タッチパネル装置
【課題】複雑な回路や演算を必要とせずに湾曲させて使用したときの位置精度を向上させることができるタッチパネル装置を提供する。
【解決手段】可動側透明基板1および固定側透明基板7に形成された導電膜からなる能動領域1a,7aと、該能動領域1a,7aの端部に配設された電極2,8と、前記能動領域1a,7aに電位勾配を発生させるコントロール基板10と、前記電極2,8と前記コントロール基板10を接続する引き回しパターン3,9とからなるタッチパネル装置において、前記可動側透明基板1および固定側透明基板7を湾曲可能なフィルムで形成するとともに、前記可動側透明基板1に形成された導電膜または前記固定側透明基板7に形成された導電膜のいずれか一方の前記電極2,8が形成されない対向する一対の辺を内側に湾曲させる。
【解決手段】可動側透明基板1および固定側透明基板7に形成された導電膜からなる能動領域1a,7aと、該能動領域1a,7aの端部に配設された電極2,8と、前記能動領域1a,7aに電位勾配を発生させるコントロール基板10と、前記電極2,8と前記コントロール基板10を接続する引き回しパターン3,9とからなるタッチパネル装置において、前記可動側透明基板1および固定側透明基板7を湾曲可能なフィルムで形成するとともに、前記可動側透明基板1に形成された導電膜または前記固定側透明基板7に形成された導電膜のいずれか一方の前記電極2,8が形成されない対向する一対の辺を内側に湾曲させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、湾曲可能なタッチパネルは、上面の透明電極を有する基板と下面の透明電極を有するフィルムとが空間を介在させて対向し、空間に配置されたドットスペーサにより湾曲させたり捩じったりしてもショートが発生しないタッチパネル(下記特許文献1参照)や、上部フィルム基板および下部フィルム基板を透明プラスチックフィルムで構成したタッチパネル(下記特許文献2参照)や、曲面状のタッチ面を有した静電容量方式タッチパネルの背面に画像を投射する表示装置(下記特許文献3参照)や、球面状の表示画面の前面に取付けて用いられる平面状の検出面を有するタッチスクリーン(下記特許文献4参照)があった。
【0003】
また、下記特許文献5乃至7では、入力装置の直線性不良を防止するために、電極を傾斜、V字、湾曲させて配置していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−102968号
【特許文献2】特開2008−047026号
【特許文献3】特開2007−279819号
【特許文献4】特開昭63−66628号
【特許文献5】特開平6−266491号
【特許文献6】特開昭56−500230号
【特許文献7】特開昭47−36923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のタッチパネル装置では、上記特許文献1および2は、タッチパネルを湾曲させて使用することはできるが、表示を正面から見たときの表示とタッチ位置との位置ずれを補正することができず、上記特許文献3は、投射画像とタッチ位置の位置ずれは低減できるが、平面状の液晶パネルと投射画像の歪みが生じる恐れがある。上記特許文献4は、視差補正方法により位置ずれは補正されるが、タッチスクリーン自体を湾曲させて使用することができないといった問題があった。また、上記特許文献5乃至7においても、タッチパネル自体を湾曲させて使用することができないといった問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、複雑な回路や演算を必要とせずに湾曲させて使用したときの位置精度を向上させることができるタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕可動側透明基板(1,21)および固定側透明基板(7,27)に形成された導電膜からなる能動領域(1a,7a,21a,27a)と、該能動領域(1a,7a,21a,27a)の端部に配設された電極(2,8,22,28)と、前記能動領域(1a,7a,21a,27a)に電位勾配を発生させるコントロール基板(10,30)と、前記電極(2,8,22,28)と前記コントロール基板(10,30)を接続する引き回しパターン(3,9,23,29)とからなるタッチパネル装置において、前記可動側透明基板(1,21)および固定側透明基板(7,27)を湾曲可能なフィルムで形成するとともに、前記可動側透明基板(1,21)に形成された導電膜または前記固定側透明基板(7,27)に形成された導電膜のいずれか一方の前記電極(2,8,22,28)が形成されない対向する一対の辺を内側に湾曲させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)タッチパネル装置を湾曲させて使用したときの位置精度の向上を図ることができる。
(2)複雑な補正処理を必要とせずに位置精度の向上を図ることができる。
