説明

タンパク質分離装置

本発明は、基質に固定化されたシャペロンタンパク質を具備しているタンパク質分離装置を提供する。1つの態様において、前記シャペロンタンパク質は、Hsp60シャペロン、好ましくはグループ1シャペロン、好ましくはGroELである。また、本発明は、タンパク質を生物学的サンプルから本発明のタンパク質分離装置を用いて単離する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願US60/530,608号の優先権を主張するものであり、この仮出願は本明細書に参照によって援用される。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、流体サンプル(特に、生物学的流体サンプル)中で、タンパク質を分離するための装置(特に、低分子量タンパク質の高分子量タンパク質からの分離);前記装置を用いる方法、および係る方法により入手可能(obtainable)なタンパク質に関する。
【発明の背景】
【0003】
ヒトプロテオームの研究(特に、ヒト血清プロテオーム)は、疾患または生物学的マーカーを同定するための潜在性から、特に医薬産業が多大な関心を寄せる領域である。このプロテオームの研究は、血清の構成タンパク質(constituent proteins)が様々な濃度であることから、大きなチャレンジである。これらの濃度は、およそ10桁(ten orders of magnitude)まで変化する可能性がある。最も薬剤的に有用なタンパク質は、低分子量タイプのものであり、それらは低い濃度で見出される。
【0004】
ヒト血清は、典型的には、その構成細胞(赤血球および白血球)および凝固因子が除去された血液から構成される。血清のタンパク質濃度は、通常は50〜70mg/mlの範囲である。このタンパク質の約70%は、血清アルブミン(30〜35mg/ml)であり、10%はIgG(5〜7mg/ml)である。
【0005】
ヒト血清中に少なくとも10,000タンパク質が存在するが、大抵(約95%)は非常に低い濃度で存在し且つ低分子量である。例えば、インターロイキン6(炎症および/または感染に関するマーカー)は、21kDaの分子量を有し、血清に10pg/mlの濃度(血清アルブミンよりも約10桁低い濃度)で存在する。
【0006】
プロテオームを試験するための最も一般的な方法の1つは、2次元電気泳動法(2DE)を使用することである。典型的には、この方法は、タンパク質をその等電点と、次にその分子量(SDS-PAGEによる)とにより分離する。
【0007】
2DEは、1つのゲル上にスポットとして数千のタンパク質を分離する潜在力を有しているので有利である。前記スポットは、次にゲルから切出され、トリプシンで消化され、MALDI-MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分光法)を用いて同定される。タンパク質の分離に使用される他の方法には、高性能液体クロマトグラフィおよびSELDI-MS(表面増強レーザー脱離イオン化質量分光法)が含まれる。
【0008】
しかしながら、これらの方法には前分画(prefractionation)のプロセスが通常関与し、そして所望のものではない他のタンパク質と相互作用する所望のタンパク質の非特異的な除去が生じえる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、基質に固定化されたシャペロンタンパク質を具備しているタンパク質分離装置(protein separation device)を提供する。
【0010】
別の側面において、本発明は、基質に固定化されたGroELを、標的タンパク質を結合し、GroELと前記基質との間に最小の立体障害(minimal steric hindrance)を提供するための至適な配向性で具備しているタンパク質分離装置を提供する。
【0011】
なお更なる側面において、本発明は、GroELの特異性が特定のタンパク質に向けられている、基質に固定化されたGroELを具備しているタンパク質分離装置を提供する。
【0012】
別の側面において、本発明は、GroELの特異性が別のシャペロンタンパク質の特異性へと変化させられた、基質に固定化されたGroELを具備しているタンパク質分離装置を提供する。
【0013】
なお別の側面において、本発明は、標的タンパク質を結合し、GroELと基質との間に最小の立体障害を提供するための至適な配向性で、GroELを具備しているタンパク質分離装置を提供する(ここでGroELの特異性は、特定の標的タンパク質に向けられている)。
【0014】
また、本発明は別の側面において、基質に固定化されたGroELを、標的タンパク質を結合し、GroELと基質との間に最小の立体障害を提供するための至適な配向性で具備しているタンパク質分離装置を提供する(ここでGroELの特異性は、別のシャペロンタンパク質の特異性へと変化させられている)。
【0015】
また、本発明は、更なる側面において、少なくとも1つのタンパク質を生物学的サンプルから単離する方法を提供し、該方法は以下の工程を備える:
a)少なくとも1つのタンパク質を含有している生物学的サンプルを変性させることと;
b)前記少なくとも1つのタンパク質を含有している生物学的サンプルを、基質に固定化されたシャペロンタンパク質に適用することと;
c)前記少なくとも1つのタンパク質を、前記シャペロンタンパク質上の生物学的流体から単離することと;
d)前記生物学的サンプルを、前記基質に固定化されたシャペロンタンパク質から除去することと;
e)前記少なくとも1つのタンパク質を、前記シャペロンタンパク質から取得すること(obtaining)。
【0016】
また、本発明は、別の側面において、生物学的サンプル(biological sample)中の生物学的マーカー(biological marker)を同定する方法を提供し、該方法は以下の工程を備える:
a)前記生物学的マーカーを含有している前記生物学的サンプルを、基質に固定化されたシャペロンタンパク質に適用することと;
b)前記生物学的マーカーを前記シャペロンタンパク質上の生物学的流体から単離することと;
c)前記生物学的サンプルを前記シャペロンタンパク質から除去することと;および
d)前記少なくとも1つのタンパク質を、前記基質に固定化された前記シャペロンタンパク質から取得すること。
【0017】
また、本発明は、別の側面において、診断方法を提供し、該方法は以下の工程を備える:
a)第1検体(first subject)からの生物学的サンプルを、基質に固定化されたシャペロンタンパク質に適用することと;
b)タンパク質を前記シャペロンタンパク質上の生物学的流体から単離することと;
c)前記生物学的サンプルを前記シャペロンタンパク質から除去することと;
d)前記少なくとも1つのタンパク質を、前記シャペロンタンパク質から取得することと;および
e)前記第1検体からの少なくとも1つのタンパク質の濃度と、第2検体から取得された参照濃度(reference concentration)とを比較すること。
【発明の詳細な記述】
【0018】
材料(MATERIALS)
生物学的サンプルは、ヒト被験者から得られたものであってもよい。前記サンプルは好ましくは流体(fluid)であるが、ある種の他の生物学的な抽出物であってもよい。本発明の適用は、ヒトに限定されるものではなく、任意の動物からの生物学的サンプルに使用できることが理解されるだろう。前記流体は、血清、脳脊髄液、尿、乳頭アスピラント(nipple aspirant)、他の生物学的流体、抽出物、組織抽出物またはタンパクの他の混合物を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0019】
シャペロンタンパク質
シャペロンタンパク質は、他のタンパク質の非天然(変性)状態に結合し、それらを補助して、機能的なコンホメーションへと至らせる。これは、大抵のケースではATPの出費を通じて達成される。元々は、熱ショックに続く、存在量の増加によって同定されたシャペロンタンパク質は、一般的にタンパク質の非天然種の暴露された疎水性表面を認識し、彼らと非共有結合性の相互作用を形成し、不可逆的な多量体性の凝集化に対して彼らを安定化する。ポリペプチドの放出が次に続き〔多くのケースにおいて、シャペロンタンパク質におけるATP駆動性(ATP-directed)のコンホメーション変化によって駆動される〕、生じるポリペプチドフォールディングの引続く工程が許容される。
