランジスタT1のゲートG1に直接接続されるように駆動回路が構成することもできる。
【0069】
駆動装置20は、駆動電極のバイアスを保持するための第4トランジスタT4をさらに含みうる。この際、第2トランジスタT2がオン(ON)状態である場合には、第2トランジスタT2との電気的な接続によって駆動電極のバイアスは保持されるので、第4トランジスタT4は、第2トランジスタT2がオフ(OFF)状態である場合に動作するように構成することができる。そのために、第4トランジスタT4と感知選択信号Ssを印加する端子との間には、インバータ(inverter)Iが追加されうる。
【0070】
図12Aないし図12Dは、図11の回路図を有する駆動装置20が、駆動電極に4種の類型の組合わせ信号Vcを印加する場合を説明するための図であって、図12Aは、感知電圧パルスVsのみを印加する場合(図7の点線の円のA参照)であり、図12Bは、減算信号(Vd−Vs)を印加する場合(図7の点線の円のB参照)であり、図12Cは、駆動電圧Vdのみを印加する場合(図7の点線の円のC参照)であり、図12Dは、無信号(OV)を印加する場合(図7の点線の円のD参照)である。
【0071】
図12Aを参照すると、駆動装置20は、第2トランジスタT2を通じて感知電圧パルスVsのみを駆動電極に印加する。この場合に、第1トランジスタT1はオフ(OFF)になり、第2トランジスタT2はオン(ON)になる。第1トランジスタT1がオフ(OFF)になるためには、第1トランジスタT1のゲートはOVレベルにならなければならず、そのためには、第3トランジスタT3はオン(ON)にならなければならない。駆動電極に駆動電圧Vdが印加されない場合に、第3トランジスタT3がオン(ON)になるように、第3トランジスタT3のゲートには所定レベルのゲート電圧が印加されるが、そのためには、駆動選択信号Sdとは相反する論理値ONを有する駆動選択信号バー
【0072】
【数3】
が第3トランジスタT3のゲートに入力される。そして、第2トランジスタT2がオン(ON)になるように、第2トランジスタT2を制御する信号には感知電圧パルスVsのような論理値ONを有する信号Ssが入力される。第2トランジスタT2がオン(ON)になるので、第4トランジスタT4はオフ(OFF)になる。
【0073】
図12Bを参照すると、駆動装置20は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの減算信号(Vd−Vs)を駆動電極に印加する。この場合に、第1トランジスタT1と第2トランジスタT2のいずれもオン(ON)になる。第1トランジスタT1がオン(ON)になるためには、第1トランジスタT1のゲートには所定レベルのゲート電圧が印加されなければならず、そのためには、第3トランジスタT3はオフ(OFF)にならなければならない。駆動電極に駆動電圧Vdが印加される場合に、第3トランジスタT3がオフ(OFF)になるように、第3トランジスタT3を制御する信号には駆動選択信号とは相反する論理値OFFを有する駆動選択信号バー
【0074】
【数4】
が入力される。そして、第2トランジスタT2がオン(ON)になるように、第2トランジスタT2を制御する信号には感知選択信号のような論理値ONを有する信号Ssが入力される。第2トランジスタT2がオン(ON)になるので、第4トランジスタT4はオフ(OFF)になる。
【0075】
図12Cを参照すると、駆動装置20は、駆動電圧Vdのみを駆動電極に印加する。この場合に、第1トランジスタT1はオン(ON)になり、第2トランジスタT2はオフ(OFF)になる。第1トランジスタT1がオン(ON)になるためには、第1トランジスタT1のゲートには所定レベルのゲート電圧が印加されなければならず、そのためには、第3トランジスタT3はオフ(OFF)にならなければならない。駆動電極に駆動電圧Vdが印加される場合に、第3トランジスタT3がオフ(OFF)になるように、第3トランジスタT3を制御する信号には駆動選択信号とは相反する論理値OFFを有する駆動選択信号バー
【0076】
【数5】
が入力される。そして、第2トランジスタT2がオフ(OFF)になるように、第2トランジスタT2を制御する信号には感知選択信号のような論理値OFFを有する信号Ssが入力される。第2トランジスタT2がオフ(OFF)になるので、第4トランジスタT4はオン(ON)になり、これによって、駆動電極の電位がVdで安定して保持されうる。
【0077】
図12Dを参照すると、駆動装置20は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとのうちから如何なる信号も駆動電極に印加しない。この場合に、第1トランジスタT1と第2トランジスタT2のいずれもオフ(OFF)になる。第1トランジスタT1がオフ(OFF)になるためには、第1トランジスタT1のゲートはグラウンドレベルにならなければならず、そのためには、第3トランジスタT3はオン(ON)にならなければならない。駆動電極に駆動電圧Vdが印加されない場合に、第3トランジスタT3がオン(ON)になるように、第3トランジスタT3を制御する信号には駆動選択信号とは相反する論理値ONを有する駆動選択信号バー
【0078】
【数6】
が入力される。そして、第2トランジスタT2がオフ(OFF)になるように、第2トランジスタT2を制御する信号には感知選択信号のような論理値OFFを有する信号Vsが入力される。第2トランジスタT2がオフ(OFF)になるので、第4トランジスタT4はオン(ON)になり、これによって、駆動電極の電位は、0Vで安定して保持されうる。
【0079】
図13は、図8のタイミングチャートを駆動選択信号及び感知選択信号とともに示すタイミングチャートである。すなわち、図13のタイミングチャートは、ユーザにクリック感を提供する場合であって、図6で四角形ドットで表示された静電容量ノード(すなわち、R5とC5との交点)の駆動電極、すなわち、第5列方向の電極ラインR5に時間t4から時間t5(図7参照)まで印加される組合わせ信号Vcのタイミングチャートである。図13を参照すると、時間t4以前から駆動選択信号Sdが印加されている(すなわち、駆動選択信号バー
【0080】
【数7】
が0Vの電位である)。そして、時間t4に感知選択信号Ssが入力され始めれば、当該静電容量ノードには減算電圧(Vd−Vs)が印加され始める。そして、静電容量ノードでの静電容量が所定の臨界値Cref以上になる時間tbになれば、印加されていた駆動選択信号Sdが解除される。そして、ユーザからの入力が完了した以後である時間tdになれば、再び駆動選択信号Sdが印加され、時間t5に到逹すれば、感知選択信号Ssの入力が中断される。
【0081】
前述したように、駆動装置20は、高電圧をオン/オフ(ON/OFF)させるためのスイッチング素子(例えば、高電圧MOSトランジスタ)のみで構成されている。このような回路構成は、駆動電圧と感知電圧パルスとの減算のために複雑なアナログ演算増幅器(OP Amplifier)を使うか、高電圧マルチプレクサ(multiplexer)を使う必要がないだけではなく、ASIC(Application SpecificIntegrated Circuit)チップで製作しても、安定した電気特性が得られる。通常、高電圧トランジスタは、低電圧トランジスタに比べてデザインルールが大きく、工程の均一度を保持することは容易ではなくて、単純な高電圧スイッチの用途として活用されるが、精密なアナログ増幅回路などには使用が制限的であるためである。
【0082】
一方、図11に示された駆動装置20において、高電圧MOSトランジスタT1〜T4を制御する信号(例えば、駆動選択信号バー
【0083】
【数8】
と感知選択信号Ss)は、低電圧信号(例えば、3.3V)を使うと電力消耗を減らすことができる。電力消耗を最小化することができる一つの方法は、LDMOS電界効果トランジスタ(Laterally Diffused MOS Field Effect Transistor、LD MOSFET)を高電圧トランジスタT1〜T4として使うことである。LDMOS電界効果トランジスタを使えば、ソースとドレインとの間の電圧Vdsは、高電圧を使い、ゲートとソースとの間の電圧Vgsは、5V以下の低電圧を使うことができる。
【0084】
そして、図11の駆動装置20において、高電圧である駆動電圧Vdをスイッチングする第1トランジスタT1が、N型(N−type)LDMOS電界効果トランジスタであれば、第1トランジスタT1は、必ずしも図11に示されているようにソースS1とドレインD1とが連結されなければならない。これは、第1トランジスタT1のゲートとソースとの間の電圧Vgsを5V以下に保持するためである。より具体的に、約200Vの高電圧である駆動電圧Vdまたは駆動電圧Vdから約5V以下の低電圧である感知電圧パルスVsを差引いた減算電圧(Vd−Vs)を駆動電極に印加する場合(図12C及び図12B参照)に、第1トランジスタT1のゲート電圧はVdに該当する電圧(約200V)であるので、図11のように、第1トランジスタT1が連結されれば、ソースS1または駆動電極との電圧差は、5V未満になりうる。そして、駆動電極に感知電圧パルスVsのみを印加する場合(図12A参照)に、第1トランジスタT1のゲートG1は0Vになるので、図11のように、第1トランジスタT1が連結されれば、ソースS1または駆動電極との電圧差も、同様に5V未満になりうる。
【0085】
図14は、図11に示された駆動装置の変形例を示す回路図である。図14を参照すると、駆動装置20’は、第1トランジスタT1のゲートとソースとの電位差を保持するための破壊防止素子26をさらに含むという点で、図11に示された駆動装置20とは差がある。破壊防止素子26は、第1トランジスタT1のゲートとソースとの差の電位差Vgsを保持して、第1トランジスタT1の破壊を防止する役割を行うが、以下、これについて詳しく説明する。
【0086】
図8及び図13を参照して説明したように、図11の駆動装置20を含むタッチパネルは、ユーザにクリック感を提供するために、時間tbに駆動電極は、高電圧(VdまたはVd−Vs)から低電圧(Vsまたは0V)に急降下する。そのために、タッチパネルの制御器50(図1参照)は、駆動選択信号Sdの印加を制御するが、これによって、第3トランジスタTがオン(ON)になって、第1トランジスタT1のゲートは、瞬間的に0Vに電位を下げることができる。一方、駆動電極は、当該静電容量ノードに充填されている電荷によって、電位が下がる速度が第1トランジスタT1のゲートに比べて相対的に遅い。この場合に、第1トランジスタT1のゲートとソースとの差の電位差Vgsは、瞬間的に大きくなって、第1トランジスタT1の破壊(breakdown)が発生することがある。破壊防止素子26は、このような第1トランジスタT1のゲートとソースとの差の電位差Vgsの瞬間的な増加を防止する。
【0087】
破壊防止素子26としては、二つの端子間に所定大きさの電位差を有するようにダイオード(diode)が使われる。ダイオードによって保持される電位差(容量が大きいダイオード一つが使われるか、または容量が小さなダイオードを複数個使う場合には、これら複数個のダイオードは直列連結されて、容量が大きいダイオードと同じ機能を行うことができる)は、少なくとも感知電圧パルスVsよりは大きいことが望ましい。ダイオードによって保持される電位差が、感知電圧パルスVsより小さければ、これによって、感知電圧パルスVsの振幅の低下が発生することがあるためである。そして、ダイオードによって保持される電位差は、第1トランジスタT1の耐圧Vgsよりは小さくなければならない。それだけではなく、第1トランジスタT1のゲートに駆動電圧Vdが印加される場合に、逆破壊(reverse breakdown)が発生しないように設定されなければならないということは当業者に自明であろう。
