説明

タンパク質のグルコノイル化を防止する方法

本発明は、微生物内で産生されたポリペプチドのグルコノイル化を防止する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学工学の分野に関する。より特定的に言うと、本発明は、ポリペプチドを産生するための発酵プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
大腸菌(Escherichia coli)(「大腸菌(E.coli)」)は、研究、診断、治療及び工業目的でのタンパク質の発現用として一般的に使用される宿主である。近代の発現系は、高水準の多様なタンパク質を達成する能力を有する(非特許文献1)。
【0003】
しかしながら、発現されたタンパク質の品質は往々にして、数量と同じ位又はそれ以上に重要である。大腸菌(E.coli)内で発現されたタンパク質は、不溶性凝集体として形成されてもよいし、又は、誤って取込まれたアミノ酸を有する(非特許文献2)か又はN末端メチオニンを保持していてもよい(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。さらに、例えば酸化(非特許文献6、非特許文献7)又はα−N−6−ホスホグルコノイル化(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10「ヤン(Yan)ら、I」、非特許文献11「Yan ら、II」)といったような望ましくない翻訳後修飾も発生し得る。
【0004】
これらの修飾は、発現されたタンパク質の活性、安定性、構造又は免疫原性に不利な影響を与え、ポリペプチド発現用の宿主としての大腸菌(E.coli)の有用性を大幅に低減する可能性がある。
【0005】
ヘキサヒスチジン親和性タグ(「hexa His−tag」に融合された複数の組換え型タンパク質のアルファ(α)−N−6−ホスホグルコノイル化が記述されてきている(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。これらの研究においては、グルコン酸誘導体は、組換え型タンパク質の末端部に付着することが発見された。これらのタンパク質は全て、pETベースのベクター(ノバゲン(Novagen))を用いて大腸菌(E.coli)のB菌株の中で発現された。報告されている場合には、LB培地が使用された。付加体は、6−ホスホグルコノラクトン(6−PGL)の付加を表わす258ダルトン(「Da」)の、又はリン酸塩の無いグルコノラクトンの存在を表わす178Daのポリペプチドと会合させられた追加質量として検出された。ホスホグルコノイル化は、ペントースリン酸シャントの中間体である内因性6−PGLとの反応を通してN末端α−アミノ基において発生すると推測された。+178Daの付加体は、リン酸塩を除去するべく+258Daの付加体に酵素活性が作用した結果となるよう提案された。付加体の形成はHisタグに隣接するN末端におけるアミノ酸配列に特異的であることが示された。
【0006】
XXがSS、SA、AS又はAAであるGXXHHHHのポリペプチド配列は、最もα−N−6−ホスホグルコノイル化を受けやすく、一方SHHHHHHはさほど受けやすくなく、PHHHHHH及びPFHHHHHHは、全く修飾されなかった(非特許文献8)。タンパク質上のその他の場所のその他のアミノ酸における修飾は、高レベルの付加されたグルコノラクトンを使用したインビボ又はインビトロ実験では検出されなかった(非特許文献8)。
【0007】
N末端ホスホグルコノイル化は、タンパク質の結晶化を阻害することが示された(非特許文献9)が、タンパク質機能、安定性又は免疫原性に対するその効果については、他に比較的わずかしかわかっていない。6−PGLは、強力な求電子物質であることから、インビボでの糖化反応に関与しうると予想されている(非特許文献12)。タンパク質の糖化は広く研究されてきており、糖尿病合併症に関連する疾病状態及び加齢において重要な役割を果たすことがわかっている(非特許文献13)。外因的に添加されたデルタ−グルコノラクトンが、糖尿病の血管合併症における1つの因子でありうる、へモグロビンの糖化をひき起こすことが示されてきた(非特許文献14)。さらに、Lys313のイプシロン−アミノ基におけるアラニンアミノトランスフェラーゼの糖化が、その触媒活性を著しく低下させる(非特許文献15)。
【0008】
6−ホスホグルコノラクトナーゼ(「pgl」)は、特に6−PGLの6−ホスホグルコン酸への加水分解において、ペントース−リン酸経路の必須酵素であることが示されてきた(非特許文献16)。この酵素をコードする遺伝子は、ヒト(非特許文献17)、緑膿菌(Pseudomans aeruginosa)(非特許文献18)及びトリパノソーマ・ブルーセイ(Trypanosoma brucei)及び熱帯熱マラリア原虫(Plasmodius falciparum)(非特許文献16)の中で同定されてきた。pgl活性は長い間大腸菌(E.coli)内で観察されてきた(非特許文献19「クポール(Kupor)I」及び非特許文献20「クポール(Kupor)II」)が、この活性をもつ酵素をコードすることを担当する遺伝子配列は全く同定されていない(非特許文献21)。ペントースリン酸シャントを通した代謝流束を可能にすることに加えて、細胞内部のpgl活性は、6−PGLの蓄積及びその結果としての細胞内求核試薬との損傷性反応を防止することが示唆されてきた(非特許文献16)。N末端でのタンパク質のホスホグルコノイル化の報告された観察は、経路内で産生された6−PGLがタンパク質を修飾できるという仮説を裏づけしているが、pgl活性の変調が修飾済みタンパク質のレベルに影響を及ぼしうることの報告済みの証拠は全く存在しない。
【0009】
さらに、大腸菌(Escherichia coli)菌株BL21(DE3)は、研究、診断、治療及び工業目的でのタンパク質の発現のために一般的に使用される宿主である(非特許文献22)。この菌株は、T7RNAポリメラーゼの染色体コピーの発現と問題の組換え型タンパク質上のプラスミドベースのT7RNAポリメラーゼプロモータの使用を組合わせることにより組換え型タンパク質の非常に高い発現レベルを達成することから、商業的に魅力あるものである。従って、T7RNAポリメラーゼはきわめて選択的でかつ活性なRNAポリメラーゼであることから、組換え型タンパク質の転写は非常に高いレベルまで、往々にして宿主細胞の写しが減少するほどにまで蓄積する。
【0010】
残念なことに、菌株BL21(DE3)は、検出可能ではあるが、それでも約10〜20プラーク形成単位/ml(PFU)と非常に低い感染性ラムダファージ粒子を放出する(非特許文献23)。おそらく、T7RNAポリメラーゼ遺伝子は、ラムダint遺伝子内に挿入されたT7RNAポリメラーゼ遺伝子を担持する欠損ラムダファージDE3での形質導入によりBL21宿主細胞染色体の中に導入されている(非特許文献22)。結果としての欠損プロファージは、int遺伝子の中断に起因して正常に複製できない。DE3プロファージの染色体切除は、感染性のファージ粒子のパッケージング及び放出に先立つプロファージの複製のための1つの必要条件であり、int遺伝子の産物により指示される相同的切除組換えによって左右される。本書に記述されている通り、放出された非常に低レベルのファージ粒子は、異常なint独立型ランダムプロファージ切除事象に起因している。低レベルの感染性ファージ粒子の放出は、一部の研究所では受容可能であり得るが、感染性ファージの放出は全て、患者の安全性に対する考慮のためと同時に感染性因子の放出がその他の大腸菌(E.coli)ベースの製造プロセスを危険にさらし得ることから、生物医薬品製造工場では全く受容できない。
【0011】
【非特許文献1】バネックス(Baneyx)、生物工学の最新情報(Current Opinion in Biotechnology)10:411−421(1999)
【非特許文献2】ボゴシアン(Bogosian)ら、生物化学報(Journal of Biological Chemistry)264;531−539(1989)
【非特許文献3】シャウドユリ(Chaudhuri)ら、生物工学報(Journal of Molecular Biology)285;1179−1194(1999)
【非特許文献4】バッシレヴァ−アタナッソヴァ(Vassileva−Atanassova)ら、生物工学報(Journal of Biotechnolgy)69;63−67(1999)
【非特許文献5】ヤマシタら、タンパク質の発現及び精製(Protein Expression & Purification)16;47−52(1999)
【非特許文献6】バーティ(Berti)ら、タンパク質の発現及び精製(Protein Expression & Purification)11;111−118(1997)
【非特許文献7】コンツ(Konz)ら、生物工学の進歩(Biotechnology Progress)14:393−409(1998)
【非特許文献8】ジェオゲーガン(Geoghegan)ら、Anal.Biochem.267:169−184(1999)
【非特許文献9】キム(Kim)ら、アクタ・クリスタログラフィカ、第D部、生物学的結晶学(Acta Crystallographica Section D−Biological Crystallography)57:759−762(2001)
【非特許文献10】ヤン(Yan)ら、生物化学・生物物理学研究通信(Biochemical & Biophysical Research Communications)262:793−800(1999)
【非特許文献11】ヤン(Yan)ら、生物化学・生物物理学研究通信(Biochemical & Biophysical Research Communications)259:271−282(1999)
【非特許文献12】ラキツィス(Rakitzis)及びパパンドレウ(Papandreou)、化学・生物学的相互作用(Chemico−Biological Interactions)113:205−216(1998)
【非特許文献13】ベイン(Baynes)及びモニア(Monnier)、加齢、糖尿病及び栄養におけるメイラード反応(The Maillard Reaction in Aging,Diabetes,and Nutrition)、アラン・アール・リス(Alan R.Liss)、ニューヨーク(New York)(1989)
【非特許文献14】リンゼイ(Lindsay)ら、クリニカ・ケミカ・アクタ(Clinica Chimica Acta)263:239−247(1997)
【非特許文献15】ベラネック(Beranek)ら、分子細胞生物化学(Molecular & Cellular Biochemistry)218:35−39(2001)
【非特許文献16】ミクレ(Miclet)ら、生物化学報(J.Biol.Chem.)276:34840−34846(2001)
【非特許文献17】コラード(Collard)ら、エフイービーエス・レターズ(FEBS Letters)459:223−226(1999)
【非特許文献18】ヘイガー(Hager)ら、細菌学報(Journal of Bacteriology)182:3934−3941(2000)
【非特許文献19】クポール(Kupor)及びフレンケル(Fraenkel)、細菌学報(Journal of Bacteriology)100:1296−1301(1969)
【非特許文献20】クポール(Kupor)及びフレンケル(Fraenkel)、生物化学報(Journal of Biological Chemistry)247:1904−1910(1972)
【非特許文献21】コードウェル・エス・ジェー(Cordwell S.J.)、Arch.Microbial.172:269−279(1999)
【非特許文献22】スタディア・エフ・ダブリュー(Studier,F.W.)、及びモファット・ビー・エー(Moffatt、B.A.)、J.Mol.Biol.1986年5月5日;189(1):113−130
【非特許文献23】スチュアート・シューマン(Stewart Shuman)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1989;89;3489−3493
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発酵中のホスホグルコノイル化の発生率が低減した、大腸菌(E.coli)といったような微生物内でポリペプチドを発現又は過剰発現するための方法が、大いに必要とされている。さらに、ファージを全く含まないBL21(DE3)宿主細胞の構築も、大腸菌(E.coli)形式での治療用組換え型タンパク質の製造のためにきわめて望ましいと思われる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、豊富な培地内で微生物を成長させることによって発現されるポリペプチドのグルコノイル化を防止するための方法を提供する。
【0014】
本発明は同様に、pgl活性を示すポリペプチドを微生物内にコードするDNAを導入(例えば形質転換、感染又は形質移入)するステップを含む、微生物により発現されたポリペプチドのグルコノイル化を防止する方法をも提供している。このポリペプチドは、ホスホグルコノラクトナーゼ酵素であり得る。本発明のもう1つの態様においては、ホスホグルコノラクトナーゼ酵素は、緑膿菌(P.aeruginosa)を含む(ただしこれに制限さえるわけではない)シュードモナス(Pseudomonas)により産生されたホスホグルコノラクトナーゼ酵素に対し少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸配列を有していてよい。
【0015】
本発明は同様に、タンパク質のグルコノイル化を防止する能力をもつ微生物をも提供している。1つの実施形態においては、微生物は、pgl活性を示すポリペプチドをコードするDNAを含み得る。
【0016】
本発明は同様に、配列番号7に記載のポリヌクレオチドに対し少なくとも90%の同一性をもつ単離されたポリヌクレオチドをも提供する。
【0017】
本発明は同様に、検出可能な感染性ラムダファージ発現を含まない微生物をも提供する。
【0018】
用語集
「宿主細胞」というのは、単離されたポリヌクレオチド配列により導入された(例えば形質転換、感染又は形質移入された)又はそれによる導入(形質転換、感染又は形質移入)能力をもつ細菌細胞又は微生物細胞を含めた(ただしこれらに制限されるわけではない)細胞である。
【0019】
当該技術分野において既知の通りの「形質転換された」というのは、外部DNA又はRNAの導入を介した又は外部DNA又はRNAのその他の任意の安定した導入に対する1つの生体のゲノム又はエピゾームの特異的修飾のことである。
【0020】
当該技術分野において既知の通りの「形質移入された」というのは、組換えDNA又はRNAを含む(ただしこれらに制限されない)微生物内への外部DNA又はRNAの導入である。
【0021】
当該技術分野において既知の通りの「同一性」というのは、配列を比較することによって決定されるような、場合に応じて2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当該技術分野においては、「同一性」は又、その配列ストリング間の整合によって決定される通りの、場合によってポリペプチド又はポリヌクレオチド配列の間の配列同系性の度合をも意味する。「同一性」は、コンピュータ分子生物学(Computational Molecular Biology)、レスク・エー・エム(Lesk、A.M.)編、オックスフォード大学出版(Oxford University Press)、ニューヨーク(New York)、1988年;バイオコンピューティング:情報科学とゲノムプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genome Projects)、スミス・ディー・ダブリュー(Smith、D.W.)編、アカデミープレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)、1993年;配列データのコンピュータ解析、第1部(Computer Analysis of Sequence Data、Part1)、グリフィン・エー・エム(Griffin、A.M.)及びグリフィン・エイチ・ジー(Griffin、H.G.)編、ヒューマンプレス(Humana Press)、ニュージャージー(New Jersey)1994年;分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology)、フォン・ハインジ・ジー(von Heinje、G.)アカデミックプレス(Academic Press)1987年;及び、配列分析プライマー(Sequence Analysis Primer)、グリブスコフ・エム(Gribskov、M.)及びドベルー・ジェー(Devereux、J.)編、エム・ストックマンプレス(M Stockton Press)、ニューヨーク(New York)1991年;及び、カリロ・エイチCarillo、H.)及びリップマン・ディー(Lipman、D.)、エスアイエーエム応用数学報(SIAM J.Applied Math.)48:1073(1988年)内に記述されているものを含む(ただしこれに制限されるわけではない)既知の方法によって、容易に計算可能である。同一性を決定する方法は、テスト対象の配列の間に最大の整合を与えるように設計されている。その上、同一性を決定するための方法は、公に利用可能なコンピュータプログラム内で体系化されている。2つの配列間の同一性を決定するためのコンピュータプログラム方法には、GCGプログラムパッケージ(ドベルー・ジェー(Devereux、J.)ら、核酸研究(Nucleic Acids Research)12(1):387(1984年))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(アルトシュル・エス・エフ(Altschul、S.F.)ら、分子生物学報(J.Molec.Biol.)215:403−410(1990年))が含まれるが、これらに制限されるわけではない。BLASTXプログラムは、NCBI及びその他の供給源から公的に入手可能である(ブラスト・マニュアル(BLAST Manual)、アルトシュル・エス(Altschul、S.)ら、NCBI NLM NIH Bethesda、MD20894;アルトシュル・エス(Altschul、S.)ら、分子生物学報(J.Mol.Biol.)215:403−410(1990年))。周知のスミス・ウォータマン(Smith Waterman)アルゴリズムも同一性を決定するために使用可能である。
【0022】
ポリペプチド配列比較のためのパラメータには、以下のものが含まれる。
アルゴリズム:ニードルマン(Needleman)及びブンシェ(Wunsch)、分子生物学報(J.Mol.Biol)、48:443−453(1970年)。
比較マトリクス:ヘンティコフ(Hentikoff)からのBLOSSUM62及びヘンティコフ(Hentikoff)、Proc.Natl.Acad.Sci、USA、89:10915−10919(1992年)。
ギャップ・ペナルティ;12
ギャップ長ペナルティ;4
これらのパラメータで有用なプログラムはジュネティクス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group)、ウイスコンシン州マジソン(Madison、WI)から「ギャップ」プログラムとして公的に入手可能である。上述のパラメータは、(エンドギャップについてのペナルティ無しと併せて)ペプチド比較のためのデフォルトのパラメータである。
【0023】
ポリヌクレオチド比較用のパラメータは、以下のものを含む。
アルゴリズム:ニードルマン(Needleman)及びブンシュ(Wunsch)、分子生物学報(J.Mol.Biol.)48:443−453(1970年)
比較マトリクス:整合=+10、不整合=0
ギャップ・ペナルティ;50
ギャップ長ペナルティ;3
ジュネティクス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group)、ウイスコンシン州マジソン(Madison,WI)からのギャッププログラムとして入手可能。
これらは、核酸比較用デフォルトのパラメータである。
【0024】
場合によって、ポリヌクレオチド及びポリペプチドについての「同一性」の好ましい意味は、以下の(1)及び(2)で提供されている。
【0025】
(1)ポリヌクレオチド実施形態はさらに、配列番号7の基準配列に対し少なくとも70、80、85、90、95、97又は100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含んでおり、ここで前記ポリヌクレオチド配列は配列番号7の基準配列と同一であってもよいし又は基準配列に比べて或る整数の数までのヌクレオチド改変を内含していてよく、前記改変は、少なくとも1つのヌクレオチド欠失、転位及び塩基転換を含む置換、又は挿入から成るグループの中から選択され、前記改変は基準ヌクレオチド配列の5’又は3’末端位で、又はこれらの末端位置間のいずれかの場所で、基準配列内のヌクレオチドの間で個別か又は基準配列内で1つ以上の隣接基の中のいずれかで点在した形で発生していてよく、又ヌクレオチド改変の前記数は、同一性百分率を定義する整数を100で除したもので配列番号7のヌクレオチドの合計数を乗じることそして次に配列番号7内の前記合計ヌクレオチド数からその積を減算することによって決定され、或いは又、
【数1】

