タッチパネル電極付きカラーフィルタとその製造方法
【課題】インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタに関し、カラーフィルタ層形成工程における残渣の発生を回避した構造とその製造方法を提供すること。
【解決手段】透明基板の片側表面から順にタッチパネル電極層およびカラーフィルタ層が積層され、タッチパネル電極層とカラーフィルタ層との間に、両層を隔てる中間層を有し、さらに、中間層とカラーフィルタ層との間に絶縁性透明膜からなる無機膜層を有する。
【解決手段】透明基板の片側表面から順にタッチパネル電極層およびカラーフィルタ層が積層され、タッチパネル電極層とカラーフィルタ層との間に、両層を隔てる中間層を有し、さらに、中間層とカラーフィルタ層との間に絶縁性透明膜からなる無機膜層を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル付き液晶表示装置等に用いられるタッチパネル電極付きカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、表示画面上の透明な面を操作者が指またはペンでタッチすることにより、接触した位置を検出してデータ入力できる入力装置の構成要素となるものであって、キー入力より直接的、かつ直感的な入力を可能とすることから、近年、液晶表示装置等の表示装置と組み合わせた入出力装置に多用されるようになってきた。
【0003】
タッチパネルの検出方式には、抵抗式、静電容量式、超音波式、光学式等多種あるが、中でも、可動部分を有しない静電容量式タッチパネルは、光学特性(透過率)が高く、耐久性や動作温度特性においても抵抗式より優れているため、特に車載用等の高信頼性用途に向けて開発が進み、さらに広く一般用途に向けても使用され始めている。
【0004】
静電容量式タッチパネルは、表面型と投影型とに大別でき、10型(画面対角25.4cmサイズ)以上の大型品に表面型が、携帯機器向けの6型以下の小型品に投影型が使われることが多い。静電容量式タッチパネル用の電極板として、複雑なパターンが不要で構造が単純な表面型は、透明基板と透明導電膜と簡単な端子電極パターンと絶縁膜とから成り、大型化し易いが、2点以上の接触点を同時に検知することは困難である。一方、静電容量式タッチパネル用の電極板の構造が、透明基板に第一の透明電極パターン層と第一の絶縁層と第二の透明電極パターン層と端子電極となる金属電極パターン層と第二の絶縁層との積層構造で、各層が一般にこの順に形成される投影型もある。投影型は、構造が複雑になり、小型用に適するが、2点以上の接触点を同時に検知することが可能である。
【0005】
前記タッチパネルを液晶表示装置等の平面表示装置と組み合わせて、画像情報の入出力装置として使用する場合、平面表示装置とは別個に製造したタッチパネルを表示装置の前面(観察側)に貼り合わせて用いることもできるが、貼り合わせ界面での光の反射等の影響により画像の表示特性が劣化することがある。表示装置を製造する工程でタッチパネル機能を有する構造を作り込むことによって、上記画像の表示特性の劣化を防ぐことができるとともに、装置全体を薄型化でき、全体の製造工程を簡略化することができる。中でも、液晶表示装置等のカラー化に用いられるカラーフィルタの製造工程中にタッチパネル電極を作り込むことが、それを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の、表示性能の向上と、製造工程の簡略化と、表示装置の薄型化に対して有効である。
【0006】
上述のタッチパネル電極付きカラーフィルタを作るには、先ず、通常はガラスを用いる透明基板の一方の面に、タッチパネル電極層をパターン形成する。タッチパネル電極層は、例えば前述の投影型静電容量式タッチパネル用電極であれば、複数層からなる。その後、ブラックマトリクスパターンと各色の透明着色層パターンとからなるカラーフィルタ層を形成する。カラーフィルタ層を透明基板のいずれの側に形成するかにより、2つのタイプがあり、図3および図4により説明する。
【0007】
図3は、従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタの一構成例(a)とそれを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例(b)を説明するための部分拡大した模式断面図である。図3(a)は透明基板1のカラーフィルタ層5を設ける側とは反対側の面にタッチパネル電極層2を設けるタイプである。一般に複数層からなるタッチパネル電極層2を透明基板1の片側の面に形成後、透明基板1の反対側の面に、ブラックマトリクス層6と
各色の透明着色層7a、7b、7cとを順次位置合わせしてパターン形成し、垂直配向させる液晶表示タイプに使用する基板であれば、共通電極とすべきITO(インジウム錫酸化物)等の透明電極層8を引き続き形成して、カラーフィルタ層5を形成する。カラーフィルタ層5が、後述するように、対向するTFT等の液晶駆動電極基板との間に液晶を挟んでセル構造を作り画像表示装置として機能する際に、画像表示のための駆動回路と、上記タッチパネルとして機能するためのタッチパネル電極層による検出回路と、が電気的に干渉してしまうことを防止する目的で、カラーフィルタ層5とタッチパネル電極層2との間にノイズシールド用の透明導電材料としてITO層4を設けることができる。
【0008】