【0088】
以上の説明は、本発明の実施形態に過ぎず、この実施形態によって本発明の技術思想が限定されると解釈されてはならない。本発明の技術思想は、特許請求の範囲に記載の発明によってのみ特定されなければならない。したがって、本発明の技術思想を外れない範囲で前述した実施形態は多様な形態に変形されて具現可能であるということは当業者に自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、タッチパネル及びそのための駆動装置関連の技術分野に適用可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ入力装置(user’s input apparatus)に係り、より具体的に、タッチパネル(touch panel)に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、ユーザからの接触を感知して、入力有無とともに入力位置を判定するユーザ入力装置の一つである。ユーザは、指やスタイラスペンなどを用いてタッチパネルを接触または加圧することによって、データや信号などを入力することができる。例えば、タッチパネルは、ラップトップコンピュータやネットブックなどでマウスの代用に備えられるタッチパッド(touch pad)として使われるか、または電子機器の入力スイッチの代用として使われる。または、タッチパネルは、ディスプレイと一体に結合されて使われるが、このように、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)のようなディスプレイの画像表示面に設けられるタッチパネルを、‘タッチスクリーン(touch screen)’と言う。タッチスクリーンは、ディスプレイの画像表示面を構成するようにディスプレイと一体に設けられるか、またはディスプレイの画像表示面上にさらに付着される。
【0003】
タッチパネルは、キーボードのような機械的なユーザ入力装置を代替できるだけではなく、操作が簡単である。そして、タッチパネルは、実行されるアプリケーションの種類やアプリケーションの進行段階によって、さまざまな形の入力ボタンをユーザに提供することができる。タッチパネルは、現金自動預け払い機(Automated TellerMachine、ATM)、情報検索器、無人チケット発売機などはもとより、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、PMP(Portable MultimediaPlayer)、デジタルカメラ、携帯用ゲーム機、MP3プレーヤーのような電子機器の入力装置として幅広く使われている。
【0004】
タッチパネルは、ユーザからの入力有無を感知する方法によって、抵抗膜方式(resistive type)、静電容量方式(capacitive type)、超音波方式(ultrasonic type)、赤外線方式(infrared type)などに区分することができる。各方式のタッチパネルは、固有の長所と短所とを有するので、アプリケーションの種類やタッチパネルの用途などによって、適した方式が選択されて使われる。従来のタッチパネルは、その類型に関係なく共通的にマルチタッチを認識することができないという限界があったが、最近、マルチタッチの認識が可能なタッチパネルが開発されて、携帯用電子機器などに広く採用されている。
【0005】
一方、既存のタッチパネルは、機械式キーパッドのような入力有無に対する感じ、すなわち、入力感(input feeling)を触覚でユーザに伝達することができない。入力感を提供するために、タッチパネルの下部に振動モータを設置する方法が提案されたが、これによれば、入力感知されれば、振動モータを用いてタッチパネル全体を振動させることによって、ユーザに入力感を提供する。しかし、タッチパネルの振動を通じて伝達される入力感は、機械式キーパッドが提供する入力感とは差がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、機械式キーパッドのようなクリック感を提供し、マルチタッチを認識することができるタッチパネル及びそのための駆動装置を提供することである。
【0007】
本発明は、構造が簡単かつ狭い面積に具現が可能な駆動装置及びそれを備えるタッチパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による駆動装置は、少なくとも一つの静電容量ノード(capacitance node)を有するタッチパネルのための駆動装置であって、少なくとも一つの静電容量ノードに電位差を発生させるための駆動電圧と少なくとも一つの静電容量ノードの静電容量変化を感知するための感知電圧パルスとを組み合わせて、少なくとも一つの静電容量ノードの第1電極に選択的に印加する。そして、駆動装置は、駆動電圧を第1電極に印加するための第1スイッチング素子と、感知電圧パルスを第1電極に印加するための第2スイッチング素子と、を含む。
【0009】
本発明の一実施形態によるタッチパネルは、第1基板と、第1方向に平行に延びるように第1基板に配されている多数の第1電極ラインと、第1基板と所定の間隙をおいて離隔配置されている第2基板と、第1方向に対して垂直である第2方向に平行に延びて、第2基板に配設されている多数の第2電極ラインと、第1基板と第2基板との間に介在されている電気粘性流体と、感知電圧パルスと電気粘性流体の粘度を変化させるための駆動電圧とを組み合わせて、多数の第1電極ラインに印加する駆動装置と、多数の第2電極ラインと接続されて、前記感知電圧パルスに応答して入力有無を判定する感知装置と、を含む。そして、駆動装置は、駆動電圧を多数の第1電極ラインに選択的に印加するための第1スイッチング素子と、感知電圧パルスを多数の第1電極に選択的に印加するための第2スイッチング素子と、を含む。
【0010】
本発明の一実施形態によるタッチパネルは、駆動装置の動作を制御して機械式キーパッドのようなクリック感を提供し、またマルチタッチも認識することができる。そして、4個のトランジスタを用いて駆動装置を構成することができるので、駆動装置の構造が簡単かつ狭い面積に具現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるタッチパネルの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のタッチパネルのタッチパネル本体の構造を示す分離斜視図である。
【図3】図2のIII−III’ラインに沿って切り取った断面図である。
【図4】メタルドームを有する機械的なキーパッドでの力と変位との関係を示すグラフである。
【図5】図2のタッチパネル本体の電極対で駆動電圧Vdが印加及び解除されるタイミングを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるタッチパネルを駆動及び感知するための回路構造を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態による駆動装置から印加される駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせについてのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図8】駆動装置から入力される組合わせ信号Vcについてのタイミングチャートの一例及びそれに対応する静電容量C変化を示す図である。
【図9A】図8のタイミングチャートの一時間に対応する当該静電容量ノードでのタッチパネル本体の構造を図式的に示す断面図である。
【図9B】図8のタイミングチャートの一時間に対応する当該静電容量ノードでのタッチパネル本体の構造を図式的に示す断面図である。
【図9C】図8のタイミングチャートの一時間に対応する当該静電容量ノードでのタッチパネル本体の構造を図式的に示す断面図である。
【図10】図1のタッチパネルの駆動装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図10の駆動装置を構成する回路図の一例である。
【図12A】図11の回路図を有する駆動装置の動作状態を説明するための図である。
【図12B】図11の回路図を有する駆動装置の動作状態を説明するための図である。
【図12C】図11の回路図を有する駆動装置の動作状態を説明するための図である。
【図12D】図11の回路図を有する駆動装置の動作状態を説明するための図である。
【図13】図8のタイミングチャートを駆動選択信号及び感知選択信号とともに示すタイミングチャートである。
【図14】図11の回路図についての変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明する。使われる用語は、実施形態での機能を考慮して選択された用語であって、その用語の意味は、ユーザ、運用者の意図または慣例などによって変わりうる。したがって、後述する実施形態で使われた用語の意味は、本明細書に具体的に定義された場合には、その定義に従い、具体的な定義がない場合は、当業者が一般的に認識する意味として解釈せねばならない。
【0013】
後述するタッチパネルは、ユーザ入力装置としてさまざまな種類の電子機器に提供されうる。例えば、タッチパネルは、ノート型パソコンやネットブックなどのタッチパッドとして使われるということはもとより、タッチ入力機能が具現されたさまざまな種類の家庭用電子機器や事務用電子機器などでユーザ入力装置として使われる。それだけではなく、タッチパネルは、電子機器のディスプレイの上面に装着されて使われるタッチスクリーンとして使われうるが、例えば、携帯電話やPDA、PMP、電子ブック端末機(E−book terminal)、携帯用コンピュータのような携帯用電子機器や現金自動預け払い機(ATM)、情報検索器、無人チケット発売機のような電子機器のユーザ入力装置として使われる。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態によるタッチパネルの構成を示すブロック図である。図1は、電気粘性流体(Electrorheological Fluid)を用いる相互静電容量方式のタッチパネルの一例に対する構成図である。相互静電容量方式のタッチパネルは、所定のパターン、例えば、マトリックス状に配された多数の静電容量ノードを含むが、各静電容量ノードでの静電容量変化を用いて入力有無を判断する。そして、電気粘性流体を用いるタッチパネルは、静電容量ノードに加えられる電位差によって粘度が増加する電気粘性流体の特性を利用する。以下、本発明の一実施形態によるタッチパネルについて先に具体的に説明する。
【0015】
図1を参照すると、タッチパネル1は、タッチパネル本体(touch panel body)10、駆動装置(driving device)20、感知装置(sensing device)30を含む。そして、タッチパネル1は、電源部(power source)40及び制御器(controller)50をさらに含む。タッチパネル本体10は、タッチパネル1を構成する物理的構造体を示す。一方、駆動装置20、感知装置30、電源部40、及び制御器50は、タッチパネル本体10の動作を制御する電気回路及び/またはハードウェアやソフトウェアなどの形態で具現可能である。本明細書で、単純に‘タッチパネル’と称する場合に、狭い意味では、タッチパネル本体10のみを示すが、広い意味では、駆動装置20、感知装置30、電源部40、及び/または制御器50もともに含むタッチパネル1の全体を示すこともできる。