であり、式中、nはヌクレオチド改変数であり、xは配列番号7中の合計ヌクレオチド数であり、yは95%については0.95、97%については0.97、又100%については1.00であり、・は乗算演算子の符号であり、又ここでx及びyの非整数積は全て、それをxから減算する前に、最も近い整数に端数は切捨てられる。1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の改変は、このコーディング配列内でノンセンス、ミスセンス又はフレームシフト突然変異を作り出し、かくしてかかる改変の後にポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドを改変することができる。
【0026】
(2)ポリペプチド実施形態はさらに、ポリペプチド基準配列に対する少なくとも70、80、85、90、95、97又は100%の同一性を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドを含んでおり、ここで前記ポリペプチド配列は基準配列と同一であってもよいし又は基準配列に比べて或る整数の数までのアミノ酸改変を内含していてよく、前記改変は、少なくとも1つのアミノ酸欠失、同類置換及び非同類置換を含む置換、又は挿入から成るグループの中から選択され、前記改変は基準ポリペプチド配列のアミノ−又はカルボキシ−末端位で、又はこれらの末端位置間のいずれかの場所で、基準配列内のアミノ酸の間で個別にか又は基準配列内で1つ以上N隣接基の中のいずれかで点在した形で発生していてよく、又アミノ酸改変の前記数は、同一性百分率を定義する整数を100で除したものでアミノ酸の合計数を乗じることそして次に前記合計アミノ酸数からその積を減算することによって決定され、或いは又、
【数2】