係る工程が天然のコンホメーションへと進行することに失敗する場合、同じ又は他のシャペロンタンパク質による認識および再結合が生じることができ、達成されるべき産生性(productive)のコンホメーションへの別の機会が許容される。
【0020】
シャペロンの異なるクラスは、特定の非天然状態に結合することを方向付けられる。例えば、Hsp70およびHsp60(シャペロニン)シャペロンは、それぞれ拡張型(extended)および崩壊型(collapsed)のコンホメーションを認識する、これらは前記ポリペプチド鎖の局所的封入物(local enclosure)で又は中心封入物(central enclosure)における前記ポリペプチドの全体的封入物(global enclosure)で対応的(correspondingly)に結合される。
【0021】
本発明は、タンパク質の非天然状態を認識して、そのタンパク質を生物学的サンプル中に存在する他のタンパク質から分離するシャペロンの能力を活用する。好都合なことに、シャペロンは、非天然タンパク質(non-native protein)を彼らの分子量によって選択することもできる。また、シャペロンの本特性を利用して、低分子量タンパク質を生物学的サンプル中から分離することができる。
【0022】
好都合なことに、本発明は、任意のシャペロンタンパク質で作動(work)する。
【0023】
前記シャペロンは、好ましくはHsp100、Hsp90、Hsp 70、Hsp60および小さいHsps(例えば、Hsp25)などからなる群から選択される。好ましくは、前記シャペロンは、グループIシャペロニン型のHsp60シャペロンであってもよい。
より好ましくは、前記シャペロンは、ペプチド依存的ATPase活性を有しているシャペロニンタイプのものであってもよい。最も好ましくは、前記シャペロニンは、例えばGroELであってもよい。
【0024】
好ましくは、GroELは、コファクターと動作可能に相互作用しえる。前記コファクターは、例えば、コシャペロニン(co-chaperonin)、GroES又はその断片であってもよい。
【0025】
タンパク質フォールディングにおけるGroELの機構は当該技術においてよく説明されているが、次の事項が関連する技術における当業者に理解されるだろう;その事項とは、以下に提案される機構は1つの理論(a theory)であり、本発明が当該技術における任意の特定の理論に又は本願発明中で提案されるものに限定されると解釈されるべきではないことである。
【0026】
GroEL(Hsp60とも称される)は、グループIシャペロニンタイプである。シャペロニンの用語は、これらのタンパク質が一般に具備する二重リング構造(double ring structure)に関する。
典型的には、これらのタンパク質は、ヘプタマーの二重リング集合体(double-ring assemblies)として存在し、これによって非天然または変性状態から天然状態へのフォールディングが促進される。GroELの構造は、同一の又は密接に関連する回転対称サブユニットの背中合わせ(back-to-back)の様式で配置されている。
【0027】
GroELのリングは、中心(一般的にシリンダー状)腔を規定し、これは2つの条件で機能する。第1の動作可能な条件において、GroELはシリンダー腔の終部(end)で開いて、非天然タンパク質の進入(ingress)を許容する。
前記開口部は、前記リング構造における各サブユニットの頂点ドメイン(apical domain)に局在する可動性の疎水性ライニングを備える。前記疎水性ライニングは、非天然タンパク質と、それら各々の暴露された疎水性表面の間の多価相互作用(multivalent interaction)で結合する。
【0028】
第2の動作可能な条件において、GroEL(コシャペロニン GroESと共に)の赤道ドメインに対する、GroELの頂点ドメイン中の位置でのATPの結合は、それ自体で、前記リング構造におけるコンホメーション変化を誘導する。
【0029】
GroESは、GroELによって捕獲されたタンパク質のサイズを~57kDa未満に制限する効果を有する。
【0030】
コンホメーション変化は、好ましくは前記リング構造におけるサブユニットの各々の7つの頂点ドメインの集団移動(en bloc movement)を含み、中心のシリンダー腔の内部環境に全体的な変化を生じる。前記腔は、ほとんど2倍まで容量が増加し、そしてGroESにより閉鎖される。頂点ドメインでの疎水性表面は、次に上昇し、非天然ポリペプチドから離れ、前記ペプチドを中心腔に放出させる。前記腔は、この際の特性は主に親水性であり、暴露された疎水性のアミノ酸残基の埋葬(burial)および前記ポリペプチドの天然状態の促進を支持する。
【0031】
非天然タンパク質は、前記ポリペプチドがその天然状態へと再フォールドされるまで、GroELによる多段階の捕獲(capture)および放出(release)を経験する。捕獲および放出は、同じGroELタンパク質によって又は異なるGroELタンパク質によって実施されえる。
【0032】
好ましくは、GroELが、シャペロニンの野生型の二重リング構造に使用される。或いは、GroELは、単一の、七量体の、リング形態で利用されてもよい。
【0033】
GroELの一方のリングは七量体のリングを具備してもよく、他方のリングは二量体の、三量体の、四量体の、五量体の、または六量体の構造を具備してもよい。
【0034】
また、GroELは、例えば、野生型のGroELの七量体リングおよび別のシャペロニンタンパク質(例えば、rubiscoサブユニット結合タンパク質またはCCT)のリングを具備しえる。
【0035】
GroELは二重リング集合体(a double ring assembly)を更に具備してもよく、ここで1若しくは双方のリングは他のシャペロニンからの1以上のサブユニットを具備し、各リングはヘテロマーの七量体であってもよい。
【0036】
例えば、前記リングは、CCT(TCP-1)のアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ゼータ、またはシータの各々の1以上またはrubiscoサブユニット結合タンパク質の1以上のサブユニットを具備してもよい。或いは、GroELは二重リング集合体を具備してもよく、ここで前記または各々のリングは他のシャペロニンからの1以上のサブユニットを具備する。
【0037】
本発明に使用されるGroELは、上記にリストした任意の形態(シャペロンタンパク質の断片を含む)、および任意のその組合せをとりえる。
【0038】
シャペロニン GroELは、細菌および古細菌(archaea)からなる群から選択される微生物の供給源から入手しえる(例えば、Escherichia spp., Thermus spp. Streptococcus spp., Staphylococcus spp., Bacillus spp., Leptospira spp., Spirillum spp., Lactobacillus spp., Mycoplasma spp., Pseudomonas spp., Streptomyces spp., Corynebacterium spp., Bacteroides spp.およびClostridium spp.のものである)。GroELは、好ましくは大腸菌(Escherichia coli)から分離される。
或いは、GroELは、Thermus thermophilusまたはClostridium difficileから分離されてもよい。
【0039】
基質
基質(substrate)は、好ましくはアレイまたはビーズのタイプの固体支持体(solid support)である。これらは、当業者に既知の適切な材料(例えば、プラスチック材料)から製造しえる。典型的には、アレイタイプの支持体は、様々な表面(基質上のスポットに配置される)を供給されて、シャペロンタイプのタンパク質がその上に固定化されることが許可される。これら表面は、とりわけ、ニトリロ酢酸(nitriloacetic acid)、カルボン酸(carboxylates)、第4級アミン、ケイ酸(silicates)、カルボニルジイミダゾール(carbonyl diimidazoles)およびエポキシドからなる群から選択される成分(moieties)から構成されてもよい。前記基質は、疎水性のバリアーコーティング(barrier coating)を施されてもよい。
【0040】
本発明における使用に関して適切な基質は、例えば、Ciphergen(登録商標)から入手可能なbio-chipsおよびPierceから入手可能なNeutrAvidinビーズである。
【0041】
