説明

タンパク質−タンパク質相互作用のアッセイ方法

本発明は、一部は、少なくとも2つのタンパク質の間の相互作用を検出、モニター、測定または評価するための方法に関する。本発明は、一部は、試験化合物または化合物の混合物が少なくとも2つのタンパク質の間の相互作用を調節するかどうかを決定するための方法にも関する。いくつかの実施形態では、決定は2つの組換え分子の使用を介して可能となり、例えばそのうちの一方はタンパク質分解分子に対する第1タンパク質切断部位、および遺伝子のアクチベーターを含む。第2組換え分子は、第2タンパク質およびタンパク質分解分子を含んでいてもよい。種々の他のフォーマットが本発明により提供される。いくつかの実施形態では、試験化合物が第1タンパク質に結合する場合に、反応が開始され、それによりアクチベーターが切断され、レポーター遺伝子が活性化される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2006年3月16日出願の米国特許仮出願番号第60/782,980号の恩典を主張する。この米国特許仮出願の開示は、全体として、参照によって本明細書中に引用したものとする。
【0002】
本願は、2004年4月27日出願の米国特許仮出願番号第60/566,113号の恩典を主張する2004年7月9日出願の米国特許出願番号第10/888,313号の一部継続出願であり、これは、2003年10月15日出願の米国特許仮出願番号第60/511,918号および2003年7月9日出願の仮出願番号第60/485,968号の優先権を主張する。これらは、全体として、参照によって本明細書中に引用したものとする。
【0003】
発明の分野
本発明は、1つ以上の試験化合物が、特異的なタンパク質/タンパク質相互作用を調節するかどうかを測定する方法に関する。具体的な実施形態では、この相互作用は、タンパク質またはタンパク質の一部分などの、分子の細胞内活性または細胞外活性の結果として測定される。これらの細胞内活性は、例えば関心対象の分子間の上述の相互作用によって始まる。本発明はまた、一部には、活性化の有無が調節の有無から生じる場合に細胞中のレポーター遺伝子の活性化を測定することによって、試験化合物と呼ぶ特定の物質が関心対象の2つ以上の特異的なタンパク質の相互作用を調節するかどうかを決定することにも関連する。具体的な実施形態では、測定は形質転換細胞またはトランスフェクト細胞を使用して行われる。この点もまた、細胞を形質転換またはトランスフェクトするために使用する薬剤と共に、本発明の特徴である。
【背景技術】
【0004】
背景および関連技術
受容体に対するリガンドの同定が例に挙げられる、タンパク質/タンパク質相互作用の研究は、非常に興味深い領域である。所定の受容体に対する1つまたは複数のリガンドが公知である場合でさえも、より効果的またはより選択的なリガンドを同定することには興味が持たれている。本明細書中では、GPCRがこの方法で研究することができるクラスのタンパク質の非排他的な例として考察される。これらの方法で研究することができる他のクラスのタンパク質としては、細胞受容体、イオンチャネル、増殖因子受容体、およびサイトカイン受容体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0005】
Gタンパク質共役受容体、または以下「GPCR」は、ヒトについて公知の最も大きいクラスの細胞表面受容体である。ホルモン、神経伝達物質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、ヌクレオチド、およびイオンは、GPCRによって認識されるリガンドの仲間である。これらは、光、臭い、フェロモン、および味覚に対する受容体としても作用する。これらは様々な役割を果たすので、それらが種々の病気に有用な薬物を探索する集中的な研究の対象であることは驚くことではない。その成功にはすでに目を見張るものがある。実際、Howardら、Trends Pharmacol.Sci.,22:132−140(2001)では、市販されている薬物の50%超が係る受容体に作用すると見積もっている。本明細書中で使用する「GPCR」は、7つの膜貫通領域(7TM)構造を特徴とする受容体のGPCRスーパーファミリーの任意のメンバーを指す。これらの受容体の例としては、クラスA受容体、すなわち「ロドプシン様受容体」、クラスB受容体、すなわち「セクレチン様受容体」、クラスC受容体、すなわち「代謝型グルタミン酸様受容体」、Frizzled関連受容体およびSmoothened関連受容体、接着受容体ファミリーまたはEGF−7TM/LNB−7TM受容体、アディポネクチン受容体および関連する受容体、ならびに嗅覚受容体、味覚受容体、鋤鼻受容体、フェロモン受容体を含む化学感覚受容体が挙げられるがこれらに限定されない。例として、ヒトにおけるGPCRスーパーファミリーとしては、Vassilatisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100:4903−4908(2003);Takedaら、FEBS Letters,520:97−101(2002);Fredrickssonら、Mol.Pharmacol.,63:1256−1272(2003);Glusmanら、Genome Res.,11:685−702(2001);およびZozulyaら、Genome Biol.,2:0018.1−0018.12(2001)に記載される受容体分子が挙げられるがこれらに限定されない。これらの文献の全ては、参照によって本明細書中に引用したものとする。
【0006】
GPCRが機能する作用機構は、ある程度は解説されている。手短に言えば、GPCRがリガンドに結合すると構造変化が起こり、細胞生理の変化を導く反応のカスケードを刺激する。GPCRは、細胞内のヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質、すなわち「Gタンパク質」の活性を調節することによりシグナルを伝達すると考えられている。リガンドおよび受容体の複合体は、Gタンパク質へテロ三量体のグアニンヌクレオチド交換、ならびにαサブユニットおよびβγサブユニットへの解離を刺激する。
【0007】
GTP結合αサブユニットおよびβγ二量体は共に、アデニリルシクラーゼおよびホスホリパーゼC(PLC)などの種々の細胞エフェクタータンパク質を調節するように作用することができる。GPCRについての従来の細胞ベースのアッセイでは、受容体活性は、Gタンパク質調節エフェクター経路の産生物(例えば、アデニリルシクラーゼによって生産されるcAMPの蓄積、またはPLC活性により刺激される細胞内カルシウムの放出)を測定することによりモニターされる。
【0008】
ある場合には、従来のGタンパク質ベースのシグナル伝達アッセイは、2つの主要な問題点の結果、ある標的に対しては開発することが困難であった。
【0009】
第1に、異なるGPCRは異なるGタンパク質調節シグナル伝達経路に共役し、かつGタンパク質ベースのアッセイは、標的受容体のGタンパク質特異性を知ることに依存するか、または細胞系を改変してその標的受容体を特定のエフェクター経路に強制的に共役させることを必要とする。第2に、全ての細胞は、多数の内因性GPCRおよび他のシグナル伝達因子を発現する。結果として、測定されるエフェクター経路は、標的のGPCRに加えて他の内因性分子によっても調節される可能性があり、偽の結果が導かれることになりかねない。
【0010】
Gタンパク質活性の制御は、リガンド/GPCR結合の唯一の結果ではない。Luttrellら、J.Cell Sci.,115:455−465(2002)およびFerguson,Pharmacol.Rev.,53:1−24(2001)(これら両方の文献は、参照によって本明細書中に引用したものとする)では、GPCRシグナルの終結に繋がる他の活性を概説している。これらの終結プロセスにより、過剰な細胞刺激が妨げられ、細胞外シグナルと対応する細胞内経路との間の一時的な連結が強化される。
【0011】
アゴニストがGPCRに結合する場合には、GPCR分子のC末端のセリンおよびトレオニン残基がリン酸化される。このリン酸化はGPCRキナーゼすなわち「GRK」ファミリーによってもたらされる。アゴニストが複合体を形成すると、C末端でリン酸化されたGPCRは、受容体シグナル伝達を「捕捉する」アレスチンファミリーのメンバーと相互作用する。この結合は受容体がGタンパク質に共役することを阻害し、これにより内在化、さらには分解および/またはリサイクリングのために受容体を標的化する。従って、リガンドがGPCRに結合することは、GPCRとアレスチンタンパク質との間の相互作用を「調節する」ことと言うことができる。なぜなら、リガンドがGPCRに結合すると、アレスチンがGPCRに結合することになり、これによりその活性が調節されるからである。以降、「調節する」またはそのあらゆる変化形を使用する時は、その語は、試験化合物が存在しない場合に本発明の2つのタンパク質が相互作用する程度と比較した、試験化合物が存在する場合にそれらの2つのタンパク質が相互作用する仕方の何らかの変化を単に指す。例えば、試験化合物が存在すると、それら2つのタンパク質の相互作用は、後に検出できる何らかの方法、様式または形式で強まるかまたは増強されるか、弱まるか、阻害されるか、または低下する場合がある。
【0012】
この背景情報に基づき、GPCRの活性化および阻害をアッセイする別の方法が導かれた。これらの方法は、アレスチンとの相互作用をモニターすることを含む。このアプローチの主な利点は、Gタンパク質経路を知る必要はないことである。
【0013】
Oakleyら、Assay Drug Dev.Technol.,1:21−30(2002)および米国特許第5,891,646号および同第6,110,693号(参照によってこれらを援用したものとする)は、細胞質中の、蛍光標識したアレスチン分子の、細胞表面上の活性化受容体への再分布を測定するアッセイを記載している。これらの方法は、アレスチン再局在化および受容体活性化を測定するため、細胞の高分解画像化に依存する。これが複雑で入り組んだ手順であることを当業者は理解すると考えられる。
【0014】
これらの点を扱った種々の他の米国特許が発行され、そして特許出願が出願されている。例えば、Bohnらに対する米国特許第6,528,271号は、β−アレスチン結合の阻害剤を測定する、疼痛を制御する医薬をスクリーニングするためのアッセイを扱っている。例えば米国特許出願公開第2004/0002119号、同第2003/0157553号、同第2003/0143626号および同第2002/0132327号、ならびに米国特許第7,049,076号は、GPCRが関与する異なる形態のアッセイを記載している。米国特許出願公開第2002/0106379号は以下の実施例で使用する構築物を記載しているが、本明細書中に記載する本発明を教示もしていなければ示唆もしていない。
【0015】
タンパク質相補性に基づく方法は、細胞内のタンパク質−タンパク質相互作用の動力学を研究するための一般的な方法になりつつある(RemyおよびMichnick,Nature Methods 3(12):977−979(2006))。この戦略では、関心対象の2つのタンパク質をレポータータンパク質の相補性フラグメントへと融合させる。タンパク質が相互作用すると、レポーターフラグメントは一緒になり、天然の構造へと折り畳まれ、PCAレポーター活性が再構成される(例えば、Michnick,Curr.Opin.Struct.Biol.11:472−477(2001)を参照)。シグナルは固有のフルオロフォアによってもたらされるので、蛍光タンパク質に基づくいくつかの関連する方法が存在する(例えば、Ghoshら、Am.Chem.Soc.122:5658−5659(2000);Huら、Mol.Cell 9:789−798(2002);RemyおよびMichnick,Methods 32:381−388(2004);Remyら、Nat.Cell Biol.6:358−365(2004);Maglieryら、J.Am.Chem.Soc.127:146−157(2005);ならびにMacdonaldら、Nat.Chem.Biol.2:329−337(2006)を参照のこと)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特異的なタンパク質/タンパク質相互作用の調節をモニターし、かつ/または決定するためのアッセイ(例えば、より簡単なアッセイ)を開発することが本発明の目的である。本発明におけるタンパク質としては、受容体、GPCR、イオンチャネル、増殖因子受容体およびサイトカイン受容体のような膜結合性タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。どのようにしてこれを実現するかを、以下の説明および実施例において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の概要
本発明は、一部は、少なくとも2つのタンパク質の、タンパク質−タンパク質相互作用に関する。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも2つのタンパク質の相互作用が、検出可能なシグナル(例えば、蛍光、発色)をもたらす。本発明のいくつかの実施形態では、この少なくとも2つのタンパク質の相互作用が、2つの他のタンパク質(例えば、プロテアーゼおよびその認識部位)を分子の近接領域内に近づける。この2つの他のタンパク質の相互作用を検出してもよい。例えば、この特徴を利用して、1つ以上の試験タンパク質に関連する検出可能なタンパク質またはタンパク質フラグメントを、切断し放出することができる。
【0018】
本発明は、一部は、少なくとも2つのタンパク質の間の相互作用を検出、モニター、測定または評価するための方法に関する。本発明はまた、一部は、試験化合物または化合物の混合物が、少なくとも2つのタンパク質の間の相互作用を調節するかどうかを決定する方法に関する。いくつかの実施形態では、この決定は、2つの組換え分子の使用によって可能になる。例えば、この組換え分子の一方は、タンパク質分解分子に対する第1タンパク質切断部位および遺伝子のアクチベーターを含む。もう一方の組換え分子は、第2タンパク質およびタンパク質分解分子を含んでいてよい。種々の他のフォーマットが本発明により提供される。いくつかの実施形態では、試験化合物が第1タンパク質に結合すると、反応が開始され、それによりアクチベーターが切断され、レポーター遺伝子を活性化する。
【0019】
このようにして、本発明により、試験化合物が、関心対象の特異的なタンパク質/タンパク質相互作用を調節するかどうかを決定するための方法が一部提供される。本発明のいくつかの方法は、化合物を、
(a)(i)第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分に対する切断部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)(x)細胞内で刺激、活性化、もしくは抑制することによりレポーター遺伝子を調節するタンパク質、(y)放出後、タンパク質の第2の不活性部分を完成させて、直接または間接的なシグナルを生成する完全なタンパク質を生成する、タンパク質の第1の不活性部分、または(z)放出後、細胞内で移動、再分配、転座、もしくは別様に位置変更(例えば特異的細胞小器官への標的化された移動)する際に追跡することができるタンパク質またはタンパク質の一部分、のうちの1つをコードするヌクレオチド配列
を含む核酸分子、および
(b)(i)試験化合物の存在下での第1タンパク質との相互作用を測定しようとしている第2試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)切断部位に特異的なプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列と
を含む核酸分子
で形質転換またはトランスフェクトされた細胞に接触させる工程、ならびに
化合物がタンパク質/タンパク質相互作用を調節するかどうかの決定として、レポーター遺伝子の遺伝子産物の活性、完全タンパク質が直接もしくは間接的に生成する任意のシグナル、または細胞内で検出可能なシグナルを生成するタンパク質の移動のうちの1つを測定する工程、を含む。蛍光タンパク質(例えば、明確な色を生成する)は、追跡できるタンパク質の例である。
【0020】
第1試験タンパク質は、膜貫通受容体(例えばGPCR)のような膜結合性タンパク質であってもよい。具体的な膜貫通受容体としては、β2−アドレナリン受容体(ADRB2)、アルギニンバソプレシン受容体2(AVPR2)、セロトニン受容体1a(HTR1A)、m2ムスカリン性アセチルコリン受容体(CHRM2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体5(CCR5)、ドーパミンD2受容体(DRD2)、κオピオイド受容体(OPRK)、またはα1a−アドレナリン受容体 (ADRA1A)が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、全ての場合において、本発明はこれらの具体的な実施形態に限定されないことは理解すべきである。例えば、チロシンキナーゼであるインスリン増殖因子−1受容体(IGF−1R)のような分子、ならびに通常は膜結合性でないタンパク質(例えば、エストロゲン受容体1(ESR1)およびエストロゲン受容体2(ESR2))は、本発明において利用することができる。プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分は、タバコエッチウイルス(tobacco etch virus)核内封入体Aプロテアーゼであってもよい。この実施形態を使用する場合、レポーター遺伝子を調節、阻害または活性化するタンパク質は、転写因子(例えば、tTAまたはGAL4)であってもよい。レポーター遺伝子の調節は、例えば核酸レベル(例えばRNA)、タンパク質発現、光学的シグナル(例えば、蛍光または発色)および酵素反応を測定または検出することにより、決定することができる。この実施形態を使用する場合、タンパク質の第1の不活性な部分は、酵素の不活性な部分または直接に決定できるタンパク質(例えば、本明細書中で考察するものを含む蛍光タンパク質)の不活性な部分であってもよい。例えば、Cabantousら、Nature Biotechnology,23:102−107(2005)、Huら、Mol Cell 9:789−98(2002)およびGhoshら、J Am Chem Soc 122:5658−5659(2000)を参照のこと。これらの文献は、参照によってその全体を本明細書に引用したものとする。この実施形態を使用する場合、検出可能なシグナルを生成するタンパク質またはタンパク質の一部分は、蛍光タンパク質、または細胞内での移動の際に直接または間接的に測定することができる任意のタンパク質であってよい。第2タンパク質はアレスチンのような阻害タンパク質であってもよい。細胞は、真核細胞であっても原核細胞であってもよい。レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼ(Bla)、またはルシフェラーゼのような外来遺伝子であってよい。
【0021】
第2試験タンパク質との相互作用を高めるために、第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列を修飾してもよい。このような修飾としては、第1試験タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全てまたは一部を、元の配列よりも第2試験タンパク質に対して高い親和性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で置き換えることが挙げられるが、これに限定されない。例えば、C末端領域を、AVPR2、AGTRLI、GRPR、F2RL1、CXCR2/IL−8b、CCR4、またはGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列で置き換えてもよい。
【0022】
本発明のいくつかの方法は、複数の試験化合物を複数の細胞試料に接触させる工程であって、試料の各々が1つ以上の試験化合物によって接触され、細胞試料の各々が上述の核酸分子のいずれかで形質転換またはトランスフェクトされている工程と、前記複数の試料におけるレポーター遺伝子の活性を測定して、試験化合物のいずれかが特異的なタンパク質/タンパク質相互作用を調節するかどうかを決定する工程とを含む。いくつかの方法は、全て互いに異なる前記試料の各々を1つの試験化合物と接触させる工程を含むか、または前記試料の各々を前記試験化合物の混合物と接触させる工程を含む。
【0023】
別の実施形態では、試験化合物が関心対象の複数のタンパク質相互作用のうちの1つ以上を調節するかどうかを決定するための方法が提供される。これらの方法のいくつかは、試験化合物を複数の細胞試料に接触させる工程であって、その細胞試料の各々は(a)(i)第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列(ヌクレオチド配列はプロテアーゼに対する切断部位をコードする)と、(ii)その細胞中でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む第1核酸分子、(b)(i)関心対象の前記試験化合物の存在下での前記第1試験タンパク質との相互作用を測定しようとしている第2試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記切断部位に特異的なプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列とを含む第2核酸分子、で形質転換またはトランスフェクトされており、前記第1試験タンパク質は複数の試料の各々における他の第1試験タンパク質とは異なる工程、および前記複数の試料の少なくとも1つ以上における前記レポーター遺伝子の活性を、関心対象の1つ以上のタンパク質相互作用を調節するかどうかの決定として測定する工程とを含む。
【0024】
第2試験タンパク質は各試料において異なっていてもよく、各試料において同一であってもよい。試料の全てを共通の容器中で混合してもよく、各試料は異なる対の第1試験タンパク質および第2試験タンパク質を含んでいてもよい。あるいは、各試料を異なる容器中で試験してもよい。所定の試料中のレポーター遺伝子は、他の試料中のレポーター遺伝子と異なっていてもよい。試験化合物の混合物は、脳脊髄液、尿、血液、血清、膿汁、腹水、滑液、組織抽出液、細胞溶解液または浸出液のような生物試料を含んでいてもよく、それら生物試料中に存在してもよい。
【0025】
さらに別の実施形態では、(a)(i)第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分に対する切断部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む核酸分子、および(b)(i)試験化合物の存在下での第1タンパク質との相互作用を測定しようとしている第2試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)前記切断部位に特異的なプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列とを含む核酸分子で、形質転換またはトランスフェクトされた組換え細胞が提供される。
【0026】
上記核酸分子の一方または両方は、上記細胞のゲノム中に安定的に組込まれてもよい。この細胞は、レポーター遺伝子で形質転換またはトランスフェクトされていてもよい。第1試験タンパク質は、膜貫通受容体のような膜結合性タンパク質、特にGPCRであってもよい。具体的な膜貫通受容体としては、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、またはADRA1Aが挙げられる。
【0027】
プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分は、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼであってもよい。レポーター遺伝子を活性化するタンパク質は転写因子(例えば、tTAまたはGAL4)であってもよい。第2タンパク質は阻害タンパク質であってもよい。細胞は、真核細胞であっても原核細胞であってもよい。レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼ、またはルシフェラーゼのような外来遺伝子であってよい。第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列を、例えば第1試験タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全てまたは一部を元の配列よりも第2試験タンパク質に対して高い親和性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で置き換えることにより修飾して、第2試験タンパク質との相互作用を高めてもよい。C末端領域は、AVPR2、AGTRLI、GRPR、F2RL1、CXCR2/IL−8B、CCR4、またはGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列で置き換えてもよい。
【0028】
なおさらに別の実施形態では、(i)試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列、(ii)プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分に対する切断部位をコードするヌクレオチド配列、および(iii)細胞中のレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離した核酸分子が提供される。試験タンパク質は、膜貫通受容体のような膜結合性タンパク質であってもよい。特定のタイプの膜貫通タンパク質はGPCRである。特定の膜貫通受容体としては、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、またはADRA1Aが挙げられる。プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分は、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼであってもよい。レポーター遺伝子を活性化するタンパク質は転写因子(例えば、tTAまたはGAL4)であってもよい。上記のように、本発明はこれらの具体的な実施形態に限定されるものと見なされるべきではない。