であり、式中、nはアミノ酸改変数であり、Xは配列中の合計アミノ酸数であり、yは95%については、0.95、97%については0.97、又100%については1.00であり、・は乗算演算子の符号であり、又ここでx及びyの非整数積は全て、それをxから減算する前に、最も近い整数に端数は切り捨てられる。
【0027】
「単離された」というのは、その天然の状態から「人間の手により」改変されていることすなわち、それが自然の中で発生した場合、そのもとの環境から変更又は除去されているか又はその両方であることを意味する。例えば生体内に天然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは「単離されない」が、そのポリヌクレオチド又はポリペプチドが1つの細胞内に導入し戻される場合を含めて(ただしこれに制限されるわけではない)、その天然の状態の共存する材料から分離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは単離される。
【0028】
「ポリヌクレオチド」は一般に、未修飾のRNA又はDNA又は修飾されたRNA又はDNAであり得るあらゆるポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを意味する。「ポリヌクレオチド」は、制限的意味なく、1本鎖及び2本鎖DNA、1本鎖及び2本鎖領域又は1本鎖、2本鎖及び3本鎖領域の混合物であるDNA、1本鎖及び2本鎖RNA及び1本鎖及び2本鎖領域の混合物であるRNA、1本鎖そしてより標準的には2本鎖又は3本鎖領域又は1本鎖及び2本鎖領域の混合物でありうるDNA及びRNAを含むハイブリッド分子を含む。さらに、本書で使用されている通りの「ポリヌクレオチド」は、RNA又はDNA又はRNAとDNAの両方を含む3本鎖領域を意味する。かかる領域内のストランドは、同じ分子由来でも異なる分子由来でもよい。領域は、分子のうちの1つ以上のものの全てを内含し得るが、より標準的には分子の一部分の領域のみが関与する。3重らせん領域の分子の1つは、往々にしてオリゴヌクレオチドである。本書で使用されている通り、「ポリヌクレオチド」という語は、同様に1つ以上の修飾された塩基を含む上述の通りのDNA又はRNAをも内含する。かくして、安定性又はその他の理由で修飾された主鎖をもつDNA又はRNAは、その語が本書で意図されている通りの「ポリヌクレオチド」である。その上、単に2つの例のみ挙げるだけでもイノシンといったような普通ではない塩基又はトリチル化塩基といった修飾された塩基を含んでいるDNA又はRNAは、その語が本書で使用される通りのポリヌクレオチドである。当業者にとって既知である数多くの有用な目的に役立つきわめて多様な修飾がDNA及びRNAに対して行なわれてきたということがわかるだろう。本書で利用されている通りの「ポリヌクレオチド」という語は、化学的、酵素的又は代謝的に修飾された形のポリヌクレオチドならびに例えば単細胞及び複合細胞といったものを含むウイルス及び細胞に特徴的なDNA及びRNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」は同様に、オリゴヌクレオチド」と往々にして呼ばれる短かいポリヌクレオチドをも包含している。
【0029】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合又は修飾されたペプチド結合により互いに接合された2つ以上のアミノ酸を含むあらゆるペプチド又はタンパク質をも意味する。「ポリペプチド」は、ペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーと一般に呼ばれる短鎖及びタンパク質と一般に呼ばれる長鎖の両方を意味する。ポリペプチドは遺伝子コードされた20個のアミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。「ポリペプチド」は、プロセシング及びその他の翻訳後修飾といったような天然のプロセスによってのみならず化学的修飾技術によって修飾されたものを内含する。かかる修飾は、基本的テキストの中及びより詳細なモノグラフ中、ならびに大量の研究文献の中で充分に記述されており、当業者にとっては周知である。同じタイプの修飾は、一定の与えられたポリペプチド内の複数の部位で同じ又は変動するレベルで存在しうるということがわかるだろう。同様に、一定の与えられたポリペプチドは、数多くのタイプの修飾を含み得る。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖及びアミノ又はカルボキシ末端を含めたポリペプチド内のどこにでも発生し得る。修飾には、例えば、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビン共有結合付着、ヘム部分の共有結合付着、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合付着、脂質又は脂質誘導体の共有結合付着、ホスホチジルイノシトールの共有結合付着、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、ジメチル化、共有結合架橋形成、システイン形成、ピログルタミン酸塩の形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化反応、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、脂質付着、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ−カルボキシル化、水酸化及びADP−リボシル化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化といったようにタンパク質に対するアミノ酸のトランスファRNAが媒介する付加及びユビキチン化が含まれる。例えば、タンパク質−構造と分子特性(PROTEINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES)、第2版、ティー・イー・クライトン(T.E.Creighton)、ダブリュー・エイチ・フリーマン(W.H.Freeman)及び共同研究者、ニューヨーク(New York)(1993年)及びウォルド・エフ(Wold、F.)、翻訳後タンパク質修飾:展望と予想(Posttranslational Protein Modifications:Perspectives and Prospects)、タンパク質の翻訳後共有修飾(POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS)中1−12頁、ビー・シー・ジョンソン(B.C.Johnson)編、アカデミックプレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)(1983年);セイフター(Seifter)ら、酵素学的方法(Meth.Enzymol.)182:626−646(1990年)及びラッテン(Rattan)ら、タンパク質合成:翻訳後修飾と加齢(Protein Synthesis:Posttranslational Modifications and Aging)、Ann.N.Y.Acad.Sci.663:48−62(1992)を参照のこと。ポリペプチドは、分枝であっても、又は分枝を伴う又は伴わない環状であってもよい。環状、分枝及び分枝環状円形ポリペプチドは、翻訳後の天然プロセスの結果であり得、完全な合成方法によっても作製可能である。
【0030】
「組換え型発現系」は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの産生のために宿主細胞又は宿主細胞溶解物へと導入又は形質転換された本発明の発現系又はその一部分又はポリヌクレオチドを意味する。
【0031】
本書でその語が用いられている通りの「変異体」という語は、それぞれ基準ポリヌクレオチド又はポリペプチドとは異なるものの不可欠な特性は保持しているポリヌクレオチド又はポリペプチドである。ポリヌクレオチドの標準的変異体は、ヌクレオチド配列においてもう1つの基準ポリヌクレオチドと異なっている。変異体のヌクレオチド配列の変化は、基準ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を改変する場合としない場合がある。ヌクレオチド変化の結果として、以下で論述するように、基準配列によってコードされたポリペプチド内のアミノ酸置換、付加、欠失、融合タンパク質及び切形がもたらされる可能性がある。ポリペプチドの標準的変異体は、アミノ酸配列においてもう一方の基準ポリペプチドと異なっている。一般に、差異は、基準ポリペプチド及び変異体の配列が全体的に密に類似し、数多くの領域で同一であるように制限されている。変異体及び基準ポリペプチドは、任意の組合せでの1つ以上の置換、付加、欠失によってアミノ酸配列が異なっていてよい。置換された又は挿入されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによってコード化されたものであってもなくてもよい。本発明は同様に、本発明のポリペプチドの変異体、すなわち同類アミノ酸置換によって対象から変動しかくして1つの残基が同様の特性をもつもう1つの残基によって置換されているポリペプチドをも内含している。標準的なこのような置換は、Ala、Val、Leu及びIleの間;Ser及びThrの間;酸性残基Asp及びGluの間;Asn及びGlnの間;及び塩基性残基Lys及びArgの間;又は芳香族残基Phe及びTyrの間のものである。特に好ましいのは、複数の5〜10、1〜5、1〜3、1〜2又は1個のアミノ酸が任意の組合せで置換、欠失又は付加される変異体である。ポリヌクレオチド又はポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体といったような天然に発生するものであってもよいし、又は天然に発生するものとして知られていない変異体であってもよい。ポリヌクレオチド及びポリペプチドの天然に発生しない変異体は、突然変異誘発技術、直接的合成によって及び当業者にとって既知のその他の組換え型方法によって作ることができる。
【0032】
「微生物」というのは、(i)ストレプトコッカス(Streptococcus)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ボルデテラ(Bordetella)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ネイセリア(Neisseria)、ヘモフィラス(Haemophilus)、アクチノマイセート(Actinomycetes)、ストレプトマイセート(Streptomycetes)、ノカルジア(Nocardia)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルシニア(Yersinia)、ファンシセラ(Fancisella)、パスチュレラ(Pasturella)、モラキセラ(Moraxella)、アシネトバクター(Acinetobacter)、エリジペロスリックス(Erysipelothrix)、ブランハメラ(Branhamella)、アクチノバシルス(Actinobacillus)、ストレプトバシルス(Streptobacillus)、リステリア(Listeria)、カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium)、ブルセラ(Brucella)、バシルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、トレポネーマ(Treponema)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、クレブシエラ(Kleibsiella)、ビブリオ(Vibrio)、プロテウス(Proteus)、エルウィニア(Erwinia)、ボレリア(Borrelia)、レプトスピラ(Leptospira)、スピリルム(Spirillum)、カンピロバクター(Campylobacter)、赤痢菌(Shigella)、レジオネラ(Legionella)、シュードモナス(Pseudomonas)、アエロモナス(Aeromonas)、リケッチア(Rickettsia)、クラミジア(Chlamydia)、ボレリア(Borrelia)及びマイコプラズマ(Mycoplasma)属の成員を含み(ただしこれらに制限されるわけではない)、かつさらにA群ストレプトコッカス(Streptococcus)、B群ストレプトコッカス(Streptococcus)、C群ストレプトコッカス(Streptococcus)、D群ストレプトコッカス(Streptococcus)、G群ストレプトコッカス(Streptococcus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオジーン(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・デュランス(Streptococcus durans)、ネイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrheae)、ネイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、コリネバクテリウム・ディプテリエ(Corynebacterium diptheriae)、ガルドネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、マイコバクテリウム・チュベルキュローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)、アクチノミクテス・イスラエリイ(Actinomyctes israelii)、リステリア・モノシトジーン(Listeria monocytogenes)、ボルデテラ・ペルチュシス(Bordetella pertusis)、ボルダテラ・パラペルチュシス(Bordatella parapertusis)、ボルデテラ・ブロンキセプテイカ(Bordetella bronchiseptica)、大腸菌(Escherichia coli)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、ヘモフィラス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、ヘモフィラス・エジプティウス(Haemophilus aegyptius)、ヘモフィラス・パラインフルエンゼ(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィラス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、ボルデテラ(Bordetella)、サルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi)、シトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Kleibsiella pneumoniae)、セラティア・マルセセンス(Serratia marcessens)、セラティア・リケファシエンス(Serratia liquefaciens)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera)、シゲラ・ディセンテリイ(Shigella dysenterii)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、フランシセラ・チュラレンシス(Franscisella tularensis)、ブルセラ・アボルティス(Brucella abortis)、バシルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バシルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・ボツリヌス(Clostridium botulinum)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、リケッチャ・リケットシイ(Rickettsia rickettsii)及びクラミジア・トラコミティス(Chlamydia trachomitis)といった種又は群の成員を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)原核生物、(ii)アルケバクター(Archaebacter)を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)古細菌及び(iii)原生動物、真菌、サッカロマイセス(Saccharomyces)、クルベロマイセス(Kluveromyces)又はカンジダ(Candida)属の成員及びサッカロマイセス・セリビシエ(Saccharomyces ceriviseae)、クルベロマイセス・ラクチス(Kluveromyces lactis)、又はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)種の成員を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)単細胞又は糸状真核動物を意味する。
【0033】
「細菌(の)」というのは、(i)ストレプトコッカス(Streptococcus)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ボルデテラ(Bordetella)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、Mycobacterium(マイコバクテリウム)、ネイセリア(Neisseria)、ヘモフィラス(Haemophilus)、アクチノマイセート(Actinomycetes)、ストレプトマイセート(Streptomycetes)、ノカルジア(Nocardia)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルシニア(Yersinia)、ファンシセラ(Fancisella)、パスチュレラ(Pasturella)、モラキセラ(Moraxella)、アシネトバクター(Acinetobacter)、エリジペロスリックス(Erysipelothrix)、ブランハメラ(Branhamella)、アクチノバシルス(Actinobacillus)、ストレプトバシルス(Streptobacillus)、リステリア(Listeria)、カリマトバクテリウム(Calymmatobacterium)、ブルセラ(Brucella)、バシルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、トレポネーマ(Treponema)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、クレブシエラ(Kleibsiella)、ビブリオ(Vibrio)、プロテウス(Proteus)、エルウィニア(Erwinia)、ボレリア(Borrelia)、レプトスピラ(Leptospira)、スピリルム(Spirillum)、カンピロバクター(Campylobacter)、赤痢菌(Shigella)、レジオネラ(Legionella)、シュードモナス(Pseudomonas)、エロモナス(Aeromonas)、リケッチャ(Rickettsia)、クラミジア(Chlamydia)、ボレリア(Borrelia)及びマイコプラズマ(Mycoplasma)属の成員を含み(ただしこれらに制限されるわけではない)かつさらにA群ストレプトコッカス(Streptococcus)、B群ストレプトコッカス(Streptococcus)、C群ストレプトコッカス(Streptococcus)、D群ストレプトコッカス(Streptococcus)、G群ストレプトコッカス(Streptococcus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・デュランス(Streptococcus durans)、ネイセリア・ゴノレ(Neisseria gonorrheae)、ネイセリア・メニンギティデイス(Neisseria meningitidis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、コリネバクテリウム・ディプテリエ(Corynebacterium diptheriae)、ガルドネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、マイコバクテリウム・テュベルキュローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)、アクチノマイセス・イスラエリイ(Actinomyctes israelii)、リステリア・モノサイトジン(Listeria monocytogenes)、ボルデテラ・ペルチュシス(Bordetella pertusis)、ボルダテラ・パラペルチュシス(Bordatella parapertusis)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、大腸菌(Escherichia coli)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、ヘモフィラズ・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、ヘモフィラス・エジプティウス(Haemophilus aegyptius)、ヘモフィラス・パラインフルエンゼ(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィラス・デュクレイイ(Haemophilus ducreyi)、ボルデテラ(Bordetella)、サルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi)、シトロバクテル・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Kleibsiella pneumoniae)、セラチア・マクレセンス(Serratia marcessens)、セラチア・リケファシエンス(Serratia liquefaciens)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera)、シゲラ・ディセンテリイ(Shigella dysenterii)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、フランシセラ・チュラレンシス(Franscisella tularensis)、ブルセラ・アボルティス(Brucella abortis)、バシルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バシルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、トレポネーマ・パリジウム(Treponema pallidum)、リケッチャ・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)及びクラミジア・トラコミティス(Chlamydia trachomitis)といった種又は群の成員を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)原核生物、及びアルケバクター(Archaebacter)を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)古細菌を意味する。
【0034】
本書で用いられる「異種ポリペプチド」という語は、問題の形質転換された宿主細胞又は微生物によって天然に合成されておらず組換えDNAにより宿主細胞又は微生物内に導入されたポリペプチドを意味する。例えば、大腸菌(E.coli)は、形質転換されていない大腸菌(E.coli)内で発生しないインターロイキンの発現のための宿主微生物として作用し得る。異種ポリペプチドは、単離を容易にするために修飾されたポリペプチドを含み得る。
【0035】
本書で用いられる「親和性タグ」というのは、前記分子に対しもう1つの物質又は分子に対する選択的親和性を与え得る分子と会合されたあらゆる部分を意味する。例えば、カラムのパッキング材料に対する選択的親和性をもつ分子を提供することにより分子の精製を容易にするために親和性タグを使用することができる。親和性タグの制限的意味のない例がhisタグである。
【0036】
本書で用いられる「Hisタグ」は、ヒスチジンアミノ酸の反復を意味し、工学処理技術を通してポリペプチド内にコードされたその他のアミノ酸を含み得る。標準的にはHisタグは、少なくとも6つ(「ヘキサ」)のヒスチジン反復を含み、ポリペプチドのN末端近くに位置設定される。Hisタグは、Ni−カラム全体にわたる異種ポリペプチドの精製を容易にするために使用可能である。
【0037】
本書で用いられる「最小培地」というのは、リン酸緩衝液といった緩衝液、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム又は硫酸マンガンといった塩、鉄、亜鉛、銅、コバルト又はモリブデンといった鉱物、グルコース又はグリセロールといった炭素供給源及び硫酸又は硝酸アンモニウムといった窒素供給源を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)化学的に定義された成分を含む細胞成長培地を意味する。一例としてはM9培地(キム・ワイエス(Kim YS)、ジェーエイチ・セオ(JH Seo)及びエイチワイ・チャ(HY Cha)、酵素及び微生物工学(Enzyme and Microbial Technology)33(2003年);460−465))がある。
【0038】
本書で用いられる「豊富な培地」というのは、未定義の成分を含み、緩衝液(例えばリン酸緩衝液)、塩(例えば硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム又は硫酸マンガン)及び例えばグルコース又はグリセロールでありうる炭素供給源などの追加の成分を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)細胞成長培地を意味する。窒素供給源は、酵母エキスといったようなタンパク質加水分解物、食肉加水分解物又は大豆加水分解物で構成され得る。窒素供給源は、1:1以上という複合窒素供給源(1リットルあたりのグラム単位)対最大細胞密度(OD単位)の比で細胞成長を支持する能力をもつ濃度で提供され得る。豊富な培地の例としては、スーパーブロス(Superbroth)(アトラス・アール・エム(Atlas RM)、微生物学培地便覧(Handbook of Microbiological Mesdia);パークス・エル・ディー(Parks LC)編;シーアールシー・プレス:フロリダ州ボカラートン(CRC Press:Boca Raton FL)、281、523、529、859の各頁)、テリフィックブロス(Teriffic Broth)(アルファバイオサイエンシーズ、米国メリーランド州ボルチモア(Alpha Bioscienes、Baltimore、MD USA))、ターボブロス(Turbo Broth)(アテナエンザイムシステムズ、米国メリーランド州ボルチモア(Athena Enzyme Systems、Baltimore、MD USA))又はハイパーブロス(Hyper Broth)(アテナエンザイムシステムズ、米国メリーランド州ボルチモア(Athena Enzyme Systems、Baltimore、MD USA))が含まれる(ただしこれらに制限されるわけではない)。
【0039】
本書で用いられる「グルコノイル化」というのは、1つのタンパク質に対するグルコン酸誘導体の付着を意味する。グルコノイル化は、6−ホスホグルコノラクトン(6−PGL)付加体の形成、アセチル化、ホルミル化、脱ホルミル化、グルコノラクトン化又はグルコン酸誘導体化を含みうる(ただしこれらに制限されるわけではない)。
【0040】
本書で用いられる「力価収量」というのは、溶液(例えば培養ブロス又は細胞溶解混合物又は緩衝液)中の産物(例えば異種発現されたポリペプチド)の濃度を意味し、通常mg/L又はg/Lとして表現される。力価収量の増加は、2組の定義済みの条件の下で産生された産物の濃度の絶対的又は相対的増加を意味し得る。
【0041】
本書で用いられる「pgl活性」という語は、6−ホスホグルコノラクトン(「pgl」)のあらゆる活性を意味する。かかる活性は、6−PGLから6−ホスホグルコン酸への加水分解を含み得る。有意なpgl活性は、少なくとも0.2IU/分/gの加水分解活性として定義することができる。
【0042】
本書で用いられる「ストリンジェント条件」及び「ストリンジェントハイブリダイゼーション条件」という語は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、ただし特に好ましくは少なくとも95%の同一性が配列間に存在する場合にのみハイブリダイゼーションが発生することになることを意味する。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件の一例は、50%のホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸3ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン及び20マイクログラム/mlの変性された剪断サケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩インキュベートし、その後約65℃で0.1×SSC中でフィルタを洗浄するというものである。ハイブリダイゼーション及び洗浄条件は周知であり、その開示全体が参考として本書に内含されているサンブルック(Sambrook)ら、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)第2版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(Cold Spring Harbor,N.Y.)(1989年)、特にその中の第11章の中に例示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
なかでも最小培地上での成長、高い細胞密度及び高レベルの異種ポリペプチド発現から生じる細胞ストレスは、異種ポリペプチドのグルコノイル化に貢献するかもしれない。従ってこれらのストレッサーのうちの1つ以上のものを軽減することが、微生物内で発現されるタンパク質のグルコノイル化のレベルに影響を及ぼすかもしれず、今度はそれが所望のポリペプチドの純度及び力価収量に影響する可能性がある。大腸菌(E.coli)の一部の菌株は、その他のものに比べてpgl活性レベルが高い可能性があるが、この活性の原因である遺伝子はコードウェル・エス・ジェー(Cordwell S.J.)1999年、Arch.Microbiol.172;269−279の、大腸菌(E.coli)中で同定されていなかった。その上、ポリペプチドのグルコノイル化は、これらのポリペプチドの構造的判定及び結晶化に影響を及ぼし得る。
【0044】
本発明は、豊富な培地内で微生物を成長させるステップを含む、微生物中で発現されたポリペプチドのグルコノイル化を防止するための方法を提供している。本発明のもう1つの態様においては、微生物は、最小培地内で成長させられた場合には有意な6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を示さない。微生物は、大腸菌(E.coli)菌株であってよい。本発明のもう1つの態様においては、大腸菌(E.coli)は、B菌株である。本発明のもう1つの態様においては、豊富な培地は、複合窒素供給源を含む。豊富な培地は、細胞密度に対する複合窒素供給源の濃度について1:1という比率に細胞成長を維持する能力を有する。複合窒素供給源は、トリプトン、ペプトン又は酵母エキスであり得る。本発明のもう1つの態様においては、培地はスーパーブロス(Superbroth)である。スーパーブロス(Superbroth)培地は2倍に濃縮されていてよい。本発明のもう1つの態様においては、微生物は、異種ポリペプチドをコードする組換えDNA分子を形質移入する。
【0045】
本発明のもう1つの実施形態においては、ポリペプチドの発現のため大腸菌(E.coli)のK菌株変種を発酵するステップを含む、大腸菌(E.coli)内で発現されたポリペプチドのグルコノイル化を防止する方法が提供されている。本発明のもう1つの態様においては、K菌株は、実質的に同じ条件下で成長させられたB菌株と比較した場合に少なくとも約100倍高いホスホグルコノラクトナーゼ活性を示す。本発明のもう1つの態様においては、K菌株はK−12である。
【0046】
本発明のもう1つの実施形態においては、微生物中にDNAを導入するステップを含む、微生物内で発現されたポリペプチドのグルコノイル化を防止するための方法において、前記DNAが、6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を示すポリペプチドをコードする、方法が提供されている。本発明のもう1つの態様においては、微生物は大腸菌(E.coli)である。DNAは、6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードするDNAを含む。本発明のもう1つの態様においては、6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードするDNAは、緑膿菌(P.aeruginosa)であり得るシュードモナス(Pseudomonas)由来の6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAに対する少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%又は100%の配列同一性を有する。本発明のもう1つの態様においては、6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードするDNAは、配列番号7に対し少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%又は100%の配列同一性を有する。本発明のもう1つの態様においては、6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素は、配列番号8に対し少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%又は100%の配列同一性をもつアミノ酸配列を有する。6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードするDNAは、配列番号7に記載の配列を含む。DNAは、組換えDNAであってよく、かつ/又は微生物のゲノムDNAに形質転換され得る。
【0047】
本発明のもう1つの実施形態においては、ポリペプチドのグルコノイル化を防止する能力を有する微生物が提供されている。微生物は、6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を示すポリペプチドをコードするDNAを含む。微生物は、6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAを含む。本発明のもう1つの態様においては、6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAはシュードモナス(Pseudomonas)由来の6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードするDNAと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%又は100%の配列同一性を有しており、ここで該微生物は、シュードモナス(Pseudomonas)ではない。本発明のもう1つの態様においては、6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAは、緑膿菌(P.aeruginosa)に由来する。本発明のもう1つの態様においては、微生物は、大腸菌(E.coli)の一菌株である。本発明のもう1つの態様においては、微生物は、大腸菌(E.coli)の一菌株であり、6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAは、該微生物のゲノム内に取込まれている。
【0048】
本発明のもう1つの実施形態においては、配列番号7中に記載されているポリヌクレオチドに対し少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%又は100%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドが提供されている。本発明のもう1つの態様においては、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号8に対し少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%又は100%の配列同一性をもつアミノ酸を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対し少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。本発明のもう1つの態様においては、DNAは、6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を示すタンパク質をコードする。本発明のもう1つの態様においては、DNA配列は配列番号7に記載されている。本発明のもう1つの態様においては、DNA配列は、緑膿菌(P.aeruginosa)由来の6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAに対し相同である、本発明のもう1つの態様においては、単離されたポリヌクレオチドは、ヒト−インターロイキン18又はその変異体をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。
【0049】
本発明のもう1つの実施形態においては、ポリペプチドのグルコノイル化を削減するため本発明の方法によりポリペプチドを発現するステップを含む、ポリペプチド結晶形成を改善する方法が提供されている。
【0050】
本発明のもう1つの実施形態においては、微生物内のポリペプチドの成長効率及び発現を改善する方法が提供されている。1つの態様では、ポリペプチドは、グルコノイル化されたポリペプチドと比べて増大した発酵段での力価収量を示す。
【0051】
本発明のもう1つの実施形態においては、6−ホスホグルコノラクトナーゼ(「pgl」)活性をもつ酵素と共に微生物内のヒトインターロイキンを同時発現させるステップを含む、ヒトインターロイキンを産生する方法が提供されている。1つの態様では、ヒトインターロイキンは、IL−18タンパク質又はその変異体である。1つの態様では、微生物は大腸菌(E.coli)である。1つの態様では、pglは、制限的な意味なく、ゲノム又はエピゾームへと形質転換することを含め大腸菌(E.coli)へと形質転換又は形質移入されるポリヌクレオチドによりコードされている。
【0052】
本発明のもう1つの実施形態においては、豊富な培地の中で成長させられる微生物内でヒトインターロイキンを発現するステップを含むヒトインターロイキン産生方法が提供されている。1つの態様では、ヒトインターロイキンはIL−18タンパク質又はその変異体である。1つの態様では、微生物は大腸菌(E.coli)である。1つの態様では、豊富な培地がフィトンペプトンを含む。1つの態様では、豊富な培地はバクト酵母エキスを含む。
【0053】
本発明のもう1つの実施形態においては、検出可能な感染性ラムダファージ発現を全く含まない微生物が提供されている。1つの態様では、ラムダファージカプシド構造タンパク質gpEは微生物内で欠失又は分断されている。タンパク質の欠失又は分断は、複数の制限的ではない要領で達成可能である。タンパク質をコードする遺伝子を、微生物から部分的又は完全に除去することができる。タンパク質をコードする遺伝子を、点突然変異又はランダム突然変異といった制限的意味のない技術により遺伝子的に修飾することが可能である。その構造又は機能を分断するべくタンパク質を化学的又は酵素的に分割又は修飾することもできる。遺伝子発現を調節するプロモータを分断又は欠失させて、遺伝子発現を削除又は低減させることもできる。タンパク質の構造又は機能を達成するために、溶液の条件又は温度を調節することが可能である。1つの態様では、微生物は大腸菌(E.coli)である。もう1つの態様では、微生物は、T7RNAポリメラーゼ遺伝子を含む。
【0054】
以下の例は、本発明のさまざまな態様を例示している。これらの例は、添付の請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0055】
実施例1
主要ラムダファージカプシド構造タンパク質gpEをノックアウトすることにより検出可能な感染性ラムダファージ発現を含まない大腸菌(E.coli)BL21(DE3)菌株の改良型菌株を作り出した。この菌株を、本書で提示されている実施例の中で使用した。
【0056】
gpEコーディング領域の413塩基対内部フラグメントを、
5' AGCTGGCCATTGCTCAGGTCGAAG 3' (配列番号1)
5' GTACTGTCCGGAATACACGACGATG 3' (配列番号2)
というプライマ対及び鋳型としてのBL21(DE3)染色体DNAを用いて、PCR増幅した。結果として得られたフラグメントは以下の通りである。
AGCTGGCCAT TGCTCAGGTC GAAGAGATGC AGGCAGTTTC TGCCGTGCTT AAGGGCAAAT
ACACCATGAC CGGTGAAGCC TTCGATCCGG TTGAGGTGGA TATGGGCCGC AGTGAGGAGA
ATAACATCAC GCAGTCCGGC GGCACGGAGT GGAGCAAGCG TGACAAGTCC ACGTATGACC
CGACCGACGA TATCGAAGCC TACGCGCTGA ACGCCAGCGG TGTGGTGAAT ATCATCGTGT
TCGATCCGAA AGGCTGGGCG CTGTTCCGTT CCTTCAAAGC CGTCAAGGAG AAGCTGGATA
CCCGTCGTGG CTCTAATTCC GAGCTGGAGA CAGCGGTGAA AGACCTGGGC AAAGCGGTGT
CCTATAAGGG GATGTATGGC GATGTGGCCA TCGTCGTGTA TTCCGGACAG TAC
(配列番号3)
【0057】
PCR増幅産物をTAクローニングし、配列を標準的な技術を用いて確認した。次に、クローニングされたgpE配列内に太字で示されている中央にあるEcoRV部位の中に、クロラムフェニコール耐性遺伝子の機能的コピーを導入した。その後、クロラムフェニコールで中断したgpEフラグメント構成体を、大腸菌(E.coli)宿主菌株BL21内に常駐するラムダ(DE3)gpE遺伝子の遺伝的ノックアウトのための線状相同的組換えノックアウトベクターとして使用した。このノックアウトベクターは、本書に記述されたベクターが使用されたという点を除いて、キリル・エー・ダッセンコ(Kirill A.Datsenko)及びバリー・ワーナー(Barry Wanner)、Proc.Natl.Acad.Sci USA 2000;97;6640−6645によって記述されている通りに宿主細胞内に導入された。推定上のgpEノックアウトは、6μg/mlのクロラムフェニコールの存在下で成長する能力により予備的に同定され、その後PCR分析により確認された。BL21(DE3)の1つのかかるgpEノックアウトは、バンクに寄託され、ECC−023というGSK呼称が与えられた。
【0058】
非常に高感度のプラーク検定において感応性ファージ粒子の存在について、ECC−023をテストした。表1に示されているように、親BL21(DE3)は、そのように誘発されていない場合、約20pfuというかろうじて検出可能な量しかファージを発現しなかったが、遺伝子損傷(UV照射)に対するSOS応答によって誘発された場合、ほぼ3ケタ大きい量を発現した。しかしながら、gpEノックアウト誘導体ECC−023は、SOS応答を誘発するべく処理された場合でも、感染性ファージの徴候を全く生み出さなかった。データから、BL21(DE3)誘導体ECC−023が検出可能な感染性ファージ粒子を全く生み出さず、従って生物医薬品製造に適した宿主細胞菌株であることがわかる。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例2
この実施例は、豊富な培地中で細胞を培養することにより、最小培地と比較した場合に、Hisタグ付けされたタンパク質の6−PGL付加体の形成を妨げることができるということを示している。
【0061】
Hexa−his−FabZのための遺伝子をコードするプラスミドpET28FabZSaで形質転換された大腸菌(E.coli)BL21(DE3)を、1.0のOD600が達成されるまで37℃でMCJK(最小培地)又はMCJKLB(豊富な培地)内で成長させた。MCJK及びMCJKJBのための培地組成は表2に記述されている。
【0062】
【表2】

