説明

タッピング装置およびそのための圧縮性ボトル、並びにそのような容器を成形するためのプリフォーム

飲料用タッピング・アセンブリは、圧力室と、加圧装置とを備え、圧力室は、圧力室を少なくとも部分的に閉鎖する蓋であって開口部を有する蓋と、開口部内に延在する首部と圧力室内部に延在する本体とを有する容器と、を備え、首部の周りに延在する第1のフランジが蓋の圧力室に面する側にあり、かつ首部から延在する少なくとも1つの要素が蓋の反対側にあり、装置は、少なくとも1つの要素と係合する少なくとも1つの閉鎖要素を設けられ、要素を蓋から遠ざけ、それにより第1のフランジを蓋に向かって引張り、開口部を少なくとも第1のフランジにより密閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料用のタッピング・アセンブリに関する。本発明は、さらに、圧縮性容器およびそのような容器を成形するためのプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
EP1003686は、飲料用タッピング・アセンブリを開示する。このタッピング・アセンブリは、圧力室を備え、その中に少なくとも部分的に圧縮性容器を挿入することができ、該圧力室の外部に分注開口部を有する。この容器は、首部を有し、この首部に閉鎖要素が取付けられ、容器の一部分となっている。閉鎖要素は首部に対して密閉され、首部から外部へ延在している。圧力室には端部が設けられており、閉鎖圧力室を形成するためにこの端部を閉鎖要素が密閉して、容器の少なくとも一部分の周りに圧力空間を形成する。容器を加圧するために、ポンプが圧力室に結合され、圧力室が圧縮され、それにより飲料が首部を通って容器の外部に吐出される。従って、飲料は重力に抗して吐出させることが可能であり、首部は飲料の分注時に任意の方向に向けることができる。
【0003】
この公知のタッピング・アセンブリの欠点としては、閉鎖要素を設けることが必要となるので、例えば製造、取付けおよび取り外しがコスト高になることが挙げられる。さらに、全ての飲料を分注したときの容器の最小容積が閉鎖要素によって決まることになる。これは、容器が例えば縦方向ではなく半径方向に圧縮されるときに、除去および処分の際の貯蔵および輸送に関して不利である。
【0004】
EP1626925は、容器が圧力室内に延在する同様の装置であって、容器の分注開口部を有する首部が下方に延びている装置を開示している。この場合も、首部から外方へ延びている閉鎖要素が首部に対して密閉されている。蓋が設けられており、この蓋は閉鎖要素に対して密閉される開口部と、圧力室の端部に対して密閉される外周とを有する。閉鎖要素は圧力室の壁の一部分を形成している。この公知のタッピング・アセンブリはEP1003686によるタッピング・アセンブリと同じ欠点を持つ。さらに、圧力室内の容器の位置決めに不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、代替的タッピング装置を提供することである。
【0006】
本発明の目的は、圧縮性ボトルを用いたタッピング・アセンブリを提供することである。
【0007】
本発明の目的は、比較的廉価であり、圧縮性が高く、および/またはリサイクル性が良好な、使い捨ての圧縮性容器を持つタッピング・アセンブリを提供することである。
【0008】
本発明の目的は、飲料用タッピング・アセンブリのための圧縮性容器を提供することである。
【0009】
本発明の目的は圧縮性容器のためのプリフォームを提供することである。
【0010】
本発明の目的は、飲料の分注に圧縮性容器を使用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
順不同に記載された上述の目的1つ以上、または他の目的は、本発明によるタッピング装置、容器、プリフォーム、および/または方法により達成することができる。
【0012】
第1の態様において、本開示によるタッピング装置は、圧力室と加圧装置とを備えていてもよい。圧力室は、該圧力室を少なくとも部分的に閉鎖する蓋を備え、該蓋には開口部がある。容器が、その首部が上記開口部を通り、その本体が圧力室の内部にあるように延在する。首部の周囲に延在する第1のフランジは、蓋の圧力室に対向する側にあり、この首部から延在する少なくとも1つの要素が蓋の反対側にある。蓋は前記少なくとも1つの要素と係合する少なくとも1つの閉鎖要素を設けられており、この要素を強制的に蓋から離隔させ、それにより第1のフランジを蓋に向けて引張り、少なくとも第1のフランジにより開口部を閉鎖する。
【0013】
第2の態様において、本開示による容器は、タッピング・アセンブリ用であってもよく、首部と本体とを備える。首部は外方へ延在する第1のフランジと、少なくとも部分的に首部の回りに延在する第2のフランジとを備え、第1のフランジは第2のフランジよりも本体に近い。第1のフランジは、第2のフランジよりも首部からさらに外方に延在し、第2のフランジは、第1のフランジを通過させることができない開口部を通過させることができる。
【0014】
第3の態様では、本発明によるプリフォームは、首部分と本体部分とを備えていてもよい。首部分は、少なくとも部分的に前記首部の周りに延在する第1のフランジと、少なくとも部分的に前記首部の周りに延在する第2のフランジとを備え、第1のフランジは第2のフランジよりも本体部分に近い。第1のフランジは、第2のフランジよりも前記首部からさらに外方に延在し、第1のフランジは、第2のフランジを通過させることができない開口部を通過させることができる。
【0015】
第4の態様において、飲料をタッピングする方法が開示されている。この方法では、圧力室の蓋が容器の首部に取付けられ、容器は、蓋が少なくとも部分的に圧力室を閉鎖するように圧力室に挿入される。容器は、第1のフランジが蓋の圧力室に対向する側に当接して引張られ、その位置にロックされ、それにより、容器の首部がその中を通って延在する蓋の開口部が密閉される。
【0016】
本発明のよりよい理解のために、以下に添付図面を参照して、タッピング装置、容器、プリフォームおよび方法を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、飲料用のタッピング・アセンブリの概略部分断面図である。
【図1A】図1Aは、加圧システムの概略図である。
【図2】図2は、ブロー成形容器を形成するためのプリフォームの概略断面図である。
【図2A】図2Aは、図2のプリフォームの概略上面図である。
【図2B】図2Bは、図2のプリフォームの首部およびそのようなプリフォームからブロー成形された容器の部分的な概略拡大断面図である。
【図3】図3は、ブロー成形された容器の概略断面図である。
【図4】図4は、プリフォームの代替的実施形態の概略断面図である。
