説明

タンパク質の抽出方法

【課題】大腸菌細胞から標的タンパク質を抽出する方法の提供。
【解決手段】大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成し、細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させ、放出されたタンパク質から細胞片を遠心分離して異種標的タンパク質に富んだタンパク質産物を得る。細胞の破壊にはポリエチレンイミン(PEI)溶解促進剤と2価カチオンを添加すると共に、流動層クロマトグラフィーを用いた精製を行う。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
この出願は、2002年9月6日に出願された米国仮出願第60/408653号に基づく優先権を主張し、米国を除く全ての国を指定して2003年9月5日に、米国国籍の企業であるジェネンテック・インク名義のPCT国際特許出願として出願されたものである。
【0002】
発明の背景
製薬用又は診断用タンパク質産物を製造するための生物工学的方法は、様々な供給源から対象の産物を得るために抽出及び精製工程を一般に用いる。タンパク質の供給源は、細菌、酵母、及び哺乳動物細胞培養液、及び天然に生じる組織の抽出物を例えば含みうる。
【0003】
一般に、抽出及び精製工程は数多くあり、様々な技術を必要とする。製造される産物のタイプ、その意図される用途及び他の因子が、どの工程が最も適切であるか、どの程度の精製が有利か、どのようにして精製を達成できるかに影響を与える。一般に、所望される産物純度が高くなればなるほど、その方法で利用される工程は多くなる。
【0004】
標準的なタンパク質精製プロトコルは、一般に細胞の破壊で始まり、標的タンパク質から細胞及び/又は組織片を除去する清澄化工程を含む。溶液を清澄化する一つの一般的な方法は遠心分離による。遠心分離工程の効率は粒子サイズ、粒子と廻りの液の密度差、原料の粘度等々に依存する。大腸菌のような小細胞から得られた液では、小さい粒子サイズと高い粘度が遠心分離における供給能力を低減させ、清澄化プロセスを妨げうる。よって、遠心分離工程に精密濾過を組み合わせることがしばしば推奨されている。精密濾過は遭遇する問題の幾つかを多少とも解決するが、精密濾過膜の汚れが更なる問題となりうる。
【0005】
タンパク質精製プロセスにおけるそれぞれの付加工程は精製コストと全体の収量の双方に影響を及ぼす。従って、製造者等は最も経済的な形で所望の製品純度を得ることを求めている。製造コストを低減する一つの方法は精製プロセスにおける工程数を減少させることである。あるいは、既存プロセスの工程を改変又は向上させて各工程におけるタンパク質の損失を減少させることができる。
【0006】
プロセスの工程を削減することによって収量を増加させる一つの方法は流動層クロマトグラフィー(expanded bed chromatography)(「EBC」)である。EBCは安定な流動床で吸収剤を利用する技術である。細胞片及び/又は組織片を含む液からタンパク質を精製するためにEBCが使用される場合は、前段階の遠心分離は不要である。EBCの使用によりプロセス工程が削減されるが、製品ロスとプロセシング上の不具合の双方がEBCでは生じうる。EBC装置はフリットを含むカラム中に吸着剤を維持し、カラムに充填された液中の細胞片により汚染される恐れがある。フリットの汚染は製品の収量を減少させ、極端な場合にはプロセスを使用できないものにする場合がある。
従って、低コストでより高純度のタンパク質の精製を行うことができるプロセスと方法に対する必要性が残っている。
【0007】
発明の概要
本発明は、大腸菌細胞からタンパク質を抽出する方法において、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞又は破壊細胞を含む溶液のpHを低下させて、酸性細胞溶液を形成し、放出されたタンパク質から細胞片を分離して異種標的タンパク質に富んだタンパク質産物を得る方法を提供する。
また、本発明は、大腸菌細胞からタンパク質を抽出する方法において、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性溶液を形成し、細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させ、放出されたタンパク質から細胞片を分離して異種標的タンパク質に富んだタンパク質産物を得る方法を提供する。
【0008】
本発明は異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞又は破壊細胞の溶液に少なくとも一の溶解促進剤を添加することを更に含む上述の方法をまた提供する。
本発明は、破壊された大腸菌細胞の溶液の、バイオマス−バイオマス相互作用、バイオマス−樹脂相互作用、又はその組み合わせを低減させる方法であって、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成し、細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させることを含み、破壊された細胞溶液の、バイオマス−バイオマス相互作用、バイオマス−樹脂相互作用、又はその組み合わせを、細胞破壊後にpHが低下した細胞の非酸性溶液と比較して低減させる方法をまた提供する。
【0009】
本発明は、破壊された大腸菌細胞の溶液中の、フロキュレント(綿状沈殿物)を改変する方法であって、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成し、細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させることを含み、放出されたタンパク質溶液中のフロキュレントの含水量が、細胞破壊後にpHが低下している非酸性溶液の場合と比較して酸性溶液で細胞が破壊された場合により大である方法をまた提供する。
