説明

タンパク質アッセイ

【課題】フィブリノゲンの存在下におけるトロンビン活性の測定、またはトロンビンの存在下におけるフィブリノゲン活性の測定のための方法が説明されている。
【解決手段】この方法は、第1反応成分の反応性を可逆的に抑制して、不活性な第1および第2反応成分を有する混合物を生成することと、混合物に、第1反応成分の活性を評価する場合、過剰な第2反応成分を添加するか、第2反応成分の活性を評価する場合、過剰な第1反応成分を添加することと、第1反応成分を可逆的に活性化することと、第1反応成分を、混合物中の第2反応成分および過剰な第2反応成分と反応させるか、または混合物中の第2反応成分および過剰な第1反応成分と反応させることと、乾燥混合物中に元々存在する第1または第2反応成分の活性または機能性を決定することと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本方法は、フィブリノゲン存在下におけるトロンビン活性の測定、または、トロンビン存在下のフィブリノゲンの機能性の測定について説明する。
【0002】
〔発明の背景〕
フィブリノゲンおよびトロンビンは、血管損傷後の止血を達成することに関与する重要なタンパク質であり、凝血形成に必須である。フィブリノゲンおよびトロンビンは、粉末状で、または、非水性懸濁液中で、一般的な凝固反応を開始することなく、組み合わせうる。したがって、水性媒体中で、または、タンパク質が可溶である他の液体環境で、タンパク質が水和されるまでフィブリン塊の形成が妨げられる。粉末状のこれらのタンパク質の混合物は、様々な潜在的な生体医学的応用を有する。生体医学的応用には、局所用止血、組織修復、薬剤送達等が含まれる。加えて、キャリアもしくは基質、または、他の医療機器上に、例えば、止血装置として用いられてもよい産物を形成するために、これらのタンパク質の混合物が粉末状で装填されてもよい。
【0003】
トロンビンの凝固活性は、通常、溶液中のトロンビンを、溶液中の既知量のフィブリノゲンと組み合わせることによって測定される。適当な条件では、2つのタンパク質を組み合わせた後の凝固形成速度は、トロンビンの活性に依存する。未知量のトロンビンを有するサンプルの凝固形成速度を、サンプルの活性を決定するために、トロンビン参照またはトロンビン標準の凝固形成速度と比較する。
【0004】
トロンビン活性は、任意のトロンビン/フィブリノゲン産物の重要な属性であり、その機能性を決定付けるだろう。遊離トロンビンの測定は容易であるが、トロンビンとフィブリノゲンが未反応混和物中にある場合、トロンビン活性の測定は難題であった。なぜならば、トロンビン活性を測定するためには、一般的に、タンパク質の混和物を水和し、可溶化することが必要であり、可溶化したトロンビンとフィブリノゲンとの間のフィブリン凝固形成は、水和時に即座に開始されるためである。更に、トロンビンは即座に形成されたフィブリン塊に特異的に結合し相互作用することが知られているため、トロンビンは、フィブリン塊に結合を形成し、水和溶液中にもはや自由に可溶化せず、トロンビン活性の事後測定に利用できない。それゆえ、水和および凝固形成を経た任意のトロンビン/フィブリノゲン産物についてのトロンビン活性の任意の結果的な測定は、部分的なものでしかなく、それゆえに不正確なものである。
【0005】
更に、タンパク質が未反応混和物中にあり、キャリア、基質、または、医療機器上に装填される場合に、例えば、もしキャリア、基質、または、医療機器が、測定検出システムに対して、物理的、化学的、または、光学的に干渉することによって、タンパク質の活性または機能性の測定に悪影響を及ぼすならば、トロンビン活性を正確に測定するために、基質からタンパク質を除去することが必要かもしれない。キャリア、基質、または、医療機器由来の干渉を克服するためには、結果的に凝固形成を生じ事後測定を妨げる水性条件に、混和物をさらすことなく、タンパク質の除去または抽出を実行しなければならない。
【0006】
フィブリノゲンは、当初Claussが述べた方法によって、最も頻繁に測定される。その方法とは、凝固形成速度に基づいて、フィブリノゲン機能性を測定するものである。一般的なClauss解析では、未知量の可溶性フィブリノゲンを有するサンプルを、過剰トロンビンと組み合わせる。フィブリノゲンとトロンビンとの比率は、フィブリノゲンが律速反応物であり、凝固形成速度がフィブリノゲン濃度の関数であるようなものである。速い凝固時間は、高いフィブリノゲン濃度の指標であるだろう。逆に、より長い凝固時間は、機能性フィブリノゲンの低い濃度を示唆するだろう。サンプルの凝固時間を、標準曲線を確立するための一連の標準の凝固時間と比較することによって、機能性フィブリノゲンの量を定量することができる。標準の凝固時間に由来する方程式に基づいて、サンプルにおけるフィブリノゲンの濃度を数学的に決定することができる。
【0007】
溶液(例えば、ヒト血漿)における遊離フィブリノゲンの測定が、確立された方法により実行されうる一方で、フィブリノゲンがトロンビンの存在下にある場合、フィブリノゲン機能性の評価は難題であった。混和物の水和により、トロンビンを介するフィブリノゲンの不溶性フィブリン塊への変換が、結果的に生ずるだろう。一度フィブリンが生成されると、フィブリノゲンの任意の事後測定はもはや不可能である。なぜならば、フィブリン形成を生ずるフィブリノゲン由来のフィブリノペプチドの放出は、実質的に不可逆的であるからである。
【0008】
それゆえ、フィブリノゲン存在下におけるトロンビンの活性を正確に測定すること、および、トロンビン存在下におけるフィブリノゲンの機能性を測定することに対する必要性が依然存在している。
【0009】
〔発明の概要〕
本願では、第1反応成分および第2反応成分の混和物における、第1反応成分または第2反応成分いずれかの活性または機能性を決定するための方法であって、