シャペロンタンパク質の修飾
本発明のシャペロンタンパク質は、その特性を変化させるために修飾されてもよい。例えば、シャペロンを修飾して、標的蛋白質への結合を改善しえる又はフォールディング機能を改善しえる。典型的には、係る修飾は、シャペロンのDNA/cDNA配列中の特異的なコドンを、欠失させること、導入すること、又は変異させることによって達成される。典型的には、これは部位特異的突然変異誘発を用いて実行されえる。部位特異的突然変異誘発は、ポリメラーゼ連鎖反応法又は当業者に既知の他の適切な方法によって実施しえる。
【0042】
GroELのアミノ酸配列に施される修飾は、保存型(例えば、極性から極性、非極性から非極性、または芳香族から芳香族の残基への置換)のものであろうことが理解される。或いは、非保存性の置換を、GroELのアミノ酸配列に施してもよい。例えば、極性から非極性の残基への置換である。
【0043】
GroELの修飾されたアミノ酸配列は、配列番号2と70〜80%相同性のものであってもよい。前記配列は、配列番号2と90〜95%相同性(homologous)のものであってもよい。或いは、前記アミノ酸配列は、配列番号2と96、97、98、または99%相同性のものであってもよい。
【0044】
ホモロジー/ハイブリダイゼーション
「ホモロジー(Homology)」および「相同性(homologous)」は、2つのペプチド又は2つの核酸分子の間の配列類似度(sequence similarity)を意味する。ホモロジーは、整列された配列における各ポジションを比較することによって決定することができる。核酸間またはアミノ酸配列間のホモロジーの度合は、前記配列に共有されるポジションでの同一の又はマッチングするヌクレオチドまたはアミノ酸の数の関数(function)である。前記用語が本願明細書中で使用される場合、2つの配列が実質的に同一で、配列の機能的な活性が保存されているとき、核酸配列は別の配列に対して「相同性」である〔本願明細書中で使用される「相同性」の用語は、進化上の関連性(relatedness)を意味しない〕。最適に整列されたとき(許容されたギャップを伴う)それらが少なくとも約50%の配列の類似性(similarity)または同一性(identity)を共有する場合又は前記配列が規定された機能的なモチーフを共有する場合、2つの核酸配列は実質的に同一であると考えられる。代替的な態様において、最適に整列された実質的に同一の配列における配列類似度は、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%であってもよい。本明細書中に使用される、配列間のホモロジーの特定のパーセンテージは、最適に整列された配列における配列同一性の度合を示す。
【0045】
実質的に相補的な核酸は、1つの分子の相補物(complement)が実質的に他の分子と同一である核酸である。最適に整列されたとき、それらが少なくとも約70%配列同一性を共有する場合、2つの核酸またはタンパク質配列は実質的に同一であると考えられる。代替的な態様において、配列同一性は、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%であってもよい。同一性比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman(Smith and Waterman, 1981, Adv. Appl. Math 2: 482)の局所ホモロジーアルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mot. Biol. 48:443)のホモロジーアルゴリズム、PearsonおよびLipman(Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444)の類似方法の検索などの様々なアルゴリズムを用いること、及びこれらのアルゴリズムのコンピュータでの実行(例えば、Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, Madison, WI, U.S.A.における、GAP, BESTFIT, FASTA およびTFASTA)によって実施しえる。また、配列同一性は、文献(Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-10)に記載のBLASTアルゴリズムを用いて決定しえる(公開された初期設定をもちいて)。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通じて利用可能である(インターネットhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/を通じて)。データベース配列中を同じ長さのワードで整列した場合、ある程度ポジティブな閾値スコアT(some positive-valued threshold score T)とマッチする又は満足するクエリー配列中の短ワード長W(short words of length W)を同定することによって高スコア配列ペア(HSPs;high scoring sequence pairs)を同定することを、BLASTアルゴリズムは最初に含む。Tは、近傍ワードスコア閾値(the neighbourhood word score threshold)と称される。最初の近傍ワードヒット(neighbourhood word hits)は、より長いHSPsを発見するための検索を開始するシーズ(seeds)として作用する。ワードヒットは、累積アラインメントスコア(cumulative alignment score)が増加することができる限り、各配列に沿って両方向に伸展される。各方向におけるワードヒットの伸長は、以下に記すパラメータが適合する場合に停止される、そのパラメータとは:累積アラインメントスコアが、数値X(quantity X)によってその最大達成値から乖離(falls off)すること;1以上のネガティブスコアリング残余アラインメント(negative-scoring residue alignments)の累積によって、累積スコアがゼロ以下になること;又は何れかの配列の終わりに達することである。BLASTアルゴリズムのパラメータW、TおよびXは、アラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTプログラムは、初期値として、11のワード長(W)、50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919)アラインメント(B)、10(または1または0.1または0.01または0.001または0.0001)の期待値(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較を使用しえる。BLASTアルゴリズムを用いた2つの配列間の統計学的な類似性の1つの測定は最小累積期待度(P(N))であり、これは2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間のマッチが偶然発生するだろう確率の指標(indication)を提供する。本発明の代替的な態様において、試験配列の比較における最小累積期待度(smallest sum probability)が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列は実質的に同一であると考えられる。
【0046】
2つの核酸配列が実質的に相補的であることの代替的な指標は、2つの配列が中等度にストリンジェント(又は好ましくはストリンジェント)な条件下で互いにハイブリダイズすることである。中等度にストリンジェントな条件下でのフィルター結合配列(filter-bound sequences)へのハイブリダイゼーションは、例えば、 0.5 M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1 mM EDTA中で65゜Cで、そして洗浄を0.2xSSC/0.1%SDS中で42゜Cで実施しえる(Ausubel, et al. (eds), 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., New York, at p. 2.10.3を参照されたい)。代替的に、ストリンジェントな条件下でのフィルター結合配列へのハイブリダイゼーションは、例えば、0.5 M NaHPO4、7%SDS、1mMEDTA中で65゜Cで、そして洗浄を0.1xSSC/0.1%SDS中で68゜Cで実施しえる(Ausubel, et al. (eds), 1989、上記、を参照されたい)。ハイブリダイゼーション条件は、所望の配列に依存して既知の方法にしたがって修飾されてもよい(Tijssen, 1993, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-- Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2"Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays", Elsevier, New Yorkを参照されたい)。一般に、ストリンジェントな条件は、既定のイオン強度およびpHで、特定の配列に関する温度のメルティングポイントよりも約5℃低いように選択される。