図3(b)に示すように、タッチパネル付き液晶表示装置は、上記タッチパネル電極付きカラーフィルタとTFT等の液晶駆動電極基板との間に、液晶層11を挟んで公知の方法でセル構造を作り、液晶表示セル10とし、液晶表示セル10の両方の外側平面にそれぞれ偏光層13を偏光板の形態で一定の角度配置を選択して貼り合わせることによって形成することができる。カラーフィルタの着色層7の規則的に配列された中で一個のパターンが、TFT素子および配線層からなる液晶駆動用回路25に接続した画素電極となる透明電極層28の一個のパターンと、液晶層11とのそれぞれの界面で液晶配向膜9、29を介して対向する。上記各対向パターン間の光の経路を液晶配向状態によりスイッチング制御することにより、均一なバックライト照明光14から選択的に透過した表示光15による画像として表示できる(特許文献1参照)。上記のタッチパネル付き表示装置においては、タッチパネル電極層が表示セル10の外向きに積載された構成となるので、オンセル方式の構造と呼ぶことができ、後述のインセル方式の構造と区別することができる。
【0009】
図4は、従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタの他の構成例(a)とそれを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例(b)を説明するための部分拡大した模式断面図である。図4(a)は透明基板1の片側表面から順にタッチパネル電極層2およびカラーフィルタ層5を積層するタイプである。一般に複数層からなるタッチパネル電極層2を透明基板1の片側の面に形成後、同一面側に積層して、ブラックマトリクス層6と各色の透明着色層7a、7b、7cとを順次位置合わせしてパターン形成し、垂直配向させる液晶表示タイプに使用する基板であれば、共通電極とすべきITO等の透明電極層8を引き続き形成して、カラーフィルタ層5を形成する。カラーフィルタ層5が、後述するように、対向するTFT等の液晶駆動電極基板との間に液晶を挟んでセル構造を作り画像表示装置として機能する際に、画像表示のための駆動回路と、上記タッチパネルとして機能するためのタッチパネル電極層による検出回路と、が電気的に干渉してしまうことを防止する目的で、カラーフィルタ層5とタッチパネル電極層2との間にノイズシールド用の透明導電材料としてITO層4を設けることができる。また、ノイズシールド用のITO層4をタッチパネル電極層2から電気的に絶縁するために、両者の間に絶縁層3を設けることができる。
【0010】
図4(b)に示すように、タッチパネル付き液晶表示装置は、上記タッチパネル電極付きカラーフィルタとTFT等の液晶駆動電極基板との間に、液晶層11を挟んで公知の方法でセル構造を作り、液晶表示セル10とし、液晶表示セル10の両方の外側平面にそれぞれ偏光層13を偏光板の形態で一定の角度配置を選択して貼り合わせることによって形成することができる。カラーフィルタの着色層7の規則的に配列された中で一個のパターンが、TFT素子および配線層からなる液晶駆動用回路25に接続した画素電極となる透明電極層28の一個のパターンと、液晶層11とのそれぞれの界面で液晶配向膜9、29を介して対向する。上記各対向パターン間の光の経路を液晶配向状態によりスイッチング制御することにより、均一なバックライト照明光14から選択的に透過した表示光15による画像として表示できる(特許文献2参照)。上記のタッチパネル付き表示装置においては、タッチパネル電極層が透明基板1およびTFT用の透明基板20に挟まれた表示セル10の内部に設けられた構成となるので、前述のオンセル方式と対比させて、インセル
方式の構造と呼ぶことができる。なお、(b)に示したタッチパネル付き液晶表示装置の構成を説明する模式断面図は、その中でタッチパネル電極付きカラーフィルタの部分が(a)に示した図と全く同じではなく、絶縁層3とノイズシールド用のITO層4との表示を省略してあるが、表示装置全体としての構成を表しているに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−72584号公報
【特許文献2】特開2010−72581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のオンセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタを製造するには、タッチパネル電極層2とカラーフィルタ層5とをそれぞれ透明基板1からみて反対側の面に形成する必要があるため、製造工程中の搬送機構等の機械的な動きが複雑になる。また、パターン間の位置合わせに関しても、表裏両面での合わせが必要であるため、同一面上での積層の場合より困難となり、品質上好ましくない。
【0013】
一方、インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタを製造するには、タッチパネル電極層2とカラーフィルタ層5とを透明基板1の片側表面に順に積層すれば良いので、製造工程中の搬送機構等の機械的な動きが単純であり、また、各パターン間の位置合わせに関しても容易になるので、高精度のパターン形成が可能となる。しかしながら、タッチパネル電極層2に積層して、絶縁層3やノイズシールド用の透明導電材料としてITO層4を形成し、その上にカラーフィルタ層5を形成する場合、カラーフィルタ層形成工程において、ブラックマトリクス層や着色層のパターンが無い領域に残渣が生じ易く、良好な品質を保持できない。
【0014】