【0016】
そして、駆動装置20、感知装置30、電源部40、及び制御器50の区分も、単にその機能による論理的な区分であって、二つ以上の機能ユニットは統合されて具現されるか、または個別的に具現可能である。また、駆動装置20、感知装置30、電源部40、及び制御器50という論理的な機能区分も、単に説明の便宜のためのものであって、何れか一つの機能ユニット、例えば、制御器50が、駆動装置20、感知装置30、及び電源部40が行うあらゆる機能または一部機能を行うことができる。以下、タッチパネル本体10の構造及び物理的な動作に関して先に説明する。
【0017】
図2は、図1のタッチパネル1のタッチパネル本体10の構造を示す分離斜視図であり、図3は、図2のIII−III’ラインに沿って切り取ったタッチパネル本体10の断面図である。図2及び図3を参照すると、タッチパネル本体10は、一対の基板、すなわち、下部基板110及び上部基板120とともに一対の基板110、120の間の間隙に満たされて密封されている電気粘性流体130、及び複数の電極対(a pluralityof electrodes pairs)140を含む。
【0018】
下部基板110は、タッチパネル本体10のベース基板であって、電気粘性流体130をタッチパネル本体10に満たすための容器の一面として機能する。タッチパネル1が、電子機器のタッチスクリーンとして機能する場合に、下部基板110は、電子機器の画像表示面自体になるか、または画像表示面上に付加的に付着される基板であり得る。下部基板110は、上部基板120との間に所定の引力や斥力が作用しても、変形されないこともある。そのために、下部基板110は、硬い材料で作られることができるが、例えば、透明ガラスで作られたガラス基板(glass substrate)でもよい。しかし、下部基板110が、必ずしも硬い材料で形成される必要はない。例えば、タッチパネル本体10が、硬いディスプレイの上部に付着される場合であれば、下部基板110は、透明なポリマーフィルム(polymer film)で作られることもできる。
【0019】
上部基板120の上面は、ユーザが入力する時に接触するユーザ接触面である。上部基板120は、所定の力が加えられれば、変形が生じることがある。例えば、ユーザが指やスタイラスペンなどを使ってユーザ接触面を接触または加圧する場合に、上部基板120は変形される。そのために、上部基板120は、透明で変形が可能なポリマーフィルムなどで作ることができる。ポリマーの種類には、特別な制限がない。上部基板120は、下部基板110と所定間隔で離隔して配置され、これによって、上部基板120と下部基板110との間には、所定の高さを有する間隙(gap)が形成される。間隙の高さは、駆動電圧の大きさやタッチパネル本体10の広さ、駆動電極対140の断面積の大きさなどによって変わりうる。
【0020】
下部基板110と上部基板120との間の間隙には、電気粘性流体130が満たされている。電気粘性流体130は、外部から密封され、そのために、上下部基板110、120の間のフレームには、密閉剤(sealant)160が配置される。電気粘性流体130は、一般的に電気絶縁性流体132に非常に微細な粒子134が分散されている懸濁液(suspension)を示す。電気粘性流体130は、電場が印加されれば、粘度(viscosity)が急激に(例えば、最大100,000倍程度)増加する。そして、電気粘性流体130のこのような粘度の変化は可逆的であって、電場が解除されれば、元の状態に復元される。
【0021】
電気粘性流体130は、透明な液体であるが、これに限定されるものではない。電気絶縁性流体132としては、例えば、シリコン油、ケロシン鉱油、ポリ塩化ビフェニールなどが使われる。そして、電気粘性流体130に含まれる粒子134の大きさは、最大50μm程度であって、非常に微細な粒子であるが、透明であるか、または不透明な粒子である。このような粒子134としては、例えば、アルミノケイ酸塩(aluminosilicate)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)のような高分子物質やフラーレン(fullerene)などが使われる。前述したように、アプリケーションによって不透明な電気粘性流体が使われることもある。
【0022】
そして、上下部基板110、120の間の間隙には、スぺーサ150が配置されうる。スぺーサ150は、数十μm以下の小さくて透明な固体であって、電気粘性流体130内にランダムに、または規則的に分散されて配されている(図2に示されているスぺーサ150は、その大きさが多少誇張されたことがあるが、これは、単に説明及び図面作成の便宜のためのものである)。スぺーサ150は、上部基板120が変形された場合に、復元力を提供し、また上部基板120を構造的に支持する役割も行うことができる。このような機能を行う物質であれば、スぺーサ150を構成する物質には、特別な制限がない。例えば、スぺーサ150としては、エラストマー(elastomer)が使われる。
【0023】
複数の電極対140は、下部基板110に形成された下部電極と上部基板120に形成されている上部電極とで構成された一対の電極の集合である。相互静電容量方式のタッチパネルで、複数の電極対140は、タッチパネル本体10の全面(entire surface)または一部領域にマトリックス状(matrix type)に配列されている。マトリックス状に配列された複数の電極対140には、所定の組合わせ(例えば、一部の電極対140にのみ)で駆動電圧が印加され、このような組合わせは、アプリケーションの種類や進行段階によって変わりうる。そして、タッチパネル1は、複数の電極対140のうちから駆動電圧が加えられる電極対の位置や個数、加えられた駆動電圧が解除される時点や駆動電圧が解除される電極対の個数などを制御するか、または変化させることによって、ユーザにクリック感や多様な入力感を提供することもできる。
【0024】
図2に示されている複数の電極対140は、マトリックス状に配列された電極対140の一例である。図2を参照すると、下部基板110の上面と上部基板120の下面には、それぞれライン状の電極パターン142、144が多数個が平行に形成されている。ここで、下部基板110に形成されている電極パターン、すなわち、下部電極パターン142は、第1方向に伸張され、上部基板120に形成されている電極パターン、すなわち、上部電極パターン144は、第1方向に垂直である第2方向に伸張されている。したがって、多数の下部電極パターン142と多数の上部電極パターン144との交差点で、タッチパネル本体10の全面(entire area)にマトリックス状に配列された多数の電極対140、すなわち、静電容量ノードが定義される。図2に示されたものとは異なって、電極対140を構成する下部電極と上部電極は、それぞれ下部基板110と上部基板120とにドット状に互いに対向するように配置されることもある。この場合に、電極対のそれぞれは、他の電極対とは別個に接続及び制御が可能である。
【0025】
次いで、図1及び図2を参照すると、複数の電極対140に印加される駆動信号、すなわち、駆動電圧Vdは、電気粘性流体130の粘度を局部的に変化させるための駆動力を提供する。このような駆動電圧は、電源部40の駆動電源から供給されうる。そして、駆動電圧が加えられる電極対140の位置及び個数、加えられた駆動電圧が解除される時点、加えられた駆動電圧が解除される電極対140の位置及び個数などは、制御器50によって制御されることもできる。制御器50は、駆動選択信号(driving selection signal、Sd)を適切に駆動装置20に入力することによって、電極対140に対する駆動電圧の印加の有無を制御することができる。
【0026】
図3には、領域Iに位置した電極対140にのみ駆動電圧Vdが印加され、領域IIに位置した電極対140には、駆動電圧Vdが印加されない場合が示されている。そのために、上部電極パターン144に所定大きさの電位Vdが印加された状態で、領域Iに位置した下部電極パターン142は、接地状態(ground state)にし、領域IIに位置した下部電極パターン142は、フローティング状態(floating state)にする。これとは反対に、所定大きさの電位Vdが下部電極パターン142に印加され、上部電極パターン144は、接地状態になるか、フローティング状態にもなりうるということは当業者に自明であろう。以下、それぞれの静電容量ノードで所定大きさの電位Vdが印加される電極は、‘駆動電極(driving electrode)’と言い、この駆動電極に対向する電極(接地状態になるか、フローティング状態になる電極)は、‘感知電極(sensing electrode)’と言う。
【0027】
図3の領域Iでのように、電極対140に駆動電圧Vdがが印加されれば、領域Iでは、上下部基板110、120の間に局部的に電場が誘導される。そして、誘導された電場によって、この部分(領域I)にある電気粘性流体130の粘度は増加する。電場によって、電気粘性流体130の粘性が増加することは、図3に示されたように、分極特性を有する粒子134が電場の方向に一列に並ぶためである。一方、領域IIでのように、電極対140に駆動電圧が印加されなければ、領域IIでは、上下部基板110、120の間には、電場が形成されず、この部分(領域II)にある電気粘性流体130の粘度は変化がない。もちろん、領域Iに印加された駆動電圧Vdが解除されれば、この領域にある電気粘性流体130の粘度は、初期状態に復元される。
【0028】
このような電気粘性流体の粘度の変化を用いるタッチパネルの一例は、本出願の出願人が2009年6月19日に出願した韓国特許出願第2009−0055034、“タッチパネル及びそれを備える電子機器”に詳しく記述されている。前記韓国特許出願には、電気粘性流体の粘度の変化を用いてユーザ接触面に所定の入力ボタン領域を限定し、また機械的なキーパッドを操作する時のようなクリック感をユーザに提供するタッチパネルが開示されているが、前記韓国特許出願は、参照によって本明細書に完全に結合される。
【0029】
クリック感(click sensation)とは、携帯電話などで使われる機械的なキーパッド(key pad)またはキーボタン(key button)などを押す時、ユーザが指を通じたしっかりとしたクリック感を示す。機械的なキーパッドには、メタルドーム(metal dome)と言うドーム状の金属薄板がキーボタンの下部に設けられている。所定の大きさ以上の力で加圧し続けられる場合に、メタルドームはある瞬間にドーム状に急な変形が発生するが、これをバックリングポイント(bucklingpoint)と言う。メタルドームが変形される過程には、このようなバックリングポイントが存在するために、ユーザは機械的なキーパッドを押す時、しっかりとしたクリック感を受けるようになるが、これをクリック感と言う。
【0030】
