説明

タンパク質スクリーニング法

本発明は、所望の特徴を有するポリペプチドをインビトロで特定するために有用な方法および組成物を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年7月25日出願の米国仮出願第61/083813号、2008年8月19日出願の米国仮出願第61/090111号、および2009年4月16日出願の米国仮出願第61/170029号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイおよび選択の技術の使用において、さらなる多様性へのアクセスは、最大の親和性、特異性、安定性、および/または他の望ましい特徴を有する分子のより効果的な選択を可能にすることが十分理解されている。
【0003】
開発されてきた過去の方法は、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、CISディスプレイ、およびmRNAディスプレイを含む。近年、インビボスクリーニングを使用して分子を特定することへの関心が増大してきている(J Control Release.2003 Aug 28;91(1−2):183−6(非特許出願1))。このアプローチは、ファージディスプレイを使用して可能となっているが、ファージディスプレイ技術によって得られる多様性は限られているという問題がある。リボソームディスプレイまたはmRNAディスプレイは、RNA種の不安定性により、この用途では不十分である。したがって、種の安定の増大に起因して、DNA−タンパク質融合の開発が強く求められている。
【0004】
3種類のDNA−タンパク質融合が説明されている。CISディスプレイは、転写および翻訳される際にDNAに共有結合するdsDNA結合タンパク質を生成するために、連動したインビトロ転写/翻訳が使用される、1つの方法である(PNAS,101(9):2806−2810(非特許出願2))。しかしながら、この技術の主な制限のうちの1つは、転写/翻訳過程中に、合成タンパク質が隣接する任意の近隣DNAに結合し、誤って標識された融合をもたらし得ることである。第2の方法は、KurzおよびLohseの方法である(Chembiochem.2001 Sep 3;2(9):666−72(非特許出願3))。この方法は、翻訳されたタンパク質と共有結合し、RNA上の共有結合付加体においてリボソーム一時停止を作成し、かつ逆転写のためのプライマーとしての機能を果たすことができる、多官能性種を使用した、mRNAとの共有結合付加体の形成を伴う。この方法の制限は、ソラレンを使用したRNAとの共有結合工程の非効率性である。第3の方法は、Yonezawaらの方法である(Nucleic Acids Res.2003 October 1;31(19):e118(非特許出願4))。この方法では、ストレプトアビジンおよび多様なペプチドの領域をコードするDNAがビオチン化され、翻訳機構を有する合成ミクロスフェアに配置され、ストレプトアビジン(四量体)がビオチン化DNAに結合するように翻訳される。この方法の制限は、結果として生じた種が四量体であり、1つの粒子上に複数の結合種(再結合効果)があることにより、親和性選択にとって面倒となり得ることである。
【0005】
本明細書では、核酸とタンパク質との間で非共有結合を採用し得、DNA−タンパク質融合を可能にする、所望の核酸タンパク質融合の簡単で効率的な生成方法を説明する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J Control Release.2003 Aug 28;91(1−2):183−6
【非特許文献2】PNAS,101(9):2806−2810
【非特許文献3】KurzおよびLohse,Chembiochem.2001 Sep 3;2(9):666−72
【非特許文献4】Yonezawaら,Nucleic Acids Res.2003 October 1;31(19):e118
【発明の概要】
【0007】
本発明は、タンパク質および核酸の所望の特性を選択し、かつ発展させる、組成物および方法を提供する。種々の実施形態では、本発明は、核酸または修飾核酸に結合される小分子を含む。他の実施形態は、修飾アミノ酸を有するペプチドを含むポリペプチドを産生するための方法と、所望の特性を有する集団のうちの個別構成要素の選択を可能にするための分析法と、改善した特性を有するポリペプチドの新規変異型を生成するための方法とを含む。
【0008】
一態様では、本発明は、
(a)ポリペプチドコード配列を含む、第1の核酸分子と、
(b)第1の核酸分子によってコードされるポリペプチドと、
(c)第1の核酸分子の一部分に相補的である核酸配列を含む、第2の核酸分子と
を含み、第1の核酸分子は、相補的核酸塩基対合を介して第2の核酸分子に結合され、第2の核酸分子は、前記ポリペプチドに非共有結合される、ヘテロ二官能性複合体を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、このヘテロ二官能性複合体はさらに、
(a)第2の核酸分子に共有結合される高親和性リガンドと、
(b)ペプチド受容体に結合されるリガンド受容体と
を含み、前記高親和性リガンドは、前記リガンド受容体に結合され、前記ペプチド受容体は、前記ポリペプチドに共有結合される。いくつかの実施形態では、このヘテロ二官能性複合体はさらに、第2の高親和性リガンドを含み、第2の高親和性リガンドは、前記ペプチド受容体に共有結合され、第2の高親和性リガンドは、前記リガンド受容体に結合される。いくつかの実施形態では、このヘテロ二官能性複合体内のペプチド受容体は、リンカーを介して第2の高親和性リガンドに結合される。1つの好ましい実施形態では、リンカーは、ポリエチレングリコールを含む。別の好ましい実施形態では、リンカーはさらに、ポリシアル酸リンカーを含む。いくつかの実施形態では、このヘテロ二官能性複合体内のリガンド受容体は、ペプチド受容体に共有結合される。
【0010】
いくつかの実施形態では、このヘテロ二官能性複合体はさらに、
(a)第2の核酸分子に共有結合されるリガンド受容体と、
(b)ペプチド受容体に結合される高親和性リガンドと
を含み、前記リガンド受容体は、前記高親和性リガンドに結合され、前記ペプチド受容体は、前記ポリペプチドのC末端に共有結合される。
【0011】
他の実施形態では、このヘテロ二官能性複合体はさらに、第2の核酸分子の一部分に相補的である核酸配列を含む、第3の核酸分子を含み、第3の核酸分子は、相補的核酸塩基対合を介して第2の核酸分子に結合され、第3の核酸分子は、前記ペプチド受容体に共有結合され、前記ペプチド受容体は、前記ポリペプチドに共有結合される。
【0012】
いくつかの実施形態では、上で説明される複合体内の第2の核酸分子は、分岐核酸分子である。いくつかの実施形態では、上で説明される複合体内の第2の核酸分子は、第1の核酸分子の逆転写のためのプライマーの役割を果たすことができる。
【0013】
別の態様では、本発明は、
(a)第1の高親和性リガンドに共有結合される、ポリペプチドコード配列を含む核酸分子と、
(b)前記核酸分子によってコードされるポリペプチドと、
(c)ペプチド受容体に結合されるリガンド受容体と
を含み、前記高親和性リガンドは、前記リガンド受容体に結合され、前記ペプチド受容体は、前記ポリペプチドのC末端に共有結合される、
Xディスプレイ複合体(例えば、核酸ポリペプチド複合体)を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、このXディスプレイ複合体内のリガンド受容体は、前記ペプチド受容体に共有結合される。いくつかの実施形態では、このXディスプレイ複合体はさらに、第2の高親和性リガンドを含み、第2の高親和性リガンドは、前記ペプチド受容体に共有結合され、第2の高親和性リガンドは、前記リガンド受容体に結合される。
【0015】
別の態様では、本発明は、
(a)第1の高親和性リガンドに共有結合される、ポリペプチドコード配列を含む核酸分子と、
(b)第2の高親和性リガンドに共有結合される第1のリガンド受容体と、
(c)第1の核酸分子によってコードされるポリペプチドと
を含み、前記ポリペプチドは、第2のリガンド受容体を含み、第1の高親和性リガンドは、第1のリガンド受容体に結合され、第2の高親和性リガンドは、第2のリガンド受容体に結合される、
Xディスプレイ複合体を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、上で説明される複合体に結合される第1または第2の高親和性リガンドは、ビオチンである。
【0017】
いくつかの実施形態では、上で説明される複合体に結合される第1または第2の高親和性リガンドは、FK506、メトトレキサート、PPI−2458、ビオチン、ヒルジン、ZFVp(O)F、フルオレセイン−ビオチン、ABD(アルブミン結合ドメイン)、18bp DNA、RNAse A、クロロアルカン、アリール(ベータ−アミノエチル)ケトン、およびプロテインAを含む群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、上で説明される複合体内の第1または第2のリガンド受容体は、FKBP12、ジヒドロ葉酸還元酵素、メチオニンアミノペプチダーゼ、二量体ストレプトアビジン、ストレプトアビジン四量体、トロンビン、カルボキシペプチダーゼ、一価抗体、HSA(アルブミン)、Znフィンガー、hRI(RNaseインヒビター)、突然変異ハロアルカン脱ハロゲン酵素、haloTag、およびソルターゼを含む群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、上で説明される複合体内の第1または第2のリガンド受容体は、ストレプトアビジンである。
【0020】
いくつかの実施形態では、上で説明されるポリペプチドは、抗体、VHドメイン、VLドメイン、Fab断片、一本鎖抗体、ナノボディ(nanobody)、ユニボディ(unibody)、アドネクチン(adnectin)、アフィボディ(affibody)、DARPin、アンチカリン(anticalin)、アビマー(avimer)、10Fn3ドメイン、およびバーサボディ(versabody)を含む群から選択される。
【0021】
別の態様では、本発明は、
(a)リガンドに共有結合される、ポリペプチドコード配列を含む核酸分子と、
(b)第1の核酸分子によってコードされるポリペプチドと
を含み、前記ポリペプチドは、リガンド受容体を含み、前記リガンドは、該リガンド受容体に結合される、Xディスプレイ複合体を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、Xディスプレイ複合体に結合されるリガンドは、FK506であり、核酸−ポリペプチド複合体内のリガンド受容体は、FKBPのFK506結合ドメインである。
【0023】
いくつかの実施形態では、上で説明される複合体に結合される第1の核酸分子は、ssRNA、ssDNA、ssDNA/RNAハイブリッドdsDNA、およびdsDNA/RNAハイブリッドから成る群より選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、上で説明される複合体に結合される第1の核酸分子のポリペプチドコード配列は、インフレームの停止コドンを含有しない。
【0025】
いくつかの実施形態では、上で説明されるポリペプチドは、結合タンパク質である。1つの好ましい実施形態では、結合タンパク質は、抗体のVHドメインまたはVLドメインである。
【0026】
いくつかの実施形態では、上で説明される核酸−ポリペプチド複合体は、リボソームを含有しない。
【0027】
別の態様では、本発明はまた、上で説明される複数のXディスプレイ複合体を含むライブラリも提供し、複合体の少なくとも一部分は、異なるポリペプチドコード配列を含有する。
【0028】
別の態様では、本発明はまた、核酸−ポリペプチド複合体のライブラリの方法であって、
−第1の核酸リンカーと相補的である配列エレメントを含むmRNA配列のライブラリを提供する工程と、
−第1の核酸リンカーが相補的核酸塩基対合を介してmRNAに結合するように、第1の高親和性リガンドに機能的に結合した第1の核酸リンカーを提供する工程と、
−ペプチド受容体に機能的に結合した第2の高親和性リガンドを提供する工程と、
−少なくとも2つの結合部位を有する前記リガンド受容体を提供する、または、少なくとも、前記リガンド受容体が第1の高親和性リガンドおよび第2の高親和性リガンドに結合するように提供する工程と、
−翻訳されたタンパク質にペプチド受容体が結合し、それによってmRNAをタンパク質に結合する核酸−ポリペプチド複合体が形成されるように、mRNAの翻訳が起こるのを可能にする工程と
を含む、方法も提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、
−DNA/RNAハイブリッドが形成されるように、Xディスプレイ複合体内の第1の核酸リンカーをプライマーとして使用して、mRNAの逆転写を可能にすることを含む。
【0030】
1つの好ましい実施形態では、本方法はさらに、
−mRNAを分解し、かつ相補的DNA鎖を合成して、それにより、核酸−ポリペプチド複合体内にDNA/DNAハイブリッドを形成することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、ライブラリの中のmRNAはさらに、TMVエンハンサーを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ライブラリの中のmRNAはさらに、Cμ配列を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、ライブラリの中のmRNAはさらに、FLAGタグを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、ライブラリの中のmRNAはさらに、SAディスプレイ配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ライブラリの中のmRNAはさらに、A20末端を含む。
【0036】
別の態様では、本発明はまた、本発明で説明される方法によって産生される、核酸−ポリペプチド複合体のライブラリも提供する。
【0037】
別の態様では、本発明はまた、関心対象の抗原に結合することができるポリペプチドをコードする、単離核酸分子を選択する方法であって、
(a)本発明で説明されるXディスプレイ複合体のライブラリを提供する工程と、
(b)前記ライブラリを関心対象の抗原と接触させる工程と、
(c)前記ライブラリから、関心対象の抗原に結合する少なくとも1つのXディスプレイ複合体を選択する工程と、
(d)選択されたXディスプレイ複合体のポリペプチドコード配列を単離する工程と
を含む、方法も提供する。
【0038】
別の態様では、本発明はまた、コードされたポリペプチドが産生されるように、本発明で説明される方法によって特定されたポリペプチドコード配列を、発現環境に導入することを含む、関心対象の抗原に結合することができるポリペプチドを産生する方法も提供する。
【0039】
別の態様では、本発明はまた、本発明で説明される方法によって選択された、関心対象の抗原に結合することができるポリペプチドをコードする、単離核酸分子も提供する。
【0040】
別の態様では、本発明はまた、
(a)ポリペプチドコード配列を含む、第1の核酸分子と、
(b)第1の核酸分子によってコードされるポリペプチドと、
(c)第1の核酸分子の一部分に相補的である核酸配列を含む、第2の核酸分子と、
(d)第2の核酸分子に共有結合される第1の高親和性リガンドと、
(e)第1のリガンド受容体と、
(f)1つ以上の結合分子を介してペプチド受容体に共有結合される、第2の高親和性リガンドと
を含み、第1の核酸分子は、相補的核酸塩基対合を介して第2の核酸分子に結合され、
第1の高親和性リガンドは、第1の結合部位においてリガンド受容体に非共有結合され、
第2のリガンドは、第2の結合部位においてリガンド受容体に非共有結合され、かつ
1つ以上の結合分子は、ポリエチレングリコール分子である、
Xディスプレイ複合体も提供する。
【0041】
いくつかの実施形態では、この複合体内の第1の高親和性リガンドは、ビオチンであり、リガンド受容体は、ストレプトアビジン、二量体ストレプトアビジン、および四量体ストレプトアビジンを含む群より選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、この複合体内の第2の高親和性リガンドは、ビオチンであり、リガンド受容体は、ストレプトアビジン、二量体ストレプトアビジン、および四量体ストレプトアビジンを含む群より選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、この複合体内の第1または第2の高親和性リガンドは、FK506、メトトレキサート、PPI−2458、ビオチン、ヒルジン、ZFVp(O)F、フルオレセイン−ビオチン、ABD(アルブミン結合ドメイン)、18bp DNA、RNAse A、クロロアルカン、アリール(ベータ−アミノエチル)ケトン、およびプロテインAを含む群から選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、この複合体はさらに、第2のリガンド受容体を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、上で説明される複合体内の第2のリガンド受容体は、FKBP12、ジヒドロ葉酸還元酵素、メチオニンアミノペプチダーゼ、二量体ストレプトアビジン、ストレプトアビジン四量体、トロンビン、カルボキシペプチダーゼ、一価抗体、HSA(アルブミン)、Znフィンガー、hRI(RNaseインヒビター)、突然変異ハロアルカン脱ハロゲン酵素、haloTag、およびソルターゼを含む群から選択される。
【0046】
いくつかの実施形態では、この複合体内のペプチド受容体は、ピューロマイシンである。
【0047】
いくつかの実施形態では、この複合体内の第1または第2の核酸分子はさらに、ソラレンを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体、VHドメイン、VLドメイン、Fab断片、一本鎖抗体、ナノボディ(nanobody)、ユニボディ(unibody)、アドネクチン(adnectin)、アフィボディ(affibody)、DARPin、アンチカリン(anticalin)、アビマー(avimer)、10Fn3ドメイン、およびバーサボディを含む群から選択される。
【0049】
別の態様では、本発明は、
(a)核酸分子に共有結合される第1の高親和性リガンドと、
(b)ペプチド受容体に共有結合される第2の高親和性リガンドと、
(c)2つ以上のリガンド結合部位を含む、リガンド受容体と
を含み、第1および第2のリガンドは、異なるリガンド結合部位において前記リガンド受容体に結合される、ヘテロ二官能性複合体を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、この複合体内の第1および第2の高親和性リガンドは、同一である。
【0051】
いくつかの実施形態では、この複合体内の第1および第2の高親和性リガンドは、ビオチンである。
【0052】
いくつかの実施形態では、この複合体内の核酸分子は、ソラレン部分を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、この複合体内のペプチド受容体は、ピューロマイシンである。
【0054】
いくつかの実施形態では、この複合体内のリガンド受容体は、多量体タンパク質である。
【0055】
いくつかの実施形態では、この複合体内のリガンド受容体は、ストレプトアビジンである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本明細書で説明される方法の一実施形態を図示する。