本発明は、破壊された大腸菌細胞の溶液の粘度を低下させる方法であって、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成し、細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させることを含み、破壊された細胞溶液の粘度が、細胞破壊後にpHが低下している非酸性溶液の場合と比較して低減される方法をまた提供する。
【0010】
発明の詳細な記載
ここで使用される場合、「約」という用語は、明示的に示されているか否かにかかわらず、あらゆる数値に適用される。「約」という用語は一般に記載値に均等である(すなわち同じ機能又は結果を有する)と考える数値範囲を意味する。多くの場合、「約」という用語は最も近い有効数字に四捨五入される数を含みうる。
【0011】
本発明の方法は、一般に、大腸菌細胞からの異種標的タンパク質の抽出に関する。ここで使用される場合、「異種標的タンパク質」という用語は、宿主細胞、組織又は種により通常は発現されない組換えタンパク質を意味する。異種タンパク質の例には、限定はされないが、大腸菌中で産生されるApo2L/Trail、Fab VEGF、及び抗組織因子抗体が含まれる。異種標的タンパク質を抽出する方法により、異種標的タンパク質に富んでいるが他の成分もまた含みうるタンパク質産物が得られることが一般に理解される。そのような他の成分の例には、限定されるものではないが、例えば宿主細胞又は組織、細胞片、及び細胞ブロスにより正常に発現されるタンパク質が含まれる。
【0012】
ここで使用される場合、「バイオマス」という用語は少なくとも細胞片を意味する。
「バイオマス−バイオマス相互作用」は、一般に、凝集に至りうる細胞片間の相互作用を意味する。「バイオマス−樹脂相互作用」は、一般に、細胞片をカラムに付着させ得、カラムの汚染に最終的に寄与しうるEBCカラム樹脂と細胞片の間の相互作用を意味する。
ここで使用される場合、「細胞を破壊する」という語句は、細胞を含む溶液に細胞の内容物を放出するあらゆるプロセスを意味する。「細胞を破壊する」方法の例には、限定されるものではないが、ホモジナイゼーション、リゾチーム、超音波処理、凍結融解、フレンチプレス、及び他の化学的、機械的又は物理的細胞破壊方法が含まれる。「細胞を破壊する」プロセス工程は、一又は複数の工程、例えば4パスのホモジナイゼーション法を用いる複数工程で達成できる。
【0013】
ここで使用される場合、「放出されたタンパク質から細胞片を分離する」工程は様々な既知の技術によって達成することができる。そのような技術の例には、限定されるものではないが、例えば遠心分離、精密濾過、充填床クロマトグラフィー(「PBC」)、流動層クロマトグラフィー(「EBC」)、又は他のタイプのカラムクロマトグラフィーが含まれる。「放出されたタンパク質から細胞片を分離する」工程は全ての細胞片を完全に分離することは必要としない。
遠心分離は放出されたタンパク質から細胞片を分離するために使用することができる。任意の遠心分離プロセスを用いることができる。遠心分離の特定のパラメーターは、異種標的タンパク質の性質(例えばアミノ酸及び電荷)及び異種標的タンパク質を発現する宿主細胞又は組織の性質のような因子に少なくとも部分的に依存するであろう。使用できる遠心分離プロセスの一例は連続ディスクスタック遠心機である。
【0014】
EBCを放出されたタンパク質から細胞片を分離するために使用することができる。EBCは、清澄化、初期精製又は濃縮を必要とすることなく粗粒子含有液から所望のタンパク質が精製される単一パス操作である。必要ではないが、EBCは、前清澄化、精製又は濃縮工程、例えば遠心分離、精密濾過等と共に利用できる。
【0015】
EBCは、粒子の沈殿速度と上方流液体速度のバランスによって引き起こされる平衡中に懸濁される吸着剤床を使用する。吸着剤は床中に拡大し、細胞、細胞片、及び溶液中に存在しうる他の粒状物質の比較的妨害のない通過を可能にする吸着剤粒子間の距離(この距離はクロマトグラフィー技術で使用される用語では空隙容量に相当する)をつくり出す。
EBCを使用して細胞片から放出されたタンパク質を分離するためにEBCを使用する特定の方法及びプロトコルが一般に知られている。例えば「Expanded Bed Adsorption, Principles and Methods」AB(18-1124-26)編, アマシャム・ファルマシア・バイオテック出版を参照のこと。有用なプロトコルの特定のパラメーターは、分離される異種標的タンパク質、それが分離される宿主細胞又は組織、及び他のそのような因子の性質に少なくとも部分的に依存する。
【0016】
本発明の方法は、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成する工程を含む。ここで使用される場合、「大腸菌全細胞」とは破壊されなかった大腸菌細胞を意味する。ここで使用される場合、「酸性」とは7.0未満のpHを持つことを意味する。「非酸性」という用語は7.0以上のpHを有することを意味する。
本発明の方法において、全細胞溶液のpHは、約4.0〜5.0のpH、より好ましくは約4.0〜4.5まで好ましくは低下させられる。あるいは、pHは、4.0以下まで低下させることができ、例えば異種標的タンパク質の性質に依存して、約2.0まですら低下させることができる。
【0017】
溶液のpHの低下は一般に酸を添加することによって達成される。任意の酸を使用することができる。低下したpHで緩衝能を持つ酸、例えばクエン酸、酢酸等々が好ましい。一般に、酸は約50から100mMの濃度で添加されるが、より高い又は低い濃度もまた使用できる。