【図4A】図4Aは、プリフォームの代替的実施形態の概略断面図である。
【図5A】図5Aは、非密閉位置における、図1によるタッピング・アセンブリの閉鎖部の概略上面図である。
【図5B】図5Bは、密閉位置における、図1によるタッピング・アセンブリの閉鎖部の概略上面図である。
【図6A】図6Aは、非密閉位置における、図5の閉鎖部の概略側面図である。
【図6B】図6Bは、密閉位置における、図5の閉鎖部の概略側面図である。
【図7】図7は、左側に、閉鎖リングを有する首部分を含むプリフォームの概略断面図、および右側にこのプリフォームからブロー成形され、閉鎖リングに弁が取付けられている容器の一部分の概略側面図を示す。
【図7A】図7Aは、雄型スプレイ缶型弁の概略図である。
【図7B】図7Bは、雌型スプレイ缶型弁の概略図である。
【図8】図8は、さらなる代替的実施の形態におけるプリフォームを示す図である。
【図8A】図8Aは、さらなる代替的実施の形態におけるプリフォームの一部分を示す図である。
【図9】図9は、蓋の一部分とともに示す容器の一部分の一部断面斜視図である。
【図10】図10は、容器と蓋の一部分の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では、同じまたは相当する要素は同じまたは相当する参照符号を付した。示された実施の形態は単なる例であり、本発明の範囲をなんら限定するものではない。本明細書において、飲料、特にビールまたはソフトドリンクのような炭酸飲料の貯蔵およびタッピングに言及がなされている。しかしながら、本発明のタッピング・アセンブリを用いて、異なる種々の飲料または他の流体さえも容器から分注することができる。
【0019】
本明細書では、プリフォームはパリソンであってもよく、プリフォームは、限定されないが、プラスチックから射出成形された要素であって、吹き込みされてブロー成形容器になる要素を少なくとも含むものと了解されるべきである。本明細書では、プリフォームは、基本的にボトルの形状を有し、首部分と、本体部分と、底部分とを含む容器をブロー成形するためのものであると説明されるが、当業者には明らかなように、異なる形状の容器を同じ発明概念内の異なる形状のプリフォームを用いて作成することができる。プリフォームは単一層または多層であってもよい。多層プリフォームは、限定されないが、同時注入(co−injection)、同時押出(co−extrusion)またはオーバーモールド工程(over molding)のような周知の技術を用いて製造することができる。多層プリフォームは単層または複数層の剥離層を有していてもよい。
【0020】
本明細書において、「約」および「実質的」という用語は、それが指す所与の値の変動が所与の定義内で許容し得るものであり、その変動は所与の値の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも15%であることを意味するものと了解されるべきである。
【0021】
本明細書において、プリフォームと容器はPETまたはPETブレンド製であると説明される。しかしながら、本発明によるプリフォームおよび容器は、異なる材料、複数の材料のブレンドまたは組み合わせ、例えば、限定されないが、ポリプロピレンまたはポリスチレン、PEN、ポリエチレン、およびそれらの組み合わせを用いて作製することができる。PETまたはPETブレンドの場合、標準PETはこの点に関して容器のブロー成形時の加熱や延伸の際のPETの結晶化を防止する添加物のないPETを少なくとも含むものとして了解されるべきである。
【0022】
本明細書では、圧縮性容器は、少なくともプラスチック材料または材料の組み合わせからなる容器であって、その内部体積が顕著に減少するように圧縮することができ、その圧縮により容器の内容物が容器から外へ吐出され得る容器を少なくとも備えるものと了解されるべきである。タッピング装置内で圧縮すると、内部体積は、好ましくは元の内部体積の2%未満、より好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.6%未満に減少するが、破損その他による容器の漏れを生じることがない。容器は圧縮中に変形される側壁を有していてもよい。容器は多層壁を有していてもよい。この多層壁は圧縮中に実質的に内方へ変形されるか、あるいは1つ以上の内層が圧縮中に実質的に内方へ変形されてもよく、少なくとも1つの外層が実質的にその元の形状および/または寸法に留まっていてもよい。圧縮は、少なくとも、容器またはその一部分の半径および/または長さ方向の変形であると了解することができる。
【0023】
本明細書において、飲料、特にビールおよびソフトドリンク類のような炭酸飲料を保持および分注する容器が参照される。しかしながら、他の内容物も本明細書による容器を用いて貯蔵および分注することができる。容器および関連道具一式(paraphernalia)は使い捨てであってもよい。これは、使い捨て専用に製造されたものに限定されず、比較的廉価な、再使用可能な、耐久性よりも利便性のためおよび/または最適の衛生のために設計されたものも含むものと了解されるべきである。
【0024】
図1において、タッピング・アセンブリ1が一部断面図で示されており、タッピング・アセンブリ1はタッピング装置2と容器3を備える。タッピング装置2は圧力室4と加圧装置5を備える。加圧装置5は圧力室に結合されるか、または圧力室内に設けられ、容器3を圧縮する。図1Aに示される実施の形態では、加圧装置は、バッファ66に結合されたポンプPを備える。減圧装置67がバッファ66と加圧室4との間に設けられている。圧力センサ68がポンプとバッファ66とに結合されている。圧力室内の圧力が所望の値より低くなると、減圧装置67が開き、高圧の、空気のようなガスをバッファ66から圧力室4内に流入させ、所望のレベルまで圧力を復帰させ、再び減圧装置67を閉鎖する。圧力センサ68がバッファ内の圧力が所望値を下回って低下していることを感知すると、ポンプが始動してバッファ66を再加圧する。例えば、ポンプPは、バッファ66内の圧力が約4.5バールを下回って低下すると始動し、約6バールの圧力で停止する。一実施の形態では、加圧装置5はポンプPを備えていてもよい。タッピング装置2は、さらに、圧力室4を少なくとも部分的に閉鎖する蓋6を備える。開口部7が蓋6に設けられている。
【0025】