図4は、このようなメタルドームを有する機械的なキーパッドでの力(force)と変位(displacement)との関係を示すグラフである。図4を参照すると、初期にはユーザが加圧力によってメタルドームの変位が徐々に増加する。メタルドームの変位が増加すれば、それによってメタルドームの支持力(変形に対する抵抗力)も増加するので、ユーザが感じる反発力もそれだけ増加する。そして、メタルドームの変位がx1に到逹すれば、メタルドームの支持力が最大(作動力)に到達されながら急減するが、このようにメタルドームの支持力が最大となる地点(すなわち、タッチパネルで作動力が作用する地点)がバックリングポイントである。バックリングポイントに到逹した以後にも、ユーザが加圧力が保持し続ければ、メタルドームの変位は増加し続けるが、変位がx2に到逹すれば、メタルドームは下部電極に触れるようになる。バックリングポイントに到逹した以後に、ユーザが加圧力を除去すれば、復帰力によってメタルドームは最初の状態に復元される。
【0031】
図1のタッチパネル1は、このような機械的なキーパッドでのメカニズムを模写することによって、ユーザにクリック感を提供することができる。図5は、そのために、タッチパネル1の電極対140で駆動電圧Vdが印加及び解除されるタイミングを示す図である。
【0032】
前述したように、電極対に駆動電圧が加えられれば、当該領域にある電気粘性流体が局部的に駆動されて粘度が増加する。電気粘性流体が駆動されて粘度が増加した領域(以下、‘駆動領域’と称する)は、それ以外の領域(以下、‘非駆動領域’と称する)に比べて加圧力に対してより大きな反発力を提供することができる。それを利用すれば、ユーザは、タッチパネルの駆動領域を押す時、機械的なキーパッドを押すことと類似した反発力を感じることができる。
【0033】
そして、所定の時点(図5の時点ta)に駆動領域が加圧されれば、上部基板120がリセスされて電極対間の間隔は減少し、その結果、ノードでのキャパシタンス(capacitance、C)は増加する。そして、ユーザが同じ駆動領域を押し続ければ、上部基板120の変位が増加するが、これによって、タッチパネルの反発力も増加するだけではなく、このノードでのキャパシタンスCも増加し続ける。そして、上部基板120の変位が一定の大きさ以上に到逹して、当該ノードでのキャパシタンスCが所定の臨界値Crefに到逹し、タッチパネルは、この時点(図5の時点tb)に当該ノードにユーザから入力があると判定する。そして、これと同時に電極対に加えられていた駆動電圧Vdを解除する。駆動電圧Vdが解除されれば、電気粘性流体130の粘度は急減し、それによって、加圧力に対する反発力も急減する。このように、タッチパネルは、駆動電圧Vdが解除される時点(図5の時点tb)でバックリングポイントでのようなクリック感をユーザに提供することができる。
【0034】
次いで、図1ないし図3を参照すると、駆動装置20は、静電容量ノードに電位差を発生させるための駆動電圧Vdと静電容量ノードの静電容量変化を感知電圧パルスVsとを組み合わせて、電極対140に入力する。駆動電圧Vdは、電源部40の駆動電源から供給され、感知電圧パルスVsは、電源部40の感知電源から供給される。そして、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせは、制御器50から入力される駆動選択信号Sdと入力選択信号Ssとの組合わせによって決定されるが、これについては後述する(図12Aないし図12D参照)。
【0035】
駆動電圧Vdは、複数の電極対140の全部または一部に印加されうる。そして、駆動電圧Vdは、所定の時間の間のみ印加されるか、または相対的に長い時間の間(例えば、タッチパネル1が作動する時間の間は、常に)に印加される。前者・後者の場合でも、駆動電圧Vdは、所定の時間(t9、図7参照)の間に駆動電極に印加される駆動パルス電圧として見なされる。パルス電圧の持続時間t9は、固定されているか、または可変的であり、ユーザによって任意の値に設定されることもできる。
【0036】
本明細書で、一つの電極対140に駆動電圧Vdを印加するということ、または一つの駆動電極に駆動電圧を印加するということは、上下部基板110、120に形成された一対の電極に所定の電位差を形成して、上下部基板110、120の間に電場を局部的に誘発するということを示す。電場が局部的に誘発されれば、電気粘性流体130の粘度も局部的に増加する。したがって、一部の電極対140にのみ駆動電圧Vdを印加すれば、電場が形成されて電気粘性流体130の粘度が増加する領域のみ駆動領域になり、それ以外の領域(非駆動領域)では、電気粘性流体130の粘度は変化がない。
【0037】
前述したように、複数の電極対140は、図2に示されたような互いに直交する一対の電極ライン142、144によって定義される。この場合に、駆動装置20は、全体上部電極ライン144のうちから少なくとも一つの駆動セル(一つの電極対によって定義される駆動領域を構成する単位領域)と接続される上部電極ライン144(図6の場合には、列(row)方向の電極ラインR1、R2、R3にのみ所定大きさVdの駆動電圧を印加することができる。そして、駆動装置20は、全体下部電極ライン142のうちから少なくともこの駆動セルと接続される下部電極ライン142は接地に連結するが、他の下部電極ライン142は、フローティング状態になるようにできる(図6の場合には、行(column)方向の電極ラインC4、C5、及びC6)。もちろん、駆動装置20が、上部電極ライン144と下部電極ライン142とに印加する電位は、変わりうるということは自明であろう。
【0038】
感知電圧パルスVsは、複数の電極対140、より具体的に、複数の駆動電極に順次に入力することができる。ここで、感知電圧パルスVsを複数の駆動電極に順次に印加するということは、駆動電極に対して個別的に順次に入力することであり、一グループの駆動電極(例えば、駆動電極として機能する一つの下部電極ライン142、または一つの上部電極ライン144)に対してグループ単位で順次に入力することである。駆動装置20が、感知電圧パルスを複数の駆動電極に順次に印加すれば、感知装置30は、これに応答して感知電極を通じて静電容量変化を感知することによって、入力有無はもとより、入力位置もともに把握することができる。
【0039】
感知電圧パルスVsは、例えば、所定の持続時間(駆動電圧Vdに比べて非常に短い持続時間(t1、図7参照))を有する複数の電圧パルスである。すなわち、感知電圧パルスVsは、駆動電圧Vdが印加された時間の間(t9、図7参照)に全体的に1回またはそれ以上のセンシングがなされるように印加される。この場合に、感知装置30は、駆動電極を通じて印加された感知電圧パルスVsに応答して、静電容量ノードでのキャパシタンスの変化による感知電極での出力をセンシングして入力有無を判定することができる。
【0040】
このような感知電圧パルスVsは、駆動電圧Vdが印加された駆動電極にのみ入力されるか、またはあらゆる駆動電極に順次に入力される。特に、後者の場合に、駆動電圧Vdが入力された駆動電極はもとより、駆動電圧Vdが印加されていない駆動電極に対しても感知が行われる。このように、駆動電圧Vdが印加されていない駆動電極に対しても、感知電圧パルスVsが入力されれば、タッチパネルの駆動領域はもとより、非駆動領域でも入力有無に対するセンシングができる。
【0041】
センシング電圧パルスVsは、感知装置30がマルチタッチ入力を感知できるように、駆動電極(例えば、行方向の電極ラインまたは列方向の電極ライン)に対して順次にスキャンされて駆動電極に入力される。この場合に、マルチタッチの感知のために、単に駆動電極に対してのみセンシング電圧パルスVsがスキャンされるので、既存のX−Y全面マトリックススキャン(X−Y full matrix scan)方式に比べて速いセンシング速度を具現することができる。
【0042】
感知装置30は、タッチパネル本体10にユーザからの入力があるか否かを判定する。そして、感知装置30は、入力があると判定される場合には、入力位置(input location)を計算して入力位置情報をともに制御器50に伝達するか、または制御器50に入力信号のみを伝達することもできる(この場合に、入力位置は、制御器50が計算することもできる)。例えば、図5を参照して説明したように、感知装置30は、電極対140間の間隔の変化によるキャパシタンスの変化(ΔC)を用いて、入力有無及び/または入力位置を判定することができる。
【0043】
感知装置30が感知した入力有無に関する情報及び/または入力位置に関する情報(入力信号)は、制御器50に伝達される。そして、制御器50は、感知装置30から入力信号を受信すれば、駆動領域にある駆動電極の全部または一部に印加された駆動電圧Vdを解除させる駆動選択信号Sdを駆動装置20に伝達することができる。このように、入力信号に応答して印加された駆動電圧Vdが解除されれば、タッチパネル1を用いてクリック感をユーザに提供することができるということは前述した通りである。
【0044】
前述したように、駆動装置20は、制御器50から入力される駆動選択信号Sdと感知選択信号Ssとの組合わせによって、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを組み合わせて、電極対140に入力することができる。駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせによって、電極対140に入力される組合わせ信号は、0V信号(駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとがいずれも入力されていない場合)、駆動電圧Vd、感知電圧パルスVs、及び駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの結合信号のうちから何れか一つである。
【0045】
通常、電気粘性流体130の粘度を増加させるための駆動電圧Vdは、数十ボルト以上、例えば、少なくとも50V以上、望ましくは、約200V程度になる(もちろん、電気粘性流体130を構成する物質の物理的、化学的特性や上下部基板110、120の間の距離などによって、駆動電圧Vdの大きさは変わりうる)。一方、静電容量ノードでのキャパシタンスの変化を感知するための感知電圧パルスVsは、数ボルト(例えば、約5V以下)程度であれば十分である(もちろん、感知装置30を構成する感知回路の電気的特性によって、この感知電圧パルスVsの大きさも変わりうるが、駆動電圧Vdに比べて相当小さな電圧でも感知が可能になるように感知回路を構成することができる)。このような場合に、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの結合信号は、駆動電圧Vdから感知電圧パルスVsを減算した減算電圧(Vd−Vs)、または駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを加算した合算電圧(Vd+Vs)になりうる。減算電圧(Vd−Vs)または合算電圧(Vd+Vs)(以下、本明細書では、単純に‘減算電圧’と称する)は、電気粘性流体130の駆動には全然影響を及ぼさないだけではなく、感知信号としての機能も同時に行うことができる。
【0046】
制御器50は、駆動装置20が駆動電極に印加する信号の類型を制御する。より具体的に、制御器50は、0V信号(駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとがいずれも入力されていない場合)、駆動電圧Vd、感知電圧パルスVs、及び駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの結合信号のうちから何れか一つの信号が駆動電極に入力されるように駆動装置20を制御する。そのために、制御器50は、駆動電圧Vdの印加の有無を指示する駆動選択信号Sdと感知電圧パルスVsの印加の有無を指示する感知選択信号Ssとを駆動装置20に伝達することができる。