【0029】
さらに別の実施形態では、上述の(a)および(b)で形質転換またはトランスフェクトされた組換え細胞が提供される。上記核酸分子の一方または両方は、上記細胞のゲノム中に安定的に組込まれてもよい。この実施形態を使用する場合、この細胞は、レポーター遺伝子で形質転換またはトランスフェクトされていてもよく、すでに形質転換またはトランスフェクトされたものであってもよい。第1試験タンパク質は、膜貫通受容体、GPCR、細胞受容体、イオンチャネル、増殖因子受容体またはサイトカイン受容体のような膜結合性タンパク質であってもよい。具体的な膜貫通受容体としては、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、またはADRA1Aが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分は、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼであってもよい。この実施形態を使用する場合、レポーター遺伝子を調節するタンパク質は転写因子(例えば、tTAまたはGAL4)であってもよい。調節因子に由来する任意の遺伝子産物、例えば、核酸分子(例えば、RNA)またはタンパク質を測定することができる。第1構築物が(y)、すなわちタンパク質の第2の不活性部分と組み合わさり機能性タンパク質を生成する第1の不活性部分を含有する場合、それは酵素の一部分、または蛍光タンパク質のような直接測定可能なタンパク質の一部分であってもよい。このタンパク質またはタンパク質の一部分が、以下で詳細に説明するように細胞内での移動によって検出可能なシグナルを与える時、すなわち構築物が(z)を含む時、構築物は蛍光タンパク質もしくは蛍光タンパク質の一部分、または動きがモニターされ得る任意の他のタンパク質もしくはタンパク質の一部分をコードしてもよい。第2タンパク質は阻害タンパク質であってもよい。細胞は、真核細胞であっても原核細胞であってもよい。レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、エクオリン、ニトロ還元酵素、β−グルクロニダーゼ、β−ラクタマーゼまたはアルカリホスファターゼのような外来遺伝子であってよい。同様に、実施形態(y)を使用する場合、これはエクオリン、ニトロ還元酵素、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−ラクタマーゼ、アルカリホスファターゼまたは当該分野で公知の任意の他の酵素の不活性部分であってもよい。(z)、例えば検出可能なシグナルを生成するタンパク質をコードする核酸分子を使用する実施形態では、タンパク質は直接測定可能なタンパク質、例えば蛍光タンパク質(例としては、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質または測定することができる任意のタンパク質もしくはタンパク質の一部分が挙げられる)であってもよい。
【0031】
係るタンパク質の例は、細胞を通る移動の際に標識した結合パートナー(例えば、蛍光標識した結合パートナーまたはハロゲン標識した結合パートナー)と相互作用して検出可能なシグナルを生成する、全タンパク質またはタンパク質のエピトープ部分のいずれかである。本明細書においては抗原−抗体相互作用を考察し、本発明の特徴である構築物は、抗体またはエピトープまたは全抗原タンパク質をコードしてもよい。第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、例えば第1試験タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全てまたは一部を元の配列よりも第2試験タンパク質に対して高い親和性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で置き換えることにより修飾して、第2試験タンパク質との相互作用を高めてもよい。C末端領域は、AVPR2、AGTRLI、GRPR、F2RL1、CXCR2/IL−8B、CCR4、またはGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列で置き換えてもよい。
【0032】
本発明の実施形態は、単離された核酸分子の提供に関する。これらの実施形態のいくつかは、(i)試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列、(ii)プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分に対する切断部位をコードするヌクレオチド配列、および(iii)細胞中のレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。試験タンパク質は、膜貫通受容体のような膜結合性タンパク質であってもよい。特定のタイプの膜貫通タンパク質はGPCRである。特定の膜貫通受容体としては、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、またはADRA1Aが挙げられる。プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分は、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼであってもよい。レポーター遺伝子を活性化するタンパク質は転写因子(例えば、tTAまたはGAL4)であってもよい。上記のように、本発明はこれらの具体的な実施形態に限定されるものと見なされるべきではない。
【0033】
なお別の実施形態では、単離された核酸分子を含む発現ベクターが提供される。これらの実施形態のいくつかは、(i)試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列、(ii)プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分に対する切断部位をコードするヌクレオチド配列、および(iii)細胞中のレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードし、さらにプロモーターに作動可能に連結されているヌクレオチド配列を含む。
【0034】
さらに別の実施形態では、単離された核酸分子が提供される。いくつかの実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、(i)試験化合物の存在下で別の試験タンパク質との相互作用を測定しようとしている試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)切断部位に特異的であるプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列とを含む。試験タンパク質は、アレスチンのような阻害タンパク質であってよい。
【0035】
単離された核酸分子を含む発現ベクターも提供される。いくつかの実施形態では、これらの単離された核酸分子は、(i)試験化合物の存在下で別の試験タンパク質との相互作用を測定しようとしている試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)切断部位に特異的であるプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列を含み、この核酸はさらにプロモーターに作動可能に連結されている。
【0036】
さらなる実施形態は、本明細書中に記載される核酸分子構築物の発現により生産される融合タンパク質を含む。
【0037】
さらに別の実施形態では、試験化合物が関心対象の特異的なタンパク質/タンパク質相互作用を調節するかどうかを決定するのに有用な試験キットが、提供される。このキットは、本明細書においてこれまでにまたは以下で説明される核酸分子構築物(a)および(b)の各々の別個の部分を含む。
【0038】
第1試験タンパク質は、膜貫通受容体のような膜結合性タンパク質であってもよい。特定のタイプの膜貫通タンパク質はGPCRである。特定の膜貫通タンパク質はGPCRである。特定の膜貫通受容体としては、ADRB2、AVPR2、HTR1A、CHRM2、CCR5、DRD2、OPRK、またはADRA1Aが挙げられる。プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分は、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼであってもよい。レポーター遺伝子を活性化するタンパク質は転写因子(例えば、tTAまたはGAL4)であってもよい。第2タンパク質は、アレスチンのような阻害タンパク質であってよい。本発明のキットはさらに、レポーター遺伝子をコードする単離した核酸分子の別個の部分を含んでいてもよい。レポーター遺伝子は、任意のレポータータンパク質(例えば、Bla、β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼ)をコードしてもよい。第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、例えば第1試験タンパク質のC末端領域のヌクレオチド配列の全てまたは一部を、元の配列よりも第2試験タンパク質に対して高い親和性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で置き換えることにより修飾して、第2試験タンパク質との相互作用を高めてもよい。C末端領域のヌクレオチド配列は、AVPR2、AGTRLI、GRPR、F2RL1、CXCR2/IL−8B、CCR4、またはGRPRのC末端領域をコードするヌクレオチド配列で置き換えてもよい。
【0039】
(i)試験化合物の存在下で別の試験タンパク質との相互作用を測定しようとしている試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)上記切断部位に特異的であるプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列を含み、さらにプロモーターに作動可能に連結されている、単離された核酸分子を含む発現ベクターも提供される。
【0040】
さらなる実施形態は、以下の単離した核酸分子の発現により生産される融合タンパク質を含む:
(i)試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分に対する切断部位をコードするヌクレオチド配列と、(iii)上記細胞内でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードし、かつさらにプロモーターに作動可能に連結されている、ヌクレオチド配列とを含む単離した核酸分子、あるいは、
(i)試験化合物の存在下で別の試験タンパク質との相互作用を測定しようとしている試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)上記切断部位に特異的なプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列とを含む単離した核酸分子。
【0041】
さらに別の実施形態では、関心対象の特異的なタンパク質/タンパク質相互作用を試験化合物が調節するかどうかを決定するための試験キットが、提供される。このキットは、(a)前記第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列、(i)プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分に対する切断部位をコードするヌクレオチド配列と、(ii)その細胞中でレポーター遺伝子を活性化するタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む核酸分子とを含む核酸分子と、(b)(i)試験化合物の存在下で上記第1試験タンパク質との相互作用を測定しようとしている第2試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、(ii)上記切断部位に特異的なプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列とを含む核酸分子との各々の別々の部分と、(a)または(b)の各々を互いから別々に保持するための容器手段とを含む。
【0042】
本明細書中に記載する任意の方法または組成物は、本明細書中に記載する任意の他の方法または組成物についても実施できるということを想定している。請求項および/または明細書において用語「含む(comprising)」と共に使用する場合、語「1つの(a)」または「1つの(an)」は「1つ(one)」を意味することもあるが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」および「1つかまたは1つよりも多く」の意味と同じである。
【0043】
本発明のこれらの実施形態および他の実施形態は、以下の説明および添付の図面と合わせて考察するとよりよく認識かつ理解されると考えられる。しかしながら、以下の説明は本発明の種々の実施形態およびその多くの具体的な詳細な内容を示してはいるが、それらは説明のために提供されているのであって、限定のためのものではないことを理解すべきである。本発明の技術思想から逸脱することなく、本発明の範囲内で多くの置換、修正、追加および/または再配列がなされてもよく、本発明は全ての係る置換、修正、追加および/または再配列を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
発明の詳細な説明
本発明は、関心対象の物質が、第1試験タンパク質(例えば、受容体(例えば膜貫通受容体)のような膜結合性タンパク質)と、アレスチンファミリーのメンバーのような第2試験タンパク質との相互作用を調節するかどうかを決定するための方法に関する。この方法は、原核細胞であっても真核細胞であってもよい細胞を、2つの構築物で同時形質転換またはコトランスフェクトすることを含む。別の実施形態では、第1構築物は、(i)膜貫通受容体のような第1試験タンパク質と、(ii)プロテアーゼに対する切断部位と、および(iii)(x)細胞内でレポーター遺伝子を調節するタンパク質、(y)放出の際にタンパク質の第2不活性部分を完成させて直接または間接的なシグナルを生成する完全タンパク質を生産するタンパク質の第1不活性部分、および(z)その細胞内での移動によって検出可能なシグナルを生成するタンパク質またはタンパク質の一部分、のうちの1つをコードする配列とを含む。いくつかの実施形態では、第2構築物は、(i)第1試験タンパク質との相互作用が測定および/または決定される第2試験タンパク質をコードする配列、および(ii)第1試験構築物の一部である切断部位に作用するのに十分なプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、これらの構築物は安定的に細胞中に一体化される。
【0045】
さらには、本発明は、プロテアーゼのための認識および切断部位、ならびに検出可能なペプチド/ポリペプチドを含む第1試験タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、検出可能なペプチド/ポリペプチドは、認識および切断部位で認識/切断するプロテアーゼによって第1試験タンパク質から切断される。いくつかの実施形態では、検出可能なペプチド/ポリペプチドは、第2試験タンパク質と会合(例えば、融合)したプロテアーゼによって第1試験タンパク質から切断され得る。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質は、細胞中、動物中、動物の外部で、インビボで、エクスビボで、および/またはインビトロで膜に結合していてもよく、膜に結合していなくてもよい。
【0046】
検出可能なペプチド/ポリペプチド(DPP)は、直接または間接的な方法によって検出することができる。例えば、DPPは、切断された時と比較して融合タンパク質の一部である時とは蛍光が異なる蛍光タンパク質であってよい。例えば、ポリペプチドの蛍光は、切断された時増大することもあれば減少することもある。いくつかの実施形態では、DPPは、例えば基質および/または生成物が検出可能である基質を用いて検出可能である、酵素である。いくつかの実施形態では、DPPは、その活性が融合タンパク質から切断された時に変化するタンパク質(例えば、Blaのような酵素)であってもよい。例えば、活性は、その融合タンパク質からの切断の際に増加または減少してよい。いくつかの実施形態では、DPPは、タンパク質フラグメント相補対のメンバーである。この実施形態では、DPPは第1試験タンパク質から切断され、タンパク質フラグメント相補対の第2メンバーと「自由に」相互作用して、レポータータンパク質(例えば、酵素または蛍光タンパク質)を生産する。
【0047】
本発明の実施形態のいくつかの特徴を、絵を用いて図1に示す。手短に言えば、まず標準的な技法を用いて転写因子をコードするDNAを、研究する第1試験タンパク質(例えば、膜貫通受容体分子)をコードするDNAに融合させる。この融合は、実験で使用される宿主細胞によって発現されていないか、または比較的低いレベルで内因性発現されたプロテアーゼのための認識および切断部位を内包することを伴う。この第1融合タンパク質をコードするDNAは、第1試験タンパク質(例えば、受容体)に融合された転写因子に依存するプロモーター要素の制御の下で、レポーター遺伝子配列をも含む細胞に導入され、その細胞によって発現される。外来性のプロテアーゼが存在せず、かつ/またはそれが第1試験タンパク質に近接しない場合は、転写因子は第1試験タンパク質に繋ぎ止められたままであり、核に侵入してレポーター遺伝子の発現を刺激することはできない。
【0048】
組換え技法も第2融合タンパク質を生産するために使用することができる。例えば、図1に示す実施形態では、アレスチンファミリーのメンバーをコードするDNAは、プロテアーゼ(例えば、外来性のもの)をコードするDNA分子に融合され、第2試験タンパク質(例えば、アレスチンファミリーのメンバー)を含む第2融合タンパク質を与える。
【0049】
第2融合タンパク質が第1融合タンパク質と共に発現され、例えば特定の長さの時間の間試験化合物が細胞と接触させられるアッセイが、次いで実施される。例えば、第1試験タンパク質および第2試験タンパク質の会合を刺激、促進、または増強することによって、その試験化合物がこの2つの試験タンパク質の相互作用を調節する場合には、これは、例えばDPP(例えば、転写因子。これは次に核に移動してレポーター遺伝子の発現を誘発する)の放出を導き得る。レポーター遺伝子の活性は、測定することができる。
【0050】
別の系では、2つの試験タンパク質は試験化合物の不存在下で相互作用してもよく、試験化合物が2つの試験タンパク質を解離させ、相互作用を低下させるかまたは相互作用を阻害してもよい。このような場合、試験化合物の存在下では、細胞中の機能的に活性な遊離の転写因子のレベルは低下し、タンパク質分解の低下、そしてレポーター遺伝子活性の測定可能な程度の低下が引き起こされる。
【0051】
図1に示す実施形態では、第2試験タンパク質であるアレスチンタンパク質はアゴニストの存在下で受容体に結合する。しかしながら、受容体はただ1つのタンパク質であるため、アッセイは受容体分子の使用に依存しないし、アゴニストの結合は関与することができる唯一の相互作用でもないことを理解するべきである。膜貫通タンパク質の対象は明らかであるが、任意のタンパク質で十分である。さらに、受容体へのアゴニストの結合がアッセイできる唯一のタイプの結合ではない。アンタゴニスト自体を決定することができ、また本発明に係る異なるアンタゴニストおよび/またはアゴニストの相対強度を決定することもできる。
【0052】
第1構築物の実施形態(y)を使用する場合、タンパク質の第1の不活性部分は、放出の際にタンパク質の第2の不活性部分を細胞内で完成させ、直接(例えば、蛍光によって)または間接的に(例えば、活性な酵素を形成することにより)シグナルを生成する完全な活性タンパク質をもたらし、次いでこれが基質に作用してシグナル(例えば、色もしくは蛍光、または色もしくは蛍光の変化)を生成する。
【0053】
構築物(a)の実施形態(z)を使用する場合、検出可能なタンパク質は細胞内での場所を変え、そしてその破壊、転座、再局在化(例えば、特異的な細胞小器官)を決定することによって、研究しているタンパク質−タンパク質相互作用を決定または検出することができる。タンパク質の一部分の転座がどのように測定され得るかという具体的な例は、Wehrmanら、Nature Methods,2:521−527(2005)に見ることができる。この文献を、参照により引用したものとする。他の系は当業者に公知である。
【0054】
I.発現構築物および形質転換
用語「ベクター」は、核酸配列が複製され得る細胞への導入のために核酸配列を挿入することができる担体核酸分子を指すために使用する。核酸配列は「外来性」であってもよく、これはベクターが導入されている細胞に対して外来であるか、またはその配列が、宿主細胞核酸内の位置に通常見られない細胞中の配列と相同的であることを意味する。ベクターとしては、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)ならびに人工染色体(例えば、YAC)が挙げられる。当該分野の当業者は、標準的な組換え技術によってベクターを構築するための素養を十分に身につけている(例えば、Maniatisら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor,1990)およびAusubelら,1994,Current Protocols In Molecular Biology(John Wiley & Sons,1996)を参照)。これらの文献を参照によって本明細書に引用したものとする。
【0055】
用語「発現ベクター」は、転写可能なRNAをコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝子構築物を指す。いくつかの場合では、次いでRNA分子は、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳される。他の場合では、これらの配列は、例えばアンチセンス分子またはリボザイムの生産においては翻訳されない。発現ベクターは、種々の「制御配列」を含むことができる。この「制御配列」は、特定の宿主細胞において作動可能に連結されたコード配列の、転写および恐らくは翻訳のために必要な核酸配列を指す。転写および翻訳を支配する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能をも果たすヌクレオチド配列を含んでいてもよく、そしてこれらについては以下に説明する。
【0056】
特定の実施形態では、プラスミドベクターは、クローニングおよび遺伝子導入において使用することが想定されている。一般に、宿主細胞と適合性である種に由来するレプリコンおよび制御配列を含むプラスミドベクターが、これらの宿主と関連して使用される。通常、ベクターは、複製部位と形質転換細胞における表現型選択を提供することができるマーキング配列とを保有する。非限定的な例では、大腸菌(E.coli)由来のプラスミドであるpBR322の誘導体を用いて、大腸菌がしばしば形質転換される。pBR322は、アンピシリン耐性およびテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含み、そのため形質転換細胞を容易に同定するための手段を提供する。pBRプラスミドまたは他の微生物のプラスミドもしくはファージは、例えば微生物がそれ自身のタンパク質を発現するために使用することができるプロモーターをも含んでいなければならないか、または含むように修飾されていなければならない。
【0057】
加えて、宿主微生物と適合性であるレプリコンおよび制御配列を含むファージベクターは、これらの宿主と関連して形質転換ベクターとして使用することができる。例えば、ラムダファージGEM(商標)−11は、例えばE.coliLE392のような宿主細胞を形質転換するために使用することができる組換えファージベクターを作製する際に、利用してもよい。
【0058】
発現ベクターを含む微生物宿主細胞(例えば、大腸菌)は、多くの適切な培地の(例えば、LB)いずれの中でも増殖される。特定のベクターにおける組換えタンパク質の発現は、当該分野の当業者なら理解できるように、例えばIPTGをその培地に加えるか、またはインキュベーションをより高温に切り替えるかによって、宿主細胞を特定のプロモーターについて特異的な試薬と接触させることにより誘導してもよい。さらなる時間(一般には2〜24時間)その細菌を培養したのち、その細胞を遠心分離によって集め、洗浄して培地の残渣を取り除く。
【0059】
多くの原核生物のベクターも、真核生物の宿主細胞を形質転換するために使用することができる。しかしながら、真核生物の宿主細胞内でタンパク質を発現するという特定の目的のために修飾されたベクターを選択することが望ましいであろう。発現系は、係る細胞における制御された発現および/または高レベルの発現に向けて設計されている。例えば、昆虫細胞/バキュロ・ウイルス系は、異種核酸セグメントの高レベルのタンパク質発現をもたらすことができる。この核酸セグメントとしては、例えば米国特許第5,871,986号および同第4,879,236号(これらは参照によって本明細書に引用されたものとする)に記載されるものが挙げられ、それらは例えばINVITROGEN(登録商標)のMAXBAC(登録商標)2.0およびCLONTECH(登録商標)のBACPACK(商標)BACULOVIRUS EXPRESSION SYSTEMの商品名で購入することができる。