容器3は首部8と本体9とを有する。本体9は肩部分10を有し、肩部分10は首部8よりも幅広であってもよい。例えば図2、特に図2B、および図3からより明らかであるように、首部8に壁11を設けてもよい。この壁は、例えば、限定されないが、首部8および/または容器3の縦軸Lに垂直な実質的に円形の断面を有する、円筒状の壁である。首部8は、第1のフランジ12を設けられている。第1のフランジ12は、実質的に半径方向外方に、例えば、容器3をそれからブロー成形することができるプリフォームのための図2Aに図示されているように、壁11から外方に、首部8の周り全体に延在していてもよい。第1のフランジ12は、例えば、肩部分10の近傍に設けられていてもよい。少なくとも1つのさらなる第2の要素13、例えば第2のフランジ14が、壁11から実質的に半径方向外方に延在していてもよい。代替的な一実施の形態では、複数のそのような第2の要素13、例えばティース、リブ、バヨネット要素等が壁11から外方に延在する。一または各第2の要素13、例えば第2のフランジ14が、第1のフランジ12の本体5と反対側に延在する。空間または距離15が、第1のフランジ12の、一または各第2の要素13に対向する第1の表面16と、一のまたは各さらなる第2の要素13の、第1のフランジ12と対向する第1の表面17との間に設けられている。第1のフランジ12は、軸Lに関して第2の要素13よりもさらに半径方向外方に延在する。
【0026】
開口部を、第2のフランジ14のような一のまたは各第2の要素13を有する首部8がこれを通過できるが、第1のフランジ12では通過できないように決めることができる。開口部7はそのような開口部である。図1において明らかなように、首部8は、開口部7の中へ少なくとも部分的にこれを貫通し、第1のフランジ12が蓋6の圧力室4に対向する側の下側にあるように、一方、一のまたは各第2の要素13すなわちフランジ14は開口部7内または上方にあるように延在する。図1に示す一実施の形態では、第2のフランジ14はその第1の表面17が蓋6の主外表面より上、または開口部7の上端19より上のレベルにある。蓋6は、少なくとも1つの、第2のフランジ14のような要素13と係合する、少なくとも1つの閉鎖要素20を設けられており、蓋6から要素13,14を遠ざけ、それにより第1のフランジ12を蓋6に引きつけ開口部7を少なくとも第1のフランジ12により密閉する。
【0027】
蓋6は、圧力室4の側において、シール21を設けられていてもよく、シール21は図6Aおよび6Bに詳細を示すように、開口部7の周りに延在している。シール21は第1のフランジ12の第1の表面16に接触している。シール21は密閉リングまたは一連の密閉リング、例えば、同心密閉リングであってもよいが、これに限定されない。一のまたは各密閉リングは、例えば1つ以上のO−リング、クアッドリング(quad ring(登録商標))等であってもよい。好ましくは、シール21は少なくとも開口部22を有するが、開口部22はこれを通って首部8が一のまたはすべての要素13すなわちフランジ14とともに通過することができるが、第1のフランジ12では通過することができない。一のまたは各要素13を蓋6から、例えば上述のように方向Uに遠ざけることにより、第1のフランジ12が蓋6に向かって引きつけられると、シール21が少なくとも部分的に圧縮され、圧力室4を密閉する。図面に示す実施形態では、シール21は蓋6の下方にあるが、これは、第2のフランジ14のような要素13を蓋6から引き離すことは主として要素13すなわちフランジ14を上方に引張ることである、と了解されるべきであることを意味する。容器3および圧力室4が異なる位置、例えば軸Lが水平に、または開口部7が下向きに保持されると、引張りの方向Uはそれに応じて垂直方向に対する向きが変わるが、依然として実質的に蓋6から離れている。
【0028】
蓋6は、圧力室の自由端24と係合することができる周辺領域23を設けられており、圧力室4の周辺密閉部26を形成するための周辺シール25を含み、蓋6を閉じると、周辺シール25が周辺領域23において圧力室4を密閉するように構成している。開口部7の追加的閉鎖をすることは、従って、圧力室4を十分に気密にすることができることを意味する。
【0029】
一実施の形態では、蓋6の周辺領域23における周辺密閉部26は圧力釜の密閉部と同様であってもよい。蓋6および圧力室4、または少なくとも装置2には、協働するバヨネット式閉鎖手段および密閉リング25が設けられ、蓋6の周辺領域23において気密に圧力室4を閉鎖するようにしてもよい。例示としてであり、なんら限定するものではないが、そのような閉鎖部26についてはEP0671140が参照される。EP0671140は本開示による装置に導入することができる周辺の閉鎖部26およびシーリングを開示している。好ましくは、周辺閉鎖部26は、圧力室4の内圧が、シール25の部分を圧力室の蓋6および/または壁27に対して近づけることにより、密閉を支援するように構成され、圧力室の圧力の増加の際の周辺領域23における密閉を促進し、圧力室4の内圧がほぼ大気圧に低下すると蓋6の開閉を容易にする。当業者に自明の他の周辺閉鎖手段26を用いることができる。
【0030】
タッピング装置1は、圧力室4の内部の圧力を制御するための加圧手段5に結合された制御装置28を設けられていてもよい。この制御装置は圧力室内の圧力センサ29に接続されている。このコントローラは加圧装置5、特にそのポンプを飲料が容器3から所望の圧力で分注できるように調製するためのアルゴリズムを設けられていてもよい。好適な一実施の形態では、この所望の圧力を制御装置28により設定することができる。使用時、好ましくは、圧力室4内の圧力は容器を圧縮し、かつこれを圧縮された状態に保つ高さに維持される。一実施の形態では、加圧装置5は、空気を圧力室に圧送して容器または少なくともその本体5を圧縮するために設けられている。他の実施の形態では、水のような流体を容器3を圧縮するために使用することができる。圧力逃がし弁48を圧力室3に設けることができる。そのような圧力逃がし弁48を安全装置として使用し、圧力室4の過剰加圧を防止することができる。圧力逃がし弁48は、容器3を交換するために圧力室4を開放するのに先立って、代替的にまたは追加的に使用することができる。
【0031】
タッピング装置は、容器3の首部8内または首部8において弁31に結合されたタッピング・ライン32を設けられていてもよい。この弁31は圧力室の外部に延在するので、圧力室4内の圧力により直接影響を受けない。弁31は閉鎖リング35を用いて首部8に結合することができる。閉鎖リング35および/または弁31は任意の適切な手段、例えば、限定されないが、溶接、接着、スナッピング、クランピング、圧入(ブレス嵌め)、ねじ山、バヨネット手段等により結合することができる。
【0032】
タッピング・ライン32は容器に結合されていてもよい。一実施の形態では、タッピング・ライン32を弁31に結合する結合手段(coupling means)を設け、例えば、使用者の好み、タッピング・ラインの利用可能性、所望の冷却タイプなどに従って他のタッピング・ライン32を使用できるようにしてもよい。既存のタッピング・ヘッドを弁31に取付けるためのアダプタを設けてもよい。