【0047】
駆動選択信号Sdは、駆動電圧Vdの印加を指示する信号であるか、またはその反対である。すなわち、駆動選択信号Sdが駆動装置20に入力される時、駆動装置20が駆動電極に駆動電圧Vdを印加するかは、駆動選択信号Sdの特性や駆動装置20の回路構成などによって変わる。同様に、感知選択信号Ssも感知電圧パルスVsの印加を指示する信号であるか、またはその反対である。すなわち、感知選択信号Ssが駆動装置20に入力される時、駆動装置20が駆動電極に感知電圧パルスVsを印加するかも、感知選択信号Ssの特性や駆動装置20の回路構成などによって変わる。
【0048】
そして、制御器50は、駆動電圧Vdは相対的に長い時間間隔(t9、図7参照)の間に(例えば、1秒以上)、駆動電極に印加されるように制御することができる。このような駆動電圧Vdの持続時間t9は、装置で設定された所定の値であるか、またはユーザによって設定された任意の値である。一方、制御器50は、感知電圧パルスVsが数百または数千分の1秒単位やマイクロ秒単位で非常に短い時間間隔(t1、図7参照)の間のみ持続されるように制御することができる。感知電圧パルスの持続時間t1が短ければ、それほどタッチパネルの全面に対するセンシング周期が短くなる。
【0049】
制御器50は、あらゆる列方向の電極ラインR1〜R9ではない9個の駆動セルと接続されている3個の列方向の電極ラインR4〜R6のみのために、駆動電圧Vdが印加されるように駆動装置20を制御することができる。この場合に、3個の列方向の電極ラインR4〜R6に対しては、同時に駆動電圧パルスVdが入力されうる。一方、制御器50は、感知電圧パルスVsが列方向の電極ラインR1〜R9の全部に入力されるように駆動装置20を制御することができる。そして、この場合に、感知電圧パルスVsは、列方向の電極ラインR1〜R9のために同時に入力されるものではなく、順次に入力されるように制御される。感知電圧パルスVsが、複数の列方向の電極ラインR1〜R9のために順次に入力されれば、感知装置30は入力有無はもとより、入力位置に対するセンシングが同時になすことができる。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態によるタッチパネルを駆動及び感知するための回路構造を説明するための図である。図6に示された回路構造は、図2に示されたタッチパネル本体10の電極対140の一部(例えば、9個の下部電極ライン142と9個の上部電極ライン144)に対してのみ回路構造を示したものである。この場合、図2の下部電極ライン142及び上部電極ライン144は、それぞれ図6の列方向の電極ラインR1ないしR9と行方向の電極ラインC1ないしC9とに対応するか、またはその反対の場合である。そして、図6では、示された静電容量ノード(列方向の電極ラインR1ないしR9のそれぞれと行方向の電極ラインC1ないしC9のそれぞれとの交差点)のうちからドット(dot)で表示された静電容量ノード(R4ないしR6のそれぞれとC4ないしC6のそれぞれとの交差点)のみが駆動セル(したがって、9個のドットを含む領域が駆動領域)である場合であるが、これは単に例示的なものである。
【0051】
図6を参照すると、タッチパネルは、電源部40、駆動装置20、及び感知装置30を含む。そして、図面に図示していないが、タッチパネルは、駆動装置20などの動作を制御する制御器などをさらに含みうる(図1参照)。
【0052】
電源部40は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを生成して駆動装置20に入力する。そのために、電源部40は、駆動電圧Vdを生成させる駆動電源と感知電圧パルスVsを生成する感知電源とを含みうる。駆動電圧Vdは、電気粘性流体を駆動するための駆動信号の一例であり、感知電圧パルスVsは、ユーザからの入力有無を判定するための感知信号の一例である。駆動電圧Vdは、電気粘性流体を駆動するために数十ボルト以上(例えば、約50V)の高電位を有する一方、感知電圧パルスVsは、感知装置30で入力有無の感知に必要な数ボルト以下(例えば、約3.3V)の低電位を有するということは前述した通りである。
【0053】
駆動電源Vdと感知電圧パルスVsは、電源部40から常に駆動装置20に供給される。すなわち、駆動装置20は、常に電源部40と接続されている。この場合に、駆動装置20は、制御部50から入力される制御信号(例えば、駆動選択信号Sdと感知選択信号Ssとの組合わせ)によって、駆動電源Vd及び/または感知電圧パルスVsを選択的に駆動電極に入力することができる。これとは違って、必要な場合にのみ選択的に駆動電源Vdと感知電圧パルスVsとが供給されるように回路を構成することができるということは当業者に自明であろう。
【0054】
駆動装置20は、電源部40から入力される駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを組み合わせて、列方向の電極ラインR1〜R9に印加することができる。そのために、駆動装置20は、列方向の電極ラインR1〜R9のそれぞれのために、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを組み合わせるための複数の駆動回路(driving circuit)を含みうる。複数の駆動回路のそれぞれは、列方向の電極ラインR1〜R9のそれぞれと一対一で対応することができるが、この場合に、駆動装置20は、列方向の電極ラインR1〜R9の個数と同じ個数の駆動回路を含みうる。これとは違って、駆動装置20は、一つの駆動回路のみを含み、マックス(mux)のようなスイッチング素子を用いて、それぞれの列方向の電極ラインR1〜R9に順次に組合わせられた信号を印加することもできる。駆動回路の具体的な構成については、後述する(図10及び図11参照)。
【0055】
図7は、駆動装置20が、図6の列方向の電極ラインR1〜R9のそれぞれに入力する駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせについてのタイミングチャートの一例を示す図である。図7を参照すると、駆動電圧Vdは、全体列方向の電極ラインR1〜R9のうちから3個の列方向の電極ラインR4〜R6にのみ入力される。これは、この3個の列方向の電極ラインR4〜R6のみが駆動セルと接続されているためである(図6参照)。そして、感知電圧パルスVsは、全体列方向の電極ラインR1〜R9に順次に入力される。図7に示された駆動電圧Vdの大きさ及び持続時間と感知電圧パルスVsの大きさ及び持続時間などは、単に説明の便宜のためのものであって、両信号の大きさや持続時間の比率は、実際とは異なりうる。また、図7では、駆動電圧Vdが印加されている間に感知電圧パルスVsが各列方向の電極ラインR1〜R9に1回のみ順次に印加されると示されているが、2回以上のサイクルで入力されることもできるということは自明であろう。
【0056】
図7に示されているダイヤグラムを通じて分かるように、駆動装置20は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの組合わせ信号Vcのうちから何れか一つをそれぞれの列方向の電極ラインR1〜R9に入力する。組合わせ信号Vcは、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの如何なる信号も含まれていないOV信号(図7の点線の円のD参照)、駆動電圧Vdのみ含まれ、感知電圧パルスVsは含まれていない駆動電圧信号(図7の点線の円のC参照)、駆動電圧Vdは含まれないが、感知電圧パルスVsは含まれた感知電圧パルス信号(図7の点線の円のA参照)、または駆動電圧Vdから感知電圧パルスVsが減算された減算電圧信号(図7の点線の円のB参照)でありうるということは前述した通りである。したがって、駆動装置20の駆動回路は、このような組合わせ信号をいずれも出力することができる回路でなければならない。
【0057】
図8は、駆動装置20が、駆動電極に入力する組合わせ信号Vcについてのタイミングチャートの一例及びそれに対応する静電容量C変化を示す図である。図8に示されたタイミングチャートは、ユーザにクリック感を提供する場合であって、図6で四角形ドットで表示された静電容量ノード(すなわち、R5とC5との交点)の駆動電極、すなわち、第5列方向の電極ラインR5に時間t4から時間t5(図7参照)まで印加される組合わせ信号Vcのタイミングチャートであり得る。そして、図9Aないし図9Cは、それぞれ図8のタイミングチャートの一時間に対応する当該静電容量ノード(すなわち、R5とC5との交点)でのタッチパネル本体10の構造を図式的に示す断面図である。
【0058】
図8を参照すると、時間t4以前には駆動電極に駆動電圧Vdのみが印加されており、時間t4に感知電圧パルスVsが印加され始める。すなわち、時間t4からは駆動電極に減算電圧(Vd−Vs)が印加されている。そして、時間taにユーザが当該地点を押し始めるが、それによって、上下部基板110の間の間隔が減り始める(図9A参照)。上下部基板110の間の間隔が減れば、静電容量ノードの電極間の距離が減少するので、静電容量Cは増加し始める。
【0059】
そして、ユーザが当該地点を押し続ければ、上下部基板110の間の間隔は、以前の状態からさらに減る。その結果、静電容量ノードでの静電容量Cは増加し続けて、時間tbに所定の臨界値Crefに到逹する。タッチパネルの感知装置30(図1参照)は、この瞬間に当該地点に入力があると判断し、入力信号を制御器50(図1参照)に伝達する。
【0060】
入力信号を受信した制御器50は、駆動選択信号Sdを用いて駆動装置20(図1参照)が駆動電極に印加する駆動電圧Vdの印加を終了するように制御する。その結果、時間tb以後には、当該地点にはこれ以上の駆動電圧Vdは印加されず、センシング電圧パルスVsのみが入力される。当該地点には、駆動電圧Vdが印加されないので、電気粘性流体の粘度は、急に減少(図9B参照)し、ユーザは、これによってクリック感を感じることができる。
【0061】
そして、時間tb以後に、ユーザが当該地点を押し続けていれば、上下部基板110の間の間隔は、以前からさらに減って静電容量Cも増加し続ける。時間tcにユーザが入力を終了すれば、復元力によって上下部基板110の間の間隔は増加し始める。上下部基板110の間の間隔が増加して静電容量Cが減少し始めれば、制御器50は、駆動選択信号Sdを用いて駆動装置20(図1参照)が引き続き駆動電圧Vdを印加するように制御することができる。駆動電圧Vdが再び印加される時間(図8の場合には、時間td)は、あらかじめ設定されていてもよいが、これに限定されるものではない。駆動電圧Vdが再び印加される時間が感知電圧パルスVsの持続時間の以内であれば、駆動電極には、減算電圧が印加し続ける。駆動電圧Vdが駆動電極に印加されれば、当該地点で電気粘性流体の粘度は増加する(図9C参照)。
【0062】
図10は、図1のタッチパネル1の駆動装置20の構成の一例を示すブロック図である。前述したように、駆動装置20は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとを組み合わせた組合わせ信号Vcを少なくとも一つの静電容量ノードの駆動電極に印加する。そのために、駆動装置20は、駆動電圧Vdを駆動電極に印加するための第1スイッチング素子22と感知電圧パルスVsを駆動電極に印加するための第2スイッチング素子24とを含みうる。この際、第1スイッチング素子22の入力端と出力端は、それぞれ駆動電源及び駆動電極と連結されていて、第2スイッチング素子24の入力端と出力端は、それぞれ感知電源及び駆動電極と連結されている。