驚いたことに、細胞が破壊される前に全細胞溶液のpHを低下させて酸性溶液を生成すると、特定のプロセス及び製品利点が得られることが発見された。例えば、細胞破壊前にpHを低下させると、粘度、凝集、流量、プロセス系、及びプロセス時間を改善することができる。細胞破壊前にpHを低下させると、異種標的タンパク質の収量と品質をまた改善することができる。
【0018】
一般に、pHを低下させる利点は、pHが7より減少するにつれて増大する。細胞破壊の前にpHを低下させることはまた異種タンパク質を含むタンパク質産物の純度を増大させるのに役立ちうる。信頼できるものではないが、全細胞溶液のpHを低下させることは、細胞が破壊されたあとに溶液から細胞片及び全細胞汚染物を除去することによってタンパク質産物の純度を向上させるのに役立つと思われる。pHが酸性pHまで低下させられると、異種標的タンパク質の純度は一般に増大する。更に、pHがpH5から4まで低下すると、標的タンパク質の純度は、例えばpH6から5への降下に関連してより実質的な増大を示す。
【0019】
本発明の方法は、場合によっては、また好ましくは、全細胞溶液か、又は酸性全細胞溶液、又は破壊された細胞溶液に少なくとも一種の溶解促進剤を添加することを含む。好ましくは、少なくとも一種の溶解促進剤は、pHの低下の前、又はそれと同時に、より好ましくは前に、全細胞溶液に添加される。
一般に、溶解促進剤は異種標的タンパク質の溶解度を向上させるのに有効な量が添加され、異種標的タンパク質及びホモジネート又は全細胞溶液の性質に少なくとも部分的に依存しうる。一般に、溶解促進剤の量を増加させると、異種標的タンパク質の溶解度が増加する。
【0020】
溶解促進剤は、好ましくは、マグネシウム(Mg+2)、カルシウム(Ca+2)等のような二価カチオンを含む分子である。本発明の方法に使用される好適な溶解促進剤には、限定されるものではないが、硫酸マグネシウム(MgSO)、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸カルシウム(CaSO)、及び塩化カルシウム(CaCl)が含まれる。
溶解促進剤は一般に水性形態で、約10mMから約150mM、好ましくは約30mMから約120mMの最終濃度となる量が添加される。
【0021】
ポリエチレンイミン(「PEI」)はまた本発明の方法において溶解促進剤として機能しうる。一般に、PEIは水性形態で、50w/v%溶液の約0.1から約0.5v/v%、好ましくは約0.2%から約0.3%の最終濃度となる量が添加される。
少なくとも一種の溶解促進剤は単独で又は組み合わせて使用することができ、任意の工程でプロセスに添加することができるが、好ましくは細胞破壊前に添加される。
【0022】
本発明は、破壊された大腸菌細胞の溶液における、バイオマス−バイオマス相互作用、バイオマス−樹脂相互作用、又はその組み合わせを低減させる方法であって、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成し、細胞を破壊してタンパク質を放出させ、破壊された細胞溶液の、バイオマス−バイオマス相互作用、バイオマス−樹脂相互作用、又はその組み合わせを、細胞破壊後にpHが低下した細胞の非酸性溶液と比較して低減させる方法をまた提供する。
溶液のバイオマス−バイオマス相互作用、バイオマス−樹脂相互作用、又はその組み合わせのレベルはまた例えばEBC、PBC、遠心分離又は精密濾過のような溶液が受けるプロセスに対するその効果に基づいてモニターすることができる。これらの効果には、限定されるものではないが、細胞片の凝集(ホモジネート又はバイオマス又はフロキュレーションの形成とも呼ばれる)、カラムを通過する流量、フリットの汚れ、連続ディスクスタック遠心機の汚染、EBCカラムでの背圧、又はカラム入口スクリーンの汚れ等々が含まれる。
【0023】
また、本発明は、破壊された大腸菌細胞の溶液の粘度を低下させる方法であって、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性溶液を形成し、細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させ、破壊された細胞溶液の粘度が、細胞破壊後にpHが低下している非酸性溶液の場合と比較して低減される方法をまた提供する。
粘度は、この明細書を読んだ当業者に知られている任意の方法によって測定することができる。粘度を測定するための装置の例には、限定されるものではないが、Engler、Saybolt、及び Redwood粘度計が含まれる。例示的粘度計の全てが、標準径のオリフィスを通る試験液の流量又は液体カラムを通過する金属球の流量によって速度を示す。他のタイプの粘度計は試験液中に浸漬した回転スピンドル又は羽根の速度を利用する。粘度計の他の例示的なタイプにはBrookfield及びKrebs-Stormer装置が含まれる。
【0024】
また、本発明は、破壊された大腸菌細胞の溶液中のフロキュレント(綿状沈殿物)を改変する方法であって、異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性溶液を形成し、細胞を破壊してタンパク質を放出させることを含み、放出されたタンパク質溶液中のフロキュレントの含水量が、細胞破壊後にpHが低下している非酸性溶液の場合と比較して酸性溶液で細胞が破壊された場合により大である方法をまた提供する。
ここで使用される場合、「フロキュレントを改変する」という語句は、含水量を増加させ、フロキュラントの凝集の傾向を低減させる等の変化を含む。
