説明

タンパク質発現を増強し、精製する方法及び組成物

【解決手段】 宿主細胞における異種性融合タンパク質の発現レベル及び分泌を増強する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2003年6月26日に出願された米国特許仮出願第60/482,817号に対して優先権を主張するものであり、その内容は本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本発明は、組換え遺伝子の発現と発現タンパク質の精製の分野に関連するものである。さらに具体的には、本発明は様々な異なる宿主種からの異種タンパク質の精製を容易にする物質と方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
幾つかの刊行物および特許書類は、本発明に関連する技術状況を説明するために、本明細書を通じて引用されるものである。これらの文献に対する完全な引用は本明細書の全般にわたって見出されえる。これらの引用はそれぞれ完全に説明するように本明細書に組み込まれる。
【0004】
機能的遺伝子研究は、異種性発現システムにおいて生物学的に活性なタンパク質を均一に発現及び精製することができないために妨げられてきた(1)。既知の発現ベクターにおいて同一の転写および翻訳シグナルを使用しているにもかかわらず、発現タンパク質レベルは劇的に変化することが観察されてきた(2)。このような理由により、細菌、酵母、哺乳類および昆虫の細胞において遺伝子融合として異種タンパク質を発現するための様々な方法が開発されてきた。
【0005】
細菌における前記異種間遺伝子の発現は、明らかに最も単純でありかつ研究又は商業の目的において最も安価な方法である。ただし、一部の異種間遺伝子産物は大腸菌においてそれらの正確な三次元構造を実現できておらず、過剰に生産された場合、その他の異種間遺伝子産物は大きな不溶性凝集体または"封入体"に隔離される(7、8)。主な変性剤誘導性可溶化法では、その後再折り畳み(リフォールディング)が好ましい条件下で変性剤の除去が続き、組み換えタンパク質を適当な収率で産生するために必要とされる場合が多い。構造的遺伝子計画に対するORFsの選択によって、大腸菌において発現した遺伝子のわずか約20%が溶解性または正しく折り畳まれたタンパク質を与えることも示している(9)。特にほとんどの科学者は遺伝子産物を発現させるための最初の試みを大腸菌に依存しているため、これらは驚くほど期待はずれな数字である。例えばNUSA、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、及びチオレドキシン(TRX)などの幾つかの遺伝子融合システムが開発されてきた(7)。これらのシステムは全て、非効率的な発現から、目的の構造からの不均一な切断に及ぶ特定の欠点を有している。
【0006】
ユビキチン(Ub)およびユビキチン様タンパク質(Ubls)は文献で説明されている(10〜12)。SUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)はセントリン(Sentrin)、SMT3、PIC1、GMP1、およびUBL1としても知られている。SUMOとこのSUMO経路は真核生物界全体に存在し、前記タンパク質は酵母からヒトまで高度に保存されている(14)。酵母は一本鎖SUMO遺伝子しかなく、それはSMT3とも呼ばれている。前記酵母のSMT3遺伝子は生存に必須のものである(13)。酵母とは異なり、3つのSUMOのメンバーが脊椎動物で示されており、それらはSUMO−1および近接相同体であるSUMO−2およびSUMO−3である。101アミノ酸ポリペプチドから成るヒトSUMO−1は、ヒトSUMO−2/SUMO−3と50%の配列同一性を共有している(15)。酵母SUMO(SMT3)は哺乳類SUMO−1と47%の配列同一性を共有している。ユビキチンとSUMO間の全長配列相同性はわずか18%であるが、核磁気共鳴(NMR)による構造決定によって、2つのタンパク質が、αへリックスの1つを包み込んだβシートを折り畳んだ密集した球形によって特徴付けられる共通の3次元構造を持っていることが明らかになった。SUMOのシャペロン特性の試験によって、密集した球形構造とタンパク質のN末端との付着が、折り畳み構造の核として作用し、不安定なタンパク質を保護することができることを明らかにしている。全てのSUMO遺伝子は、保存されたC末端Gly−Glyモチーフから伸びた短いC−末端配列を有する前駆タンパク質をエンコードする(13)。2〜12のアミノ酸長である前記伸長配列は、全ての場合において異なる。細胞は前記C末端の伸長を除去する強力なSUMOプロテアーゼ(加水分解酵素としても知られている)を含む(18)。SUMOの前記C末端は、標的タンパク質のリジン残基のε−アミノ基と接合している。SUMO化経路酵素とユビキチン経路酵素の類似性は顕著であり、これらの2つのタンパク質の修飾経路に異なる影響を与える(19)。細胞性タンパク質のSUMO化は、核輸送、シグナル変換、ストレス反応、および細胞周期の進行を調節していると考えられている。これは様々な細胞区画の中でタンパク質のSUMOシャペロン転座に非常に類似しているが、このようなSUMOの機能の正確なメカニズムの詳細は知られていない。
【0007】
その他の融合がパートナータンパク質の溶解性を促進するのはおそらくそれらが大きいサイズであることに起因している(例えばNusA)(21)。グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)(22)またはマルトース結合タンパク質(MBP)(23)を有するタンパク質の融合は、融合タンパク質の発現と収率を促進すると提案されている。しかし、GSTがGST二量体の形態で使用されタンパク質の溶解性を遅らせることができる場合であっても、発現の増強が常に観察されるわけではない。前記目的タンパク質が前記融合から除去されなければならないかもしれないというのが、GSTまたは他の融合システムのもう1つの問題である。このような問題を回避するために、Xa因子、トロンビン、エンテロキナーゼ、またはTevプロテアーゼ部位などのプロテアーゼ部位は、前記融合パートナーの下流にしばしば設計される。しかし、このような場合の多くは、前記融合タンパク質内において不完全な切断と不適切な切断が頻繁に観察される(7)。本発明はこのような問題を回避するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明に従って目的タンパク質の発現レベルを増強する組成物と方法が提供される。典型的な方法は、i)前記目的タンパク質がエンコードされた核酸配列に対して、SUMO、Ub、RUB、HUB、APG8、APG12、URM1、Ubi−L、FAT10、およびISG15から成る群から選択されるUb1分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列を機能的に連結させることによって、融合タンパク質をコード化したコンストラクトを産生する工程と、ii)宿主細胞に前記融合タンパク質をコード化した核酸を導入する工程と、を有するものである。前記目的タンパク質を精製するために、前記方法はさらに、iii)前記融合タンパク質を発現する細胞の溶解する工程、iv)選択的に前記アミノ末端ドメインに付着した精製標識によって、固相に固定された前記と同様のUb1のアミノ末端ドメインと細胞溶解物が接触し、それにより前記Ub1が再構成される工程、及びv)再構成されここで切断可能になったUb1を適切なUb1プロテアーゼと接触させ、前記融合タンパク質から前記目的タンパク質を放出する工程、を含む。本発明の別の態様によると、工程iv)から得られる再構成された前記Ub1はカラムから溶出され、更にその後前記Ub1は溶液中で適切なプロテアーゼと接触され、前記目的タンパク質を前記融合タンパク質から放出する。本発明の別の態様によると、前記再構成されたUb1は溶液中で形成され、その後固体の支持体上で精製される。さらに本発明の別の態様によると、Ub1が再構成される間、Ub1プロテアーゼ阻害剤が含まれており、これは更にその後前記Ub1プロテアーゼを添加する前に除去されるものである。
【0009】