(a)第1反応成分の反応性を可逆的に抑制(reversibly inhibiting the first reactive component)して、不活性な第1反応成分および第2反応成分を有する混合物を生成するステップと、
(b)混合物に、第1反応成分の活性を評価する場合、過剰な第2反応成分を添加するか、第2反応成分の活性を評価する場合、過剰な第1反応成分を添加するステップと、
(c)第1反応成分を可逆的に活性化するステップと、
(d)第1反応成分を、混合物中の第2反応成分および過剰な第2反応成分と反応させるか、または、第1反応成分を、混合物中の第2反応成分および過剰な第1反応成分と反応させるステップと、
(e)乾燥混合物中に元々存在する第1反応成分または第2反応成分の活性または機能性を決定するステップと、
を含む方法を説明する。
【0010】
〔発明の詳細な説明〕
以上に論じたように、トロンビンとフィブリノゲンの未反応混和物(例えば、粉末状、または、エタノール懸濁液のような非水性懸濁液)のトロンビン活性を決定するために、タンパク質を再水和する必要があるし、トロンビンとフィブリノゲンについては、トロンビン活性の正確な測定を得るために、水和媒体中で可溶化する必要がある。しかしながら、一度混和物が水和媒体と接触すると、任意の可溶化トロンビンおよびフィブリノゲンはすぐに凝血塊を形成するように反応するだろうし、任意の利用可能なトロンビンは、その凝血塊と結合するだろうし、測定のために自由に利用できないだろう。
【0011】
1つの実施態様では、未反応混和物のトロンビン活性は一時的に抑制されるか、可逆的に抑制される。それにより、トロンビンおよびフィブリノゲンが完全に可溶化されるまで、フィブリン塊形成が妨げられる。トロンビン活性を抑制することにより、即座の凝血塊形成が避けられ、トロンビンは水性の水和媒体中で自由に溶解することができるし、測定に利用可能なままである。
【0012】
トロンビン活性の一時的な、または、可逆的な抑制を、例えば、トロンビンのアルカリ性環境を調整することによって、達成することができる。例えば、このことを、反応抑制性(inhibitory)溶液または不活性化溶液(すなわち、約8.5〜11.5、好ましくは、約9.5〜10.5、より好ましくは約10の範囲のpHを有するアルカリ性溶液)中にトロンビンとフィブリノゲンとの未反応混和物をのばす(reconstituting)、すなわち水和して、第1溶液を形成することによって達成してもよい。表1は、トロンビンの回復した活性に対するpHの効果を示している。不活性化溶液のアルカリ性がpH10の場合に、最大回復したトロンビン活性が観察された。9.5〜10.5のpH範囲内では、最大回復したトロンビン活性の少なくとも80%を達成した。9.5未満または10.5を超えるpH値では、pH値が10からより遠くに離れるにつれ、最大回復したトロンビン活性が減少した。9.25以下のpH値では、凝固形成の証拠が水和中に観察された。このことにより、中性条件に近づくより低いpH値において観察される、減少した最大回復したトロンビン活性が説明されるかもしれない。酸性条件では、例えば、pH4および5では、最大回復したトロンビン活性が、アルカリ条件で見られたものよりも明らかに低かった。このことは、トロンビンの不可逆的な不活性化の指標かもしれない。
【0013】
反応抑制性溶液または不活性化溶液は、アルカリ性溶液であってもよいし、緩衝アルカリ性溶液であってもよい。その溶液には、炭酸塩、トリス塩基、ホウ酸塩、グリシン、リン酸塩、メチルアミン、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、または、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CAPSO)の溶液が含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
一度トロンビンとフィブリノゲンとが、反応抑制性溶液または不活性化溶液に完全に溶解されたら、pHを約8.5〜11.5に、好ましくは、約9.5〜10.5に、より好ましくは、約10に維持しながら、第1溶液またはその一部を、第2溶液(好ましくは過剰量のフィブリノゲンを有する)に含まれる既知量のフィブリノゲンと組み合せて、第3溶液を形成してもよい。トロンビンの活性が凝固形成速度と強く相関することを確実にするためには、混和物中のトロンビンの量が、フィブリン塊形成における律速反応物となるように、過剰なフィブリノゲンが利用される。フィブリノゲンが過剰でない場合、凝固速度は、トロンビンとフィブリノゲンの両方に依存するだろう。
【0015】
その後、トロンビン活性を、例えば、第3溶液のpHを、トロンビン活性がもはや抑制されない範囲(すなわち、約6.0から8.5未満、好ましくは、約7.0から8.5未満、より好ましくは、約7.5)に調整することにより、逆行させてもよい。あるいは、可溶化タンパク質またはその一部を有する不活性化溶液(すなわち、第1溶液)を、第2溶液中の既知量のフィブリノゲンと組み合わせてもよく、好ましくは、過剰量のフィブリノゲンと組み合わせて、第3溶液を形成してもよく、それによりトロンビン活性の抑制を同時に逆行させる。第2溶液の例には、トリス塩酸、イミダゾール、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、リン酸塩、バルビタール、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、クエン酸塩、または、炭酸塩についての緩衝溶液が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