【0060】
発現系の他の例としては、STRATAGENE(登録商標)のCOMPLETE CONTROL(商標)Inducible Mammalian Expression Systemが挙げられる。これは、合成のエクジソン誘導受容体またはそのpET Expression System(これは大腸菌発現系である)を含む。誘導的発現系の別の例は、T−REX(商標)System(テトラサイクリン制御性の発現系)を保有するINVITROGEN(登録商標)から入手できる。この発現系は、全長CMVプロモーターを使用する哺乳類の誘導的発現系である。INVITROGEN(登録商標)はまた、Pichia methanolica Expression Systemと呼ぶ酵母発現系も提供している。これは、メチロトローフ酵母Pichia methanolicaにおける組換えタンパク質の高レベル生産に向けて設計されている。当業者なら、どのようにベクター(例えば、ベクター構築物)を発現させて核酸配列またはその同種のポリペプチド、タンパク質またはペプチドを生成するかを理解していると考えられる。
【0061】
制御シグナル
構築物は、付加的な5’要素および/または3’要素(例えば、プロモーター、ポリA配列など)を含んでいてもよい。これらの要素は、宿主細胞(すなわち、宿主と同種である)から誘導されていてもよいし、別個の供給源(すなわち、異種である)から誘導されていてもよい。
【0062】
「プロモーター」は、転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である制御配列である。それは、核酸配列の特異的転写を開始するために制御タンパク質および分子が結合してもよい遺伝要素(例えば、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子)を含んでいてもよい。語句「作動可能に配置されている」、「作動可能に連結されている」、「制御下で」および「転写制御下で」は、その配列の転写開始および/または発現を制御するために、核酸配列に対してプロモーターが正しい機能的場所および/または配向にあることを意味する。
【0063】
一般にプロモーターは、RNA合成についての出発部位を配置する機能を果たす配列を含む。これの最もよく知られた例は、TATAボックスであるが、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーター(例えば、哺乳類の末端デオキシヌクレオチド転移酵素遺伝子についてのプロモーターおよびSV40後期遺伝子についてのプロモーター)では、出発部位に重なる不連続な要素自身が開始の場所を固定するのを手助けする。付加的なプロモーター要素は転写開始の頻度を調節する。通常は、これらは開始部位の30〜110bp上流に位置しているが、多くのプロモーターは開始部位の下流にも同様に機能的要素を含んでいることが示されている。コード配列をプロモーターの「制御下に置く」ために、転写のリーディングフレームの転写開始部位の5’末端は、選択したプロモーターの「下流」(すなわち、3’末端側)に置かれる。「上流の」プロモーターはDNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促す。
【0064】
プロモーター要素間の空間は柔軟性がある場合が多く、要素が互いに対して反転または移動した場合にはプロモーターの機能は保存される。tkプロモーターにおいては、プロモーター要素間の間隔は、活性が減衰し始める前に50bp離れたところまで広げることができる。プロモーターに依存して、個々の要素はさらに、協働的にまたは独立に転写を活性化するように機能することができるようである。プロモーターは、「エンハンサー」と併用してもよいししなくてもよい。エンハンサーとは、核酸配列の転写活性に関与するシス作用性制御配列を指す。
【0065】
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエキソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することにより得られ得るように、核酸分子と天然に会合しているプロモーターであってもよい。係るプロモーターは「内因性」と呼ばれる。同様に、エンハンサーは、その配列の下流または上流に位置する核酸分子と会合したエンハンサーであってもよい。あるいは、コードする核酸セグメントを組換えプロモーターまたは異種プロモーター(これは、天然の環境では通常は核酸分子と会合していないプロモーターを指す)の制御下に置くことが有利な場合もある。組換えエンハンサーまたは異種エンハンサーも同様に、天然の環境では通常は核酸分子と会合していないエンハンサーを指す。係るプロモーターまたはエンハンサーは、他の遺伝子のプロモーターもしくはエンハンサー、ならびに任意の他のウイルス、または原核細胞および真核細胞から単離されたプロモーターもしくはエンハンサー、ならびに「天然には存在しない」(すなわち、異なる転写制御領域および/もしくは発現を変化させる突然変異を含む)プロモーターもしくはエンハンサーを含んでいてもよい。例えば、組換えDNA構築において最も一般的に使用されるプロモーターとしては、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースおよびトリプトファン(trp)プロモーター系が挙げられる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に生成するのに加えて、本明細書中に開示する組成物(各々の米国特許は参照によって本明細書に引用されたものとする、米国特許第4,683,202号および同第5,928,906号を参照)と合わせて組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術(PCR(商標)を含む)を使用して、配列を生成してもよい。さらに、非核細胞小器管(例えば、ミトコンドリア、葉緑体など)内での配列の転写および/または発現を指向する制御配列も、同様に用いることができるということを想定している。
【0066】
当然のこととして、発現のために選択した細胞小器官、細胞型、組織、臓器または微生物において、DNAセグメントの発現を効果的に指向するプロモーターおよび/またはエンハンサーを用いることが重要である。一般に分子生物学分野の当業者は、タンパク質発現のためにプロモーター、エンハンサーおよび細胞型の組合せを使用することを知っているはずである(例えば、参照により本明細書中に引用されたものとする、Sambrookら,1989を参照)。用いるプロモーターは、(組換えタンパク質および/またはペプチドの大規模生産において有利であるように)導入したDNAセグメントの高レベルの発現を指向するための適切な条件下で、構成的であっても、組織特異的であっても、誘導性であっても、かつ/または有用なものであってもよい。プロモーターは、異種のものであっても内因性のものであってもよい。
【0067】
さらには任意のプロモーター/エンハンサーの組合せ(例えば、Eukaryotic Promoter Data Base EPDB,www.epd.isb−sib.ch/のように)も発現を駆動するために使用することができる。別の実施形態では、T3、T7またはSP6細胞質発現系を使用することができる。適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部としてまたは追加の遺伝発現構築物としてのいずれかで提供されるならば、真核生物細胞は、ある細菌プロモーターからの細胞質転写を支持し得る。
【0068】
コード配列の効率的な翻訳には、特異的開始シグナルも必要とされる場合がある。これらのシグナルとしては、ATG開始コドンまたは隣接する配列が挙げられる。外因性の翻訳制御シグナル(ATG開始コドンを含む)が提供される必要がある場合がある。当業者は、容易にこれを決定し必要なシグナルを提供することができる。挿入断片全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは所望のコード配列のリーディングフレームに対して「フレーム中」に存在しなければならないことは周知である。外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然のものであっても合成によるものであってもよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素を内包することにより高めることができる。
【0069】
本発明のある実施形態では、内部リボソーム侵入部位(IRES)要素を使用して、多重遺伝子、つまりポリシストロン性のメッセージが作製される。IRES要素は、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソーム走査モデルを回避し、そして内部部位で翻訳を開始することができる(PelletierおよびSonenberg,Nature,334:320−325(1988))。ピコルナウイルス科の2つのメンバー(ポリオウイルスおよび脳心筋炎)に由来するIRES要素が記載されており(PelletierおよびSonenberg、前出)、同様に哺乳動物メッセージに由来するIRESも記載されている(MacejakおよびSarnow,Nature,353:90−94(1991))。IRES要素は、異種オープンリーディングフレームに連結され得る。複数のオープンリーディングフレームは共に転写され得、それぞれがIRESにより分離され、ポリシストロン性メッセージを作製する。IRES要素によって、それぞれのオープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームに接近し得る。複数の遺伝子は、単一のメッセージを転写するために単一のプロモーター/エンハンサーを用いて効率的に発現され得る(各々参照により本明細書中に引用されたものとする、米国特許第5,925,565号および同第5,935,819号を参照)。
【0070】
他のベクター配列要素
ベクターは、多重クローニング部位(MCS)を含んでいてもよい。これは、複数の制限酵素部位を含む核酸領域であり、その制限酵素部位のいずれかをベクターを消化するための標準的な組換え技術と併用して使用することができる(例えば、Carbonelliら、FEMS Microbiol.Lett.,172(1):75−82(1999)、Levensonら、Hum. Gene Ther.9(8):1233−1236(1998)、およびCocea,Biotechniques,23(5):814−816(1997)を参照のこと)、これらは参照により本明細書に引用されたものとする)。「制限酵素での消化」とは、核酸分子の特異的位置でのみ機能する酵素を用いた核酸分子の触媒的切断を指す。これらの制限酵素の多くは市販されている。係る酵素を使用することは当業者に広く理解されている。ベクターは、外因性配列がそのベクターにライゲーションできるように、MCS内で切断する制限酵素を使用して頻繁に線状化またはフラグメント化される。「ライゲーション」とは、2つの核酸フラグメント間にホスホジエステル結合を形成するプロセスを指す。これら2つの核酸フラグメントは隣接していてもしていなくてもよい。制限酵素およびライゲーション反応が関与する技法は、組換え技術の分野の当業者には周知である。
【0071】
ほとんどの転写された真核生物のRNA分子は、一次転写産物からイントロンを取り除くためにRNAスプライシングを受ける。真核生物のゲノム配列を含むベクターは、タンパク質発現についての転写産物の適切なプロセシングを確実にするために、ドナースプライシング部位および/またはアクセプタースプライシング部位を必要とすることがある(例えば、参照によって本明細書に引用されたものとする、Chandlerら、1997を参照)。
【0072】
本発明のベクターまたは構築物は、一般に少なくとも1つの終結シグナルを含む。「終結シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写産物の特異的終結に関与するDNA配列を含む。従って、ある実施形態では、RNA転写産物の産生を終結させる終結シグナルが想定される。ターミネーターは、所望のメッセージレベルを実現するためにインビボで必要である場合がある。
【0073】
真核生物系では、ターミネーター領域も、ポリアデニル化部位を露出させるように、新しい転写産物の部位特異的切断を許容する特異的DNA配列を備えていてもよい。これは、長く伸びた約200アデノシン残基(ポリA)を転写産物の3’末端に付加するための特別の内因性ポリメラーゼにシグナルを伝達する。ポリAテイルで修飾されたRNA分子はより安定なようであり、より効率よく翻訳される。従って、真核生物が関与するいくつかの実施形態では、ターミネーターはRNAの切断のためのシグナルを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ターミネーターのシグナルは、メッセージのポリアデニル化を促す。いくつかの実施形態では、ターミネーターおよび/またはポリアデニル化部位要素は、メッセージレベルを増強し、そしてカセットから他の配列へのリードスルーを最小にするために役立ち得る。
【0074】
本発明の使用について想定されるターミネーターには、本明細書中に記載される任意の公知の転写のターミネーターまたは当業者に公知のターミネーターが含まれ、例えば、遺伝子の終止配列(例えば、ウシ成長ホルモンターミネーター)、ウイルスの終止配列(例えば、SV40ターミネーター)が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態では、終結シグナルは、転写可能な配列または翻訳可能な配列を欠くもの(例えば、配列の切断により転写不可能/翻訳不可能な配列)であってもよい。
【0075】
発現において、特に真核生物の発現においては、通常は転写産物の適切なポリアデニル化を行うためのポリアデニル化シグナルが含まれる。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明を成功裏に実施するために重要であるとは考えられず、任意の係る配列を採用してよい。いくつかの実施形態は、SV40ポリアデニル化シグナルまたはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含む。これらは共に好都合であり、容易に入手でき、そして種々の標的細胞において十分に機能することが公知である。ポリアデニル化は、転写産物の安定性を増すこともあるし、または細胞質輸送を容易にすることもある。
【0076】
ベクターを宿主細胞に伝播させるために、ベクターは1つ以上の複製起点部位(しばしば「ori」部位と呼ばれる)を含んでいてもよい。複製起点部位は複製が開始される特異的ヌクレオチド配列である。あるいは、宿主細胞が酵母であるなら、自己複製配列(ARS)を採用することもできる。
【0077】
形質転換方法
本発明と共に使用するための適切な核酸送達方法には、核酸分子(例えばDNA)が本明細書中に記載するように細胞に導入され得る事実上任意の方法、または当業者に公知であろう事実上任意の方法が含まれると考えられる。係る方法としては、例えばエクスビボトランスフェクションによる(Wilsonら,Science,244:1344−1346(1989)、Nabelら,Science,244:1342−1344(1989))、注入による(米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号および同第5,580,859号、各々は参照によって本明細書に引用されたものとする)、マイクロインジェクションによる(HarlanおよびWeintraub,J.Cell Biol.,101(3):1094−1099(1985)、米国特許第5,789,215号、これらは参照によって本明細書に引用されたものとする)、エレクトロポレーションによる(米国特許第5,384,253号(参照によって本明細書に引用されたものとする)、Tur−Kaspaら,Mol.Cell Biol.,6:716−718(1986);Potterら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:7161−7165(1984))、リン酸カルシウム沈殿による(GrahamおよびVan Der Eb,Virology,52:456−467(1973)、ChenおよびOkayama,Mol.Cell Biol.,7(8):2745−2752(1987)、Rippeら,Mol.Cell Biol.,10:689−695(1990))、DEAE−デキストランさらにポリエチレングリコールを使用することによる(Gopal,Mol.Cell Biol.,5:1188−190(1985))、直接的音波ローディングによる(Fechheimerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89(17):8463−8467(1987))、リポソーム媒介性トランスフェクションによる(NicolauおよびSene,Biochem. & Biophys.Acta.,721:185−190(1982)、Fraleyら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:3348−3352(1979)、Nicolauら,Meth.Enzym.,149:157−176(1987)、Wongら,Gene,10:879−894(1980)、Kanedaら,Science,243:375−378(1989)、Katoら,J.Biol.Chem.,266:3361−3364(1991))および受容体媒介性トランスフェクションによる(WuおよびWu,J.Biol.Chem.,262:4429−4432(1987)、WuおよびWu,J.Biol Chem.263(29):14621−4(1988))、プロトプラストのPEG媒介性形質転換による(Omirullehら,Plant Mol.Biol.,21(3):415−428(1987)、米国特許第4,684,611号および同第4,952,500号、各々参照によって本明細書に引用したものとする)、乾燥/阻害媒介性DNA摂取(Potrykusら,Mol.Gen.Genet.,199(2):169−177(1985))、ならびに係る方法に任意の組合せによる、DNAの直接送達が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
II.アッセイシステムの構成要素
本明細書中に記載する方法の場合のように、本発明の特徴である産物は種々の実施形態を有する。本発明のいくつかの実施形態は、例えば試験タンパク質をコードする配列、切断部位およびDPPを含む「3部構成の構築物」を提供する。いくつかの実施形態では、試験タンパク質は、膜貫通受容体(例えば、GPCRファミリーのメンバー)のような膜結合性タンパク質である。いくつかの実施形態では、これらの配列を、それらがコードするタンパク質のC末端が第2タンパク質とより良好で強固な相互作用を有するように修飾することができる。修飾としては、例えば試験タンパク質(例えば、GPCR)のC末端コード配列を、AVPR2、AGTRLI、GRPR、F2PLI、CCR4、CXCR2/IL−8、CCR4またはGRPRに対するC末端コード領域で置き換えることが挙げられる。これらの例を本明細書中に記載する。
【0079】
レポーター遺伝子を調節するタンパク質を使用する実施形態では、産物は、転写因子(tTA、GAL4など)のような核内で作用するタンパク質であってもよく、またはそれは作動における反応のカスケードを設定、遅延または別様に調節する(例えば、別のタンパク質による核内反応を導くか、または例えば細胞内カルシウムもしくはcAMPレベルの変化のような検出可能な細胞変化に導く)分子であってもよい。当業者は、係るカスケードを熟知していると考えられる。
【0080】
タンパク質の不活性部分を使用する実施形態では、産物は、構築物(例えば、融合タンパク質)からの放出の際に、それがタンパク質の第2の同様に不活性な部分と合わさり完全な活性タンパク質(タンパク質の相補性)を作製するように、選択される。この完全な活性タンパク質は、例えば発光または蛍光により検出可能なシグナルを生成するか、または例えば後で基質に作用して検出可能なシグナルをもたらす完全な酵素を形成することにより間接的なシグナルを生成する。
【0081】
検出可能なタンパク質を使用する実施形態では、産物は、例えば融合タンパク質から放出される際に検出可能なタンパク質が、例えば特異的な細胞小器官への標的化された移動を介して、それが移動し、最分配し、再局在化し、または別様に細胞内で位置を変えるにつれて追跡できるように、選択される。いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質が明確な色を生成する。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する第2構築物は、第1タンパク質と相互作用して何らかの測定可能な現象を導くタンパク質をコードする領域を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、前記第1タンパク質のアクチベーター、阻害剤、またはより一般的には「モジュレーター」であってよい。いくつかの実施形態では、例えば第1タンパク質がGPCRである場合はアレスチンファミリーのメンバーが使用される。しかし、例えば第1タンパク質がGPCRでない場合は、他のタンパク質をコードする配列を使用してもよい。いくつかの実施形態では、これら2つの部分構築物の第2部分は、プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードし、それらは第1構築物によりコードされた融合タンパク質からDPPを取り除くように作用する。
【0083】
しかしながら、これらの実施形態は以下のさらなる実施形態で考察するように、本発明を限定しない。
【0084】
宿主細胞
本明細書中で使用する場合、用語「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は交換可能に使用してよい。これらの用語の全ては、任意かつ全ての後の世代であるその子孫をも含む。意図的な変異または偶然の変異のため、全ての子孫が同一でなくともよいことが理解される。一般に宿主細胞は、融合タンパク質の一部分である転写因子によって活性化されるスクリーニングマーカーまたは選択マーカーを、第1試験タンパク質と共に発現するように操作されている。
【0085】
異種の核酸配列を発現するという文脈においては、「宿主細胞」とは、ベクターを複製しかつ/またはベクターによってコードされる異種遺伝子を発現することができる、原核細胞または真核細胞を指す。宿主細胞が核酸分子で「トランスフェクト」または「形質転換」されている場合、それらは「改変された(engineered)」または「組換えられた」細胞もしくは宿主細胞、例えば外来性核酸配列(例えばベクター)がすでに導入されている細胞と呼ばれる。それゆえ、組換え細胞は、組換え技術により導入された核酸を含まない天然に存在する細胞と区別可能である。
【0086】
多くの細胞株および培養物が宿主細胞としての使用のために利用可能であり、それらは生体培養物および遺伝物質についての記録保管所としての役割を果たしている組織であるアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)(www.atcc.org)を通して入手可能である。適切な宿主は、ベクター骨格および所望の結果に基づき当業者が決定することができる。例えばプラスミドまたはコスミドは、多くのベクターの複製のために原核生物の宿主細胞中に導入することができる。ベクターの複製および/または発現のために利用可能な細胞型としては、大腸菌(例えば、大腸菌株RR1、E.coliLE392、E.coliB、E.coliX1776(ATCC番号第31537号)、およびE.coliW3110(F−、ラムダ−、原栄養菌性、ATCC番号第273325号)、DH5α、JM109ならびにKC8)、桿菌(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis))、ならびに他の腸内細菌(例えば、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、霊菌(Serratia marcescens)、種々のシュードモナス(Pseudomonas)種)、ならびに多くの市販の細菌宿主(例えば、SURE(登録商標) Competent CellおよびSOLOPACK(商標) Gold Cell(STRATAGENE(登録商標)、La Jolla))のような細菌が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、E.coliLE392のような細菌細胞が、ファージウイルスのための宿主細胞として特に想定されている。
【0087】
ベクターの複製および/または発現のための真核生物の宿主細胞の例としては、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、COS、CHO、Saos、PerC6、CHOおよびPC12細胞ならびにこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。種々の細胞型および微生物に由来する多くの宿主細胞が利用可能であり、当該分野の当業者には公知であると考えられる。同様に、真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞と併用して、特にそのベクターの複製または発現に対して許容状態にある宿主細胞と併用して、ウイルスベクターを使用してもよい。
【0088】
試験タンパク質