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタに関し、カラーフィルタ層形成工程における残渣の発生を回避した構造とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、タッチパネル電極付きカラーフィルタであって、透明基板の片側表面から順にタッチパネル電極層およびカラーフィルタ層が積層され、タッチパネル電極層とカラーフィルタ層との間に、両層を隔てる中間層を有し、さらに、中間層とカラーフィルタ層との間に絶縁性透明膜からなる無機膜層を有することを特徴とするタッチパネル電極付きカラーフィルタである。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、中間層が、透明有機材料からなる絶縁層であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタである。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、中間層が、タッチパネル電極層側から順に透明有機材料からなる絶縁層および透明導電材料からなるシールド層の積層体であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタである。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、無機膜層が窒化珪素からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタである。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、カラーフィルタ層が、着色顔料を分散させた感光性樹
脂を用いてフォトリソグラフィ法により形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタを製造する場合に、タッチパネル電極層上に中間層と絶縁性透明膜からなる無機膜層とを設けて、カラーフィルタ層形成工程における下地とすることにより、残渣の発生を回避でき、高精度で良好な品質のタッチパネル電極付きカラーフィルタを簡単な工程で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタの一例を説明するための部分模式断面図である。
【図2】本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタの他の一例を説明するための部分模式断面図である。
【図3】従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタの一構成例(a)とそれを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例(b)を説明するための部分拡大した模式断面図である。
【図4】従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタの他の構成例(a)とそれを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例(b)を説明するための部分拡大した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に従って、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタの一例を説明するための部分模式断面図である。
【0023】
本例に示すタッチパネル電極付きカラーフィルタの断面構造は、透明基板1の片側表面から順にタッチパネル電極層2およびカラーフィルタ層5が積層され、タッチパネル電極層2とカラーフィルタ層5との間に、両層を隔てる中間層31を有し、さらに、中間層31とカラーフィルタ層5との間に絶縁性透明膜からなる無機膜層32を有する。
【0024】
透明基板1は、無アルカリガラス等の透明性、平坦性、耐薬品性に優れたガラス基板を用いることが多く、厚さは0.5mmや0.7mm程度のものが多いが、限定されない。タッチパネル電極層2は、前述のように、投影型の静電容量式タッチパネル用電極であれば、透明基板の片側表面に絶縁層により隔てられた多層の透明電極パターン層と端子電極となる金属電極パターン層とを積層構造で設けることができる。例えばモリブデン−アルミニウム−モリブデンのサンドイッチ構造からなる金属電極パターンを用いることが可能であり、精度管理マークも併せて複数箇所に形成し、他の積層パターンとの位置合わせ精度管理に利用することが望ましい。上記の各層のパターンは、公知のフォトリソグラフィ法により形成することが精度上では最も望ましく、アライメント機構付きの露光機を用いて位置合わせすることができる。また、上記透明電極や金属電極をパターン形成するために予め必要な膜形成は、通常はスパッタリング法による薄膜形成手段を用いることができる。
【0025】
タッチパネル電極層2とカラーフィルタ層5との間に設けて両層を隔てる中間層31は、本例においては、タッチパネル電極層側から順に透明有機材料からなる絶縁層33およびITOで代表される透明導電材料からなるシールド層34の積層体とすることができる。透明有機材料からなる絶縁層33は、例えばアクリル系の透明樹脂を塗布して硬化することにより形成できる。また、ITOで代表される透明導電材料からなるシールド層34は、前記スパッタリング法による薄膜形成手段を用いて形成できる。
【0026】
本発明は、さらに前記中間層31の上層でありカラーフィルタ層5の下層となる位置に、絶縁性透明膜からなる無機膜層32を設ける。絶縁性透明膜からなる無機膜層32として、例えば窒化珪素からなる膜が望ましい。窒化珪素の薄膜形成技術は、従来より半導体や電子部品の分野で減圧CVD法を主に広く利用されてきた。本発明においては、高温での形成技術を採用することは下地の制約上困難であるため、スパッタリング法により低温で形成することが好ましい。具体的には、窒化珪素の焼結体をターゲットとする他、シリコンをターゲットとした反応性スパッタリング法により形成することが可能である。