【図2】cDNAを都合良くプライミングし、反対末端上のピューロマイシンまたは誘導体または小分子を運ぶことができる、2つの3’末端を有する逆極性プライマーである、先進プライマーを使用した、同実施形態を図示する。
【図3】ステムループ変種であり、cDNAを折り畳み、都合良くプライミングすることができる、先進プライマーを使用した、同実施形態を図示する。
【図4】抗体重鎖可変領域の構造/機能を改善または進化させるために採用されている方法の一実施形態を図示し、ポリペプチドは、核酸結合FK506小分子に非共有結合することができるFK12BPタンパク質に融合され、それにより、改善(進化)した表現型(ポリペプチド)を、それをコードする遺伝子型(核酸)と結合する。
【図5】分岐オリゴヌクレオチドリンカー、および共有結合したペプチド受容体を含む相補的オリゴヌクレオチドを使用した、インビトロディスプレイの方法の一実施形態を図示する。
【図6】ペプチド受容体に共有結合された分岐オリゴヌクレオチドリンカーを使用した、インビトロディスプレイの方法の一実施形態を図示する。
【図7】高親和性リガンドおよびリガンド受容体を使用した、インビトロディスプレイの方法の一実施形態を図示する。
【図8】高親和性リガンドおよびリガンド受容体を使用した、インビトロディスプレイの方法の一実施形態を図示し、リガンド受容体は、ペプチド受容体に共有結合されている。
【図9】高親和性リガンドおよびリガンド受容体を使用した、インビトロディスプレイの方法の一実施形態を図示し、リガンド受容体は、ペプチド受容体に非共有結合されている。
【図10】高親和性リガンドおよびリガンド受容体を使用した、インビトロディスプレイの方法の一実施形態を図示し、第1のリガンド受容体分子は、第2の(同族でない)高親和性リガンドに共有結合され、第1のリガンド受容体分子は、核酸に共有結合された同族の第1の高親和性リガンドに結合することができ、第2の高親和性リガンドは、核酸によってコードされるポリペプチドに融合された、同族の第2のリガンド受容体に結合することができる。
【図11】高親和性リガンドおよびリガンド受容体を使用した、インビトロディスプレイの方法の一実施形態で使用される、個々の成分の非限定的な例を図示する。
【図12】高親和性リガンドおよびリガンド受容体を使用した、インビトロディスプレイの方法の一実施形態に対する、核酸/タンパク質複合体の非限定的なアセンブリ順を図示する。
【図13】好ましいXディスプレイ複合体の設計を図示する。
【図14】VHライブラリをプライミングし、ディスプレイ複合体をアセンブリし、ディスプレイ複合体を選択し、そして精製するための、例示的スキームを図示する。
【図15】VHライブラリ用の単一クローンの実例を図示する。説明図は、転写および翻訳開始配列、VH配列、Cu配列、FLAGタグ配列、リンカー(例えば、NAリンカー)と相補的であるDNAセグメントを示す。
【図16】図16A〜Bは、ディスプレイ方法の好ましい実施形態の工程を図示する。図16Aは、まず、相補的鎖対合およびソラレン結合を介してリンカー/RTプライマー(NAリンカー)に付着される、mRNA分子(適切なリンカー、タグ、相補領域、およびポリA末端を含有する)を含むXディスプレイ複合体を描写する。NAリンカーはさらに、ストレプトアビジン分子に結合するビオチン(B)分子に共有結合される。ストレプトアビジンは、翻訳されたタンパク質に付着されているピューロマイシンにそれ自体が共有結合される、第2のビオチン分子に結合する。図16Aは、逆転写(工程1)およびRNA分解(工程2)を描写する。図16Bは、DNA/RNAハイブリッドを作成する、第2の鎖合成(工程4)を描写する。16Bの最後の図は、最後のdsDNA Xディスプレイ複合体(すなわち、Xディスプレイ複合体)である。
【図17】潜在的なライブラリ構成要素と、いくつかの実施形態において、どのようにプライマーが454配列決定法とともに採用され得るかを描写する。
【図18】VHライブラリ構成要素の例示的セグメントを描写する。
【図19】ディスプレイライブラリ構成要素の例示的セグメントを描写し、さらに、プライマーからの末端配列をディスプレイする(図17参照)。
【図20】ディスプレイライブラリ構成要素の例示的セグメントを描写し、さらに、プライマーからのTMV UTRおよびC−mu領域を提供する。
【図21】配列決定のために選択されたクローンを増幅するためのプライマーの可能な配置を描写する。
【図22】選択を通したライブラリからの本発明の一実施形態の進展を図示し、1回で選択された核酸/タンパク質が、後続の複数回のXディスプレイ複合体形成および選択用のライブラリを生成するために使用され得るように、本方法が繰りされてもよいことを図示する。
【図23】本発明の一実施形態を図示し、それにより、ライブラリを再生成することなく、または選択生成物を増幅することなく、数回の選択が採用される。
【図24】mRNAからのVHおよびVLライブラリ設計の1つの方法を図示する。
【図25】選択方法の1つの例示的実施形態を図示し、親和性選択で使用される標的分子は、固体支持体上で固定化される。
【図26】選択方法の1つの例示的実施形態を図示し、親和性選択で使用される標的分子は、細胞表面上で発現される。そのような実施形態では、ディスプレイ複合体は、(例えば、細胞に結合するが関心対象の標的には結合しない複合体を除去するために)複合体を発現しない細胞に対して選択され、次いで、(例えば、特定のバインダーを特定するように)関心対象の標的を発現する細胞に対して選択される。
【図27】DNA Xディスプレイ複合体(すなわち、DNAタンパク質融合体)を図示し、ソース標識が、(例えば、コードDNAのソースを特定するように)核酸に組み込まれており、一定のソースコード化が、異なる複数回の選択からの核酸を標識化するために使用されている(例えば、1回の配列決定の実行のための異なる複数回の選択からの核酸をプールする時に有用である)。
【図28】DNA Xディスプレイ複合体(すなわち、DNA−タンパク質融合体)、およびN6プライマーの追加を図示する。
【図29】配列分析スキームの一実施形態を示すフローチャートを描写する。
【図30】mRNA転写、精製、および架橋結合の過程の例示的結果を図示する。
【図31】mRNA転写、精製、およびストレプトアビジンのローディングの過程の例示的結果を図示する。
【図32】RNaseH処理および溶出の過程の後の例示的結果を図示する。
【図33】RNaseH処理および溶出の過程の後の例示的結果を図示する。
【図34】RT−PCRおよび第2鎖合成の過程の後の例示的結果を図示する。
【図35】複数回の選択を1回の配列決定の実行にプールすることを可能にするために、ライブラリ設計で使用され得る、プール標識法を図示する。
【図36】VHライブラリのプライミングのための例示的ドナー細胞を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、タンパク質および核酸の所望の特性を選択し、進化させる組成物および方法を提供する。本方法は、本明細書では「Xディスプレイ」と呼ばれ、ストレプトアビジンを用いたいくつかの実施形態では、「SAディスプレイ」と呼ばれうる。種々の実施形態では、本発明は、核酸または修飾核酸に結合される、小分子を含む。他の実施形態は、修飾アミノ酸を有するペプチドを含む、ポリペプチドを産生するための方法と、所望の特性を有する集団のうちの個別構成要素の選択を可能にするための分析と、改善した特性を有するポリペプチドの新規変異型を生成するための方法とを含む。
【0058】
「選択」とは、集団の中で他の分子から1つの分子を実質的に区分化することを意味する。本明細書で用いられる、「選択」工程は、該選択工程に従って、集団の中の望ましくない分子と比較して、所望の分子の少なくとも2倍、いくつかの実施形態では、3倍、5倍、10倍、20倍、好ましくは30倍、より好ましくは100倍、最も好ましくは1000倍の濃縮を提供する。選択工程は、任意の回数で繰り返されてもよく、異なる種類の選択工程が、所与のアプローチで組み合わせられてもよい。
【0059】
「タンパク質」は、1つ以上のペプチド結合によって連結された任意の2つ以上の天然または修飾アミノ酸を意味する。「タンパク質」および「ペプチド」は、本明細書では同義に使用される。
【0060】
「RNA」は、2つ以上の共有結合された、天然または修飾リボヌクレオチドの配列を意味する。この用語に含まれる修飾RNAの一例は、ホスホロチオエートRNAである。
【0061】
「DNA」は、2つ以上の共有結合された、天然または修飾デオキシリボヌクレオチドの配列を意味する。
【0062】
「核酸」は、任意の2つ以上の共有結合された、ヌクレオチドまたはヌクレオチドの類似体もしくは誘導体を意味する。本明細書で使用されるこの用語は、限定するものではないが、DNA、RNA、およびPNAを含む。「核酸」という用語は、修飾核酸を含み得、したがって、核酸および修飾核酸は、同義に使用され得る。
【0063】
本明細書で使用される「ヌクレオチド類似体」または「ヌクレオチド誘導体」または「修飾核酸」という用語は、5−プロピニルピリミジン(すなわち、5−プロピニル−dTTPおよび5−プロピニル−dTCP)、7−デアザプリン(すなわち、7−デアザ−dATPおよび7−デアザ−dGTP)等の、修飾または非天然ヌクレオチドを指す。ヌクレオチド類似体は、塩基類似体を含み、デオキシリボヌクレオチドならびにリボヌクレオチドの修飾形態を含む。
【0064】
「ペプチド受容体」は、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼ機能の触媒活性によって、成長タンパク質鎖のC末端に付加されることが可能な任意の分子を意味する。典型的には、そのような分子は、(i)ヌクレオチドまたはヌクレオチド様部分(例えば、アデノシンまたはアデノシン類似体(N−6アミノ位置におけるジメチル化が許容可能である))、(ii)アミノ酸またはアミノ酸様部分、例えば、20種のD−またはL−アミノ酸のうちのいずれか、あるいはその任意のアミノ酸類似体(例えば、O−メチルチロシン、またはEllman et al.,Meth.Enzymol.202:301,1991によって説明されている類似体のうちのいずれか)、および(iii)それらの2つの間の結合(例えば、3’位置、または、あまり好ましくないが2’位置における、エステル、アミド、またはケトン結合)を含有し、好ましくは、この結合は、天然リボヌクレオチド立体構造由来の環の襞(pucker)を有意に乱さない。ペプチド受容体はまた、限定するものではないが、アミノ基、ヒドロキシル基、またはスルフヒドリル基であり得る求核物質を保有してもよい。加えて、ペプチド受容体は、ヌクレオチド模倣体、アミノ酸模倣体、または組み合わされたヌクレオチド−アミノ酸構造の模倣体から成ってもよい。
【0065】
本明細書で使用される「Xディスプレイ複合体」、「核酸−ポリペプチド複合体」、および「核酸−タンパク質融合体」という用語は、同義で使用でき、核酸と該核酸によってコードされるタンパク質(またはペプチドあるいはその断片)との相互作用から直接または間接的に形成される複合体を指すように意図される。場合によっては、Xディスプレイ複合体は、「ディスプレイ複合体」または「ディスプレイ融合体」と呼ばれてもよく、当業者であれば、そのような使用の文脈によって、本明細書で参照され得る他の種類のディスプレイシステムと混同されるべきではないことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、核酸は、RNA、例えば、mRNAである。他の好ましい実施形態では、核酸は、DNAまたはcDNAである。したがって、DNAを含有する複合体をディスプレイすることが目標であるいくつかの実施形態では、Xディスプレイ複合体は、「DNA-タンパク質融合体」または「DNAディスプレイ融合体」と呼ばれてもよい。「融合体」という用語の使用は、核酸がペプチドまたはタンパク質に共有結合されることを暗示または示唆するものではないことに留意することが重要である。いくつかの実施形態では、RNAまたはDNAは、修飾または改変されてもよい。好ましい実施形態では、核酸とタンパク質との間の相互作用は、非共有結合的である(例えば、該相互作用は、ビオチン/ストレプトアビジン相互作用、リンカー分子、および本明細書で説明されるような同等物によって仲介され得る)。好ましい実施形態では、核酸は、mRNAまたは修飾mRNAである。
【0066】
「機能改変」は、分子の機能の任意の定性的または定量的変化を意味する。
【0067】
本明細書で使用される「結合パートナー」は、所望のDNA−タンパク質融合体の一部分に対する特異的な、共有的な、または非共有的な親和性を有する、任意の分子を意味する。結合パートナーの例は、限定するものではないが、抗原/抗体の対、タンパク質/阻害物質の対、受容体/リガンドの対(例えば、ホルモン受容体/ペプチドホルモンの対などの細胞表面受容体/リガンドの対)、酵素/基質の対(例えば、キナーゼ/基質の対)、レクチン/炭水化物の対、オリゴマーまたはヘテロオリゴマータンパク質凝集体、DNA結合タンパク質/DNA結合部位の対、RNA/タンパク質の対の構成要素、および核酸2本鎖、ヘテロ2本鎖、またはライゲーション鎖、ならびに、Xディスプレイ複合体の任意の部分との1つ以上の共有または非共有結合(例えば、ジスルフィド結合)を形成することが可能な任意の分子を含む。
【0068】
「固体支持体」は、限定するものではないが、直接または間接的に(例えば、他の抗体またはプロテインA等の他の結合パートナー中間体を介して)親和性複合体が結合され得る、または(例えば、受容体またはチャネルを介して)親和性複合体が埋め込まれ得る、任意のカラム(またはカラム材料)、ビーズ、試験管、マイクロタイター皿、固体粒子(例えば、アガロースまたはセファロース)、マイクロチップ(例えば、シリコン、シリコンガラス、または金のチップ)、または膜(例えば、リポソームまたは小胞の膜)を意味する。
【0069】
Xディスプレイ複合体を仲介するための核酸または修飾核酸リンカー
本発明の一様態では、核酸の3’末端においてハイブリダイズされる核酸または修飾核酸リンカー(「NAリンカー」)の使用によって、翻訳の終わりに、核酸(例えば、天然mRNAまたは修飾mRNA)が、そのコードされたタンパク質に付着され得る。そのような実施形態では、NAリンカーは、2つの3’末端を効果的に有するように該リンカーにおける逆極性を有し、そのうちの非ハイブリダイズ末端は、ピューロマイシンまたは関連類似体、あるいは高親和性でポリペプチドタンパク質に共有または非共有結合することが可能な小分子に付着している。したがって、いくつかの実施形態では、Xディスプレイ複合体は、NAリンカーによるタンパク質および核酸の相互作用によって形成される。
【0070】
いくつかの実施形態では、NAリンカーは、ソラレンリンカーである。いくつかの好ましい実施形態では、リンカーは、XB−PBIである。いくつかの実施形態では、XB−DDBを使用することができる。いくつかの好ましい実施形態では、リンカー(例えば、PBIリンカーまたはDDBリンカー)は、高親和性リガンド(例えば、ビオチン)に付着され、すなわち、リンカーは、高親和性リガンドを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、核酸(例えば、天然mRNAまたは修飾mRNA)は、NAリンカーに架橋結合され、それは、ペプチド受容体または高親和性リガンドにさらに付着される。そのような架橋結合は、当技術分野で知られている任意の方法によって達成することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6416950号は、そのような架橋結合を行う方法を説明している(例えば、米国特許第6416950号の図9−13を参照)。
【0072】
さらなる実施形態では、本発明は、核酸、例えば、mRNAまたは修飾mRNAテンプレートにハイブリダイズできるように、リンカー中に逆の5’−3’極性を有する二重機能NAリンカーを含み、ハイブリダイズは、コード化領域外のmRNAの3’末端の一方で起こり、核酸/修飾リンカーは、その他方の3’末端上に、ピューロマイシンまたはその機能的類似体(例えば、ピラゾロピリミジンであるが、それに限定されない)、あるいは、ポリペプチドタンパク質に高親和性結合または共有結合することができる小分子等のペプチド受容体を持つ。
【0073】
いくつかの実施形態では、核酸、好ましくはmRNAまたは修飾mRNAは、3’末端においてNAリンカーにハイブリダイズされ、それ自体が、共有結合を介して、または高親和性非共有結合によって、ポリペプチド(または修飾ポリペプチド)に、共有結合または高親和性結合される。
【0074】
さらなる実施形態では、NAリンカーは、mRNAを逆転写するプライマーとしての機能を果たすことができる。
【0075】
付加的な実施形態は、ピューロマイシンまたは関連する類似体あるいは小分子をその3’末端上に持つNAリンカーにステムループ構造を介して結合する能力に加えて、コードする核酸のテンプレート上で重合のためのプライマーとしての機能を果たすことができるように、その「5’末端」(重合を指図するための3’極性を効果的に有するので、引用符で囲まれている)において逆極性核酸部分を持つNAリンカーに機能的に結合した、コードする核酸を含む(図2および3参照)。
【0076】
いくつかの実施形態では、コードする核酸は、分岐NAリンカーに機能的に結合され、NAリンカーの一部分は、コードする核酸の3’末端と相補性を有する(図5参照)。分岐NAリンカーを生成する、当技術分野で認識されている任意の手段が意図されている。分岐点は、NAリンカー内の任意の場所で発生することができる。そのような分岐NAリンカーはまた、それらが結合される、コードする核酸、例えば、mRNAの逆転写のためのプライマーとしての機能を果たすこともできる。
【0077】
いくつかの実施形態では、コードする核酸は、分岐NAリンカーに機能的に結合され、リンカーは、ペプチド受容体に共有結合される(図6参照)。
【0078】
いくつかの実施形態では、NAリンカーは、ロックされた核酸(LNA)、例えば、リボヌクレオシドが2’−酸素原子と4’−炭素原子との間でメチレン単位と結合される、二環式核酸を含む。特定の実施形態では、コードする核酸と相補的であるNAリンカーの領域は、少なくとも部分的に核酸2本鎖の安定性を増加させるように、LNAを含む(Kaur et al.(2006).Biochemistry 45(23):7347−55を参照)。
【0079】
リガンド/受容体結合
別の態様では、Xディスプレイ複合体(例えば、コードする核酸およびコードされたポリペプチド)は、高親和性リガンドとその同種結合パートナー(リガンド受容体)との高親和性結合または共有結合を介して形成される。そのような実施形態では、核酸は、高親和性リガンドに共有または非共有結合され得、それは次いで、リガンド受容体に非共有または共有結合する。好ましい実施形態では、相互作用は非共有結合的である。いくつかの実施形態では、リガンド受容体はさらに、第2の高親和性リガンドと会合し、それは次いで、ペプチド受容体に結合される。
【0080】
高親和性リガンド/リガンド受容体の対の非限定的な例は、FK506/FKBP12、メトトレキサート/ジヒドロ葉酸還元酵素、およびPPI−2458/メチオニンアミノペプチダーゼ2を含むが、それらに限定されない。リガンド/リガンド受容体の対のさらなる非限定的な例を、表1に示す。いくつかの実施形態では、リガンド/リガンド受容体の対は、ビオチン/ストレプトアビジンである。単量体ストレプトアビジン、二量体ストレプトアビジン、四量体ストレプトアビジン、およびそれらの化学修飾または遺伝子修飾変異体を含むがそれらに限定されない、任意の形態のストレプトアビジンが、本発明の方法での使用で考慮される。いくつかの実施形態では、リガンド受容体は、四量体ストレプトアビジンである。特定の実施形態では、四量体ストレプトアビジンは、安定性を増加させるように化学的に架橋結合される。
【0081】
(表1)高親和性リガンド/リガンド受容体の対の非限定的な例