第2溶液の量および緩衝能力は、第1溶液に添加されたときに、約6.0から8.5未満のpH、好ましくは、約7.0から8.5未満のpH、より好ましくは、約7.5のpHを有する第3溶液を生ずるのに十分な量であるべきである。例えば、第1溶液と第2溶液の量の割合は、一般的に、約1:1〜1:20の範囲であり、好ましくは、約1:4〜1:10である。例えば、第2溶液のモル濃度は、約25mM〜500mMトリス塩酸緩衝液であり、好ましくは、約100mM〜150mMトリス塩酸緩衝液である。
【0017】
トロンビン活性を、凝固形成を検出するための機械的終点検出システム(mechanical endpoint detection system)を有する凝固分析機を用いて決定してもよい。その凝固分析機は、例えば、Diagnostica Stago ST4 Coagulation Analyzer、すなわち、フィブリン塊形成のための濁度の変化を測定する機器である。不活性化溶液中の可溶化タンパク質を、これらの機器のうちの1つの機器内で第2溶液と組み合わせてもよいし、既知のトロンビン活性についての凝固時間と相関しうる、凝固までの時間を測定してもよい。
【0018】
トロンビン活性を測定することができる別の方法は、トロンビンについての色素生産性または蛍光発生性ペプチド基質を用いることである。この方法では、可溶化トロンビンを、過剰な色素生産性または蛍光発生性基質と組み合わせる。トロンビンは基質を切断し、分光光度計または蛍光光度計で観察されうる発色団または蛍光団を放出するだろう。色素生産性または蛍光発生性基質の例には、それぞれ、β−アラニン−グリシン−アルギニン−p−ニトロアニリド二酢酸塩、および、Z−グリシン−プロリン−アルギニン−AMC(Z:ベンジルオキシカルボニル、AMC:7−アミノ−4−メチルクマリン)が含まれる。放出された発色団または蛍光団の割合は、トロンビンの活性と相関しうる。
【0019】
別の実施態様において、トロンビンを有する未反応混和物中のフィブリノゲンの機能性が、トロンビンのアルカリ性環境を調整することによりトロンビン活性を抑制することによって、測定されてもよい。例えば、このことは、反応抑制性溶液または不活性化溶液、すなわち、約8.5〜11.5の範囲、好ましくは、約9.5〜10.5、より好ましくは、約10のpHを有するアルカリ性溶液中に、トロンビンおよびフィブリノゲンの混和物をのばす、すなわち水和して、第1溶液を形成することによって、達成されてもよい。反応抑制性溶液または不活性化溶液は、アルカリ性溶液であってもよいし、緩衝アルカリ性溶液であってもよい。その溶液には、炭酸塩、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)塩基、ホウ酸塩、グリシン、リン酸塩、メチルアミン、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、または、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CAPSO)が含まれるが、これらに限定されない。付加的に、または、選択的に、最大のトロンビン活性抑制を達成するために、ビバリルジン[アンジオマックス(Angiomax)]などのトロンビン阻害剤を、反応抑制性溶液もしくは不活性化溶液、または、第1溶液に加えて、それにより、フィブリノゲンの大部分が、事後試験のために可溶化されてもよい。トロンビン阻害剤の他の例には、アンチトロンビン、ヘパリン、低分子ヘパリン、低分子ヘパリン類似体、アルガトロバン、メラガトラン、エフェガトラン(efegatran)、イノガトラン(inogatran)、ダビガトラン(dabigatran)、ヒルダン(hirudan)、および、ヒルダン誘導体[例えば、レピルジン(Lepirudin)、デシルジン(Desirudin)]が含まれる。
【0020】
一度トロンビン活性が抑制されたら、pHを約8.5〜11.5に、好ましくは、約9.5〜10.5に、より好ましくは、約10に維持しながら、第1溶液またはその一部を、第2溶液(好ましくは、過剰量のトロンビンを有する)に含まれる既知量のトロンビンと組み合わせて、第3溶液を形成することによって、フィブリノゲンの機能性を決定することができる。フィブリノゲンの濃度が凝固形成速度と強く相関することを確実にするためには、混和物中のフィブリノゲンの量が、フィブリン塊形成における律速反応物となるように、過剰なトロンビンが利用される。トロンビンが過剰でない場合、凝固速度は、トロンビンとフィブリノゲンの両方に依存するだろう。
【0021】
その後、トロンビン活性を、例えば、第3溶液のpHを、トロンビン活性がもはや抑制されない範囲(すなわち、約6.0から8.5未満、好ましくは、約7.0から8.5未満、より好ましくは、約7.5)に調整することにより、逆行させてもよい。あるいは、可溶化タンパク質またはその一部を有する不活性化溶液(すなわち、第1溶液)を、第2溶液中の既知量のトロンビンと組み合わせてもよく、好ましくは、過剰量のトロンビンと組み合わせて、第3溶液を形成してもよく、それによってトロンビン活性の抑制を同時に逆行させる。第2溶液の例には、トリス塩酸、イミダゾール、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、リン酸塩、バルビタール、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、クエン酸塩、または、約7.5のpHの炭酸塩についての緩衝溶液が含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