本発明の別の態様によると、目的タンパク質を精製するための組成物及びその方法が提供される。典型的な方法は、i)目的タンパク質をコード化した核酸配列、及び目的タンパク質のアミノ末端に結合したカルボキシ末端ドメインのアミノ末端に付加された精製標識の少なくとも1つにおいてコード化した核酸に対して、SUMO、Ub、RUB、HUB、APG8、APG12、URM1、Ubi−L、FAT10、及びISG15から成る群から選択されるUb1分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列を機能的に連結することにより、融合タンパク質をコード化したコンストラクトを産生する工程、ii)宿主細胞に融合タンパク質をコード化した核酸を導入する工程、iii)前記融解タンパク質を発現する細胞を溶解する工程、iv)少なくとも1つの精製標識において結合可能な固形支持体と前記融解タンパク質とが接触することにより選択的に前記融合タンパク質を精製する工程、v)選択的にアミノ末端ドメインに付着した精製標識によって、固相に固定された前記と同じUb1のアミノ末端ドメインと溶液を含む融解タンパク質が接触し、それによりUb1が再構成される工程、及びvi)再構成され、ここで切断可能になったUb1が適切なUb1プロテアーゼと接触し、前記融合タンパク質から前記目的タンパク質を放出される工程、を含む。本発明の別の態様によると、工程iv)から得られる再構成された前記Ub1はカラムから溶出され、その後溶液中で適切なプロテアーゼと接触して融合タンパク質から前記目的タンパク質が放出される。本発明の別の実施態様によると、前記再構成されたUb1は溶液中で形成され、更にその後固体支持体上で精製される。さらに本発明の別の実施態様によると、Ub1が再構成される間、Ub1プロテアーゼ阻害剤が含まれており、これはその後Ub1プロテアーゼを添加する前に除去される。さらに本発明の別の実施態様によると、前記Ub1は精製スキームの間に除去されることを確実にするために、精製標識を含んでいても良い。
【0010】
さらに本発明の別の実施形態において、前記目的タンパク質と共に融解タンパク質を産生するために使用される分子は、配列ID番号:10の配列を含む核酸によってエンコードされたSUMO(CTHS)のカルボキシ末端部位である。前記融解タンパク質を精製および切断するために使用される分子は、配列ID番号:6の配列を含む核酸によってエンコードされたSUMO(NTHS)のアミノ末端部位である。前記再構成されたUb1を切断し、それにより目的タンパク質を放出するために使用される特定の加水分解酵素(すなわちプロテアーゼ)は、配列ID番号:30の配列を含む核酸によってエンコードされたSUMO加水分解酵素である。
【0011】
さらに本発明の別の実施形態おいて、改変アミノ末端を有する目的タンパク質を産生する典型的な方法が提供される。そのような方法は、目的タンパク質のアミノ末端を改変する工程と、本明細書において実証される精製方法の実施する工程とを含む。本発明の別の態様に従って、改変アミノ末端を有する目的の前記タンパク質は、i)改変アミノ末端を有する前記目的タンパク質をコード化した核酸配列に対して、SUMO、Ub、RUB、HUB、APG8、APG12、URM1、Ubi−L、FAT10、及びISG15から成る群から選択されるUb1分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列を機能的に連結することにより、融合タンパク質をコード化したコンストラクトを産生する工程と、ii)宿主細胞に前記融合タンパク質をコード化した核酸を導入する工程と、iii)望ましい時間に、前記宿主細胞に前記Ubl分子のアミノ末端ドメインをコード化した核酸を導入する工程と、iv)再構成Ublの切断が不十分である場合、前記宿主細胞へのUbl特異的プロテアーゼをコード化した核酸を選択的に導入する工程とを含む方法によって、in vivoで産生されてもよい。
【0012】
さらに本発明の別の実施形態において、ユビキチン様(Ub1)分子のカルボキシ末端ドメインとユビキチン様(Ub1)分子のアミノ末端ドメインの間の親和性を増強する方法が提供される。典型的な方法は、カルボキシ末端ドメインとアミノ末端ドメインに対して機能的に連結した部位であって、前記連結部位は逆平行βシート構造、逆平行αへリックス構造、または負および正に荷電したアミノ酸を含む。本発明の別の態様に従って、ユビキチン様(Ub1)分子のカルボキシ末端ドメインとユビキチン様(Ub1)分子のアミノ末端ドメインの間の親和性が増強された方法が提供され、前記カルボキシ末端ドメインとアミノ末端ドメインに突然変異を挿入する工程を含み、前記突然変異は前記2つのドメインの間の疎水性を増強するか、または前記突然変異は荷電したアミノ酸を導入するものである。
【0013】
さらに本発明の別の実施形態において、本明細書で説明される方法を実行するためのキットが提供される。そのようなキットは、所望の宿主細胞における発現に望ましいプロモーターと、目的タンパク質をコード化した核酸のクローニングに適した多重クローニング部位とに機能的に連結している、SUMO、Ub、RUB、HUB、APG8、APG12、URM1、Ubi−L、FAT10、およびISG15の群から選択されるUb1分子のカルボキシ末端部位をコード化した核酸配列を含む組換えベクターを含む。前記組換えベクターは精製標識の少なくとも1つをコード化した核酸配列を含んでいてもよい。前記キットはさらに、前記融合タンパク質から再構成Ub1分子を切断できるプロテアーゼの調整を含み、選択的に、精製標識、選択的に少なくとも1つの精製標識を含むUb1分子のアミノ末端部位の調整、選択的に少なくとも1つの精製標識を含むUb1分子網の末端部位をコード化した核酸配列を含む組換えベクター、少なくとも1つの精製標識に結合することができる少なくとも1つの固相、洗浄および切断緩衝剤を含む適切な緩衝剤、使用説明書、および宿主細胞の凍結ストックを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
宿主において効果的な組み換えタンパク質の発現が欠如していることに関して多くの原因があるが、例えば、半減期が短いこと、折り畳み構造が不適切であること、局在化およびコドンの偏りなどが含まれる。ヒトゲノム計画によって、ヒトゲノムのDNA"マップ"を作ることに成功したが、異なる発現基盤において均一に機能し、すべてのタンパク質モチーフに対するタンパク質発現技術の開発はまだ達成されていない。
【0015】
本発明にしたがって、真核生物及び原核生物両方において、タンパク質の発現を改良する方法、特に無発現或いは発現力に乏しいタンパク質の発現を改良する方法が提供される。前記方法は、Ub1のカルボキシ末端部位が前記タンパク質のアミノ末端部位(すなわち目的タンパク質)に結合して発現する工程を含む。前記タンパク質のUb1ファミリーは、SUMO、Ub、Rub1、Hub1、ISG15、Ubi−L(MNSF)、FAT10、Apg12、Apg8、及びUrm1を含むがこれに限らない(12)(表1参照)。APG12とURM1を除くこれらのタンパク質の特徴は、それらが前駆体として合成されることであり、通常はジ−グリシンモチーフであるカルボキシ末端に近い位置において加水分解酵素(またはプロテアーゼ)によって処理され、成熟配列を産生することである。特に、すべての前記Ublsは一般的な構造を共有する(24、25)。
【0016】
発現と精製を得るために全長のSUMOと他のUblsを含む融合タンパク質を使用する方法はすでに説明されている(米国出願第10/338,441号明細書および第10/389,640号明細書)。全長のSUMOと目的タンパク質を含む融合タンパク質は大腸菌においてのみ原型を保つものであった。しかし、プロリンが目的タンパク質のアミノ末端残基になっている場合を除いて、酵母または昆虫細胞において前記融合タンパク質は直ちに切断されてしまった。
【0017】
本明細書において提供される方法は、真核生物および原核生物の両方において切断される構成要素として融合タンパク質の発現を可能にする方法を提供する。重要なことは、この方法は、発現した目的タンパク質への結合を維持するために、精製、検出、或いは他の目的に使用される、選択的に結合したアフィニティー標識(例えば精製標識)又は他のタンパク質又はペプチドのいずれにおいても可能であることである。前記Ub1融合タンパク質の目的タンパク質のカルボキシ末端部位(ドメイン)のタンパク質が前記Ub1のアミノ末端部位と接触し、その後特異的な加水分解酵素と接触することによって前記Ub1が再構成される場合、切断のみが得られる。
【0018】
本発明は、真核生物細胞において新規なN−末端を有するタンパク質を産生するためにも利用できる可能性がある。タンパク質の前記N−末端の同定は、その半減期によって制御されていると提案されている(N末端則 N−end Rule)(35)。成長因子、ケモカイン、及び他の細胞タンパク質など多くの生物薬剤が、治療活性のために望ましいN末端を必要としている。メチオニンから翻訳を開始する性質として、望ましいN末端を産生することは可能になっていない。さらに、1またはそれ以上のアミノ酸がN末端から除去されてもよく、他のアミノ酸が加えられ、暴露したN末端のために様々な共有結合の変化が導入されても良い(26)。このような変化システムは、複雑であり、真核生物と原核生物の両方において存在し、特異性と性能はある程度変化する(27)。これは、in vitroにおいて特異性が既知のプロテアーゼによる処理を受けなかった組み換え技術によって産生されたそれぞれのタンパク質が、予想外及び/又は異種のN末端を有する可能性がある。米国出願第10/338,441号明細書及び第10/389,640号明細書において説明されているような全長SUMOシステムは、真核生物の発現システムに対するこのような問題を回避するための新規な方法を提供している。本発明に従うと、目的タンパク質をコード化した核酸において適切なコドンを変化することにより、任意のアミノ酸が目的タンパク質のN末端残基として組み込まれ得る。前記Ublはその後、前記Ublのアミノ末端部位と接触することによって再構成した後、特異的なプロテアーゼによって再構成されたUblが切断されることを経て、前記変性目的タンパク質がその後、Ublのカルボキシ末端部位に結合し、望ましい細胞において発現し、さらに本明細書で説明するように精製される。あるいは、前記Ublのアミノ末端ドメインは、細胞内(すなわち天然または外から供給されたもの)において特異的なプロテアーゼ活性が存在する限り、目的タンパク質を産生するために前記融合タンパク質と共にin vivoで発現されても良い。プロリンを除くすべてのアミノ酸は、これらの方法によってアミノ末端残基として使用されてもよい。前記目的タンパク質のアミノ末端残基としてプロリンを使用するために、融合タンパク質は前記Ublプロテアーゼの切断部位の後にMet−Prアミノ酸配列が続く。適切なプロテアーゼによる再構成と切断の後、前記目的タンパク質のMet−Proアミノ末端はさらにメチオニンアミノペプチダーゼ(例えばPirococcus furiosis;(28))によって処理され、メチオニンを除去し、アミノ末端としてプロリンを残す。