ホモジネート中のフロキュレントをモニターする他の方法は、連続ディスクスタック遠心機の汚れをモニターすることである。一実施態様では、これは濁度を測定することによって測定することができる。濁度はNTU(National Turbidity Units)で測定することができる。
【実施例】
【0025】
次の実施例は例証のために提供するもので発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
破壊前の大腸菌細胞の条件付けがタンパク質フロキュレーションを改変する
抗VEGF抗体断片(Rhufab V2, Chen等, 1999 J. Mol. Biol. 293: 865-881)を発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞を、60mMのクエン酸の添加により細胞溶液のpHをpH4.0まで低下させることによりホモジナイゼーション前に前条件付けを行った。溶解促進剤のMgSOをまた約120mMの濃度になるまで細胞溶液に添加した。8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics Corp., Newton, MA)を用いた4回のホモジナイゼーションによって細胞を破壊した。ホモジナイゼーション後、5容量の水をホモジネートに添加し、25ml/分(300cm/hr)の流量で、ホモジネートをEBC入口スクリーン(多層式SS316L、100pm、1.8mm厚、2.5cm直径)(G. Bopp & Co., Zurich, Switzerland)に通過させた。
【0026】
同様にして、コントロール細胞を4回のホモジナイゼーションにより破壊したが、pH4.0でMgSOを添加しないホモジナイゼーション後条件付けを施した。MgSO(120mM)と2容量の水と共に酸をホモジナイズした細胞に添加した。得られた物質を遠心分離してペレット状の不溶性物質を得た。コントロール上清を上述したEBC入口スクリーンにかけた。図1及び2及び以下の表に示された結果は、pH4.0でMgSOの存在下での大腸菌細胞の前条件付けでバイオマス−バイオマス相互作用を低減させたことを実証している。この減少は、後条件付けホモジネートの11psigに対する前条件付けホモジネートの0psigとの背圧差に見られるように、タンパク質液のフロキュレーションの減少によって裏付けられる(表1並びに図1参照)。図1はホモジナイゼーション前条件付けとホモジナイゼーション後条件付けに対する時間の関数としての圧を証明している。

図2は、後条件付けコントロールに見出されるフロキュレーション物質が前条件付け試料のスクリーンにはないことを証明している。これらの結果は、細胞破壊前にpHを低下させてタンパク質を放出させると、バイオマス−バイオマス相互作用が減少することを裏付けている。
【0027】
実施例2
破壊前の大腸菌細胞の条件付けが連続ディスクスタック遠心機の汚れを減少させる
pBR322ベースのプラスミドベクターを用いて、大腸菌細胞(株:60E4, 遺伝子型:W3110 DfhuA DphoA DhtrA DompT Dptr ilvG2096 DrhaRDfucP)中にFabVEGFを発現する導入遺伝子(Chen等, 1999, J. Mol. Bio., 293: 865-881)を発現させた。ベクターはより多いコピー数をつくり出すためにrop欠失を有しており、転写のためにphoAプロモーターを用いている。 各遺伝子は、周辺質への搬出のために抗体遺伝子の前に熱安定エンテロトキシンIIシグナル配列を含んでいた。プラスミドにはテトラサイクリン耐性とアンピシリン耐性の双方とも損なわれていなかった。醗酵は、増殖するにつれて細胞がリン酸塩を枯渇させ、phoAプロモーターの誘導を生じるように、倍地中のリン酸塩量を固定して10L規模で実施した。大腸菌細胞を、60mMのクエン酸を添加して細胞溶液のpHをpH4.0まで低下させることによってホモジナイゼーション前条件付けした。溶解促進剤MgSOをまた約60mMの濃度になるまで細胞液に加えた。細胞を、8000psig、2〜8℃にてモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluids, Inc.) を用いた4回のホモジナイゼーションにより破壊した。ホモジナイゼーション後、2容量の水をホモジネートに添加し、ホモジネートを、1.0L/分の流量で連続ディスクスタック遠心機(Model PX205, Alfa Laval, Inc., Richmond, VA)で遠心分離した。シュート割合を、ボウル容積の60%に達するたびに一回シュートするように設定した。
【0028】
同様にして、コントロール細胞を4回のホモジナイゼーションにより破壊したが、ホモジナイゼーション後条件付けを施した。MgSO(60mM)と2容量の水と共に60mMのクエン酸をホモジナイゼーションした細胞に添加し、pH4.0とした。得られた物質を遠心分離してペレット状不溶性物質を得た。
連続ディスク遠心機の汚れを、遠心分離処理されたタンパク質ホモジネートの濁度(NTU)の増加として測定した。データを表2にまとめたが、破壊前にpHを低下させて溶解促進剤を添加することによって細胞を前条件付けすると遠心機の汚れ(溶液濁度)を減少させたことを実証する。

【0029】
図3は、ホモジナイゼーション前条件付け及びホモジナイゼーション後条件付けに対して連続ディスクスタック遠心機で遠心分離して得たペレットを示す。図3から分かるように、フロキュレントのコンシステンシーは非常に異なっている。ホモジナイゼーション前条件付け工程からのペレットはより高い水分含量を有しているようであり、ホモジナイゼーション後条件付け工程からのペレットよりもより滑らかな「固形物」をつくっている。これらの結果は、破壊前に細胞が前条件付けされるとバイオマス−バイオマス相互作用が低減することを裏付けている。
【0030】
実施例3