【0063】
最終濃度1mMとなるまでイソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシド(「IPTG」)を添加し、収獲するまで4時間にわたり37℃に細胞を維持した。10分間16,000×gで遠心分離により細胞を収集し、10mMのトリス、pH8.0、1mMのNaEDTA、10μg/mLのリゾチーム及び25U/mLのベンゾナーゼ(Benzonase)(シグマ(Sigma))中で穏やかに撹拌することでこれを溶解させた。10分間16,000×gで遠心分離により細胞残屑を除去し、組換え型タンパク質を、メーカーの推奨事項(カリフォルニア州バレンシアのキアゲン社(Quiagen Inc.,Valencia、CA)に従ってバッチモードでNi−NTA樹脂で可溶性抽出物から精製した。LC/MS分析によりグルコノラクトン修飾の存在について異種タンパク質を分析した。
【0064】
表3に示されている通りに最小培地(MCJK)内で培養を実施する場合、合計組換え型タンパク質の34%のレベルで、MGSSHHisタグ異種ポリペプチドをグルコノイル化する。培地を酵母エキス及びトリプトンで補完又は富化させる場合、グルコノイル化されたタンパク質は、同じく表3に示されているように、検出可能ではない。かくして、より豊富な培地を使用することで、6−PGL付加体の形成を防止することができる。
【0065】
【表3】