【0047】
本願明細書中で規定される「GroEL」の表現は、天然のGroELポリペプチドの変異体(variants)を含み、例えば:短縮体(truncations)および断片を含む欠失(deletions);タグ化ポリペプチドおよび融合タンパク質を含む挿入(insertions)および付加(additions);部位特異的突然変異体および対立形質変異体(allelic variants)などの置換である。
【0048】
本明細書中に使用される「ポリペプチド」は、長さ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)と関係なく、アミノ酸の任意の鎖を意味し、以下のものを含む:自然のタンパク質(natural proteins);合成または組換え型のポリペプチドおよびペプチド同様にハイブリッド分子〔例えば、本発明のポリペプチドの全て又は一部を具備している一部(one portion)と別のタンパク質またはペプチドからのアミノ酸配列を具備している二部(second portion)とを有している、融合タンパク質またはキメラ〕;ペプチドに共有結合で連結した1以上の非アミノアシル基(q.v., 糖, 脂質, など)を有しているペプトイド(peptoids)などを含む、修飾型ペプチド;およびペプチドミメティックス(peptidomimetics)。典型的には、前記タンパク質またはポリペプチドは、単離されたものであっても又は実質的に純粋(pure)であっても又は組換え型であってもよい。
【0049】
修飾には、タンパク分解性切断部位;N結合型グリコシル化部位が高マンノース型、ハイブリッド型、または混合型のグリコシル化部位である、N-または0-結合型グリコシル化部位;アシル化部位(例えば、ミリストイル化部位);アセチル化部位;リン酸化部位;硫酸化部位(sulphation site)およびプレニル化部位(例えば、ファルネシルまたはゲラニル部位)の導入が含まれえるが、これらに限定されない。
【0050】
好ましくは、シャペロンタンパク質の修飾は、以下の目的で実施されてもよい:
a)固定化されたシャペロンの配向性(orientation)の最適化およびシャペロンと固体基質との間の立体障害の最小化;
b)シャペロンの標的特異性の方向付け(direct)、および
c)シャペロンの標的特異性の変更。
【0051】
GroELシャペロニンの配向性の至適化および立体障害の最小化のため、Asp490をCys残基で置換してもよい(配列番号2)。この変異は、チオール基をGroELの赤道ドメイン(equatorial domain)に導入する。前記チオール基は、本部位でのビオチンの導入を促進しえる。これは次の理由で有利である。つまり、アレイまたはビーズへのGroELの固定化が、GroELに配置されたビオチンとアレイまたはビーズ上に配置されたストレプトアビジン成分との間の相互作用の効果によって達成することができるからである。
【0052】
GroELシャペロニンの標的特異性を方向付けるために、変異Leu200->Arg、Ser201->GlyおよびPro202->Asp(配列番号3)が、GroELのサブユニットの頂点ドメインへと導入される〔インテグリンファミリーのタンパク質に対して特異的なコンセンサス結合モチーフ(RGD)〕。インテグリンは、細胞間および細胞マトリックス間の相互作用に重要である;また、細胞シグナル伝達に関係する。また、上記の変異には、結合モチーフRCDおよびRYDなどが含まれ、これらもインテグリンにより認識される。これは次の理由で有利である。つまり、頂点ドメインにおけるGroELの修飾によって、標的特異性を特定のグループまたはファミリーのタンパク質に対して方向付けることが認容されるからである。
【0053】
任意の結合モチーフを、特定のタンパク質またはファミリーのタンパク質を単離するために、本発明に使用された任意のシャペロンの結合ドメインへと導入できることが理解されるだろう。
【0054】
GroELの標的特異性を変化させるために、変異Tyr199->Ile、Tyr204->Ile、Leu234->Ile、Leu237->Ile、Leu259->Phe、Vat263->LeuおよびVa1264->Phe(配列番号4)を、GroELの頂点タンパク質結合ドメインに施しえる。これらの変異によって、GroEL(グループIシャペロニン)の基質結合特異性の、サーモソーム(Thermosome)(グループIIシャペロニン)の基質結合特異性への置換が生じる。これは次の理由で有利である。つまり、これによって以前に野生型GroELでは無効であった標的の、修飾型GroELによる捕獲が認容されるからである。或いは、他の変異を施して、GroELの基質結合特異性を、CCTまたはrubiscoサブユニット結合タンパク質に置換し得る。
【0055】
これは次の理由で有利である。つまり、これによってアレイまたはビーズ上でのGroELの様々な形態によってタンパク質の捕獲が増加する可能性が認容されるからである。前記アレイまたはビーズは、1以上の異なるタイプの変異型GroELを具備してもよい。或いは、例えば、第一のアレイまたはビーズは、野生型のGroELのみを具備してもよく、更なるタイプの変異型GroELを具備している第二のアレイまたはビーズと並行して(in parallel with)、生物学的サンプルとアッセイしてもよい。
【0056】
タンパク質分離装置の調製
本発明によるタンパク質分離装置は、アレイまたはビーズまたは当業者に既知の他の適切な固体の支持体の形態を都合よくとりえる。
【0057】
前記アレイまたはビーズは、好ましくは製造者の指示にしたがって調製される。典型的には、これはアレイに関して次の工程を備える:
a)推奨されるバッファー中でアレイに配置された1以上のスポットを再水和(rehydrating)することと;
b)前記1以上のスポットにシャペロンをロード(loading)することと、および
c)前記アレイを加湿器中で一晩インキュベーションすること。
【0058】
好ましくは、1〜10μg/mlのGroELが前記または各スポット(the or each spot)へとロードされえる。より好ましくは2〜8μg/ml、より好ましくは4〜8μg/ml、より好ましくは5〜7μg/mlおよび最も好ましくは6μg/mlのGroELが、前記または各スポットへとロードされえる。
【0059】
前記アレイは、加湿器中で4゜Cで一晩インキュベーションされてもよい。好ましくは、0.25〜3pmoleのタンパク質が前記または各スポットへと固定化される。より好ましくは、0.5〜2pmole、より好ましくは0.5〜1.5 pmoleおよび最も好ましくは1pmoleのタンパク質が、アレイの前記または各スポットへと固定化される。
【0060】
生物学的サンプルの変性
本発明に使用する生物学的サンプル中のタンパク質は、カオトロピック剤、洗剤、熱、還元剤、酸化剤、レーザー誘発性変性(laser-induced denaturation)および超音波処理からなる群から選択される試薬(reagents)を用いて変性されてもよい。
【0061】
好ましくは、カオトロピック剤は、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、尿素、チオ尿素、チオシアン酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムから選択されてもよい。
【0062】
好ましくは、前記洗剤は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムであってもよい。
【0063】