(3)従来の構成、材料で位置精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の可動側透明基板および固定側透明基板の平面図である。
【図3】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の斜視図である。
【図4】従来のタッチパネル装置を湾曲させて使用したときの位置ずれの原理図である。
【図5】本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の可動側透明基板および固定側透明基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のタッチパネル装置は、可動側透明基板および固定側透明基板に形成された導電膜からなる能動領域と、該能動領域の端部に配設された電極と、前記能動領域に電位勾配を発生させるコントロール基板と、前記電極と前記コントロール基板を接続する引き回しパターンとからなるタッチパネル装置において、前記可動側透明基板および固定側透明基板を湾曲可能なフィルムで形成するとともに、前記可動側透明基板に形成された導電膜または前記固定側透明基板に形成された導電膜のいずれか一方の前記電極が形成されない対向する一対の辺を内側へ湾曲させる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図、図2は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の可動側透明基板および固定側透明基板の平面図、図3は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の斜視図、図4は従来のタッチパネル装置を湾曲させて使用したときの位置ずれの原理図である。
【0013】
これらの図において、1は可動側透明基板、2は可動側透明基板1の電極、3は電極2に接続される引き回しパターン、4は粘着糊、5は絶縁レジスト、6はドットスペーサ、7は固定側透明基板、8は固定側透明基板7の電極、9は電極8に接続される引き回しパターン、10はコントロール基板、11はコネクタ、12はフレキシブルプリント基板である。可動側透明基板1には、対向する1対の辺が内側に湾曲するITO膜からなる能動領域1a、能動領域1aの湾曲していない対向する端部にAgペーストからなる電極2が形成され、能動領域1aの周囲に電極2に接続されるAgペーストからなる引き回しパターン3が形成され、能動領域1aの周囲に粘着糊4が配設されている。固定側透明基板7には、矩形状のITO膜からなる能動領域7aと、電極2と直交する方向の能動領域7aの対向する端部にAgペーストからなる電極8が形成され、能動領域7aの周囲に電極8に接続されるAgペーストからなる引き回しパターン9が形成され、能動領域7a上にドットスペーサ6が配設されるとともに能動領域7aの周囲に絶縁レジスト5が配設されている。
【0014】
可動側透明基板1がドットスペーサ6により一定の間隔をあけて固定側透明基板7上に配置され、粘着糊4によって固定される。このとき、引き回しパターン3および9が導電性接着剤(図示なし)でフレキシブルプリント基板12に接続される。そして、コントロール基板10に実装されたコネクタ11にフレキシブルプリント基板12を接続することで、タッチパネル装置13が完成される。
【0015】
以上のように構成された本発明のタッチパネル装置は、図1のX方向に湾曲が可能であって、可動側透明基板1の能動領域1aを押下すると、固定側透明基板7の能動領域7aと接触し、測定された電圧値により押下した座標位置が決定される。可動側透明基板1の能動領域1aを対向する1対の辺が内側へ湾曲するITO膜で形成することで、湾曲させて使用しても表示装置14の表示に合わせて押下した点とタッチパネル装置13で検出される点の位置ずれを補正することができるため、位置ずれが抑制できる。
【0016】
ここで、従来のタッチパネル装置を湾曲させた場合に生じる位置ずれの原理と本発明のタッチパネル装置の補正方法について説明する。図4に示すように、従来のタッチパネル装置100を湾曲した表示装置14に距離tの間隔をあけて装着した場合、表示装置14のα点に表示されたボタンを見ながらタッチパネル装置100のβ点を押下すると、実際には表示装置14のγ点を押下したことになり距離Dの位置ずれが生じる。本発明のタッチパネル装置13において、図1に示すように、可動側透明基板1の能動領域1aを電極2が形成されていない対向する1対の辺を内側へ湾曲するITO膜で形成することにより、電流が流れる方向(電極2と直交する方向)に対して、電極2に近い能動領域1aの幅が広くなり、中央付近(電極2から遠いところ)の能動領域1aの幅が狭くなることから、R=ρ(L/wT)〔ただし、Rは能動領域1aの抵抗値、ρは能動領域1aの抵抗率、Lは能動領域1aの長さ、wは能動領域1aの幅、Tは能動領域1aの厚み〕により、ρ、LおよびTは定数であることから、Rはwの値によって決定されるため、wの値が大きい電極2に近い場所ほど能動領域1aの抵抗値が低くなり、wの値が小さい電極2から遠い場所ほど能動領域1aの抵抗値が高くなる。これにより、図2に示すように、能動領域1aの等電位線1bは電極2の近くになるに連れて間隔が狭くなる。また、表示装置14の表示を正面から見たとき、図4(b)に示すように、端部ほど見える表示の間隔が狭くなる。よって、表示装置14の表示の間隔と能動領域1aの等電位線1bの間隔を近似させることにより、位置ずれが抑制できる。