本発明は、物理的な相互作用が公知であるか、疑われているか、または検討することが望まれている任意の2つ以上のタンパク質の使用を想定している。いくつかの実施形態では、その2つのタンパク質は融合タンパク質として存在している。例えば、第1試験タンパク質はDPP(例えば転写因子)に融合し、第2試験タンパク質は、第1融合タンパク質の切断部位を認識するプロテアーゼに融合しており、DPP、直接もしくは間接的に測定可能なタンパク質またはタンパク質の不活性部分が、その切断によって放出される。転写因子を利用するいくつかの実施形態は、(a)切断に先立って第1試験タンパク質が核に局在化しないように、ならびに/または(b)プロテアーゼが第2試験タンパク質への融合および第1試験タンパク質の第2試験タンパク質への結合もしくは会合の両方の後にも活性を保つように、設計されている。
【0089】
第1構築物に関して、第1試験タンパク質は、例えば、天然の膜結合性タンパク質であってもよいし、標準的な技法により膜結合性になるように改変したものであってもよい。第1試験タンパク質は、例えばGPCRのいずれかのような膜貫通受容体であってもよく、任意の他の関心対象の膜貫通受容体であってもよく、例えば受容体チロシンキナーゼ、受容体セリン・トレオニンキナーゼ、サイトカイン受容体などが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質および/または第2試験タンパク質は、細胞受容体、イオンチャネル、増殖因子受容体、受容体チロシンキナーゼ、Toll様受容体(TLR;例えば、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12およびTLR13)、NF−κBシグナル経路タンパク質(例えば、NF−κB1(p50とも呼ばれる)、NF−κB2(p52とも呼ばれる)、RelA(p65とも呼ばれる)、RelB、IκBキナーゼおよびc−Rel)、サイトカイン受容体、インテグリン、細胞接着タンパク質またはエストロゲン受容体、および他の核ホルモン受容体/ステロイドホルモン受容体スーパーファミリーのメンバーである。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質/第2試験タンパク質は、例えば本明細書において記載する受容体に対するリガンドである。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質/第2試験タンパク質は、甲状腺ホルモン受容体様またはそのリガンドである。例えば、グループA:甲状腺ホルモン受容体(甲状腺ホルモン)、例えば甲状腺ホルモン受容体−α(TRα;NR1A1)または甲状腺ホルモン受容体−β(TRβ;NR1A2);グループB:レチノイン酸受容体(例えば、ビタミンAおよび関連化合物)、例えばレチノイン酸受容体−α(RARα;NR1B1)、レチノイン酸受容体−β(RARβ;NR1B2)およびレチノイン酸受容体−γ(RARγ;NR1B3);グループC:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体、例えば、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−α(PPARα;NR1C1)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−β(PPARβ;NR1C2)、およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−γ(PPARγ:NR1C3);グループD:Rev−erb、例えばRev−erbα(Rev−erbα;NR1D1)およびRev−erbβ(Rev−erbβ;NR1D2);グループF:レチノイド関連オーファン受容体、例えばレチノイド関連オーファン受容体−α(RORα;NR1F1)、レチノイド関連オーファン受容体−β(RORβ;NR1F2)およびレチノイド関連オーファン受容体−γ(RORγ;NR1F3);グループH:肝臓X受容体様、例えば肝臓X受容体−α(LXRα;NR1H3)、肝臓X受容体−β(LXRβ;NR1H2)、およびファルネソイドX受容体(FXR;NR1H4);ならびにグループI:ビタミンD受容体様、例えばビタミンD受容体(VDR;NR1I1)、プレグナンX受容体(PXR;NR1I2),および構成的アンドロスタン受容体(CAR;NR1I3)。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質/第2試験タンパク質は、レチノイドX受容体様またはそのリガンドである。例えば、グループA:肝細胞核因子−4(HNF4)、例えば肝細胞核因子−4−α(HNF4α;NR2A1)および肝細胞核因子−4−γ(HNF4γ;NR2A2);グループB:レチノイドX受容体(RXRα)、例えばレチノイドX受容体−α(RXRα;NR2B1)、レチノイドX受容体−β(RXRβ;NR2B2)、およびレチノイドX受容体−γ(RXRγ;NR2B3);グループC:精巣受容体、例えば精巣受容体2(TR2;NR2C1)および精巣受容体4(TR4;NR2C2);グループE:TLX/PNR、例えばショウジョウバエ(Drosophila)tailless遺伝子のヒトホモログ(TLX;NR2E1)および光受容体特異的核内受容体(PNR;NR2E3);ならびにグループF:COUP/EAR、例えばニワトリオボアルブミン上流プロモーター−転写因子I(COUP−TFI;NR2F1)、ニワトリオボアルブミン上流プロモーター−転写因子II(COUP−TFII;NR2F2)およびERBA関連2(EAR2;NR2F6)。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質/第2試験タンパク質は、エストロゲン受容体様(ステロイドホルモン受容体)またはそのリガンドである。例えば、グループA:エストロゲン受容体(性ホルモン受容体;性ホルモン:エストロゲン)、例えばエストロゲン受容体−α(ERα;NR3A1)およびエストロゲン受容体−β(ERβ;NR3A2);グループB:エストロゲン関連受容体、例えばエストロゲン関連受容体−α(ERRα;NR3B1)、エストロゲン関連受容体−β(ERRβ;NR3B2)およびエストロゲン関連受容体−γ(ERRγ;NR3B3);ならびにグループC:3−ケトステロイド受容体、例えば糖質コルチコイド受容体(GR;NR3C1)(コルチゾール)、電解質コルチコイド受容体(MR;NR3C2)(アルドステロン)、プロゲステロン受容体(PR;NR3C3)(例えば性ホルモン受容体;性ホルモン:プロゲステロン)およびアンドロゲン受容体(AR;NR3C4)(例えば性ホルモン受容体;性ホルモン:テストステロン)。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質/第2試験タンパク質は、神経成長因子IB様またはそのリガンドである。例えば、グループA:NGFIB/NURR1/NOR1、例えば神経成長因子IB(NGFIB;NR4A1)、核内受容体関連1(NURRl;NR4A2)およびニューロン由来のオーファン受容体1(NOR1;NR4A3)。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質/第2試験タンパク質は、ステロイド合成因子様またはそのリガンドである。例えば、グループA:SF1/LRH1、例えばステロイド合成因子1(SF1;NR5A1)および肝受容体ホモログ1(LRH1;NR5A2)。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質/第2試験タンパク質は、胚細胞核因子(Germ Cell Nuclear Factor)様またはそのリガンドである。例えば、GCN1(例えば胚細胞核因子(GCN1;NR6A1)である。
【0090】
さらに、タンパク質の一部分が全長の第1試験タンパク質と同様の機能を果たすことが公知であるので、第1試験タンパク質の係る活性な一部分は本明細書におけるタンパク質の定義に包含される。
【0091】
当業者には明らかであるように、本発明は任意のタンパク質との相互作用をアッセイするために使用してもよく、本発明の範囲はGPCRのような膜結合性受容体をアッセイすることに限定されない。例えば、他のクラスの膜貫通受容体としては、受容体チロシンキナーゼ(RTK)(例えば上皮成長因子受容体(EGFR)、ErbB2/HER2/Neuまたは関連するRTKのようなIGFlR);受容体セリン/トレオニンキナーゼ(形質転換成長因子−β(TGFβ))、アクチビンまたは骨形成タンパク質(BMP)受容体;サイトカイン受容体(例えばインターロイキン、エリスロポエチン、G−CSF、GM−CSF、腫瘍壊死因子(TNF)およびレプチン受容体についてのインターフェロンファミリーに対する受容体);必ずしも通常は膜結合性ではない他の受容体(例えば、エストロゲン受容体1(ESRl)、およびエストロゲン受容体2(ESR2)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明のいくつかの方法は、関心対象の受容体(またはその一部分)を含むキメラタンパク質の発現を指向する修飾した受容体構築物で、細胞をトランスフェクトすることを含む。この受容体にはプロテアーゼ切断部位およびDPP(例えば、転写因子)が付加されている。いくつかの実施形態では、細胞は、例えば本明細書中に記載するように、部位を認識してそれを切断するプロテアーゼに融合された、相互作用タンパク質からなるキメラタンパク質の発現を指向する第2構築物で、コトランスフェクトされる。EGFRのようなRTKの場合には、この相互作用タンパク質は、ホスホリパーゼC(PLC)もしくはSrc相同2ドメイン含有形質転換タンパク質1(SHC1)のようなタンパク質またはその一部分を含む、SH2(Src相同ドメイン2)からなっていてもよい。受容体セリン/トレオニンキナーゼ(例えば、TGFβ、アクチビン、BMP受容体)の場合には、この相互作用タンパク質はSmadタンパク質またはその一部分であってもよい。サイトカイン受容体(例えば、インターフェロン−α/βまたはインターフェロン−γガンマ受容体)の場合には、この相互作用タンパク質はシグナル伝達および転写活性化(STAT)タンパク質(例えば、Stat1、Stat2;Janus kinase(JAK) タンパク質Jakl、Jak2またはTyk2;またはこれらの一部分が挙げられるが、これらに限定されない)であってもよい。いくつかの実施形態では、トランスフェクトされた細胞は、受容体に融合された転写因子によって制御されるレポーター遺伝子を含む。いくつかの実施形態については、トランスフェクトされた細胞が特定の期間の間試験化合物で処理され、レポーター遺伝子の活性が試験期間の最後に測定されるアッセイが行われていてもよい。試験化合物が関心対象の受容体を活性化する場合は、関心対象の受容体と相互作用タンパク質との間の相互作用は刺激され、プロテアーゼ部位の切断および融合DPP(例えば、転写因子)の放出が導かれ、これは次にレポーター遺伝子の活性の上昇として測定可能である。
【0092】
他の可能な試験タンパク質対としては、抗体−リガンド、酵素−基質、キナーゼとリン酸化基質、ホスファターゼとリン酸化タンパク質、二量化タンパク質、シグナル伝達カスケード、および当該分野で周知の他のタンパク質対が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
細胞内のタンパク質の位置が決定されている実施形態では、例えば融合タンパク質から放出される際に、タンパク質が、例えば特異的な細胞小器官への標的化された移動によってそれが移動し、再分配し、再局在化し、または別様に細胞内で位置を変えるにつれて追跡できるように、そのタンパク質が選択される。本発明のいくつかの実施形態は、明確な色を生成する蛍光タンパク質を利用するが、他のタンパク質またはタンパク質の一部分(例えば、抗体エピトープ相互作用または(例えば、特異的に位置した)基質に対する酵素作用)も使用できる。
【0094】
レポーターおよびDPP
レポーターおよびDDPは、直接または間接的に検出可能なシグナルをもたらすことができるタンパク質である。いくつかの実施形態では、DPPは、蛍光の増加または減少として直接検出することができる。いくつかの実施形態では、DPPは2つのポリペプチドに「分割」することができる。例えば、この分割された2つのポリペプチドが互いと会合する時、DPPはより高い活性を示す。多くの分割されたDPPは当該分野で公知であり、例えば、β−ガラクトシダーゼ(例えば、JohnsonおよびVarshavsky,PNAS 91:10340−44(1994)および米国特許第7,166,424号を参照)、ジヒドロ葉酸還元酵素(例えば、Pelletierら,PNAS 95:12141−46;RemyおよびMichnick,PNAS 96:5394−99;および米国特許第6,872,871号を参照)、GFPおよび変異体などの蛍光タンパク質(例えばHuら,Mol Cell 9:789−98(2002);Ghoshら,J Am Chem Soc 122:5658−5659(2000);および米国特許第7,166,424号を参照))、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼなどのプロテアーゼ(例えば、Wehrら,Nature Methods 3(12):985−993(2006)および米国特許出願公開第20050084864号を参照)、Bla(例えば、Wehrmanら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:3469−3474(2002);Galarneauら,Nat.Biotechnol.20:619−622(2002);Spottsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:15142−15147(2002);および米国特許第6,828,099号を参照)、ルシフェラーゼ(例えばRemyおよびMichnick,Nature Methods 3(12):977−979(2006)を参照)、インテイン(例えばSynechoytstis dnaEインテイン(例えばOzawaら,Anal.Chem.73:2516−2521(2001)を参照)、ならびにルシフェラーゼ(例えばホタルルシフェラーゼ、RenillaまたはG.princeps(RemyおよびMichnick,Nat.Methods 3:977−979(2006);PaulmuruganおよびGambhir,Anal Chem 75:1584−1589(2003);ならびにPaulmuruganら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:5608−15613(2002))。例えば、Kerppola,Nature Methods 3(12):969−971(2006)も参照のこと。
【0095】
いくつかの場合には、例えばプロテアーゼによるタンパク質の切断が検出可能なシグナルの増加または減少をもたらす場合のような、プロテアーゼの活性を直接または間接的に検出することができるならば、プロテアーゼがDPPであると考えることができる。本発明のいくつかの実施形態は、二次的なレポーターを活性化または不活性化するプロテアーゼを利用する。
【0096】
レポーター遺伝子を調節するタンパク質を使用する本発明の実施形態では、タンパク質は、遺伝子、その発現または遺伝子発現に検出可能な変化をもたらす欠失に影響を及ぼす任意のタンパク質であってもよい。典型的なタンパク質レポーターとしては、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−グルクロニダーゼ(GUS)、β−ガラクトシダーゼ、ニトロ還元酵素、エクオリン、ルシフェラーゼ、βラクタマーゼおよびアルカリホスファターゼのような酵素が挙げられる。緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質のような蛍光タンパク質および化学発光タンパク質も想定されている。
【0097】
種々のアッセイが、野生型β−ガラクトシダーゼまたはα−相補性またはω−相補性の現象に基づいて構築されてきた。β−galは、100万ダルトンまでの四量体および八量体を形成する多量体酵素である。β−galサブユニットは、自己オリゴマー化を経て活性を示すようになる。この天然に存在する現象は、種々のインビトロの均一系アッセイを開発するために使用されてきた。β−galの、α−相同性またはω−相同性は、抗体−抗原、薬物−タンパク質、タンパク質−タンパク質、および他の生体分子相互作用の検出のためのアッセイを開発するのに利用されてきた。しかしながら、その現象は生来的に起こり、有意なバックグラウンド活性を示すため、β−gal相補性の生細胞アッセイへの適合は制限されていた。このバックグラウンド活性の問題は、天然に補完する能力を失ったかまたは無視できる程度に低下させた低親和性の変異体サブユニットを開発することにより一部は克服され、例えば生細胞におけるEGF受容体のリガンド依存性活性化の検出を含む種々のアッセイが可能になった。いくつかの実施形態では、β−galは、例えば核局在化シグナルのような局在化シグナルと共に発現される。
【0098】
発光シグナル、蛍光シグナルまたは生物発光シグナルは、種々の自動化されかつ/または高スループット計装システム(蛍光マルチウェルプレートリーダー、蛍光標示式細胞分取器(FACS)およびシグナルの空間的な分解能を提供する自動化された細胞ベースの画像化システムが挙げられる)のいずれかを用いて容易に検出および定量することができる。種々の計装システムがハイコンテントスクリーニング(HCS)を自動化するために開発されてきた。計装システムの例としては、Cellomics(現在はThermo−Fisherの一部である)、Amersham(現在はGEの一部である)、TTP、Q3DM(現在はBeckman Coulterの一部である)、Evotec(現在はPerkin−Elmerの一部である)、Universal Imaging(現在はMolecular Devicesの一部である)およびZeissにより開発された、自動化蛍光イメージングおよび自動化顕微鏡システムが挙げられる。蛍光褪色後の蛍光回復(FRAP)および経時的蛍光顕微鏡検査法も、生細胞におけるタンパク質の移動度を研究するために使用されてきた。光学機器およびハードウェアは、実質的に全ての生物発光シグナルを高感度および高スループットで検出できるほどまで進歩した。
【0099】
転写因子およびリプレッサー
本発明のいくつかの実施形態では、転写因子または他のDPPは、改変された宿主細胞におけるレポーター遺伝子の発現を活性化するために使用される。転写因子は、通常はそのDNA結合ドメインの構造に従って分類される。それらは一般に、(a)ジンクフィンガー群、(b)へリックス−ターン−へリックス群、(c)ロイシンジッパー群、(d)へリックス−ループ−へリックス群、または(e)高移動度群である。転写因子の活性化ドメインは、転写装置(RNAポリメラーゼ)の要素および他の制御タンパク質と相互作用し、それによりDNA結合の効率に影響を及ぼす。
【0100】
Rel/核因子kB(NF−kB)および活性化タンパク質−1(AP−1)は、最も研究されている転写因子ファミリーである。それらは、病気の結末(例えば炎症および腫瘍形成)に繋がるシグナル伝達経路の重要な要素であると認識されている。他の転写因子ファミリーとしては、熱ショック/E2Fファミリー、POUファミリーおよびATFファミリーが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、転写因子はtTAまたはGAL4である。
【0101】
転写因子は、使用することができる分子の1つのクラスであるが、アッセイを転写リプレッサー分子の使用を受け入れるように改変してもよい。その場合、検出可能なシグナルは、シグナル発生部分のダウンレギュレーションであるかまたは細胞死でさえある。
【0102】
タンパク質の不活性部分(例えば、タンパク質相補性)を使用する実施形態では、タンパク質の不活性部分は、構築物(例えば、融合タンパク質の一部分)からの放出の際に、それがタンパク質の第2の同様に不活性な部分と合わさり完全な活性タンパク質を作製するように、選択される。この完全な活性タンパク質は、例えば発光により検出可能なシグナルを生成するか、または例えば後で基質に作用して検出可能なシグナルをもたらす完全な酵素を形成することにより、間接的なシグナルを生成する。いくつかの実施形態では、タンパク質の2つの不活性部分は転写因子である。
【0103】
プロテアーゼおよび切断部位
プロテアーゼは、特定の部位で他のタンパク質を切断する、十分に特性解析された酵素である。ファミリーの1つであるSer/Thrプロテアーゼは、セリン残基およびトレオニン残基で切断する。他のプロテアーゼとしては、システインプロテアーゼまたはチオールプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテイナーゼ、アミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼおよびトリペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼならびにペプチジルペプチダーゼが挙げられる。これらの選択は当業者に委ねられているが、特に本明細書中に記載する分子に限定される必要はない。酵素が触媒ドメインを有し、それらを全長プロテアーゼの代わりに使用できることは周知である。係る触媒ドメインも同様に本発明に包含される。具体的な実施形態は、タバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼ、またはその活性部分である。プロテアーゼについての他の特異的切断部位も使用することができるが、これは当業者には明らかであると考えられる。
【0104】
試験タンパク質の修飾
第1試験タンパク質は、このアッセイにおける相互作用タンパク質(例えば、第2試験タンパク質)へのその結合を強めるために修飾されてもよい。例えば、リガンド刺激の際に特定のGPCRがより安定的にまたはより大きい親和性をもってアレスチンに結合し、この強められた相互作用は離れたドメイン(例えば、C末端テイルのセリン残基およびトレオニン残基のクラスター)によって媒介されることが公知である(Oakleyら,J.Biol.Chem.,274:32248−32257,1999およびOakleyら,J.Biol.Chem.,276:19452−19460,2001)。これを例として用いて、受容体をコードする配列自体を修飾して、膜結合タンパク質(例えば受容体)の、結合するタンパク質に対する親和性を高めてもよい。このような修飾の例は、膜結合性タンパク質(例えば、本明細書中に記載する受容体)のC末端領域の修飾である。いくつかの実施形態は、結合タンパク質に対してはより高い親和性を有するが受容体の機能には影響を及ぼさない別のタンパク質(例えば、受容体)の対応する領域で、タンパク質の一部分を置き換えることを含む。上述の実施例16および20は、本発明のこの特徴の実施形態を示す。
【0105】
加えて、第2試験タンパク質を、その第1試験タンパク質との相互作用を高めるために修飾してもよい。例えば、このアッセイは、第2試験タンパク質(例えば、より安定的にまたはリン酸化に依存せずにアゴニストが占有したGPCRに結合することが公知であるアレスチン)の点突然変異体、切断体(truncation)または他の変異体を組み込んでいてもよい(Kovoorら,J.Biol.Chem.,274:6831−6834,1999)。
【0106】
III.アッセイフォーマット
上で考察したように、本発明はいくつかの実施形態において、例えば同一の細胞中で発現した場合、またはインビトロで試験した場合に、2つの試験タンパク質の相互作用を評価するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、第1構築物(例えば、本明細書中に記載されるもの)は、プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分のための切断部位をコードする配列に連結された、第1タンパク質をコードする配列を含み、このプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分のための切断部位をコードする配列自身は、本明細書中に記載するような第2タンパク質またはタンパク質の一部分(例えば、DPP)をコードする配列に連結されている。「連結されている」とは、記載する配列が融合され、単一のポリペプチド(例えば融合タンパク質)へと翻訳されてもよい単一の無傷のオープンリーディングフレームを生成することを意味する。これらは、付加的なタンパク質、ペプチドまたはアミノ酸をコードしてもしなくてもよい付加的なヌクレオチド配列で隔てられていてもよいが、そうである必要はない。組換え細胞に挿入された第2構築物も本明細書中に記載する通りであり、例えば、それは第2タンパク質をコードする配列およびプロテアーゼまたはプロテアーゼ部分の両方を含んでいる。これらの要素は共にアッセイフォーマットを構成し、標的タンパク質の相互作用に対する効果を研究している候補因子と組み合わせることができる。
【0107】
アッセイフォーマットおよびタンパク質相互作用フォーマットの種々の例を図11および図12に示す。以下の略語を、図11および図12ならびに本明細書中において使用する。
TP1=第1標的タンパク質
TP2=第2標的タンパク質
PCS=タンパク質切断部位
Prot=プロテアーゼ
Prot1=プロテアーゼ相補対の第1部分
Prot2=プロテアーゼ相補対の第2部分
DPP=検出可能なペプチド/ポリペプチド
DPP=DPPの第1部分(相補対の一部分ではない)
DPP=DPPの第2部分(相補対の一部分ではない)
DPP1=検出可能なタンパク質相補対の第1部分
DPP2=検出可能なタンパク質相補対の第2部分
PCA1=タンパク質相補対の第1部分
PCA2=タンパク質相補対の第2部分
DON=ドナー分子(例えば、タンパク質/ポリペプチド)
ACC=アクセプター(例えば、タンパク質/ポリペプチド)
【0108】