【0019】
さらに、本明細書において提供される方法は、SUMOのカルボキシ末端(CTHS)の半分とアミノ末端(NTHS)の半分(ドメイン)の間で表される部分的な配列の間における天然の親和性の活用を通じて、前記融合タンパク質の高性能親和性精製を可能にする。重要なことには、前記CTHSとNTHSの境界が柔軟性を有することである。注目すべきことは、本発明がSUMOのカルボキシ末端ドメイン:CTHS(配列ID番号:9)及びCTHS−1(配列ID番号:31)の特異的かつ機能的な2つの形態を提供することである。従って、本発明は、CTHSおよびCTHS−1を包含し、すなわち対立遺伝子及び種の変異、及びおよそ2、4、6、8、10、15、及び20のアミノ酸によって配列が延長または短縮するCTHSsの任意のその他の変性(または相当するヌクレオチドの変化)を包含する。好ましくは、前記変性CTHSsは、CTHS(配列ID番号:9)の活性の少なくとも1つが維持されている(例えば、発現の増強、NTHS(配列ID番号:5)或いは変性NTHSの結合、及び/又はNTHS或いは変性NTHSを有する切断可能な複合体の形成)。好ましくは、前記変性CTHSは図3で描かれているような2つのβシートを完全にまたは重要な部位のみを含む。
【0020】
同様に、前記NTHSの長さを変えることが本発明に含まれる。SUMOの前記アミノ末端ドメインの特異的かつ機能的形態によって、NTHS(配列ID番号:5)及びNTHS−1(配列ID番号:91)も提供される。本発明は、NTHS及びNTHS−1、対立遺伝子及び種の変異、及びおよそ2、4、6、8、10、15、及び20のアミノ酸によって前記配列が延長または短縮するNTHSsの任意のその他の変性(又は対応するヌクレオチドにおける変化)を包含する。好ましくは、前記変性NTHSは、NTHS(配列ID番号:5)の活性の少なくとも1つが維持されている(例えばCTHS(配列ID番号:9)又は変性CTHSに対する結合能、及び/又はCTHS或いは変性CTHSを有する切断可能な複合体の形成)。好ましくは、前記変性NTHSは、図3で描かれているような2つのβシートとαへリックスを完全にまたは重要な部位のみ含む。
【0021】
表1で説明するUbls(すなわち、それらの部分的な配列は図26を参照)はいずれも、1)目的タンパク質の異種融合の発現を促進するため、2)前記融合タンパク質の親和性精製を可能にするため、3)切断のために前記Ublを再構成するために、本発明の組成物及び方法に利用されてもよいが、SUMOは本明細書で提供される遺伝子融合システムにおいて実証される。表2で説明する特異的な加水分解酵素(すなわちプロテアーゼ)はいずれも、前記目的タンパク質からCTHS(或いはSUMOタンパク質又は他のUblの部分的な他の配列)を除去するために、本発明の組成物と方法に利用されるが、Ulp1は本明細書において提供される遺伝子融合システムにおいて実証される。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
本発明の切断SUMO融合システムは、大腸菌と真核生物における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現に対する適用、及びすべてのシステムから得られる最終産生物の精製に成功している。さらに具体的には、前記システムは、(1)未発現タンパク質の発現促進;(2)不溶性タンパク質の溶解性の増強;(3)部分的なUbl配列がそのN末端に対して融合することによって、目的タンパク質を細胞内プロテアーゼによる分解から保護すること;(4)前記Ublそれぞれに対して固定され補足したN末端部位を利用した前記融合タンパク質の精製;(5)前記Ubl或いはその一部に対して固定された特異的な抗体を利用した前記融合タンパク質の精製;(6)本物のタンパク質を効果的に産生するためのin vitroにおける前記融合タンパク質の切断;(7)新規なN末端を有するタンパク質の産生;及び(8)例えばSUMO加水分解酵素Ulp1などのUbl加水分解酵素を用いることによる、前記融合タンパク質のN末端配列に関係なく顕著な効果を有する融合タンパク質のすべてを切断することを可能にする。
【0025】
重要なことは、Ublプロテアーゼは、Ublのアミノ酸残基数個だけでなく、各Ublの全体構造を認識する構造特異的酵素であるということである(16、29、30)。一方、組み換えタンパク質の工程において一般的に使用されるものを含む他の既知のプロテアーゼの多くは、小さいものを認識し(4〜8)、更にアミノ酸配列伸長を分解し、それにより目的タンパク質内において切断することが多い。前記各プロテアーゼの特異性と頑強性を伴った前記Ublのプロペプチドの組み合せ(前述したような)は、組み換えタンパク質の発現、精製及び加工に対して優れたシステムを作り出す。
【0026】
細胞内においてユビキチン化またはSUMO化されたタンパク質の最終的な運命は変化する。タンパク質は、モノユビキチン化またはポリユビキチン化されうる。タンパク質のモノユビキチン化は主にタンパク質内在化によって調節されている(33)。ユビキチン化は主に、26Sプロテアソームに対するタンパク質を分解の標的としている(34)。一方、標的タンパク質のSUMO化は分解されず、むしろ直接または間接的にタンパク質の局在性を変える(10)。脱ユビキチン化酵素は、ヒトにおいては約50、酵素ゲノムにおいては17存在する。これらの酵素は標的タンパク質から接合ユビキチンを切断すると同時に、ユビキチン−ユビキチン、およびユビキチン人工融合タンパク質から接合ユビキチンを切断する(35、36)。酵母はUlp1とUlp2と呼ばれている2つのプロテアーゼを有しており、それはリジンのε−アミノ基からSUMOを除去すると同時に、直鎖SUMO融合からSUMOを除去する(29、30)。
【0027】
不安定であることが周知である脱ユビキチン化酵素と比較して、Ulp1はその分解特性において際立った収率で生産し、さらに非常に安定かつ頑強であることで知られている。UBPとUlp酵素分類のこの劇的な相違は、この2つのアミノ酸配列または三次元構造に本質的に類似性がないことからすれば、驚くべきことではない(16、38)。CTHS融合は、組み換えタンパク質の収率を増進し、タンパク質精製の方法を提供し、さらに新たなN末端を産生し得ることから、この技術はゲノムバイオテクノロジー後の重要な分析手段を提供する。
【0028】
本発明はまた、発現、分泌、精製、局在化、及び目的タンパク質のアミノ末端の変化の促進をもたらすために用いるキットも包含する。そのようなキットは、望ましい宿主細胞における発現に適したプロモーターと、UBL分子のカルボキシ末端部位をコード化した核酸配列をインフレームに有する目的タンパク質をコード化した核酸をクローニングするのに適した多重クローニング部位と、に機能的に結合したSUMO、Ub、RUB、HUB、APG12、URM1、Ubi−L、FAT10、およびISG15の群から選択されるUBL分子のカルボキシ末端部位をコード化した核酸配列を含む組換えベクターを含む。前記プロモーターは、好ましくは強いプロモーターであり、さらに構成的または制御されていても良い。そのようなプロモーターは当業者によく知られており、ADH1、T7、およびCUP1プロモーターなど後述で提供されるプロモーターを含むがこれに限らない。
【0029】
前記組換えベクターは、前記Ubl分子のカルボキシ末端部位をコード化した配列と共に、構造内に精製標識を少なくとも1つコード化した核酸配列を含んでいてもよい。精製標識は当業者に周知のものであり(Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory参照)、ポリヒスチジン標識、ポリアルギニン標識、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、S−標識、インフルエンザウイルスHA標識、チオレドキシン、ブドウ球菌タンパク質A標識、FLAG(商標)エピトープ、AviTagエピトープ(その後のビオチン化のため)、およびc−mycエピトープを含むが、これらに限らない。精製標識を通じて融合タンパク質を精製するための物質と方法は当業者に周知であり(Sambrook et al.,Novagen catalog,2002,および以下の実施例を参照)。試薬は、前記精製標識に結合可能な固形支持体の少なくとも1つ、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、および溶出緩衝液を含むがこれに限らず、これらがキットに含まれても良い。