【0082】
いくつかの実施形態では、高親和性リガンドが、核酸(リガンド/核酸分子)に共有結合される。高親和性リガンドを核酸に結合させる、当技術分野で認識されている任意の方法が意図される。一実施形態では、高親和性リガンドは、mRNA分子の3’末端に共有結合される。
【0083】
いくつかの実施形態では、高親和性リガンド受容体分子が、ペプチド受容体に共有結合され、それは次いでリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ活性によって、翻訳されたタンパク質に共有結合することができる(図8参照)。ペプチド受容体への高親和性リガンド受容体の結合は、直接的、またはリンカー分子を介したものとなり得る。当技術分野で認識されている任意のリンカー分子が、本発明の方法で使用するために意図される。一実施形態では、高親和性リガンド受容体は、ポリエチレングリコールリンカー分子を使用して、ペプチド受容体に結合される。
【0084】
いくつかの実施形態では、高親和性リガンドが、ペプチド受容体に共有結合され、それは次いでリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ活性によって、翻訳されたタンパク質に共有結合することができる(図9参照)。いくつかの好ましい実施形態では、そのようなリガンド/ペプチド受容体分子は、多量体リガンド受容体、例えば、四量体ストレプトアビジンを介して、リガンド/核酸分子に非共有結合することができる。ペプチド受容体への高親和性リガンド受容体の共有結合は、直接的、またはリンカー分子を介したものとなり得る。当技術分野で認識されている任意のリンカーが、本発明の方法で使用するために意図される。特定の実施形態では、高親和性リガンドは、ポリエチレングリコールリンカー分子を使用して、ペプチド受容体に結合される。
【0085】
いくつかの実施形態では、リガンド受容体分子が、核酸によってコードされるポリペプチドに融合される(図4および10参照)。そのような融合は、化学架橋剤を使用して化学的に、または遺伝的に、行うことができる。リガンド受容体分子は、任意の領域において、コードされたポリペプチドに融合することができる。特定の実施形態では、リガンド受容体分子は、コードされたポリペプチドのN末端領域に遺伝的に融合される。
【0086】
いくつかの実施形態では、第1のリガンド受容体分子が、第2の(同族でない)高親和性リガンドに共有結合される。そのような実施形態では、第1のリガンド受容体分子は、核酸に共有結合される、同族の第1の高親和性リガンドに結合してもよい。第2の高親和性リガンドは、核酸によってコードされるポリペプチドに融合される、同族の第2のリガンド受容体に結合してもよい。
【0087】
好ましい実施形態では、リガンド受容体分子、好ましくは、多価リガンド受容体(例えば、多価ストレプトアビジン)が、第1の高親和性リガンド(例えば、ビオチン)に非共有結合し、それが、mRNA分子に相補的である核酸に共有結合される。多価リガンド受容体はまた、第2の高親和性リガンド(例えば、ビオチン)にも非共有結合し、それが、ペプチド受容体(例えば、ピューロマイシン)に共有結合される。第2の高親和性リガンドは、直接、またはリンカー(以下で説明されるように、例えば、ポリエチレングリコール)を介して、ペプチド受容体に接続されてもよい。好ましい実施形態では、第1の高親和性リガンドに付着される核酸は、mRNAの3’末端と相補的である。核酸(例えば、NAリンカーの中の核酸)は、少なくとも、Xディスプレイ複合体の、タンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA)に安定して結合するのに十分な長さがあるべきである。いくつかの実施形態では、第1の高親和性リガンドに付着される核酸は、15から100ヌクレオチド長、15から80ヌクレオチド長、15から50ヌクレオチド長、5から40ヌクレオチド長、15から30ヌクレオチド長、15から20ヌクレオチド長、10から20ヌクレオチド長、または15から18ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1の高親和性リガンドに付着される核酸は、15ヌクレオチド長、18ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、70ヌクレオチド長、80ヌクレオチド長、または87ヌクレオチド長である。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態は、mRNAまたは修飾mRNA、ピューロマイシンまたは類似体あるいは小分子に機能的に結合されるNAリンカー、およびmRNAによってコードされるポリペプチドを安定して結合して、結合されたmRNA−ポリペプチド複合体を形成する方法を含む。
【0089】
好ましい実施形態では、NAリンカーは、mRNA−ポリペプチド複合体上の核酸の第2鎖を重合して、ポリペプチドに結合された核酸2本鎖を形成するために、プライマーとして使用される。好ましい実施形態では、この重合は、DNA(または修飾DNA)ハイブリッドを形成する逆転写である。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態は、複数の異なるXディスプレイ複合体を含み、所望の結合特徴を有するリガンドを提供し、複合体をリガンドと接触させ、非結合複合体を除去し、およびリガンドに結合された複合体を回収する方法を含む。
【0091】
本発明のいくつかの方法は、核酸分子および/またはタンパク質の進化を伴う。一実施形態では、本発明は、回収された複合体の核酸成分を増幅することと、核酸の配列に変異を導入することとを含む。他の実施形態では、本方法はさらに、増幅および変異された核酸からポリペプチドを翻訳することと、核酸/修飾リンカーを使用して、それらをともに結合することと、結合複合体の別の新規集団を選択するように、それらをリガンドと接触させることとを含む。本発明のいくつかの実施形態は、インビトロでの進化の過程、特に、選択されたmRNAが変異を伴って複製され、翻訳され、選択のために同種タンパク質に再び接続される、反復過程において、選択されたタンパク質−mRNA複合体を使用する。
【0092】
リンカー部分
いくつかの実施形態では、本発明は、1つ以上のリンカー部分(上で説明されるNAリンカーとは別)を採用する。いくつかの実施形態では、リンカー部分は、核酸をペプチド受容体に接続するために用いることができる。他の実施形態では、リンカー部分は、高親和性リガンド(例えば、ビオチン)またはリガンド受容体(例えば、ストレプトアビジン)をペプチド受容体に接続するために使用することができる。別の実施形態では、リンカー部分は、核酸を高親和性リガンドに接続するために使用することができる。本明細書で使用される、「リンカー部分」という用語は、1つ以上のリンカー部分またはサブユニットを含んでもよい。
【0093】
いくつかの好ましい実施形態では、リンカー部分は、ポリ(アルキレンオキシド)部分であり、それは、ポリエーテル骨格を有する化合物の属である。本発明で用いられるポリ(アルキレンオキシド)種は、例えば、直鎖および分岐鎖種を含んでもよい。例えば、ポリ(エチレングリコール)は、反復するエチレンオキシドサブユニットから成るポリ(アルキレンオキシド)であり、いずれか一方の末端において付加的な反応部分、活性化可能部分、または不活性部分を含んでも含まなくてもよい。ヘテロ二官能性である直鎖ポリ(アルキレンオキシド)種の誘導体も、当技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、リンカー部分は、5から50のサブユニットのポリ(アルキレンオキシド)、10から30のサブユニットのポリ(アルキレンオキシド)、10から20単位のポリ(アルキレンオキシド)、15から20単位のポリ(アルキレンオキシド)、または、いくつかの実施形態では18のサブユニットのポリ(アルキレンオキシド)から成り得る。当業者であれば、Xディスプレイ複合体を形成することが依然として可能である限り、任意の数のリンカー部分を使用してもよいことを理解するであろう。
【0094】
ポリ(エチレングリコール)リンカーは、ポリ(エチレングリコール)(「PEG」)骨格またはメトキシ−PEG(「mPEG」)骨格を有する部分であり、PEGおよびmPEG誘導体を含む。多種多様のPEGおよびmPEG誘導体が、当技術分野で知られており、市販されている。例えば、Nektar,Inc.(Huntsville,Ala.)は、求核反応基、カルボキシル反応基、求電子的活性化基(例えば、活性エステル、炭酸ニトロフェニル、イソシアン酸塩等)、スルフヒドリル選択基(例えば、マレイミド)、およびヘテロ官能基(PEGまたはmPEGの両端に2つの反応基を有する)、ビオチン基、ビニル反応基、シラン基、リン脂質基、および同等物を随意で有する、リンカーまたは修飾基として有用なPEGおよびmPEG化合物を提供する。
【0095】
他の実施形態では、リンカー部分は、核酸、または当技術分野で認識される任意の他のリンカーであってもよい。例えば、ポリシアル酸(PSA)およびPSA誘導体を用いることができる(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,846,951号、米国特許公報第US20080262209号、PCT出願WO2005/016973およびWO−A−01879221を参照)。
【0096】
好ましいペプチド受容体はピューロマイシンであるが、ピューロマイシンと同様に作用する他の化合物が使用されてもよい。タンパク質受容体に対する他の可能な選択肢は、ピラゾロピリミジンまたは関連する任意の誘導体、およびtRNA様構造、ならびに当技術分野で知られている他の化合物を含む。そのような化合物は、限定されないが、アミノ酸ヌクレオチド、フェニルアラニル−アデノシン(A−Phe)、チロシルアデノシン(A−Tyr)、およびアラニルアデノシン(A−Ala)等の、アデニンまたはアデニン様化合物に結合されたアミノ酸を保有する任意の化合物、ならびに、フェニルアラニル3’デオキシ3’アミノアデノシン、アラニル3’デオキシ3’アミノアデノシン、およびチロシル3’デオキシ3’アミノアデノシン等のアミド結合構造を含み、これらの化合物のうちのいずれも、天然L−アミノ酸またはそれらの類似体のうちのいずれもが利用され得る。加えて、複合tRNA様3’構造−ピューロマイシンコンジュゲートも、本発明で使用されてもよい。
【0097】
翻訳系
本発明のいくつかの実施形態は、終結因子を有さないインビトロ翻訳系においてmRNAが翻訳される好ましい方法を利用する。それにより、リボソームは、停止コドンにおいて失速し、ピューロマイシンまたは類似体あるいは小分子がポリペプチドタンパク質に共有結合または高親和性結合することを可能にする。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの終結因子の機能が終結因子阻害物質によって阻害されるインビトロ翻訳系において翻訳される。好適な阻害物質は、抗終結因子抗体を含むが、それらに限定されない。
【0099】
本方法は、好ましくはインビトロ翻訳系を使用して実行されるので、修飾アミノ酸を翻訳機構に組み込んで、化学的修飾を有するポリペプチドを作成できることが、当技術分野で知られている。
【0100】
網状赤血球溶血系、小麦胚芽抽出系、または他の好適なインビトロ転写系等の、種々のインビトロ翻訳系が使用されてもよい。1つの好ましい実施形態では、PURESystem(cosmobio.co.jp/export_e/products/proteins/products_PGM_20060907_06.asp)が採用される。所望であれば、ライブラリ構成要素の総収量を増加させるため、または使用の便宜上、Spirin et al.(1988)Science 242:1162の無細胞連続流(CFCF)翻訳系が使用されてもよい。静的インビトロタンパク質合成システムを使用することができる。このシステムでは、タンパク質合成は、概して、1時間後に停止し、したがって、ライブラリの作成のための時間間隔が制限される。CFCF技術の利点は、タンパク質の高レベルおよび長期合成が、はるかに大きく多様なタンパク質−RNA複合体のライブラリをもたらすと考えられることである。CFCF技術は、24時間以上の長期間にわたるタンパク質の高レベル合成のための方法として、Spirinらによって説明されている。加えて、CFCF技術は、翻訳装置からの新規に合成されたタンパク質の分画をもたらし、したがって、タンパク質−核酸複合体を迅速に隔離することを実現可能にする。CFCF技術の他の用途は、ペプチドを合成するための効率的な方法を含む。例えば、高親和性で標的に結合するペプチド融合の識別後、CFCF技術を使用して、遊離ペプチドを直接合成し、結合分析で使用することができる。
【0101】
例えば、Profusion(商標)などの、ポリヌクレオチドをポリペプチド(すなわち、表現型)に結合するため他の無細胞技法も使用することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,348,315号、第6,261,804号、第6,258,558号、および第6,214,553号を参照)。
【0102】
プロモーター配列、終結配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、および他の配列を適宜含む適切な調節配列を含有する、好適なベクターを選択または構築することができる。ベクターは、例えば、特定の発現またはインビトロ翻訳系に応じて適宜、プラスミド、ウイルス、例えば、ファージ、またはファージミドであってもよい。さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:2nd edition,Sambrook et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。例えば、核酸構築物の調製、突然変異誘発、配列決定、細胞へのDNAの導入および遺伝子発現、ならびにタンパク質の分析における、核酸の操作のための多くの既知の技法およびプロトコルが、Current Protocols in Molecular Biology,Second Edition,Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons,1992で詳細に説明されている。SambrookらおよびAusubelらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
いくつかの実施形態では、例えば、発現されるDNAがPCR増幅DNA鎖のみに存在する時には、プラスミドまたはウイルスベクター等の発現ベクターが採用されない。
【0104】
さらなる実施形態では、本発明の方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,078,197号、第6,429,300号、第5,922,545号、第7,195,880号、第6,416,950号、第6,602,685号、第6,623,926号、第6,951,725号、または米国特許出願第11/543,316号、第10/208,357号で説明されている、方法および/または組成物を採用することができる。
【0105】
1つの好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーの結合に適した、無傷の停止コドンおよび3’未翻訳RNAの領域を含有するmRNAが、終結因子を有さないインビトロ翻訳系において翻訳される(例えば、PURESystem、cosmobio.co.jp/export_e/products/proteins/products_PGM_20060907_06.asp)。終結因子は、ペプチジル−tRNAの中のエステル結合の加水分解、およびリボソームからの新規に合成されたタンパク質の放出を誘起する。終結因子がない場合、リボソームは、mRNA上で失速する。次に、DNAオリゴヌクレオチドが混合物に追加される。このオリゴヌクレオチドは、mRNAの3’末端と相補的であり、ペプチド受容体種をリボソームの中に送達して、結合翻訳タンパク質とともに共有結合付加体を形成することができるリンカーで官能基化される。いくつかの実施形態では、それは、追加されるNAリンカーである。リンカーが付着する部位は、3’末端を除く、オリゴヌクレオチドに沿ったいかなる場所ともなり得る。リンカーは、リボソームの中へ到達するのに十分な長さである必要がある。付加体を形成する種は、好ましくは、ピューロマイシンまたはピラゾロピリミジンあるいは関連する任意の誘導体である。
【0106】
新生タンパク質へのリンカーの共有結合による追加後、リボソームを放出するようにEDTAが追加され、後に、mRNA−オリゴヌクレオチド−タンパク質種が単離され、DNA−タンパク質融合体を作成するように逆転写を受ける。最終的に、任意のDNAポリメラーゼを使用して、DNAの第2鎖が追加される。そのような実施形態では、mRNA−オリゴヌクレオチド(例えば、NAリンカー)種が共有結合されてもよいが、NAリンカーは、Xディスプレイ複合体内のいずれの中間種にも共有結合される必要はない(例えば、mRNAをタンパク質に架橋するためにビオチン/ストレプトアビジンが使用される場合)。
【0107】
結果として生じるDNA−タンパク質融合体は、インビボまたはインビトロでのスクリーニングに、または診断用途に使用することができる。
【0108】
使用法
本発明の方法および組成物は、治療、診断、または産業上の問題を解決するためにタンパク質技術が使用される、任意の分野での商業的用途を有する。このXディスプレイ技術は、既存のタンパク質を改善または改変させるため、ならびに所望の機能を有する新規のタンパク質を単離するために有用である。これらのタンパク質は、天然配列であってもよく、改変形態の天然配列であってもよく、または、部分的または完全に合成配列であってもよい。
【0109】
本発明の方法は、例えば、抗体、結合断片またはそれらの類似体、一本鎖抗体、触媒抗体、VLおよび/またはVH領域、Fab断片、Fv断片、Fab’断片、Dab等のイムノバインダーのポリペプチドを開発または改善するために使用することができる。いくつかの実施形態では、改善されるポリペプチドは、参照により本明細書に組み込まれる、Binz,A.et al.(2005)Nature Biotechnology 23:1257、およびBarclay(2003)Semin Immunol.15(4):215−223で考察されているように、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様ドメインを有する任意のポリペプチド、例えば、インターフェロン、プロテインA、アンキリン、A−ドメイン、T細胞受容体、フィブロネクチンIII、ガンマ−クリスタリン、MHCクラス分子の抗原結合ドメイン(例えば、CD8のアルファおよびベータ抗原結合ドメイン)、ユビキチン、免疫グロブリンスーパーファミリーの構成要素、および他多数であり得る。いくつかの実施形態では、ヒト免疫レパートリーから導出される免疫グロブリンライブラリのように、単一のライブラリは、骨格として多くの異なるV領域配列を使用するが、それらは全て、基本免疫グロブリン群を共有する。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様群は、ジスルフィド結合によってともに保持される、いくつかの(例えば、IgGの軽鎖Cドメインの場合は7つ)逆平行β鎖を含む2つのβシートを含む、樽状タンパク質構造である。したがって、任意の免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様タンパク質(その複数部分または断片を含む)の改善または選択が意図される。
【0110】
別の用途では、本明細書で説明されるXディスプレイ技術は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様ドメインがあってもなくてもよい、特異的結合(例えば、リガンド結合)特性を有するタンパク質の単離に有用である。極めて特異的な結合相互作用を示すタンパク質は、非抗体認識試薬として使用されてもよく、これにより、Xディスプレイ技術が従来のモノクローナル抗体技術を回避することを可能にする。この方法によって単離される抗体型試薬は、診断および治療用途を含む、従来の抗体が利用される任意の分野で使用することができる。
【0111】
好ましい実施形態では、本方法は、イムノバインダーの改善、例えば、抗体分子の可変領域および/またはCDRの領域、すなわち、重鎖(VH)から1つおよび軽鎖(VL)から1つといった、2つの鎖の可変領域から構成される、抗原結合活性に関与する構造を標的化する。いったん所望の抗原結合特徴が特定されると、可変領域を、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgE等の適切な抗体クラスに操作することができる。本方法は、ヒトイムノバインダーおよび/または他の種からのイムノバインダー、例えば、任意の哺乳類または非哺乳類イムノバインダー、ラクダ抗体、サメ抗体等を改善および/または選択するために採用されてもよいことが理解される。
【0112】
本発明は、多数の疾患のうちのいずれかの治療のためのヒトまたはヒト化抗体(またはそれらの断片)を改善するために使用することができる。この用途では、抗体ライブラリが作製されて、インビトロでスクリーニングされ、細胞融合またはファージディスプレイ等の技法の必要性を排除する。1つの重要な用途では、本発明は、一本鎖抗体ライブラリを改善するために有用である(Ward et al.,Nature 341:544(1989);およびGoulot et al.,J.Mol.Biol.213:617(1990))。この用途のために、可変領域は、(レシピエントの起こり得る有害免疫反応を最小化するように)ヒト供給源から構築されてもよく、または(ライブラリの複雑性を最大化するように)完全ランダム化カセットを含有してもよい。改善された抗体分子についてスクリーニングするために、候補分子プールが標的分子への結合について検査される。次いで、選択が1回から次回に進行するにつれて、より高いレベルの厳密性が結合工程に適用される。厳密性を増加させるために、洗浄工程の数、過剰な競合物の濃度、緩衝条件、結合反応時間の長さ、固定化マトリクスの選択等の条件が、変更され得る。一本鎖抗体は、治療のために直接、または標準抗体の設計のために間接的に使用されてもよい。そのような抗体は、抗自己免疫抗体の単離、免疫抑制、およびAIDS等のウイルス性疾患用のワクチンの開発を含む、多数の潜在的用途を有する。
【0113】
以下で詳説されるように、今では多種多様な抗体断片および抗体模倣物技術が開発されており、当技術分野で広く知られている。ドメイン抗体、ナノボディ、およびユニボディ等の、多数のこれらの技術が、従来の抗体構造の断片または他の修飾を利用する一方で、従来の抗体結合を模倣するが、異なる機構から生成され、かつ異なる機構を介して機能する結合構造を採用する、アドネクチン、アフィボディ、DARPin、アンチカリン、アビマー、およびバーサボディ等の代替技術もある。これらの代替構造のうちのいくつかは、参照により本明細書に組み込まれる、Gill and Damle(2006)17:653−658で考察されている。上述の抗体誘導体およびバインダーの全ては、本発明の方法によって改善および/または選択することができる。いくつかの実施形態では、ナノボディ(Nanobody)、ユニボディ(UniBody)、アドネクチン(Adnectin)、アフィボディ(Affibody)、DARPin、アンチカリン(Anticalin)、アビマー(Avimer)、およびバーサボディを生成する当技術分野で知られている方法を、本発明の方法に従って産生および選択され得るライブラリの生成の基礎として機能し得る初期結合タンパク質を発見するために使用することができる。代替として、当技術分野で既知のバインダーを、本明細書で説明される方法で使用するための新規ライブラリを作成するために、直接使用することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される方法は、ドメイン抗体(dAb)の改善を目的とする。ドメイン抗体は、ヒト抗体の重鎖(VH)または軽鎖(VL)の可変領域に対応する、抗体の最も小さい機能的結合単位である。ドメイン抗体は、約13kDaの分子量を有する。Domantisは、完全ヒトVHおよびVL dAbの一連の大型で極めて機能的なライブラリ(各ライブラリの中に100億以上の異なる配列)を開発しており、治療標的に特異的なdAbを選択するために、これらのライブラリを使用する。多くの従来の抗体とは対照的に、ドメイン抗体は、細菌、酵母、および哺乳類細胞系でよく発現される。ドメイン抗体およびその産生方法のさらなる詳細は、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,291,158号、第6,582,915号、第6,593,081号、第6,172,197号、第6,696,245号、米国第2004/0110941号、欧州特許出願第1433846号、ならびに米国特許第0368684号および第0616640号、WO05/035572、WO04/101790、WO04/081026、WO04/058821、WO04/003019、およびWO03/002609を参照することによって得ることができる。
【0115】
他の実施形態では、本明細書で説明される方法は、ナノボディの改善を目的とする。ナノボディは、天然重鎖抗体の独自の構造および機能的特性を含有する、抗体由来の治療用タンパク質である。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含有する。重要なことには、クローニングされて単離されたVHHドメインは、元の重鎖抗体の完全な抗原結合能を内部に持つ、完璧に安定したポリペプチドである。ナノボディは、ヒト抗体のVHドメインとの高い相同性を有し、活性の損失を伴わずに、さらにヒト化することができる。重要なことには、ナノボディは低い免疫原性を有し、このことは、霊長類でのナノボディリード化合物の研究で確認されている。
【0116】
ナノボディは、従来の抗体の利点を、小分子薬剤の重要な特徴と組み合わせる。従来の抗体のように、ナノボディは、高い標的特異性、それらの標的に対する高い親和性、および低い固有毒性を示す。しかしながら、小分子薬剤と同様に、酵素を阻害し、受容体の間隙に容易にアクセスすることができる。さらに、ナノボディは、極めて安定しており、注入以外の手段によって投与することができ(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO04/041867を参照)、製造しやすい。ナノボディの他の利点は、それらの小さいサイズの結果として、まれな、または隠れたエピトープを認識すること、タンパク質標的の空洞または活性部位に高親和性で結合すること、ならびに、独自の3次元、薬剤形式の融通性、半減期の調整、および創薬の容易性および速度による選択性を含む。
【0117】
ナノボディは、単一遺伝子によってコードされ、ほぼ全ての原核生物および真核生物宿主、例えば、大腸菌(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、U.S.6,765,087を参照)、カビ(例えば、アスペルギルス属およびトリコデルマ属)、および酵母(例えば、サッカロミセス属、クリベロマイセス属、ハンセヌラ属、およびピキア属)(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、U.S.6,838,254を参照)において効率的に産生される。産生過程は、大規模に実現可能であり、複数キログラム量のナノボディが産生されている。ナノボディは、従来の抗体と比較して優れた安定性を示すため、保管期間が長い、すぐに使用できる溶液として処方することができる。したがって、本発明の方法は、それらの標的分子に対するナノボディの親和性を改善するために使用することができる。
【0118】
当技術分野で知られている方法を、ナノボディ(または本明細書で説明される他のバインダー/イムノバインダー)を生成するために使用することができる。次いで、そのようなバインダーは、本発明の方法に従って産生および選択され得るライブラリの生成の基礎としての機能を果たしてもよい。例えば、ナノクローン(Nanoclone)法(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO06/079372を参照)は、B細胞の自動化した高スループットの選択に基づいて、所望の標的に対するナノボディを生成するための独自の方法であり、本発明の文脈で使用され得る。ナノクローン法による首尾よいナノボディの選択は、最初の一連のナノボディを提供し得、本明細書で説明される方法によってさらに改善することができる。
【0119】
他の実施形態では、本明細書で説明される方法は、ユニボディの改善を目的とする。ユニボディは、別の抗体断片技術であるが、これは、IgG4抗体のヒンジ領域の除去に基づく。ヒンジ領域の欠失は、従来のIgG4抗体のサイズの本質的に半分であり、従来のIgG4抗体の二価結合領域ではなく、一価結合領域を有する分子をもたらす。また、IgG4抗体は、不活性であり、したがって、免疫系と相互作用しないことも周知であり、これは、免疫応答が所望されない疾患の治療に有利であり得、この利点は、ユニボディに受け継がれる。例えば、ユニボディは、それらが結合される細胞を阻害するか、または活性を抑制することができるが、死滅させることはない。加えて、癌細胞に結合するユニボディは、増殖するようにそれらを刺激しない。さらに、ユニボディは、従来のIgG4抗体のサイズの約半分であるため、潜在的に有利な有効性で、より大型の固形腫瘍にわたって、より良好な分布を示し得る。ユニボディは、全IgG4抗体と同様の速度で身体から取り除かれ、それらの抗原に対して、全抗体と同様の親和性で結合することができる。ユニボディのさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、特許出願WO2007/059782を参照することにより得ることができる。
【0120】
他の実施形態では、本明細書で説明される方法は、フィブロネクチンまたはアドネクチン分子の改善を目的とする。アドネクチン分子は、フィブロネクチンタンパク質の1つ以上のドメインに由来する、操作された結合タンパク質である(Ward M.,and Marcey,D.,callutheran.edu/Academic_Programs/Departments/BioDev/omm/fibro/fibro.htmを参照)。典型的には、フィブロネクチンは、I型、II型、およびIII型モジュールの、3つの異なるタンパク質モジュールでできている。フィブロネクチンの機能の構造の考察については、参照により本明細書に組み込まれる、Pankov and Yamada(2002)J Cell Sci.;115(Pt 20):3861−3,Hohenester and Engel(2002)21:115−128、およびLucena et al.(2007)Invest Clin.48:249−262を参照されたい。
【0121】
由来する組織に応じて、フィブロネクチンは、例えば、FnS、Fn3、Fn3等と表され得る、複数のIII型ドメインを含有し得る。10Fn3ドメインは、インテグリン結合モチーフを含有し、さらに、ベータ鎖を接続する3つのループを含有する。これらのループは、IgG重鎖の抗原結合ループに対応するものと考えられ得、それらは、関心対象の標的を特異的に結合するフィブロネクチンおよびアドネクチン分子を選択するように、本明細書の以下で述べる方法によって改変することができる。改善されるアドネクチン分子はまた、単純な単量体10Fn3構造ではなく、10Fn3関連分子のポリマーに由来することができる。
