説明

タデの栽培方法

【課題】 紅タデを食しやすい形状に栽培する。
【解決手段】 遮光された冷暗室11で、催芽した紅タデの種子を培地の無い状態で多数集合させ、紅タデに散水する散水工程と、交絡する紅タデを水中に浸漬させた状態で解す解し工程とを定期的に実施する。冷暗室11の室温は、1日のうち半日を15℃に、残りの半日を8℃に設定する。散水工程は、水温10℃の水Wを1時間おきに1分間散水する。解し工程は、1日1回の頻度で実施する。およそ15日ほどでモヤシ状の食しやすい形状の紅タデが収穫できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタデの栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヤナギタデの栽培品種である紅タデはポリフェノールを多量に含有しており、抗酸化作用・虫歯予防・糖尿病予防・高血圧予防・動脈硬化予防等の各種効果を有していることが知られている。紅タデは刺身料理の添え物として使用されるのが一般的であるが(非特許文献1参照)、紅タデは小さくて短いから、サラダ等に使用すると皿底に沈んでしまい、洋食用としては使用しにくいものであった。特許文献1にはタデの栽培方法の技術が開示されているが、得られるタデは小さくて短いから、食しにくいものであった。
【非特許文献1】”日本新薬株式会社 ハーブの館”、[online]、日本新薬株式会社、[平成19年2月9日検索]、インターネット<URL:http://www.nippon-shinyaku.co.jp/herb/syokubutsu/0004/04_40.html>
【特許文献1】特開平8−23803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、タデを食しやすい形状に栽培することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 遮光した冷暗室でタデを栽培する方法であって、催芽した多数のタデの種子を培地を使用しない状態で集合させ、タデに散水する散水工程と、交絡するタデを水中に浸漬させた状態で解す解し工程とを定期的に実施することを特徴とする、タデの栽培方法
2) タデを通水性の袋状物に収容して栽培するようにした、前記1)記載のタデの栽培方法
3) 冷暗室の室温を、13〜17℃と9℃以下が所定時間おきに交互に調整されるように設定した、前記1)又は2)記載のタデの栽培方法
4) 1日うち10〜14時間を13〜17℃に、残りの時間を9℃以下に設定した、前記3)記載のタデの栽培方法
5) 散水工程に用いる水の水温を8〜12℃の範囲に設定した、前記1)〜4)いずれか記載のタデの栽培方法
6) 散水工程が、50〜70分おきに30秒〜2分間散水するようにしたものである、前記1)〜5)いずれか記載のタデの栽培方法
7) 解し工程が、2日に1回〜1日2回の頻度で実施するようにしたものである、前記1)〜6)いずれか記載のタデの栽培方法
8) タデが、ヤナギタデの栽培品種である紅タデである、前記1)〜7)いずれか記載のタデの栽培方法
にある。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、遮光された冷暗室で栽培するから、徒長してモヤシ状に生育する。したがって、従来のタデと比較して食しやすい形状となり、様々な洋食に応用できる食材となる。また、水中で解すから、タデを傷めることなく所定量に分けやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の冷暗室としては、遮光でき、所望の室温に調節できる空調機と、所望の水温に調節した水をシャワー状に散水できる散水機と、散水された水を室外に排水できる排水口と、タデを所定高さに配置できる棚とを備えたものが使用される。タデの種子はネット等の通水性の袋状物に入れ、これをコンテナに収容して散水機の直下に配置し、土壌等の培地を使用しない状態で栽培する。
【0007】
冷暗室の室温としては、1日のうち10〜14時間を13〜17℃に、残りの時間を9℃以下に交互に調整されるように設定するのが望ましい。常時17℃以上にすると生長が著しく早まるが、色が白くなってタデ特有の赤い色が消えるという問題があるので、少なくとも9℃以下の時間帯を10時間以上設定する。常時9℃以下でもよいが、生長が著しく遅くなり生産効率が下がることとなる。これらの室温は空調機で自動的に調整される。
【0008】
散水工程に用いる水の水温としては、8〜12℃の範囲が望ましい。8℃以下であると生長が著しく遅くなり生産効率が下がるという問題があり、12℃以上であると生長は早いが色が白くなってしまい、タデ特有の赤い色が消えるという問題がある。水量とその頻度としては、50〜70分おきに30秒〜2分間散水するのが望ましく、少ないと生長が悪く重量が少ないという問題があり、多すぎると水分過多となり商品価値が下がるという問題がある。