【0033】
タッピング・ライン32内の飲料を冷却するために、タッピング・ライン32を、直列型クーラー(in line cooler)33または他の当技術において既知の冷却手段のような冷却手段を通して導くことができる。図1に示す実施の形態では、タッピング・ライン32はタッピング・コック34内にまたはタッピング・コック34に結合される。タッピング・コック34はタッピング装置1自体に取付けることができる。他の実施形態では、タッピング・コック34を別個に、例えばバーのカウンタ30に取付けることができる。タッピング・ラインの一部分またはタッピング・ライン32全体を使い捨てにしてもよい。タッピング・ライン32は容器3を設けられていてもよく、所望により容器3とともに使い捨てにしてもよい。タッピング・ラインは弁31に取り外し不能に結合されていてもよい。他の実施の形態では、タッピング・ライン32は使用者により弁31に結合されてもよい。一実施の形態では、タッピング・ラインはタッピング設備の固定されたタッピング・ライン32のように繰り返し使用のために設計することもできる。そのような場合、タッピング・ラインは、適切なコネクタ、例えば店舗の再使用可能なビール樽に使用される既知のタッピング・ヘッドまたはコネクタにより弁31に結合してもよい。弁31は、例えば容器から飲料が分注されるだけの単一の弁のような専用の弁31であってもよい。
【0034】
他のまたは同じ実施の形態において、容器は、冷却手段を装置1内にまたは装置1に設けることにより、または装置を少なくとも部分的に冷蔵庫内に置くことにより、圧力室4または装置1を冷却することによって、容器を全体的にまたは部分的に冷却することができる。
【0035】
弁31は、一実施の形態では、NL1012802、NL1012921またはNL1012922に開示されている弁のようなスプレイ缶型弁であってもよい。これらの出願の開示内容は、弁に関して、本明細書に引用により導入される。そのようなスプレイ缶型弁の例は図7Aおよび図7Bにその概略が示されている。図7において、首部8に嵌合し、首部の分注開口部36の少なくとも一部分にわたって延在する閉鎖リング35の例が示されており、これは首部8の壁11の自由端37に溶接される。閉鎖リング35は、好ましくはリング35の中央に隆起した端部38により囲まれた開口部40を備える。閉鎖リング35は、容器に飲料を充填する前または後に容器に結合させることができる。有利な一実施の形態では、プリフォーム39から容器3をブロー成形する前に、閉鎖リング35は図2、4および7左側に示すように、プリフォーム39に結合される。これは、容器3を、例えば醸造所またはボトリング工場において、閉鎖リング35を容器3に結合する必要なしに、充填装置に沿ってブロー成形することができることを意味する。プリフォーム39を加熱し、ブロー成形して容器3の形にする道具は、開口部40および開口部36を通って内部空間に挿入することができる。
【0036】
図7Aおよび図7Bに概略を示すように、例示のために図7Aにその雄型変形例、図7Bにその雌型変形例を示されたスプレイ缶型弁31は、閉鎖リング35を用いて取付けることができる。この実施の形態では、弁31はハウジング41を有し、ハウジング41はプラスチックまたは金属製クリンチプレート42に既知の方法で固定され、金属製クリンチプレート42は既知の方法で端部38の上にクリンチ(折り返し止め)されている。図7Aの弁31は中空ステム43を備え、密閉ショルダ44が密閉プレート45にばね46により押しつけられている。1個または複数個の実質的に半径方向の開口部47がステム43の底近傍においてステムの壁を貫通して延在し、該開口部47はステム43をばね46に抗して押し下げることにより密閉プレート45のレベルより下にすることができる。これにより、飲料が容器3の内部空間Vからステム43を通って外方へ、例えばステム43に結合されたタッピング・ライン32内へ流入することを可能にする。図7Bの一実施の形態では、ステムは開口部44Aを通ってシーリング・プレートまたは本体45内へ流入し、プレートまたは本体45をばね46に抗して押し下げ、弁31を開き、飲料が分注可能となる。
【0037】
一実施の形態では、制御装置28に接続される圧力センサまたは流量センサ49をタッピング・ライン32内またはその周りに設けてもよい。温度センサ50を圧力室4内にまたはその近傍に制御装置28に接続して設けてもよい。冷却装置51を圧力室に対して設け、その中に延在する容器を直接および/または間接に冷却するようにしてもよい。そのような冷却装置の例はペルチエ素子、空冷液体冷却器(air cooling,liquid cooler)その他任意の適切な冷却手段であってもよい。冷却装置51は冷却装置33の代わりに、またはそれに隣接して設けてもよい。
【0038】
図2は、容器3を成形するプリフォーム39の概略側断面図である。プリフォーム39は首部8を有し、首部8はそれからブロー成形された容器3の首部と実質的に同じである。これは、ブロー成形の間は首部8は顕著に変形しないからである。プリフォーム39はさらに本体形成部分9および肩形成部分10Aを有し、肩形成部分10Aは首部8と本体形成部分9との間に延びている。本体形成部分は首部8の反対側端部において底形成部分52により閉鎖されている。首部8の壁11は第1の厚さW1を有し、本体形成部分9Aの壁53は第2の厚さW2を有し、底形成部分52は第3の厚さW3を有する。一方、肩形成部分10Aは第4の厚さW4を有する。厚さWはその表面に実質的に垂直に測定され、部分8,9A、10A、52のそれぞれについて一定である必要はない。図示の実施の形態では、第1の厚さW1は第2の厚さW2より小さく、第3の厚さは本体形成部分9Aの壁53の下端から底形成部分52の上部に向けて小さくなる。厚さW4は首部8の下端の第1の厚さW1から本体形成部分9Aの第2の厚さW2に徐々に変化する。
【0039】
そのような形状および壁厚は一般にブロー成形ボトル用プリフォームの従来技術から知られている。本開示によるプリフォームでは、首部8には第1および第2のフランジ12,14が上述のように設けられている。第2のフランジ14は、一実施の形態では、図2Aに示すように、首部8の周り全体に延在する。代替的な一実施の形態では、第2のフランジ14は間に間隙を置いて配置された複数の要素13に分割することができるが、容器または少なくとも首部8が蓋6に対して残りの要素13すなわちフランジ14により引張られて第1のフランジ12を蓋6に向かって引張ることができる場合に限られる。前に示したように、第1のフランジ12は、第2のフランジ14すなわち要素13よりも軸Lに対して半径方向にさらに外方に延在し、特に、シール21が首部8および第2のフランジ14すなわち要素13を通過できるようになっており、蓋6が首部8の上に配置されると第1のフランジ12の第1の表面16に当接する。