図11は、本発明のいくつかの実施形態に関連する一般的なフォーマットを図示する。これらの全ては、タンパク質切断部位(PCS)を介してDPPと会合する第2相互作用タンパク質に分子的に近接している相互作用タンパク質のうちの1つと会合するプロテアーゼをもたらす、少なくとも2つのタンパク質の相互作用に基づいている。この分子的近接により、プロテアーゼがPCSを切断しDPPを放出することができるようになる。DPPは、例えば本明細書中に記載するような種々の方法によって検出することができる。例えば、DPPの切断は、結合したDPPに比べてDPP活性の変化(例えば活性の上昇または低下)をもたらし得る。
【0109】
例えば、DPPは、相互作用タンパク質の1つからの切断によって蛍光が強められるかまたは弱められる、蛍光タンパク質であってよい。いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、蛍光タンパク質が第1試験タンパク質から切断されるまで蛍光を阻害または弱めるようにして、第1試験タンパク質に結合されている。いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、蛍光タンパク質が試験タンパク質に結合している間は蛍光活性が検出可能であるが、その試験タンパク質から切断されると蛍光が低下するようにして、第1試験タンパク質に結合されている。
【0110】
いくつかの実施形態では、DPPは検出可能な反応を触媒する酵素である。それゆえ、図11を例として使用して、本発明のいくつかの実施形態は、第1試験タンパク質と会合した酵素であるDPPを利用する。いくつかの実施形態では、相互作用タンパク質のうちの1つからの切断の際に、酵素の活性は上昇または低下する。いくつかの実施形態では、酵素は、相互作用タンパク質から酵素が切断された時と比べてその活性が低下するように、相互作用タンパク質と会合している。いくつかの実施形態では、酵素は、相互作用タンパク質から酵素が切断された時と比べてその活性が上昇するように、相互作用タンパク質と会合している。いくつかの実施形態では、酵素は、相互作用タンパク質と会合しており、酵素に対する基質は、酵素が会合している相互作用タンパク質から離れて位置しているかまたは隔離されている。例えば、相互作用タンパク質は、膜に存在しているかまたは基質が位置している場所とは異なる細胞小器官に存在しているが、切断の後には、酵素はその基質と相互作用することができる。いくつかの実施形態では、酵素の基質および/または産物は検出可能である。いくつかの実施形態では、基質および産物は共に検出可能であり、例えばレシオメトリック測定(例えば、BlaおよびCCF2(Invitrogen,Carlsbad,CA))が可能である。
【0111】
いくつかの実施形態では、DPPは検出可能な経路(例えば、細胞経路)を制御または調節することができる。例えばいくつかの実施形態では、DPPは、細胞内カルシウムレベルおよびcAMPレベルの変化をもたらす細胞経路を調節してもよい。これらの変化は、当該分野で公知の方法、例えばNFAT応答要素および/またはカルシウム応答要素を使用して容易に検出され、レポーター遺伝子の転写が制御される。
【0112】
図12Aは、PCS、およびプロテアーゼを含む第2試験タンパク質と相互作用するタンパク質相補対の第1部分を含む第1試験タンパク質を示す。相互作用する際に、プロテアーゼは、第1試験タンパク質からタンパク質相補対の第1部分を切断する。タンパク質相補対の第1部分は、タンパク質相補対の第2部分と自由に相互作用できるわけではない。いくつかの実施形態では、PCA1およびPCA2は転写因子の一部分である。これらの実施形態のいくつかで、PCA2は核局在化配列を保有し、PCA1は細胞膜に繋がれているTP1に融合されている。いくつかの実施形態では、TP1はGPCRのような細胞表面受容体である。いくつかの実施形態では、TP2は、TP1の誘導性相互作用パートナー(例えば、b−アレスチンまたはG−タンパク質またはGRK)である。いくつかの実施形態では、タンパク質相補対の第1部分および/または第2部分は、膜結合性である。いくつかの実施形態では、タンパク質相補対の第1部分および/または第2部分が結合しているかまたは相互作用している時、それらはDPPを形成する。タンパク質相補対から形成され得る種々の検出可能なタンパク質およびそれらの検出方法は、当該分野で公知であり、かつ/または本明細書中に記載されている。
【0113】
図12Bは、プロテアーゼ相補対の第1部分、PCSおよびDPPを含む第1試験タンパク質を示す。プロテアーゼ相補対の第2部分を含む第2試験タンパク質も示されている。これらの実施形態のいくつかは、第1試験タンパク質および第2試験タンパク質が相互作用する時、プロテアーゼ相補対の第1部分および第2部分は、DPPを切断し放出する活性プロテアーゼを形成する。DPPは、本明細書中に記載するいずれのDPPであってもよく、本明細書中に記載する任意の方法で検出することができる。
【0114】
図12Cは、第1試験タンパク質がPCSで連結されたDPPの第1部分および第2部分を含む場合の相互作用を示す。いくつかの実施形態では、DPPのこれらの第1部分および第2部分は、分離されるとそれらは相互作用して活性DPPを形成するような親和性を有していないという意味で、タンパク質相補対ではない。いくつかの実施形態では、DPPはPCSで切断されるまでは活性であるかまたは検出可能である。いくつかの実施形態では、PCSを介して会合するDPPの2つの部分は、活性DPPを形成する能力が低下しているかまたは失われており、例えば切断の際にDPPの活性は低下する。いくつかの実施形態では、DPPは、切断の際にDPPが、例えば会合して活性DPPを形成することができないかまたはその傾向がほとんどない2つの不活性ドメインに分離されるように、PCSによって分割される。いくつかの実施形態では、切断はシグナルの低下をもたらす。いくつかの実施形態では、切断はDPPの不活性形態をもたらすか、または活性が低下したDPPの形態をもたらす。
【0115】
図12Dは、共鳴エネルギー移動および/またはクエンチ方法を示す。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質は、ドナー分子(例えば、ポリペプチド)からのシグナルをクエンチすることができ、かつ/または次にアクセプター分子を励起するドナー分子を励起することができるアクセプター分子(例えば、ポリペプチド)を含む。いくつかの実施形態では、第1試験タンパク質は、アクセプター分子(例えば、ポリペプチド)にエネルギーを移すことができるドナー分子(例えば、ポリペプチド)を含む。このエネルギーの移動によりアクセプター分子は励起される。ドナーおよび/またはアクセプターからのシグナルまたはシグナルの欠如は検出することが可能である。いくつかの実施形態では、このため、ドナー分子およびアクセプター分子の両方からのシグナル(例えば、蛍光)を測定/検出することによって、レシオメトリック分析を行うことができる。本発明のいくつかの実施形態では、アクセプター分子はドナー分子からのエネルギーを受け入れる(例えば、ドナー分子をクエンチする)が、アクセプター分子は検出可能なシグナルを発しない。いくつかの実施形態では、FRETスキームによって、個々の細胞において測定を実施することができる。
【0116】
図12Eは、2つのタンパク質の相互作用により不活性なプロテアーゼが形成され放出される2段階反応を示す。試験タンパク質が無傷の時に、(例えば、相補的タンパク質によって形成されていない)プロテアーゼ全体が放出される、本発明の同様の実施形態を実施することができる。放出されたプロテアーゼは、多くの方法のいずれによって検出されてもよい。例えば、プロテアーゼは検出可能なタンパク質を切断する。いくつかの実施形態では、検出可能なタンパク質の切断により、例えば本明細書中に記載するような検出可能なタンパク質からのシグナルが減少または増加することがある。
【0117】
図12Fは、検出可能なタンパク質相補対の第1部分および第2部分の相互作用を許容する、2つの試験タンパク質の相互作用を示す。相補性により、DPPが形成され、本明細書中に記載するようにそれを検出することができる。いくつかの実施形態では、この方法および関連する組成物は、例えば細胞質または核のような種々の細胞内区画におけるホモ二量体および/またはヘテロ二量体を評価、検出および/または測定するのに利用することができる。いくつかの実施形態では、(例えば、キナーゼシグナル伝達カスケードにおける)MEK1とその基質ERK1との相互作用は、補完して検出可能なシグナルを生成するDPPのフラグメントに各々融合することにより検出することができる。
【0118】
図12Gは、3つのタンパク質が関与する相互作用を測定、検出または評価するための方法を図示する。3つのタンパク質が分子的に近接した状態にある場合は、DPPが放出される。2つの試験タンパク質のみが近接している場合には、DPPは切断されない。本発明の方法および/または組成物を用いてモニターまたは評価することができる三量体のタンパク質の相互作用の1つの例は、Culin2と腫瘍抑制活性に寄与するVHL−elogin Bタンパク質およびCタンパク質との相互作用である。
【0119】
図12Hは、少なくとも2つのタンパク質が関与する相互作用を検出または評価するための方法を図示する。これらの実施形態のいくつかでは、検出可能なタンパク質相補対の第1部分および第2部分は、補完を許容しないようにしてPCSを介して融合されている。第1試験タンパク質と第2試験タンパク質の相互作用の際に、検出可能なタンパク質相補対の第2部分が放出/切断され、それは第1部分を補完して、例えば本明細書中に記載するような検出可能なシグナルを生成することができる。いくつかの実施形態では、切断は補完されたDPPからのシグナルを増加させる。いくつかの実施形態では、切断は、活性な形態のDPPをもたらすか、DPP由来の活性を高める。
【0120】
これまでまたは以下で考察する実施形態のいずれかでは、試験タンパク質の一方または両方が膜結合性であってもよい。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは膜結合性であるタンパク質を切断する。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは膜結合性である。いくつかの実施形態では、このことは有利である場合がある。なぜなら、結合されるプロテアーゼおよび/またはタンパク質が膜結合性である場合、それらは(同一の膜上にないかぎり)分子的に近接した範囲内で拡散せず、それゆえ例えば所望のタンパク質−タンパク質相互作用に関連しないバックグラウンドの切断を低下させるかも知れないからである。いくつかの実施形態では、試験タンパク質の一方またはどちらも膜結合性ではない。
【0121】
それゆえ、本発明は、例えば図1、図11および図12に示すようなタンパク質−タンパク質相互作用を検出、測定および評価するための組成物および方法を提供する。
【0122】
いくつかの実施形態では、プロテアーゼまたはプロテアーゼ相補対の第1部分および第2部分により形成されるプロテアーゼは、融合タンパク質(例えば、試験タンパク質をまったく含まない別個の融合タンパク質)由来のDPPを切断する。いくつかの実施形態では、DPPの切断によりDPPの活性は高まるかまたは低下する。このようにしてDPPを含む融合タンパク質を構築する方法は当該分野で公知であり、本明細書中でも記載されている。いくつかの実施形態では、BlaのようなDPPはユビキチンに融合される。いくつかの実施形態では、DPP活性は、その融合タンパク質からの切断の際に上昇する。他の実施形態では、DPP活性は低下する。Blaがユビキチンに融合されている間は「不安定化」され、ユビキチンから切断されると安定化されている、ユビキチン−Bla融合タンパク質を作製する方法は当該分野で公知である。例えば、Whitneyら,Journal of Biomolecular Screening 7(2):149−154(2002)およびStackら,Nature Biotechnology 18:1298−1302(2000)を参照のこと。それゆえ、プロテアーゼおよびユビキチン−Bla融合タンパク質は、本発明のいくつかの実施形態で利用される。係る実施形態では、例えば細胞質または核におけるタンパク質相互作用を、相互作用後すばやく(例えば、15〜30分)測定または検出することができる。
【0123】
プロテアーゼに関連するいくつかの実施形態(例えば、プロテアーゼを放出または活性化すること、プロテアーゼをDPPのような別のタンパク質に分子的に近接させること、またはプロテアーゼ相補対を介して活性なプロテアーゼを形成(分離)すること)では、プロテアーゼは、切断によってDPPの蛍光が変化するか部分的に変わる場合にDPPを切断するために使用される。プロテアーゼにより切断された時に蛍光が変化する種々のタンパク質が当該分野で公知である。例えば、Vanderklishら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:2253−2258(2000);Xuら,Nucleic Acids Res.26:2034−2035(1998);およびLuoら,Biochem.Biophys.Res.Commun.283:1054−1060(2001)を参照のこと。
【0124】
プロテアーゼ全体もしくは無傷のプロテアーゼを用いて示されるかまたはそれらが関与するいくつかの実施形態では、プロテアーゼはプロテアーゼ相補対で置き換えることができる。例えば、相互作用タンパク質の1つにある全プロテアーゼを用いて記載する実施形態は、プロテアーゼ相補対の第1メンバーが第1試験タンパク質と会合し、プロテアーゼ相補対の第2メンバーが第2試験タンパク質と会合するように、改変することもできる。いくつかの実施形態では、タンパク質相補対の第2メンバーは、相互作用には関与しないが、(例えば拡散によって)移動しその対の他方のメンバーと接触することができる。従って、第1試験タンパク質および第2試験タンパク質が相互作用する時、プロテアーゼ相補対は、あたかも試験タンパク質の一方が全体/無傷のプロテアーゼからなるかのように、同様に作用する。
【0125】
特定のアッセイフォーマットを、何らかの特異的なタンパク質相互作用のために特に適合させてもよい。しかしながら、多くの例では、様々なアッセイフォーマットは多かれ少なかれ、特異的なタンパク質相互作用またはタンパク質相互作用自体の特異的なタイプを測定するように適合されている。例えば、本明細書中に記載する全てでなくとも多くのアッセイフォーマットは、ヘテロ二量化に対するホモ二量化を測定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、様々なアッセイフォーマットを同一のタンパク質相互作用を評価または測定するために使用することもあり得る。いくつかの実施形態では、どの方法を使用するかの選択は、技術的な問題、例えばアッセイ動力学、シグナル対バックグラウンド比、機器の使用などに依存する場合がある。
【0126】
適用できる場合には、本発明の方法のいくつかはインビボ(細胞中または動物中)またはインビトロで実施してもよい。
【0127】
本発明の種々の実施形態は、少なくとも1つのタンパク質−タンパク質相互作用に対する少なくとも1つの化合物の効果を分析するために利用することができる。例えば、本明細書中に記載する種々のフォーマットは、化合物(例えば、試験化合物)の存在下で実施することができる。これらの実験から得られた結果は、1)その化合物の不存在下で、2)同一化合物の異なる濃度で、3)異なる化合物を用いて、実施された類似または同一の方法と比較することができる。いくつかの実施形態では、複数の化合物が利用される。いくつかの実施形態では、化合物は、低分子、有機化合物、タンパク質、核酸、ペプチド、RNAi、siDNA、または結合性分子(例えば、リガンドもしくは抗体、またはそれらの結合性フラグメント)である。
【0128】
本発明の方法および組成物のほとんどは、動物の細胞(すなわち、マウス、線虫(C.elegans)またはハエ(D.melanogaster)などの無傷動物中)に適用できる。例えば、本明細書中に記載する種々のフォーマットおよび方法は、動物の細胞中に組込むことができる。本発明のいくつかの実施形態は、受精卵の前核注入および胚幹細胞における遺伝子標的法を利用することができる。これらは、本発明の組成物を動物細胞に組込むために利用することができる、広く行われている2つの手順である。細胞は、種々の方法で動物の中に組込むことができる。細胞を動物の中に組込むための方法は当該分野で公知である。例えば、細胞または細胞の集団を、例えば皮下に、皮内に、筋肉内に、頭蓋内に、静脈内になど、動物の中へ移植または注入することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物を含む細胞は異種移植片、例えばマウスのような動物の中に移植されたヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、腫瘍細胞または形質転換細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は初代細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、胚幹細胞または造血幹細胞である。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明の細胞またはその核を使用して、トランスジェニック動物を生成することができる。これらの実施形態のいくつかでは、マウスの細胞の全てが本発明のタンパク質相互作用レポーター系を含むと考えられる。いくつかの実施形態では、ベクター(例えば、ウイルスベクター)を使用して、本発明の構築物を生きた動物(例えば哺乳類)の細胞の中へ導入することができる。本明細書中に記載するアッセイフォーマットを生成するために、これを行うことができる。
【0130】
生きた動物において所望のタンパク質−タンパク質相互作用を評価、測定または検出することができるため、本発明の細胞を含む動物は有利である。いくつかの実施形態では、動物に化合物を与えてもよく、少なくとも1つのタンパク質−タンパク質相互作用をモニターまたは評価してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、β−ガラクトシダーゼが転写因子として使用される。いくつかの実施形態では、組織切片が動物から単離され、例えばその細胞を酵素活性について染色することによって、タンパク質−タンパク質相互作用が検出される。いくつかの実施形態では、タンパク質−タンパク質相互作用を生きた動物中で直接検出することができる。例えば、検出可能なシグナルはルシフェラーゼ反応の結果であってもよい。Xenogen(Hopkinton,MA)は、生きた動物内で種々のルシフェラーゼ反応を検出するためのシステムを提供する。それゆえ、タンパク質−タンパク質相互作用を、動物中の種々の組織内で、かつ/またはリアルタイムでモニターすることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、異なるレポーター遺伝子を同時に採用して複数のタンパク質−タンパク質相互作用(例えば、受容体のような膜結合性)をアッセイするために上記方法および/または組成物を使用することができる。異なるレポーター遺伝子の各々は、本明細書中に記載するクラスのタンパク質などの、タンパク質の活性化により刺激される。例えば、これは、異なる受容体構築物および異なるシグナル発生タンパク質もしくは異なるタンパク質の不活性部分をコードする異なるレポーター遺伝子を含む細胞を混合することにより、または異なる転写因子を各試験受容体に融合し、シグナル発生タンパク質のレポーター遺伝子の移動の活性、もしくは例えば試験化合物での処理に際してなど、活性タンパク質の形成によりもたらされる活性を測定することにより、実現してもよい。例えば、関心対象の分子が第1受容体を活性化するかどうかを決定し、第2受容体との相互作用の結果として副作用が予想されるかどうかを決定することが望ましい場合がある。係る場合、例えば第1受容体および第1レポーター(例えばlacZ)をコードする第1細胞株、ならびに第2受容体および第2レポーター(例えばGFP)をコードする第2細胞株が関与してもよい。係るシステムのいくつかの実施形態は、実施例17および実施例18に記載されている。いくつかの実施形態では、2つ以上の細胞株(例えば、各々、少なくとも1つの異なるタンパク質−タンパク質相互作用を評価することができる)を混合し、例えば別の相互作用には何らの効果も及ぼさずに1つの相互作用に対する(正または負の)効果を探索するために、関心対象の化合物を添加することができる。これらの実施形態のいくつかでは、検出可能なシグナルはFACSにより検出される。
【0132】
本発明は、相互作用する試験タンパク質の単一の対を検討するアッセイと、本明細書中で「多重」アッセイと呼ぶアッセイとの両方に関することが想定されている。多重タイプのアッセイは、種々の方法で行ってもよい。例えば、複数の試験タンパク質または複数のタンパク質−タンパク質相互作用が同時に評価/試験される。これは、複数の細胞試料を提供し、細胞試料の各々を構築、形質転換、またはトランスフェクトして、相互作用する各タンパク質対または各相互作用を試験することにより実現することができる。異なる形質転換細胞を組み合わせ、同時に1つの容器で試験してもよく、各々異なるタイプの形質転換細胞を異なるウェルに置き、その後試験してもよい。本明細書中に記載する多重アッセイに使用する細胞は同一であってもよいが、そうである必要はない。
【0133】
いくつかの実施形態では、多重化は1つの細胞(例えばクローン細胞の集団)中で実施することができる。例えば、本明細書中に記載する種々の方法および/または組成物を組み合わせることにより、複数のタンパク質−タンパク質相互作用を、測定、評価および/または検出することができる。いくつかの実施形態では、異なるタンパク質−タンパク質相互作用は、異なる区別可能なシグナル(例えば、異なる区別可能な蛍光シグナル)をもたらすと考えられる。例えば、検出可能なシグナルをもたらす少なくとも2つのアッセイフォーマットを含むように、細胞を構築することができる。例として、例えば1つのアッセイフォーマットが図12Aに示すものに類似しており、第2アッセイフォーマットが図12Bに示すものに類似しているなど、2つの異なるタンパク質相互作用を評価するように細胞を構築することができる。各フォーマットが、2つの異なるおよび/または区別可能な蛍光シグナルをもたらすように設計することもあり得る。いくつかの実施形態では、両方のアッセイフォーマットは、2つの異なるおよび/または区別可能な蛍光シグナルをもたらす(例えば、図12A〜Hのいずれかにおけるような)類似のフォーマットであってもよい。
【0134】
使用するレポーターシステムは、各試料において同一であってもよいが、そうである必要はない。1つまたは複数の試料を容器(例えば、マイクロアレイのウェル)中に置いた後、容器中に置いた複数の相互作用タンパク質対に対して1つ以上の化合物をスクリーニングしてもよい。
【0135】
本発明の構築物により発現されるいくつかの融合タンパク質も本発明の特徴である。当業者には明らかな本発明の他の態様は、融合タンパク質を識別することができる抗体、およびタンパク質の存在を決定するための種々のタンパク質ベースのアッセイ、ならびに遺伝子の発現を決定するハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、PCRに基づくアッセイ)である。
【0136】
IV.キット
本明細書中に記載するいずれの組成物もキットの中に含まれていてもよい。従って、キットは、本発明のベクターまたは細胞についての適切な容器手段の中に、本発明に従って使用することができる任意の付加的な薬剤を含む。
【0137】
このキットは適切に小分けされた本発明の組成物を含んでいてもよい。このキットの構成要素は、水性媒体中または凍結乾燥した形態で包装されていてもよい。キットの容器手段は一般に、構成要素を入れそして必要に応じて適切に小分けしてもよい少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、シリンジまたは他の容器手段を備える。キット中に複数の構成要素が存在する場合、そのキットは一般に、付加的な構成要素を別個に入れることができる第2、第3または他の付加的な容器をも含むと考えられる。しかしながら、構成要素の種々の組合せがバイアル中に含まれていてもよい。本発明のキットは、通常、市販のために厳重に梱包して試薬容器を収容するための手段をも備えるであろう。係る容器は、所望のバイアルが保持される射出成形またはブロー成形されたプラスチック容器を備えていてもよい。
【0138】
このキットの構成要素が1つおよび/またはより多くの溶液に与えられる時、液体溶液は、例えば滅菌した水溶液を用いた水溶液であってもよい。いくつかの実施形態では、キットの構成要素は乾燥粉末として準備される。試薬および/または構成要素が乾燥粉末として準備される場合、その粉末は適切な溶媒を添加することにより再構成され得る。溶媒を別の容器手段の中に準備していてもよいことも想定される。
【0139】
V.実施例
本発明を説明する具体的な実施形態を以下の実施例に示すが、本発明はそれらに限定されるわけではない。
【0140】
実施例1
ヒトβ2アドレナリン受容体(以後、標準的な命名法に従い「ADRB2」と呼ぶ)をコードするDNAを用いて融合構築物を作製した。そのヌクレオチド配列は、受託番号NM_000024(配列番号1)でGenbankに見出すことができる。Gossenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:5547−5551(1992)(参照により引用されたものとする)に記載されるテトラサイクリン制御性トランス活性化因子tTAも使用した。Parksら,Anal.Biochem.,216:413−417(1994)(参照により引用されたものとする)に記載されるタバコエッチウイルス核内封入体Aプロテアーゼに対する認識および切断部位をコードする配列を、融合コード遺伝子のこれらの配列の間に挿入した。CMVプロモーター領域をADRB2コード領域の上流に置き、ポリA配列をtTA領域の下流に置いた。
【0141】
内部BamHIおよびBglII制限部位を欠くADRB2の形態を最初に生成することにより、融合構築物を調製した。さらに、内因性終止コドンをユニークなBamHI部位で置き換えた。
【0142】
オーバーラッピングPCR法を用いてこれを行った。詳細に言えば、コード領域の5’位を