破壊前の大腸菌細胞の条件付けはEBCカラムの流量を増加させる
流量に対する前条件付けの効果を分析するために、実施例1に上述したようにして調製した前条件付け細胞から得たFab VEGFホモジネートと、コントロールとして、後条件付けホモジネートを、30cmの樹脂定着床と90cmの流動層高さのSPXLストリームライン(Amersham Bioscience, Inc. Piscataway,NJ)EBCカラム(2.6cm直径x100cm高さ)にそれぞれ添加した。EBCカラムにはそれぞれEBCインレットスクリーン(多層式SS316L、100pm、1.8mm厚、2.5cm直径)を装備させた。カラムを通るホモジネートの流速を、コントロールとしてバッファーを使用して互いに比較した。前及びホモジナイゼーション後条件付け試料を、条件付けpH4.5、5.0、5.5、6.0及び6.5で調製した。
結果を図4にまとめるが、ホモジナイゼーション前条件付けがEBCカラムを通る流量の増加をもたらすことを裏付けている。流速はまたpHが低下すると増大した。これらの結果はバイオマス−バイオマス相互作用の減少とバイオマス−EBC樹脂相互作用の減少を裏付けており、前条件付けでより良好な流速が得られたことを示している。
【0031】
実施例4
バイオマス−樹脂相互作用に対する溶解促進剤濃度の効果
Apo2L(Pitlie等, 1996,J Bio. Chem., 271: 12687-12690)を発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞(株:43E7,遺伝子型:W3110 DfhuA phoADE15 D(argF-lac)169ptr3 degP41 DompT(DnmpC-fepE)ilvG2096)を用いてタンパク質を発現させた。phoAプロモーター推進転写を伴うpBR22ベースのプラスミドベクターを発現に用いた。プラスミドは産生向上のために3つのtRNAを含み、テトラサイクリン耐性とアンピシリン耐性の双方とも損なわれていなかった。細胞を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics Inc.)を用いて4回のホモジナイゼーションによって細胞を破壊した。
【0032】
溶解促進剤MgSOを添加して、約45mM又は30mMの濃度までホモジネートを条件付けした。2容量の水を加え、ホモジネートのpHを、60mMのクエン酸によってpH6.5に調節した。条件付けホモジネートを、65cmの樹脂定着床と195cmの流動層高さのSPストリームライン(Amersham Bioscience, Inc.)を含むEBCカラム(2.5cm直径x210cm高さ)に通した。EBCカラムにはEBCインレットスクリーン(多層式SS316L、100pm、1.8mm厚、2.5cm直径) (Amersham Bioscience, Inc.)が装備された。カラムの流速は200cm/hrであった。
図5は、保存相が異なった量のMgSOで条件付けしたEBCカラム中の2つのホモジネート溶液における樹脂−バイオマス相互作用の差を示した後にトップスクリーンから取った樹脂の写真画像を示す。高濃度のMgSO(45mM)で条件付けしたホモジネートは、より多い樹脂の凝集を示した30mMのMgSOで条件付けしたものより少ない樹脂−バイオマス相互作用を示した。
【0033】
実施例5
タンパク質溶解度に対する溶解促進剤の濃度の効果
抗組織因子抗体(Presta等, 2001,Chromo. Haemost., 85: 379-89)を発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞(株:60H4,遺伝子型:W3110 DfhuA phoADE15 D(argF-lac)169 degP41 deoC Dprc spr DmanA)を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics Inc.)を用いた4回のホモジナイゼーションによって破壊した。様々な濃度のPEI及びMgSOの二種の溶解促進剤を0mM、10mM、20mM、30mM、40mM又は50mMの濃度まで添加することによってホモジネートを条件付けした。溶液のpHを、クエン酸を添加してpH4.0まで調節し、調節した溶液に2容量の水を添加した。ホモジネートを遠心分離して固形物を除去し、上清をポーラス-Gアフィニティーカラム(Perceptives Biosystems)に添加した。低pHバッファーでカラムからタンパク質を溶出させ、定量した。
図6は、各試験試料に対する上清中の抗組織因子抗体タンパク質の濃度を示している。これらの結果は、MgSO又はPEIの溶解促進剤の量が増加すると、より多くのタンパク質が得られることを示している。
【0034】
実施例6
EBC樹脂容量に対する溶解促進剤濃度の効果
Apo2L/TRAIL(Ashkenazi等, 1999, J. Clin. Invest., 104: 155-162)を発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics, Inc.)を用いた4回のホモジナイゼーションによって破壊した。ホモジナイゼーション後、溶解促進剤MgSOを10mM、20mM、又は40mMの濃度まで添加することによってホモジネートを条件化処理した。コントロールホモジネートはMgSOを含んでいないものとした。ついで、ホモジネートのpHを、60mMのクエン酸を添加してpH6.5まで調節し、調節した溶液に2容量の水を添加した。ついで、条件化されたホモジネートを、過剰の条件付けホモジネート下、15mLのコニカルプラスチックスクリューキャップチューブ中で、1mLのEBC樹脂、SPストリームライン(Amersham Bioscience, Inc. )と混合した。