【0030】
前記キットはさらに、前記Ubl分子のアミノ末端部位の調整を有する組成物を含んでも良い。前記キットは、選択的に精製標識の少なくとも1つに機能的に連結した前記Ubl分子のアミノ末端部位をコード化した核酸配列を含む組換えベクターを含んでも良い。前記キットはさらに、融合タンパク質からUBL分子を切断できるプロテアーゼを少なくとも1つを有する組成物、切断緩衝液、宿主細胞の凍結ストック、および使用説明書をさらに含んでもよい。前記キットはさらに、野生型タンパク質を原産とするものとは異なるアミノ末端を産生するために、目的タンパク質をコード化した核酸を変性するための試薬を含んでも良い。前記核酸を変化する方法は、当業者に周知であり、部位特異的な突然変異産生、及びオリゴヌクレオチドに基づく部位特異的な突然変異産生を含むがこれに限らない(BD Biosciences Catalog,2001;Qiagen Catalog,2001;Ausubel et al.,eds.,1995,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Inc.参照)。
【0031】
本明細書で用いられている"使用説明書"は、本発明方法を行なうために、本発明の組成物の実用性を伝達するために使用されうる出版物、記録、図表、又は他の任意の表現媒体を含む。本発明のキットの前記使用説明書は、前記キットを含む容器と一緒に出荷するために、例えば本発明のキットを含む容器に貼り付けられていても良い。或いは、前記使用説明書は、前記容器と別々に出荷されてもよく、この場合は前記使用説明書とキットは受容者が協働で使用する意向が添えてある。
【0032】
以下の定義は、本発明の理解を容易にするために提供される。
【0033】
本明細書で使用される"核酸"又は"核酸分子"は、一本鎖又は二重鎖の任意のDNA又はRNA分子を指しており、一本鎖の場合、その相補配列の分子は直線または円形である。核酸分子について議論する場合、特定の核酸分子の配列または構造は、5’から3’の方向で配列を与える通常の約束事に従って本明細書に説明されてもよい。本発明の核酸に関して、"分離された核酸"という用語が時折使用される。この用語は、DNAに適用された場合、それが由来する生物体の天然に生じるゲノムにおいて、直接隣接する配列から分離されたDNA分子を指す。例えば、"単離された核酸"は、例えばプラスミッド又はウイルスベクターなどのベクターに挿入されたDNA分子を含んでも良く、或いは原核性又は真核性細胞又は宿主生物体のゲノムDNAに組み込まれたDNA分子を含んでも良い。
【0034】
RNAに適用する場合、"単離された核酸"という用語は、上記で定義したような分離されたDNA分子によってエンコードされたRNA分子を指しても良い。或いは、前記用語は、RNA分子がその自然状態(すなわち細胞内又は組織内)に関連した他の核酸から十分に分離されているRNA分子を指してもよい。分離された核酸(DNA又はRNA)はさらに、生物学的または合成的方法によって直接産生され、その産生の間に存在する他の成分から分離された分子を意味しても良い。
【0035】
一本鎖核酸、特にオリゴヌクレオチドに関して、"特異的なハイブリダイゼーション"という用語は、当業者において一般的に使用される規定の条件下において、そのようなハイブリダイゼーションを許容するために十分に相補的な配列の2つの一本鎖ヌクレオチド分子間の関連性を指すものである("実質的に相補的"と時折呼ばれる)。特に、前記用語は、非相補的な配列の一本鎖核酸を有するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを実質的に除いたものに対して、本発明の一本鎖DNA分子内に含まれる実質的に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを指す。様々な相補性を有する一本鎖核酸の特異的なハイブリダイゼーションを可能にするための適切な条件は、当業者に周知である。
【0036】
例えば、特定の配列相同性を有する核酸分子間のハイブリダイゼーションを達成するために必要な厳密な条件を計算するための一般式の1つは、以下に説明する(Sambrook et al.,1989):
Tm=81.5℃+16.6Log[Na+]+0.41(%+G+C)−0.63(%ホルムアミド)−600/#bp二本鎖
【0037】
上記の式の説明としては、[Na+]=[0.368]及びGC含有量が42%の50%ホルムアミドを用い、平均プローブサイズは200塩基であり、Tmは57℃である。DNA二本鎖の前記Tmは、相同性が1%減少するに伴い1〜1.5℃減少する。従って、約75%より大きい配列同一性を有する目的物は、42℃のハイブリダイゼーション温度を用いることで観察される。例えば、5XSSC、5Xデンハルト試薬、1.0%SDS、サケ精子の変性DNA断片100μg/ml、0.05%ピロリン酸ナトリウム、及び最大50%のホルムアミドを含むハイブリダイゼーション溶液を用いたSambrook et al.,(上述)の方法に従って、ハイブリダイゼーションが実施されても良い。ハイブリダイゼーションは、37〜42℃で少なくとも6時間で達成される。ハイブリダイゼーション後、フィルターは以下のように洗浄される:(1)2XSSC及び1%SDS中、室温で5分間;(2)2XSSC及び0.1%SDS中、室温で15分間;(3)1XSSC及び1%SDS中、37℃で30分〜1時間;(4)1XSSC及び1%SDS中、42〜65℃で2時間、前記溶液は30分毎に変える。
【0038】
前記ハイブリダイゼーションと洗浄の厳密性は、主に前記塩濃度と前記溶液の温度に依存する。一般的に、プローブをその目的物とアニーリングする速度を最大にするために、前記ハイブリダイゼーションは通常、前記ハイブリッドのTm計算値が20〜25℃以下になる塩と温度条件下で実行される。洗浄条件は前記目的物に対する前記プローブの同一性の程度に合わせてできるだけ厳密にすべきである。一般的に、洗浄条件は前記ハイブリッドのTmのおよそ12〜20℃以下になるように選択される。本発明の核酸に関して、ある程度厳密なハイブリダイゼーションは、6XSSC、5Xデンハルト溶液、0.5%SDS中、サケ精子の変性DNA100μg/mlを42℃でハイブリダイゼーションすることとして定義され、2XSSC及び0.5%SDS中、55℃で15分洗浄される。高度に厳密なハイブリダイゼーションは、6XSSC、5Xデンハルト溶液、0.5%SDS中、サケ精子変性DNA100μg/mlを42℃でハイブリダイゼーションすることとして定義され、さらに1XSSC及び0.5%SDS中、65℃で15分間洗浄される。超高度に厳密なハイブリダイゼーションは、6XSSC、5Xデンハルト溶液、0.5%SDS中、サケ精子変性DNA100μg/mlを42℃でハイブリダイゼーションすることとして定義され、さらに0.1X SSC及び0.5%SDS中、65℃で15分洗浄される。
【0039】
本明細書で用いられる"プローブ"という用語は、精製された制限酵素消化物として天然に生じる或いは合成的に産生されたオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、またはDNA分子を指し、前記プローブに対して相補的な配列を有する核酸にアニーリング可能または特異的にハイブリダイズ可能なものである。プローブは一本鎖または二本鎖であっても良い。前記プローブの正確な長さは、温度、プローブの発生源、及び使用方法を含む様々な要因によって決まる。例えば、診断的適用に対しては標的配列の複雑さによって決まり、前記オリゴヌクレオチドプローブは、より少ないヌクレオチドを含む可能性があるが、一般的に15〜25又はそれ以上のヌクレオチドを含む。本発明の前記プローブは、特定の標的核酸配列の異なる鎖に対して相補的になるように選択される。これは、前記プローブが"特異的にハイブリダイズする"ことが可能となるように、または一連の規定の条件下において標的鎖がそれぞれアニールすることが可能となるように、十分に相補的でなくてはならない。従って、前記プローブの配列は、前記標的の正確な相補的配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片は、前記プローブの5’または3’末端に結合し、前記プローブ配列の残りは前記標的鎖に対して相補的になっている。或いは、前記プローブ配列は前記標的核酸の配列と十分に相補的な状態になっておりその後特異的にアニールするのであれば、非相補的塩基又はより長い配列は、前記プローブに散在してもよい。
【0040】