【0027】
絶縁性透明膜からなる無機膜層32が形成された表面を直接の下地として、以下のカラーフィルタ層5の形成を行う場合、透明有機材料からなる絶縁層33やITOで代表される透明導電材料からなるシールド層34を最表面の下地としてカラーフィルタ層5の形成を行う場合と異なり、ブラックマトリクス層6や着色層7、7a、7b、7cの各層に使用される着色成分の残渣が殆ど発生しないことが確認された。特に、カラーフィルタ層を構成するブラックマトリクス層や着色層が、着色顔料を分散させた感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法により形成する場合に、その効果が顕著に現れる。
【0028】
本例に示すタッチパネル電極付きカラーフィルタを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例は、図4(b)の模式断面図に示すように、従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例と同様となり、インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用される状況を共通に示している。
【0029】
本例に示す液晶表示セル10の内部構造は、TN方式等の縦電界方式の液晶分子制御の方式であり、TFT(薄膜トランジスタ)を画素駆動素子としたアクティブマトリクス方式であり、かつ、TFTとは別の基板上にCF(カラーフィルタ)着色層を設けたCF貼り合わせ構造を表示しているが、本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタが適用される液晶表示セルは、これに限定されない。本例では、透明基板1の一方の面にブラックマトリクス層6と着色層7を有し、それらを覆う共通電極となる透明電極層8と液晶配向膜9とを形成して、液晶表示セル10の表示光15が選択的に出射される表示側基板とし、対向する透明基板20の一方の面に液晶駆動用回路(TFT素子および配線層)25と画素電極となる透明電極層28と液晶配向膜29とを形成して、バックライト照明光14が入射されるバックライト側基板とし、表示側基板とバックライト側基板とのそれぞれの液晶配向膜9、29を対向させた間に液晶層11を挟んで、液晶表示セル10を構成するとともに、液晶表示セル10の外側の2平面に偏光層13を偏光板の形態で一定の角度配置を選択して貼り合わせることによって設けることができる。
【0030】
図2は、本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタの他の一例を説明するための部分模式断面図である。本例においては、図1により説明した前述の一例と較べて、中間層31の構成のみが異なり、他は同様である。すなわち、本例における中間層31は、透明有機材料からなる絶縁層33のみで構成される。透明有機材料からなる絶縁層33は、例えばアクリル系の透明樹脂を塗布して硬化することにより形成できる。本例の中間層31においては、前述の一例におけるITOで代表される透明導電材料からなるシールド層34を含まないが、例えば、誘電率4以下のアクリル系透明有機材料からなる絶縁層33を15〜20μmの厚さに形成することにより、電気信号ノイズを遮蔽できるので、シールド層と同等の機能を働かせることができる。
【0031】
以上述べたとおり、本発明は、タッチパネル電極付きカラーフィルタをインセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用する場合に、電気的な干渉を引き起こさない構造物を容易に提供するとともに、タッチパネル電極付きカラーフィルタの製造工程での残渣発生と
いう不具合を回避できる。
【符号の説明】
【0032】
1・・・透明基板
2・・・タッチパネル電極層
3・・・絶縁層
4・・・ITO層(ノイズシールド用)
5・・・カラーフィルタ層
6・・・ブラックマトリクス層
7、7a、7b、7c・・・着色層
8・・・透明電極層(共通電極)
9、29・・・液晶配向膜
10・・・液晶表示セル
11・・・液晶層
13・・・偏光層
14・・・バックライト照明光
15・・・表示光
20・・・透明基板(TFT用)
25・・・液晶駆動用回路(TFT素子および配線層)
26・・・パッシベーション層
28・・・透明電極層(画素電極)
31・・・中間層
32・・・窒化珪素膜層(無機膜層)
33・・・透明有機材料絶縁層
34・・・透明導電材料シールド層
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル付き液晶表示装置等に用いられるタッチパネル電極付きカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、表示画面上の透明な面を操作者が指またはペンでタッチすることにより、接触した位置を検出してデータ入力できる入力装置の構成要素となるものであって、キー入力より直接的、かつ直感的な入力を可能とすることから、近年、液晶表示装置等の表示装置と組み合わせた入出力装置に多用されるようになってきた。
【0003】
タッチパネルの検出方式には、抵抗式、静電容量式、超音波式、光学式等多種あるが、中でも、可動部分を有しない静電容量式タッチパネルは、光学特性(透過率)が高く、耐久性や動作温度特性においても抵抗式より優れているため、特に車載用等の高信頼性用途に向けて開発が進み、さらに広く一般用途に向けても使用され始めている。
【0004】