【0017】
このように、本実施例に示すタッチパネル装置は、能動領域1aを対向する1対の辺が内側へ湾曲するITO膜で形成し、能動領域1aの等電位線1bを端部に近づくに連れて間隔を狭くすることで位置ずれが抑制できるため、複雑な補正処理をすることなく従来と同様の構成で位置精度の向上を図ることができるという特徴を有している。
【0018】
本実施例では、凸方向に湾曲している表示装置に装着しているが、凹面方向に湾曲した表示装置に装着してもよく、種々の方法が考えられる。
【0019】
図5は本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図、図6は本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の可動側透明基板および固定側透明基板の平面図である。
【0020】
これらの図において、21は可動側透明基板、22は可動側透明基板1の電極、23は電極22に接続される引き回しパターン、24は粘着糊、25は絶縁レジスト、26はドットスペーサ、27は固定側透明基板、28は固定側透明基板27の電極、29は電極28に接続される引き回しパターン、30はコントロール基板、31はコネクタ、32はフレキシブルプリント基板である。可動側透明基板21には、矩形状のITO膜からなる能動領域21a、能動領域21aの対向する端部にAgペーストからなる電極22が形成され、能動領域21aの周囲に電極22に接続されるAgペーストからなる引き回しパターン23が形成され、能動領域21aの周囲に粘着糊24が配設されている。固定側透明基板27には、対向する1対の辺が湾曲するITO膜からなる能動領域27aと、電極22と直交する方向の能動領域27aの対向する端部にAgペーストからなる電極28が形成され、能動領域27aの周囲に電極28に接続されるAgペーストからなる引き回しパターン29が形成され、能動領域27a上にドットスペーサ26が配設されるとともに能動領域27aの周囲に絶縁レジスト25が配設されている。
【0021】
可動側透明基板21がドットスペーサ26により一定の間隔をあけて固定側透明基板27上に配置され、粘着糊24によって固定される。このとき、引き回しパターン23と29が導電性接着剤(図示なし)でフレキシブルプリント基板32に接続される。そして、コントロール基板30に実装されたコネクタ31にフレキシブルプリント基板32を接続することで、タッチパネル装置が完成される。
【0022】
以上のように構成された本発明のタッチパネル装置は、図5のY方向に湾曲が可能であって、可動側透明基板21の能動領域21aを押下すると、固定側透明基板27の能動領域27aと接触し、測定された電圧値により押下した座標位置が決定される。固定側透明基板27の能動領域27aを対向する1対の辺が内側へ湾曲するITO膜で形成したため、湾曲させて使用しても表示装置の表示に合わせて押下した点とタッチパネル装置で検出される点の位置ずれを補正することができるため、位置ずれが抑制できる。位置ずれを抑制する原理については第1実施例と同様である。
【0023】
このように、本実施例に示すタッチパネル装置は、能動領域27aの等電位線27bを端部に近づくに連れて間隔を狭くすることで位置ずれが抑制できるため、複雑な補正処理をすることなく従来と同様の構成で位置精度の向上を図ることができるという特徴を有している。
【0024】
本実施例では、凸方向に湾曲している表示装置に装着しているが、凹面方向に湾曲した表示装置に装着してもよく、種々の方法が考えられる。
【0025】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のタッチパネル装置は、複雑な回路や演算を必要とせずに湾曲させて使用したときの位置精度を向上させることができるタッチパネル装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1,21 可動側透明基板
1a,7a,21a,27a 能動領域
1b,7b,21b,27b 等電位線
2,8,22,28 電極
3,9,23,29 引き回しパターン
4,24 粘着糊
5,25 絶縁レジスト
6,26 ドットスペーサ
7,27 固定側透明基板
10,30 コントロール基板
11,31 コネクタ
12,32 フレキシブルプリント基板
13,100 タッチパネル装置