条件付けホモジネート溶液のそれぞれに対する樹脂の容量を決定し、データを図7に示す。溶解促進剤MgSOが存在すると、10mM及び20mMでApo2Lに対して樹脂の容量が増加した。しかし、MgSO濃度が増加しつづけると(40mM)、樹脂容量は減少した。この減少は、MgSO濃度の増加によって溶液の伝導率が増加したためであろう。
【0035】
実施例7
タンパク質純度に対するpHの調節の効果
抗組織因子抗体を発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics, Inc.)を用いた4回のホモジナイゼーションによって破壊した。0.2%のPEIの添加によってホモジネートを条件付けした。100mMの溶解促進剤MgSO、250mMのNaCl、100mMのNaSOを含む様々な塩をまた添加した。溶液のpHを、クエン酸を添加してpH4.0、5.0、6.0又は7.0まで調節し、2容量の水を添加した。ホモジネートを遠心分離し、上清を、クーマシーブルー染色を伴う10%ビス-トリス/MOPS(Novex,Inc.)でのSDS-PAGE分析にかけた。
図8は得られたタンパク質産物を示す電気泳動ゲルである。ゲルは、細胞ホモジネートのpHが7.0から4.0まで減少すると、ホモジネート中に存在する汚染タンパク質(つまり、異種タンパク質抗組織因子抗体以外のタンパク質)の量が減少することを裏付けている。pHが5.0から4.0まで落ちると、大腸菌ホモジネート中で所望される異種タンパク質産物の劇的な増大が見られた。
【0036】
実施例8
タンパク質純度に対するpH調節の効果
抗組織因子抗体を発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics, Inc.)を用いた4回のホモジナイゼーションによって破壊した。0.2%のPEIと100mMのMgSOの2種の溶解促進剤の添加によってホモジネートを条件化処理した。溶液のpHを、クエン酸を添加してpH4.0、5.0、6.0又は7.0まで調節し、2容量の水を添加した。ホモジネートを遠心分離し、上清を、ブラッドフォード染色試薬(Pierce Chemical Co., Rockford, IL)を伴うプロテインGカラム(Perceptive Biosystems, Inc.)を使用したHPLCにかけた。データを以下の表3に示したが、これは、タンパク質が酸性pHで条件付けされたホモジネートから産生されるとタンパク質純度を何倍も増加させることを裏付けている。
【0037】

【0038】
実施例9
溶解促進剤と溶解促進剤を伴わないでPBCを用いたEBCの比較
充填床クロマトグラフィー精製を次のようにして実施した。Apo2L/Trailを発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics, Inc.)を用いた4回のホモジナイゼーションにかけた。ホモジナイゼーション後、2容量の水を添加し、0.3重量%の最終濃度になるようにポリエチレンイミンをまた添加した。ついで、1.0L/分の流量で、ホモジネート溶液を連続ディスクスタック遠心機(Model PX205, Alfa Laval,Inc.)で遠心分離した後、その上清をSPセファロースFFカラム(2.5x20cm) (Amersham Biosciences)で精製した。
EBC精製を次のようにして実施した。Apo2L/Trailを発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics, Inc.)を用いた4回のホモジナイゼーションにかけた。ホモジナイゼーション後、硫酸マグネシウム(MgSO)を30mMの最終濃度になるまで添加し、2容量の水を加え、溶液のpHをpH6.5に調節した。ついで、(2.5x65)cmカラム及び(2.5x14cm)カラム中のSPストリームライン(Amersham Bioscience, Inc.)吸着剤を用いてEBCにかけた。
【0039】
表4は3通りの方法でのApo2L/Trailの回収を比較している。

上で用いたEBCプロトコルはPBCプロトコルと同じ流量(200cm/hr)及び同じ負荷体積(2容量の水)を生じた。従って、総括負荷プロセス時間にロスはなく、4.5時間であった。溶解促進剤としてのMgSOの添加は、pHが7.5から6.5まで減少したときにApo2L/Trailの溶解度を高めるのに役立ち、よって、EBC樹脂容量を増大させた。MgSOは、低密度樹脂の凝集生成がEBC負荷相中に最小化されるようにホモジネート−樹脂相互作用を減少させ、よってタンパク質の回収を向上させた。
【0040】
実施例10
ホモジネート条件付けを伴う流動層クロマトグラフィーと充填床クロマトグラフィーの比較
充填床クロマトグラフィー(PBC)精製を次のようにして実施した。Apo2L/Trailを発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics, Inc.)を用いた4回のホモジナイゼーションにかけた。ホモジナイゼーション後、2容量の水を加え、ポリエチレンイミンを0.3重量%の最終濃度になるまで添加した。ついで、1.0L/分の流量で、連続ディスクスタック遠心機(Model PX205, Alfa Laval, Inc.)で遠心分離した。上清をSPセファロースFFカラム(2.5x20)cm(Amersham Biosciences)で精製した。
流動層クロマトグラフィー(EBC)精製を次のようにして実施した。Apo2L/Trailを発現する導入遺伝子を含む大腸菌細胞を、8000psig、2〜8℃でモデルHC-8000/3Aホモジナイザー(Microfluidics, Inc.)を用いた4回のホモジナイゼーションにかけた。MgSOをホモジネートに添加して30mMのMgSOの最終濃度を得た。溶液のpHをまたpH6.5に調節し、5容量の水を加えた。ついで、(2.5x30)cmカラム及び(2.5x14cm)カラム中のSPストリームライン吸着剤(Amersham Bioscience, Inc.)を用いてEBCにかけた。