静電容量式タッチパネルは、表面型と投影型とに大別でき、10型(画面対角25.4cmサイズ)以上の大型品に表面型が、携帯機器向けの6型以下の小型品に投影型が使われることが多い。静電容量式タッチパネル用の電極板として、複雑なパターンが不要で構造が単純な表面型は、透明基板と透明導電膜と簡単な端子電極パターンと絶縁膜とから成り、大型化し易いが、2点以上の接触点を同時に検知することは困難である。一方、静電容量式タッチパネル用の電極板の構造が、透明基板に第一の透明電極パターン層と第一の絶縁層と第二の透明電極パターン層と端子電極となる金属電極パターン層と第二の絶縁層との積層構造で、各層が一般にこの順に形成される投影型もある。投影型は、構造が複雑になり、小型用に適するが、2点以上の接触点を同時に検知することが可能である。
【0005】
前記タッチパネルを液晶表示装置等の平面表示装置と組み合わせて、画像情報の入出力装置として使用する場合、平面表示装置とは別個に製造したタッチパネルを表示装置の前面(観察側)に貼り合わせて用いることもできるが、貼り合わせ界面での光の反射等の影響により画像の表示特性が劣化することがある。表示装置を製造する工程でタッチパネル機能を有する構造を作り込むことによって、上記画像の表示特性の劣化を防ぐことができるとともに、装置全体を薄型化でき、全体の製造工程を簡略化することができる。中でも、液晶表示装置等のカラー化に用いられるカラーフィルタの製造工程中にタッチパネル電極を作り込むことが、それを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の、表示性能の向上と、製造工程の簡略化と、表示装置の薄型化に対して有効である。
【0006】
上述のタッチパネル電極付きカラーフィルタを作るには、先ず、通常はガラスを用いる透明基板の一方の面に、タッチパネル電極層をパターン形成する。タッチパネル電極層は、例えば前述の投影型静電容量式タッチパネル用電極であれば、複数層からなる。その後、ブラックマトリクスパターンと各色の透明着色層パターンとからなるカラーフィルタ層を形成する。カラーフィルタ層を透明基板のいずれの側に形成するかにより、2つのタイプがあり、図3および図4により説明する。
【0007】
図3は、従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタの一構成例(a)とそれを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例(b)を説明するための部分拡大した模式断面図である。図3(a)は透明基板1のカラーフィルタ層5を設ける側とは反対側の面にタッチパネル電極層2を設けるタイプである。一般に複数層からなるタッチパネル電極層2を透明基板1の片側の面に形成後、透明基板1の反対側の面に、ブラックマトリクス層6と
各色の透明着色層7a、7b、7cとを順次位置合わせしてパターン形成し、垂直配向させる液晶表示タイプに使用する基板であれば、共通電極とすべきITO(インジウム錫酸化物)等の透明電極層8を引き続き形成して、カラーフィルタ層5を形成する。カラーフィルタ層5が、後述するように、対向するTFT等の液晶駆動電極基板との間に液晶を挟んでセル構造を作り画像表示装置として機能する際に、画像表示のための駆動回路と、上記タッチパネルとして機能するためのタッチパネル電極層による検出回路と、が電気的に干渉してしまうことを防止する目的で、カラーフィルタ層5とタッチパネル電極層2との間にノイズシールド用の透明導電材料としてITO層4を設けることができる。
【0008】
図3(b)に示すように、タッチパネル付き液晶表示装置は、上記タッチパネル電極付きカラーフィルタとTFT等の液晶駆動電極基板との間に、液晶層11を挟んで公知の方法でセル構造を作り、液晶表示セル10とし、液晶表示セル10の両方の外側平面にそれぞれ偏光層13を偏光板の形態で一定の角度配置を選択して貼り合わせることによって形成することができる。カラーフィルタの着色層7の規則的に配列された中で一個のパターンが、TFT素子および配線層からなる液晶駆動用回路25に接続した画素電極となる透明電極層28の一個のパターンと、液晶層11とのそれぞれの界面で液晶配向膜9、29を介して対向する。上記各対向パターン間の光の経路を液晶配向状態によりスイッチング制御することにより、均一なバックライト照明光14から選択的に透過した表示光15による画像として表示できる(特許文献1参照)。上記のタッチパネル付き表示装置においては、タッチパネル電極層が表示セル10の外向きに積載された構成となるので、オンセル方式の構造と呼ぶことができ、後述のインセル方式の構造と区別することができる。
【0009】
図4は、従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタの他の構成例(a)とそれを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例(b)を説明するための部分拡大した模式断面図である。図4(a)は透明基板1の片側表面から順にタッチパネル電極層2およびカラーフィルタ層5を積層するタイプである。一般に複数層からなるタッチパネル電極層2を透明基板1の片側の面に形成後、同一面側に積層して、ブラックマトリクス層6と各色の透明着色層7a、7b、7cとを順次位置合わせしてパターン形成し、垂直配向させる液晶表示タイプに使用する基板であれば、共通電極とすべきITO等の透明電極層8を引き続き形成して、カラーフィルタ層5を形成する。カラーフィルタ層5が、後述するように、対向するTFT等の液晶駆動電極基板との間に液晶を挟んでセル構造を作り画像表示装置として機能する際に、画像表示のための駆動回路と、上記タッチパネルとして機能するためのタッチパネル電極層による検出回路と、が電気的に干渉してしまうことを防止する目的で、カラーフィルタ層5とタッチパネル電極層2との間にノイズシールド用の透明導電材料としてITO層4を設けることができる。また、ノイズシールド用のITO層4をタッチパネル電極層2から電気的に絶縁するために、両者の間に絶縁層3を設けることができる。