【0066】
実施例3
この実施例は、組換え型CXCケモカイン(Gro−ベータ−Tとしても知られている)の内部リジン残基が、大腸菌(E.coli)内で発現された場合にグルコノイル化された状態になり得るということを実証している。ヒトGro−ベータ−TのcDNA及びアミノ酸配列は、その全体が参考として本書に内含されている国際特許出願公開国際公開第92/00327号パンフレット(1992年1月9日)ならびに米国特許第6,042,821号明細書及び米国特許第第6,413,510号明細書の中で提供されている。
【0067】
定量的高生産性逆相検定を用いて、CXCケモカイン(Gro−ベータ−T)の産生中の異種タンパク質の蓄積を日常的に監視した。産物関連変異体の形成を日常的に監視する手段を提供するべく、高性能エレクトロスプレー飛行時間(「ESI−TOF」形質量分析計とこの分離をインタフェースした。
【0068】
大腸菌(E.coli)BL21(DE3)宿主内で発現された場合に、2つのユニークな産物修飾が観察された。質量スペクトルの解析が、7,542Daでの未変性産物に比べて、+178Da及び+258Daの質量シフトを示すものとして変異体を特徴づけした。
【0069】
これらの発酵に由来する産物を、精製手順に通過させた。微量の産物変異体を解像する能力をもつ高解像度の逆相検定を用いて仕掛り標本を特徴づけした。液体クロマトグラフィ質量分析(「LCMS」)を用いた分析により、新しい産物変異体が+258Da(保持時間約14.8分)及び+178Da(保持時間約15.2Da)の質量シフトを示すことが確認された。
【0070】
公開されている文献は、これらの+258Da及び+178Daの質量シフトが、N末端残基に対する6−PGL又はグルコノラクトンの添加の結果得られたヘキサHisタグで発現されたタンパク質の中で以前に観察されていたということを示した。CXCケモカイン(Gro−ベータ−T)はヘキサHisタグを使用して発現されなかった。さらに、分子はいかなるヒスチジン富有領域も示していない。種が産物関連のものであることを確認するため、各々の変異体を単離し、N−末端配列決定に付した。配列決定は、適正な産物配列を確認し、ヘキサHisタグが全く存在しないことを保証した。
【0071】
変異体をトリプシン消化及びペプチド地図作製に付した。製品基準を用いて生成されたペプチド地図との比較は、45.8分(m/z1094)で溶出する第1のピークと46.5分(m/z1174)で溶出する第2のピークという2つの新しいピークをトリプシン地図内で明らかにした。新しいペプチドを単離し、N末端配列決定に付し、この配列決定は両方が同じ配列(NIQSVKVK(配列番号41)を有することを示した。配列相同性及び80Daの質量差の存在は、種がリン酸化の存在によってのみ異なっていることを示唆していた。
【0072】
LCMS質量分光分析をm/z1174でのピークに対し実施した。MS/MS実験はピークがNIQSVKVK(配列番号4)の配列を有することを確認した。さらに、y3、y4、y5及びy6を含むy3から出発したy系列のフラグメントイオンは、258Daの質量増加を示した。しかしながら、y2イオンは258Daの質量増加を示さなかった。このデータは、修飾が258Daの質量増加を伴ってリジン(配列中23番目)上にあることを示した。
【0073】
観察された修飾が、産物のグルコノイル化に起因したことを確認するため、反応性L−グルコノ−1,5−ラクトン又はガラクトン酸を利用したインビトロ反応が開発された。以前の研究作業は、これらの種がヘキサHisタグに対するグルコノイル種の添加を誘発する能力を有することを示していた(グオックヘガン(Geoghegan)ら)。
【0074】
精製したCXCケモカイン(Gro−ベータ−T)をpH8.0でTRIS緩衝液へと緩衝液交換した。450mMの濃度までL−グルコノ−1,5−ラクトン又はガラクトン酸を添加し、20分間室温で標本をインキュベートした。両方のラクトン共、大腸菌(E.coli)内での発現中に見られたものと同じ+178DaのCXCケモカイン修飾を誘発した。
【0075】
実施例4
この実施例は、大腸菌(E.coli)内で発現された組換え型ヒトインターロイキン(ヒトIL−18)の内部リジン残基のグルコノイル化を例示している。
【0076】
6−PGL付加体についてインターロイキン産物をスクリーニングするために、ESI−TOF質量分析法と組合わされた高解像度の逆相HPLCを利用した。B菌株で発現されたインターロイキンの分析は、+178Daという質量差を示す産物関連の種を生成した。タンパク質は、ヘキサHisタグ無しで発現されたことから、CXCケモカインで観察された通り(実施例3参照)修飾は内部リジン残基において発生している確率が高かった。
【0077】
インターロイキン分子の高解像度逆相HPLC分析により、RT21.0、22.0、23.0分で+178Daの質量シフトを示す多数の産物種及び+258Daのシフト(RT約27.5分)を示す付加的な微量の種を同定することができた。
【0078】
インターロイキンのインビトロ修飾は、同様に、先行実施例において記述されている通り、pH8.0でL−グルコノ−1,5−ラクトンで評価された。この反応も又、大腸菌(E.coli)のB菌株内でインターロイキンが発現された時点で見られたものと同じ+178Daの修飾を生成した。
【0079】
実施例5
この実施例は、豊富な培地内で細胞を培養することにより組換え型タンパク質の内部リジン残基のグルコノイル化又はPGL付加体の形成が妨げられることを示している。この研究において3つの供給バッチ発酵プロセスが比較された。発酵ラン間の差異は、産生段階の間に使用されたバッチ培地と供給物の組成にあった。プロセスIの発酵では豊富な培地が使用され、一方第2及び第3のバッチ(プロセスII及びIII)は最小培地で実施された。プロセスI及びIIにおいて、供給培地としてグリセロールが使用され、一方プロセスIIIでは、グルコースが用いられた。
【0080】
大腸菌(E.coli)の中で組換え型インターロイキンを産生するための発酵プロセスは、15リットルの発酵装置の中で供給−バッチモードで実施された。発酵はバッチプロセスとして開始された。表4に示されているように、2.8L入りのフラスコ内でPYE培地1000ml中に0.5mLのグリセロール保存培養を無菌状態で移送することによって接種材料を調製した。
【0081】
【表4】