【0063】
第1スイッチング素子22は、制御器50(図1参照)から入力される駆動選択信号Sdに応答して駆動電極に駆動電圧Vdが印加されるか、または印加されないようにする。そして、第2スイッチング素子24は、制御器50(図1参照)から入力される感知選択信号Ssに応答して駆動電極に感知電圧パルスVsが印加されるか、または印加されないようにする。第1スイッチング素子22の出力端と第2スイッチング素子の出力端は、駆動電極に並列連結されているが、これによって、第1スイッチング素子22と第2スイッチング素子24とがいずれもオン(ON)であれば、減算電圧、すなわち、駆動電圧Vdから感知電圧パルスVsを差引いた電位が駆動電極に印加されうる。感知装置30は、感知電極と連結されており、感知電圧パルスVsに応答して静電容量ノードでの入力有無を判断するということは前述した通りである。
【0064】
図11は、図10の駆動装置20を構成する回路図の一例であって、4個のトランジスタ(transistor)を含む場合である。駆動装置20は、電気粘性流体の粘度増加のために高電圧(例えば、約200V)を印加するので、使われるトランジスタは、いずれも高電圧(high voltage)トランジスタである。そして、図11には、使われる高電圧トランジスタがいずれもN型MOS(N−type Metal Oxide Semiconductor、NMOS)トランジスタであると示されているが、これは単に例示的であるということは当業者に自明であろう。例えば、回路のデザインによっては、高電圧トランジスタはP型MOS(PMOS)トランジスタであるか、またはNMOSとPMOSとの組合わせにもなりうる。そして、以下(図11ないし図14)では、駆動選択信号Sdと感知選択信号Ssは、それぞれ駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの印加を指示する信号であると仮定する。
【0065】
図11を参照すると、駆動回路20は、駆動電極に対する駆動電圧Vdの印加の有無をスイッチングする第1トランジスタT1と駆動電極に対する感知電圧パルスVsの印加の有無をスイッチングする第2トランジスタT2とを含む。駆動電圧Vdの印加の有無をスイッチングできるように、第1トランジスタT1は、そのソース/ドレイン(S1/D1)がそれぞれ駆動電源Vd及び駆動電極(静電容量ノードの一電極)と接続されている。そして、感知電圧パルスVsの印加の有無をスイッチングできるように、第2トランジスタT2は、そのソース/ドレイン(S2/D2)がそれぞれ感知電源Vs及び駆動電極と接続されている。
【0066】
前述したように、駆動装置20は、制御器50(図1参照)から入力される駆動選択信号Sdによって駆動電圧Vdの印加の有無が制御される。そのために、駆動装置20は、駆動選択信号Sdとは相反する論理値を有する信号である駆動選択信号バー
【0067】
【数1】
によって、第1トランジスタT1にオン/オフさせるためのスイッチング素子、すなわち、第3トランジスタT3をさらに含みうる。そのために、第3トランジスタT3のゲートG3は、駆動選択信号バー
【0068】
【数2】
を印加する端子と接続される。そして、第3トランジスタT3のソース/ドレインS3/D3のうち、一つ(図11の場合には、ドレインD3)は、第1トランジスタT1のゲートG1と電気的に接続されており、この接続端子の電位によって、第1トランジスタT1のオン(ON)/オフ(OFF)が決定される。これとは違って、実施形態によっては、駆動選択信号Sdを印加する端子が第1トランジスタT1のゲートG1に直接接続されるように駆動回路が構成することもできる。
【0069】
駆動装置20は、駆動電極のバイアスを保持するための第4トランジスタT4をさらに含みうる。この際、第2トランジスタT2がオン(ON)状態である場合には、第2トランジスタT2との電気的な接続によって駆動電極のバイアスは保持されるので、第4トランジスタT4は、第2トランジスタT2がオフ(OFF)状態である場合に動作するように構成することができる。そのために、第4トランジスタT4と感知選択信号Ssを印加する端子との間には、インバータ(inverter)Iが追加されうる。
【0070】
図12Aないし図12Dは、図11の回路図を有する駆動装置20が、駆動電極に4種の類型の組合わせ信号Vcを印加する場合を説明するための図であって、図12Aは、感知電圧パルスVsのみを印加する場合(図7の点線の円のA参照)であり、図12Bは、減算信号(Vd−Vs)を印加する場合(図7の点線の円のB参照)であり、図12Cは、駆動電圧Vdのみを印加する場合(図7の点線の円のC参照)であり、図12Dは、無信号(OV)を印加する場合(図7の点線の円のD参照)である。
【0071】
図12Aを参照すると、駆動装置20は、第2トランジスタT2を通じて感知電圧パルスVsのみを駆動電極に印加する。この場合に、第1トランジスタT1はオフ(OFF)になり、第2トランジスタT2はオン(ON)になる。第1トランジスタT1がオフ(OFF)になるためには、第1トランジスタT1のゲートはOVレベルにならなければならず、そのためには、第3トランジスタT3はオン(ON)にならなければならない。駆動電極に駆動電圧Vdが印加されない場合に、第3トランジスタT3がオン(ON)になるように、第3トランジスタT3のゲートには所定レベルのゲート電圧が印加されるが、そのためには、駆動選択信号Sdとは相反する論理値ONを有する駆動選択信号バー
【0072】
【数3】
が第3トランジスタT3のゲートに入力される。そして、第2トランジスタT2がオン(ON)になるように、第2トランジスタT2を制御する信号には感知電圧パルスVsのような論理値ONを有する信号Ssが入力される。第2トランジスタT2がオン(ON)になるので、第4トランジスタT4はオフ(OFF)になる。
【0073】
図12Bを参照すると、駆動装置20は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとの減算信号(Vd−Vs)を駆動電極に印加する。この場合に、第1トランジスタT1と第2トランジスタT2のいずれもオン(ON)になる。第1トランジスタT1がオン(ON)になるためには、第1トランジスタT1のゲートには所定レベルのゲート電圧が印加されなければならず、そのためには、第3トランジスタT3はオフ(OFF)にならなければならない。駆動電極に駆動電圧Vdが印加される場合に、第3トランジスタT3がオフ(OFF)になるように、第3トランジスタT3を制御する信号には駆動選択信号とは相反する論理値OFFを有する駆動選択信号バー
【0074】
【数4】
が入力される。そして、第2トランジスタT2がオン(ON)になるように、第2トランジスタT2を制御する信号には感知選択信号のような論理値ONを有する信号Ssが入力される。第2トランジスタT2がオン(ON)になるので、第4トランジスタT4はオフ(OFF)になる。
【0075】
図12Cを参照すると、駆動装置20は、駆動電圧Vdのみを駆動電極に印加する。この場合に、第1トランジスタT1はオン(ON)になり、第2トランジスタT2はオフ(OFF)になる。第1トランジスタT1がオン(ON)になるためには、第1トランジスタT1のゲートには所定レベルのゲート電圧が印加されなければならず、そのためには、第3トランジスタT3はオフ(OFF)にならなければならない。駆動電極に駆動電圧Vdが印加される場合に、第3トランジスタT3がオフ(OFF)になるように、第3トランジスタT3を制御する信号には駆動選択信号とは相反する論理値OFFを有する駆動選択信号バー
【0076】
【数5】
が入力される。そして、第2トランジスタT2がオフ(OFF)になるように、第2トランジスタT2を制御する信号には感知選択信号のような論理値OFFを有する信号Ssが入力される。第2トランジスタT2がオフ(OFF)になるので、第4トランジスタT4はオン(ON)になり、これによって、駆動電極の電位がVdで安定して保持されうる。
【0077】
図12Dを参照すると、駆動装置20は、駆動電圧Vdと感知電圧パルスVsとのうちから如何なる信号も駆動電極に印加しない。この場合に、第1トランジスタT1と第2トランジスタT2のいずれもオフ(OFF)になる。第1トランジスタT1がオフ(OFF)になるためには、第1トランジスタT1のゲートはグラウンドレベルにならなければならず、そのためには、第3トランジスタT3はオン(ON)にならなければならない。駆動電極に駆動電圧Vdが印加されない場合に、第3トランジスタT3がオン(ON)になるように、第3トランジスタT3を制御する信号には駆動選択信号とは相反する論理値ONを有する駆動選択信号バー
【0078】
【数6】
が入力される。そして、第2トランジスタT2がオフ(OFF)になるように、第2トランジスタT2を制御する信号には感知選択信号のような論理値OFFを有する信号Vsが入力される。第2トランジスタT2がオフ(OFF)になるので、第4トランジスタT4はオン(ON)になり、これによって、駆動電極の電位は、0Vで安定して保持されうる。
【0079】
図13は、図8のタイミングチャートを駆動選択信号及び感知選択信号とともに示すタイミングチャートである。すなわち、図13のタイミングチャートは、ユーザにクリック感を提供する場合であって、図6で四角形ドットで表示された静電容量ノード(すなわち、R5とC5との交点)の駆動電極、すなわち、第5列方向の電極ラインR5に時間t4から時間t5(図7参照)まで印加される組合わせ信号Vcのタイミングチャートである。図13を参照すると、時間t4以前から駆動選択信号Sdが印加されている(すなわち、駆動選択信号バー
【0080】
【数7】
が0Vの電位である)。そして、時間t4に感知選択信号Ssが入力され始めれば、当該静電容量ノードには減算電圧(Vd−Vs)が印加され始める。そして、静電容量ノードでの静電容量が所定の臨界値Cref以上になる時間tbになれば、印加されていた駆動選択信号Sdが解除される。そして、ユーザからの入力が完了した以後である時間tdになれば、再び駆動選択信号Sdが印加され、時間t5に到逹すれば、感知選択信号Ssの入力が中断される。
【0081】
前述したように、駆動装置20は、高電圧をオン/オフ(ON/OFF)させるためのスイッチング素子(例えば、高電圧MOSトランジスタ)のみで構成されている。このような回路構成は、駆動電圧と感知電圧パルスとの減算のために複雑なアナログ演算増幅器(OP Amplifier)を使うか、高電圧マルチプレクサ(multiplexer)を使う必要がないだけではなく、ASIC(Application SpecificIntegrated Circuit)チップで製作しても、安定した電気特性が得られる。通常、高電圧トランジスタは、低電圧トランジスタに比べてデザインルールが大きく、工程の均一度を保持することは容易ではなくて、単純な高電圧スイッチの用途として活用されるが、精密なアナログ増幅回路などには使用が制限的であるためである。
【0082】
一方、図11に示された駆動装置20において、高電圧MOSトランジスタT1〜T4を制御する信号(例えば、駆動選択信号バー
【0083】
【数8】
と感知選択信号Ss)は、低電圧信号(例えば、3.3V)を使うと電力消耗を減らすことができる。電力消耗を最小化することができる一つの方法は、LDMOS電界効果トランジスタ(Laterally Diffused MOS Field Effect Transistor、LD MOSFET)を高電圧トランジスタT1〜T4として使うことである。LDMOS電界効果トランジスタを使えば、ソースとドレインとの間の電圧Vdsは、高電圧を使い、ゲートとソースとの間の電圧Vgsは、5V以下の低電圧を使うことができる。