14 表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、湾曲可能なタッチパネルは、上面の透明電極を有する基板と下面の透明電極を有するフィルムとが空間を介在させて対向し、空間に配置されたドットスペーサにより湾曲させたり捩じったりしてもショートが発生しないタッチパネル(下記特許文献1参照)や、上部フィルム基板および下部フィルム基板を透明プラスチックフィルムで構成したタッチパネル(下記特許文献2参照)や、曲面状のタッチ面を有した静電容量方式タッチパネルの背面に画像を投射する表示装置(下記特許文献3参照)や、球面状の表示画面の前面に取付けて用いられる平面状の検出面を有するタッチスクリーン(下記特許文献4参照)があった。
【0003】
また、下記特許文献5乃至7では、入力装置の直線性不良を防止するために、電極を傾斜、V字、湾曲させて配置していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−102968号
【特許文献2】特開2008−047026号
【特許文献3】特開2007−279819号
【特許文献4】特開昭63−66628号
【特許文献5】特開平6−266491号
【特許文献6】特開昭56−500230号
【特許文献7】特開昭47−36923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のタッチパネル装置では、上記特許文献1および2は、タッチパネルを湾曲させて使用することはできるが、表示を正面から見たときの表示とタッチ位置との位置ずれを補正することができず、上記特許文献3は、投射画像とタッチ位置の位置ずれは低減できるが、平面状の液晶パネルと投射画像の歪みが生じる恐れがある。上記特許文献4は、視差補正方法により位置ずれは補正されるが、タッチスクリーン自体を湾曲させて使用することができないといった問題があった。また、上記特許文献5乃至7においても、タッチパネル自体を湾曲させて使用することができないといった問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、複雑な回路や演算を必要とせずに湾曲させて使用したときの位置精度を向上させることができるタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕可動側透明基板(1,21)および固定側透明基板(7,27)に形成された導電膜からなる能動領域(1a,7a,21a,27a)と、該能動領域(1a,7a,21a,27a)の端部に配設された電極(2,8,22,28)と、前記能動領域(1a,7a,21a,27a)に電位勾配を発生させるコントロール基板(10,30)と、前記電極(2,8,22,28)と前記コントロール基板(10,30)を接続する引き回しパターン(3,9,23,29)とからなるタッチパネル装置において、前記可動側透明基板(1,21)および固定側透明基板(7,27)を湾曲可能なフィルムで形成するとともに、前記可動側透明基板(1,21)に形成された導電膜または前記固定側透明基板(7,27)に形成された導電膜のいずれか一方の前記電極(2,8,22,28)が形成されない対向する一対の辺を内側に湾曲させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)タッチパネル装置を湾曲させて使用したときの位置精度の向上を図ることができる。
(2)複雑な補正処理を必要とせずに位置精度の向上を図ることができる。
(3)従来の構成、材料で位置精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の可動側透明基板および固定側透明基板の平面図である。
【図3】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の斜視図である。
【図4】従来のタッチパネル装置を湾曲させて使用したときの位置ずれの原理図である。
【図5】本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の可動側透明基板および固定側透明基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のタッチパネル装置は、可動側透明基板および固定側透明基板に形成された導電膜からなる能動領域と、該能動領域の端部に配設された電極と、前記能動領域に電位勾配を発生させるコントロール基板と、前記電極と前記コントロール基板を接続する引き回しパターンとからなるタッチパネル装置において、前記可動側透明基板および固定側透明基板を湾曲可能なフィルムで形成するとともに、前記可動側透明基板に形成された導電膜または前記固定側透明基板に形成された導電膜のいずれか一方の前記電極が形成されない対向する一対の辺を内側へ湾曲させる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図、図2は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の可動側透明基板および固定側透明基板の平面図、図3は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の斜視図、図4は従来のタッチパネル装置を湾曲させて使用したときの位置ずれの原理図である。