【0082】
培養を回転式振とう機の上で27.5℃で一晩成長させた。その後、5Lのバッチ培地の入った発酵装置内に振とうフラスコ培養を移した。産生培地は、塩、アミノ酸及び硫酸カナマイシンから成る。さらに、豊富な培地を、表5に示されているような高濃度の酵母エキスとフィトンペプトンで補完する。
【0083】
【表5】

【0084】
各培地のpHを、水酸化アンモニウムを用いて約7.3に維持した。温度を約27.5℃に制御した。供給培地、グリセロール又はデキストロースを別々に滅菌し、シリコーンゴム管類を用いて発酵装置にこれらを無菌状態で連結した。
【0085】
供給培地の補給は、培養中の初期バッチ量が使い果たされた時点で開始された。ポーラログラフ酸素電極が、発酵装置内の溶解酸素張力を監視した。20%を超える一定の溶存酸素分圧を保つため、炭素供給速度をカスケードモードで制御した。曝気を10slpmに、圧力を7.0psigの過剰圧力に維持した。発酵の実施当初から終了時まで800rpmという攪拌速度を使用した。約40単位のOD550で、100mLの1mMのIPTGを培養中に注入して組換え型遺伝子発現を誘発した。
【0086】
IPTG添加から24時間後に収集した標本の逆相HPLC分析は、産物中のグルコノラクトンレベルの低下を示した。プロセスIにおける6−PGL付加体の不在及びプロセスII及びIIIにおけるその存在は、グリセロール炭素源ではなく豊富な培地を使用することが6−PGL付加体の削除の原因であったということを表わしている。表6は、該分析の結果を要約している。
【0087】
【表6】

【0088】
実施例6
この実施例は、大腸菌(E.coli)のK−12菌株がB菌株よりも100倍高いpgl活性を有することを示している。
【0089】
親菌株としてBL12(DE3)をもつ2つの異なる菌株ECC005及びECO680及びK−12遺伝子型に由来する2つの他の菌株ECO706及びATG3995の抽出物の中で、6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を測定した。
【0090】
菌株を培養するために、1LのPYE培地+1%グルコース及び50μg/mlのカナマイシンを含有する2L入りの振とうフラスコに、凍結バイアルから0.4mLの細胞懸濁液を接種した。インキュベーションは、6時間又は7.5時間220rpmで攪拌しながら30℃で行なった。標本を指示された時点で取り上げ、550nmで光学密度を測定し、ペレットを収集してpgl活性を測定した。pgl活性を測定するためのインビトロ検定の詳細が以下に提示されている。
【0091】
pgl活性を、細胞を含まない抽出物の中で340nm、25℃で螢光光度法によって検定した。細胞を含まない抽出物を、以前に記述されたように(マイトラ(Maitra)及びロボ(Lobo)、生物化学報(Journal of Biological Chemistry)246;475−488(1971年))、5mMのEDTA及び5mMのβ−メルカプトエタノールを含有するpH7.3の50mMのHEPESという基本的に同じ再懸濁緩衝液を用いて調製したが、細胞は音波処理(20秒、5サイクル)によって破断させた。
【0092】
幾分かの修正を加えて、以前に公開された方法(シンハ(Shinha)及びメイトラ(Maitra)、Journal of General Microbiology、1992年;138;1865−1873)を用いてpglを検定した。該検定は、25mM−KCl及び10mM−MgClを含有するpH6.5の100mMのMES緩衝液の中で、50μMのグルコース−6−ホスフェート、0.5mM−NADP+及び1単位のグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼを含有する1mLの混合物を予備インキュベートすることから成っていた。反応がひとたび安定期に達した時点で、ひき続き2単位の6−ホスホグルコネートデヒドロゲナーゼを添加し、その結果、予備インキュベーションステップ中に形成された6−PGLの自然発生的加水分解に起因して吸収度がゆっくりと増大した。細胞を含まない抽出物を添加した時点での螢光の著しい増分がある場合、それはホスホグルコノラクトナーゼ活性のせいである。全てのpgl活性は、細胞を含まない抽出物の添加の後の吸収度の増加の線形範囲内で推定された。
【0093】
酵素活性は、6−PGLの自然発生的加水分解速度を減算することによって推定された。酵素活性は、合計タンパク質1mg1分あたりのmmol NADPHで表現された。合計タンパク質は、ビシンコニン酸(BCA)タンパク質検定(ピアス(Pierce)、米国イリノイ州(USA,Illinois))によって決定された。
【0094】
親としてK−12遺伝子型をベースとしている菌株においては、B菌株に比べ100倍高い活性が検出された。
【0095】
表7は、2つの菌株バックグラウンドについての酵素検定の結果を要約している。
【0096】
【表7】

【0097】
実施例7
この実施例は、大腸菌(E.coli)BL21菌株内で異種ポリペプチド、CXCケモカイン(Gro−ベータ−Tとしても知られている)を発現させた結果として6−PGLアダクトがもたらされる一方、K−12菌株内で同じポリペプチドを発現させると内部リジンのグルコノイル化が妨げられる、ということを示している。
【0098】
CXCケモカインを組換えにより発現するように構築された大腸菌(E.coli)の異なる4つの菌株を用いて、10回の発酵ランを実施した。この実施例は、各々の宿主細胞バックグラウンドをもつ2つの発現系を用いることにより組換え型タンパク質の6−PGL付加体の形成の有無に対する宿主バックグラウンド対プロモータ系の効果を実証している。表8は、使用された菌株について記述している。
【0099】
【表8】