好ましくは、前記還元剤は、ジチオスレイトール(クリーランドの試薬)、ジチオエリトリトール(dithioerythritol)および2-メルカプトエタノールから選択されてもよい。
【0064】
好ましくは、前記酸化剤は、過酸化水素であってもよい。前記生物学的サンプルは、上記の変性剤の組合わせによって変性されてもよい。最も好ましくは、前記生物学的サンプルは、例えば、キレート薬(例えば、EDTA)を含んでいるバッファー;ジチオスレイトール(dithiotreitol)および塩酸グアニジンを含んでいるバッファーで変性される。
【0065】
前記生物学的サンプルは、変性バッファー(denaturation buffer)中で約1〜2時間変性される。
【0066】
前記生物学的サンプルは、結合バッファー(binding buffer)中で引き続いて希釈されてもよい。この工程によって、変性されたタンパク質が部分的に再生し、前記タンパク質のGroELへの結合が促進されることが認容される。高塩濃度(例えば、5MグアニジンHCl以上)では、前記塩のカオトロピック効果は、GroELが変性タンパク質へ結合するために大きすぎる。
【0067】
生物学的サンプルにおける変性タンパク質の単離
図10を参照して、GroELによるタンパク質分離の機構が説明される。GroELは、NeutrAvidinビーズに結合することが示される。前記ビーズは、典型的にはカラム中に配置されるだろう。前記GroELは、ATP(T=ATP)で最初に活性化(primed)されてもよい。生物学的サンプルからの変性した基質を、GroELとの結合のために、部分的に再生した後にカラムに導入してもよい。再生された基質は、GroELのシス腔(cis cavity)と相互作用し得る。前記タンパク質は、次に封入(encapsulated)されてもよい。GroESの非存在下で、GroELは、82kDa以上のタンパク質を部分的に封入することができる(Chaudhuri et al., 2001)。非特異的に結合したタンパク質を除去するための洗浄後、捕獲されたタンパク質(S)はコファクターMg2+およびK+の存在下でATPを添加することによって放出される。タンパク質分離がGroESの存在下で実施される場合、前記タンパク質は~57kD未満に限定される。
【0068】
本発明によるタンパク質分離装置は、変性タンパク質を含んでいる生物学的サンプルとインキュベーションされてもよい。前記生物学的サンプルは、好ましくは生理的なバッファーに懸濁される。前記生物学的サンプルは、周囲の室温で1〜5時間、最も好ましくは約4時間、前記タンパク質分離装置とインキュベーションされてもよい。或いは、インキュベーション期間は、10〜20分間である。任意の非特異的な結合を、前記タンパク質分離装置を適切なバッファーで洗浄することによって除去することができる。捕獲された所望のタンパク質は、Mg2+ およびK+の存在下でATPによって放出されえる。
【0069】
前記タンパク質分離装置は、例えば、Ciphergen(登録商標)などから利用可能な適切な出力装置(output device)を用いて処理してもよい。
【0070】
使用
本発明によるタンパク質分離装置を、疾患に関する生物学的マーカーの同定に使用してもよい。例えば、前記タンパク質分離装置は、正常な被験者と比較した際に、疾患状態でのみ発現する、特定の疾患を罹患している患者から単離したタンパク質を単離しえる。或いは、これらの単離されたタンパク質は、疾患状態で過少発現(under-expressed)または過剰発現(over-expressed)されるものであってもよい。
【0071】
前記タンパク質分離装置は、薬学的な又はニュートラシューティカル(neutraceutical)な化合物の投与の前後で、生物学的マーカーとの特定の参照と共に、生物学的サンプルのタンパク質組成物を試験するために有用であろう。結果は、特定の化合物の副作用に関する、指標を示す可能性がある。これによって、薬学的な又はニュートラシューティカルな化合物のスクリーニングにおける適用が見出される。
【0072】
また、前記タンパク質分離装置は、疾患状態の予後(prognosis)に有用である。前記タンパク質分離装置を使用して、疾患状態の治療の前、間、および後に、生物学的サンプル中の生物学的マーカーを選抜し、特定の治療の規則(regime)またはプロトコル(protocol)の効率を評価することができる。
【0073】
更に、前記タンパク質分離装置を使用して、生物学的サンプル中の重要な生物学的マーカーの相対濃度(relative concentrations)における変化をアッセイすることによって、疾患を診断することができる。
【0074】
好都合なことに、本発明は、正確にフォールドしないタンパク質と関連する疾患の診断に特定の適用を見出しえる〔例えば、嚢胞性線維症、アルツハイマー病、肺気腫、ハンチントン病、脊髄小脳失調3型(spinocerebellar ataxia type 3)、一次側索硬化症(primary lateral sclerosis)、および筋萎縮性側索硬化症から選択される疾患〕。最も好ましくは、本発明は、伝播性の海綿状脳症(transmissible spongiform encephalopathies)、例えば、クロイツフェルトヤコブ病、変異型クロイツフェルトヤコブ病(variant Creutzfeld-Jakob Disease)、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー症候群、致死的な家族性の不眠、クールー、非定型のプリオン病(Atypical Prion Disease)、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、ネコの海綿状脳症、伝播性のミンク脳症、慢性消耗病(Chronic Wasting Disease)、外来性有蹄類脳症(Exotic Ungulate Encephalopathy)の診断に使用しえる。
【0075】
更に、前記タンパク質分離装置を使用して、任意の変性された生物学的サンプルからタンパク質を単離し得る。
【0076】
以下の例は、説明のために提供され、限定のためではない。
【0077】
[例1]
本例は、修飾されたGroELタンパク質の精製を記載する。
【0078】
細胞培養:
約6リッターの、GroELを具備している発現プラスミッドで形質転換された大腸菌細菌細胞培養物を、Luriaブロス(インビトロゲン)で振盪機(250rpm)中で37゜Cでインキュベートした。培養物の光学密度が0.6に達した際に、1mMのIPTG(isopropyl-d-thiogalactopyranoside)を前記培養物に添加した。前記培養物を、次にさらに4〜5時間インキュベートした。細菌細胞を、引き続き4000 x gで10分間遠心分離で収穫した。そして細胞ペレットを-80゜Cで保存した。
【0079】
GROELの精製
凍結した細胞ペレットを、45mlのバッファーA[50 mM Tris-HCL pH 7.5, 1mM DTT, 0.1mM PMSF (phenylmethylsulfonyl fluoride) および 1mM EDTA]中に再懸濁した。細胞懸濁物を、1,000psiの内部セル圧で3回フレンチプレスを通して、細胞溶解物を得た。細胞溶解物を、20,000 x gで0.5時間遠心分離した。上清を、分離し、20%硫酸アンモニア(ammonia sulphate)を補充した。上清を、次にブチル-トヨパール疎水的相互作用カラム(Tosoh Corporation, Japan)にインジェクションした。カラムを、バッファーA中の23%硫酸アンモニアおよび20%メタノールで事前に平衡化した。インジェクションしたサンプルを、15分間平衡に至らせた。カラムを、次にバッファーAで洗浄した。引続いて、GroELを、バッファーA中の硫酸アンモニアの逆のリニアグラジエント(即ち、23%から0%のグラジエント)の手段で溶出した。
【0080】
GroELを含有している溶出されたフラクションをプールした。そして、プールしたフラクションを5mM MgCl2および3mM ATPを補充した70%硫酸アンモニアに沈殿させることによって、GroELをその2重七量体リング配置(double heptameric ring configuration)へと再構成した。沈殿物を、20,000 x gでペレットとし、10%グリセリンを含有しているバッファーAに再懸濁し、-80゜Cで保存した。
【0081】