【0040】
図2B、3、5および6に特に示すように、第2のフランジ14のような第2の要素13の第1の表面17は、縦軸Lに対して角度α傾斜していてもよい。第1のフランジ12の第1の表面16は、縦軸Lに対して角度β傾斜していてもよい。角度αは、例えば90°と30°の間であってもよい。一実施の形態では、角度αは85°と60°の間であってもよい。一実施の形態では、角度αは80°と70°の間、例えば約75°であってもよい。角度βは、例えば、90°と30°の間であってもよい。一実施の形態では、角度βは90°と60°との間であってもよい。一実施の形態では、角度βは90°と75°との間、例えば約85°であってもよい。好ましくは、表面16、17はこれら表面同士の間の距離15が半径方向外方に増加するように傾斜している。少なくとも第2のフランジ14すなわち要素13の第1の表面17を傾斜させると、閉鎖要素20が第1の表面17に接触するように挿入され方向Cにおいて内方へ壁11に向けて移動されると、表面17は蓋6の表面18から遠ざけられる。
【0041】
図5Aおよび図6Aは、それぞれ、首部8を開口部7内にロックし、この開口部7を密閉するための閉鎖装置100の一部分を示す概略拡大上面図および側面図であり、装置は非密閉位置にある。図5Bおよび図6Bは密閉位置における対応する図である。閉鎖装置100は少なくとも1つの閉鎖要素20を備える。例示のためのみの実施の形態では、閉鎖要素20は蓋の表面18の一部分または少なくとも開口部7の端部19にわたって、図5Aおよび図6Aに示す第1の位置と、図5Bおよび図6Bに示す第2の位置との間で移動可能である。好ましくは、複数の要素20が開口部7の周りに、第1および第2の位置の間を好ましくは同時に移動可能に、設けられている。図5および図6に示す実施の形態では、一のまたは各要素20は、蓋6から延在する軸56の周りに回転可能である。要素20は、軸56から離隔して配置されたヘッド57を有する。このヘッドは首部8の壁11に対向する側に端部58を有し、そして例えば蓋6の実質的に平坦な表面部分59上にある。端部58は、好ましくは、上面図と側面図の両方において丸みを帯びている。すなわち、上面図では、例えば、壁11の外側表面の半径Rwと実質的に同様の半径Rを持つくぼみ端部58を形成し、側面図では、表面59から遠ざかる側において、比較的小さくてもよい半径R1を有する。半径R1は、主として、第1の位置から第2の位置まで移動させられたときに、端部58が要素13すなわち第2のフランジ14の材料中に侵入するのを防止する働きをする。図示の実施の形態では、単純化のために操作手段60がピン61として示され、縦軸Lから一定距離にあり、要素20の外表面59に沿って軸Lの周りの回転方向Sに移動させることができる。表面59は、ピン61の移動経路に平行でなく延在するのが好ましく、ピン61を上記の方向Sに移動させることにより、要素20が軸56の周りに内方に方向Cに回転する。これにより、端部58が第2のフランジ14すなわち要素13の第1の表面17の下側で表面17に沿って押され、第2のフランジ14すなわち要素13を方向Uに押し、第1のフランジ12を一緒に引張り、第1のフランジ12は従って引張られて第1の表面16でシール21に接触し、シール21を少なくとも部分的に圧縮し、開口部7の気密なシールを形成する。
【0042】
図5および図6に概略を示した実施の形態では、蓋6は、開口部の周辺端部19、特にシール21が第1のフランジ12の第1の表面16上にあるように置かれている。シール21はこの位置では大きく変形していない。このシールは,圧力室4に面する側において例えば部分的に溝55内に入っていて、シール21が適切な位置にロックされる。そのために、他の手段、例えば、限定されないが、シールをその場に接着または溶接、ねじ止め、クランピングその他のシール21をその場にロックする手段を講じることができる。図6Aから分かるように、シール21は少なくとも部分的に溝の外へ延在する。シール21は、例えば、限定されないがゴム、合成ゴム、エラストマー材料等の任意の適切な材料で作製することができる。シール21は、他の実施の形態では、膨張可能なシール、例えば空気または水で膨張可能なものであってもよい。
【0043】
例えば図1から分かるように、容器3は蓋6により支えられていてもよく、それにより容器3と、圧力室4の壁27および底27Aとの間に空間を設けている。これにより、例えば温度変化による容器3の大きさの変化が容易に可能となるという利点を提供することができる。さらに、壁および/または底による容器3の支持が不要であるので、容器の圧縮が任意の方向で可能になる。本開示において、首部8は顕著に変形しないこと、従ってフランジ12,14またはフランジ12および要素13を、容器3を圧力室4内に固定するためと、圧力室4を閉鎖するためとの両方に使用できることが認識されている。これにより、容器3に追加の要素を設ける必要がなくなり、そのため容器およびタッピング装置の製造および/または使用がより容易になり、廉価になり、再使用性がよりよくなり、および/またはより軽く、より圧縮性に富み、および/または全体積がより小さくなるように圧縮可能となる。
【0044】
図4において、プリフォーム39の代替的一実施の形態が開示されており、これは多層である。プリフォーム39は共射出成形または共押出することができるが、好適な実施の形態では、プリフォーム39は少なくとも内側プリフォーム39Aおよび外側プリフォーム39Bから組み立てられる。内側プリフォーム39Aおよび外側プリフォーム39Bは別々に射出成形し、次いでプリフォーム39に組み立てて、プリフォーム・アセンブリとして見ることができるものにしてもよい。他の実施の形態では、内側プリフォーム39は射出成形し、次いで外側プリフォームを内側プリフォーム上に射出成形してもよく、またはこれらを逆にしてもよい。これは、2K射出成形技法において適切なモールドを用いて行なうことができる。2つのプリフォーム39A、Bを用いる場合、それぞれをより小さい肉厚で成形することができ、プリフォーム39を製造するサイクル時間を顕著に短縮することができる。さらに、プリフォームのそれぞれを最も適切な材料で作製することができる。例えば、内側プリフォームを新品の材料、例えばPETで作製し、外側プリフォームは再使用材料、例えばリサイクルPETや廉価な材料で作製することができる。異なるプリフォーム39A、Bを異なるコーティングおよび/または異なる添加剤を有するものとして提供することができる。例えば、内側プリフォームはスカベンジャー、特にO用のスカベンジャーを含むプラスチック材料で作製し、一方、外側プリフォームは、例えばそのような添加剤を含まないものとすることができる。外側プリフォームは着色剤を添加し、一方、内側プリフォームはそのような添加剤を含まないものとすることができる。明らかに、これは入れ替えることができる。内側プリフォームは外側プリフォームより薄くしてもよく、その逆であってもよい。