【0084】
そして、図11の駆動装置20において、高電圧である駆動電圧Vdをスイッチングする第1トランジスタT1が、N型(N−type)LDMOS電界効果トランジスタであれば、第1トランジスタT1は、必ずしも図11に示されているようにソースS1とドレインD1とが連結されなければならない。これは、第1トランジスタT1のゲートとソースとの間の電圧Vgsを5V以下に保持するためである。より具体的に、約200Vの高電圧である駆動電圧Vdまたは駆動電圧Vdから約5V以下の低電圧である感知電圧パルスVsを差引いた減算電圧(Vd−Vs)を駆動電極に印加する場合(図12C及び図12B参照)に、第1トランジスタT1のゲート電圧はVdに該当する電圧(約200V)であるので、図11のように、第1トランジスタT1が連結されれば、ソースS1または駆動電極との電圧差は、5V未満になりうる。そして、駆動電極に感知電圧パルスVsのみを印加する場合(図12A参照)に、第1トランジスタT1のゲートG1は0Vになるので、図11のように、第1トランジスタT1が連結されれば、ソースS1または駆動電極との電圧差も、同様に5V未満になりうる。
【0085】
図14は、図11に示された駆動装置の変形例を示す回路図である。図14を参照すると、駆動装置20’は、第1トランジスタT1のゲートとソースとの電位差を保持するための破壊防止素子26をさらに含むという点で、図11に示された駆動装置20とは差がある。破壊防止素子26は、第1トランジスタT1のゲートとソースとの差の電位差Vgsを保持して、第1トランジスタT1の破壊を防止する役割を行うが、以下、これについて詳しく説明する。
【0086】
図8及び図13を参照して説明したように、図11の駆動装置20を含むタッチパネルは、ユーザにクリック感を提供するために、時間tbに駆動電極は、高電圧(VdまたはVd−Vs)から低電圧(Vsまたは0V)に急降下する。そのために、タッチパネルの制御器50(図1参照)は、駆動選択信号Sdの印加を制御するが、これによって、第3トランジスタTがオン(ON)になって、第1トランジスタT1のゲートは、瞬間的に0Vに電位を下げることができる。一方、駆動電極は、当該静電容量ノードに充填されている電荷によって、電位が下がる速度が第1トランジスタT1のゲートに比べて相対的に遅い。この場合に、第1トランジスタT1のゲートとソースとの差の電位差Vgsは、瞬間的に大きくなって、第1トランジスタT1の破壊(breakdown)が発生することがある。破壊防止素子26は、このような第1トランジスタT1のゲートとソースとの差の電位差Vgsの瞬間的な増加を防止する。
【0087】
破壊防止素子26としては、二つの端子間に所定大きさの電位差を有するようにダイオード(diode)が使われる。ダイオードによって保持される電位差(容量が大きいダイオード一つが使われるか、または容量が小さなダイオードを複数個使う場合には、これら複数個のダイオードは直列連結されて、容量が大きいダイオードと同じ機能を行うことができる)は、少なくとも感知電圧パルスVsよりは大きいことが望ましい。ダイオードによって保持される電位差が、感知電圧パルスVsより小さければ、これによって、感知電圧パルスVsの振幅の低下が発生することがあるためである。そして、ダイオードによって保持される電位差は、第1トランジスタT1の耐圧Vgsよりは小さくなければならない。それだけではなく、第1トランジスタT1のゲートに駆動電圧Vdが印加される場合に、逆破壊(reverse breakdown)が発生しないように設定されなければならないということは当業者に自明であろう。
【0088】
以上の説明は、本発明の実施形態に過ぎず、この実施形態によって本発明の技術思想が限定されると解釈されてはならない。本発明の技術思想は、特許請求の範囲に記載の発明によってのみ特定されなければならない。したがって、本発明の技術思想を外れない範囲で前述した実施形態は多様な形態に変形されて具現可能であるということは当業者に自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、タッチパネル及びそのための駆動装置関連の技術分野に適用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの静電容量ノードを有するタッチパネルのための駆動装置において、
前記駆動装置は、前記少なくとも一つの静電容量ノードに電位差を発生させるための駆動電圧と前記少なくとも一つの静電容量ノードの静電容量変化を感知するための感知電圧パルスとを組み合わせて、前記少なくとも一つの静電容量ノードの第1電極に選択的に印加し、また、
前記駆動電圧を前記第1電極に印加するための第1スイッチング素子と、
前記感知電圧パルスを前記第1電極に印加するための第2スイッチング素子と、
を含むことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第1スイッチング素子をオン(ON)またはオフ(OFF)させるための駆動選択信号及び前記第2スイッチング素子をオン(ON)またはオフ(OFF)させるための感知選択信号の組合わせによって、0V、前記駆動電圧、前記感知電圧パルス、及び前記駆動電圧から前記感知電圧パルスを差引いた減算電圧のうちから一つを前記第1電極に印加することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記駆動電圧は、50V以上の高電圧であり、前記感知電圧パルスは、5V以下の低電圧パルスであり、
前記第1スイッチング素子の出力端と前記第2スイッチング素子の出力端は、前記第1電極に並列連結されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1スイッチング素子は、ソース/ドレインがそれぞれ前記駆動電圧を生成させる駆動電源と前記第1電極とに連結されていて、前記駆動選択信号の印加の有無によってオン(ON)またはオフ(OFF)になる第1トランジスタと、
前記第2スイッチング素子は、ソース/ドレインがそれぞれ前記感知電圧パルスを生成させる感知電源と前記第1電極とに連結されていて、前記感知選択信号の印加の有無によってオン(ON)またはオフ(OFF)になる第2トランジスタと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記駆動選択信号が印加されれば、前記第1トランジスタをオフ(OFF)させ、前記駆動選択信号が印加されなければ、前記第1トランジスタをオン(ON)させる第3トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記感知選択信号の印加の有無によって、前記第2トランジスタとはオン(ON)とオフ(OFF)とが逆になり、前記第2トランジスタがオフ(OFF)状態である時、前記第1電極のバイアスを保持する第4トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第2トランジスタは、前記感知選択信号が印加されれば、オン(ON)になり、前記感知選択信号が印加されなければ、オフ(OFF)になり、
前記第1トランジスタがオン(ON)になった場合に、前記第4トランジスタは、前記感知選択信号が印加されなければ、前記第1電極に前記駆動電圧を印加させ、前記感知選択信号が印加されれば、前記第1電極に前記減算電圧を印加させることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1ないし第4トランジスタは、いずれも高電圧MOSトランジスタ(High Voltage MOS transistor)であることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記高電圧MOSトランジスタは、LDMOSFET(Laterally Diffused MOSFET)であることを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記第1トランジスタのゲートとソースとの間に接続されている破壊防止素子をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記破壊防止素子は、ダイオードであり、前記ダイオードの容量は、前記感知電圧パルスより大きく、前記第1トランジスタのゲートとソースとの間の耐圧電圧より小さいことを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
第1基板と、
第1方向に平行に延びるように、前記第1基板に配されている多数の第1電極ラインと、
前記第1基板と所定の間隙をおいて離隔配置されている第2基板と、
前記第1方向に対して垂直である第2方向に平行に延びて、前記第2基板に配設されている多数の第2電極ラインと、
前記第1基板と前記第2基板との間に介在されている電気粘性流体と、
感知電圧パルスと前記電気粘性流体の粘度を変化させるための駆動電圧とを組み合わせて、前記多数の第1電極ラインに印加する駆動装置と、
前記多数の第2電極ラインと接続されて、前記感知電圧パルスに応答して入力有無を判定する感知装置と、を含み、
前記駆動装置は、前記駆動電圧を前記多数の第1電極ラインに選択的に印加するための第1スイッチング素子と、前記感知電圧パルスを前記多数の第1電極に選択的に印加するための第2スイッチング素子と、を含むことを特徴とするタッチパネル。
【請求項13】
前記駆動装置は、前記多数の第1電極ラインと個別的に接続されるように複数個が備えられていることを特徴とする請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項14】
前記第1スイッチング素子をオン(ON)またはオフ(OFF)させるための駆動選択信号と前記第2スイッチング素子をオン(ON)またはオフ(OFF)させるための感知選択信号とを組み合わせて、前記駆動装置に伝達する制御器をさらに含み、
前記駆動装置は、0V、前記駆動電圧、前記感知電圧パルス、及び前記駆動電圧から前記感知電圧パルスを差引いた減算電圧のうちから一つを前記多数の第1電極ラインに選択的に印加することを特徴とする請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項15】
前記感知装置から入力信号を伝達されれば、前記制御器は、前記多数の第1電極ラインに印加された駆動電圧を解除するように、前記駆動選択信号を選択して、前記駆動装置に伝達することを特徴とする請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項16】
前記制御器は、前記感知電圧パルスが前記多数の第1電極ラインに順次に入力されるように、前記感知選択信号を選択して、前記駆動装置に伝達することを特徴とする請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項17】
前記駆動電圧を生成させる駆動電源と前記感知電圧パルスを生成させる感知電源とを含む電源部をさらに含み、
前記第1スイッチング素子は、ソース/ドレインがそれぞれ前記駆動電源と前記第1電極ラインとに連結されていて、前記駆動選択信号の印加の有無によってオン(ON)またはオフ(OFF)になる第1トランジスタと、