本明細書で用いる"プライマー"という用語は、一本鎖又は二本鎖のDNAオリゴヌクレオチドを指し、生体系由来、制限酵素の消化による産生、又は合成的な産生、いずれに由来してもよく、適切な環境にある場合には鋳型依存核酸合成の開始剤として機能的に作用し得る。適切な核酸鋳型、適切な核酸のヌクレオシド三リン酸前駆体、ポリメラーゼ酵素、適切な共同因子、及び適切な温度とpHなどの条件が提示されている場合、前記プライマーは、ヌクレオチドの添加とポリメラーゼの作用または類似の作用によりその3’末端において伸長し、プライマーが伸長した産生物が得られる。前記プライマーは特定の条件とその適用に対する必要条件によって長さが変わってもよい。例えば、診断的適用においては、前記オリゴヌクレオチドプライマーは一般的に15〜25又はそれ以上のヌクレオチドの長さである。前記プライマーは、目的とする伸長産生物の合成を刺激するために目的の鋳型に対して十分に相補的でなくてはならなく、これによって、ポリメラーゼまたは類似の酵素による合成を開始する使用に対して適切な近位における前記プライマーの3’ヒドロキシ部位を提供するのに十分な方法で、目的とする鋳型鎖とアニールし得る。前記プライマー配列が前記目的の鋳型の正確な相補体に相当する必要はない。例えば、非相補的なヌクレオチド配列は、別の相補的なプライマーの5’末端に結合されてもよい。或いは、前記プライマー配列が目的の鋳型鎖の配列と十分な相補性を有し、伸長産生物を合成するために鋳型プライマー複合体が機能的に提供されるのであれば、非相補的塩基は、オリゴヌクレオチドプライマー配列内に散在してもよい。
【0041】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は米国特許第4,683,195号公報、第4,800,195号公報、および第4,965,188号公報において説明されており、これらの刊行物は本明細書に完全に組み込まれる。
【0042】
"百分率類似性""百分率同一性"及び"百分率相同性"は、特定の配列を指す場合、University of Wisconsin GCGソフトウェアプログラムにおいて説明されているものとして使用される。
【0043】
本明細書で使用される"機能的"という用語は、核酸又はアミノ酸配列が列挙した試験又は目的に対して機能的であることを意味する。
【0044】
核酸の特定の配列に対する"天然対立遺伝子多型""突然変異体"及び"誘導体"は、特定の配列に密接に関連した核酸配列を指すが、天然に又は設計によって、配列又は配列の変化を有していても良い。密接に関連することによって、前記ヌクレオチド配列の少なくとも約75%、しばしば90%以上が、特定の配列ID番号を用いて参照される定義された長さの核酸配列と一致することを意味する。密接に関連する核酸配列間のヌクレオチド配列の変化または相違は、特定の核酸配列の性質において、通常の複製又は重複の過程の間に起こるヌクレオチド配列の変化に相当しても良い。その他の変化は、例えばアミノ酸コドン或いは核酸の調整領域における配列を変化させるなど、特定の目的のために前記配列が明確に設計され導入されても良い。そのような特定の変化は、様々な突然変異誘発技術を用いてin vitoで行われてもよく、或いは前記変化のために誘発又は選択する特定の選択条件下に置かれた宿主生命体において引き起こされても良い。発生したそのような配列の変形は具体的に、最初の配列の"突然変異体"または"誘導体"と呼ばれても良い。
【0045】
「本質的に〜から成る」という用語は、特定のヌクレオチド又はアミノ酸を指す場合は、与えられた配列ID番号の性質を有する配列を意味する。例えば、アミノ酸配列に関して使用される場合、前記用語は、配列それ自体と、前記配列の基本的な特性及び新規な特性に影響を与えない分子修飾とを含む。本明細書で用いられる"プロモーター"という用語は、組み換え産生物をコード化したDNA配列に隣接しているDNA配列を指しうる。プロモーターは隣接DNA配列に機能的に連結されているのが好ましい。プロモーターは一般的に、プロモーターが存在しない場合に発現される組み換え産生物の量と比較して、DNA配列から発現される組み換え産生物の量を増加させる。ある生命体のプロモーターは、別の生命体に由来するDNA配列の組み換え産生物の発現を増強するために利用されうる。例えば、脊椎動物のプロモーターは、脊椎動物においてクラゲGFPを発現するために使用されても良い。さらに、あるプロモーターの成分が、直列に結合した多重DNA配列によって発現される組み換え産生物の量を増加させることも可能である。従って、あるプロモーター成分は1若しくはそれ以上の組み換え産生物の発現を増強することが可能である。多重プロモーター成分は当業者に周知である。
【0046】
本明細書で用いられる"エンハンサー"という用語は、組み換え産生物をコード化したDNA配列に隣接したDNA配列を指しうる。エンハンサー要素は一般的にプロモーター成分の上流に位置するか、或いは下流に位置しうるものであり、又はコーディングDNA配列内(例えば組み換え産生物或いは産生物に転写或いは翻訳されたDNA配列)に位置しうる。従って、エンハンサー要素は組み換え産生物をコード化したDNA配列の上流或いは下流の100塩基対、200塩基対、又は300或いはそれ以上の塩基対に位置しうる。エンハンサー要素は、プロモーター要素によってもたらされる増強された発現を超えて、DNAから発現される組み換え産生物の量を増加させることが可能である。多重エンハンサー要素は当業者が容易に入手可能なものである。
【0047】
本明細書で用いられる"形質移入した(transfected)"及び"形質移入(transfection)"という用語は、外来性DNAを細胞に誘導する方法を指す。このような方法は、例えば高濃度の塩、電場、リポソーム、ポリカチオンミセル、又は洗浄剤を用いて細胞を処理するなど様々な技術を含むものであり、目的核酸分子に対して透過性の宿主細胞の外膜或いは外壁を与える。これらの特定の方法は、限定されているものではなく、本発明は当業者に周知の任意の形質転換技術に関連するものである。
【0048】
"レプリコン"は任意の遺伝に関する要素であり、例えば、プラスミド、コスミド、バクミド(bacmid)、ファージ或いはウイルスであり、そのもの自身の制御の下で大部分は複製可能なものである。
【0049】
"ベクター"は、例えば、プラスミド、コスミド、バクミド(bacmid)、ファージ或いはウイルスなどのレプリコンであり、結合した配列或いは要素の複製をもたらすために別の遺伝子配列或いは要素(DNA或いはRNA)が結合しうるものである。
【0050】
"発現オペロン"は、例えばプロモーター、エンハンサー、翻訳開始信号(例えばATG、AUGコドン)、ポリアデニル化信号、転写終結区(terminators)、及び同種のものなど、転写と翻訳の制御配列を有しうる核酸セグメントを指し、宿主細胞或いは生命体においてポリペプチドコード配列の発現を増強するものである。
【0051】
本明細書で用いられる"オリゴヌクレオチド"という用語は本発明の配列、プライマー、及びプローブを指し、2若しくはそれ以上、好ましくは3以上のリボ−或いはデオキシリボヌクレオチドを有する核酸分子として定義される。オリゴヌクレオチドの正確な大きさは、様々な因子と、前記オリゴヌクレオチドの特定の用途及び使用方法によって決まる。
【0052】
"実質的に純粋"という用語は、与えられた物質を重量で少なくとも50〜60%含む調整物を指す(例えば核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、など)。さらに好ましくは、前記調整物は与えられた化合物を重量で少なくとも75%含み、最も好ましくは重量で90〜95%含む。純度は与えられた化合物に適切な方法で測定される(例えば、クロマトグラフ法、アガロース或いはポリアクリルアミドゲル電気泳動、HPLC分析、及び類似のもの)。
【0053】
"遺伝子"という用語は、ポリペプチドをコード化した翻訳領域(open reading frame)を有する核酸を指し、エクソン配列および(選択的に)イントロン配列の両方を含む。前記核酸は選択的に、プロモーター或いはエンハンサー配列のような非コード配列を含んでもよい。前記"イントロン"という用語は、タンパク質には翻訳されず、一般的にエクソン間で見出される与えられた遺伝子に存在するDNA配列を指す。
【0054】
本明細書で用いられる"機能的に連結"という用語は、核酸配列が別の核酸配列と機能的に関連するように配置されていることを指しても良い。機能的に連結した核酸配列の実施例は、プロモーター、切断部位、精製標識、転写終結区、転写或いは適切な場合は翻訳された場合に例えばタンパク質、リボザイム、またはRNA分子などの機能的産生物を産生するエンハンサー或いはアクチベータ及び異種遺伝子、を含むが限定されない。"機能的に連結"という用語は、例えば、タンパク質の形態におけるUblのカルボキシ末端ドメインの触媒的切断活性によって目的タンパク質が放出されるように、Ublのカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸と機能的に関連するように配置された目的タンパク質をコード化した核酸配列を指しても良い。
【0055】
"固形支持体"という用語は、任意のチップ(例えばシリカを基盤にしたもの、ガラス、または金チップなど)、スライドガラス、膜、ビーズ、固形粒子(例えばアガロース、セファロース、ポリスチレン、又は電磁ビーズなど)、カラム(或いはカラム材料)、テストチューブ、又はマイクロタイターディッシュなど含むが限定されない任意の固形表面を指す。
【0056】