【0045】
図4Aに示す実施の形態では、多層プリフォーム39が設けられ、内側プリフォーム39Aと外側プリフォーム39Bの間には、誇張された幅で示されるように、空間または空洞63が設けられている。この空間または空洞63は気体のような流体、例えば空気またはNのような不活性ガスで充填されていてもよい。空気が用いられる場合、内側プリフォーム39Aは、そのようなプリフォームからブロー成形される容器3内の飲料の酸化防止手段を設けられているのが好ましい。これは、例えばOスカベンジャーをプリフォーム39Aのプラスチックに供給するか、またはプリフォーム39A上および/または内に保護層を設けることにより行なわれる。この実施の形態では、空間または空洞63は環境に対して閉鎖することができる。これは、例えば複数のプリフォームの首部を相互に対して閉鎖することにより行なわれる。これは、例えば外側の首部を内側プリフォーム39Aの首部の上にクリンプすることにより達成される。他のまたは同じ実施の形態において、閉鎖リング35を前述のように設けてもよい。一実施の形態における閉鎖リング35には、追加の開口部64が空間または空洞63内に開口していてもよい。この開口部64は弁または好ましくはシール65、例えば破壊可能なまたは穿孔可能なシールにより閉鎖することができる。一実施の形態では、空間63は加圧または減圧可能であり、容器の剛性が空間63が大気圧にあるときの剛性に対して増加するようにすることができる。容器を圧縮する前に、例えばシールを穿孔することによりまたは開口部64内の弁を開放することにより、空間63を環境に対して連通させ、空間63内に大気圧が得られるようにしてもよい。これにより、圧力室4内の容器3の圧縮が容易となり、一方、輸送および貯蔵の際に、容器の剛性が高くなり、圧縮に対して抵抗性となる。多層化された実施の形態では、外側プリフォームを例えば破壊に対してより抵抗性を高くし、一方、内側プリフォームにバリア性を持たせてより剛性が高く、より強く他の有利な性質を持たせるようにすることができる。一実施の形態では、閉鎖装置100は、例えば、容器3の首部8を開口部7内の位置にロックしたときに、開口部64を開放するように設計してもよい。
【0046】
本発明による容器3は比較的に大きな容積を有していてもよく、例えば少なくとも約5リットル、好ましくは約10リットルより大きく、例えば約10リットルと20リットルの間であり、それにより載荷規制内で取り扱うことが容易になる。一実施の形態では、容器は、例えば約17リットルと40リットルの間の大きな容積を持っていてもよい。一実施の形態では、容器は、約17リットルの容積を持っていてもよく、例えば約17リットルと40リットルの間である。
【0047】
プリフォーム39およびそれからブロー成形された容器3の、単なる例示であり、本発明の範囲をなんら限定するものではないと了解されるべき一実施の形態では、首部8は内径Dinが約54ミリメートルの実質的に円形断面を有し、一方、プリフォーム39の本体形成部分は内径Dbiが約50ミリメートルの実質的に円形断面を有していてもよい。プリフォーム39の全長Lは、例えば約278ミリメートルであってもよく、首部は軸Lに沿って測定された軸長が約22ミリメートルであり、肩形成部分10Aは軸長が約28ミリメートルであってもよい。底形成部分54は半径が約30ミリメートルであってもよい。
【0048】
容器3またはプリフォーム39の一実施の形態では、第1のフランジは直径D1、第2のフランジ14は直径D2を有し、第2の直径D2は軸Lに垂直に測定された要素13またはそれぞれの要素13について同じであってもよい。第1の直径D1は第2の直径D2よりも少なくとも約8ミリメートル大きくてもよい。一実施の形態では、直径D1は第2の直径D2よりも約14ミリメートル大きくてもよい。いずれにしても、第1の直径D1は、好ましくは、第2の直径D2よりもずっと大きく、シール21が、図2Aに上面図で示すように、第1のフランジ12の一部分の上に存在可能であり、第2のフランジ14すなわち要素13の半径方向外側に延在する。非制限的な一実施の形態では、第1の直径D1は約80ミリメートルであってもよく、一方、第2の直径D2は約66ミリメートルであってもよい。
【0049】
非制限的な一実施の形態では、第1の幅W1は約1.5ミリメートルであってもよく、第2の幅W2は約6.2ミリメートルであってもよい。第3の幅W3は、例えば約6.2ミリメートルと約3ミリメートルの間であってもよく、一方、第4の幅W4は約1.5ミリメートルと約6.2ミリメートルの間であってもよい。他の非制限的な一実施の形態では、第1の幅W1は約1.5ミリメートルであってもよく、第2の幅W2は約4.4ミリメートルであってもよい。第3の幅W3は,例えば約4.4ミリメートルと約3ミリメートルとの間であってもよく、一方、第4の幅は約1.5ミリメートルと約4.4ミリメートルとの間であってもよい。明らかに他の幅は幅の組み合わせを用いることができる。
【0050】
非制限的な一実施の形態では、第1のフランジ12の厚さT1は、壁11近傍のほぼ6ミリメートルと4ミリメートルとの間、例えば、約5ミリメートルから、その自由端における約5ミリメートルと3ミリメートルとの間の範囲にわたっていてもよい。非制限的な一実施の形態では、第2のフランジ14すなわち要素13の厚さT2は、壁11の近傍のほぼ5ミリメートルと3ミリメートルの間、例えば約4ミリメートルから、その自由端における約4ミリメートルと2ミリメートルの間までの範囲にわたっていてもよい。非制限的な一実施の形態では、第1の表面16、17の間の距離15は、壁11の近傍で、約6ミリメートルと10ミリメートルとの間、例えば約8ミリメートルであってもよい。
【0051】
一実施の形態では、フランジ12および/または要素13は容器とは別に設けられていてもよく、容器の首部またはプリフォーム上に配置されていてもよい。
【0052】