フィブリノゲンの機能性を、凝固形成を検出するための機械的終点検出システムを有する凝固分析機を用いて決定してもよい。その凝固分析機は、例えば、Diagnostica Stago ST4 Coagulation Analyzer、すなわち、フィブリン塊形成のための濁度の変化を測定する機器である。不活性化溶液中の可溶化タンパク質を、これらの機器のうちの1つの機器内で第2溶液と組み合わせてもよいし、既知のフィブリノゲン機能性についての凝固時間と相関しうる、凝固までの時間を測定してもよい。
【0023】
あるいは、ビバリルジン(アンジオマックス)のようなトロンビン阻害剤を用いて、トロンビン活性を抑制することによって、フィブリノゲン機能性を決定してもよい。選択的に、トロンビンのアルカリ性環境を、トロンビン阻害剤の使用との組み合わせにおいて調整してもよい。トロンビン阻害剤の他の例には、アンチトロンビン、ヘパリン、低分子ヘパリン、低分子ヘパリン類似体、アルガトロバン、メラガトラン、エフェガトラン、イノガトラン、ダビガトラン、ヒルダン、および、ヒルダン誘導体(例えば、レピルジン、デシルジン)が含まれる。一度トロンビン活性が抑制されたら、フィブリノゲン上で機能して凝固塊を形成することはできるが、トロンビン阻害剤によっては影響されない、トロンビン様酵素を用いることによって、フィブリノゲン機能性を決定してもよい。トロンビン様酵素の例には、バトロキソビン(Batroxobin)(南アメリカのマムシ科の毒蛇Bothrops atroxの毒液に由来)、および、アンクロッド(Ancrod)(Calloselasma rhodostomaの毒液に由来)が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
タンパク質が未反応混和物中にあり、キャリア、基質、または、医療機器上に装填される事象では、例えば、混和物は粉末状であってもよく、タンパク質は乾燥しているか、乾燥させられており、再水和および可溶化に先行したタンパク質の除去を、非水性液体を用いてタンパク質を抽出することによって、実行してもよい。その非水性液体には、これらに限定されないが、ペルフルオロ炭化水素[例えば、HFE-7000、HFE7001、HFE7003、HFE-7300、およびPF-5060(Minnesotaの3Mから市販)]が含まれ、タンパク質が溶解しない任意の他のキャリア液(例えば、アルコール類、エーテル類、または、他の有機液体)を用いてもよい。非水性溶媒を用いて一度タンパク質を抽出すると、上記で説明したように、トロンビン活性またはフィブリノゲン機能性を測定してもよい。
【0025】
あるいは、キャリア、基質、または、医療機器上にタンパク質を装填する場合、トロンビン活性またはフィブリノゲン機能性を、タンパク質を除去することなく、上記で説明したように決定してもよい。例えば、タンパク質を有するキャリア、基質、または、医療機器を、上記で説明したように、トロンビン活性またはフィブリノゲン機能性について試験するためにサンプル収集することができる反応抑制性溶液または不活性化溶液中に直接に入れることによって、タンパク質を水和してもよい。
【0026】
〔実施の態様〕
(1)第1反応成分および第2反応成分の未反応混和物における、前記第1反応成分または前記第2反応成分のいずれかの、活性または機能性を決定するための方法において、
(a)前記第1反応成分の反応性を可逆的に抑制して、不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物に、前記第1反応成分の活性を評価する場合、既知量の前記第2反応成分を添加するか、または、前記第2反応成分の活性を評価する場合、既知量の前記第1反応成分を添加するステップと、
(c)前記第1反応成分を可逆的に活性化するステップと、
(d)前記第1反応成分を、前記混和物中に元々存在する前記第2反応成分、および、前記既知量の前記第2反応成分と反応させるか、または、前記第1反応成分を、前記混和物中に元々存在する前記第2反応成分、および、前記既知量の前記第1反応成分と反応させるステップと、
(e)前記混和物中に元々存在する第1反応成分または第2反応成分の、活性または機能性を決定するステップと、
を含む、方法。
(2)実施態様1に記載の方法において、
前記第1反応成分がトロンビンであり、前記第2反応成分がフィブリノゲンである、方法。
(3)実施態様2に記載の方法において、
前記トロンビンが、組換え体であるか、または、動物もしくはヒト材料に由来し、前記フィブリノゲンが、組換え体であるか、または、動物もしくはヒト材料に由来する、方法。
(4)実施態様2に記載の方法において、
ステップ(b)および(c)が同時に実施される、方法。
(5)実施態様4に記載の方法において、
前記混和物が粉末状であり、
前記第1反応成分の反応性を可逆的に抑制する前記ステップが、8.5〜11.5の範囲のpHを有する反応抑制性溶液すなわち第1溶液中に、前記第1反応成分および前記第2反応成分の前記混和物をのばすことを含む、方法。
【0027】
(6)実施態様5に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液が、9.5〜10.5のpHを有する、方法。
(7)実施態様6に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液が、約10のpHを有する、方法。
(8)実施態様5に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液が、炭酸塩、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)塩基、ホウ酸塩、グリシン、リン酸塩、メチルアミン、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、または、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CAPSO)から成る群から選択される少なくとも1つの成分のアルカリ性溶液を含む、方法。