および

で増幅し、他方、コード領域の3’位を

および

で増幅した。
【0143】
得られたPCR産物は27ヌクレオチドの重複配列を有しており、標準的なアガロースゲル電気泳動によって精製した。これらを一緒に混合し、配列番号2および配列番号5を用いて増幅した。
【0144】
PCRを用いて、内因性開始コドンがTEV NIa−Pro切断部位で置き換えられるようにtTAのコード領域を修飾した。7アミノ酸配列ENLYFQS(配列番号6)で規定される切断部位が、Parksら,Anal.Biochem.,216:413−417(1994)(参照により引用されたものとする)により教示されている。この7番目のアミノ酸は、P1’位として公知であり、それを他のアミノ酸で置換するとTEV NIa−Proによる切断の効率が低下することは公知である。Kapustら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,294:949−955(2002)を参照のこと。
【0145】
7番目のアミノ酸をTyrに変更した変異体、および7番目のアミノ酸をLeuに変更した変異体を生成した。これらは、天然の高効率部位に比べて中効率および低効率な切断部位をもたらした。
【0146】
天然の高効率部位をコードするDNA配列を、2段階でtTAコード領域に付加した。手短に言えば、

および

を用いたPCRによってBamHIおよびXbaI制限部位をtTAコード領域の5’に付加し、XhoI制限部位をtTAコード領域の3’末端に付加し、配列

を有するオリゴヌクレオチドをBamHI部位とXbaI部位との間にライゲーションすることによりTEV NIa−Pro切断部位を5’末端に付加した。
【0147】
ENLYFQY(配列番号12)についての

および

ならびにENLYFQL(配列番号14)についての

および

を用いるPCRによって、このDNA配列を中効率および低効率の切断部位をコードするように修飾した。
【0148】
これらのPCR工程により、各切断部位をコードする配列の5’にBamHI制限部位を、そしておよびtTA終止コドンの3’にXhoI制限部位をも導入した。
【0149】
このように修飾したADRB2コード領域を、コード領域の260ヌクレオチド位で切断するPstI、およびBamHIで消化した。この3’フラグメントをTEV NIa−Pro切断部位(これはすでにBamHIおよびXhoIで消化されている)で修飾したtTAの3つの変異体とライゲーションし、得られた複合体をすでにPstIおよびXhoIで消化したpBlueScript IIにクローン化した。
【0150】
NotI制限部位を、

および

を用いて、再度PCRにより、ADRB2コード領域の開始コドンの5’に導入した。
【0151】
修飾したADRB2コード領域の5’フラグメントをNotIおよびPstIによる消化によって単離し、以前に消化したADRB2−TEV−NIa−Pro切断部位 tTA融合物の3’フラグメントの構築物の各々にライゲーションして融合タンパク質をコードする3つの全長構築物を生成した。
【0152】
各構築物をNotIおよびXhoIで消化し、次いでNotIおよびXhoIで消化した市販の発現ベクターpcDNA3に挿入した。
【0153】
実施例2
第2構築物を作製し、「βアレスチン2、以後ARRB2」についてのコード配列(GenBank,NM_004313)(配列番号17)をTEVタンパク質のTEV NIaプロテアーゼの触媒ドメイン(すなわち、成熟したNIaプロテアーゼの189〜424アミノ酸、2040〜2279残基)にライゲーションした。これを行うため、BamHI制限部位をその5’末端に付加するように、ARRB2をコードするDNA配列を修飾した。さらに、その配列を修飾して内因性終止コドンをBamHI部位で置換した。オリゴヌクレオチド

および

を使用した。得られたPCR産物を市販のベクターpGEM−T EASY(Promega)にクローン化した。pGEM−T EASYベクターの多重クローニング部位はARRB2の開始コドンの5’にEcoRI部位を含む。
【0154】
次いでTEV NIa−Proコード領域を修飾して、内因性開始コドンをBglII部位で置換し、そしてKolodziejら,Meth.Enzymol.,194:508−519(1991)に従って3’末端にインフルエンザ赤血球凝集素エピトープYPYDVPDYA(配列番号20)をコードする配列、次に終止コドン、およびNotI制限部位を挿入した。

および

を使用するPCRにより、これを達成した。
【0155】
得られた修飾したARRB2コード領域をEcoRIおよびBamHIで消化し、他方、修飾したTEVコード領域をBglIIおよびNotIで切断した。両方のフラグメントを、EcoRIおよびNotIで消化した市販のpcDNA3発現ベクターにライゲーションした。
【0156】
実施例3
ADRB2−TEV−NIa−Pro切断部位−tTAおよびARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合タンパク質をコードするプラスミドを、HEK−293T細胞、およびHEK−293Tの誘導体である「クローン41」にトランスフェクトした。クローン41はtTA依存性プロモーターの制御下に安定的に組込んだβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を有する。約5×10個の細胞を、24ウェルプレートの各ウェル中の、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのG418および5μg/mlのプリマイシンを補ったDMEM培地にプレートした。細胞を増殖させて、翌日に密集度50%に到達させ、次いで0.4μgのプラスミドDNAおよび2μlのFugene(脂質および他の物質を含む、トランスフェクション試薬)を用いてトランスフェクトした。この混合物を100μlのDMEM培地に混合し、細胞を加える前に室温で15分間でインキュベーションした。受容体に対する公知のアゴニストである薬物を加えることにより試験する前に8〜20時間トランスフェクトした細胞をインキュベーションし、次いで薬物添加後16〜24時間インキュベーションした。
【0157】
実施例4
MacGregorら,Somat.Cell Mol.Genet.,13:253−265(1987)(参照により引用されたものとする)が教示する発色基質、すなわち「X−gal」で細胞を染色することにより、細胞におけるβ−ガラクトシダーゼ活性のレベルを最初に測定した。培養後、カルシウムおよびマグネシウムを含むD−PBSで2回細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒド中で5分間固定させ、次いでD−PBS、カルシウムおよびマグネシウムでさらに2回(毎回10分間)洗浄した。固定した細胞を、カルシウムおよびマグネシウムを含むD−PBS中で、5mM フェリシアン化カリウム、5mM フェロシアン化カリウム、2mM MgCl、ジメチルホルムアミド中の4%X−Galストックの1:40希釈から調製した0.1% X−Galと共にインキュベーションした。
【0158】
この反応液を室温で暗所で、3〜4時間から一晩、インキュベーションした。基質溶液を除去し、細胞をmowiol封入剤(10% mowiol、0.1% 1.4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、24%グリセロール)を用いてガラスのカバースリップの下にマウントした。
【0159】
結果は、ADRB2−TEV−NIa−Pro切断部位−tTAプラスミドのみまたはARRB2−TEV−NIaプロテアーゼプラスミドのみのいずれかでトランスフェクトした細胞はβ−ガラクトシダーゼを発現しないことを示した。両方のプラスミドでトランスフェクトした細胞のほんの一部分が、恐らくは刺激を受けていないADRB2とARRB2との間の基礎レベルの相互作用に起因してβ−ガラクトシダーゼを発現した。10μM イソプロテレノール、または10μM エピネフリン(共にADRB2アゴニストである)で処理した後、約3〜5倍多い細胞がレポーター遺伝子を発現した。
【0160】
ADRB2アンタゴニストであるアルプレノロール(10μM)で細胞を5分間前処理した場合、アゴニストが誘導したβ−ガラクトシダーゼ発現細胞の増加は遮断され、アルプレノロールのみで処理した場合には目に見える効果はなかった。
【0161】
これらの結果は、アゴニスト結合およびGPCR刺激をレポーター遺伝子の転写因子活性化に関連付けることができることを示す。
【0162】
実施例5
細胞におけるレポーター遺伝子活性のレベルをより正確に定量し、アッセイのシグナル対バックグラウンド比を最大にするために、一組の実験を実施した。これを、β−ガラクトシダーゼ活性についての市販の化学発光アッセイを使用してレポーター遺伝子誘導のレベルを測定することにより達成した。クローン41細胞を、高効率、中効率または低効率のいずれかの切断部位を含むADRB2−tTA融合構築物、および上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクションの20時間後、細胞を1μM イソプロテレノールで処理するか未処理とし、薬物添加の24時間後、化学発光アッセイを実施した。手短に言えば、細胞培養後、培地を除去し、50μlの溶解緩衝液(100mM リン酸カリウム、pH7.8、0.2% TritonX−100)を各ウェルに加えた。ゆっくり攪拌しながら、室温での5分間のインキュベーションにより細胞を溶解させた。溶解液を集め、市販の製品によって分析した。
【0163】
全ての場合で、アゴニストによる処理によってβ−ガラクトシダーゼ活性のレベルは上昇した。しかしながら、未処理の細胞におけるレポーター遺伝子活性のバックグラウンドレベルは、中効率部位および高効率部位に対して、低効率の切断部位を用いた時に最低となった。さらに、アゴニストで処理することにより、低効率切断部位でトランスフェクトした細胞においてレポーター遺伝子活性が4.8倍刺激された。これに対して、中効率切断部位については2.8倍刺激され、高効率切断部位については1.2倍刺激されたのみであった。このように、最高のシグナル対バックグラウンド比は、低効率のプロテアーゼ切断部位を使用することにより得られる。
【0164】
実施例6
アゴニストの刺激によるレポーター遺伝子発現の増加がアゴニストによる受容体の結合および活性化に依存していることを実証するために、これらの実験を設計した。
【0165】
これを行うため、各々が113位の1つのアミノ酸がDからSに変わっている受容体の変異体を含むこと以外は上記のプロトコルに従って、ADRB2−tTA融合構築物の変異体を生成した。この変更によりアゴニストであるイソプロテレノールに対する親和性が大きく低下した。Straderら,J.Biol.Chem.,266:5−8(1991)を参照。各々が異なる切断部位を有する、変異受容体−tTA融合構築物の3つの形態を形成した。
【0166】
D113S点突然変異体を含むADRB2−tTA融合構築物および上で説明したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミドでコトランスフェクトしたクローン41細胞中で、β−ガラクトシダーゼ活性のレベルを測定した。この活性試験を上で説明したのとまったく同様に実施した。結果は、アゴニストであるイソプロテレノールは変異体ADRB2−tTA融合構築物を発現する細胞中ではレポーター遺伝子発現を刺激しないことを示した。
【0167】
実施例7
アゴニストの刺激によるレポーター遺伝子発現の増加がTEV NIa−ProのARRB2への融合に依存するかどうかを検討するためにこれらの実験を設計した。
【0168】
これを行うため、低効率切断部位、および上で説明したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ発現プラスミドまたはコントロールのホスホリパーゼCのSH2ドメインへのTEV−NIaプロテアーゼ融合物のいずれかを含むADRB2−tTA融合構築物でコトランスフェクトしたクローン41細胞中で、β−ガラクトシダーゼ活性のレベルを測定した。この活性試験を上で説明したのとまったく同様に実施した。結果は、アゴニストの刺激によるレポーター遺伝子発現の増加は、TEVプロテアーゼがARRB2に融合された時にのみ検出され、無関係のポリペプチドに融合している時には検出されないことを示した。
【0169】
実施例8
遺伝子発現が標的受容体のアゴニストにより選択的に誘導されるのかどうか、またはそれが他の分子によって刺激され得るのかどうかを決定するために、これらの実験を設計した。
【0170】
ATPは、Gタンパク質共役受容体P2Y1およびP2Y2のアゴニストである。これらはHEK−293T細胞により内因的に発現される。
【0171】
低効率切断部位および上で説明したアレスチン−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むADRB2−tTA融合構築物でコトランスフェクトしたクローン41細胞を使用して、実験を行った。この細胞をイソプロテレノール、ATPで処理したか、または処理しなかった。アッセイを上で説明したようにして実施した。
【0172】
結果は、レポーター遺伝子活性の誘導が標的受容体の活性化に特異的であることを示した。別のGPCR経路の刺激は無関係であった。
【0173】
実施例9
低効率切断部位および上で説明したARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むADRB2−tTA融合構築物でコトランスフェクトしたクローン41細胞を使用して、実験を行った。この細胞を、様々な量のアドレナリン受容体アゴニスト イソプロテレノールおよびエピネフリンのうちの1つで処理した。アッセイを上で説明したようにして実施した。図2aに呈示した結果は、これらの2つのリガンドによるレポーター遺伝子発現の刺激についての投与量−応答曲線を示す。各点は、3つの実験から得られた平均値を示す。
【0174】
上で説明したようにして、コトランスフェクトしたクローン41細胞を様々な濃度のアドレナリン受容体アゴニスト アルプレノロールで15分間前処理し、その後1:M エピネフリンで処理した一組の実験を実施した。図2bに示す結果は、このアンタゴニストについての投与量−阻害曲線を示す。
【0175】
実施例10
Gタンパク質共役アルギニンバソプレシン受容体2(AVPR2)についてのアッセイを設定するため、類似のセットの構築物を作製した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、AVPR2コード領域(Genbank受託番号:NM_000054)(配列番号23)を、EcoRI部位を5’末端に置き、終止コドンをBamHI部位で置換するように修飾した。
【0176】
修飾したAVPR2コード領域を、EcoRIおよびBamHIですでに切断した上述の3つのADRB2− tTA構築物にライゲーションした。これにより、ADRB2のコード配列全体をAVPR2のコード配列で置換した。
【0177】
低効率切断部位および上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むAVPR2−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、様々な濃度(1pM〜2μM)の[Arg8]バソプレシン(AVPR2についてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。図3に示すデータは、3.3nMのEC50を有するこのアゴニストについての投与量−応答曲線を示し、この値は以前に公開されたデータ(Oakley,R.,ら,Assay and Drug Development Technologies,1:21−30,(2002))と一致する。最大応答は、バックグラウンドレベルに対して約40倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0178】
実施例11
Gタンパク質共役セロトニン受容体1a(HTR1A)についてのアッセイを設定するために、類似のセットの構築物を作製した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、EcoRI部位を5’末端に置き、終止コドンをBamHI部位で置換するように、HTR1Aコード領域(Genbank受託番号:NM_000524)(配列番号26)を修飾した。
【0179】
修飾したHTR1Aコード領域を、すでにEcoRIおよびBamHIで切断した、上述のAVPR2−tTA構築物にライゲーションした。これにより、AVPR2のコード配列全体をHTR1Aのコード配列で置換した。得られた構築物を、以後「HTR1A−tTA」と呼ぶ。
【0180】
低効率切断部位および上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むHTR1A−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、10μMの8−ヒドロキシ−DPAT HBr(OH−DPAT)(HTR1Aについてのアゴニストである)および10μMのセロトニン(HTR1Aについての天然のアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。アッセイを上で説明したようにして実施した。OH−DPATに対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して6.3倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらし、セロトニンに対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して4.6倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0181】
実施例12
Gタンパク質共役m2ムスカリン性アセチルコリン受容体(CHRM2)についてのアッセイを設定するために、類似の構築物を作製した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、EcoRI部位を5’末端に置き、終止コドンをBglII部位で置換するように、CHRM2コード領域(Genbank受託番号:NM_000739)(配列番号29)を修飾した。
【0182】
修飾したCHRM2コード領域を、すでにEcoRIおよびBamHIで切断した上述のAVPR2−tTA構築物にライゲーションした。これにより、AVPR2のコード配列全体をCHRM2のコード配列で置換した。
【0183】
高効率切断部位および上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むCHRM2−tTA融合構築物で、クローン41細胞をコトランスフェクトした。この場合、ARRB2−プロテアーゼ融合タンパク質は、単純ヘルペスウイルス チミジンキナーゼ(HSV−TK)プロモーターの制御下に発現した。10μMのカルバミルコリンCl(カルボコル(carbochol))(上述のように、CHRM2についてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。カルボコルに対する最大応答は、バックグラウンドに対して7.2倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0184】
実施例13
Gタンパク質共役ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体5(CCR5)についてのアッセイを設定するために、α構築物も作製した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、NotI部位を5’末端に置き、終止コドンをBamHI部位で置換するように、CCR5コード領域(Genbank受託番号:NM_000579)(配列番号32)を修飾した。
【0185】
プライマー

および

を使用して、切断された時EcoRIで切断したDNAと適合性であるヌクレオチド突出部を残すBsaI部位を5’末端に置くように、CCR5コード領域を修飾した。
【0186】
第1修飾コード領域をClaIおよびBamHIで切断し、第2修飾コード領域をBsaIおよびClaIで切断した。両方のフラグメントを、すでにEcoRIおよびBamHIで切断した上述のAVPR2−tTA構築物にライゲーションした。これにより、AVPR2のコード配列全体をCCR5のコード配列で置換した。
【0187】
低効率切断部位を含むCCR5−tTA融合構築物を「クローン34」細胞にトランスフェクトした。「クローン34」細胞は、上述のHEK細胞株「クローン41」の誘導体であるが、CMVプロモーターの制御下で安定的に組込まれたARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合遺伝子を含む。1μg/mlの「Regulated on Activation,Normal T−Cell Expressed and Secreted」(RANTES)(CCR5についての公知のアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。上述のようにして測定したRANTESに対する最大応答は、バックグラウンドに対して約40倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0188】
実施例14
次に、Gタンパク質共役ドーパミン2受容体(DRD2)についてのアッセイを設定するために、一組の構築物を作製した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、EcoRI部位を5’末端に置き、終止コドンをBglII部位で置換するように、DRD2コード領域(Genbank受託番号:NM_000795)(配列番号37)を修飾した。
【0189】
修飾したDRD2コード領域を、すでにEcoRIおよびBamHIで切断した、上述のAVPR2−tTA構築物にライゲーションした。これにより、AVPR2のコード配列全体をDRD2のコード配列で置換した。
【0190】
中効率切断部位および上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むDRD2−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)(DRD2についてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。上で説明したアッセイのようにして結果を測定した。ドーパミンに対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して2.7倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0191】
実施例15
アゴニストに占有されたGPCRにより安定的に結合するアレスチン変異体を使用するアッセイの実施形態を示すために、これらの実験を設計した。まず、β−アレスチン−1(ARRB1)に対するTEV NIaプロテアーゼの融合物を構築した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、Asp718部位を5’末端に置き、終止コドンをBamHI部位で置換するように、ARRB1のコード配列 (Genbank受託番号:NM_004041)(配列番号40)を修飾した。
【0192】
得られた修飾したARRB1コード領域をAsp718およびEcoRIを用いて、およびEcoRIおよびBamHIを用いて切断し、他方、上述の修飾したTEV NIa−Proコード領域をBglIIおよびNotIで切断した。全ての3つのフラグメントを、すでにAsp718およびNotIで消化した市販のpcDNA3発現ベクターにライゲーションした。
【0193】
中効率切断部位および上述のARRB1−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むDRD2−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)(上述のように、D2受容体についてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。ドーパミンに対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して2.1倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0194】
アミノ酸382以降のARRB1の切断により、GRK媒介性リン酸化に関係なく、アゴニストが結合したGPCRに対する親和性が高まることが報告されている(Kovoor A.,ら,J.Biol.Chem.,274(11):6831−6834(1999))。本発明のアッセイにおけるこのような「構成的に活性な」アレスチンの使用を例示するために、上述の配列番号41および

を用いるPCRを使用して、Asp718部位を5’末端に置き、BamHI部位をアミノ酸382以降に置くように、β−アレスチン−1のコード領域を修飾した。
【0195】
これにより、全長コード領域よりも36アミノ酸短いARRb1コード領域を得た。得られた修飾したARRB1コード領域(「ARRBl(Δ383)」と呼ぶ)を、Asp718およびEcoRIを用いてならびにEcoRIおよびBamHIを用いて切断し、他方、上述のTEV NIa−Proコード領域をBglIIおよびNotIで切断した。全ての3つのフラグメントをAsp718およびNotIで消化した市販のpcDNA3発現ベクターにライゲーションした。
【0196】
中効率切断部位および上述のARRB1(Δ383)−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むDRD2−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)(上述のように、DRD2受容体についてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。ドーパミンに対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して8.3倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0197】
ARRB2コード領域の相当する切断の効果を検討するため、プライマー

および

を用いるPCRを使用して、Asp718部位を5’末端に置き、3’末端の81ヌクレオチドをBamHI部位で置換するように、ARRB2のコード領域を修飾した。
【0198】
これにより、全長コード領域よりも27アミノ酸短いARRB2コード領域を得た。得られた修飾したARRB2コード領域を、Asp718およびBamHIを用いて切断し、他方、上述のTEV NIa−Proコード領域をBglIIおよびNotIで切断した。両方のフラグメントをAsp718およびNotIで消化した市販のpcDNA3発現ベクターにライゲーションした。
【0199】
中効率切断部位および上述のARRB2(Δ383)−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むDRD2−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)(上述のように、DRD2受容体についてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。ドーパミンに対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して2.1倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0200】
図4に示すこれらの結果は、DRD2ドーパミン受容体アッセイが、アレスチン変異体ARRB1(Δ383)を使用して最高のシグナル対バックグラウンド比を示すことを実証した。
【0201】
実施例16
相互作用タンパク質に対する親和性を高めるように設計した受容体の修飾物を使用するアッセイの増強を実証するために、このセットの実験を実施した。この実施例では、試験受容体のC末端のテイルドメインをAVPR2由来の対応するテイルドメイン(高親和性でアレスチンに結合することが公知の受容体)で置換した。これらの実施例では、7番目の膜貫通へリックスの末端で保存されたNPXXYモチーフの15〜18アミノ酸後で融合物の接合を行った。この位置は、通常は受容体のC末端における想定されるパルミトイル化部位のすぐ後の位置に対応する。
【0202】
まず、PCRを使用して、AVPR2からC末端の29アミノ酸、さらに低効率TEV切断部位およびtTA転写因子をコードするDNAフラグメントを生成した。このフラグメントを、最初の2つのアミノ酸(Ala、AおよびArg、R)がBssHII制限部位GCGCGCによってコードされるようにも設計した。プライマー

および

を用いて、上述の低効率切断部位を備えたAVPR2−tTA構築物を増幅することにより、これを達成した。
【0203】
次に、EcoRI部位を5’末端に置き、BssHII部位をコード領域の最後のアミノ酸(Cys−443)の後に挿入するようにDRD2のコード領域を修飾した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、これを実施した。
【0204】
得られた修飾したD2コード領域を、EcoRIおよびBssHIIで切断し、得られたAVPR2のC末端テイル−低効率切断部位−tTAフラグメントをBssHIIおよびBamHIで切断した。両方のフラグメントを、EcoRIおよびBamHIで切断した上述のAVPR2−低効率切断部位−tTAフラグメント構築物にライゲーションした。
【0205】
低効率TEV切断部位および上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むDRD2−AVPR2テイル−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、10μMのドーパミンHCl(ドーパミン)(DRD2受容体についてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。ドーパミンに対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して約60倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0206】
5’末端にAsp718部位を挿入することにより、およびBssHII部位をCys−341の後に置くことにより、ADRB2受容体コード領域を修飾する構築物を作製したプライマー