【0100】
大腸菌(E.coli)内でCXCケモカイン(Gro−ベータ−T)を産生するための発酵は、15リットル入りの発酵装置内で供給バッチモードで実施した。バッチプロセスとして発酵を開始した。500mL入りバッフル付きフラスコ内の100mLのPYE培地中に0.75mLのグリセロール保存培養を無菌状態で移すことにより、接種材料を調製した。回転式振とう機上で32.0℃で7時間培養を成長させた。振とうしたフラスコ培養を次に1.0LのPYE培地と混合し、8.0Lのバッチ培地の入った発酵装置内に移した。産生培地は、塩及びプロモータに応じてカルベニシリンか又は硫酸カナマイシンのいずれかで構成されていた。表9中に、シード拡張用の培養組成が提供されており、表10には、大腸菌(E.coli)内のCXCケモカインの産生のための培地処方が提供されている。
【0101】
【表9】

【0102】
【表10】

【0103】
各培地のpHは、水酸化アンモニウムを用いて約7.0に維持した。温度を約32.0℃に制御し、誘発時に約37.5℃まで上昇させた。供給培地及びデキストロースを別々に滅菌し、シリコーンゴム管類を用いて発酵装置に無菌状態で連結した。
【0104】
供給培地の補給は、培養中の初期バッチ量が使い果たされた時点で開始された。ポーラログラフ酸素電極が、発酵装置内の溶解酸素張力を監視した。約25%を超える一定の溶解酸素張力を保つため、炭素供給速度をカスケードモードで制御した。曝気を約10slpmに、圧力を約7.0psigの過剰圧力に維持した。始めに約400rpmという攪拌速度を用い、約25%の溶解酸素張力を維持するべく必要に応じてこれを増大させた。約14単位のOD550で、100mLの1.0mMのIPTGを培養中に注入するか又は温度を37.5℃まで上昇させて組換え型遺伝子発現を誘発した。
【0105】
K−12宿主バックグラウンドを用いて実施した発酵はいずれも、組換えにより発現されたポリペプチド上の検出可能な6−PGL付加体の形成を有しておらず、一方T7プロモータと合わせてB菌株を用いて実施したものは全て、組換えにより発現されたポリペプチド上の検出可能な6−PGL付加体の形成の存在を示した。B菌株及びpLプロモータを用いた3回の実施は、検出可能な付加体の形成を有していなかった。これらのデータは、例えばK−12といったpgl活性を有する宿主菌株内で組換え体タンパク質を発現することにより、この修飾を受ける可能性のある組換え型タンパク質内での6−PGL付加体の形成を妨げ得ることを実証している。実施例3を参照のこと。大腸菌(E.coli)B及びK−12菌株中で発現されたCXCケモカイン内での6−PGL付加体の形成の存在は、表11中で各発酵について提示されている。
【0106】
【表11】

【0107】
実施例8
この実施例は、K−12菌株内で異種ポリペプチド、ヒトインターロイキン(ヒトIL−18)を発現させることにより内部リジンの6−ホスホグルコノイル化が妨げられることになるのに対して、大腸菌(E.coli)BL21菌株内での同じポリペプチドの発現が結果として6−PGL付加体の形成をもたらすということを示している。
【0108】
大腸菌(E.coli)BL21(DE3)及びK−12菌株は、ヒトインターロイキン(IL−18)を発現するように構築された。実施例で記述された通りに最小培地内で培養を成長させた。実施例で記述された方法を用いて、培地全体を通してさまざまな時点で6−PGLでの産物修飾についての監視を行なった。
【0109】
結果は、修飾された産物に対する未修飾産物のピーク面積比として表現されている。数字が大きくなればなるほど、グルコノイル化された産物の割合は小さくなる。BL21(DE3)菌株内のグルコノイル化の範囲がK−12菌株内よりも著しく大きいことは明白である。大腸菌(E.coli)のB及びK−12菌株内で発現されたヒトインターロイキン(IL−18)のホスホグルコノイル化が表12に要約されている。
【0110】
【表12】

【0111】
実施例9
この実施例は、大腸菌(E.coli)宿主細胞内での異種pglの過剰発現が6−PGLからその産物6−ホスホグルコネートへの代謝変換の増大を導きかくして付加体の形成に利用可能な6−PGLのプールが削減される、ということを示している。緑膿菌(P.aeruginosa)pgl遺伝子が、複製ベースのプラスミドのcolE1起源と相容性のあるプラスミドベースの誘発可能な発現ベクターヘとクローニングされ、工学処理され、かくして2つの異なるプラスミドは同じ宿主細胞内に維持され得ることになる。緑膿菌(P.aeruginosa)pglの誘発可能な発現レベルは、内因性大腸菌(E.coli)代謝経路とは独立してかつ問題の組換え型タンパク質の誘発可能な発現とは独立した形で、意のままに調節可能である。従って、6−PGLのプールが付加体の形成に必要とされるレベルより低く、ただし宿主細胞資源が実質的な影響を受ける程に至らずに減少するような形で、組換え型pgl発現を調節することができる。従って、非常に高い発現レベルを提供するべく、所望の組換え型タンパク質のレベルを別途調節することが可能である。
【0112】
緑膿菌(P.aeruginosa)pglのクローニング
緑膿菌(P.aeruginosa)pglを以下のようにクローニングした。緑膿菌(P.aeruginosa)は、メリーランド州ロックビル、パークローンドライブ、12301の米国標準培養収集機関(American Type Culture Collection,12301,Parklawn Drive, Rockville MD 20852−1776):緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)菌株ATCC27853から入手した。5’及び3’PCR増幅プライマは、開始コドンATGのすぐ上流側の領域を含め、pgl遺伝子全体のPCR増幅を指示するように設計され合成された。センス及びアンチセンス増幅プライマの配列はそれぞれ以下のとおりである。
5' GGCCTCGAGCTCGGTGGCCCTGGTGGCCC 3' (配列番号4)
及び
5' GCCCTCGAGTCCGCCACTCAGGGGTACCAAT 3' (配列番号5)
太字の配列は、その後のクローニングステップを可能にするため遺伝子内に導入されたXhol部位を表わしている。
【0113】
さらに、緑膿菌(P.aeruginosa)遺伝子は、GCをきわめて豊富に有しており、通常の増幅条件下ではPCR増幅しない。PCR増幅には、GC富有鋳型、特定的には米国カリフォルニア州パロアルトのBDバイオサイエンスクロンテック社のアドバンテージ−GCcDNAポリメラーゼミックス、カタログ番号8419−1(Advantage−GC cDNA Polymerase Mix(cat.8419−1;BD Biosciences Clontech:Palo Alto,CA:USA)について最適化されているPCR増幅条件を使用することが必要である、ということが発見された。ポリペプチド配列番号8をコードする対応するpglDNA配列(配列番号7)は、30秒間94℃とそれに続く1.5分間68℃の25サイクルの後、全緑膿菌(P.aeruginosa)細胞からPCR増幅された。このとき、3分間68℃で単一のインキュベーションにより、増幅を完了した。アガロースゲル電気泳動及び米国カリフォルニア州バレンシア、キアゲン社(カタログ番号28704)のQIAquickゲル抽出キット(cat.28704、Qiagen;Valencia,CA;USA)上のカラムクロマトグラフィにより、PCR産物を単離した。水中に増幅したゲル精製されたpglDNAを溶出させ、米国カリフォルニア州カールスバッド、インビトロゲン社(カタログ番号K4550−40)のTOPOTAクローニング(登録商標)キット(cat.K4550−40、Invitrogen;Carlesbad,CA;USA)を用いてクローニングベクターpCR2.1へと直ちにクローニングさせ、米国カリフォルニア州カールスバッド、インビトロゲン社(カタログ番号C4040−06)のOne Shot(登録商標)TOP10化学コンピーテント・大腸菌(E.coli)(cat.C4040−06、Invitrogen:Carlsbad,CA;USA)へと形質転換させた。結果としてのampコロニーを、産物のEcoRI消化と電気泳動によりインサートについてスクリーニングした。配列確認済みインサートをXhol消化によりクローニングベクターから解放させ、QIAquickゲル抽出キットを用いて精製した。米国ペンシルバニア州キングオブプルシャ、グラクソ・スミス・クライン社の(バイオカタログ735532)pECO−1発現ベクターDNA(Bio Cat73552,GlaxoSmithKline;King of Prussia,PA;USA)をSallで切断し、米国マサチューセッツ州ビバリー、ニューイングランドバイオラボ社(カタログ番号MO2290S)の子牛腸内アルカリホスファターゼ(CIP)(cat M0290S、New England Biolabs:Beverly,MA;USA)で処理し、次に、QIAquickゲル抽出キットを用いて精製した。基本的にメーカーにより記述されている通りにT4DNAリガーゼを用いて、Xhol消化されたインサート及びSall処理されたpECO−1をライゲートした(米国マサチューセッツ州ビバリー、ニューイングランドバイオラボ社(カタログ番号M0202S)(cat.M0202S;New England Biolabs;Beverly,MA;USA))。メーカーにより記述されている通りにOne Shot(登録商標)TOP10化学的コンピーテント・大腸菌(E.coli)細胞内に2マイクロリットル(2μl)のライゲーション反応を形質転換した(カタログ番号C4040−06、米国カリフォルニア州カールスバッドのインビトロゲン社、(at.C4040−06;Invitrogen;Carlsbad,CA;USA))。PCRにより正しい配向でのpglインサートの存在についてコロニーをスクリーニングした。以下で記すように、クローンpECO−1pglcl2−13をさらなる研究用に選択した。
【0114】
結果としての構成体はpACYC184プラスミド主鎖に基づいており、以下の遺伝的機能的要素を含む。(1)colE1−型ori要素と共に異種プラスミドと同じ宿主細胞内でのプラスミドエピソーム維持を可能にするp15Aori;(2)クロラムフェニコール選択性マーカー;(3)多重クローニング部位の上流側のテトラサイクリン誘発性プロモータ;(4)全長緑膿菌(P.aeruginosa)pgl遺伝子。
【0115】
さらなる研究のため、ヒトインターロイキンを発現するBL21(DE3)細胞内に上述の通りに最終構成体pECO−1pglcl2−13を形質転換した。pECO−lpglcl2−13配列のDNA配列は配列番号9として提示され、pECO−1pglcl2−13の制限地図は図1に提示されている。
【0116】
実施例3に記述した通りに培養を実施した。6−PGL付加体についての分析は、実施例4中に記述されている通りに実施した。ホスホグルコノラクトナーゼ活性は、実施例6に記述した通りに測定した。研究の中で検査したヒトインターロイキン(IL−18)を発現する付加的な菌株には、pECO−1pglcl2−13無しのBL21(DE3)及びK−12が含まれる。pglプラスミドを伴う菌株は、20ng/mLでのアンヒドロテトラサイクリンの添加を伴って又は伴わずに検査された。pglを発現する細胞内の6−PGL付加体の形成の有無は、以下に示される通りの表13にまとめられている。
【0117】
【表13】