図8および図8Aに示す、本発明に使用するプリフォーム39の代替的一実施の形態は、第1のフランジ12、第2のフランジ14および第3のフランジ80、または第1および第3のフランジ12、80および複数の要素13を有し、第3のフランジ80が第1のフランジ12の第2のフランジ14または要素13から見て反対側にある。第3のフランジは、従って、プリフォーム39およびそれからブロー成形された容器3に対して第1のフランジ12よりも近い。第3のフランジ80は、好ましくは軸Lの周りに第1のフランジ12と同心であり、第1のフランジ12よりも、さらに第2のフランジ14または要素13よりも小さな直径Dをもつことができる。図示の実施の形態では、第3のフランジ80は第1のフランジよりも数ミリメートル小さく、例えば、限定されないが、壁11に沿って測定すると、約3ミリメートル〜6ミリメートルであってもよい。第3のフランジ80は安定性、とくに首部8の形状および寸法安定性を増加させることができる。図8に、首部の一部分の拡大図が示され、第1および第2のフランジ12,14および第3のフランジ80を示す。そのような第3のフランジ80は本願に開示されまたは実質的に開示されている任意のプリフォームおよび容器において使用することができる。この実施の形態において明らかなように、角度αは角度βに比べて比較的に大きく、例えば約20〜40倍であり、限定されないが、例えば、約30倍である。角度βは、例えば、側方に引き離された、首部を形成するモールド部分の通気に十分であるように、例えば約1°以下に選ばれる。明らかに、αおよびβについての記載の範囲内から任意の角度を選ぶことができる。
【0053】
図9は、容器の一部分の一部断面斜視図であり、首部8と蓋の一部分またはそれと一緒に使用される閉鎖要素とを有し、閉鎖要素は要素20とピン61を備え、ピン61はここではカム従動子61として図示されている。図10は、同じ実施の形態の上面図である。図9および図10において、要素20は「開放」位置にあるものとして示され、容器の首部8はこれらの要素20の間に挿入可能であるか、またはそれらから取り外し可能である。図から明らかなように、第1のフランジ12は開口部15を通過することができず、一方、第2のフランジ14は通過することができる。蓋6の一部分であってもよい、または蓋6に結合可能である、基部要素6Aの外周に沿って、リング81が上記外周の周りに回転可能に設けられている。リング81の内側には、カム従動子61が設けられ、カム従動子61は図5および図6と同様の方法で要素20と接触することができる。本実施の形態では、軸56は要素20の両端から離隔して配置され、要素の後部20Aがその部分57から見た場合に軸56を越えて延在する。カム従動子61はこの部分20Aに対して移動することができ、要素20または少なくとも表面58が首部8から遠ざかるように、または少なくとも軸Lから離れる方向に移動され、リング81が方向Sに回転されるまでそれらをこの位置にロックする。リング81が方向Sに回転すると、カム従動子61を要素20の一部分に当接させ、表面58を要素13またはフランジ14の下で内側に軸Lに向かって押す。リング81の回転運動を制限するために、要素20の間に要素82が固定されて設けられている。その理由は、カム従動子61はこれらの要素82と接触することによりさらなる回転を阻止するからである。
【0054】
タッピング・アセンブリは、例えば、次のようにして使用することができる。
【0055】
プリフォーム39からブロー成形された容器3は飲料を充填され、少なくとも弁31によって閉鎖されユーザーに提供される。ユーザーは、容器の首部8を覆う開口部7を持つ蓋6を、蓋が第1のフランジ12上に来るまで押すことができる。首部8は、例えば、閉鎖装置100によって操作される閉鎖要素20によりその場にロックすることができる。容器3を圧力室4内に配置し、蓋6が圧力室4上に嵌合し、閉鎖および密閉できるようにすることができる。これにより、気密かつ耐圧性の圧力室4を得る。ついで、タッピング・ライン32を、例えば弁31および/またはタッピング・コック34に結合することができる。圧力室4は、加圧装置5により加圧することができ、加圧装置5は空気を圧力室4に圧入し、従って容器3を圧縮することができる。弁31は周期的に、オン・デマンドで、または好ましくは定常的に開放することができ、飲料が、容器3の圧縮により、加圧下に容器から分注可能である。飲料の分注を十分に行なった後、そのとき空になった容器3を圧力室から取り外し、蓋6から解放し、廃棄できるようにする。タッピング・ライン32またはその一部分が使い捨ての場合、それを好ましくは容器3と一緒に処分することができる。
【0056】
本発明は添付図面に示され本明細書に説明された実施の形態になんら限定されない。特許請求の範囲または本願の開示の範囲内で多くの変形例が可能である。例えば、容器は異なる方法で成形することが可能であり、容器を異なる方法で例えば閉鎖リングを第2のフランジ13の代わりにまたはこれと一緒に係合させることにより、蓋に対して引張ることができる。その意味で、閉鎖リングは第2のフランジ14または要素13を形成する。容器の圧縮は異なる方法、例えば少なくとも部分的に機械的手段により、達成することができる。多層容器において、空気を容器の層の間の空間内に挿入して飲料を分注することが可能である。閉鎖要素または閉鎖装置は第1のフランジを蓋に対して引張り、シールを圧縮するために異なる設計にしてもよい。タッピング装置を弁31に直接結合してもよい。弁31の代わりにシールまたは蓋を設けて首部8を閉鎖してもよい。冷却手段を加圧装置と同様に、異なる方法で設けてもよい。容器に対して、異なる適切な方法で製造することができる他の材料を使用してもよい。
【0057】
これらおよび他の変形例は、限定されないが、上述の実施の形態の一部分の組み合わせを含むが、本願の開示に含まれるものと了解される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用タッピング・アセンブリであって、
圧力室と、
加圧装置とを備え、
前記圧力室は、
前記圧力室を少なくとも部分的に閉鎖する蓋であって開口部を有する蓋と、
前記開口部内に延在する首部と前記圧力室内部に延在する本体とを有する容器と、を備え、
前記首部の周りに延在する第1のフランジが前記蓋の前記圧力室に面する側にあり、かつ前記首部から延在する少なくとも1つの要素が前記蓋の反対側にあり、
前記装置は、前記少なくとも1つの要素と係合する少なくとも1つの閉鎖要素を設けられ、前記要素を前記蓋から遠ざけ、それにより前記第1のフランジを前記蓋に向かって引張り、前記開口部を少なくとも前記第1のフランジにより密閉する
ことを特徴とするタッピング・アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のタッピング・アセンブリであって、
前記容器の前記本体は、前記加圧装置により前記圧力室内に提供された圧力により圧縮可能であることを特徴とするタッピング・アセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタッピング・アセンブリであって、
前記第1のフランジは前記容器の前記首部の長手軸に垂直に測定して前記長手軸から前記一のまたは各要素よりも遠くに延在し、好ましくは、前記首部と、前記首部から延在する前記一のまたは各要素とが前記開口部を通過することができるが、前記第1のフランジは前記開口部を通過することができないように構成されている