【0013】
これらの図において、1は可動側透明基板、2は可動側透明基板1の電極、3は電極2に接続される引き回しパターン、4は粘着糊、5は絶縁レジスト、6はドットスペーサ、7は固定側透明基板、8は固定側透明基板7の電極、9は電極8に接続される引き回しパターン、10はコントロール基板、11はコネクタ、12はフレキシブルプリント基板である。可動側透明基板1には、対向する1対の辺が内側に湾曲するITO膜からなる能動領域1a、能動領域1aの湾曲していない対向する端部にAgペーストからなる電極2が形成され、能動領域1aの周囲に電極2に接続されるAgペーストからなる引き回しパターン3が形成され、能動領域1aの周囲に粘着糊4が配設されている。固定側透明基板7には、矩形状のITO膜からなる能動領域7aと、電極2と直交する方向の能動領域7aの対向する端部にAgペーストからなる電極8が形成され、能動領域7aの周囲に電極8に接続されるAgペーストからなる引き回しパターン9が形成され、能動領域7a上にドットスペーサ6が配設されるとともに能動領域7aの周囲に絶縁レジスト5が配設されている。
【0014】
可動側透明基板1がドットスペーサ6により一定の間隔をあけて固定側透明基板7上に配置され、粘着糊4によって固定される。このとき、引き回しパターン3および9が導電性接着剤(図示なし)でフレキシブルプリント基板12に接続される。そして、コントロール基板10に実装されたコネクタ11にフレキシブルプリント基板12を接続することで、タッチパネル装置13が完成される。
【0015】
以上のように構成された本発明のタッチパネル装置は、図1のX方向に湾曲が可能であって、可動側透明基板1の能動領域1aを押下すると、固定側透明基板7の能動領域7aと接触し、測定された電圧値により押下した座標位置が決定される。可動側透明基板1の能動領域1aを対向する1対の辺が内側へ湾曲するITO膜で形成することで、湾曲させて使用しても表示装置14の表示に合わせて押下した点とタッチパネル装置13で検出される点の位置ずれを補正することができるため、位置ずれが抑制できる。
【0016】
ここで、従来のタッチパネル装置を湾曲させた場合に生じる位置ずれの原理と本発明のタッチパネル装置の補正方法について説明する。図4に示すように、従来のタッチパネル装置100を湾曲した表示装置14に距離tの間隔をあけて装着した場合、表示装置14のα点に表示されたボタンを見ながらタッチパネル装置100のβ点を押下すると、実際には表示装置14のγ点を押下したことになり距離Dの位置ずれが生じる。本発明のタッチパネル装置13において、図1に示すように、可動側透明基板1の能動領域1aを電極2が形成されていない対向する1対の辺を内側へ湾曲するITO膜で形成することにより、電流が流れる方向(電極2と直交する方向)に対して、電極2に近い能動領域1aの幅が広くなり、中央付近(電極2から遠いところ)の能動領域1aの幅が狭くなることから、R=ρ(L/wT)〔ただし、Rは能動領域1aの抵抗値、ρは能動領域1aの抵抗率、Lは能動領域1aの長さ、wは能動領域1aの幅、Tは能動領域1aの厚み〕により、ρ、LおよびTは定数であることから、Rはwの値によって決定されるため、wの値が大きい電極2に近い場所ほど能動領域1aの抵抗値が低くなり、wの値が小さい電極2から遠い場所ほど能動領域1aの抵抗値が高くなる。これにより、図2に示すように、能動領域1aの等電位線1bは電極2の近くになるに連れて間隔が狭くなる。また、表示装置14の表示を正面から見たとき、図4(b)に示すように、端部ほど見える表示の間隔が狭くなる。よって、表示装置14の表示の間隔と能動領域1aの等電位線1bの間隔を近似させることにより、位置ずれが抑制できる。
【0017】
このように、本実施例に示すタッチパネル装置は、能動領域1aを対向する1対の辺が内側へ湾曲するITO膜で形成し、能動領域1aの等電位線1bを端部に近づくに連れて間隔を狭くすることで位置ずれが抑制できるため、複雑な補正処理をすることなく従来と同様の構成で位置精度の向上を図ることができるという特徴を有している。
【0018】
本実施例では、凸方向に湾曲している表示装置に装着しているが、凹面方向に湾曲した表示装置に装着してもよく、種々の方法が考えられる。
【0019】
図5は本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図、図6は本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の可動側透明基板および固定側透明基板の平面図である。
【0020】