【0118】
実施例10
ヒトインターロイキン−18(IL−18)は、腎細胞癌及び悪性黒色種の治療のための抗癌剤として開発されつつある免疫調節性サイトカインである。ヒト及びマウスのIL−18についての記述は、本書にその全体が参考として内含されている以下の米国特許で提示されている:米国特許第6,582,689号明細書、米国特許第5,914,253号明細書、米国特許第5,879,942号明細書、米国特許第5,912,324号明細書、米国特許第5,914,253号明細書、米国特許第6,060,283号明細書、米国特許第6,087,116号明細書及び米国特許第6,214,584号明細書。IL−18は、免疫系を刺激し、Fas誘発された腫瘍細胞死及び細胞媒介型免疫を促進するものと考えられている。IL−18のポリペプチド配列(配列番号10)は、大腸菌(E.coli)BL21(DE3)の中で産生され得る。それは、pro−IL18についてのポリヌクレオチド配列(配列番号11)から発現され得、この配列はさらに同じ細胞内で同時発現されるプロセシング酵素カスパーゼ(Caspase)5により成熟IL−18へとさらにプロセシングされる。
【0119】
グラム陰性菌緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の6−ホスホグルコノラクトナーゼは、BL21(DE3)菌株内にクローニングされた。この菌株内のIL−18の産生は、所望の産物の収量の直接的増加を結果としてもたらすように検出可能な付加体の形成が全く存在しない状態でIL−18を産生する。その上、pgl欠損の補正も同じく、特定生産性の10%を上回る増加を結果としてもたらした。かくして、この修飾された産生菌株の使用による産物の品質及び特定生産性の改善の組合わさった効果は、発酵段での力価収量の25%を上回る増大の形で現われた。付加体の形成の削除は、精製プロセスに対する直接的なプラスの影響を有し全体的プロセス収量をさらに増大させることになると予想される。
【0120】
実施例11
IL−18のグルコノイル化を、pglの同時発現を伴って及びこれを伴わずにBL21(DE3)細胞内で産生されたIL−18についてのHPLC分析によって監視した。精製されたIL−18から約2分後に溶出するショルダーピークとして、付加体の形成を検出した。IL−18が大腸菌(E.coli)菌株BL21DE3(pglマイナス)内で発現されここから精製された場合、IL−18についての主ピーク面積(すなわち、検出可能なグルコノイル付加体の形成を全くもたないIL−18についてのピークの面積)は約56%であった。一方、BL21(DE3)(pglプラス)細胞中のIL−18の発現及び精製は、約88%の主ピーク面積を生成し、高解像度HPLC検定”に基づいていかなる付加体の形成も示さなかった。
【0121】
実施例12
pro−IL−18(配列番号11)、カスパーゼ(Caspase)5(配列番号12)をコードするポリヌクレオチドを含む2つのベクターが作り出された。その両方が、T7プロモータを用いてポリペプチド産生が誘発されるpETベクターであった。1つのベクターは同様に、pro−IL−18と同じプロモータによって誘発された緑膿菌(P.aeruginosa)(配列番号7)からのpglをコードするポリヌクレオチドをも含んでいた。pro−IL−18及びカスパーゼ(Caspase)5を含むpETベクターの配列全体が配列番号13中に提示されている。このベクターの制限地図が図2に提示されている。pro−IL−18、カスパーゼ(Caspase)5及びpglを含むpETベクターの配列全体は、配列番号14に提示されている。このベクターの制限地図が3に提示されている。これらのベクターを用いて大腸菌(E.coli)BL21(DE3)細胞内にIL−18が発現された場合、回収可能なIL−18の量は、pag無しでのIL−18の発現と比べてポリペプチドがpglと同時発現された場合に大幅に増大した。大腸菌(E.coli)BL21(DE3)細胞内の各々の発現ベクターから得た回収済みIL−18の量は、表14に提示されている。
【0122】
【表14】

【0123】
本明細書中で引用された特許及び特許出願を含め(ただしこれらは制限されることはない)全ての刊行物及び参考文献は、各々の個別刊行物又は参考文献があたかも完全に本書に参考として内含されるものとして特定的かつ個別に指示されているかのごとく、その全体が本書に参考として内含されている。本出願が優先権を請求するあらゆる特許出願が同様に、刊行物及び参考文献について上述した要領でその全体が参考として本書に内含される。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】ベクターpECO−1−pgl−2−13の制限酵素地図を示す。
【図2】ベクターpECO−1−pgl−2−13についてのポリヌクレオチド配列を示す(配列番号9)。
【図3】ベクターpET28ProlL18Casp5の制限酵素地図を示す。
【図4】ベクターpET28ProlL18Casp5についてのポリヌクレオチド配列を示す(配列番号13)。
【図5】ベクターpET28prolL18casp5+pglの制限酵素地図を示す。
【図6】ベクターpET28prolL18casp5+pglについてのポリヌクレオチド配列を示す(配列番号14)。
【図7】ポリヌクレオチド配列、配列番号7を示す。
【図8】ポリペプチド配列、配列番号8を示す。
【配列表】















【特許請求の範囲】
【請求項1】
豊富な培地内で微生物を成長させることを含む、微生物中で発現されたポリペプチドのグルコノイル化を防止するための方法。
【請求項2】
前記微生物が最小培地内で成長させられた場合には有意な6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を示さない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微生物が大腸菌(E.coli)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記大腸菌がB菌株である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記豊富な培地が複合窒素供給源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記豊富な培地が、細胞密度に対する複合窒素供給源の濃度について1:1という比率に細胞成長を維持する能力を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複合窒素供給源がトリプトンである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記複合窒素供給源がペプトンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記複合窒素供給源が酵母エキスである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記培地がスーパーブロス(Superbroth)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記スーパーブロス培地が2倍に濃縮されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記微生物が、異種ポリペプチドをコードする組換えDNA分子を形質移入する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリペプチドの発現のため大腸菌のK菌株変種を発酵することを含む、大腸菌内で発現されたポリペプチドのグルコノイル化を防止する方法。
【請求項14】
前記K菌株が、同じ条件下で成長させられたB菌株と比較した場合に100倍高いホスホグルコノラクトナーゼ活性を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記K菌株がK−12である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
微生物中にDNAを導入することを含む、微生物内で発現されたポリペプチドのグルコノイル化を防止するための方法であって、該DNAが、6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を示すポリペプチドをコードする方法。
【請求項17】
前記微生物が大腸菌である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記DNAが、6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードするDNAを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードする前記DNAがシュードモナス(Pseudomonas)由来の6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シュードモナスが緑膿菌(P.aeruginosa)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードする前記DNAが配列番号7に対し少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードする前記DNAが配列番号7に対し少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素が、配列番号8に対し少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸配列を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素が、配列番号8に対し少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードする前記DNAが、配列番号7に記載の配列を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記DNAが組換えDNAである、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記DNAが前記微生物のゲノムDNAに形質転換される、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
ポリペプチドのグルコノイル化を防止する能力を有する微生物。
【請求項29】
6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を示すポリペプチドをコードするDNAを含む、請求項28に記載の微生物。
【請求項30】
6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAを含む、請求項28に記載の微生物。
【請求項31】
6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAがシュードモナス由来の6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードするDNAと少なくとも90%の配列同一性を有し、シュードモナスではない、請求項28に記載の微生物。
【請求項32】
6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAがシュードモナス由来の6−ホスホグルコノラクトナーゼ酵素をコードするDNAと少なくとも95%の配列同一性を有し、シュードモナスではない、請求項28に記載の微生物。
【請求項33】
6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAが、緑膿菌に由来する、請求項31に記載の微生物。
【請求項34】
大腸菌の一菌株である、請求項28に記載の微生物。
【請求項35】
大腸菌の一菌株であり、6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAが微生物のゲノム内に取込まれている、請求項31に記載の微生物。
【請求項36】
配列番号7に記載のポリペプチドに対し少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項37】
配列番号8に対し少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対し少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む、請求項36に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項38】
前記DNAが6−ホスホグルコノラクトナーゼ活性を示すタンパク質をコードする、請求項36に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項39】
前記DNA配列が配列番号7に記載されている、請求項36に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項40】
前記DNA配列が、緑膿菌由来の6−ホスホグルコノラクトナーゼをコードするDNAに対し少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項36に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項41】
ヒト−インターロイキン−18をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項35に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項42】
配列番号7に記載されているポリヌクレオチドに対し少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項43】
請求項1に記載の方法による前記ポリペプチドを発現することを含む、ポリペプチド結晶形成を改善する方法。
【請求項44】
請求項16に記載の方法による前記ポリペプチドを発現することを含むポリペプチド結晶形成を改善する方法。
【請求項45】
前記ポリペプチドがグルコノイル化されたポリペプチドと比べて発酵段階で増大した力価収量を示す、成長効率を改善することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記ポリペプチドがグルコノイル化されたポリペプチドと比べて発酵段階で増大した力価収量を示す、成長効率を改善することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項47】
6−ホスホグルコノラクトナーゼ(「pgl」)活性をもつ酵素と共に微生物内のヒトインターロイキンを同時発現させることを含む、ヒトインターロイキンを産生する方法。
【請求項48】
前記ヒトインターロイキンがIL−18である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記微生物が大腸菌である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記pglが、前記大腸菌のゲノムへと形質転換されるポリヌクレオチドによりコードされている、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
豊富な培地の中で成長させられる微生物内でヒトインターロイキンを発現することを含むヒトインターロイキン産生方法。
【請求項52】
前記ヒトインターロイキンがIL−18である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記微生物が大腸菌である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記豊富な培地がフィトンペプトンを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記豊富な培地がバクト酵母エキスを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
感染性ラムダファージ発現を全く含まない微生物。
【請求項57】
ラムダファージカプシド構造タンパク質gpEが欠失又は分断されている、請求項56に記載の微生物。
【請求項58】
前記微生物が大腸菌である、請求項56に記載の微生物。
【請求項59】
T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を含む、請求項56に記載の微生物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−520609(P2006−520609A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509042(P2006−509042)
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/006507
【国際公開番号】WO2004/078936
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】