典型的に、6リットルの細胞培養物は、約250mgの>95%純粋なGroELを産出する(図5および6を参照されたい)。図5は、ブチル-トヨパール疎水的相互作用カラム(butyl-toyopearl hydrophobic interaction column)からのフラクションの、クマジー染色したSDS-PAGEゲルを示す。GroELを、->95%純度まで精製した。レーン1=分子量マーカー(ブループレステインスタンダード、Invitrogen Catalog code:LC5625を参照されたい)、レーン2〜8は、それぞれ,2,4,6,8,10,14,16μgのトータルロードタンパク質(total loaded protein)である。図6は、クマジー染色したネーティブPAGEゲルを示し、再構成されたGroEL-490-14の純度を示す。レーン1および2は、それぞれ10および5μgのネーティブGroEL-490を示す。レーン3は、分子量マーカーである(ネーティブ電気泳動のための高分子量マーカー、Amersham biosciences製品コード:17-0445-01)。
【0082】
GroEL-490を、次にNeutrAvidinビーズに結合させ、ATP分解酵素活性およびタンパク質フォールディング特性に関して試験した。再構成されたGroELは、ATP分解酵素として機能し、タンパク質フォールディングさせる能力を有していた(図7および図8を参照されたい)。
【0083】
図7は、NeutrAvidinビーズにおけるGroEL490のATPase活性を、Enzchekリン酸アッセイキット(molecular Probesより、カタログコード:E-6646)を用いて実証している。各データポイントは、2つの別個の実験の平均である。~2mgのGroEL- 490を、活性アッセイに使用した。図8は、NeutrAvidinビーズにおけるGroEL-490の基質フォールディング能力(substrate folding ability)を示す。
【0084】
基質フォールディング能力を、変性したミトコンドリアのリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(mMDH;mitochondrial malate dehydrogenase)をリフォールドさせる能力によって試験した。アッセイプロトコールは、Staniforthら1994から取得した。各データポイントは、2つの別個の実験の反復である。要約すると、天然のmMDHは、オキサロ酢酸の存在下でNADH(340nmでのOD)をNAD+(340nmでODなし)へ転換させる能力を有する。従って、陽性のGroEL-490活性は、コントロールと比較した340nmでのODの減少によって確認される。
【0085】
GROESの精製
GroESを、DEAE陰イオン交換カラム(バイオラド)を用いて精製した。GroES発現プラスミドで形質転換した大腸菌を、GroEL発現プラスミドで形質転換した大腸菌と類似の様式で成長させた。しかし、フレンチプレスした後に得られた細胞溶解物は、80゜Cで20分間インキュベートされ、前記溶解物中に存在する熱感受性タンパク質が凝固された。凝固したタンパク質を、次に12,000xgで20分間遠心分離した。上清を、デカントし、バッファーAで平衡化したDEAEカラムにインジェクションした。上清を、カラムと20分間平衡化させた。カラムを、次にバッファーAで洗浄した。そして、GroESを、バッファーA中の0から0.6M NaClのリニアグラジエントを用いて溶出した。
【0086】
GroESを含有している溶出されたフラクションを、SDS-PAGEで同定し、プールし、その七量体配置へとMgCl2およびATPの非存在下の70%硫酸アンモニア中で再構成させた。典型的に、6リッターの細菌細胞培養物は、約150mgの>95%純度のGroESを生じる(図5を参照されたい)。
【0087】
図5は、カラムから溶出されたGroES含有フラクションのクマジー染色ゲルを示す。これらのフラクションが、>95%純度であることをSDS-PAGEで確認した。レーン1=分子量マーカー、レーン2〜10は、カラムからの連続的なフラクション(各々5ml)である。
【0088】
[例2]
本例は、本発明によるタンパク質分離装置を用いた生物学的サンプルからのタンパク質の分離を記載する。
【0089】
血清は、ヒト血液サンプルに由来するものであった。タンパク質分離装置は、Ciphergen(登録商標)から入手可能であるものなどのバイオチップアレイ上に固定化させたGroEL又はビーズ(例えば、Pierceから入手可能なNeutrAvidinビーズ)に結合させたGroELを備える。全ての他の試薬は、シグマから入手した。
【0090】
タンパク質分離装置は、以下の通り調製された:
【0091】
約75mg〜100mgのGroEL490を、PBS-EDTA(5mM)バッファー中でPD10(Amersham)脱塩カラムを通した。脱塩されたGroEL490を、ビオチン-HPDPを含有しているPBS-EDTAバッファー中で、推奨される使用法に関する製造者のガイドラインに基づいてビオチン化した。ビオチン標識反応を進行させて、~2時間で完了した。これは、分光計を用いた343nMでの吸収で確認された。
【0092】
過剰ビオチンを、PD10脱塩カラムを用いて除去した。ビオチン化されたGroEL-490を、次にNeutrAvidinビーズへ、タンパク質をビーズと1時間PBSバッファー(pH7.5)中でインキュベーションすることで結合させた。10mlのNeutrAvidin 媒体は、〜75-100mgのGroEL-490を結合させるために十分である。
【0093】
GroEL-490と結合させたビーズを、次にカラムにパックした。前記ビーズを、5カラム容量のバッファーW(50 mM Tris-HC, pH 7.5, 100mM KCL, 5mM MgCl2, 0.1 MM DTT, 0.3 mM EDTA)で洗浄した。この洗浄工程に続いて、前記カラムを2カラム容量のバッファーWに3mM ATPを補充したもので洗浄して、大腸菌からの任意の結合内在性タンパク質を除去した。前記カラムを、次に8カラム容量のバッファーWで洗浄した。前記カラムは、このようにして使える状態となった。
【0094】
75μlのヒト血清を、25μlの変性バッファー(6Mグアニジン-HCl, 2mM EDTAおよび10mMジチオスレイトール)を周囲室温で1時間用いて変性させた。
【0095】
前記血清を、次に結合バッファー(50mM Tris-HCl, pH 7.4; 10mM MgCl2; 10mM KCl)で30〜50倍に希釈し、直ぐに前記カラムにロードした。前記血清を、20分間カラム上に静置(left)した。前記カラムを、次に10カラム容量のバッファーWで洗浄した。
【0096】
この洗浄工程の終わりに、GroEL-490へと結合したタンパク質(彼らのフォールディングの状態にかかわらず)は、カラムからバッファーW(3mM ATPを添加された)3カラム容量で溶出された。溶出されたフラクションが収集され、タンパク質のピークがBCAアッセイ(invitrogen)で決定された。所望の溶出されたフラクションをプールし、タンパク質を液体クロマトグラフィー質量分光法(Liquid Chromatography Mass Spectroscopy)を用いた同定のために濃縮した。
【0097】
得られたデータは次の事項を示していた、その事項とは、LC-MS-MSの結果に基づく比較によって、本発明のタンパク質分離装置は、低分子量タンパク質を濃縮する通常の方法(例えば、ゲル濾過)に対して(表2を参照されたい)、生物サンプルから更なる情報(7倍以上)を生成することができることである(表1を参照されたい)。捕獲タンパク質種(capture protein species)の分布も、ゲル濾過によるものより多い(表1および2を参照されたい)。
【0098】
本願明細書中で引用される全ての文献および特許出願は、あたかも個々の文献または特許出願が具体的に及び個々に参照によって援用されると示されるかのように、本願明細書中に参照によって援用される。任意の文献の引用は、出願日(filing date)前のその開示のためであり、本発明が先の発明による公開に先立って(antedate)権利を得られないとの承認と解釈されない。
【0099】
前述の発明は理解を明確にする目的のために例示(illustration)および例(example)の様式で、ある程度詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして当業者には次の事項が明らかである。その事項とは、本願の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、特定の変化(changes)および修飾(modifications)を本発明に施しえることである。