【0041】
以下の表5は3通りの方法でのFAB V2(AMD)の回収を比較している。

上で利用したEBCプロトコルではPBCプロトコルのものよりも4倍長い全負荷時間であったが(24時間対6時間)、EBCを用いるとタンパク質の回収が大きく増加した。MgSOはホモジネート-ホモジネート相互作用及びホモジネート-樹脂相互作用の双方を低減する作用をし、EBCプロトコルのプロセスパラメーターを改善した。ホモジナイゼーション(前条件付け)前のpHの調節はまたホモジネート-ホモジネート相互作用を減少させることによってプロセシングを補助し、タンパク質の収量を更に増加させる(データは示さず)。
【0042】
上記の明細書、実施例、データは本発明の組成物の製造及び用途の完全な説明を提供する。本発明の多くの実施態様を、本発明の精神と範囲を逸脱することなく作製することができるので、本発明は添付の特許請求の範囲に基づく。
本明細書は多くの特許及び文献の引用を含む。あらゆる目的のために、完全に記載されているものとして、それぞれを出典明示によりここに取り込む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】EBC中のホモジナイゼーション後及びホモジナイゼーション前条件付けホモジネートに対する時間の関数として背圧(psi)を比較するグラフである。
【図2】ホモジナイゼーション後及びホモジナイゼーション前条件付けホモジネートによるフリットの汚れを比較する写真である。
【図3】遠心分離したホモジナイゼーション後及びホモジナイゼーション前条件付け溶液からのペレットを比較する写真である。
【図4】ホモジナイゼーション後条件付けホモジネート、ホモジナイゼーション前条件付けホモジネート及び4.0〜6.5の範囲のpHのバッファー溶液のEBCに対する流速(cm/hr)のグラフである。
【図5】30mM及び45mMのMgSOのホモジネートとEBC樹脂の間の相互作用の写真である。
【図6】可変濃度のMgSO及びポリエチレンイミンの溶液中のFab'2濃度(mg/mL)のグラフである。
【図7】様々な濃度のMgSOでのApo2Lタンパク質に対する樹脂の容量(gApo2L/L樹脂)の棒グラフである。
【図8】溶解促進剤又は様々な塩の何れかを含む4から7のpHの抗組織因子ホモジネートのSDS-PAGEゲルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腸菌細胞から標的タンパク質を抽出する方法において、
a)異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成し、
b)細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させ、
c)放出されたタンパク質から細胞片を分離して異種標的タンパク質に富んだタンパク質産物を得る方法。
【請求項2】
pHを、約4.0〜約5.0のpHまで低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
pHを、約4.0〜約4.5のpHまで低下させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
pHを4.0以下まで低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記分離が遠心分離である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
タンパク質産物から異種標的タンパク質を精製することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記精製がカラムクロマトグラフィーを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記カラムクロマトグラフィーが流動層クロマトグラフィーである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
大腸菌細胞溶液に少なくとも一の溶解促進剤を添加することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上記少なくとも一の溶解促進剤が、上記pHの低下の前に溶液に添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記少なくとも一の溶解促進剤が、上記pHの低下の前に又はそれと同時に溶液に添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一の溶解促進剤が二価カチオンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
二価カチオンがマグネシウム又はカルシウムである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも一の溶解促進剤がポリエチレンイミン(PEI)である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一の溶解促進剤が二価カチオンとPEIを含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
二価カチオンが約10mMから約150mMの濃度で添加される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