(9)実施態様8に記載の方法において、
前記既知量の前記第2反応成分が、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約6.0〜8.5未満に下げることのできる第2溶液中にある、方法。
(10)実施態様9に記載の方法において、
前記既知量の前記第2反応成分が、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約7.0〜8.5未満に下げることのできる第2溶液中にある、方法。
【0028】
(11)実施態様10に記載の方法において、
前記既知量の前記第2反応成分が、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約7.5まで下げることのできる第2溶液中にある、方法。
(12)実施態様9に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを下げることのできる前記第2溶液が、トリス塩酸、イミダゾール、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、リン酸塩、バルビタール、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、クエン酸塩、または、炭酸塩から成る群から選択される少なくとも1つの成分の溶液である、方法。
(13)実施態様12に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを下げることのできる前記第2溶液が、25mM〜500mMトリス塩酸緩衝液を含む、方法。
(14)実施態様13に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを下げることのできる前記第2溶液が、100mM〜150mMトリス塩酸緩衝液を含む、方法。
(15)実施態様9に記載の方法において、
ステップ(b)において、前記既知の過剰量の前記第2反応成分が、不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液に添加される、方法。
【0029】
(16)実施態様2に記載の方法において、
ステップ(b)が、8.5〜11.5の範囲のpHを有する第3溶液を形成するように、既知量の前記第2反応成分を有する第2溶液を、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液に添加することを含む、方法。
(17)実施態様16に記載の方法において、
前記第1反応成分を可逆的に活性化するステップ(c)が、前記第3溶液のpHを約6.0〜8.5に調整することを含む、方法。
(18)実施態様9に記載の方法において、
前記混和物中に元々存在する前記第1反応成分または前記第2反応成分の、活性または機能性が、凝固時間を測定する動的凝固分析(kinetic clotting assay)によって決定され、
前記凝固時間が、前記第1活性成分または第2活性成分の、既知の活性または機能性と相関する、方法。
(19)実施態様18に記載の方法において、
前記第1活性成分または第2活性成分の活性または機能性が、活性単位または機能性数量に変換される、方法。
(20)実施態様9に記載の方法において、
前記混和物中に元々存在する前記第1反応成分または第2反応成分の、活性または機能性が、濁度測定(turbidimetry)、比濁法(nephelometry)、粘度測定(viscometry)、または、機械的終点分析法を用いて決定される、方法。
【0030】
(21)実施態様2に記載の方法において、
前記第1反応成分および前記第2反応成分の前記混和物が、粉末状で、基質上にあり、
ステップ(b)が、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分の前記混和物を有する前記基質を、既知量の前記第2反応成分を有する第2溶液中に入れることによって、実行される、方法。
(22)実施態様2に記載の方法において、
前記第1反応成分および前記第2反応成分の前記混和物が、非水性懸濁液である、方法。
(23)実施態様22に記載の方法において、
前記非水性懸濁液が、アルコールと、トロンビンと、フィブリノゲンとを含む、方法。
(24)実施態様23に記載の方法において、
前記アルコールが、エタノールである、方法。
(25)トロンビンおよびフィブリノゲンの未反応混和物中における、フィブリノゲンの機能性を決定するための方法において、
(a)8.5〜11.5の範囲のpHを有する反応抑制性溶液すなわち第1溶液中に、前記トロンビンおよび前記フィブリノゲンの前記混和物をのばすことによって、前記トロンビンの反応性を抑制して、不活性なトロンビンおよびフィブリノゲンを有する混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物に、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約6.0〜8.5未満に下げることのできる、第2溶液中に含まれる既知量のトロンビンを添加するステップと、
(c)前記トロンビンを、前記フィブリノゲンと反応させるステップと、
(d)前記混和物中に元々存在するフィブリノゲンの機能性を決定するステップと、
を含む、方法。
【0031】
(26)実施態様25に記載の方法において、
前記第1反応成分の反応性を抑制する前記ステップが、トロンビン阻害剤を添加することを更に含む、方法。
(27)実施態様26に記載の方法において、