【0009】
解し工程としては、2日に1回〜1日2回の頻度で実施する。この解し工程は生長中の交絡を防止し、タデを傷めることなく所定量に分け易くするものである。また、解し工程はタデを水中に浸漬させた状態で実施する。この方法によれば、よりタデを傷め難いとともに、解し中に外した種子のカラを水中に廃棄でき、収穫後のカラの分離作業を省略できる。水温は10〜18℃の範囲でよい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例の栽培設備の説明図、図2は実施例の栽培のフロー、図3は実施例で栽培した紅タデの外観図である。図中、10は栽培設備、11は冷暗室、12は排水口、13は散水機、14は空調機、15は水槽、16は棚、17はコンテナ、18はネット(袋状物)、Aは紅タデ、Wは水である。
【0011】
本実施例の栽培設備10は、図1に示すように遮光できる冷暗室11の底面に排水口12を開口し、冷暗室11の上方位置に散水機13を取り付け、冷暗室11の側方位置に空調機14を取り付け、冷暗室11の下部に水槽15を取り付けて貯水し、冷暗室11の底面から30cmの高さに棚16を設置し、棚16の上面にコンテナ17を配置している。
【0012】
以下、紅タデAの栽培方法を図2のフローに基づいて説明する。
1)催芽したばかりの多数の紅タデAの種子をネット18に入れ、そのネット18をコンテナ17に収容する。
2)冷暗室11の室温は1日のうち12時間を約15℃、残りの12時間を約8℃に交互に調整されるように空調機14で設定する。
3)作業時以外は冷暗室11を遮光する。
4)水Wはおよそ1時間おきに1回1分程度コンテナ17の上方からシャワー状に散水する。水温は10℃に設定しておく。
5)収穫までは生育の状態に関係なく1日1回ネット18をコンテナ17から取り出して水槽15に浸漬させ、その状態で解す。この工程により、紅タデAを傷つけないようにして交絡を防止するとともに、種子のカラを取り外して水中に廃棄する。この工程は人手でも機械的に実施してもよい。
【0013】
以上の工程を繰り返すことで、図3に示すように約15日でピンク色のモヤシ状の紅タデAが収穫できる。左側のタデは従来の方法で栽培したものである。その後、仕上げ洗い・脱水・冷蔵(5℃以下)・包装の工程を経て冷蔵した状態で出荷される。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明で得られるタデは、各種サラダ・サンドイッチ・カルパッチョ・パスタ・ステーキ・豆腐・手巻き寿司等の食材や添え物として利用できる。本発明では紅タデについて説明したが、青タデの栽培にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例の栽培設備の説明図である。
【図2】実施例の栽培のフローである。
【図3】実施例で栽培した紅タデの外観図である。
【符号の説明】
【0016】
10 栽培設備
11 冷暗室
12 排水口
13 散水機
14 空調機
15 水槽
16 棚
17 コンテナ
18 ネット(袋状物)
A 紅タデ
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光した冷暗室でタデを栽培する方法であって、催芽した多数のタデの種子を培地を使用しない状態で集合させ、タデに散水する散水工程と、交絡するタデを水中に浸漬させた状態で解す解し工程とを定期的に実施することを特徴とする、タデの栽培方法。
【請求項2】
タデを通水性の袋状物に収容して栽培するようにした、請求項1記載のタデの栽培方法。
【請求項3】
冷暗室の室温を、13〜17℃と9℃以下が所定時間おきに交互に調整されるように設定した、請求項1又は2記載のタデの栽培方法。
【請求項4】
1日うち10〜14時間を13〜17℃に、残りの時間を9℃以下に設定した、請求項3記載のタデの栽培方法。
【請求項5】
散水工程に用いる水の水温を8〜12℃の範囲に設定した、請求項1〜4いずれか記載のタデの栽培方法。
【請求項6】
散水工程が、50〜70分おきに30秒〜2分間散水するようにしたものである、請求項1〜5いずれか記載のタデの栽培方法。
【請求項7】
解し工程が、2日に1回〜1日2回の頻度で実施するようにしたものである、請求項1〜6いずれか記載のタデの栽培方法。
【請求項8】
タデが、ヤナギタデの栽培品種である紅タデである、請求項1〜7いずれか記載のタデの栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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