【0122】
天然10Fn3ドメインは、典型的にはインテグリンに結合するが、アドネクチン分子になるように適合された10Fn3タンパク質は、関心対象の抗原を結合するよう改変される。したがって、当業者に利用可能な方法を、本発明の方法に適合する10Fn3変異体および突然変異配列を作成する(それにより、ライブラリを形成する)ために使用することができる。例えば、10Fn3の改変は、エラープローンPCR、部位特異的突然変異誘発、DNAシャッフリング、または本明細書で参照されている他の種類の組み換え突然変異誘発を含むがそれらに限定されない、当技術分野で知られている任意の方法によって行うことができる。一例では、10Fn3配列をコードするDNAの変異体を、インビトロで直接合成することができる。代替として、天然10Fn3配列を、標準的方法(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第20070082365号で行われているような)を使用して、ゲノムから単離またはクローニングし、次いで、当技術分野で知られている突然変異誘発方法を使用して、突然変異させることができる。
【0123】
一実施形態では、標的タンパク質は、カラム樹脂またはマイクロタイタープレートのウェル等の、固体支持体上に固定化されてもよい。次いで、標的は、本明細書で説明される、可能性のある結合タンパク質またはXディスプレイ複合体のライブラリと接触させられる。ライブラリは、10Fn3配列の突然変異誘発/ランダム化による、または10Fn3ループ領域(ベータ鎖ではない)の突然変異誘発/ランダム化による、野生型10Fn3由来の10Fn3クローンまたはアドネクチン分子を含み得る。選択/突然変異誘発過程は、標的への十分な親和性を有するバインダーが得られるまで、繰り返すことができる。本発明で使用するためのアドネクチン分子は、Adnexus社、Briston−Myers Squibb社で採用されたPROfusion(商標)技術を使用して操作することができる。PROfusion(商標)技術は、上記で参照される技法に基づいて創成された(例えば、Roberts&Szostak(1997)94:12297−12302)。改変された10Fn3ドメインのライブラリを生成し、本発明で使用され得る適切なバインダーを選択する方法は、以下の米国特許および特許出願書で完全に説明されており、参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第7,115,396号、第6,818,418号、第6,537,749号、第6,660,473号、第7,195,880号、第6,416,950号、第6,214,553号、第6623926号、第6,312,927号、第6,602,685号、第6,518,018号、第6,207,446号、第6,258,558号、第6,436,665号、第6,281,344号、第7,270,950号、第6,951,725号、第6,846,655号、第7,078,197号、第6,429,300号、第7,125,669号、第6,537,749号、第6,660,473、および米国特許出願第20070082365号、第20050255548号、第20050038229号、第20030143616号、第20020182597号、第20020177158号、第20040086980号、第20040253612号、第20030022236号、第20030013160号、第20030027194号、第20030013110号、第20040259155号、第20020182687号、第20060270604号、第20060246059号、第20030100004号、第20030143616号、および第20020182597号。また、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、以下の参考文献の方法も参照されたい:Lipovsek et al.(2007)Journal of Molecular Biology 368:1024−1041;Sergeeva et al.(2006)Adv Drug Deliv Rev.58:1622−1654;Petty et al.(2007)Trends Biotechnol.25:7−15;Rothe et al.(2006)Expert Opin Biol Ther.6:177−187;およびHoogenboom(2005)Nat Biotechnol.23:1105−1116。
【0124】
本発明の方法を使用して改善することができるさらなる分子には、限定されないが、ヒトフィブロネクチンモジュールFnS〜FnSおよび11Fn3〜17Fn3、ならびにヒト以外の動物および原核生物からの関連Fn3モジュールが含まれる。加えて、テネイシンおよびウンドゥリン等の10Fn3との配列相同性を有する他のタンパク質からのFn3モジュールも、使用され得る。免疫グロブリン様群を有する(しかしVHドメインと無関係の配列を有する)他の例示的タンパク質は、N−カドヘリン、ICAM−2、タイチン、GCSF受容体、サイトカイン受容体、グリコシダーゼ阻害物質、E−カドヘリン、および抗生物質色素タンパク質を含む。関連する構造を有するさらなるドメインを、ミエリン膜付着分子PO、CD8、CD4、CD2、クラスI MHC、T細胞抗原受容体、VCAM−IのCD1、C2、およびI−セットドメイン、ミオシン結合タンパク質CのI−セット免疫グロブリン群、ミオシン結合タンパク質HのI−セット免疫グロブリン群、テロキン、テリキン、NCAM、トゥイッチン、ニューログリアンのI−セット免疫グロブリン群、成長ホルモン受容体、エリスロポエチン受容体、プロラクチン受容体、GC−SF受容体、インターフェロン−ガンマ受容体、ベータ−ガラクトシダーゼ/グルクロニダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、およびトランスグルタミナーゼから得ることができる。代替として、本明細書で説明される方法によって改善されてもよい、アドネクチン様結合部分を作成するために、1つ以上の免疫グロブリン様群を含む任意の他のタンパク質が利用されてもよい。そのようなタンパク質は、例えば、プログラムSCOPを使用して、特定することができる(Murzin et al.,J.MoI.Biol.247:536(1995);Lo Conte et al,Nucleic Acids Res.25:257(2000))。
【0125】
他の実施形態では、本発明の方法は、アフィボディ分子を改善するために用いることができる。アフィボディ分子は、ブドウ球菌プロテインAのIgG−結合ドメインのうちの1つに由来する、58アミノ酸残基のタンパク質ドメインに基づく、新規クラスの親和性タンパク質を表す。この3へリックスバンドルドメインは、組み合わせファージミドライブラリの構築のための骨格として使用されており、そこから、ファージディスプレイ技術を使用して、所望の分子を標的化するアフィボディ変異体を選択することができる(Nord K,Gunneriusson E,Ringdahl J,Stahl S,Uhlen M,Nygren PA,Binding proteins selected from combinatorial libraries of an α−helical bacterial receptor domain,Nat Biotechnol 1997;15:772−7.Ronmark J,Gronlund H,Uhlen M,Nygren PA,Human immunoglobulin A(IgA)−specific ligands from combinatorial engineering of protein A,Eur J Biochem 2002;269:2647−55)。当技術分野で知られている方法によって産生され得る、同様のライブラリを、本明細書で説明されるXディスプレイ技術を使用して選択することができる。アフィボディ分子の単純で頑丈な構造は、その低分子量(6kDa)と相まって、アフィボディ分子を、例えば、検出試薬として(Ronmark J,Hansson M,Nguyen T,et al,Construction and characterization of affibody−Fc chimeras produced in Escherichia coli,J Immunol Methods 2002;261:199−211)、および受容体相互作用を阻害するための(Sandstorm K,Xu Z,Forsberg G,Nygren PA,Inhibition of the CD28−CD80 co−stimulation signal by a CD28−binding Affibody ligand developed by combinatorial protein engineering,Protein Eng 2003;16:691−7)、多種多様な用途に好適なものとする。アフィボディおよびその産生方法のさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,831,012号を参照することによって得ることができる。
【0126】
他の実施形態では、本発明の方法は、DARPinを改善するために用いることができる。DARPin(設計されたアンキリン反復タンパク質)は、非抗体ポリペプチドの結合能力を利用するために開発された、抗体模倣DRP(設計された反復タンパク質)技術の一例である。アンキリンまたはロイシンが豊富な反復タンパク質等の反復タンパク質は、抗体と違って、細胞内または細胞外で発生する、遍在する結合分子である。それらの独自のモジュール構造は、可変およびモジュール式の標的結合表面をディスプレイする、細長い反復ドメインを形成するように積み重なる、反復構造単位(反復)を特色とする。このモジュール性に基づいて、極めて多様な結合特異性を有するポリペプチドの組み合わせライブラリを生成することができる。この戦略は、可変表面残基をディスプレイする自己適合性反復部分のコンセンサス設計、および反復ドメインへのランダムアセンブリを含む。
【0127】
DARPinは、細菌発現系において、非常に高い収量で産生することができ、それらは、知られている最も安定したタンパク質に属する。ヒト受容体、サイトカイン、キナーゼ、ヒトプロテアーゼ、ウイルス、および膜タンパク質を含む広範囲の標的タンパク質に対する、極めて特異的な高親和性DARPinが選択されている。1桁のナノモルからピコモル範囲の親和性を有するDARPinを得ることができる。
【0128】
DARPinは、ELISA、サンドイッチELISA、フローサイトメトリ分析(FACS)、免疫組織化学(IHC)、チップ塗布、親和性精製、またはウェスタンブロット法を含む、広範囲の用途で使用されている。DARPinはまた、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)に融合された細胞内マーカータンパク質として、細胞内区画の中で極めて活性であることも証明されている。DARPinはさらに、pM範囲のIC50でウイルス侵入を阻害するために使用された。DARPinは、タンパク質−タンパク質相互作用を阻止するためだけでなく、酵素を阻害するために理想的である。プロテアーゼ、キナーゼ、および輸送体の阻害が成功しており、最も頻繁にはアロステリック阻害様式である。腫瘍上での非常に高速かつ特異的な濃縮、および非常に有利な腫瘍対血液の比により、DARPinはインビボ診断および治療アプローチによく適している。
【0129】
DARPinおよび他のDRP技術に関する追加情報は、いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公報第2004/0132028号および国際特許出願公報第WO02/20565号で見出すことができる。
【0130】
他の実施形態では、本発明の方法は、アンチカリンを改善するために用いることができる。アンチカリンは、付加的な抗体模倣技術であるが、この場合、結合特性は、ヒト組織および体液において自然かつ豊富に発現される低分子量タンパク質である、リポカリンに由来する。リポカリンは、化学的に感受性または不溶性の化合物の物理的輸送および保管と関連する、一連のインビボ機能を果たすように進化させられている。リポカリンは、タンパク質の1つの末端において4つのループを支持する、極めて保存されているβ−バレルを含む、頑丈な固有構造を有する。これらのループは、結合ポケットへの入口を形成し、この部分での分子の立体構造の違いが、個々のリポカリン間の結合特異性の差異を説明する。
【0131】
保存的β−シート骨格によって支持される超可変ループの全体構造は、免疫グロブリンに類似している一方で、リポカリンは、サイズに関して抗体とは有意に異なり、単一の免疫グロブリンドメインよりもわずかに大きい、160〜180個のアミノ酸の単一ポリペプチド鎖から成る。
【0132】
リポカリンは、クローニングされ、それらのループは、アンチカリンを作成するために操作を受ける。構造的に多様なアンチカリンのライブラリが生成されており、アンチカリンディスプレイは、結合機能の選択およびスクリーニングを可能にし、その後に、原核細胞または真核細胞系におけるさらなる分析のために、可溶性タンパク質の発現および産生が続く。そのようなアンチカリンライブラリを、本発明のXディスプレイ技術に従って用いることができる。単離することができる、事実上あらゆるヒト標的タンパク質に特異的であるアンチカリンを開発することができ、ナノモルまたはより高い範囲の結合親和性を得ることができることが、研究によって成功裏に実証されている。
【0133】
アンチカリンはまた、二重標的化タンパク質、いわゆるデュオカリン(Duocalin)として形式化することもできる。デュオカリンは、2つの結合ドメインの構造的配向にかかわらず、標的と特異性および親和性を保持しながら、標準的な製造過程を使用して、1つの容易に産生された単量体タンパク質の中の2つの別個の治療標的に結合する。本発明の方法によって選択されるアンチカリンは、デュオカリン分子に組み立てることができる。
【0134】
単一の分子を通した複数の標的の調節は、1つより多くの原因因子が関与することが知られている疾患において、特に有利である。また、デュオカリン等の二価または多価結合形式は、疾患における細胞表面分子を標的化すること、シグナル伝達経路に対するアゴニスト効果を仲介すること、または細胞表面受容体の結合およびクラスタ化を介して強化した内部化効果を誘発することにおいて、有意な潜在能力を有する。さらに、デュオカリンの高い固有安定性は、単量体アンチカリンに匹敵し、デュオカリンの融通性のある処方および送達の可能性を提供する。アンチカリンに関する追加情報は、いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,250,297号および国際特許出願公報第WO99/16873号で見出すことができる。
【0135】
他の実施形態では、本発明の方法は、アビマーを改善するために用いることができる。本発明の文脈で有用な別の抗体模倣技術は、アビマーである。アビマーは、インビトロエクソンシャッフリングおよびファージディスプレイによって、結合および阻害特性を有する多ドメインタンパク質を生成して、ヒト細胞外受容体ドメインの大きなファミリーから進化させられる。複数の独立した結合ドメインを結合することは、親和力を生じることが示されており、従来の単一エピトープ結合タンパク質と比較して、改善した親和性および特異性をもたらす。他の潜在的利点は、大腸菌中での多標的特異性分子の単純かつ効率的な産生、改善した耐熱性、およびプロテアーゼへの耐性を含む。ナノモル以下の親和性を有するアビマーが、種々の標的に対して得られており、これらは、本明細書で説明される方法によって、さらに改善され得る。
【0136】
アビマーに関する追加情報は、全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公報第2006/0286603号、第2006/0234299号、第2006/0223114号、第2006/0177831号、第2006/0008844号、第2005/0221384号、第2005/0164301号、第2005/0089932号、第2005/0053973号、第2005/0048512号、第2004/0175756号で見出すことができる。
【0137】
他の実施形態では、本発明の方法は、バーサボディを改善するために用いることができる。バーサボディは、本発明の文脈で使用することができる、別の抗体模倣技術である。バーサボディは、高ジスルフィド密度の骨格を形成し、典型的なタンパク質が有する疎水性コアに取って代わる、15%超のシステインを有する3〜5kDaの低分子タンパク質である。疎水性コアを含む、多数の疎水性アミノ酸の少数のジスルフィドによる置換は、より小さいタンパク質、より疎水性(少ない凝集および非特異的結合)、プロテアーゼおよび熱に対するさらなる耐性をもたらし、最もMHC表現に貢献する残基が疎水性であるため、より低い密度のT細胞エピトープを有する。これらの4つの特性の全ては、免疫原性に影響を及ぼすことが周知であり、それらはともに、免疫原性の大きな減少を引き起こすことが期待される。
【0138】
バーサボディへの着想は、予想外に低い免疫原性を示すことが知られている、ヒル、ヘビ、クモ、サソリ、カタツムリ、およびアネモネによって産生される天然の注射用生物薬剤に由来する。選択された天然タンパク質ファミリーから開始して、設計によって、かつサイズをスクリーニングすることによって、疎水性、タンパク質分解抗原処理、およびエピトープ密度は、天然の注射用タンパク質の平均をはるかに下回るレベルまで最小化される。
【0139】
バーサボディの構造を考慮すると、これらの抗体模倣物は、多価性、多特異性、半減期機構の多様性、組織標的化モジュール、および抗体Fc領域の欠如を含む、多用途形式を提供する。さらに、バーサボディは、高収量にて大腸菌で製造することができ、それらの親水性および小さいサイズにより、バーサボディは、極めて可溶性であり、高濃度に処方することができる。バーサボディは、きわめて熱安定性であり(沸騰させることができる)、長期の保管期間を提供する。本明細書で説明されるバインダーのあらゆる性質(例えば、熱安定性、塩安定性、保管期間、免疫原性、標的親和性等)は、本明細書で説明されるディスプレイおよび選択方法(Xディスプレイ方法)によって改善することができる。
【0140】
バーサボディに関する追加情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公報第2007/0191272号で見出すことができる。
【0141】
他の実施形態では、本発明の方法は、SMIP(商標)分子を改善するために用いることができる。SMIP(商標)(Small Modular ImmunoPharmaceuticals−Trubion Pharmaceuticals)は、標的結合、エフェクター機能、インビボ半減期、および発現レベルを維持および最適化するように操作されている。SMIPは、3つの異なるモジュールドメインから成る。第1に、それらは、特異性を与える任意のタンパク質(例えば、細胞表面受容体、一本鎖抗体、可溶性タンパク質等)から成り得る結合ドメインを含有する。第2に、それらは、結合ドメインとエフェクタードメインとの間の融通性のあるリンカーとしての機能を果たし、また、SMIP薬剤の多量体化の制御にも役立つヒンジドメインを含有する。最後に、SMIPは、Fcドメインまたは他の特別に設計されたタンパク質を含む、種々の分子に由来し得るエフェクタードメインを含有する。種々の異なる結合ドメイン、ヒンジドメイン、およびエフェクタードメインを有するSMIPの単純な構築を可能にする、設計のモジュール性は、迅速かつカスタマイズ可能な薬剤設計を提供する。SMIP(商標)分子の結合ドメインはまた、本明細書で説明される方法(例えば、Xディスプレイ方法)に従ったディスプレイおよび選択に好適なライブラリの基礎としての役割を果たし得る。
【0142】
SMIPを設計する方法の例を含む、SMIPについてのさらなる情報は、Zhao et al.(2007)Blood 110:2569−77、および以下の米国特許出願第20050238646号、第20050202534号、第20050202028号、第20050202023号、第20050202012号、第20050186216号、第20050180970号、および第20050175614号で見出され得る。
【0143】
上で提供される抗体断片および抗体模倣技術は、本明細書の文脈で使用することができる全ての技術を網羅することを目的としない。例えば、および、限定としてではなく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Qui et al., Nature Biotechnology,25(8)921−929(2007)で概説されているように、相補的結合領域の融合等の代替ポリペプチド系技術を含む、種々の付加的な技術を、本発明の文脈で使用することができる。
【0144】
本明細書で説明されるXディスプレイ複合体(例えば、核酸−タンパク質融合体またはDNA−タンパク質融合体)は、RNA−タンパク質融合体について以前に説明または構想された任意の用途に使用することができる。商業的利用は、インビトロでの進化の技法を通した、所望の特性を有するポリペプチドの単離(例えば、Szostak et al,米国特許第09/007,005号および米国特許第09/247,190号、Szostak et al,WO98/31700;Roberts&Szostak,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1997)vol.94,p.12297−12302)を参照)、細胞mRNAに由来するcDNAライブラリのスクリーニング(例えば、1998年8月17日出願、Lipovsek et al,米国特許第60/096,818号を参照)、およびタンパク質−タンパク質相互作用に基づく新規遺伝子のクローニング(Szostak et al,米国特許第09/007,005号および米国特許第09,247,190号、Szostak et al.,WO98/31700)、ならびにタンパク質ディスプレイ実験におけるこれらの融合体の使用(Kuimelis et al.米国特許第60/080,686号および米国特許第09/282,734号)を含む。本発明のXディスプレイ複合体(例えば、DNA−タンパク質融合体)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,416,950号、第6,429,300号、第6,194,550号、第6,207,446号、および第6,214,553号で開示されているもの等の、前述のディスプレイ技術について以前に説明または構想された任意の用途に使用することができる。これらのXディスプレイ複合体(例えば、DNA−タンパク質融合体)は、特に、製薬および農業分野において、任意の適切な治療、診断、または研究目的で使用され得る。
【0145】
新規触媒の単離
本発明はまた、新規触媒タンパク質を選択するために使用することができる。インビトロ選択および進化が、新規の触媒RNAおよびDNAの単離のために以前に使用されており、本発明では、新規タンパク質酵素(例証のために提供されるにすぎない非限定的例は、多糖類をより有用な生物燃料に変換するため等、入力ポリマーのより小さく、かつ即座に有用な副産物への代謝を実行するために好適な酵素)の単離のために使用される。このアプローチの1つの特定の例では、触媒の遷移状態の化学類似体への結合に関して選択することによって、触媒を間接的に単離することができる。別の特定の例では、基質との共有結合形成に関して選択することによって(例えば、親和性タグに結合された基質を使用して)、または開裂によって(例えば、特異的結合を切断し、それにより、固体支持体からライブラリの触媒構成要素を解放する能力に関して選択することによって)、直接的な単離が実行され得る。
【0146】
新規触媒の単離のためのこのアプローチは、触媒抗体技術(Schultz et al.,J.Chem.Engng.News 68:26(1990)で論評されている)と比べて、少なくとも2つの重要な利点を有する。第1に、触媒抗体技術では、初期プールは概して、免疫グロブリン群に限定される。対照的に、Xディスプレイ複合体(DNA−タンパク質融合体)の開始ライブラリは、完全にランダムであってもよく、または、制限するものではないが、既知の酵素構造またはタンパク質骨格の変異体から成ってもよい。加えて、触媒抗体の単離は概して、遷移状態反応類似体への結合に関しての初期選択に依存し、その後に活性抗体の困難なスクリーニングが続く。ここでも対照的に、RNAライブラリを使用して以前に実証されたように、Xディスプレイライブラリアプローチを使用して、触媒作用のための直接選択が可能である。タンパク質酵素を単離するための代替アプローチでは、遷移状態類似体および直接選択アプローチを組み合わせることができる。
【0147】
この方法によって得られる酵素は、極めて価値がある。例えば、現在、改善した化学過程が開発されることを可能にする、新規かつ効果的な工業触媒の差し迫った必要性が存在する。本発明の主な利点は、任意の条件で選択を実行することができ、例えば、インビボの条件に限定されないことである。したがって、本発明は、所定の環境、例えば、上昇した温度、圧力、または溶媒濃度の環境の中で機能しながら、極めて特異的な変換を実行することができる(それにより、望ましくない副産物の形成を最小化する)、新規の酵素または既存の酵素の改善変異体の単離を促進する。
【0148】
インビトロ相互作用トラップ
Xディスプレイ技術はまた、cDNAライブラリをスクリーニングし、タンパク質−タンパク質相互作用に基づいて新規遺伝子をクローニングするためにも有用である。この方法によって、cDNAライブラリが所望の供給源から生成される(例えば、Ausubelらの方法によって、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons and Greene Publishing Company,1994;特に第5章を参照)。候補cDNAのそれぞれは、本明細書で説明される技法を使用してXディスプレイ複合体(例えば、DNA−タンパク質融合体)に処方され得、次いで、これらの複合体(または融合体の改善版)が特定の分子と相互作用する能力が検査される。
【0149】
相互作用工程がインビトロで行われるという事実は、非特異的競合物、温度、およびイオン条件を使用した、反応厳密性の慎重な制御を可能にする。非加水分解性類似体を用いた正常小分子の改変(例えば、ATP対ATPgS)は、同じ分子の異なる立体異性体を区別する選択を提供する。このアプローチは、選択された結合パートナーの核酸配列が関連付けられ、したがって、容易に単離されてもよいため、多くのタンパク質のクローニングおよび機能的特定の両方に有用である。加えて、該技法は、任意のヒト遺伝子の機能および相互作用を特定するために有用である。
【0150】
本方法はまた、改善した半減期、親和性、または溶解性のためにポリペプチドリガンドを開発または改善するために使用することもできる。本明細書で説明されるXディスプレイ複合体(例えば、DNA−タンパク質融合体)は、分子進化および認識アプローチを含む、所望のタンパク質に対する任意の選択方法で使用することができる。例示的な選択方法は、例えば、参照により本明細書に全て組み込まれる、Szostak et al,米国特許第09/007,005号および米国特許第09/247,190号;Szostak et al,WO98/31700;Roberts&Szostak,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1997)vol.94,p.12297−12302;Lipovsek et al,米国特許第60/096,818号および米国特許第09/374,962号;およびKuimelis et al.米国特許第60/080,686号および米国特許第09/282,734号で説明されている。
【0151】
ライブラリ生成、スクリーニング、および親和性成熟
いくつかの実施形態では、所望の質(例えば、特定の抗原への結合)を有する、または本発明の方法に従って改善または修飾されているペプチドを特定するように、ペプチドまたは遺伝子ライブラリをスクリーニングすることができる。関連する実施形態では、本明細書で説明される方法によって産生または選択された特定のペプチドは、親和性成熟または突然変異誘発によってさらに改変され得、それにより、関連ペプチドまたは核酸のライブラリを産生することができる。したがって、本発明の一態様は、抗原に結合する能力、より高い結合親和性等の望ましい質を有する、可能性のあるペプチド(または該ペプチドをコードする核酸)を特定するために、大きなライブラリをスクリーニングすることに関与し得る。当技術分野で知られている、または本明細書で説明される、ライブラリ生成および標的選択のための任意の方法を、本発明に従って使用することができる。
【0152】
(例えば、適切なタグ、相補的配列等を追加するための)本明細書で説明される方法による、当技術分野で知られているライブラリ生成の方法は、本明細書で説明される方法で使用するために好適なライブラリを作成するために用いることができる。ライブラリ生成のためのいくつかの方法が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第09/007,005号および第09/247,190号;Szostak et al,WO989/31700;Roberts&Szostak(1997)94:12297−12302;米国特許第60/110,549号、米国特許第09/459,190号、およびWO00/32823で説明されている。
【0153】
一実施形態では、ライブラリは、VHドメイン、好ましくは、ヒトVHドメインを含む。任意の細胞が、ライブラリの供給源として使用されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、ライブラリ用の細胞の供給源は、末梢血単核細胞(PBMC)、脾臓細胞、または骨髄細胞であってもよい(例えば、ある種類のドナー細胞からのライブラリにおいて得ることができる、VHライブラリ多様性を説明する、図36を参照)。
【0154】
本発明の方法は反復様式で用いられ得ることが、当業者によって理解されるであろう。例えば、本明細書で説明される方法のうちの1つによって選択された核酸またはタンパク質は、そこから過程を再び始めることができる、新規のライブラリの生成の基礎としての役割を果たし得る。そのようなスキームの例が図22に図示され、そこでは、1回の選択の生成物が、新規のライブラリを再生成するために使用される。
【0155】
本明細書で説明されるXディスプレイの方法は、選択の間、分子内ジスルフィド結合がペプチドに存在するような条件下で実行することができる。他の実施形態では、所望であれば、ジスルフィド結合の形成が妨げられてもよい。開始ライブラリは、例えば、直接DNA合成によって、インビトロまたはインビボ突然変異誘発を介して、得ることができ、または、当技術分野で知られている任意の利用可能な開始ライブラリを使用することができる。例えば、本明細書で引用される参考文献、および、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、以下の参考文献で説明される、ライブラリおよび該ライブラリを作製する方法を、本発明にしたがって使用することができる:米国特許第5,922,545号、第7,074,557号。
【0156】
好ましい実施形態では、ライブラリは、VHまたはVLライブラリである。表2は、VHドメインを増幅するために使用されてもよい、一式の非限定的なプライマーの例を提供する。
【0157】
(表2)VHドメインXディスプレイライブラリ生成のための例示的プライマー。R=A/G、Y=C/T、K=G/T、M=A/C、S=G/C、W=A