前記トロンビン阻害剤が、アンチトロンビン、ヘパリン、低分子ヘパリン、低分子ヘパリン類似体、フォンダパリヌクス、アルガトロバン、メラガトラン、エフェガトラン、イノガトラン、ダビガトラン、ビバリルジン、ヒルダン、ならびに、レピルジンおよびデシルジンのようなヒルダン誘導体から成る群から選択される、方法。
(28)トロンビンおよびフィブリノゲンの未反応混和物中における、フィブリノゲンの機能性を決定する方法において、
(a)8.5〜11.5の範囲のpHを有する反応抑制性溶液すなわち第1溶液中に、前記トロンビンおよび前記フィブリノゲンの前記混和物をのばすことによって、前記トロンビンの反応性を抑制して、不活性なトロンビンおよびフィブリノゲンを有する混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物に既知量のトロンビン様酵素を添加し、任意で、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約6.0〜8.5未満に下げるステップと、
(c)前記トロンビン様酵素を、前記フィブリノゲンと反応させるステップと、
(d)前記混和物中に元々存在するフィブリノゲンの機能性を決定するステップと、
を含む、方法。
(29)実施態様28に記載の方法において、
前記第1反応成分の反応性を抑制する前記ステップが、トロンビン阻害剤を添加することを更に含む、方法。
(30)実施態様28に記載の方法において、
前記トロンビン阻害剤が、アンチトロンビン、ヘパリン、低分子ヘパリン、低分子ヘパリン類似体、フォンダパリヌクス、アルガトロバン、メラガトラン、エフェガトラン、イノガトラン、ダビガトラン、ビバリルジン、ヒルダン、ならびに、レピルジンおよびデシルジンのようなヒルダン誘導体から成る群から選択される、方法。
【0032】
(31)実施態様28に記載の方法において、
前記トロンビン様酵素が、バトロキソビン、または、アンクロッドである、方法。
(32)トロンビンおよびフィブリノゲンの未反応混和物における、トロンビンの活性を決定するための方法において、
(a)8.5〜11.5の範囲のpHを有する反応抑制性溶液すなわち第1溶液中に、前記トロンビンおよび前記フィブリノゲンの前記混和物をのばすことによって、前記トロンビンの反応性を可逆的に抑制して、不活性なトロンビンおよびフィブリノゲンを有する混合物を生成するステップと、
(b)前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを、約6.0〜8.5未満に下げることができる第2溶液を添加するステップと、
(c)前記フィブリノゲンを、前記トロンビンと反応させるステップと、
(d)凝固塊形成を評価するステップと、
を含む、方法。
(33)トロンビンおよびフィブリノゲンの未反応混和物における、トロンビンの活性を決定するための方法において、
(a)前記トロンビンの反応性を可逆的に抑制して、不活性なトロンビンおよびフィブリノゲンを有する混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物に、既知量の色素生産性または蛍光発生性のトロンビン基質を添加するステップと、
(c)前記トロンビンを可逆的に活性化するステップと、
(d)前記トロンビンを、前記色素生産性または蛍光発生性のトロンビン基質と反応させるステップと、
(e)前記混和物中に元々存在する前記トロンビンの活性を決定するステップと、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】回復したトロンビン活性に対する不活性化溶液のpH値の影響を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反応成分および第2反応成分の未反応混和物における、前記第1反応成分または前記第2反応成分のいずれかの、活性または機能性を決定するための方法において、
(a)前記第1反応成分の反応性を可逆的に抑制して、不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物に、前記第1反応成分の活性を評価する場合、既知量の前記第2反応成分を添加するか、または、前記第2反応成分の活性を評価する場合、既知量の前記第1反応成分を添加するステップと、
(c)前記第1反応成分を可逆的に活性化するステップと、
(d)前記第1反応成分を、前記混和物中に元々存在する前記第2反応成分、および、前記既知量の前記第2反応成分と反応させるか、または、前記第1反応成分を、前記混和物中に元々存在する前記第2反応成分、および、前記既知量の前記第1反応成分と反応させるステップと、
(e)前記混和物中に元々存在する第1反応成分または第2反応成分の、活性または機能性を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記第1反応成分がトロンビンであり、前記第2反応成分がフィブリノゲンである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記トロンビンが、組換え体であるか、または、動物もしくはヒト材料に由来し、前記フィブリノゲンが、組換え体であるか、または、動物もしくはヒト材料に由来する、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
ステップ(b)および(c)が同時に実施される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記混和物が粉末状であり、