"アフィニティー(親和性)標識""精製標識"及び"エピトープ標識"という用語は全て、目的タンパク質の精製を達成するために使用されうる標識を指しても良い。精製/アフィニティー/エピトープ標識は当業者に周知であり(Sambrook et al.,2001 Molecular、Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory参照)、ポリヒスチジン標識(例えば6xHis)、ポリアルギニン標識、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、S−標識、インフルエンザウイルスHA標識、チオレドキシン、ブドウ球菌タンパク質A標識、FLAG(商標)エピトープ、AviTagエピトープ(その後のビオチン化のため)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、抗体エピトープ(例えば抗体に認識され結合するアミノ酸配列)、c−mycエピトープを含むがこれらに限定されない。
【0057】
以下に説明する物質と方法は本発明の実行を容易にするために提供される。
【0058】
大腸菌発現ベクターの設計と作成
原型ベクターの骨格は、NovagenからのpET24dベクターを用いて作成した(図13Bおよび図15C参照)。pET24dはIPTGを用いて誘導可能なT7プロモーターシステムを用いた。前記ベクターはカナマイシン選択マーカーを有しており、翻訳終結区を全く含まないものであった。アンピシリン耐性遺伝子を持っているpET22骨格を用いた類似のベクターも産生した。
【0059】
6xHis−SUMO−GFP切断可能および切断不可能融合体の作成
アミノ末端6xHis標識SUMO融合ベクターは以下のように作成した。PCR産生物はプライマー5’CCATGGGTCATCACCATCATCATCACGGGTCGGACTCAGAAGTCAATCAA−3’(配列ID番号:69)及び5’−GGATCCGGTCTCAACCTCCAATCTGTTCGCGGTGAG−3’(配列ID番号:70)と共に変性SUMO(Smt3)遺伝子を鋳型((39)Erica Johnson寄贈)として用いて産生した。特に、本明細書において提供される実施例全体で使用される前記SUMO(配列ID番号:2)は、報告されているSUMO配列における(GenBank受入番号U27233)グアニンヌクレオチドの代わりに、229の位置にアデニンヌクレオチドを含む。この変化によって、エンコードされたアミノ酸配列において、トレオニンの代わりにアラニンを産生する(配列ID番号:1とGenBank受入番号Q12306を比較)。以下の実施例はSUMOの変性した種類のものを使用しているが、本発明は上記に記載したGenBank受入番号で提供されるような"野生型"のSUMOの利用を含む。
【0060】
PCR断片は、NcoIおよびBamHIを用いて2回の消化した後、同様に消化しておいたpET24dにライゲートした。eGFP配列はプライマー5’−GGTCTCAAGGTATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGC−3’(配列ID番号:71)及び5’−AAGCTTATTACTTGTACAGCTCGTCCATGCC−3’(配列ID番号:72)を用いて増幅した。SUMO−GFP融合体の切断不可能な変異体を産生するために、メチオニン(太線で示す)の代わりにプロリンコドンを有するプライマーをPCR増幅に使用した:5’−GGTCTCAAGGTCCCGTGAGCAAGGGCGAGGAGC−3’(配列ID番号:73)。前記PCRの産生物は精製し、BsaIとHindIIIを用いて2回の消化をし、その後これらを同様に消化しておいたpET24d−6xHis−SUMOベクターにライゲートした。其々において正しい配列が存在していることを確認するためにプラスミッドの配列を決定した。
【0061】
pET−6xHis−NTHS及びpET−Cys−6xHis−NTHSプラスミドの作成
pET−6xHis−NTHSプラスミド(図14)は、pET−6xHis−SUMO−GFPプラスミド(図18)を用いた逆PCRによって作成した。前記プラスミドを増幅するために、プライマー5’−TTTTTTAAGCTTGCGGCCGCACTCG−3’(配列ID番号:74)及び5’−TTTTTTAAGCTTATTTAGCGAACGCTTCCATC−3’(配列ID番号:75)を用い、SUMO遺伝子とGFP遺伝子のC末端の半分を除去した。前記増幅産生物はHindIII制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し、自己ライゲート(self−ligated)した。固形支持体に対して共有結合(例えばスルホ結合樹脂のPierce;及びチオプロピル、イオドプロピル、及び他の値オール反応基を有する支持体)を達成できるように、NTHSのN末端付近にシステイン残基を導入するために(図23、配列ID番号:27)、以下の配列のプライマー、5’−GATATACCATGGGTTGCCATCACCATC−3’(配列ID番号:76)及び5’−GATGGCAACCCATGGTATATCTCC−3’(配列ID番号:77)を逆PCRに用いた。鋳型はpET−6xHis−NTHS(図14)であった。PCR終了後、前記産生物を精製し、NcoIで消化し、自己ライゲートした。
【0062】
pET−6xHis−CTHS−GFP、pET−6xHis−E−CTHS−GFP、及びpET−S−6xHis−CTHS−GFPプラスミドの作成
pET−6xHis−CTHS−GFPプラスミドは、pET−6xHis−SUMO−GFPプラスミドを用いた逆PCRによって作成した。前記プラスミドを増幅するために、プライマー5’−TTTTTTGGTCTCGTCATCATCACAAAAGACAGGGTAAGGAAATG−3’(配列ID番号:78)及び5’−TTTTTTGGTCTCGATGATGGTGATGACCCATGG−3’(配列ID番号:79)を用い、SUMO遺伝子のN末端部位を除去した。前記増幅産生物はBsaI制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し、自己ライゲートした。
【0063】
6xHis標識がエンドペプチダーゼによって切取られることから保護できるように、6xHis標識の後、リジンをグルタミン酸残基(単一文字表記でE、従って前記プラスミドの名前)に置き換えるために、(配列ID番号:78)の代わりに、以下の配列5’−TTTTTTGGTCTCGTCATCATCACGAAAGACAGGGTAAGGAAATG−3’(配列ID番号:80)のプライマーを用いることを除けば上述のように前記PCRとクローニングを行った。
【0064】
6xHis標識がエキソペプチダーゼによって切取りとられることから保護できるように、S−標識配列(40)の部位を導入するために、2つのNcoI適合性突出部である5’−CATGGAAACCGCTGCTGCTAAATTCGAACGCCAGCA−3’(配列ID番号:81)及び5’−CATGTGCTGGCGTTCGAATTTAGCAGCAGCGGTTTC−3’(配列ID番号:82)を形成するアニーリングのような方法で、以下の2つのオリゴヌクレオチドを設計した。これらはT4DNAキナーゼでリン酸化し、アニールし、さらにNcoI消化されたpET−6xHis−CTHS−GFPにクローニングした。
【0065】
pET−GST−6xHis−SUMO−GFP及びpET−GST−6xHis−CTHS−GFPプラスミドの作成
pET−GST−6xHis−SUMO−GFPプラスミド(図21、配列ID番号:24)は、PCRによって増幅したGST配列(図20、配列ID番号:22)をpET−6xHis−SUMO−GFPプラスミッドのNcoI部位に挿入することによって作成した。GST配列は、プライマー5’−TTTTTTCGTCTCCCATGTCCCCTATACTAGGTTAATTG−3’(配列ID番号:83)及び5’−TTTTTTTCCATGGCACCTTGAAAATAAAGAT−3’(配列ID番号:84)を用いてpET−GSTプラスミドから増幅し、このPCR産生物をEsp3及びNcoIを用いて消化した。pET−GST−6xHis−CTHS−GFP(図22、配列ID番号:26)は、pET−GST−6xHis−SUMO−GFPプラスミッドを鋳型として用いた逆PCRによって産生した。前記プラスミドを増幅するために、プライマー5’−TTTTTTGGTCTCGTCATCATCACAAAAGACAGGGTAAGGAAATG−3’(配列ID番号:78)及び5’−TTTTTTGGTCTCGATGATGGTGATGACCCATGG−3’(配列ID番号:79)を用い、SUMO遺伝子のN末端部位を除去した。前記増幅産生物はBsaI制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し、自己ライゲートした。
【0066】
Ulp1プラスミド、SUMOプロテアーゼの発現及び精製