【0100】
本願の明細書および特許請求の範囲に使用される単数形「a」、「an」、および「the」には、前後関係で他で明確に指示しない限り複数形を参照することが含まれることに注意すべきである。他に規定しないかぎり、本願に使用される他の全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術における当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【表2−6】

【表2−7】

【表2−8】

【表2−9】

【表2−10】

【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1A】図1aおよび1bは、野生型GroELのペプチド配列およびDNAコドンを示している。
【図1B】図1aおよび1bは、野生型GroELのペプチド配列およびDNAコドンを示している。
【図2A】図2aおよび2bは、アスパラギン酸490がシステインで置換されたGroELのペプチド配列およびDNAコドンを示している。
【図2B】図2aおよび2bは、アスパラギン酸490がシステインで置換されたGroELのペプチド配列およびDNAコドンを示している。
【図3A】図3aおよび3bは、変異 ロイシン200->アルギニン、セリン201->チロシン、プロリン202->アスパラギン酸およびアスパラギン酸490->システインを有するGroELのペプチド配列およびDNAコドンを示している。
【図3B】図3aおよび3bは、変異 ロイシン200->アルギニン、セリン201->チロシン、プロリン202->アスパラギン酸およびアスパラギン酸490->システインを有するGroELのペプチド配列およびDNAコドンを示している。
【図4A】図4aおよび4bは、変異 チロシン199->イソロイシン、チロシン204->イソロイシン、ロイシン234->イソロイシン、ロイシン237->イソロイシン、ロイシン259->フェニルアラニン、バリン263->ロイシンおよびバリン264->フェニルアラニンおよびアスパラギン酸490->システインを有するGroELのペプチド配列およびDNAコドンを示している。
【図4B】図4aおよび4bは、変異 チロシン199->イソロイシン、チロシン204->イソロイシン、ロイシン234->イソロイシン、ロイシン237->イソロイシン、ロイシン259->フェニルアラニン、バリン263->ロイシンおよびバリン264->フェニルアラニンおよびアスパラギン酸490->システインを有するGroELのペプチド配列およびDNAコドンを示している。
【図5】図5は、カラムの溶出フラクションからの-57kDaのGroELモノマーのポリアクリルアミドゲルを示している。
【図6】図6は、カラムの溶出フラクションからの~840kDaの野生型二重ヘプタマーリング構成でのGroELのポリアクリルアミドゲルを示している。
【図7】図7は、NeutrAvidinビーズに固定化されたビオチン化GroELのATPaseアッセイの結果を示す。
【図8】図8は、NeutrAvidinビーズに固定化されたビオチン化GroELによるタンパク質フォールディングアッセイの結果を示す。
【図9】図9は、カラムからの溶出フラクション中の精製されたGroESのポリアクリルアミドゲルを示す。
【図10】図10は、NeutrAvidinビーズに固定化された際の、GroELの機構を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基質に固定化されたシャペロンタンパク質を具備しているタンパク質分離装置。
【請求項2】
請求項1記載のタンパク質分離装置であって、前記シャペロンタンパク質がHsp100、Hsp90、Hsp70、Hsp60および小さいHspsからなる群から選択されるタンパク質分離装置。
【請求項3】
請求項2記載のタンパク質分離装置であって、前記Hsp60シャペロンがグループ1シャペロンであるタンパク質分離装置。
【請求項4】
請求項3記載のタンパク質分離装置であって、前記グループ1シャペロンがGroELであるタンパク質分離装置。
【請求項5】
請求項4記載のタンパク質分離装置であって、GroELが単一のリング構成であるタンパク質分離装置。
【請求項6】
請求項4〜7の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、GroELが背中合わせの二重リング構成を具備し、一方のリングは七量体であり、他方のリングは二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体であるタンパク質分離装置。
【請求項7】
請求項4〜7の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、GroELが野生型のGroELの七量体リングおよび別のシャペロニンタンパク質のリングを具備するタンパク質分離装置。
【請求項8】
請求項7記載のタンパク質分離装置であって、別のシャペロニンタンパク質がrubiscoサブユニット結合タンパク質またはCCTであるタンパク質分離装置。
【請求項9】
請求項4〜8の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、GroELは二重リング集合体を具備し、該二重リング集合体における1若しくは双方のリングは他のシャペロニンからの1以上のサブユニットを具備するタンパク質分離装置。
【請求項10】
請求項9記載のタンパク質分離装置であって、各リングはCCTの1以上のアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ゼータ、またはシータ サブユニットを含むタンパク質分離装置。
【請求項11】
請求項9記載のタンパク質分離装置であって、各リングはrubiscoサブユニット結合タンパク質の1以上のサブユニットを含むタンパク質分離装置。
【請求項12】
請求項9〜11の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、各リングはヘテロマーの七量体であるタンパク質分離装置。
【請求項13】
請求項4〜12の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、GroELがコファクターと動作可能に相互作用するタンパク質分離装置。
【請求項14】
請求項13記載のタンパク質分離装置であって、前記コファクターがGroESであるタンパク質分離装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、前記シャペロンが細菌および古細菌から選択される微生物の供給源から入手可能なタンパク質分離装置。
【請求項16】
請求項15記載のタンパク質分離装置であって、前記微生物の供給源がEscherichia spp., Thermus spp. Streptococcus spp., Staphylococcus spp., Bacillus spp., Leptospira spp., Spirillum spp., Lactobacillus spp., Mycoplasma spp., Pseudomonas spp., Streptomyces spp., Corynebacterium spp., Bacteroides spp. およびClostridium spp.からなる群から選択されるタンパク質分離装置。
【請求項17】
請求項15記載のタンパク質分離装置であって、前記Escherichia spp.微生物の供給源がEscherichia coliであるタンパク質分離装置。
【請求項18】
請求項15記載のタンパク質分離装置であって、前記Thermus spp.微生物の供給源がThermus thermophilusであるタンパク質分離装置。
【請求項19】
請求項15記載のタンパク質分離装置であって、前記Clostridium spp.微生物の供給源がClostridium difficileであるタンパク質分離装置。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、前記基質は、アレイまたはビーズのタイプの固体支持体であるタンパク質分離装置。
【請求項21】
請求項20記載のタンパク質分離装置であって、前記基質は、プラスチック材料から製造されているタンパク質分離装置。
【請求項22】