前記第1反応成分の反応性を可逆的に抑制する前記ステップが、8.5〜11.5の範囲のpHを有する反応抑制性溶液すなわち第1溶液中に、前記第1反応成分および前記第2反応成分の前記混和物をのばすことを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液が、9.5〜10.5のpHを有する、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液が、約10のpHを有する、方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液が、炭酸塩、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)塩基、ホウ酸塩、グリシン、リン酸塩、メチルアミン、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、または、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CAPSO)から成る群から選択される少なくとも1つの成分のアルカリ性溶液を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記既知量の前記第2反応成分が、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約6.0〜8.5未満に下げることのできる第2溶液中にある、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記既知量の前記第2反応成分が、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約7.0〜8.5未満に下げることのできる第2溶液中にある、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記既知量の前記第2反応成分が、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約7.5まで下げることのできる第2溶液中にある、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを下げることのできる前記第2溶液が、トリス塩酸、イミダゾール、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、リン酸塩、バルビタール、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、クエン酸塩、または、炭酸塩から成る群から選択される少なくとも1つの成分の溶液である、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを下げることのできる前記第2溶液が、25mM〜500mMトリス塩酸緩衝液を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを下げることのできる前記第2溶液が、100mM〜150mMトリス塩酸緩衝液を含む、方法。
【請求項15】
請求項9に記載の方法において、
ステップ(b)において、前記既知の過剰量の前記第2反応成分が、不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液に添加される、方法。
【請求項16】
請求項2に記載の方法において、
ステップ(b)が、8.5〜11.5の範囲のpHを有する第3溶液を形成するように、既知量の前記第2反応成分を有する第2溶液を、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液に添加することを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記第1反応成分を可逆的に活性化するステップ(c)が、前記第3溶液のpHを約6.0〜8.5に調整することを含む、方法。
【請求項18】
請求項9に記載の方法において、
前記混和物中に元々存在する前記第1反応成分または前記第2反応成分の、活性または機能性が、凝固時間を測定する動的凝固分析によって決定され、
前記凝固時間が、前記第1活性成分または第2活性成分の、既知の活性または機能性と相関する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記第1活性成分または第2活性成分の活性または機能性が、活性単位または機能性数量に変換される、方法。
【請求項20】
請求項9に記載の方法において、
前記混和物中に元々存在する前記第1反応成分または第2反応成分の、活性または機能性が、濁度測定、比濁法、粘度測定、または、機械的終点分析法を用いて決定される、方法。
【請求項21】
請求項2に記載の方法において、
前記第1反応成分および前記第2反応成分の前記混和物が、粉末状で、基質上にあり、
ステップ(b)が、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分の前記混和物を有する前記基質を、既知量の前記第2反応成分を有する第2溶液中に入れることによって、実行される、方法。
【請求項22】
請求項2に記載の方法において、
前記第1反応成分および前記第2反応成分の前記混和物が、非水性懸濁液である、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記非水性懸濁液が、アルコールと、トロンビンと、フィブリノゲンとを含む、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、
前記アルコールが、エタノールである、方法。
【請求項25】
トロンビンおよびフィブリノゲンの未反応混和物中における、フィブリノゲンの機能性を決定するための方法において、