SUMO加水分解酵素/プロテアーゼUlp(403〜621)p(16,29)の触媒ドメインは、酵母ゲノムDNAから、プライマー5’−TTTTTTTCCATGGGACTTGTTCCTGAATTAAATGAA−3’(配列ID番号:85)及び5’−TTTTTTCTCGAGTTTTAAAGCGTCGGTTAAAATCAA−3’(配列ID番号:86)を用いてPCR増幅した。このPCR産生物はNcoIとXhoIを用いて消化し、pET24dベクターにクローン化し、NcoIとXhoIwo用いて消化した。得られたクローンはC末端His標識と共に構造内にUlp1の触媒ドメインを持っていた。前記酵素はRosetta(DE3)pLysS(Novagen)において発現した。組み換えタンパク質はNi−NTAアガロース(Qiagen)を用いて精製し、20mM Tris−HCl pH8.0、150mM NaCl、及び5mM β−メルカプトエタノールに対して広範囲に透析した。−80℃で保存する前に、前記酵素の調整液は50%のグリセロールで調整した。
【0067】
酵母ベクターの設計と作成
酵母を含む検体のモデルとしてサッカロマイセス・セレヴィシエを用いた。これらの試験のための発現ベクターは全て、選択可能マーカーとしてトリプトファン、複製起源として2μ、さらに目的クローン化遺伝子の発現を誘導するプロモーターをもたらす銅と共に、多コピー酵母ベクターのpYep上に設計した(41)。融合体の作成は(大腸菌ベクターから切取ったNcoI−XhoI断片)は、pYepに直接再クローン化し、NcoIとXhoIと共に消化した。
【0068】
組み換えバキュロウイルスの設計と作成及び昆虫細胞における融合体の発現
in vitroにおいてNTHSとUlp1を接触させることにより、後で開裂可能な非開裂タンパク質としてのCTHS−GFP融合体を産生することを実証するために、我々はpFastBacベクター(Invitrogen)を用いた。融合コンストラクト(大腸菌ベクターpET−GST−6xHis−CTHS−GFPから切取ったNcoI−XhoI断片、図22、配列ID番号:26)は、NcoI及びXhoIを用いて消化したpFastBacに直接再クローン化した。
【0069】
昆虫細胞コンパートメント(compartments)からのタンパク質の分析:バキュロウイルスストックの調整と細胞増殖
pFastbac1シャトルプラスミド(Invitrogen,Inc.)に基づく移入ベクターのコンストラクトは、部位特異的な統合によってGST−6xHis−CTHS−GFP配列を組み換えウイルスDNAに転写するために、DH10Bac大腸菌適格細胞に入れ替えた。組み換えウイルス(バクミド(bacmid))DNAを含む形質転換(白いコロニー)大腸菌細胞のアルカリ溶菌法、及び組み換えバクミドDNAの抽出の後、前記バクミドDNAをハスモンヨウ近似種(Spodoptera frugiperda)(Sf9)昆虫細胞を形質移入するために使用し、これによりウイルス複製が起きた。その後前記ウイルスは、2代継代(長期保存のため)及び3代継代(作用のため)ウイルスストックを産生するために、新鮮なSf9細胞培養物を感染させることにより増幅し、融合タンパク質を発現させるため感染細胞に対して直接使用した。ウイルス感染力(pfu/ml)は、Sf9細胞においてBacPAK(商標)Rapid Titer Kit(BD Sciences Clontech,Inc.)を用いた滴定によって測定した。1mlあたり1×10細胞濃度のHi−Five細胞の培養液50mlを、Express Five 培地(無血清培地)中、MOI=5で組み換えウイルスを用いて感染させた。前記細胞は、100mlのスピナーフラスコ中27℃で増殖した。24時間毎に、トリパンブルーと細胞計測懸濁液0.5mlを用いて細胞生存を測定した。
【0070】
細胞と培地中の組み換えタンパク質の存在は、上清及び細胞ペレットのSDS−PAGE及びウエスタンブロット法によって確認した。
【0071】
サッカロマイセス・セレヴィシエ(S.cerevisiae)の増殖とタンパク質発現
酵母培養は富栄養培地中で培養した。標準酵母と大腸菌の培地は記述されているように調整した(42)。酵母菌株BJ1991を宿主として使用した。自己複製プラスミドを有する酵母の形質転換細胞は、酵母選択培地中で維持した。6xHis−CTHS−GFP(切断可能或いは切断不可能変異株)及びS−6xHis−CTHS−GFP及び6xHis−E−CTHS−GFP融合体は、TRP選択マーカーを有する多コピープラスミド2μm中、銅メタロチオネイン(CUP1)プロモーターによる調整の下で発現した。
【0072】
酵母細胞は適切な発現ベクターを用いて形質移入し、単一コロニーを選択可能マーカーのない合成培地中で培養した。各タンパク質に対して、タンパク質発現のために少なくとも2つの単一コロニーを個別に分析した。細胞は5ml培養液中一晩培養し、翌日、前記培養液は新鮮な培地でOD600=0.5になるまで希釈した。この培養液はOD600=2.0まで培養し、100μMになるように硫酸銅を加えた。前記培養液は3時間誘発した。この細胞を2000×g、5分間でペレット状にし、pH7.5の10mM Tris−EDTA緩衝液で洗浄した。この細胞ペレットはSDS−PAGE緩衝液中に懸濁し、5分間煮沸し、短時間の超音波処理によりDNAを剥奪した。前記懸濁液は遠心分離し、10〜20μlずつ等分したものを12%SDS−PACEにかけた。
【0073】
大腸菌の増殖とタンパク質の発現
タンパク質発現の研究は、Rosetta菌種(Novagen)において実施した。この菌株はラムダDE3溶原菌株に由来し、pACYCに基づくプラスミドにおいてtRNAsと共にIPTG誘導性T7RNAポリメラーゼの染色体コピーを保有していた。培養液はLB培地と最少培地中、37℃の培養温度で、100μg/mLのカナマイシンと30μg/mLのクロラムフェニコールと共に培養した。前記培養液は50倍に希釈し、26℃まで温度が下がる期間、mid log(600nmの光学濃度が0.5〜0.7)になるまで培養し、この培養液を1mMのIPTGで誘発した。この誘発は2〜5時間続けた。前細胞へのタンパク質誘導を分析するために、SDS−PAGE緩衝液を加え、SDS−PAGEおよびクーマシーブルーによる染色の後、前記タンパク質を分析した。
【0074】
溶解性及び不溶性画分の分離
大腸菌は穏やかな遠心分離によって集菌し、PBS緩衝液で1回洗浄した。この細胞は4mlのPBSで再懸濁し、超音波で数回パルスをかけて破壊した。穏やかな遠心分離(1500×gで5分間)よって壊れなかった細胞を除去し、全細胞が溶解するのを確実にするために上清を再度超音波処理した。未破壊細胞の溶解のために検出される粘着がないことを確実にするために、等分化(5μl)したものを2%SDSと共に混合した。前記溶菌中に未破壊細胞が残っていないことを確実にした後、細胞壁、封入体、及び膜断片から成る不溶性物質を遠心分離(18,000×gで10分間)により沈殿させた。前記上清は"溶解画分"とみなした。
【0075】
前記ペレットは、以下の方法で、残った溶解性タンパク質、脂質、及びペプチドグリカンのいずれも洗い流した。このペレットを600μlのPBSに再懸濁し、この懸濁液に、3M尿素と1%トリトンX100とを含む溶液600μlを加えた。前記懸濁液は短時間ボルテックスにかけ、上述のように不溶性物質を遠心分離によって集めた。溶解タンパク質が全て除去されることを確実にするために、前記PBS/尿素/トリトン洗浄をさらに2回繰り返した。前記洗浄ペレットは、主に過剰発現タンパク質によって形成される封入体から成る"不溶性画分"として指定した。各画分から得られる約10μgのタンパク質を12%SDS−PAGEミニゲルで分離し、クーマシーブリリアントブルーで染色した。
【0076】
蛍光(GFP活性)評価
GFP蛍光(9)は、Fluoroscan Accent FL蛍光光度計(LabSystem;Helsinki,Finland)を用いて、励起485nm/発光510nmのフィルターを照射0.4秒にセットし、溶解性画分(最終容積40μl中、溶解性タンパク質約0.1mg)で測定した。このデータはArbitrary Units(AU)で示した。
【0077】
ウエスタンブロット法
各レーンあたり全酵母タンパク質が20μgのものを12%SDS−PAGEミニゲルで分離し、ニトロセルロース膜を用いた標準的な方法で電気ブロットした。抗体を用いたブロッキングとインキュベーションの前に、検体中のタンパク質量が当量であることを確実にするために、前記膜をPnceau S溶液(Sigma)で染色した。この膜はTTBS緩衝液中5%ミルクで固定し、ウサギ抗GFP抗体(Clotech,カタログ番号8367)と共に1:500希釈で一晩4℃でインキュベートした。第二HRP接合抗体はAmershamから得た。
【0078】
タンパク質精製とUlp1を用いたin viroにおける切断
溶解物の溶解性画分から得られる組み換えタンパク質を、Ni−NTAアガロース(Qiagen)を用いて、この製造会社が推奨する方法で精製し、さらに実施例VI(6)にて詳細は記載した。詳細を記載した実施例VI(6)のように、前記タンパク質の切断を実施した。
【0079】
以下の実施例は本発明の様々な実施形態を説明するために提供される。SUMOは以下の実施例の範例としたが、代わりに他のUblを使用しても良い。実施例は実例であり、決して本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0080】