【0010】
図4(b)に示すように、タッチパネル付き液晶表示装置は、上記タッチパネル電極付きカラーフィルタとTFT等の液晶駆動電極基板との間に、液晶層11を挟んで公知の方法でセル構造を作り、液晶表示セル10とし、液晶表示セル10の両方の外側平面にそれぞれ偏光層13を偏光板の形態で一定の角度配置を選択して貼り合わせることによって形成することができる。カラーフィルタの着色層7の規則的に配列された中で一個のパターンが、TFT素子および配線層からなる液晶駆動用回路25に接続した画素電極となる透明電極層28の一個のパターンと、液晶層11とのそれぞれの界面で液晶配向膜9、29を介して対向する。上記各対向パターン間の光の経路を液晶配向状態によりスイッチング制御することにより、均一なバックライト照明光14から選択的に透過した表示光15による画像として表示できる(特許文献2参照)。上記のタッチパネル付き表示装置においては、タッチパネル電極層が透明基板1およびTFT用の透明基板20に挟まれた表示セル10の内部に設けられた構成となるので、前述のオンセル方式と対比させて、インセル
方式の構造と呼ぶことができる。なお、(b)に示したタッチパネル付き液晶表示装置の構成を説明する模式断面図は、その中でタッチパネル電極付きカラーフィルタの部分が(a)に示した図と全く同じではなく、絶縁層3とノイズシールド用のITO層4との表示を省略してあるが、表示装置全体としての構成を表しているに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−72584号公報
【特許文献2】特開2010−72581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のオンセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタを製造するには、タッチパネル電極層2とカラーフィルタ層5とをそれぞれ透明基板1からみて反対側の面に形成する必要があるため、製造工程中の搬送機構等の機械的な動きが複雑になる。また、パターン間の位置合わせに関しても、表裏両面での合わせが必要であるため、同一面上での積層の場合より困難となり、品質上好ましくない。
【0013】
一方、インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタを製造するには、タッチパネル電極層2とカラーフィルタ層5とを透明基板1の片側表面に順に積層すれば良いので、製造工程中の搬送機構等の機械的な動きが単純であり、また、各パターン間の位置合わせに関しても容易になるので、高精度のパターン形成が可能となる。しかしながら、タッチパネル電極層2に積層して、絶縁層3やノイズシールド用の透明導電材料としてITO層4を形成し、その上にカラーフィルタ層5を形成する場合、カラーフィルタ層形成工程において、ブラックマトリクス層や着色層のパターンが無い領域に残渣が生じ易く、良好な品質を保持できない。
【0014】
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタに関し、カラーフィルタ層形成工程における残渣の発生を回避した構造とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、タッチパネル電極付きカラーフィルタであって、透明基板の片側表面から順にタッチパネル電極層およびカラーフィルタ層が積層され、タッチパネル電極層とカラーフィルタ層との間に、両層を隔てる中間層を有し、さらに、中間層とカラーフィルタ層との間に絶縁性透明膜からなる無機膜層を有することを特徴とするタッチパネル電極付きカラーフィルタである。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、中間層が、透明有機材料からなる絶縁層であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタである。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、中間層が、タッチパネル電極層側から順に透明有機材料からなる絶縁層および透明導電材料からなるシールド層の積層体であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタである。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、無機膜層が窒化珪素からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタである。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、カラーフィルタ層が、着色顔料を分散させた感光性樹
脂を用いてフォトリソグラフィ法により形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用するタッチパネル電極付きカラーフィルタを製造する場合に、タッチパネル電極層上に中間層と絶縁性透明膜からなる無機膜層とを設けて、カラーフィルタ層形成工程における下地とすることにより、残渣の発生を回避でき、高精度で良好な品質のタッチパネル電極付きカラーフィルタを簡単な工程で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタの一例を説明するための部分模式断面図である。