および

を用いるPCRを使用して、これを行った。
【0207】
修飾したADRB2受容体コード領域を、EcoRIおよびBssHIIで切断し、AVPR2 C末端テイル−低効率切断部位−tTAフラグメントをBssHIIおよびBamHIで切断した。両方のフラグメントを、すでにEcoRIおよびBamHIで切断した、上述のAVPR2−低効率切断部位−tTA構築物にライゲーションした。得られた構築物は「ADRB2−AVPR2テイル−tTA」である(前出の米国特許出願公開第2002/0106379号も参照のこと、特に配列番号3)。
【0208】
低効率TEV切断部位および上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むADRB2−AVPR2テイル−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、10μMのイソプロテレノール(ADRB2受容体についてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。イソプロテレノールに対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して約10倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0209】
BssHII部位をCys−345後に置くことにより、κオピオイド受容体(OPRK、Genbank受託番号NM_000912)(配列番号51)コード領域を修飾する構築物を作製した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、これを行った。
【0210】
修飾したOPRK受容体コード領域を、EcoRIおよびBssHIIで切断し、AVPR2 C末端テイル−低効率切断部位−tTAフラグメントをBssHIIおよびXhoIで切断した。両方のフラグメントを、すでにEcoRIおよびXhoIで消化した、Asp718(5’)およびXhoI(3’)でpcDNA3.1+にクローン化した修飾したOPRK受容体配列を含むプラスミドにライゲーションした。
【0211】
低効率切断部位および上述のARRB2−TEV−NIaプロテアーゼ融合物を含むOPRK−AVPR2テイル−tTA融合構築物でクローン41細胞をコトランスフェクトし、10μMのU−69593(OPRKについてのアゴニストである)を使用してアッセイを実施した。U−69593に対する最大応答は、バックグラウンドレベルに対して約12倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0212】
実施例17
多重フォーマットを使用して2つの試験受容体の活性を同時に測定するためのアッセイの使用を実証するように、この実験を設計した。
【0213】
クローン41細胞および「クローン1H10」細胞(tTA依存性プロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子の安定な組込み体を含むHEK−293T細胞株の細胞である)を各々24ウェルの培養皿にプレートし、それぞれ上述のキメラのADRB2−AVPR2テイル−tTA融合構築物またはDRD2−AVPR2テイル−tTA融合構築物で一過性にトランスフェクトした。1つのウェル当たりl00μlの培地、0.4μgのDNAおよび2μlのFuGene試薬を使用して一過性トランスフェクションを実施した。24時間のインキュベーション後、ADRB2−AVPR2テイル−tTAを発現するクローン41細胞およびDRD2−AVPR2テイル−tTAを発現するクローン1H10細胞をトリプシン処理し、等しい量を混合し、96ウェルプレートの12ウェルに再度プレートした。薬物を加えずに三連のウェルをインキュベーションするか、または1μMのイソプロテレノール、1μMのドーパミン、または1μMでの両方のアゴニストの混合物で即座に処理した。リガンド添加の約24時間後、レポーター遺伝子活性について細胞をアッセイした。培地を捨て、細胞を40μlの溶解緩衝液[100mM リン酸カリウム、pH7.8、0.2% Triton X−100]に溶解し、市販の発光性検出試薬使用して、β−ガラクトシダーゼ活性およびルシフェラーゼ活性について細胞溶解液をアッセイした。
【0214】
結果を図5Aおよび図5Bに呈示する。イソプロテレノールでの処理により約7倍のβ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子活性の誘導をもたらしたが、他方ルシフェラーゼ活性は無変化のままであった。ドーパミンでの処理により3.5倍のルシフェラーゼ活性の誘導をもたらしたが、他方β−ガラクトシダーゼ活性は無変化のままであった。イソプロテレノールおよびドーパミンの両方での処理により、それぞれ7倍のβ−ガラクトシダーゼ活性および3倍のルシフェラーゼ活性をもたらした。
【0215】
実施例18
多重フォーマットを使用して2つの試験受容体の活性を同時に測定するためのアッセイの使用を実証するように、この実験を設計した。
【0216】
クローン41細胞の誘導体であり、安定に組込んだARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質遺伝子を含む「クローン34.9」細胞を、上述のキメラのOPRK−AVPR2テイル−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA融合構築物で一過性にトランスフェクトした。平行して、tTA依存性プロモーターの制御下で安定に組込んだルシフェラーゼ遺伝子を含むHEK−293T細胞株である「クローンHTL5B8.1」細胞を、上述のADRB−AVPR2テイル−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA融合構築物で一過性にトランスフェクトした。各々の場合、6ウェル皿の各ウェルに5×10個の細胞をプレートし、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418および3μg/mlのプロマイシンを補ったDMEM中で24時間培養した。100μlのDMEM、0.5μgのOPRK−AVPR2テイル−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA DNA、および2.5μlのFugene(「clone34.9細胞」)、または100μlのDMEM、0.5μgのADRB2−AVPR2テイル−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA DNA、0.5μgのARRB2−TEV NIaプロテアーゼDNAおよび5μlのFugene(「クローンHTL5B8.1細胞」)を用いて、細胞を一過性にトランスフェクトした。一過性にトランスフェクトした細胞を24時間インキュベーションし、次いでトリプシン処理し、等しい量を混ぜ、96ウェルプレートのウェルに再度プレートした。細胞を24時間インキュベーションした後、10μMのU−69593、10μMのイソプロテレノール、または10μMでの両方のアゴニストの混合物で処理した。16個のウェルを各実験条件についてアッセイした。24時間後、細胞を溶解させ、上述のβ−ガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子の両方の活性をアッセイした。結果を図6に呈示する。U−69593での処理により約15倍のβ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子活性の誘導をもたらしたが、他方ルシフェラーゼ活性は無変化のままであった。イソプロテレノールでの処理により145倍のルシフェラーゼ活性の誘導をもたらしたが、他方β−ガラクトシダーゼ活性は無変化のままであった。U−69593およびイソプロテレノールの両方での処理により、それぞれ9倍のβ−ガラクトシダーゼ活性の誘導および136倍のルシフェラーゼ活性の誘導をもたらした。
【0217】
実施例19
本発明のアッセイにおける異なる転写因子およびプロモーターの使用を実証するために、この実験を設計した。
【0218】
AVPR2をコードするDNAを含み、上述のTEV NIa−Proについての低効率切断部位を含むアミノ酸リンカーGSENLYFQLR(配列番号54)をコードするDNA配列にフレーム内で融合し、酵母 GAL4タンパク質(GenBank受託番号:P04386)(配列番号55)のアミノ酸2〜147、これに続くリンカーすなわち配列PELGSASAELTMVF(配列番号56)、これに続くマウス核因子κ−B鎖p65タンパク質(GenBank受託番号:A37932)(配列番号57)のアミノ酸368−549をコードするDNA配列にフレーム内で融合する融合構築物を作製した。CMVプロモーターをAVPR2コード領域の上流に置き、ポリA配列をGAL4−NFkB領域の下流に置いた。この構築物をAVPR2−TEV−NIa−Pro 切断(Leu)−GAL4と表記する。
【0219】
HUL 5C1.1は、HEK−293T細胞の誘導体であり、GAL4上流活性配列(UAS)の制御下で安定的に組込んだルシフェラーゼレポーター遺伝子(市販のpFR−LUC)を含む。
【0220】
このAVPR2−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−GAL4プラスミドを上述のβ−アレスチン2−TEV Nlaプロテアーゼと共にHUL 5C1.1細胞にコトランスフェクトした。約2.5×10細胞を96ウェルプレートの各ウェル中の、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418および3μg/mlのプロマイシンを補ったDMEMにプレートした。細胞を増殖させて、翌日に密集度50%に到達させ、85μlのDMEM、0.1μgのAVPR2−TEV−Nia−Pro切断(Leu)−GAL4 DNA、0.1μgのARRB2−TEV NlaプロテアーゼDNAおよび1μl Fugeneからなる混合物(細胞に添加するのに先立ってこれを室温で15分間インキュベーションした)を1ウェル当たり10μl用いてトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を16時間培養し、その後10μMのバソプレシンで処理した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述のようにアッセイした。これらの条件下で、バソプレシンでの処理によりレポーター遺伝子活性が180倍増加した。
【0221】
実施例20
相互作用タンパク質に対する親和性を高めるように設計したさらなる受容体修飾物を使用するアッセイの増強を実証するために、このセットの実験を実施した。この実施例では、試験受容体のC末端テイルドメインを以下の受容体のうちの1つの対応するテイルドメインで置き換える:アペリンJ受容体−AGTRL1(受託番号:NM_005161)(配列番号58)、ガストリン放出ペプチド受容体−GRPR(受託番号:NM_005314)(配列番号59)、プロテイナーゼ活性化型受容体2−F2RL1(受託番号:NM_005242)(配列番号60)、CCR4(受託番号:NM_005508)(配列番号61)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体4−CXCR4(受託番号:NM_003467)(配列番号62)およびインターロイキン8受容体、β−CXCR2/IL8b(受託番号:NM_001557)(配列番号63)。
【0222】
まず、PCRを使用して上記受容体のC末端テイルをコードするDNAフラグメントを生成した。最初の2つのアミノ酸(Ala、AおよびArg、R)がBssHII制限部位によりコードされるように、これらのフラグメントを設計した。
【0223】
プライマー

および

を用いてAGTRL1 C末端フラグメントを増幅した。
【0224】
プライマー

および

を用いてGRPR C末端フラグメントを増幅した。
【0225】
プライマー

および

を用いてF2RL1 C末端フラグメントを増幅した。
【0226】
プライマー

および

を用いてCCR4 C末端フラグメントを増幅した。
【0227】
プライマー

および

を用いてCXCR2/IL8b C末端フラグメントを増幅した。
【0228】
プライマー

および

を用いてCXCR4 C末端フラグメントを増幅した。
【0229】
これらの受容体の修飾したC末端テイルドメインをコードする、得られたDNAフラグメントをBssHIIおよびBamHIで切断し、フラグメントを、上述のOPRK−AVPR2テイル−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA発現構築物においてフレーム内のOPRK受容体コード領域にライゲーションし、AVPR2−C末端テイルフラグメントを置換した。
【0230】
上述のHTL 5B8.1細胞を、上記の修飾したOPRKコード領域−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA構築物および上述のβ−アレスチン2−TEV NIaプロテアーゼ融合物の各々でコトランスフェクトした。1ウェルあたり約2.5×10細胞を、96ウェルプレートの各ウェル中の、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418および3μg/mlのプロマイシンを補ったDMEMにプレートした。細胞を増殖させて、翌日に密集度50%に到達させ、85μlのDMEM、0.25μgのAVPR2−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−GAL4 DNA、0.25μgのARRB2−TEV NIaプロテアーゼDNAおよび2.5μl Fugene(脂質および他の物質を含むトランスフェクション試薬)からなる混合物(細胞に添加するのに先立ってこれを室温で15分間インキュベーションした)を1ウェル当たり10μl用いてトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を16時間培養し、その後10μMのU−69593で処理した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述のようにアッセイした。これらの条件下で、U−69593による処理によって、修飾したOPRK受容体の各々についての以下のレポーター遺伝子活性の相対的増加がもたらされた:OPRK−AGTRL1 C末端テイル−30倍;OPRK−GRPR C末端テイル−312倍;OPRK−F2RL1 C末端テイル−69.5倍;OPRK−CCR4 C末端テイル−3.5倍;OPRK−CXCR4 C末端テイル−9.3倍;OPRK−IL8b C末端テイル−113倍。
【0231】
実施例21
上述のARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質を安定的に発現する細胞株を生成するようにこの実験を設計した。
【0232】
EF1αプロモーターの制御下でARRB2−TEV NIaプロテアーゼ融合タンパク質を発現し、チミジンキナーゼ(TK)プロモーターの制御下でハイグロマイシン耐性遺伝子をも発現するプラスミドを作製した。
【0233】
このプラスミドをHTL 5B8.1にトランスフェクトし、100μg/mlのハイグロマイシンの存在下で培養することにより、そのプラスミドの安定なゲノム組込み体を含むクローンを選択した。耐性クローンを単離し、増殖させ、上述のADRB2−AVPR2テイル−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTAプラスミドのトランスフェクションによりスクリーニングした。この手順を使用して選択した3つの細胞株を「HTLA 4C2.10」、「HTLA 2C11.6」および「HTLA 5D4」と表記する。1ウェルあたり約2.5×10細胞を96ウェルプレートの各ウェル中の、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418、3μg/mlのプロマイシン、および100μg/mlのハイグロマイシンを補ったDMEMにプレートした。細胞を増殖させて、翌日に密集度50%に到達させ、85μlのDMEM、0.25μgのADRB2−AVPR2−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−GAL4 DNA、および0.5μl Fugeneからなる混合物(細胞に添加するのに先立ってこれを室温で15分間インキュベーションした)を1ウェル当たり10μl用いてトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を16時間培養し、その後10μMのイソプロテレノールで処理した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述のようにアッセイした。これらの条件下で、イソプロテレノールでの処理により、3つの細胞株中でのレポーター遺伝子活性において、それぞれ112倍(「HTLA 4C2.10」)、56倍(「HTLA 2C11.6」)および180倍(「HTLA 5D4」)の増加がもたらされた。
【0234】
実施例22
上述のARRB2−TEV NIaプロテアーゼおよびADRB2−AVPR2テイル−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA融合タンパク質を安定的に発現する細胞株を生成するようにこの実験を設計した。
【0235】
ハイグロマイシン耐性遺伝子を含むARRB2−TEV NIaプロテアーゼプラスミドを、上述のADRB2−AVPR2テイル−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA融合タンパク質プラスミドと共にHTL 5B8.1細胞にトランスフェクトし、100μg/mlのハイグロマイシンの存在下で培養することによりこのプラスミドの安定なゲノム組込み体を選択した。耐性クローンを単離し、増殖させ、10μMのイソプロテレノールで処理し上述のレポーター遺伝子活性の誘導を測定することによりスクリーニングした。この手順を使用して選択した3つの細胞株を「HTLAR 1E4」、「HTLAR 1C10」および「HTLAR 2G2」と表記する。6時間のイソプロテレノールでの処理により、3つの細胞株中でのレポーター遺伝子活性において、それぞれ208倍(「HTLAR 1E4」)、197倍(「HTLAR 1C10」)および390倍(「HTLAR 2G2」)の増加がもたらされた。
【0236】
実施例23
受容体チロシンキナーゼ上皮成長因子受容体(EGFR)の活性を測定するためのアッセイの使用を示すためにこの実験を設計した。
【0237】
上述のテトラサイクリン制御性トランス活性化因子tTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にフレーム内で融合した、ヒトEGFRをコードするDNA(これは、受託番号NM_005228(配列番号76)でGenBankで見出すことができる)を含む第1融合構築物を作製した。これらの配列の間に、上述のTEV NIa−Proについての低効率切断部位、ENLYFQL(配列番号14)を含むアミノ酸配列GGSGSENLYFQL(配列番号77)をコードするDNA配列を挿入した。CMVプロモーターを上皮成長因子受容体コード領域の上流に置き、ポリA配列をtTA領域の下流に置いた。この構築物をEGFR−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTAと表記する。
【0238】
上述の成熟したTEV NIaプロテアーゼの触媒ドメイン(アミノ酸2040〜2279(GeneBank受託番号:AAA47910)(配列番号79)に対応する)をコードするDNA配列にフレーム内で融合した、ヒトのホスホリパーゼC γ1の2つのSH2ドメイン(アミノ酸538〜759(GeneBank受託番号:NP_002651.2)(配列番号78)に対応する)をコードするDNAを含む第2融合構築物を作製した。これらの配列の間に、アミノ酸NSSGGNSGS(配列番号80)をコードするリンカーDNA配列を挿入した。CMVプロモーターをPLC−γ SH2ドメインコード配列の上流に置き、ポリA配列をTEV NIaプロテアーゼ配列の下流に置いた。この構築物をPLCγ1−TEVと表記する。
【0239】
EGFR−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTAおよびPLCγ1−TEV融合構築物を上述のクローン化HTL5B8.1細胞にトランスフェクトした。約2.5×10細胞を96ウェルプレートの各ウェル中の、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418および3μg/mlのプロマイシンを補ったDMEMにプレートした。細胞を増殖させて、翌日に密集度50%に到達させ、100μlのDMEM、0.4μgのpcDNA3 DNA (「担体」ベクターDNA)、0.04μgのEGFR−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA DNA、0.04μgのPLCγ1−TEV DNA、および2μl Fugene(脂質および他の物質を含む、トランスフェクション試薬)からなる混合物(細胞に添加するのに先立ってこれを室温で15分間インキュベーションした)を1ウェル当たり15μl用いてトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を約16時間培養し、その後特別の受容体アゴニストおよび阻害剤で処理した。6時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述のようにアッセイした。結果を図7に示す。
【0240】
2.5ng/mlのヒト上皮成長因子(このリガンドについてのEC80に対応する)を添加すると、ルシフェラーゼレポーター遺伝子活性の12.3倍の増加がもたらされたが、他方、100ng/mlのヒト形質転換成長因子−αの添加は18.3倍の増加をもたらした。ヒト上皮成長因子の添加の前にチロシンキナーゼ阻害剤(70μM AG−494;0.3μM AG−1478;2mM RG−130022)で前処理すると、レポーター遺伝子活性の誘導が遮断された。
【0241】
実施例24
ヒトI型インターフェロン受容体の活性を測定するためのアッセイの使用を示すためにこの実験を設計した。
【0242】
上述のテトラサイクリン制御性トランス活性化因子tTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にフレーム内で融合された、ヒトI型インターフェロン受容体(IFNAR1)(557アミノ酸)(これは受託番号NM_000629でGenbankに見出すことができる)(配列番号81)をコードするDNAを含む融合構築物を作製した。これらの配列の間に、上述のTEV NIa−Proについての低効率切断部位、ENLYFQL(配列番号14)を含むアミノ酸配列GSENLYFQL(配列番号82)をコードするDNA配列を挿入した。CMVプロモーターをヒトI型インターフェロン受容体(IFNAR1)コード領域の上流に置き、ポリA配列をtTA領域の下流に置いた。この構築物をIFNAR1−TEV−NIa−Pro切断(L)−tTAと表記する。
【0243】
上述のTEV NIaプロテアーゼの触媒ドメイン(アミノ酸2040〜2279(GeneBank受託番号:AAA47910)(配列番号84)に対応)をコードするDNA配列にフレーム内で融合した、ヒトインターフェロン受容体2スプライス変異2(IFNAR2.2)(515アミノ酸)(Genebank受託番号:L41942(配列番号83)に見出すことができる)をコードするDNAを使用して第2融合構築物を作製した。これらの配列の間に、アミノ酸配列RS(Arg−Ser)をコードするDNA配列を挿入した。CMVプロモーター領域をヒトインターフェロン受容体2(IFNAR2.2)コード領域の上流に置き、ポリA配列をTEV領域の下流に置いた。この構築物をIFNAR2.2−TEVと表記する。
【0244】
受託番号NM_007315(配列番号85)でGenbankに見出されるヒトSignal Transducer and Activator of Transcription 1(STAT1)についての遺伝子、受託番号NM_005419(配列番号86)でGenbankに見出されるヒトSignal Transducer and Activator of Transcription 2(STAT2)についての遺伝子をCMVプロモーター領域の制御下で発現させた発現構築物をも生成させた。これらの構築物をそれぞれCMV−STATl およびCMV−STAT2と表記する。
【0245】
IFNARl−TEV−NIa−Pro切断(L)−tTAおよびIFNAR2.2−TEV融合構築物を、CMV−STAT1およびCMV−STAT2と共に上述のHTL5B8.1細胞に一過性にトランスフェクトした。約2.5×10細胞を96ウェルプレートの各プレーウェルに播種し、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのG418および5μg/mlのプロマイシンを補ったDMEM中で培養した。24時間のインキュベーション後、細胞を15ngの各IFNAR1−TEV−NIa−Pro切断(L)−tTA、IFNAR2.2−TEV、CMV−STAT1およびCMV−STAT2 DNA、または60ngのコントロールpcDNAプラスミドで、1ウェル当たり0.3μlのFugeneと共にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を8〜20時間培養し、その後5000U/mlのヒトインターフェロン−αまたは5000U/mlのヒトヒトインターフェロン−βで処理した。インターフェロンを添加した時、培地を吸引し、2mM L−グルタミン、100ユニット/mlのペニシリン、3μg/ml プロマイシンおよび500μg/mlのG418を補った293SFM II培地で置換した。インターフェロンで処理した細胞を、さらに18〜20時間培養し、その後それらを上述のようにルシフェラーゼレポーター遺伝子活性についてアッセイした。結果を図8に示す。5000U/mlのIFN−αでの処理はレポーター遺伝子活性の15倍の増加をもたらしたが、他方、5000U/mlのIFN−βでの処理は10倍の増加をもたらした。コントロールプラスミドpcDNA3でトランスフェクトしたHTL5B8.1細胞をインターフェロン処理しても、レポーター遺伝子活性には効果がなかった。図9は、上述のIFNAR1(ENLYFQ(L)−tTa、IFNAR2.2−TEV、STAT1およびSTAT2発現構築物でトランスフェクトしたHTL5B8.1細胞におけるIFN−αについての投与量−応答曲線を示す。
【0246】
実施例25
異なる転写因子および異なる細胞株を使用してヒトI型インターフェロン受容体の活性を測定するためのアッセイの使用を実証するためにこの実験を設計した。
【0247】
上述のGAL4−NF−κB−融合物をコードするDNA配列にフレーム内で融合した、ヒトI型インターフェロン受容体(IFNAR1)をコードするDNAを使用して融合構築物を作製した。これらの配列の間に、上述のTEV NIa−Proについての低効率切断部位ENLYFQL(配列番号14)を含むアミノ酸配列GSENLYFQL(配列番号87)をコードするDNA配列を挿入した。CMVプロモーターをヒトI型インターフェロン受容体(IFNAR1)コード領域の上流に置き、ポリA配列をGAL4−NF−κB領域の下流に置いた。この構築物をIFNAR1−TEV−NIa−Pro切断(L)−GAL4−NF−κBと表記する。
【0248】
次いでCHO−K1細胞を以下の5個のプラスミドの混合物で一過性にトランスフェクトした:IFNARl −TEV−NIa−Pro切断(L)−GAL4−NF−κB、IFNAR2.2−TEV、CMV−STAT1、CMV−STAT2およびpFR−Luc(GAL4依存性プロモーターの制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子)。トランスフェクションの24時間前に、1ウェル当たり約1.0×10細胞を96ウェルプレート中の、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリンを補ったDMEM培地中に播種した。翌日、細胞を、1ウェルあたり10ngのレポータープラスミド(pFR−Luc)および20ngの上述の発現構築物の各々で、または10ngのレポータープラスミド(pFR−Luc)および80ngのコントロールpcDNA3プラスミドで、0.3μlのFugeneと共にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を8〜20時間培養し、その後5000U/mlのヒトインターフェロン−αで処理した。インターフェロンを添加した時、培地を吸引し、2mM L−グルタミン、100ユニット/mlのペニシリンを補ったDMEM培地で置換した。インターフェロンで処理した細胞を、さらに6時間培養し、その後それらを上述のようにルシフェラーゼレポーター遺伝子活性についてアッセイした。結果を図10に示す。レポーター、IFNARおよびSTAT構築物でトランスフェクトしたCHO−K1細胞のIFN−αでの処理により、レポーター遺伝子活性の3倍の増加がもたらされ、他方、レポーターおよびコントロールプラスミドでトランスフェクトした細胞をインターフェロン処理してもレポーター遺伝子活性には効果がなかった。
【0249】
実施例26
相互作用タンパク質に対する試験受容体の親和性を高めるように設計した受容体修飾物を使用するアッセイのさらなる増強を実証するために、このセットの実験を実施した。これらの実施例では、試験受容体とGRPRのC末端テイルドメイン(Genbank受託番号:NM_005314)(配列番号59))との間の融合物接合は、7番目の膜貫通へリックスの末端の保存されたNPXXYモチーフの17〜23アミノ酸後に作製した。
【0250】
まず、PCRを使用して、想定されるパルミトイル化部位の2アミノ酸後に始まるGRPRからのC末端42アミノ酸(以後、GRPR42aaと呼ぶ)をコードするDNAフラグメントを生成した。C末端テイルの最初のアミノ酸がXbaI制限部位TCTAGAによりコードされる2アミノ酸(Ser、SおよびArg、R)だけ上流にあり、終止コドンがBamHI制限部位GGATCCによりコードされる2つのアミノ酸(Gly、GおよびSer、S)で置換されるように、このフラグメントを設計した。GRPRコード領域を含むプラスミドをプライマー