【0158】
好ましい実施形態では、ライブラリの核酸構築物は、T7プロモーターを含有する。ライブラリの中の核酸は、核酸、その翻訳生成物、またはXディスプレイ複合体の産生、選択、または生成に有用である、適切なプロモーター、エンハンサー、スペーサー、またはタグを追加するように、当業者に知られている任意の手段によって操作することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ライブラリの中の配列は、TMVエンハンサー、FLAGタグをコードする配列、SAディスプレイ配列、またはポリアデニル化配列あるいはシグナルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリ配列はさらに、RNAまたはDNA配列のソースを特定するように、固有のソースタグを含んでもよい。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリ配列は、プールタグを含んでもよい。プールタグは、特定の1回の選択中に選択される配列を特定するために使用することができる。これは、例えば、複数回の選択からの配列が、どの回の選択に由来したかということを見失うことなく、単回でプールされて配列決定されることを可能にする。
【0159】
次いで、2本鎖DNAライブラリがインビトロで転写され、本明細書で説明されるように、ペプチド受容体に会合させられる。1つの好ましい実施形態では、次いで、NAリンカーまたは高親和性リガンドに付着したNAリンカー(例えば、ビオチン化NAリンカー)が、アニールされる(例えば、DDB−1)。いくつかの実施形態では、NAリンカーは、mRNAに光架橋結合される。特定の実施形態では、次いで、リガンド受容体、例えば、ストレプトアビジンが負荷される。さらなる実施形態では、ペプチド受容体に付着される第2の高親和性リガンドが、ストレプトアビジンに結合される。いくつかの実施形態では、第2の高親和性リガンド/ペプチド受容体は、ビオチン-ピューロマイシンリンカー、例えば、BPPである。
【0160】
次いで、インビトロ翻訳が実行されてもよく、ここではペプチド受容体は、新生翻訳生成物と反応する。
【0161】
精製後の結果は、ペプチド−核酸Xディスプレイ複合体のライブラリである。次いで、そのようなXディスプレイ複合体は、好ましい実施形態では、精製された後に逆転写を受けてもよい。Xディスプレイ複合体は、当技術分野で知られている任意の方法によって、例えば、親和性クロマトグラフィ、カラムクロマトグラフィ、密度勾配遠心分離、親和性タグ捕捉等によって、精製することができる。好ましい実施形態では、オリゴ−dTセルロース精製が用いられ、そこでは、Xディスプレイ複合体は、ポリ−A末端を有するmRNAを含むように設計されている。そのような実施形態では、オリゴ−dTは、カラムまたは精製機器の中でセルロースに共有結合される。オリゴ−dTは、Xディスプレイ複合体内のmRNAのポリ−A末端との相補的塩基対合に関与し、それにより、精製機器を通したその進行を妨げる。Xディスプレイ複合体は、後に水または緩衝剤とともに溶出されてもよい。
【0162】
逆転写は、cDNA/RNAハイブリッドを生成し、それは、好ましい実施形態では、NAリンカー、高親和性リガンド、リガンド受容体、ペプチド受容体(おそらく第2の高親和性リガンドに結合される)、またはそれらの機能的な組み合わせとの会合を介して転写ペプチドに非共有結合される。
【0163】
次いで、結果として生じる、精製されたXディスプレイ複合体は、残存mRNAを分解するようにRNAseで処理することができ、その後に、完全cDNAを生成するための第2鎖DNA合成が続く。好ましい実施形態では、NAリンカーの中の核酸が逆転写のためのプライマーとしての機能を果たし得ることに留意されたい。したがって、cDNAは、高親和性リガンドおよびXディスプレイ複合体の一部に付着したままである。
【0164】
Xディスプレイ複合体は、意図されるように、Xディスプレイ複合体がタグを含有するように操作される場合、さらに精製されてもよい。当技術分野で知られている任意のタグを、Xディスプレイ複合体を精製するために使用することができる。例えば、とりわけ、FLAGタグ、mycタグ、ヒスチジンタグ(Hisタグ)、またはHAタグを使用することが可能である。好ましい実施形態では、最終転写タンパク質がFLAGタグを含有するように、FLAGタグをコードする配列が、元のDNA配列へと遺伝子操作される。
【0165】
次いで、結果として生じるXディスプレイ複合体は、当技術分野で知られている任意の選択方法を使用することによって選択される。好ましい実施形態では、親和性選択が使用される。例えば、所望の結合標的または抗原は、親和性カラムで使用するために固体支持体上で固定化され得る。親和性クロマトグラフィにおいて有用な方法の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,431,546号、第4,431,544号、第4,385,991号、第4,213,860号、第4,175,182号、第3,983,001号、第5,043,062号で説明されている。結合活性は、標準的な免疫学的検定および/または親和性クロマトグラフィによって評価することができる。触媒機能、例えば、タンパク質分解機能についてのXディスプレイ複合体のスクリーニングは、例えば、米国特許第5,798,208号で説明されているような標準的なヘモグロビンプラーク検定を使用して達成することができる。候補ペプチド(例えば、抗体、一本鎖抗体)の治療標的に結合する能力を判定することは、例えば、所与の標的または抗原への抗体の結合率を測定するBiacore機器を使用して、インビトロで分析することができる。
【0166】
好ましい実施形態では、選択されたXディスプレイ複合体は、DNA成分の配列決定によって特定することができる。例えば、454配列決定法、サンガー配列決定法、合成による配列決定法、または、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5547835号、第5171534号、第5622824号、第5674743号、第4811218号、第5846727号、第5075216号、第5405746号、第5858671号、第5374527号、第5409811号、第5707804号、第5821058号、第6087095号、第5876934号、第6258533号、第5149625号で説明されている方法といった、当技術分野で知られている任意の配列決定技術を使用することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、選択は、より高い親和性のバインダーを特定するように複数回行われてもよく、さらに、競合バインダーまたはより厳密な洗浄条件とともに実施してもよい。当業者であれば、本明細書で説明される手順の変形を用いてもよいことを理解するであろう。
【0168】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、図14で描写されるように実行される。
【0169】
他の好ましい実施形態では、Xディスプレイ複合体は、図13または図16で描写されるように設計される。
【0170】
本発明のペプチドまたはそれらの模倣物を含有する医薬組成物
別の態様では、本発明は、組成物、例えば、薬学的に容認可能な担体とともに処方される、本発明の方法によって生成される1つのペプチドまたはペプチドの組み合わせ(例えば、2つ以上の異なるペプチド)を含有する、医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物はまた、併用療法において投与し、すなわち、他の薬剤と組み合わせることができる。例えば、併用療法は、特定の疾患または適応症を治療するために有用な他の適切な医薬品と組み合わせた、本発明のペプチドまたはその模倣物を含むことができる。
【0171】
本明細書で使用される、「薬学的に容認可能な担体」は、生理学的に適合する、任意の溶媒、分散媒体、被覆、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含む。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄および表皮投与(例えば、注射または注入による)に好適である。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち、本発明のペプチドまたはその模倣物は、化合物を非活性化し得る酸および他の自然条件の作用から化合物を保護する材料で被覆してもよい。
【0172】
本発明の医薬化合物は、1つ以上の薬学的に容認可能な塩を含んでもよい。「薬学的に容認可能な塩」とは、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、いずれの望ましくない毒性効果も付与しない塩を指す(例えば、Berge,S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1−19を参照)。そのような塩の例は、酸添加塩および塩基添加塩を含む。酸添加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等の非毒性無機酸に由来するもの、ならびに、脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等物等の非毒性有機酸を含む。塩基添加塩は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属に由来するもの、ならびに、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等の非毒性有機アミンに由来するものを含む。
【0173】
特定の実施形態では、本発明の方法によって選択されるペプチドまたはそれらの模倣物は、生理学的等張塩条件を達成するように、塩化ナトリウムとともに水中で溶解してもよい。
【0174】
本発明の医薬組成物で用いることのできる、好適な水性または非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油等の植物油、オレイン酸エチル等の注射用有機エステルを含む。適正な流動性は、例えば、レシチン等の被覆材料の使用によって、分散の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0175】
これらの組成物はまた、保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤等のアジュバントを含有してもよい。微生物の存在の予防は、滅菌手順と、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の包含との両方によって、確保することができる。また、糖、塩化ナトリウム等の等張剤を組成物の中に含むことが望ましい場合がある。さらに、注射用医薬形態の持続的吸収を、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン等の、吸収を遅延する作用物質を含むことによって引き起こすことができる。
【0176】
薬学的に容認可能な担体は、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。薬学的活性物質用のそのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野で知られている。任意の従来の媒体または作用物質が活性化合物と非混合性である場合を除いて、本発明の医薬組成物でのその使用が意図される。補助的な活性化合物も、組成物に組み込むことができる。
【0177】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒といった固体製剤を、腸溶被覆および製材処方技術分野で周知である他の被覆等の、被覆および外殻を用いて調製することができる。それらは、随意で、乳白剤を含有してもよく、また、腸管のある部分の中で、随意で遅延して、活性成分のみを放出するかまたは優先的に活性成分を放出する組成物となり得る。使用することができる包理組成物は、ポリマー物質および蝋を含む。ペプチドはまた、適切であれば、1つ以上の賦形剤を有するマイクロカプセル化形態となり得る。
【0178】
治療用組成物は、典型的には、製造および保管条件下で無菌かつ安定していなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高薬剤濃度に好適な他の秩序構造として処方することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、およびそれらの好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒体となり得る。適切な流動性は、例えば、レシチン等の被覆の使用によって、分散の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖、マンニトール等の多価アルコール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物に含むことが好ましくなる。例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチン等の、吸収を遅延する作用物質を組成物に含むことによって、注射用組成物の持続的吸収を引き起こすことができる。
【0179】
溶液として処方される組成物は、例えば、適切な量の塩を含有するように溶液を調製することによって、点眼器による目への投与のために好適にされてもよい。
【0180】
本発明の方法によって選択される、ペプチドまたはその模倣物を含有するリポソームは、その全体で参照により内容が本明細書に組み込まれる、Epsteiら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692(1985))、Hwangら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030−4034(1980))、EP52,322、EP36,676、EP88,046、EP143,949、EP142,641、日本特許出願83−118008、およびEP102,324、ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号によって説明されているもの等の周知の方法のうちのいずれかに従って調製することができる。リポソームは、脂質含有量が約10モルパーセントコレステロール超、好ましくは、10〜40モルパーセントコレステロールの範囲であり、最適なペプチド療法のために調整されている選択された割合である、小さな(約200〜800オングストローム)単層型であってもよい。しかしながら、本開示を読むと当業者によって理解されるように、リポソーム以外のリン脂質小胞も使用することができる。
【0181】
滅菌注射用溶液は、必要に応じて、上で列挙される1つの成分または成分の組み合わせとともに、必要量の適切な溶媒に活性化合物を組み込むことによって調製することができ、その後に滅菌精密濾過が続く。概して、分散液は、塩基性分散媒体と、上で列挙されるものからの他の必要な成分とを含有する賦形剤に、活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、その以前に滅菌濾過された溶液からの任意の所望の成分に加えて、活性成分の粉末を生じる、真空乾燥および冷凍乾燥(凍結乾燥)である。
【0182】
単一剤形を産生するように担体材料と組み合わせることができる、活性成分の量は、治療されている対象、および特定の投与様式に応じて変化する。単一剤形を産生するように担体材料と組み合わせることができる、活性成分の量は、概して、治療効果を生じる組成物の量となる。概して、100パーセントのうち、この量は、薬学的に容認可能な担体と組み合わせた、約0.01パーセントから約99パーセントの活性成分、好ましくは約0.1パーセントから約70パーセント、最も好ましくは約1パーセントから約30パーセントの活性成分の範囲である。
【0183】
投与計画は、最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラス投与されてもよく、いくつかの分割投与量が経時的に投与されてもよく、または、治療状況の緊急要件によって示されるように、投与量を比例的に低減または増加させてもよい。投与の容易性および投与量の均一性のために、投与単位で非経口組成物を処方することが特に有利である。本明細書で使用される投与形態単位は、治療される対象に対する単一投与量として適した、物理的に不連続な単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された、所定量の活性化合物を含有する。本発明の投与単位形態の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴、および達成される特定の治療効果、ならびに(b)個人の感受性の治療のためにそのような化合物を構成する技術分野に固有の制限によって決定付けられ、かつそれらに直接依存する。
【0184】
本発明のペプチドまたはその模倣物の投与のために、投与量は、0.0001〜100mg/kg、より通常は宿主体重の1kgにつき0.01〜5mgの範囲である。例えば、投与量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重、または10mg/kg体重、あるいは1〜10mg/kgの範囲内となり得る。例示的な治療計画は、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、月に1回、3ヶ月毎に1回、または3〜6ヶ月毎に1回の投与を伴う。本発明の構成成分に対する好ましい投与計画は、静脈内投与を介した1mg/kg体重または3mg/kg体重を含み、以下の投薬スケジュールのうちの1つを使用して抗体が与えられる:(i)6回投与量について4週間毎、次いで3ヶ月毎、(ii)3週間毎、(iii)3mg/kg体重を1回、その後に、3週間毎に1mg/kg体重。
【0185】
代替として、本発明の方法によって選択されるペプチドまたはその模倣物は、徐放性製剤として投与することができ、その場合、頻度のより低い投与が要求されることとなる。投与量および頻度は、患者における投与物質の半減期に応じて変化する。投与量および投与の頻度は、処置が予防であるか治療であるかに応じて変化し得る。予防用途では、比較的低頻度の間隔で長期間にわたって、比較的低い投与量が投与される。一部の患者は、治療を一生受け続ける。治療用途では、疾患の進行が低減または終結されるまで、好ましくは、患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、比較的短い間隔での比較的高い投与量が必要とされることがある。その後、患者に予防投薬計画を投与することができる。
【0186】
本発明の組成物の中の活性成分および小分子の実際の投与量レベルは、患者にとって毒性となることなく、かつ特定の患者に対する所望の治療反応、組成物、および投与様式を達成するのに効果的である活性成分の量を得るように、変化させることができる。選択された投与量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物、またはそれらのエステル、塩、またはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物の排出速度、治療の持続時間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬剤、化合物、および/または物質、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的健康、および既往歴、および医療技術分野で周知である他の同様の因子を含む、種々の薬物動態学的因子に依存する。
【0187】
本発明の方法によって選択されるペプチドまたはその模倣物の「治療的有効投与量」は、好ましくは、疾患の症状の重症度の減少、疾患の症状がない期間の頻度および持続時間の増加、または疾患の苦痛による障害または身体障害の予防をもたらす。例えば、腫瘍の治療のために、「治療的有効投与量」は、好ましくは、未治療の対象に対して、少なくとも約10%または20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらに好ましくは少なくとも約60%、なおもさらに好ましくは少なくとも約80%、細胞増殖または腫瘍増殖を阻害する。腫瘍増殖を阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデルシステムにおいて評価することができる。代替として、組成物のこの特性は、化合物の阻害能力を調べることによって評価することができ、そのようなインビトロ阻害は、熟練の従事者に知られている分析によって評価することができる。治療用化合物の治療的有効投与量は、腫瘍のサイズを減少させることができ、あるいは対象における症状を改善することができる。当業者であれば、対象のサイズ、対象の症状の重症度、および選択された特定の化合物または投与経路等の因子に基づいて、そのような量を判定できるであろう。
【0188】
本発明の組成物は、当技術分野で知られている種々の方法のうちの1つ以上を使用して、1つ以上の投与経路を介して投与することができる。当業者によって理解されるように、投与経路および/または様式は、所望の結果に応じて変化する。本発明の結合部分のための好ましい投与経路は、例えば、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄、または他の非経口投与経路を含む。本明細書で使用される「非経口投与」という語句は、腸内および局所投与以外の、通常は注射による、投与様式を意味し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心腔内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨内注射および注入を含む。
【0189】
代替として、本発明のペプチドまたはその模倣物は、局所、表皮、または粘膜投与経路等の非経口経路を介して、例えば、鼻腔内、経口、経膣、経直腸に、舌下、または局所投与することができる。
【0190】
活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムを含む、放出制御製剤等の、急速放出に対して化合物を保護する担体を用いて調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸等の、生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製のための多くの方法が、特許を有し、または当業者に概して知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照されたい。
【0191】
治療用化合物は、当技術分野で知られている医療機器を用いて投与することができる。例えば、好ましい実施形態では、本発明の治療用化合物は、米国特許第5,399,163号、第5,383,851号、第5,312,335号、第5,064,413号、第4,941,880号、第4,790,824号、または第4,596,556号で開示されている機器等の、無針皮下注射器を用いて投与することができる。本発明で有用な周知のインプラントおよびモジュールの例は、制御された速度で薬物を分注するための埋込型マイクロ注入ポンプを開示する米国特許第4,487,603号、皮膚を通して薬剤を投与するための治療デバイスを開示する米国特許第4,486,194号、正確な注入速度で薬物を送達するための薬物注入ポンプを開示する米国特許第4,447,233号、連続薬剤送達のための可変流量埋込型注入装置を開示する米国特許第4,447,224号、多重チャンバ区画を有する浸透圧薬剤送達システムを開示する米国特許第4,439,196号、および浸透圧薬剤送達システムを開示する米国特許第4,475,196号を含む。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。多くの他のそのようなインプラント、送達システム、およびモジュールが当技術分野で知られている。
【0192】
本発明はさらに、以下の実施例において例証されるが、それらは限定的と解釈されるべきではない。
【0193】
例示
実施例の全体を通して、特に記述がない限り、以下の材料および方法を使用した。
【0194】
材料および方法
一般に、本発明の実践は、特に示されない限り、当技術分野の範囲内であり、かつ文献で説明されている、化学、分子生物学、組み換えDNA技術、PCR技術、免疫学(特に、例えば、抗体技術)、発現系(例えば、無細胞発現、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、およびProfusion)、および任意の必要な細胞培養の従来の技法を採用する。例えば、Sambrook,Fritsch and Maniatis,Molecular Cloning:Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);DNA Cloning,VoIs.1 and 2,(D.N.Glover,Ed.1985);Oligonucleotide Synthesis(MJ. Gait,Ed.1984);PCR Handbook Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,Beaucage,Ed.John Wiley&Sons(1999)(Editor);Oxford Handbook of Nucleic Acid Structure,Neidle, Ed.,Oxford Univ Press(1999);PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications, Innis et al.,Academic Press(1990);PCR Essential Techniques:Essential Techniques,Burke,Ed.,John Wiley&Son Ltd (1996);Ike PCR Technique:RT−PCR,Siebert,Ed.,Eaton Pub.Co.(1998);Antibody Engineering Protocols(Methods in Molecular Bioogy),510,Paul,S.,Humana Pr(1996);Antibody Engineering:A Practical Approach(Practical Approach Series,169),McCafferty,Ed.,IrI Pr(1996);Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow et al,C.S.H.L.Press,Pub.(1999);Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.,John Wiley&Sons(1992);Large−Scale Mammalian Cell;Culture Technology,Lubiniecki,A.,Ed.,Marcel Dekker,Pub.,(1990)を参照されたい。
【0195】
本発明の組成物および方法は、いくつかの実施形態では、任意の他の当技術分野で認識されているインビトロディスプレイシステム、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,195,880号、第6,951,725号、第7,078,197号、第7,022,479号、第6,518,018号、第7,125,669号、第6,846,655号、第6,281,344号、第6,207,446号、第6,214,553号、第6,258,558号、第6,261,804号、第6,429,300号、第6,489,116号、第6,436,665号、第6,537,749号、第6,602,685号、第6,623,926号、第6,416,950号、第6,660,473号、第6,312,927号、第5,922,545号、第6,194,550号、第6,207,446号、第6,214,553号、および第6,348,315号で説明されているものと併せて使用することができる。
【実施例】
【0196】
本開示はさらに、以下の実施例によって例証されるが、それらは、さらに限定的と解釈されるべきではない。
【0197】
実施例1
ナイーブ抗体ライブラリの設計および構築
細胞の供給源
ライブラリの多様性を確保するように、合計624名の異なる健康な個人の全骨髄(10名のドナー)、脾臓細胞(13名のドナー)、および末梢単核球(601名のドナー)から、mRNAを取得した。VHライブラリの計算された多様性は10〜1010であり、VLライブラリは10〜10である。
【0198】
ライブラリ構築
VHおよびVLライブラリ構築にRT−PCRを使用した。
【0199】
IgM、IgG、およびIgAのH鎖定常領域(Cμ1、Cγ1、およびCα1)、カッパおよびラムダのL鎖定常領域(Cκ1およびCλ1)からの特異的プライマーを使用して、第1鎖cDNAを合成した。
【0200】
可変H鎖ライブラリ構築のために、複数のセンスプライマー(縮重プライマー)を、上流UTR配列(VH1−7UTR)を有するVH1−7ファミリーの構成要素のFR1領域から設計した。VHに対するアンチセンスプライマーを、cDNA合成のためのプライマーにネスト化した定常領域(Cμ2、Cγ2、およびCα2)から設計した。可変軽鎖ライブラリ構築のために、複数のセンスプライマーを、一本鎖Fvシャッフリングを可能にするように、リンカー配列の上流の12個のアミノ酸を有する各ファミリーのVκおよびVλFR1領域から設計した。κおよびλ遺伝子増幅のためのアンチセンスプライマーを、同じCκ2下流(JλCκ2)を有するCκ1(Cκ2)またはJλにネスト化した定常領域から設計した。全てのIgMおよびIgGファミリーのアセンブリされたscFvは、必要であれば、下流末端において同じCκ2配列を有する。
【0201】
VHライブラリ構築のために、B細胞および精製されたゲルの3つ全ての供給源に対する個々のペアとして、Cμ2、Cγ2、Cα2、およびVH1−7UTRを用いて、PCRを行った。精製後、3つの供給源から増幅された個別のファミリーをプールし、7つの(VH1−7)IgMライブラリ、7つの(VH1−7)IgGライブラリ、および7つのIgAライブラリ(VH1−7)を生成した。VLライブラリ構築のために、B細胞の3つの供給源に対するCκ2およびVκまたはJλCκ2混合物およびVλを用いて、PCRを行った。ゲル精製後、VκおよびVλライブラリを生成するように、異なる供給源からのVκおよびVλライブラリをプールした。
【0202】
ライブラリ修飾
また、インビトロ転写、5’末端における翻訳シグナル配列、および3’末端におけるタグ配列を保有するように、IgM、IgG、IgA VHライブラリおよびVLライブラリを修飾した。これらのVHライブラリは、ストレプトアビジンディスプレイライブラリにする準備ができている。
【0203】
ライブラリ構築のためのオリゴ配列
VHおよびVL Xディスプレイライブラリを生成するために、表2に示すオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。
【0204】
実施例2
ストレプトアビジンディスプレイライブラリの産生および使用
この実施例は、本発明のストレプトアビジンディスプレイライブラリの産生および使用を説明する。
【0205】
材料および方法
一般に、本発明の実践は、特に示さない限り、化学、分子生物学、組み換えDNA技術、免疫学(特に、例えば、抗体技術)の従来技法、およびポリペプチド調製の標準技法を用いることができる。例えば、Sambrook,Fritsch and Maniatis,Molecular Cloning:Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);Antibody Engineering Protocols(Methods in Molecular Biology),510,Paul,S.,Humana Pr(1996);Antibody Engineering:A Practical Approach(Practical Approach Series,169),McCafferty,Ed.,IrI Pr(1996);Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow et ah,C.S.H.L.Press,Pub.(1999);およびCurrent Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et ah,John Wiley&Sons(1992)を参照されたい。
【0206】
緩衝剤
10X化学的ライゲーション緩衝剤:250mMトリスpH7および1M NaCl
1XオリゴdT結合緩衝剤:100mMトリスpH8、1M NaCl、および0.05%Triton X−100
2XオリゴdT結合緩衝剤:200mMトリスpH8、2M NaCl、および0.1%Triton X−100
1X flag結合緩衝剤:50mM HEPES、150mM NaCl、および0.025%Triton X−100または1X PBSおよび0.025%Triton X−100
5X flag結合緩衝剤:250mM HEPES、750mM NaCl、および0.125%Triton X−100または5X PBSおよび0.125%Triton X−100
【0207】
使用された試薬の供給源
Megascript T7:Ambion(Austin,TX)PH1334
Retic lysate IVT:Ambion(Austin,TX)PH1200
UC Master mix−met:Ambion(Austin,TX)PH1223G
Superscript II RNaseH− RT:Invitrogen(Carlsbad,CA)#18064−014
NAP−25カラム:Amersham Pharmacia Biotech(Sunnyvale,CA)#17−0852−01
第7型オリゴdTセルロース:Amersham Pharmacia Biotech(Sunnyvale,CA)#27−5543−03
抗flagM2アガロースアフィニティーゲル:Sigma(St.Louis,MO)#A2220
Flagペプチド:Sigma(St.Louis,MO)#F3290
dNTP:Amersham Pharmacia Biotech(Sunnyvale,CA)#27−2035−01
Herculase Hotstart DNAポリメラーゼ:Stratagene(La Jolla,CA)600312−51
ミニスピンカラム:Biorad(Hercules,CA)#732−6204
Ultrapure BSA:Ambion(Foster City,CA)#2616
剪断サケ精子DNA:Ambion(Foster City,CA)#9680
リンカー:PBI、DDB、BPP:Trilink BioTechnologies,Inc.(San Diego,CA)
O:OmniPur(Gibbstown,NJ)#9610
2M KCl:Usb(Cleveland,OH)#75896
1M MgC12:Usb(Cleveland,OH)#78641
0.5M EDTA:Usb(Cleveland,OH)#15694
1MトリスpH8:Usb(Cleveland,OH)#22638
1MトリスpH7:Usb(Cleveland,OH)#22637
5M NaCl:Usb(Cleveland,OH)#758881M HEPES:Usb(Cleveland,OH)#16924
Qiaquickゲル抽出キット:Qiagen(Valencia,CA)#28706
6% TBE−Urea gels:Invitrogen(Carlsbad,CA)EC6865BOX
4−16% NativePAGE Gel:Invitrogen(Carlsbad,CA)
【0208】
特殊試薬の調製
オリゴdTセルロース(最終濃度:100mg/ml)
2.5gのオリゴdTセルロースを、50ml管の中で25mlの0.1N NaOHと混合した。混合物を1500rpmで3分間回転させた後、結果として生じた上清を廃棄した。結果として生じたオリゴdTセルロースを含有するペレットを、25mlの1XオリゴdT結合緩衝剤で洗浄し、1500rpmで3分間回転させることによって、再び沈殿させた。結果として生じた上清を再びペレットから分離し、廃棄した。この洗浄工程をさらに3回繰り返した。最後の洗浄後、結果として生じた上清のpHを測定した。pHは、洗浄緩衝剤と同じとなるべきである(約pH8.5)。次いで、オリゴdTセルロースを含有するペレットを上清から分離し、25mlの1XオリゴdT結合緩衝剤に再懸濁した後、4℃で保管した。
【0209】
M2アガロースの調製
25mlのM2アガローススラリーを50mlの管の中に移した。Beckman遠心分離機の中で1000rpmにて5分間回転させた後、上清を分離して廃棄した。結果として生じたM2アガロースを含有するペレットを、10mM、pH3.5のグリシンの1カラム容量で再懸濁し、1000rpmで5分間回転させた。結果として生じた上清を再び廃棄した。次いで、アガロースペレットを1Xflag結合緩衝剤の1カラム容量で再懸濁した。混合物を1000rpmで5分間回転させ、結果として生じた上清を廃棄した。この洗浄工程をさらに3回繰り返し、次いで、ペレットを1X結合緩衝剤の1カラム容量(1mg/mlのBSAおよび100μg/mlのsssDNAを有する)で再懸濁した。混合物を、4℃で1時間または一晩回転させた後、2ml分画のアリコートに分離して4℃で保管した。
【0210】
VHライブラリの増幅
VHライブラリを増幅するための例示的方法を以下に挙げる。
【0211】
プライマー:
5’プライマー:S7(T7TMVUTR)
5’−TAATACGACTCACTATAGGGACAATTACTATTTACAATTACA−3’(配列番号:52)
5’プライマー:S7a(T7TMVUTR AUG)
5’−TAATACGACTCACTATAGGGACAATTACTATTTACAATTACAATG−3’(配列番号:53)
3’プライマー:XB−S5−1(Cμ2flagA20+SAディスプレイ付加配列)
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTAAAT AGC GGA TGC TAA GGA CGA
CTTGTCGTCGTCGTCCTTGTAGTC GGTTGGGGCGGATGCACTCCC−3’(配列番号:54)
リバースフレーム1(プライマーと相補的なコード鎖の翻訳):1 G S A S A P T D Y K D D D D K S S L A S A I (STOP)K K K K K K(配列番号:55)
【0212】
反応構成:

【0213】
温度サイクルプログラム:

50℃のTmは、概算であり、PCRプライマーの選択に依存する。
【0214】
ライブラリの精製:
増幅したVHライブラリDNAを2%アガロースゲル上で分離した。Qiaquickゲル抽出キット(Qiagen #28706,Valencia,CA)および300μlのHOの中での再構成を使用して、ゲルスライスからのDNA抽出のために、紫外線光の下で400bpバンドを切り取った。5μLの精製DNAを、2%E−ゲル上での電気泳動のために適用した。回収率は約80%と見込まれた。
【0215】
転写
反応構成(MEGAscript kit(商標),Ambion PH1334,Foster City,CA)
第1回のライブラリ産生に関しては、フルスケースのRNA転写(500μl)が推奨される。反応容量は、後で縮小することができる。

【0216】
インキュベーション
上記のような反応混合物を、1〜2時間、好ましくは最大で一晩、37℃でインキュベートした。
【0217】
精製
例示的精製方法は、以下で挙げられるNAP−25カラム上の分画である。NAP10およびNAP5カラムを小規模産生の精製に使用することができ、その場合、分画容量はそれに応じて変化させられるべきである。
【0218】
NAP−25カラムを使用する精製過程のために、500μlの転写反応ごとに25μLのDnase Iを添加することができる。500μLのフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコールが混合物に添加される、フェノール抽出の前に、混合物を37℃で15分間インキュベートする。次いで、混合物を30秒間ボルテックスすることができる。次いで、混合物を5分間微量遠心分離した後に、水相を回収することができる。この水相の装填の前に、カラムを通して10mLのdHOを滴下することによって、NAP−25カラムを予洗することができる。次いで、抽出された転写混合物を、洗浄されたカラムに装填し、カラムに流し込むことができる。次いで、800μLのdHOをカラムに添加し、通過物を収集することができる。この溶出過程を5回繰り返すことができ(E1−E5)、収集したサンプルのRNA濃度を分光光度計上のA260によって測定することができる。2μLのサンプルを、QCに対する2%E−ゲル上での電気泳動のために適用することができる。最も多くのRNAを含有する分画をライゲーションに使用することができる(E3は少量しか含有せず、E4はピーク分画であり、E5はRNAおよび遊離NTPの混合物を含有する)。
【0219】
RNAの濃度を計算するために、5μlの各溶出物を995μlのHOと混合した後、混合物のODを測定することができる。

【0220】
代替的なRNA精製手順(LiCl沈殿)を以下に例示する。
【0221】
500μlの転写反応ごとに500μLの10M LiClを添加した後、混合物を−20℃で30分から1時間凍結させることができる。次いで、混合物を最大速度で20分間遠心分離するために適用することができる。結果として生じる上清が廃棄される一方で、50μlの3M NaOAcおよび50μLのdHOにペレットを再懸濁することができる。標準的EtOH沈殿を実施することができる。結果として生じるペレットは、100μLのdHOに溶解させることができ、次いで、Qubitを使用してRNA濃度を測定することができる。
【0222】
光架橋
ストレプトアビジンのアセンブリに使用されるビオチン部分を含有する、2’0−Me RNAリンカーPBIおよびDNAリンカーDDB−1の、2種類のソラレンリンカーを使用する。

XB−PBI(SA/DNAディスプレイリンカーOMe RNA/DNA):
5’−(ソラレンC6)u agc gga(ビオチン−dT)gc uaa ggA CGA−3’

XB−DDB−1(DNAディスプレイリンカー):
5’−(ソラレンC6)(C7−NH2−EZビオチン)T AGC GGA TGC TAA GGA CGA −3’

ソラレン C6
u,a,g,c=2−MeO−RNA
A,C,G=標準デオキシアミダイト
C7−NH2-アミノスペーサー7
EZ−ビオチン、Pierce EZ−リンクTFP−スペーサー−ビオチン