これらの図において、21は可動側透明基板、22は可動側透明基板1の電極、23は電極22に接続される引き回しパターン、24は粘着糊、25は絶縁レジスト、26はドットスペーサ、27は固定側透明基板、28は固定側透明基板27の電極、29は電極28に接続される引き回しパターン、30はコントロール基板、31はコネクタ、32はフレキシブルプリント基板である。可動側透明基板21には、矩形状のITO膜からなる能動領域21a、能動領域21aの対向する端部にAgペーストからなる電極22が形成され、能動領域21aの周囲に電極22に接続されるAgペーストからなる引き回しパターン23が形成され、能動領域21aの周囲に粘着糊24が配設されている。固定側透明基板27には、対向する1対の辺が湾曲するITO膜からなる能動領域27aと、電極22と直交する方向の能動領域27aの対向する端部にAgペーストからなる電極28が形成され、能動領域27aの周囲に電極28に接続されるAgペーストからなる引き回しパターン29が形成され、能動領域27a上にドットスペーサ26が配設されるとともに能動領域27aの周囲に絶縁レジスト25が配設されている。
【0021】
可動側透明基板21がドットスペーサ26により一定の間隔をあけて固定側透明基板27上に配置され、粘着糊24によって固定される。このとき、引き回しパターン23と29が導電性接着剤(図示なし)でフレキシブルプリント基板32に接続される。そして、コントロール基板30に実装されたコネクタ31にフレキシブルプリント基板32を接続することで、タッチパネル装置が完成される。
【0022】
以上のように構成された本発明のタッチパネル装置は、図5のY方向に湾曲が可能であって、可動側透明基板21の能動領域21aを押下すると、固定側透明基板27の能動領域27aと接触し、測定された電圧値により押下した座標位置が決定される。固定側透明基板27の能動領域27aを対向する1対の辺が内側へ湾曲するITO膜で形成したため、湾曲させて使用しても表示装置の表示に合わせて押下した点とタッチパネル装置で検出される点の位置ずれを補正することができるため、位置ずれが抑制できる。位置ずれを抑制する原理については第1実施例と同様である。
【0023】
このように、本実施例に示すタッチパネル装置は、能動領域27aの等電位線27bを端部に近づくに連れて間隔を狭くすることで位置ずれが抑制できるため、複雑な補正処理をすることなく従来と同様の構成で位置精度の向上を図ることができるという特徴を有している。
【0024】
本実施例では、凸方向に湾曲している表示装置に装着しているが、凹面方向に湾曲した表示装置に装着してもよく、種々の方法が考えられる。
【0025】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のタッチパネル装置は、複雑な回路や演算を必要とせずに湾曲させて使用したときの位置精度を向上させることができるタッチパネル装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1,21 可動側透明基板
1a,7a,21a,27a 能動領域
1b,7b,21b,27b 等電位線
2,8,22,28 電極
3,9,23,29 引き回しパターン
4,24 粘着糊
5,25 絶縁レジスト
6,26 ドットスペーサ
7,27 固定側透明基板
10,30 コントロール基板
11,31 コネクタ
12,32 フレキシブルプリント基板
13,100 タッチパネル装置
14 表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動側透明基板および固定側透明基板に形成された導電膜からなる能動領域と、該能動領域の端部に配設された電極と、前記能動領域に電位勾配を発生させるコントロール基板と、前記電極と前記コントロール基板を接続する引き回しパターンとからなるタッチパネル装置において、前記可動側透明基板および固定側透明基板を湾曲可能なフィルムで形成するとともに、前記可動側透明基板に形成された導電膜または前記固定側透明基板に形成された導電膜のいずれか一方の前記電極が形成されない対向する一対の辺を内側に湾曲させたことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項1】
可動側透明基板および固定側透明基板に形成された導電膜からなる能動領域と、該能動領域の端部に配設された電極と、前記能動領域に電位勾配を発生させるコントロール基板と、前記電極と前記コントロール基板を接続する引き回しパターンとからなるタッチパネル装置において、前記可動側透明基板および固定側透明基板を湾曲可能なフィルムで形成するとともに、前記可動側透明基板に形成された導電膜または前記固定側透明基板に形成された導電膜のいずれか一方の前記電極が形成されない対向する一対の辺を内側に湾曲させたことを特徴とするタッチパネル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−178077(P2012−178077A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41086(P2011−41086)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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