および

で増幅することにより、これを達成した。
【0251】
次に、OPRKのコード領域(Genbank受託番号:NM_000912)(配列番号51)を、XbaI部位をPro−347の後に挿入するように修飾した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、これを行った。
【0252】
加えて、ADRA1Aのコード領域(Genbank受託番号:NM_000680)(配列番号90)を、XbaI部位をLys−349の後に挿入するように修飾した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、これを行った。
【0253】
加えて、DRD2のコード領域(Genbank受託番号:NM_000795)(配列番号37)を、2つのアミノ酸(LeuおよびArg)ならびにXbaI部位をCys−343の後に挿入するように修飾した。プライマー

および

を用いるPCRを使用して、これを行った。
【0254】
修飾したOPRK受容体コード領域をEcoRIおよびXbaIで切断し、GRPR42aa C末端テイルフラグメントをXbaIおよびBamHIで切断した。両方のフラグメントを、すでにEcoRIおよびBamHIで消化した上述のAVPR2 C末端テイル−低効率切断部位−tTAを有するOPRK受容体を含むプラスミドにライゲーションした。
【0255】
修飾したADRA1A受容体コード領域をEcoRVおよびXbaIで切断し、低効率切断部位を含むOPRK−GRPR42aaテイル−tTA融合構築物をXbaIおよびXhoIで切断した。両方のフラグメントを、すでにEcoRVおよびXhoIで消化した上述のADRA1A受容体を含むプラスミドにライゲーションした。
【0256】
修飾したDRD2受容体コード領域をEcoRIおよびXbaIで切断し、低効率切断部位を含むOPRK−GRPR42aaテイル−tTA融合構築物をXbaIおよびXhoIで切断した。両方のフラグメントをすでにEcoRIおよびXhoIで消化したpcDNA6プラスミドにライゲーションした。
【0257】
上述のHTLA 2C11.6細胞を、低効率切断部位を含むOPRK−GRPR42aaテイル−tTA融合構築物でトランスフェクトし、10μMのU−69593(OPRKについてのアゴニスト)を使用してアッセイを実施した。U−69593に対する最大応答は、約200倍のレポーター遺伝子活性の増加をもたらした。
【0258】
HTLA 2C11.6細胞を、低効率切断部位を含むADRA1A−GRPR42aaテイル−tTA融合構築物でトランスフェクトし、10μMのエピネフリン(ADRA1Aについてのアゴニスト)を使用してアッセイを実施した。エピネフリンに対する最大応答は、約14倍のレポーター遺伝子活性の増加をもたらした。
【0259】
HTLA 2C11.6細胞を、低効率切断部位を含むDRD2−GRPR42aaテイル−tTA融合構築物でトランスフェクトし、10μMのドーパミン(DRD2についてのアゴニスト)を使用してアッセイを実施した。ドーパミンに対する最大応答は、約30倍のレポーター遺伝子活性の増加をもたらした。
【0260】
実施例27
相互作用タンパク質に対する親和性を高めるように設計した異なるセットの試験受容体修飾物を使用するアッセイのさらなる増強を示すために、このセットの実験を実施した。これらの実施例では、試験受容体のC末端ドメインをGRPRの内因性C末端テイルドメインの一部で置換した。
【0261】
まず、PCRを使用して、切断したGRPRテイルをコードするDNAフラグメント、具体的にはGly−343からAsn−365までの23アミノ酸をコードする配列を生成した。C末端テイルの最初のアミノ酸がXbaI制限部位TCTAGAによりコードされる2アミノ酸(Ser、SおよびArg、R)だけ上流にあり、Ser−366がBamHI制限部位GGATCCによりコードされる2つのアミノ酸(Gly、GおよびSer、S)で置換されるように、このフラグメントを設計した。GRPRコード領域を含むプラスミドをプライマー

および

で増幅することにより、これを達成した。
【0262】
次に、切断したGRPRフラグメント(以後、GRPR23aaテイルと呼ぶ)をXbaIおよびBamHIで切断し、本明細書中に記載する低効率切断部位を含む、すでにXbaIおよびBamHIで消化したOPRK−GRPR42aaテイル−tTA融合構築物に挿入した。
【0263】
同様に、GRPR23aaテイルフラグメントをXbaIおよびBamHIで切断し、本明細書中に記載する低効率切断部位を含む、すでにXbaIおよびBamHIで消化したADRA1A−GRPR42aaテイル−tTA融合構築物に挿入した。
【0264】
HTLA 2C11.6細胞を、低効率切断部位を含むOPRK−GRPR23aaテイル−tTA融合構築物でトランスフェクトし、10μMのU−69593(OPRKについてのアゴニスト)を使用してアッセイを実施した。U−69593に対する最大応答は、バックグラウンドに対して約115倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0265】
HTLA 2C11.6細胞を、低効率切断部位を含むADRA1A−GRPR23aaテイル−tTA融合構築物でトランスフェクトし、10μMのエピネフリン(ADRA1Aについてのアゴニスト)を使用してアッセイを実施した。エピネフリンに対する最大応答は、バックグラウンドに対して約102倍のレポーター遺伝子発現の誘導をもたらした。
【0266】
実施例28
特に細胞内シグナル伝達タンパク質SHC1(Src相同2ドメイン含有形質転換タンパク質1)のリガンド誘導による動員をモニターすることにより、受容体チロシンキナーゼインスリン様成長因子−1受容体(IGF1R)の活性を測定するためのアッセイの使用を実証するために、この実験を設計した。
【0267】
上述のテトラサイクリン制御性トランス活性化因子tTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にフレーム内で融合された、ヒトIGF−1RをコードするDNA(これは受託番号NM_000875でGenbankに見出すことができる)(配列番号96)を含む第1融合構築物を作製した。これらの配列の間に、上述のTEV NIa−Proについての低効率切断部位、ENLYFQL(配列番号14)を含むアミノ酸配列GSENLYFQL(配列番号82)をコードするDNA配列を挿入した。CMVプロモーターをIGF1Rコード領域の上流に置き、ポリA配列をtTA領域の下流に置いた。この構築物をIGF1R−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTAと表記する。
【0268】
上述の成熟したTEV−NIaプロテアーゼの触媒ドメイン(アミノ酸2040〜2279(GeneBank受託番号:AAA47910)(配列番号79)に対応する)をコードするDNA配列にフレーム内で融合した、ヒトSHC1のPTBドメイン(アミノ酸1〜238(GeneBank受託番号:BC014158(配列番号97)に対応する)をコードするDNAを含む第2融合構築物を作製した。これらの配列の間に、アミノ酸NSGS(配列番号98)をコードするリンカーDNA配列を挿入した。CMVプロモーターをSHC1 PTBドメインコード配列の上流に置き、ポリA配列をTEV NIaプロテアーゼ配列の下流に置いた。この構築物をSHC1−TEVと表記する。
【0269】
IGF1R−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTAおよびSHCl−TEV融合構築物を上述のクローン化HTL5B8.1細胞にトランスフェクトした。約2.5×10細胞を96ウェルプレートの各ウェル中の、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、500μg/mlのG418および3μg/mlのプロマイシンを補ったDMEMにプレートした。細胞を増殖させて、翌日に密集度50%に到達させ、100μlのDMEM、0.2μgのIGF1R−TEV−NIa−Pro切断(Leu)−tTA DNA、0.2μgのSHC1−TEV DNA、および2μl Fugene(脂質および他の物質を含む、トランスフェクション試薬)からなる混合物(細胞に添加するのに先立ってこれを室温で15分間インキュベーションした)を1ウェル当たり15μl用いてトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を16時間培養し、その後特異的受容体アゴニストで処理した。24時間後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を上述のようにアッセイした。
【0270】
1μMのヒトインスリン様成長因子1を添加すると、90倍のルシフェラーゼレポーター遺伝子活性の増加がもたらされた。
【0271】
実施例29
通常は膜結合性である2つの試験タンパク質の相互作用を測定するためのアッセイの使用を実証するために、この実験を設計した。この実施例では、アッセイを使用して、核ステロイドホルモン受容体、ESR1(エストロゲン受容体1またはERα)およびESR2(エストロゲン受容体2またはERβ)のリガンド誘導二量化を測定した。この実施例では、ESR1は、転写因子tTAに融合され、TEV NIa−Proプロテアーゼについての切断部位はESR1とtTA配列との間に挿入されている。このESR1−tTA融合物は、膜貫通タンパク質CD8の細胞内C末端部への融合によって膜に繋ぎとめられている。CD8は、細胞膜の細胞質側にESR1を繋ぎとめる本質的に不活性な足場としての役割を果たす。それに融合される転写因子は、ESR2およびプロテアーゼと相互作用するまで核に入ることはできない。どの膜貫通タンパク質も使用することができた。このCD8−ESR1−TEV NIa Pro切断−tTA融合タンパク質を、ESR2およびTEV NIa−Proプロテアーゼから構成される第2融合タンパク質と共にtTA依存性レポーター遺伝子を含む細胞株中で発現させる。ESR1およびESR2のエストロゲン誘導二量化は、それにより膜結合融合物からtTA転写因子の放出を誘発し、引き続くレポーター遺伝子活性の誘導によりこれを検出する。
【0272】
ヒトESR1(596アミノ酸)(これは受託番号NM_000125でGenbankに見出すことができる)(配列番号100)をコードするDNA配列にフレーム内で融合された、ヒトCD8遺伝子(235アミノ酸)(これは受託番号NM_001768でGenbankに見出すことができる)(配列番号99)をコードするDNAを含む融合構築物を作製した。これらの配列の間に、アミノ酸配列GRA(Gly−Arg−Ala)をコードするDNA配列を挿入した。次いで得られた構築物を、上述のテトラサイクリン制御性トランス活性化因子tTAのアミノ酸3〜335をコードするDNA配列にフレーム内で融合した。これらの配列の間に、上述のTEV NIa−Proについての低効率切断部位、ENLYFQL(配列番号14)を含むアミノ酸配列GSENLYFQL(配列番号82)をコードするDNA配列を挿入した。CMVプロモーターをヒトCD8コード領域の上流に置き、ポリA配列をtTA領域の下流に置いた。この構築物をCD8−ESR1−TEV−NIa−Pro切断(L)−tTAと表記する。
【0273】
上述のTEV NIaプロテアーゼの触媒ドメイン(アミノ酸2040〜2279(GeneBank受託番号:AAA47910)(配列番号84)に対応する)をコードするDNA配列にフレーム内で融合した、ヒトエストロゲン受容体β(ESR2)(530アミノ酸)(GeneBank受託番号:NM_001437(配列番号101)でGeneBankに見出すことができる)をコードするDNAを使用して第2融合構築物を作製した。これらの配列の間に、アミノ酸配列RS(Arg−Ser)をコードするDNA配列を挿入した。CMVプロモーター領域をヒトエストロゲン受容体β(ESR2)コード領域の上流に置き、ポリA配列をTEV領域の下流に置いた。この構築物をESR2−TEVと表記する。
【0274】
CD8−ESR1−TEV−NIa−Pro切断(L)−tTAおよびESR2−TEV融合構築物を、pCDNA3と共に上述のHTL5B8.1細胞に一過性にトランスフェクトした。約2.0×10細胞を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのG418および5μg/mlのプロマイシンを補ったフェノールを欠くDMEM培地中で培養した。24時間のインキュベーション後、細胞を1ウェル当たり5ngのESR1−TEV−NIa−Pro切断(L)−tTA、15ngのESR2−TEVおよび40ngのpCDNA3の混合物で、0.3μlのFugeneと共にトランスフェクトした。トランスフェクションの6時間後、細胞をPBSで洗浄し、100μlのフェノールを欠くDMEM中で血清なしに24時間インキュベーションし、その後50nMの17−βエストラジオールで処理した。リガンド処理した細胞をさらに18〜20時間培養し、その後それらを上述のようにルシフェラーゼレポーター遺伝子活性についてアッセイした。50nMの17−βエストラジオールで処理することにより、レポーター遺伝子活性において16倍の増加をもたらした。
【0275】
本発明の他の特徴は当業者には明らかであり、本明細書において繰返す必要はない。
【0276】
本明細書中で言及した全ての刊行物、特許および特許出願は、参照により、あたかも各個別の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に本明細書中に援用されたかの如くにその全体を引用したものとする。
【図面の簡単な説明】
【0277】
以下の図面は本明細書の一部を構成し、それらは本発明のある態様を図示するために含まれる。本発明は、本明細書において提示される具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つ以上を参照することにより、よりよく理解されると考えられる。
【0278】
【図1】例としてリガンド−受容体結合を用いて、本発明の概念的な基盤を絵を用いて示す図である。
【図2A】本発明に係るアッセイにおける標的の応答がアゴニストに対して投与量依存性であることを示す図である。
【図2B】本発明に係るアッセイにおける標的の応答がアンタゴニストに対して投与量依存性であることを示す図である。
【図3】異なる標的および異なるアゴニストを用いて投与量応答曲線が得られることを示す図である。
【図4】D2ドーパミン受容体を使用して、本発明に従い得た結果を示す図である。
【図5A】2つの分子が同時に研究できることを示すアッセイ結果の図である。
【図5B】2つの分子が同時に研究できることを示すアッセイ結果の図である。
【図6】別の「多重」アッセイ、すなわち2つの分子が同時に研究されるアッセイの結果を示す図である。
【図7】EGFR活性を測定するアッセイから得られたデータを示す図である。
【図8】ヒトI型インターフェロン受容体の活性を促成するために設計された、本発明に係るアッセイから得られたデータを示す図である。
【図9】図7を生成するために使用した細胞におけるIFN−αについての投与量応答曲線を示す、図7の結果を詳細に示す図である。
【図10】異なる転写因子および異なる細胞株を使用した追加的な実験の結果を示す図である。
【図11】本発明のいくつかの実施形態に関連する3つの一般的スキームを示す図である。
【図12A】PCSと、プロテアーゼを含む第2試験タンパク質と相互作用するタンパク質相補対の第1部分とを含む第1試験タンパク質を示す図である。
【図12B】プロテアーゼ相補対の第1部分、PCSおよびDPPを含む第1試験タンパク質を示す図である。プロテアーゼ相補対の第2部分を含む第2試験タンパク質も示されている。
【図12C】第1試験タンパク質がPCSに連結されたDPPの第1部分および第2部分を含む、相互作用を示す図である。
【図12D】共鳴エネルギー移動(例えば、蛍光共鳴エネルギー移動)および/またはクエンチ方法を示す図である。
【図12E】2つのタンパク質の相互作用が生成し、プロテアーゼを放出する二段階反応を示す図である。
【図12F】検出可能なタンパク質相補対の第1部分および第2部分の相互作用を許容する2つの試験タンパク質の相互作用を示す図である。
【図12G】3つのタンパク質が関与する相互作用を測定、検出または評価するための方法の例を示す図である。
【図12H】少なくとも2つのタンパク質が関与する相互作用を測定、検出または評価するための方法の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験化合物が、関心対象の特異的なタンパク質/タンパク質相互作用を調節するかどうかを測定するための方法であって、
前記化合物を
(a)(i)第1試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、
(ii)プロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分に対する切断部位をコードするヌクレオチド配列と、
(iii)(Y)細胞内で第2の不活性なタンパク質部分を完成させて、直接もしくは間接的なシグナルを生成する完全な機能的タンパク質を生成する、第1の不活性なタンパク質部分、または(Z)細胞内における移動が決定できるタンパク質もしくはタンパク質の一部分、のいずれかをコードするヌクレオチド配列、
を含む、融合タンパク質をコードする第1核酸分子、および
(b)(iv)前記試験タンパク質の存在下で前記第1タンパク質との相互作用を測定しようとしている第2試験タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、
(v)前記切断部位に特異的なプロテアーゼまたはプロテアーゼの一部分をコードするヌクレオチド配列
を含む、融合タンパク質をコードする第2核酸分子
で形質転換またはトランスフェクトされた細胞に接触させる工程、ならびに
前記化合物による前記タンパク質/タンパク質相互作用の調節の決定として、(a)(i)および(a)(ii)からの(a)(iii)の放出より生じるシグナルを測定する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記タンパク質またはタンパク質の一部分が、細胞小器官に局在化していることを測定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(a)(iii)のタンパク質またはタンパク質の一部分が、蛍光タンパク質または蛍光タンパク質の一部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光タンパク質または蛍光タンパク質の一部分が、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、またはそれらの一部分である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質の、第1非機能性部分および第2非機能性部分が、酵素の一部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酵素が、検出可能なシグナルをもたらす反応を触媒する酵素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素が、ニトロ還元酵素、ルシフェラーゼ、βガラクトシダーゼ、エクオリン、βガラクトシダーゼ、βグルクロニダーゼ、βラクタマーゼ、またはアルカリホスファターゼである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(Z)が、抗体もしくは前記細胞内に位置した結合抗体フラグメントに特異的に結合するタンパク質もしくはタンパク質の一部分、または前記タンパク質のエピトープ部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(Z)が、前記細胞内に位置したエピトープタンパク質に特異的に結合する抗体または結合抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(a)関連する第1試験タンパク質をプロテアーゼ相補対の第1部分と接触させる工程と、
(b)関連する第2試験タンパク質をプロテアーゼ相補対の第2部分と接触させる工程と、
(c)前記プロテアーゼ相補対のプロテアーゼ活性を検出する工程と
を含む、タンパク質相互作用に関して、タンパク質を評価する方法であって、
前記第1試験タンパク質と前記第2試験タンパク質との相互作用によって前記プロテアーゼの活性の増加がもたらされる、方法。
【請求項11】
(a)プロテアーゼ切断部位、(b)ユビキチン由来のアミノ酸配列、および(c)β−ラクタマーゼについてのアミノ酸配列を含む融合タンパク質をさらに含む方法であって、
前記プロテアーゼ切断部位が(b)および(c)に隣接し、かつ
前記融合タンパク質が前記プロテアーゼ相補対によって切断される場合に前記β−ラクタマーゼ活性が増加する、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【公表番号】特表2009−529893(P2009−529893A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500634(P2009−500634)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/064243
【国際公開番号】WO2007/127538
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)
【Fターム(参考)】