前記第2スイッチング素子は、ソース/ドレインがそれぞれ前記感知電源と前記第1電極ラインとに連結されていて、前記感知選択信号の印加の有無によってオン(ON)またはオフ(OFF)になる第2トランジスタと、を含むことを特徴とする請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項18】
前記駆動装置は、前記駆動選択信号が印加されれば、前記第1トランジスタをオフ(OFF)させ、前記駆動選択信号が印加されなければ、前記第1トランジスタをオン(ON)させる第3トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のタッチパネル。
【請求項19】
前記駆動装置は、前記感知選択信号の印加の有無によって、前記第2トランジスタとはオン(ON)とオフ(OFF)とが逆になり、前記第2トランジスタがオフ(OFF)状態である時、前記第1電極ラインのバイアスを保持する第4トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のタッチパネル。
【請求項20】
第1基板と、
前記第1基板上に配されている第1電極と、
前記第1基板と離隔している第2基板と、
前記第2基板上に配されており、前記第1電極と静電容量ノードを形成する第2電極と、
前記第1基板と前記第2基板との間に満たされている電気粘性流体と、
前記第1電極に接続されて、前記第1電極に0V、駆動電圧、感知電圧、または前記駆動電圧と前記感知電圧との組合わせを印加するための駆動装置と、
前記第2電極に接続されており、前記第1電極に印加される前記感知電圧に応答して、前記静電容量ノードでの入力を感知するための感知装置と、
前記駆動装置に制御信号を伝達するための制御部と、を含み、
前記駆動装置は、前記制御部からの制御信号に基づいて、前記第1電極に選択的にOV、前記駆動電圧、前記感知電圧、または前記駆動電圧から前記感知電圧を差し引いて生成される前記駆動電圧と前記感知電圧との組合わせを印加する相互静電容量方式のタッチパネル。
【請求項1】
少なくとも一つの静電容量ノードを有するタッチパネルのための駆動装置において、
前記駆動装置は、前記少なくとも一つの静電容量ノードに電位差を発生させるための駆動電圧と前記少なくとも一つの静電容量ノードの静電容量変化を感知するための感知電圧パルスとを組み合わせて、前記少なくとも一つの静電容量ノードの第1電極に選択的に印加し、また、
前記駆動電圧を前記第1電極に印加するための第1スイッチング素子と、
前記感知電圧パルスを前記第1電極に印加するための第2スイッチング素子と、
を含むことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第1スイッチング素子をオン(ON)またはオフ(OFF)させるための駆動選択信号及び前記第2スイッチング素子をオン(ON)またはオフ(OFF)させるための感知選択信号の組合わせによって、0V、前記駆動電圧、前記感知電圧パルス、及び前記駆動電圧から前記感知電圧パルスを差引いた減算電圧のうちから一つを前記第1電極に印加することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記駆動電圧は、50V以上の高電圧であり、前記感知電圧パルスは、5V以下の低電圧パルスであり、
前記第1スイッチング素子の出力端と前記第2スイッチング素子の出力端は、前記第1電極に並列連結されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1スイッチング素子は、ソース/ドレインがそれぞれ前記駆動電圧を生成させる駆動電源と前記第1電極とに連結されていて、前記駆動選択信号の印加の有無によってオン(ON)またはオフ(OFF)になる第1トランジスタと、
前記第2スイッチング素子は、ソース/ドレインがそれぞれ前記感知電圧パルスを生成させる感知電源と前記第1電極とに連結されていて、前記感知選択信号の印加の有無によってオン(ON)またはオフ(OFF)になる第2トランジスタと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記駆動選択信号が印加されれば、前記第1トランジスタをオフ(OFF)させ、前記駆動選択信号が印加されなければ、前記第1トランジスタをオン(ON)させる第3トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記感知選択信号の印加の有無によって、前記第2トランジスタとはオン(ON)とオフ(OFF)とが逆になり、前記第2トランジスタがオフ(OFF)状態である時、前記第1電極のバイアスを保持する第4トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第2トランジスタは、前記感知選択信号が印加されれば、オン(ON)になり、前記感知選択信号が印加されなければ、オフ(OFF)になり、
前記第1トランジスタがオン(ON)になった場合に、前記第4トランジスタは、前記感知選択信号が印加されなければ、前記第1電極に前記駆動電圧を印加させ、前記感知選択信号が印加されれば、前記第1電極に前記減算電圧を印加させることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1ないし第4トランジスタは、いずれも高電圧MOSトランジスタ(High Voltage MOS transistor)であることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記高電圧MOSトランジスタは、LDMOSFET(Laterally Diffused MOSFET)であることを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記第1トランジスタのゲートとソースとの間に接続されている破壊防止素子をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記破壊防止素子は、ダイオードであり、前記ダイオードの容量は、前記感知電圧パルスより大きく、前記第1トランジスタのゲートとソースとの間の耐圧電圧より小さいことを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
第1基板と、
第1方向に平行に延びるように、前記第1基板に配されている多数の第1電極ラインと、
前記第1基板と所定の間隙をおいて離隔配置されている第2基板と、
前記第1方向に対して垂直である第2方向に平行に延びて、前記第2基板に配設されている多数の第2電極ラインと、
前記第1基板と前記第2基板との間に介在されている電気粘性流体と、
感知電圧パルスと前記電気粘性流体の粘度を変化させるための駆動電圧とを組み合わせて、前記多数の第1電極ラインに印加する駆動装置と、
前記多数の第2電極ラインと接続されて、前記感知電圧パルスに応答して入力有無を判定する感知装置と、を含み、
前記駆動装置は、前記駆動電圧を前記多数の第1電極ラインに選択的に印加するための第1スイッチング素子と、前記感知電圧パルスを前記多数の第1電極に選択的に印加するための第2スイッチング素子と、を含むことを特徴とするタッチパネル。
【請求項13】
前記駆動装置は、前記多数の第1電極ラインと個別的に接続されるように複数個が備えられていることを特徴とする請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項14】
前記第1スイッチング素子をオン(ON)またはオフ(OFF)させるための駆動選択信号と前記第2スイッチング素子をオン(ON)またはオフ(OFF)させるための感知選択信号とを組み合わせて、前記駆動装置に伝達する制御器をさらに含み、
前記駆動装置は、0V、前記駆動電圧、前記感知電圧パルス、及び前記駆動電圧から前記感知電圧パルスを差引いた減算電圧のうちから一つを前記多数の第1電極ラインに選択的に印加することを特徴とする請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項15】
前記感知装置から入力信号を伝達されれば、前記制御器は、前記多数の第1電極ラインに印加された駆動電圧を解除するように、前記駆動選択信号を選択して、前記駆動装置に伝達することを特徴とする請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項16】
前記制御器は、前記感知電圧パルスが前記多数の第1電極ラインに順次に入力されるように、前記感知選択信号を選択して、前記駆動装置に伝達することを特徴とする請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項17】
前記駆動電圧を生成させる駆動電源と前記感知電圧パルスを生成させる感知電源とを含む電源部をさらに含み、
前記第1スイッチング素子は、ソース/ドレインがそれぞれ前記駆動電源と前記第1電極ラインとに連結されていて、前記駆動選択信号の印加の有無によってオン(ON)またはオフ(OFF)になる第1トランジスタと、
前記第2スイッチング素子は、ソース/ドレインがそれぞれ前記感知電源と前記第1電極ラインとに連結されていて、前記感知選択信号の印加の有無によってオン(ON)またはオフ(OFF)になる第2トランジスタと、を含むことを特徴とする請求項12に記載のタッチパネル。
【請求項18】
前記駆動装置は、前記駆動選択信号が印加されれば、前記第1トランジスタをオフ(OFF)させ、前記駆動選択信号が印加されなければ、前記第1トランジスタをオン(ON)させる第3トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のタッチパネル。
【請求項19】
前記駆動装置は、前記感知選択信号の印加の有無によって、前記第2トランジスタとはオン(ON)とオフ(OFF)とが逆になり、前記第2トランジスタがオフ(OFF)状態である時、前記第1電極ラインのバイアスを保持する第4トランジスタをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のタッチパネル。
【請求項20】
第1基板と、
前記第1基板上に配されている第1電極と、
前記第1基板と離隔している第2基板と、
前記第2基板上に配されており、前記第1電極と静電容量ノードを形成する第2電極と、
前記第1基板と前記第2基板との間に満たされている電気粘性流体と、
前記第1電極に接続されて、前記第1電極に0V、駆動電圧、感知電圧、または前記駆動電圧と前記感知電圧との組合わせを印加するための駆動装置と、
前記第2電極に接続されており、前記第1電極に印加される前記感知電圧に応答して、前記静電容量ノードでの入力を感知するための感知装置と、
前記駆動装置に制御信号を伝達するための制御部と、を含み、
前記駆動装置は、前記制御部からの制御信号に基づいて、前記第1電極に選択的にOV、前記駆動電圧、前記感知電圧、または前記駆動電圧から前記感知電圧を差し引いて生成される前記駆動電圧と前記感知電圧との組合わせを印加する相互静電容量方式のタッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−226728(P2012−226728A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233676(P2011−233676)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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