PEIが50w/v%溶液の約0.2から約0.3v/v%の濃度で添加される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
上記分離が流動層クロマトグラフィーを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
破壊された大腸菌細胞の溶液の、バイオマス−バイオマス相互作用、バイオマス−樹脂相互作用、又はその組み合わせを低減させる方法であって、
a)異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成し、
b)細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させることを含み、破壊された細胞溶液の、バイオマス−バイオマス相互作用、バイオマス−樹脂相互作用、又はその組み合わせを、非酸性pHで破壊された細胞溶液と比較して低減させる方法。
【請求項20】
pHを、約4.0〜5.0まで低下させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
pHを、約4.0〜4.5まで低下させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
pHを、4.0以下まで低下させる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
大腸菌細胞溶液に少なくとも一の溶解促進剤を添加することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも一の溶解促進剤が二価カチオンを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
二価カチオンがマグネシウム又はカルシウムである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも一の溶解促進剤がPEIである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも一の溶解促進剤が二価カチオンとPEIを含有する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
二価カチオンが約10mMから約150mMの濃度で添加される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
PEIが50w/v%溶液の約0.2から約0.3v/v%の濃度で添加される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
破壊された大腸菌細胞の溶液中のフロキュレントを改変する方法であって、
a)異種標的タンパク質を発現する大腸菌全細胞を含む溶液のpHを低下させて酸性細胞溶液を形成し、
b)細胞を破壊して酸性溶液中にタンパク質を放出させることを含み、放出されたタンパク質溶液中のフロキュレントの含水量が、非酸性溶液の場合と比較して酸性溶液で細胞が破壊された場合により大である方法。
【請求項31】
pHを、約4.0〜5.0まで低下させる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
pHを、約4.0〜4.5まで低下させる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
pHを、4.0以下まで低下させる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
大腸菌細胞溶液に少なくとも一の溶解促進剤を添加することを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも一の溶解促進剤が二価カチオンを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも一の二価カチオンがマグネシウム又はカルシウムである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも一の溶解促進剤がPEIである、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも一の溶解促進剤が二価カチオンとPEIを含有する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
二価カチオンが約10mMから約150mMの濃度で添加される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
PEIが50w/v%溶液の約0.2から約0.3v/v%の濃度で添加される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
請求項1に記載の方法によって産生されたタンパク質産物。
【請求項42】
請求項19に記載の方法によって産生されたタンパク質産物。
【請求項43】
請求項30に記載の方法によって産生されたタンパク質産物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−111700(P2010−111700A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−8895(P2010−8895)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【分割の表示】特願2004−534717(P2004−534717)の分割
【原出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】