ことを特徴とするタッピング・アセンブリ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタッピング・アセンブリであって、
前記首部から延在する前記少なくとも1つの要素は第2のフランジであり、
前記第1および第2のフランジは、好ましくは実質的に円形および同心であり、
前記第1のフランジは前記蓋の前記開口部より大きく、前記第1のフランジは前記開口部を通過することができず、
前記第2のフランジは前記開口部よりも小さく、前記第2のフランジは前記開口部を通過することができる
ことを特徴とするタッピング・アセンブリ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載のタッピング・アセンブリであって、
前記容器はブロー成形された容器であり、好ましくは少なくとも5リットル、さらに好ましくは少なくとも約10リットル、特に約10リットル、20リットルまたは30リットルの容積を有することを特徴とするタッピング・アセンブリ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項記載のタッピング・アセンブリであって、
前記少なくとも1つの閉鎖要素は、前記蓋と、前記首部から延在する前記少なくとも1つの要素との間で、前記蓋の前記開口部のすくなくとも一部分にわたって移動可能であり、好ましくは少なくとも部分的に、前記蓋の該当する側と、前記首から延在する該当する要素との間の対応する距離よりも大きい厚さを有し、前記該当する要素を前記蓋から遠ざけ、前記蓋に向かって前記本体を引張る
ことを特徴とするタッピング・アセンブリ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のタッピング・アセンブリであって、
前記蓋は前記圧力室の閉鎖および密封(シーリング)構造の周縁形成部分を有する
ことを特徴とするタッピング・アセンブリ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のタッピング・アセンブリであって、
前記容器は、前記首部内および/または上に閉鎖構造を備え、前記閉鎖構造は、好ましくは前記圧力室を加圧して前記容器の前記本体を圧迫することにより、前記容器から飲料を分注する弁を備え、
好ましくは、前記閉鎖構造は、前記弁が貫通して延在する開口部を有するリングを備える
ことを特徴とするタッピング・アセンブリ。
【請求項9】
タッピング装置用容器であって、
首部と、
本体とを備え、
前記首部は、外方に延在する第1のフランジと、少なくとも部分的に前記首部の回りに延在する第2のフランジと、を備え、
前記第1のフランジは前記本体に対して前記第2のフランジよりも近く、かつ前記第1のフランジは前記首部から外方に前記第2のフランジよりも遠くに延在し、前記第2のフランジは開口部を通して押すことができるが、前記第1のフランジは前記開口部を通して押すことができず、
前記第1および前記第2のフランジの対向する表面は好ましくは相互に対して傾斜しており、要素が前記首部の軸に関して半径方向に前記表面の一方に対して押されると、前記容器は前記首部の軸方向に移動される
ことを特徴とする容器。
【請求項10】
請求項9に記載の容器であって、
前記第1および前記第2のフランジは、前記首部の長手軸の周り実質的に同心状に延在し、かつ少なくとも実質的に円形であり、
前記首部の前記長手軸に沿って見ると、前記第2のフランジは前記第1のフランジの中に入っており、
好ましくは、前記第1のフランジの直径が前記第2のフランジの直径よりも少なくとも10ミリメートル大きい
ことを特徴とする容器。
【請求項11】
請求項9または10に記載の容器であって、
前記容器は5リットルを越える内部体積、好ましくは少なくとも約10リットルの内部体積を有し、前記首部は25ミリメートルより大きい、好ましくは50ミリメートルより大きい内部開口部を有し、
前記首部内または上に弁が設けられ、前記弁は好ましくは前記首部に結合されたリング内または上に載置されることを特徴とする容器。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一項に記載の容器であって、
前記容器の少なくとも本体は少なくとも2つの層を備える壁を有し、
前記2つの層の間に空洞を設けることができることを特徴とする容器。
【請求項13】
容器をブロー成形するためのプリフォームであって、
首部分と、
本体部分と、を備え、
前記首部分は、前記首部分の周りに少なくとも部分的に延在する第1のフランジと、前記首部の周りに少なくとも部分的に延在する第2のフランジとを備え、
前記第1のフランジは前記本体部分に対して前記第2のフランジよりも近く、かつ前記第1のフランジは前記首部から外方へ前記第2のフランジよりも遠くに延在し、前記第2のフランジは開口部を通って押すことができ、前記第1のフランジは前記開口部を通って押すことができず、
前記第1および前記第2のフランジは、好ましくは相互に傾斜し、要素が前記首部の軸に関して半径方向に前記表面の一方に対して押されると、前記プリフォームは前記首部の軸方向に移動される
ことを特徴とするプリフォーム。
【請求項14】
請求項13に記載のプリフォームであって、
前記第1のフランジおよび第2のフランジは相互に実質的に平行に、前記首部分の長手軸に実質的に垂直に延在し、
前記第1のフランジおよび第2のフランジの間の距離は、前記首部分の平均内部断面積の3分の1より小さく、好ましくは4分の1、さらに好ましくは5分の1より小さく、前記断面積は好ましくは約25ミリメートルより大きく、さらに好ましくは約50ミリメートルより大きい
ことを特徴とするプリフォーム。
【請求項15】
飲料をタッピングする方法であって、
圧力室の蓋を容器の首部に載置し、前記容器を前記圧力室内に挿入し、前記蓋が前記圧力室を少なくとも部分的に閉鎖するようにし、
前記容器を、第1のフランジを前記蓋の前記圧力室に面する側に対して押し付けるように引張り、その位置にロックし、それにより前記容器の前記首部がそれを通って延在する前記蓋の開口部を密閉することを特徴とする方法。



【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−532074(P2012−532074A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519488(P2012−519488)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050420
【国際公開番号】WO2011/002295
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(311005378)
【Fターム(参考)】