請求項20または21記載のタンパク質分離装置であって、アレイタイプの支持体は、シャペロンタイプのタンパク質をその上に固定化するための表面を提供されたタンパク質分離装置。
【請求項23】
請求項22記載のタンパク質分離装置であって、前記表面は、ニトリロ酢酸、カルボン酸、第4級アミン、ケイ酸、カルボニルジイミダゾールおよびエポキシドからなる群から選択される成分から構成されているタンパク質分離装置。
【請求項24】
請求項23記載のタンパク質分離装置であって、前記表面が疎水性のバリアーコーティングを施されているタンパク質分離装置。
【請求項25】
請求項1〜25の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、前記生物学的サンプルは、脳脊髄液、尿、乳頭アスピラント、他の生物学的流体および抽出物からなる群から選択されるタンパク質分離装置。
【請求項26】
請求項1〜25の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、前記生物学的サンプルが変性されているタンパク質分離装置。
【請求項27】
請求項26記載のタンパク質分離装置であって、前記生物学的サンプルがカオトロピック剤、洗剤、熱、および還元剤からなる群から選択される少なくとも1つの変性剤で変性されているタンパク質分離装置。
【請求項28】
請求項27記載のタンパク質分離装置であって、前記カオトロピック剤が塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、尿素、チオ尿素、チオシアン酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムから選択されたものであるタンパク質分離装置。
【請求項29】
請求項27記載のタンパク質分離装置であって、前記洗剤がドデシル硫酸ナトリウムであるタンパク質分離装置。
【請求項30】
請求項27記載のタンパク質分離装置であって、前記還元剤は、ジチオスレイトール(クリーランドの試薬)、ジチオエリトリトールおよび2-メルカプトエタノールからなる群から選択されるタンパク質分離装置。
【請求項31】
請求項1〜26の何れか1項に記載のタンパク質分離装置であって、前記生物学的サンプルが請求項37に記載の何れか1つの変性剤の組合せによって変性されているタンパク質分離装置。
【請求項32】
基質に固定化されたGroELを、標的タンパク質を結合し、GroELと前記基質との間に最小の立体障害を提供するための至適な配向性で具備しているタンパク質分離装置。
【請求項33】
請求項32記載のタンパク質分離装置であって、GroELを部位特異的突然変異誘発で操作して、アスパラギン酸490をシステインで置換したタンパク質分離装置。
【請求項34】
請求項33記載のタンパク質分離装置であって、前記の置換されたシステインがビオチンと反応して、ビオチン―システイン結合体(biotin-cysteine conjugate)を形成したタンパク質分離装置。
【請求項35】
請求項34記載のタンパク質分離装置であって、前記ビオチン―システイン結合体が、基質の表面上に配置されたアビジンまたはストレプトアビジン成分と反応可能(reactable)なタンパク質分離装置。
【請求項36】
基質に固定化されたGroELを具備しているタンパク質分離装置であって、GroELの特異性が特定のタンパク質に向けられているタンパク質分離装置。
【請求項37】
請求項36記載のタンパク質分離装置であって、GroELが部位特異的突然変異誘発で操作されて、ロイシン200からアルギニン;セリン201からグリシン、およびプロリン202からアスパラギン酸の置換を有するタンパク質分離装置。
【請求項38】
請求項37記載のタンパク質分離装置であって、前記置換がインテグリン結合モチーフをGroELのタンパク質結合ドメインに導入するタンパク質分離装置。
【請求項39】
基質に固定化されたGroELを具備しているタンパク質分離装置であって、GroELの特異性が別のシャペロンタンパク質のタンパク質特異性へと変化させられているタンパク質分離装置。
【請求項40】
請求項39記載のタンパク質分離装置であって、GroELが部位特異的突然変異誘発で操作されて、チロシン199からイソロイシン;チロシン204からイソロイシン;ロイシン234からイソロイシン;ロイシン237からイソロイシン;ロイシン259からフェニルアラニン;バリン263からロイシン、およびバリン264からフェニルアラニンの置換を有するタンパク質分離装置。
【請求項41】
請求項39または40記載のタンパク質分離装置であって、前記置換がGroELの頂点タンパク質結合ドメインに施されているタンパク質分離装置。
【請求項42】
請求項40または41記載のタンパク質分離装置であって、前記置換がGroEL(グループIシャペロニン)の基質結合特異性をサーモソーム(グループIIシャペロニン)の基質結合特異性へと置き換えるタンパク質分離装置。
【請求項43】
標的タンパク質を結合するために至適な配向性と、GroELが基質に固定化される際にGroELと基質との間に最小の立体障害とを有するために配置されたGroELを具備し、標的タンパク質に対するその特異性が、特定の標的タンパク質に向けられているタンパク質分離装置。
【請求項44】
GroELを、標的タンパク質を結合し、GroELと基質との間に最小の立体障害を提供するための至適な配向性で具備しているタンパク質分離装置であって、GroELの標的タンパク質に対する特異性は、別のシャペロンタンパク質の特異性へと変化させられているタンパク質分離装置。
【請求項45】
少なくとも1つのタンパク質を生物学的サンプルから単離する方法であって、以下の工程を備える方法:
a)少なくとも1つのタンパク質を含有している生物学的サンプルを変性させることと;
b)前記少なくとも1つのタンパク質を含有している生物学的サンプルを、基質に固定化されたシャペロンタンパク質に適用することと;
c)前記少なくとも1つのタンパク質を、前記シャペロンタンパク質上の生物学的流体から単離することと;
d)前記生物学的サンプルを、前記基質に固定化されたシャペロンタンパク質から除去することと;
e)前記少なくとも1つのタンパク質を、前記シャペロンタンパク質から取得すること。
【請求項46】
生物学的サンプル中の生物学的マーカーを同定する方法であって、以下の工程を備える方法:
a)前記生物学的マーカーを含有している前記生物学的サンプルを、基質に固定化されたシャペロンタンパク質に適用することと;
b)前記生物学的マーカーを前記シャペロンタンパク質上の生物学的流体から単離することと;
c)前記生物学的サンプルを前記シャペロンタンパク質から除去することと;および
d)前記少なくとも1つのタンパク質を、前記基質に固定化された前記シャペロンタンパク質から取得すること。
【請求項47】
診断方法であって、以下の工程を備える方法:
a)第1検体からの生物学的サンプルを、基質に固定化されたシャペロンタンパク質に適用することと;
b)タンパク質を前記シャペロンタンパク質上の生物学的流体から単離することと;
c)前記生物学的サンプルを前記シャペロンタンパク質から除去することと;
d)前記少なくとも1つのタンパク質を、前記シャペロンタンパク質から取得することと;および
e)前記第1検体からの少なくとも1つのタンパク質の濃度と、第2検体から取得された参照濃度とを比較すること。
【請求項48】
請求項46または47記載の方法であって、前記生物学的サンプルが、各方法の工程a)の前に変性されている方法。
【請求項49】
請求項45〜48の何れか1項に記載の方法であって、基質に固定化されたシャペロンが請求項1〜44の何れか1項に記載のタンパク質分離装置を具備する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−504006(P2008−504006A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545304(P2006−545304)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/SG2004/000417
【国際公開番号】WO2005/058949
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(504056510)エイジェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ (12)
【氏名又は名称原語表記】AGENCY FOR SCIENCE,TECHNOLOGY AND RESEARCH
【Fターム(参考)】