【図2】本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタの他の一例を説明するための部分模式断面図である。
【図3】従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタの一構成例(a)とそれを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例(b)を説明するための部分拡大した模式断面図である。
【図4】従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタの他の構成例(a)とそれを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例(b)を説明するための部分拡大した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に従って、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタの一例を説明するための部分模式断面図である。
【0023】
本例に示すタッチパネル電極付きカラーフィルタの断面構造は、透明基板1の片側表面から順にタッチパネル電極層2およびカラーフィルタ層5が積層され、タッチパネル電極層2とカラーフィルタ層5との間に、両層を隔てる中間層31を有し、さらに、中間層31とカラーフィルタ層5との間に絶縁性透明膜からなる無機膜層32を有する。
【0024】
透明基板1は、無アルカリガラス等の透明性、平坦性、耐薬品性に優れたガラス基板を用いることが多く、厚さは0.5mmや0.7mm程度のものが多いが、限定されない。タッチパネル電極層2は、前述のように、投影型の静電容量式タッチパネル用電極であれば、透明基板の片側表面に絶縁層により隔てられた多層の透明電極パターン層と端子電極となる金属電極パターン層とを積層構造で設けることができる。例えばモリブデン−アルミニウム−モリブデンのサンドイッチ構造からなる金属電極パターンを用いることが可能であり、精度管理マークも併せて複数箇所に形成し、他の積層パターンとの位置合わせ精度管理に利用することが望ましい。上記の各層のパターンは、公知のフォトリソグラフィ法により形成することが精度上では最も望ましく、アライメント機構付きの露光機を用いて位置合わせすることができる。また、上記透明電極や金属電極をパターン形成するために予め必要な膜形成は、通常はスパッタリング法による薄膜形成手段を用いることができる。
【0025】
タッチパネル電極層2とカラーフィルタ層5との間に設けて両層を隔てる中間層31は、本例においては、タッチパネル電極層側から順に透明有機材料からなる絶縁層33およびITOで代表される透明導電材料からなるシールド層34の積層体とすることができる。透明有機材料からなる絶縁層33は、例えばアクリル系の透明樹脂を塗布して硬化することにより形成できる。また、ITOで代表される透明導電材料からなるシールド層34は、前記スパッタリング法による薄膜形成手段を用いて形成できる。
【0026】
本発明は、さらに前記中間層31の上層でありカラーフィルタ層5の下層となる位置に、絶縁性透明膜からなる無機膜層32を設ける。絶縁性透明膜からなる無機膜層32として、例えば窒化珪素からなる膜が望ましい。窒化珪素の薄膜形成技術は、従来より半導体や電子部品の分野で減圧CVD法を主に広く利用されてきた。本発明においては、高温での形成技術を採用することは下地の制約上困難であるため、スパッタリング法により低温で形成することが好ましい。具体的には、窒化珪素の焼結体をターゲットとする他、シリコンをターゲットとした反応性スパッタリング法により形成することが可能である。
【0027】
絶縁性透明膜からなる無機膜層32が形成された表面を直接の下地として、以下のカラーフィルタ層5の形成を行う場合、透明有機材料からなる絶縁層33やITOで代表される透明導電材料からなるシールド層34を最表面の下地としてカラーフィルタ層5の形成を行う場合と異なり、ブラックマトリクス層6や着色層7、7a、7b、7cの各層に使用される着色成分の残渣が殆ど発生しないことが確認された。特に、カラーフィルタ層を構成するブラックマトリクス層や着色層が、着色顔料を分散させた感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法により形成する場合に、その効果が顕著に現れる。
【0028】
本例に示すタッチパネル電極付きカラーフィルタを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例は、図4(b)の模式断面図に示すように、従来のタッチパネル電極付きカラーフィルタを用いたタッチパネル付き液晶表示装置の構成例と同様となり、インセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用される状況を共通に示している。
【0029】
本例に示す液晶表示セル10の内部構造は、TN方式等の縦電界方式の液晶分子制御の方式であり、TFT(薄膜トランジスタ)を画素駆動素子としたアクティブマトリクス方式であり、かつ、TFTとは別の基板上にCF(カラーフィルタ)着色層を設けたCF貼り合わせ構造を表示しているが、本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタが適用される液晶表示セルは、これに限定されない。本例では、透明基板1の一方の面にブラックマトリクス層6と着色層7を有し、それらを覆う共通電極となる透明電極層8と液晶配向膜9とを形成して、液晶表示セル10の表示光15が選択的に出射される表示側基板とし、対向する透明基板20の一方の面に液晶駆動用回路(TFT素子および配線層)25と画素電極となる透明電極層28と液晶配向膜29とを形成して、バックライト照明光14が入射されるバックライト側基板とし、表示側基板とバックライト側基板とのそれぞれの液晶配向膜9、29を対向させた間に液晶層11を挟んで、液晶表示セル10を構成するとともに、液晶表示セル10の外側の2平面に偏光層13を偏光板の形態で一定の角度配置を選択して貼り合わせることによって設けることができる。