リバースフレーム1(コード鎖に出現するようなリンカー領域の翻訳):S S L A S A
**リンカーは感光性であり、アルミニウム箔等により光から保護される必要がある。
【0223】
反応構成では、リンカー/RNAの比は、1.5:l(最大)から1.1:1(十分)となり得る。
【0224】
第1回の反応では、多様性を網羅するように、大規模産生が提案される(1〜2nmolのRNA)。以降の回では、RNA入力は、100〜600pmolに低減されてもよい。

(ライゲーションにおけるRNAの最終濃度は、3〜15pmol/ulになる。ライゲーション容量は変化させることができる。)
【0225】
PCRサーモサイクラーでアニールするために、サンプルを85℃で30秒間、そして0.3℃/秒の速度で4℃までインキュベートすることができる。
【0226】
照射するために、1μLの100mM DTTをアニールしたライゲーション混合物に添加することができる。この混合物を、薄壁0.5mlエッペンドルフチューブに移すか、または同じPCR管の中で保持することができる。照射過程は、室温で6分間、「長波」(365nm)で手持ち式多波長UVランプ(Uvp.com(Upland,CA)#UVGL−25)を用いて行うことができる。約50〜90%のRNAが精製の必要とともにライゲーションされることが予期される。
【0227】
ライゲーションしたRNAのQCのために、ライゲーション効率をチェックするように、サンプルを6%TBUゲル上での電気泳動のために適用することができる。具体的には、6%TBUゲルを300Vの下で15分間予備作動させることができ、その後に、コームを除去し、ウェルを徹底的に洗浄する。次いで、各ウェルに対して、約10〜15pmolの遊離RNAまたはライゲーションRNAを、(転写キットからの)2Xローディングバッファーと混合し、90℃で3分間ともに加熱することができ、その後に氷の上で冷蔵する。次いで、予熱した遊離またはライゲーションRNAの両方を、青色色素が底に到達するまで、300Vで電気泳動するために予熱したゲルのウェルに装填することができる。
【0228】
例示的実験を図30のように実行した。具体的には、KDR mRNAをインビトロ転写し、LiCl沈殿によって反応から精製した。85℃まで加熱し、その後に、1x X−リンク緩衝剤中で4℃まで徐々に冷却することによって、1等量のPBIリンカーをmRNAサンプルにアニールした。DTTを1mMの最終濃度に添加した。サンプルを異なる時間量にわたって365nm波長でインキュベートし、次いで、6%TBU変性ゲル上で分解した。画像は、ゲルの紫外線陰影である。図30に示されるように、5分間の照射後に架橋結合が観察される(レーン7)。さらに、光架橋のために6分間の照射を使用した。
【0229】
ストレプトアビジンの負荷
ストレプトアビジンは、10−15MのKdというきわめて高親和性でそのリガンドビオチンに結合する、顕著に安定した四量体タンパク質である。
【0230】
A.PBIリンカーを用いる
RNAに対するPBIリンカーのO−Me RNA部分の高いTmにより、水による5〜10倍希釈である、元の100mM NaCl緩衝剤(1x X−結合緩衝剤中など)を10〜20mM塩に希釈することが推奨される。1/2から1/4等量のストレプトアビジン(Prozyme,San Leandro,CA)溶液を、PBSまたは1x X−結合緩衝剤に添加することができ、例えば、4μM X−結合RNAに対して1〜2μM最終濃度のストレプトアビジンを添加することができる。次いで、1μLのRNAsineを添加することができ、混合物をヒートブロックの中で48℃にて1時間インキュベートすることができる。
【0231】
B.DDBリンカーを用いる
DDBリンカーは全DNA分子であるため、1x X−結合緩衝剤(100mM NaCl)の希釈は必要とされない。DDBリンカーは、より良好なSA負荷に適応することができ、ストレプトアビジンに対して、わずか1.5〜2倍過剰量の架橋mRNAを使用することが可能である。1/2または1:1.5等量のストレプトアビジン(Prozyme,San Leandro,CA)溶液を、PBSまたは1x X−結合緩衝剤に添加することができ、例えば、4μM X−結合RNAに対して2〜2.5μM最終濃度のストレプトアビジンを添加することができる。次いで、1μLのRNAsineを添加することができ、混合物をヒートブロックの中で48℃にて1時間インキュベートすることができる。
【0232】
それぞれの場合(AまたはB)において、少なくとも50%以上で最大80%のストレプトアビジンが負荷されることが予期できる。
【0233】
ピューロマイシンリンカーBPPの負荷
BPP:5’ビオチン−BB Cy3−(スペーサー18)4−CC Pu
BPP−8:5’ビオチン−BB Cy3−(スペーサー18)8−CC Pu
Cy3色素
4または8単位のスペーサー18
Pu=ピューロマイシン−CPG
【0234】
BPPリンカーは、3’末端におけるペプチド受容体分子である、ピューロマイシンを含有する(このペプチド受容体は、リボソームのA部位に進入し、新生ポリペプチド鎖のCOOH末端に共有結合する)。リンカーは、各X−結合mRNA分子上に負荷されたストレプトアビジン分子に結合する5’末端においてビオチンを有する。このペプチド受容体は、最終的に、このmRNA(表現型)によってコードされるタンパク質へのmRNA(遺伝子型)の非共有の緊密な会合を可能にする。各種のBPPリンカー(より短い4xスペーサー−18を有する、またはより長い8xスペーサー18を有する)は、可視化のための蛍光Cy−3色素部分(Ex.550、Em.570nm)を含有する。Cy−3の代わりに、フルオレセイン、BODIPY、Cy−5、ローダミン等の、他の蛍光染料を使用することができる。
【0235】
具体的には、(ストレプトアビジンの量に対して)1等量の対応BPPリンカーを、負荷したストレプトアビジン−mRNAアセンブリに添加することができる。混合物は、室温で15分間インキュベートすることができる。ストレプトアビジンに対するほぼ100%のBPPリンカーが結合に対して予期できる。
【0236】
例示的実験を図31のように実行した。具体的には、KDR mRNAをインビトロ転写し、LiCl沈殿によって反応から精製した。85℃まで加熱することによって1等量のPBIまたはDDBリンカーをmRNAサンプルにアニールし、その後に、100mM NaClを含有する1x X−結合緩衝剤中で4℃までゆっくりと冷却した。次いで、PBI−x−結合mRNAのサンプルを、20mMの最終NaCl濃度まで5倍希釈した。DDB−x−結合mRNAのサンプルは、未希釈で使用した。ストレプトアビジン負荷のために、約1/2等量のストレプトアビジンを各サンプルに添加し、その後に、室温または50℃で1時間インキュベートした。次いで、BPP−Cy3リンカーを、ストレプトアビジンと同等の量で、各サンプルに添加した。室温での15分間のインキュベーション後、結果として生じたアセンブリを4〜16%NativePage上で分解した。
【0237】
任意の工程:オリゴdTカラム上のSAアセンブリの精製
mRNAは20A末端を含有するため、この工程においてオリゴdTカラム上で精製することができる。この精製は、必須ではないが、次の工程で融合体収率をある程度改善する場合がある。
【0238】
アセンブリ精製
等容量の2XオリゴdT結合緩衝剤(200mMトリス、pH8、2M NaCl、20mM EDTA、0.1%Triton)を、調製したmRNA−SAアセンブリに添加することができる。次いで、オリゴ−dTセルロースを混合物の中に添加した後、4℃で30〜60分間振動させることができる(100mgの処理/洗浄済みオリゴdTセルロース(1mLのスラリー)が、最大1nmolのRNA入力を捕捉するのに十分である)。混合物は、4℃にて1500rpmで3分間、卓上遠心分離機の中で回転させることができる。結果として生じる上清は廃棄される。結果として生じるペレットは、700μLのオリゴdT洗浄緩衝剤(100mMトリス、pH8、1M NaCl、EDTA無し、0.05%Triton x−100)に再懸濁し、ドリップ/スピンカラム(BioRad #732−6204,Hercules,CA)上に装填し、次いで、1000rpmで10秒間、マイクロフュージの中で回転させることができる。カラムは、700μLのオリゴdT洗浄緩衝剤で洗浄し、1000rpmでさらに10秒間回転させることができる。洗浄工程は、8回繰り返すことができる(各洗浄中、洗浄緩衝剤を通して回転させることが困難となっている場合は、遠心分離rpmおよび時間が増加させられてもよいが、1500rpmを超えない)。5μLの最終洗浄物を、計数のために収集することができる。次いで、mRNA−SAアセンブリをdHOで溶出することができる。60μLのdHOをE1に使用することができ、その後に、1500rpmで10秒間回転させる(5μLが集計に使用される)。E2については、500μLのdHOをカラムに添加することができる。室温で5分間のインキュベーション後、4000rpmで20秒間回転させた後にE2を収集することができる(5μLが集計に使用される)。E3については、300μLのdHOをカラムに添加し、室温で5分間インキュベートすることができる。次いで、4000rpmで20秒間回転させた後にE3を収集することができる(5μLが集計に使用される)。この実施例では、E2は80%のmRNA−SAアセンブリを含有する。
【0239】
翻訳
翻訳容量は、RNA入力の量に基づいて変化し得る。例示的条件を以下に挙げる。
【0240】
翻訳構成(300μL)

【0241】
混合物は、水浴またはインキュベータの中(水ブロックの中)で30℃にて45分から1時間、インキュベートすることができる。
【0242】
融合体形成
100μLの2M KCl(最終500mM)を、20μLの1M MgCl(最終50mM)と混合し、室温で1時間インキュベートすることができる。結果として生じる混合物は、随意で凍結させ、−20℃で最大数日間保管することができる。また、凍結は融合体収率をある程度改善する。
【0243】
次いで、リボソームを分解し、リボソームを含まない融合体を産生するように、50μLの0.5M EDTAを、この混合物に添加することができる(10μLがQCのために保存される)。
【0244】
選択のための例示的翻訳規模として、第1回については1.2nmolのRNA(10×300μL)、第2回については600pmolのRNA(5×300μL)、および第3回およびそれ以降については120〜600pmolのRNA(1〜5×300μL)である。
【0245】
オリゴdTセルロースによる融合体精製:PBIリンカー
オリゴdT精製は、RNA融合体分子(プラスRNA)の精製を可能にし、インビトロ翻訳によって生成された遊離タンパク質分子を除去する。この手順およびそれに続く逆転写工程は、PBIリンカーアセンブリが翻訳される時には使用されるべきである。DDB−リンカーアセンブリの場合は、異なる手順が推奨される。
【0246】
融合体の精製
等容量の2XオリゴdT結合緩衝剤(200mMトリス、pH8、2M NaCl、20mM EDTA、0.1%Triton)を、翻訳/融合体混合物に添加することができる。次いで、オリゴ−dTセルロースを混合物に添加した後、4℃で30〜60分間振動させることができる(100mgの処理/洗浄済みオリゴdTセルロース(1mLのスラリー)が、最大1nmolのRNA入力の翻訳/融合体を捕捉するのに十分である)。4℃にて1500rpmで3分間、卓上遠心分離機の中で回転させた後、結果として生じる上清は廃棄される。結果として生じるペレットは、700μLのオリゴdT洗浄緩衝剤(100mMトリス、pH8、1M NaCl、EDTA無し、0.05%Triton x−100)に再懸濁し、ドリップ/スピンカラム(BioRad #732−6204,Hercules,CA)上に装填することができ、その後に、1000rpmで10秒間、マイクロフュージの中で回転させる。結果として生じるペレットは、700μLのオリゴdT洗浄緩衝剤に再懸濁させた後に、1000rpmで10秒間回転させてペレットを再沈殿させることができる。この洗浄工程は、8回繰り返すことができる(各洗浄中、洗浄緩衝剤を通して回転させることが困難となっている場合は、遠心分離rpmおよび時間が増加させられてもよいが、1500rpmを超えない)。5μLの最終洗浄を、集計のために収集することができる。洗浄後、dHOを溶出に使用することができる。例えば、60μLのdHOをE1に使用することができ、その後に、1500rpmで10秒間回転させる(5μLが集計に使用される)。E2については、500μLのdHOをカラムに添加することができる。室温で5分間のインキュベーション後、4000rpmで20秒間回転させた後にE2を収集することができる(5μLが集計に使用される)。E3については、300μLのdHOをカラムに添加し、室温で5分間インキュベートすることができる。次いで、4000rpmで20秒間回転させた後にE3を収集することができる(5μLが集計に使用される)。この実施例では、E2は80%のmRNA−SAアセンブリを含有する。
【0247】
融合体産生の推定:
オリゴdTセルロースからの融合体の溶出は、当技術分野で知られている方法、例えば、ゲル電気泳動、蛍光密度測定、または放射性標識集計等によって、さらに分析することができる。
【0248】
逆転写:PBIリンカー
RNA−cDNAハイブリッドは、RNAを安定させ、その2次構造を低減するように、および選択後のPCRに対するテンプレートとしての機能を果たすように作製される。PBIリンカーの場合、逆転写は、外部プライマー(S6)からが好ましいが、より低い効率では、リンカーの4つの3’ヌクレオチドがDNAであるため、PBIリンカーから行うことができる。これは、潜在的にアセンブリをDNAディスプレイ融合体に変換することができるが、我々は、その目的で、異なる全DNAリンカーであるDDBを使用する。
【0249】
外部RTプライマー:
XB−S6−1:5’−TTAAAT AGC GGA TGC TAA GGA CGA
CTTGTCGTCGTCGTCCTTGTAGTC GGTTGGGGCGGATGCACTCCC−3’(配列番号:56)
リバースフレーム1:G S A S A P T D Y K D D D D K S S L A S A I(STOP)(配列番号:57)
【0250】
反応構成:(Invitrogen逆転写キット)
オリゴ−dT溶出は、残留セルロースを除去するように、10000rpmで30秒間回転させることができる。
【0251】

【0252】
37℃で45〜60分間インキュベートする(10μLを除去してゲル上で実行する)。
【0253】
QC:cDNA合成は、NativePageを使用するゲル電気泳動によって観察し、Cy−3色素の蛍光によって検出することができる。
【0254】
逆転写およびRNAseH消化と連動した、オリゴdTセルロースによる融合体精製:DDBリンカー
DDBリンカーとのmRNA−SAアセンブリにおいて、カラム上でオリゴdT精製および逆転写を行うことによって、DNAディスプレイ融合体を生成する。この場合のDDBは、RTプライマーとしての機能を果たす。これも内部RTプライマーとしての機能を果たすように設計される、PBIリンカーに、同じ手順を適用することができたが、DDBと比較して低い効率を示した。
【0255】
DNAディスプレイ融合体は、ヌクレアーゼ消化に対する優れた安定性を示し、細胞に基づいた選択およびインビボ選択に使用される。
【0256】
オリゴdTセルロース上での融合体の固定化
等容量の2XオリゴdT結合緩衝剤(200mMトリス、pH8、2M NaCl、20mM EDTA、0.1%Triton)を、翻訳/融合体混合物に添加することができる。次いで、オリゴdTセルロースをさらに添加した後、4℃で30〜60分間振動させることができる(100mgの処理/洗浄済みオリゴdTセルロース(1mLのスラリー)が、最大1nmolのRNA入力の翻訳/融合体を捕捉するのに十分である)。4℃にて1500rpmで3分間、卓上遠心分離機の中で回転させた後、結果として生じる上清は廃棄される。結果として生じるペレットは、700μLのオリゴdT洗浄緩衝剤(100mMトリス、pH8、1M NaCl、EDTA無し、0.05%Triton x−100)に再懸濁し、ドリップ/スピンカラム(BioRad #732−6204,Hercules,CA)上に装填することができ、その後に、1000rpmで10秒間、マイクロフュージの中で回転させる。カラムを700μLのオリゴdT洗浄緩衝剤で洗浄し、その後に、1000rpmで10秒間回転させる。結果として生じるペレットは、繰り返し8回洗浄することができる(各洗浄中、洗浄緩衝剤を通して回転させることが困難となっている場合は、遠心分離rpmおよび時間が増加させられてもよいが、1500rpmを超えない)。5μLの最終洗浄が、集計のために収集される。
【0257】
オリゴdTセルロース上での逆転写
固定化融合体を有するオリゴdT樹脂を、1x第1鎖緩衝剤(別個に調製する)の中で平衡を保つことができる。緩衝剤は、樹脂からの融合体の溶出を防止する、75mMのKClおよび3mMのMgClを含有する。
【0258】
混合物は、以下のように逆転写のために調製し、次いで、37〜39℃で60〜75分間インキュベートすることができる。

(この実施例では、外部RTプライマーが添加されていない。増加した量のdNTPおよびSSII逆転写酵素がある。)
【0259】
この工程において、ビオチン部分に共有結合され、それは、次いでストレプトアビジン−BPP−融合体サンドイッチに緊密に非供給結合される、cDNAの鎖が構築され、このようにして、DNA−ディスプレイ融合体に対する前駆体を形成する。
【0260】
RNA鎖のRNAse H消化およびオリゴdTセルロースからの溶出
逆転写工程後、同カラムに、対応する量のRNAse Hを添加することができる(上で説明される1000μL反応については10μLのRNAse H(2U/μL、Invitrogen,Carlsbad,CA))。37℃でさらに1時間インキュベートする。
【0261】
オリゴdTカラムを2000rpmで1分間回転させることによって、一本鎖DNA融合体を溶出し、次いで、500μLの1x第1鎖緩衝剤で洗浄することができる。この実施例では、約80〜95%の物質をカラムから溶出することができる。
【0262】
例示的実験を図32および33のように実行した。図32に示されるように、DNAディスプレイアセンブリ(DDBリンカーとmRNA−x結合されている)を、200nMのmRNA濃度で30℃にて1時間、RRLにおいて翻訳させた。生成物をオリゴdTカラム上に装填した(レーン2〜3)。カラムを1xオリゴdT緩衝剤で数回洗浄し、次いで、1xRT緩衝剤で2回洗浄し、その後に、37℃で1時間のdNTP添加およびSSII RTが続いた。さらに、RNaseH処理を37℃でさらに1時間実行した。カラムを回転させることによって溶出した(スピンフィルタ)。レーン4および5では、PBIリンカーとのmRNAアセンブリを上記と同様に翻訳し、その後に、オリゴdT樹脂による処理、およびpH7.0の5mMトリスによる溶出が続いた。
【0263】
図33では、DNAディスプレイアセンブリ(DDBリンカーとmRNA−x結合されている、レーン1、2、および3、またはBPPリンカー、レーン4および5(BPP−8リンカー))を、200nMのmRNA濃度で30℃にて1時間、RRLにおいて翻訳した。生成物をオリゴdTカラム上に装填した。カラムを1xオリゴdT緩衝剤で数回洗浄し、次いで、1xRT緩衝剤で2回洗浄し、その後に、37℃で1時間のdNTP添加およびSSII RTが続いた。さらに、RNaseH処理を37℃でさらに1時間実行した。カラムを回転させることによって溶出した(スピンフィルタ)。次いで、融合体を抗Flag M2アガロース上で精製した(レーン2、3、および5)。
【0264】
第2鎖合成およびDNAディスプレイ融合体アセンブリの完成
XB_S7(T7TMVUTR2 42−mer;VH IgM、IgGライブラリの両方に対する5’PCRプライマー):
5’−TAATACGACTCACTATAGGGACAATTACTATTTACAATTACA−3’(配列番号:52)
XB_S7a(追加ATGを有するT7TMVプライマー45mer、Tmを3℃向上させる):
5’−TAATACGACTCACTATAGGGACAATTACTATTTACAATTACAATG−3’(配列番号:58)
【0265】
先の工程からの溶出物に、1〜1.5等量のTMV−T7プライマーS7またはS7aとともに、余分のdNTPおよびSSII RTを添加することができる。
例示的反応は、上で説明されるように、1500μL反応につき追加試薬の混合を含む。
S7またはS7a 1〜1.5等量
SSII RT 10μL
dNTP 10μL
【0266】
混合物は、37〜39℃でさらに1時間インキュベートすることができる。第2鎖の合成後、DNAディスプレイ融合体アセンブリが完了し、抗FLAG抗体樹脂上での追加精製後に、融合体を細胞に基づいた選択またはインビボ選択に使用することができる。
【0267】
例示的実験を図34に示す。mRNAアセンブリを以下のように実行した。4μMのRNAおよび4μMのリンカー(DDBまたはPBI)を、1x X−結合緩衝剤中で85〜4℃でアニールし、次いで、DTTを1mMとし、加えて6分間にわたっておよびUV365を添加した。次いで、0.67x X−結合緩衝剤中のSAを、48℃で1時間にわたって1:2の比として負荷した(最終mRNA 2μM、およびSA 1μM)。ピューロマイシンCy3リンカー(BPP−4 xC18スペーサー)を、RT(室温)で10分間にわたって1μMでアセンブリに添加した。オリゴdT精製は行わなかった。次のRT反応を以下のように実行した。RTプライマーとしてのDDB、RTプライマーとしてのPBI、およびPBIアセンブリのみにおけるS6(外部プライマー)の、3つの条件を使用して、標準RTを42℃でsuperscript II(SSII)を使用した。RT反応物それぞれを、37℃で1時間、RNAse H(2U)によって処理した。さらに、42℃で1時間にわたってY7プライマー(T7−TMV)1:1および余分なSSII RT酵素および余分なdNTPを添加することによって、第2鎖を合成した(Kurtz, Chembiochem 2001から得られた条件)。
【0268】
FLAGタグの精製
Flag精製は、全長タンパク質分子のみを回収し、インビトロ翻訳によって生成されたあらゆる遊離RNAおよび短縮タンパク質分子を除去する。
【0269】
結合および洗浄:
500μLのM2アガロース(事前剥離され、1x結合緩衝剤中で事前遮断された10mM Gly pH3.5)懸濁を、2ml管に移すことができる。1500rpmで1分間、マイクロフュージの中で回転させた後、結果として生じる上清を廃棄する。アガロースはさらに、1mLのflag結合緩衝剤で2回洗浄することができる。次いで、洗浄したM2アガロースを、調製した化学修飾ライブラリ(5μlが集計に使用される)および1/4ライブラリ容量の5Xflag結合緩衝剤と混合し、4℃で1時間から一晩振動させることができる。1500rpmで1分間、マイクロフュージの中で回転させた後、結果として生じる上清を未使用の管に移す一方で、結果として生じるM2アガロースペレットを、0.7mLのflag結合緩衝剤に懸濁し、ドリップスピンカラム上に装填する。装填したカラムは、1000rpmで10秒間マイクロフュージの中で回転させ、さらに、0.7mlのflag結合緩衝剤で6回洗浄することができ、その後に、1000rpmで10秒間の回転が続く。次いで、カラムを0.7mlの1x結合緩衝剤で洗浄することができ、その後に、1000rpmで10秒間の回転が続く(5μLの最終洗浄を集計のために収集することができる)。
【0270】
溶出:
1X結合緩衝剤中の500μLの100μg/mL FLAGペプチドを、カラムに添加することができる。5分間インキュベートした後、カラムを3000rpmで回転させてから、溶出物を収集することができる。溶出過程は、300μlのflagペプチドを用いて繰り返すことができる(5μLの各溶出物を集計のために収集することができる)。
【0271】
回収の推定:
通常、回収率は10〜30%となり得る。回収は、蛍光または当技術分野で知られている他の方法によって測定することができる。
【0272】
PCR
目的に応じて、Taqポリメラーゼまたは高忠実度ポリメラーゼを増幅に使用することができる。PCRサイクルをチェックして、通常は過剰増幅によって引き起こされるPCRアーチファクトを防止するように、小規模PCRが推奨される。
【0273】
反応構成:

【0274】
注:先の工程、例えば、貫流、最終洗浄、溶出1、および溶出2で収集された分画をPCRのためのテンプレートとして使用することができる。具体的には、2.5〜5μLのテンプレートを、このPCR反応で、特に初期回数の選択(例えば、第1〜3回)のために使用することができる。しかしながら、より少量を使用することが有益であり得る。例示的なPCR条件を以下に記載する。

【0275】
Tmについての注意:Tmはプライマーに対して計算される。この実施例では、プライマーは、50℃超のTm、または52℃から65℃のTmを有し得る。
【0276】
PCR反応後、5μLの反応混合物を、2%Eゲル上での電気泳動に使用することができる。約400bpのサイズを有する主要バンドがゲル上で予期できる。小規模PCRの質が容認可能であれば、残りの溶出物を同様の条件下で大規模PCRのためのテンプレートとして使用することができる。
【0277】
DNA精製:
時には、PCR生成物を精製する必要があること場合もある。電気泳動後、PCR生成物を含有する2%アガロースゲル上のゲルスライス(400bpバンド)を、紫外線光の下で切り取ることができる。次いで、Qiaquickゲル抽出キット(Qiagen #28706,Valencia,CA)を使用して、DNAをゲルスライスから抽出することができる。5μLの精製DNAを、2%Eゲル上での電気泳動に使用することができる。通常は、約80%回収を期待することができる。
【0278】
454配列決定のための標識付加:DNAディスプレイ
非増幅選択工程における個々の分子の標識付加のために、以下の第2鎖プライマーを使用する:
GCCTCCCTCGCGCCATCAGNNNNNNGGGACAATTACTATTTACAATTACA ATG(配列番号:59)
【0279】
このプライマーは、TMV配列、454アダプタ配列、およびN6ランダムタグを含有する。3’末端に対する対応PCRプライマー(第2の454アダプタを含有する、遺伝子特異的部分のTmは50.4℃である)
GCCTTGCCAGCCCGCTCAGTAGCGGATGCTAAGCACGA(配列番号:60)

アダプタプライマーのみを使用して、アンプリコン調製を行う:

前方:Tm64.7℃
GCCTCCCTCGCGCCATCAG(配列番号:61)
逆:Tm65.7℃
GCCTTGCCAGCCCGCTCAG(配列番号:62)
両方のTmは約65℃であり、したがって、RACE型のPCRが3’プライマーに対して可能である。
【0280】
同等物
本発明の多数の改変および代替実施形態が、先述の説明を考慮すると当業者にとって明白となるであろう。したがって、この説明は、例証的にすぎないものとして解釈され、本発明を実行するための最善の様態を当業者に教示する目的のためになされる。構造の詳細は、本発明の精神から逸脱することなく大幅に変化し得、添付の請求項の範囲内である全ての修正の専属的利用が留保される。本発明は、添付の請求項および適用可能な法規制によって規定される範囲のみに限定されることが意図される。
【0281】
特許、特許出願、論説、本、論文、論述、ウェブページ、図、および/または付属書を含む、本願で引用される全ての文献および同様の資料は、そのような文献および同様の資料の形式にかかわらず、その全体が参照により明示的に組み込まれる。定義された用語、用語の用法、説明された技法等を含む、組み込まれた文献および同様の資料のうちの1つ以上が、本願とは異なる、または矛盾する場合は、本願が優先となる。そのような同等物は、以下の請求項によって包含されることを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリペプチドコード配列を含む、第1の核酸分子と、
(b)該第1の核酸分子によってコードされるポリペプチドと、
(c)該第1の核酸分子の一部分と相補的である核酸配列を含む、第2の核酸分子と
を含み、該第1の核酸分子が相補的核酸塩基対合を介して該第2の核酸分子に結合され、かつ該第2の核酸分子が該ポリペプチドに非共有結合される、
Xディスプレイ複合体。
【請求項2】
(a)前記第2の核酸分子に共有結合される高親和性リガンドと、
(b)ペプチド受容体に結合されるリガンド受容体と
をさらに含み、該高親和性リガンドが該リガンド受容体に結合され、かつ該ペプチド受容体が前記ポリペプチドに共有結合される、
請求項1記載の複合体。
【請求項3】
第2の高親和性リガンドをさらに含み、該第2の高親和性リガンドが前記ペプチド受容体に共有結合され、該第2の高親和性リガンドが前記リガンド受容体に結合される、請求項2記載の複合体。
【請求項4】
前記ペプチド受容体がリンカーを介して前記第2の高親和性リガンドに結合される、請求項3記載の複合体。
【請求項5】
前記リンカーがポリエチレングリコールを含む、請求項4記載の複合体。
【請求項6】
前記リンカーがポリシアル酸リンカーを含む、請求項4記載の複合体。
【請求項7】
前記リガンド受容体が前記ペプチド受容体に共有結合される、請求項2記載の複合体。
【請求項8】
(a)前記第2の核酸分子に共有結合されるリガンド受容体と、
(b)ペプチド受容体に結合される高親和性リガンドと
をさらに含み、該リガンド受容体が該高親和性リガンドに結合され、かつ該ペプチド受容体が前記ポリペプチドのC末端に共有結合される、
請求項1記載の複合体。
【請求項9】
前記第2の核酸分子の一部分と相補的である核酸配列を含む、第3の核酸分子をさらに含み、該第3の核酸分子が相補的核酸塩基対合を介して該第2の核酸分子に結合され、該第3の核酸分子がペプチド受容体に共有結合され、かつ前記ペプチド受容体が前記ポリペプチドに共有結合される、請求項1記載の複合体。
【請求項10】
前記第2の核酸分子が分岐核酸分子である、請求項1〜9のうちいずれか1項記載の複合体。
【請求項11】
前記第2の核酸分子が、前記第1の核酸分子の逆転写のためのプライマーの役割を果たすことができる、請求項1〜9のうちいずれか1項記載の複合体。
【請求項12】
(a)第1の高親和性リガンドに共有結合される、ポリペプチドコード配列を含む核酸分子と、
(b)該核酸分子によってコードされるポリペプチドと、
(c)ペプチド受容体に結合されるリガンド受容体と
を含み、該高親和性リガンドが該リガンド受容体に結合され、かつ該ペプチド受容体が該ポリペプチドのC末端に共有結合される、
Xディスプレイ複合体。
【請求項13】
前記リガンド受容体が前記ペプチド受容体に共有結合される、請求項12記載の複合体。
【請求項14】
第2の高親和性リガンドをさらに含み、該第2の高親和性リガンドが前記ペプチド受容体に共有結合され、かつ該第2の高親和性リガンドが前記リガンド受容体に結合される、請求項12記載の複合体。
【請求項15】
(a)第1の高親和性リガンドに共有結合される、ポリペプチドコード配列を含む核酸分子と、
(b)第2の高親和性リガンドに共有結合される第1のリガンド受容体と、
(c)第1の核酸分子によってコードされるポリペプチドと
を含み、該ポリペプチドが第2のリガンド受容体を含み、該第1の高親和性リガンドが該第1のリガンド受容体に結合され、かつ該第2の高親和性リガンドが該第2のリガンド受容体に結合される、
Xディスプレイ複合体。
【請求項16】
前記第1の高親和性リガンドまたは第2の高親和性リガンドがビオチンである、前記請求項のいずれか1項記載の複合体。
【請求項17】
前記第1の高親和性リガンドまたは第2の高親和性リガンドが、FK506、メトトレキサート、PPI−2458、ビオチン、ヒルジン、ZFVp(O)F、フルオレセイン−ビオチン、ABD(アルブミン結合ドメイン)、18bp DNA、RNAse A、クロロアルカン、アリール(ベータ−アミノエチル)ケトン、およびプロテインAを含む群から選択される、前記請求項のいずれか1項記載の複合体。
【請求項18】
前記第1のリガンド受容体または第2のリガンド受容体が、FKBP12、ジヒドロ葉酸還元酵素、メチオニンアミノペプチダーゼ、二量体ストレプトアビジン、ストレプトアビジン四量体、トロンビン、カルボキシペプチダーゼ、一価抗体、HSA(アルブミン)、Znフィンガー、hRI(RNaseインヒビター)、突然変異ハロアルカン脱ハロゲン酵素、haloTag、およびソルターゼを含む群から選択される、前記請求項のいずれか1項記載の複合体。
【請求項19】
前記第1のリガンド受容体または第2のリガンド受容体がストレプトアビジンである、前記請求項のいずれか1項記載の複合体。
【請求項20】
前記ポリペプチドが、抗体、VHドメイン、VLドメイン、Fab断片、一本鎖抗体、ナノボディ(nanobody)、ユニボディ(unibody)、アドネクチン(adnectin)、アフィボディ(affibody)、DARPin、アンチカリン(anticalin)、アビマー(avimer)、10Fn3ドメイン、およびバーサボディ(versabody)を含む群から選択される、前記請求項のいずれか1項記載の複合体。
【請求項21】
(a)高親和性リガンドに共有結合される、ポリペプチドコード配列を含む核酸分子と、
(b)第1の核酸分子によってコードされるポリペプチドと
を含み、該ポリペプチドがリガンド受容体を含み、該リガンドが該リガンド受容体に結合される、
Xディスプレイ複合体。
【請求項22】
前記リガンドがFK506であり、かつ前記リガンド受容体がFKBPのFK506結合ドメインである、請求項21記載の複合体。
【請求項23】
前記第1の核酸分子が、ssRNA、ssDNA、ssDNA/RNAハイブリッドdsDNA、およびdsDNA/RNAハイブリッドから成る群より選択される、請求項1〜22のうちいずれか1項記載の複合体。
【請求項24】
前記第1の核酸分子の前記ポリペプチドコード配列が、インフレームの停止コドンを含有しない、請求項1〜22のうちいずれか1項記載の複合体。
【請求項25】
前記ポリペプチドが結合タンパク質である、請求項1〜22のうちいずれか1項記載の複合体。
【請求項26】
前記結合タンパク質が抗体の前記VHドメインまたはVLドメインである、請求項1〜25のうちいずれか1項記載の複合体。
【請求項27】
リボソームを含有しない、請求項1〜22のうちいずれか1項記載の複合体。
【請求項28】
前記請求項のいずれか1項記載の前記Xディスプレイ複合体を複数含むライブラリであって、該複合体の少なくとも一部分が、異なるポリペプチドコード配列を含有する、ライブラリ。
【請求項29】
Xディスプレイ複合体のライブラリを産生する方法であって、
(a)第1の核酸リンカーと相補的である配列エレメントを含む、mRNA配列のライブラリを提供する工程と、
(b)該第1の核酸リンカーが相補的核酸塩基対合を介して該mRNAに結合するように、第1の高親和性リガンドに機能的に結合した第1の核酸リンカーを提供する工程と、
(c)ペプチド受容体に機能的に結合した第2の高親和性リガンドを提供する工程と、
(d)リガンド受容体が該第1の高親和性リガンドおよび該第2の高親和性リガンドに結合するように、少なくとも2つの結合部位を有する該リガンド受容体を提供する工程と、
(e)該ペプチド受容体が翻訳されたタンパク質に結合し、それによって該mRNAを該タンパク質に結合する核酸−ポリペプチド複合体が形成されるように、該mRNAの翻訳が起こるのを可能にする工程と
を含む、方法。
【請求項30】
DNA/RNAハイブリッドが形成されるように、前記核酸−ポリペプチド複合体内の前記第1の核酸リンカーをプライマーとして使用して、前記mRNAの逆転写を可能にすることをさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記mRNAを分解し、かつ相補的DNA鎖を合成して、それにより、前記核酸−ポリペプチド複合体内にDNA/DNAハイブリッドを形成することをさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記mRNAがさらに、TMVエンハンサーを含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記mRNAがさらに、Cμ配列を含む、請求項29記載の方法。
【請求項34】
前記mRNAがさらに、FLAGタグを含む、請求項29記載の方法。
【請求項35】
前記mRNAがさらに、SAディスプレイ配列を含む、請求項29記載の方法。
【請求項36】
前記mRNAがさらに、A20末端を含む、請求項29記載の方法。
【請求項37】
請求項29〜35のうちのいずれか1項記載の方法によって産生される、核酸−ポリペプチド複合体のライブラリ。
【請求項38】
関心対象の抗原に結合することができるポリペプチドをコードする、単離核酸分子を選択する方法であって、
(a)請求項29記載の核酸−ポリペプチド複合体のライブラリを提供する工程と、
(b)該ライブラリを関心対象の抗原と接触させる工程と、
(c)該ライブラリから、該関心対象の抗原に結合する少なくとも1つの核酸−ポリペプチド複合体を選択する工程と、
(d)該選択された核酸−ポリペプチド複合体の該ポリペプチドコード配列を単離する工程と
を含む、方法。
【請求項39】
関心対象の抗原に結合することができるポリペプチドを産生する方法であって、
(a)請求項38記載の方法を使用して選択される、ポリペプチドコード配列を提供することと、
(b)該ポリペプチドコード配列によってコードされる、該ポリペプチドを発現させることと
を含む、方法。
【請求項40】
請求項29記載の方法によって選択された関心対象の抗原に結合することができるポリペプチドをコードする、単離核酸分子。
【請求項41】
(a)ポリペプチドコード配列を含む、第1の核酸分子と、
(b)該第1の核酸分子によってコードされるポリペプチドと、
(c)該第1の核酸分子の一部分と相補的である核酸配列を含む、第2の核酸分子と、
(d)該第2の核酸分子に共有結合される第1の高親和性リガンドと、
(e)第1のリガンド受容体と、
(f)1つ以上の結合分子を介してペプチド受容体に共有結合される、第2の高親和性リガンドと
を含み、該第1の核酸分子が相補的核酸塩基対合を介して該第2の核酸分子に結合され、該第1の高親和性リガンドが第1の結合部位において該リガンド受容体に非共有結合され、該第2のリガンドが第2の結合部位において該リガンド受容体に非共有結合され、該1つ以上の結合分子がポリエチレングリコール分子である、
Xディスプレイ複合体。
【請求項42】
前記第1の高親和性リガンドがビオチンであり、かつ前記リガンド受容体が、ストレプトアビジン、二量体ストレプトアビジン、および四量体ストレプトアビジンを含む群より選択される、請求項41記載の複合体。
【請求項43】
前記第2の高親和性リガンドがビオチンであり、かつ前記リガンド受容体が、ストレプトアビジン、二量体ストレプトアビジン、および四量体ストレプトアビジンを含む群より選択される、請求項41記載の複合体。
【請求項44】
前記第1の高親和性リガンドまたは第2の高親和性リガンドが、FK506、メトトレキサート、PPI−2458、ビオチン、ヒルジン、ZFVp(O)F、フルオレセイン−ビオチン、ABD(アルブミン結合ドメイン)、18bp DNA、RNAse A、クロロアルカン、アリール(ベータ−アミノエチル)ケトン、およびプロテインAを含む群から選択される、 請求項41記載の複合体。
【請求項45】
第2のリガンド受容体をさらに含む、請求項41記載の複合体。
【請求項46】
前記第2のリガンド受容体が、FKBP12、ジヒドロ葉酸還元酵素、メチオニンアミノペプチダーゼ、二量体ストレプトアビジン、ストレプトアビジン四量体、トロンビン、カルボキシペプチダーゼ、一価抗体、HSA(アルブミン)、Znフィンガー、hRI(RNaseインヒビター)、突然変異ハロアルカン脱ハロゲン酵素、haloTag、およびソルターゼを含む群から選択される、請求項45記載の複合体。
【請求項47】
前記ペプチド受容体がピューロマイシンである、請求項41記載の複合体。
【請求項48】
前記第1または第2の核酸分子がさらに、ソラレンを含む、請求項41記載の複合体。
【請求項49】
前記ポリペプチドが、抗体、VHドメイン、VLドメイン、Fab断片、一本鎖抗体、ナノボディ(nanobody)、ユニボディ(unibody)、アドネクチン(adnectin)、アフィボディ(affibody)、DARPin、アンチカリン(anticalin)、アビマー(avimer)、10Fn3ドメイン、およびバーサボディを含む群から選択される、請求項41記載の複合体。
【請求項50】
(a)核酸分子に共有結合される第1の高親和性リガンドと、
(b)ペプチド受容体に共有結合される第2の高親和性リガンドと、
(c)2つ以上のリガンド結合部位を含む、リガンド受容体と
を含み、該第1および第2のリガンドが、異なるリガンド結合部位において該リガンド受容体に結合される、
ヘテロ二官能性複合体。
【請求項51】
前記第1の高親和性リガンドおよび第2の高親和性リガンドが同一である、請求項50記載の複合体。
【請求項52】
前記第1の高親和性リガンドおよび第2の高親和性リガンドがビオチンである、請求項50記載の複合体。
【請求項53】
前記核酸分子がソラレン部分を含む、請求項50記載の複合体。
【請求項54】
前記ペプチド受容体がピューロマイシンである、請求項50記載の複合体。
【請求項55】
前記リガンド受容体が多量体タンパク質である、請求項50記載の複合体。
【請求項56】
前記リガンド受容体がストレプトアビジンである、請求項50記載の複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公表番号】特表2011−528912(P2011−528912A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520232(P2011−520232)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/051716
【国際公開番号】WO2010/011944
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511020623)
【Fターム(参考)】