(a)8.5〜11.5の範囲のpHを有する反応抑制性溶液すなわち第1溶液中に、前記トロンビンおよび前記フィブリノゲンの前記混和物をのばすことによって、前記トロンビンの反応性を抑制して、不活性なトロンビンおよびフィブリノゲンを有する混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物に、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約6.0〜8.5未満に下げることのできる、第2溶液中に含まれる既知量のトロンビンを添加するステップと、
(c)前記トロンビンを、前記フィブリノゲンと反応させるステップと、
(d)前記混和物中に元々存在するフィブリノゲンの機能性を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
前記第1反応成分の反応性を抑制する前記ステップが、トロンビン阻害剤を添加することを更に含む、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
前記トロンビン阻害剤が、アンチトロンビン、ヘパリン、低分子ヘパリン、低分子ヘパリン類似体、フォンダパリヌクス、アルガトロバン、メラガトラン、エフェガトラン、イノガトラン、ダビガトラン、ビバリルジン、ヒルダン、ならびに、レピルジンおよびデシルジンのようなヒルダン誘導体から成る群から選択される、方法。
【請求項28】
トロンビンおよびフィブリノゲンの未反応混和物中における、フィブリノゲンの機能性を決定する方法において、
(a)8.5〜11.5の範囲のpHを有する反応抑制性溶液すなわち第1溶液中に、前記トロンビンおよび前記フィブリノゲンの前記混和物をのばすことによって、前記トロンビンの反応性を抑制して、不活性なトロンビンおよびフィブリノゲンを有する混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物に既知量のトロンビン様酵素を添加し、任意で、前記不活性な第1反応成分および前記第2反応成分を有する前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを約6.0〜8.5未満に下げるステップと、
(c)前記トロンビン様酵素を、前記フィブリノゲンと反応させるステップと、
(d)前記混和物中に元々存在するフィブリノゲンの機能性を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記第1反応成分の反応性を抑制する前記ステップが、トロンビン阻害剤を添加することを更に含む、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法において、
前記トロンビン阻害剤が、アンチトロンビン、ヘパリン、低分子ヘパリン、低分子ヘパリン類似体、フォンダパリヌクス、アルガトロバン、メラガトラン、エフェガトラン、イノガトラン、ダビガトラン、ビバリルジン、ヒルダン、ならびに、レピルジンおよびデシルジンのようなヒルダン誘導体から成る群から選択される、方法。
【請求項31】
請求項28に記載の方法において、
前記トロンビン様酵素が、バトロキソビン、または、アンクロッドである、方法。
【請求項32】
トロンビンおよびフィブリノゲンの未反応混和物における、トロンビンの活性を決定するための方法において、
(a)8.5〜11.5の範囲のpHを有する反応抑制性溶液すなわち第1溶液中に、前記トロンビンおよび前記フィブリノゲンの前記混和物をのばすことによって、前記トロンビンの反応性を可逆的に抑制して、不活性なトロンビンおよびフィブリノゲンを有する混合物を生成するステップと、
(b)前記反応抑制性溶液すなわち第1溶液のpHを、約6.0〜8.5未満に下げることができる第2溶液を添加するステップと、
(c)前記フィブリノゲンを、前記トロンビンと反応させるステップと、
(d)凝固塊形成を評価するステップと、
を含む、方法。
【請求項33】
トロンビンおよびフィブリノゲンの未反応混和物における、トロンビンの活性を決定するための方法において、
(a)前記トロンビンの反応性を可逆的に抑制して、不活性なトロンビンおよびフィブリノゲンを有する混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物に、既知量の色素生産性または蛍光発生性のトロンビン基質を添加するステップと、
(c)前記トロンビンを可逆的に活性化するステップと、
(d)前記トロンビンを、前記色素生産性または蛍光発生性のトロンビン基質と反応させるステップと、
(e)前記混和物中に元々存在する前記トロンビンの活性を決定するステップと、
を含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−523461(P2011−523461A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510473(P2011−510473)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/064514
【国際公開番号】WO2009/142638
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【出願人】(508326596)オムリックス・バイオファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Omrix Biopharmaceuticals, Inc.
【住所又は居所原語表記】Suite 2322, 1 Rockefeller Center, New York, NY 10020, United States of America
【Fターム(参考)】