【0030】
図2は、本発明のタッチパネル電極付きカラーフィルタの他の一例を説明するための部分模式断面図である。本例においては、図1により説明した前述の一例と較べて、中間層31の構成のみが異なり、他は同様である。すなわち、本例における中間層31は、透明有機材料からなる絶縁層33のみで構成される。透明有機材料からなる絶縁層33は、例えばアクリル系の透明樹脂を塗布して硬化することにより形成できる。本例の中間層31においては、前述の一例におけるITOで代表される透明導電材料からなるシールド層34を含まないが、例えば、誘電率4以下のアクリル系透明有機材料からなる絶縁層33を15〜20μmの厚さに形成することにより、電気信号ノイズを遮蔽できるので、シールド層と同等の機能を働かせることができる。
【0031】
以上述べたとおり、本発明は、タッチパネル電極付きカラーフィルタをインセル方式のタッチパネル付き表示装置に使用する場合に、電気的な干渉を引き起こさない構造物を容易に提供するとともに、タッチパネル電極付きカラーフィルタの製造工程での残渣発生と
いう不具合を回避できる。
【符号の説明】
【0032】
1・・・透明基板
2・・・タッチパネル電極層
3・・・絶縁層
4・・・ITO層(ノイズシールド用)
5・・・カラーフィルタ層
6・・・ブラックマトリクス層
7、7a、7b、7c・・・着色層
8・・・透明電極層(共通電極)
9、29・・・液晶配向膜
10・・・液晶表示セル
11・・・液晶層
13・・・偏光層
14・・・バックライト照明光
15・・・表示光
20・・・透明基板(TFT用)
25・・・液晶駆動用回路(TFT素子および配線層)
26・・・パッシベーション層
28・・・透明電極層(画素電極)
31・・・中間層
32・・・窒化珪素膜層(無機膜層)
33・・・透明有機材料絶縁層
34・・・透明導電材料シールド層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル電極付きカラーフィルタであって、透明基板の片側表面から順にタッチパネル電極層およびカラーフィルタ層が積層され、タッチパネル電極層とカラーフィルタ層との間に、両層を隔てる中間層を有し、さらに、中間層とカラーフィルタ層との間に絶縁性透明膜からなる無機膜層を有することを特徴とするタッチパネル電極付きカラーフィルタ。
【請求項2】
中間層が、透明有機材料からなる絶縁層であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタ。
【請求項3】
中間層が、タッチパネル電極層側から順に透明有機材料からなる絶縁層および透明導電材料からなるシールド層の積層体であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタ。
【請求項4】
無機膜層が窒化珪素からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタ。
【請求項5】
カラーフィルタ層が、着色顔料を分散させた感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法により形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタの製造方法。
【請求項1】
タッチパネル電極付きカラーフィルタであって、透明基板の片側表面から順にタッチパネル電極層およびカラーフィルタ層が積層され、タッチパネル電極層とカラーフィルタ層との間に、両層を隔てる中間層を有し、さらに、中間層とカラーフィルタ層との間に絶縁性透明膜からなる無機膜層を有することを特徴とするタッチパネル電極付きカラーフィルタ。
【請求項2】
中間層が、透明有機材料からなる絶縁層であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタ。
【請求項3】
中間層が、タッチパネル電極層側から順に透明有機材料からなる絶縁層および透明導電材料からなるシールド層の積層体であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタ。
【請求項4】
無機膜層が窒化珪素からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタ。
【請求項5】
カラーフィルタ層が、着色顔料を分散させた感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法により形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル電極付きカラーフィルタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−220670(P2012−220670A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85437(P2011−85437)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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