GFPのN末端に対するSUMO(CTHS)のカルボキシ末端半分の結合による大腸菌タンパク質の発現の増強
GFPを発現する全てのpETベクターの設計とコンストラクションは上記に記載している。DNA配列、SUMO、CTHS、GST、GFPの受入番号、融合体コンストラクト、プラスミドマップ、及び翻訳構造については、図12〜24に示す。6xHis−GFP、6xHis−SUMO−GFP、6xHis−CTHS−GFP、GST−6xHis−SUMO−GFP、及びGST−6xHis−CTHS−GFPの発現パターンは図5に示す。誘導した大腸菌細胞は超音波処理によって破壊し、溶解性タンパク質はSDS−ポリアクリルアミドゲルで分析した。前記染色ゲルは(図5A)に示しており、融合体は溶解性であった。不融合GFPは一般的に大腸菌において発現性に乏しいものである。前記データは、SUMOとCTHSがGSTの結合の有無により、GFPの発現レベルを様々な度合いで増強することを示している。図5Bは、Fluoroscan Accent FL蛍光光度計(LabSystems)を用いて、最終容積40μl中、約0.1mgの溶解性タンパク質中のGFPの蛍光を示している。前記データはArbitrary Unit(AU)で示しており、GSTを有するSUMO、CTHS、及び融合体が蛍光を発し得るGFPタンパク質を産生したため、正しく折り畳まれていたことを示す(9)。特に、CTHS融合タンパク質は、一貫して再生可能な方法で、全長のSUMOを有する融合体よりも多くGFPを産生した。ここで示したデータに加えて、我々はより短い種類のCTHSを作成した(CTHS−1、図25、配列ID:31〜34)。発現CTHS−1−GFP融合体の分析によって、CTHSと類似の発現レベルが得られる実証しており、CTHSとNTHSの境界は比較的柔軟性があり、特定の用途によって変わり得ることを示した。
【0081】
概して、これらの結果は、細菌におけるCTHSのGFPに対する融合によって、10〜40倍(SDS−PAGEにおいて出現するタンパク質バンドに基づく)或いは3〜12倍(蛍光比較に基づく)発現レベルが増加することを示す。これらの推定値における相違は、細胞溶解物などの高濃度のタンパク質を伴った溶液においてGFPを効果的にクエンチすることによって説明される。
【実施例2】
【0082】
GFPのN末端に対するSUMO(CTHS)のカルボキシ末端半分の結合による切断なしでの酵母タンパク質の発現の増強
様々なGFP融合体を発現するYepに基づく全てのプラスミドの設計と作成、及びタンパク質発現分析の方法の詳細は上記に記載してきた。簡潔に述べると、pET24ベクターにおいて最初に作られるコンストラクトを摘出し、YEpベクターに再クローン化した。トリプトファン欠損培地において形質転換細胞を選定した。発現は3時間誘導し、抗GFP抗体を用いたウエスタンブロットによってタンパク質を分析した。
【0083】
図6は、YPD富栄養培地において発現した場合、酵母によって産生されたGFP融合体の代表的なブロットを示している。CTHSによる融合後、GFPの発現は10〜20倍増強した。しかしながら、合成倍地中、100μM硫酸銅を用いて細胞を誘導した場合、50倍近いGFPの産生の増加が観察された。倍増するこのような変動は、銅イオンが富栄養培地に存在する様々な化合物とキレート化し、Cu2+のCUPプロモーター誘導機能を減少させるためだと思われる。
【0084】
図6のデータは、明らかに、SUMO−Pro−GFP及びCTHS−GFP融合体が切断されなかったのに対して、SUMO−Met−GFPは酵母中で効果的に切断されたことを実証している。前記タンパク質はSDS−PAGE上で予想した速度で移動し、部分的な切断は検出されなかった。
【0085】
従って、前述の実施例は、(a)CTHSがGFPの発現を増強し得ること、及び(b)CTHS−GFPが酵母中で非切断融合体を産生し得ること、を示した証拠を提供している。真核生物において非切断成分として融合体を産生することは、例えば:(1)結合親和性或いはエピトープ標識が発現した目的タンパク質に結合したままであること、(2)そのような標識がSUMOプロテアーゼによって除去され(実施例III(3)参照)、さらに(3)大腸菌において産生されるあるタンパク質が、バクテリアではなく真核生物においてのみ導入され得る翻訳後の修飾がないために活性化されない、などの多大な利点を提供する。
【実施例3】
【0086】
in vitroにおけるCTHS融合体の切断可能構造の再構成とUlp1による切断
切断可能な再構成構造が内在する分子基盤を図3と図4に纏めた。NTHSと混合した場合にCTHSを有する融合体として精製されるタンパク質はSUMO様構造になりうる。次の工程において、このSUMO様構造を、上記で記載したような新しいアミノ末端を選択的に有する目的タンパク質を切断して放出する特異的な加水分解酵素によって認識させた。数ある中でも以下の特徴が、本発明の優位性を示すものである。
【0087】
1)全長SUMO或いは他の全長Ublsを有する融合体とは異なるCTHS融合タンパク質は、原核生物或いは真核生物細胞いずれにおいても切断されない(実施例II(2)に示す)。
【0088】
2)CTHS融合体とNTHSは、in vitroにおいて特異的な加水分解酵素によって認識され切断される構造になりうる(以下の実験と図7〜9を参照)。
【0089】
3)SUMO加水分解酵素は高度に特異的であり、非常に耐久性のある酵素であり、例外的にin vitroにおけるバイオプロセス用途に適した酵素である。
【0090】
図7Aは溶液中NTHSとCTHS−GFPを組み合わせた場合に得られる実験結果を描いており、切断可能複合体の集合と形成をもたらした。大腸菌から精製した6xHis−CTHS−GFP融合タンパク質は、SUMO加水分解酵素Ulp1と6xHis−NTHS(レーン4〜6)、6xHis−NTHS(レーン1〜3)、又はUlp1(レーン7〜9)と共にインキュベートした。遊離GFPの放出は全ての成分が前記反応混合物中に存在する場合にのみ観察することができた。図7Bは、NTHSとCTHSの境界が固定されておらず、このシステムの機能的要素(例えばCTHS及びNTHS)が検出可能な切断能力への影響なしに変化しうることを示した。さらに、以下に限らないが、例えば6xHis、GST、MBPなどの精製標識、例えばCys残基などの固体支持体に共有結合するのを促進する配列は、NTHSのアミノ末端及び/又はカルボキシ末端いずれにも結合しうるものであった。
【0091】
図8に表した実験は、融合タンパク質が酵母において開裂しないことを示した。6xHis−CTHS―GFP融合体は、YEp−6xHis−CTHS−GFPによって形質転換された酵母細胞から部分的に精製した(図6と同様、レーン3)。Ulp1単独或いはNTHSの存在下においてUlp1と共に、前記タンパク質をインキュベートした。全ての成分が反応混合物中に存在する場合に、遊離GFPの放出が再び観察された。
【0092】
図9の実験は、この技術が他の融合体に適応性があることを示した。すなわち、CTHS−GFPは、前記融合タンパク質の産生及び精製のために使用される、例えばGST(グルタチオントランスフェラーゼ)などの大きなアフィニティー標識を持ちうるものであった。精製GST−CTHS−GFP融合タンパク質は、精製NTHS及びSUMO加水分解酵素Ulp1(レーン4及び5)と共に、或いは前記成分の何れか1つが存在しない状態(レーン2及び3)でインキュベートした。遊離GFPは、全ての成分が前記反応混合物中に存在する場合に、効率的に放出されうるものであった。従って、GSTなどの大きな標識が使用する場合、SUMOの再構成或いはUlp1による切断に対して障害(立体障害など)はなかった。
【0093】
従って本発明は、真核細胞における目的タンパク質の発現とその後に続く目的タンパク質の精製を可能にするものであった。特に、大腸菌において産生される特定のタンパク質は、真核生物においてのみ発生する翻訳後修飾がないために、活性化しなかった。
【実施例4】
【0094】
固定化NTHSのアフィニティークロマトグラフィーによるCTHS融合タンパク質の精製
例えば6xHis、GST、MBP、Flag、及びHAエピトープなど、これらに限らないが、そのようなCTHSのアミノ末端に融合するアフィニティー標識を用いることに加えて、本発明は、更にもう1つのCTHS精製方法を提供する。特に、CTHSは、CTHSとNTHSの間の天然親和性を使用することによって精製した。同様に、UblsのN末端ドメインは、個別のUblsのC末端ドメインに対する親和性を有すると期待されている。NTHS(或いは他のub様タンパク質のN末端ドメイン)は、例えばクロマトグラフ支持体などの固体支持体に対して結合(共有結合的或いは非共有結合的)した。さらに、例えばCys残基或いは精製標識など固体支持体に対する共有結合を促進する配列は、NTHSのアミノ末端或いはカルボキシ末端のいずれにも結合した。目的融合タンパク質のCTHSタンパク質(パッセンジャータンパク質としても称される)を含む溶液(例えば細胞溶解物)を、固定したNTHSを含む固体支持体に接触させることによって、目的融合タンパク質のCTHSタンパク質のアフィニティー精製を可能にした。この精製後、前記目的タンパク質は効率的に且つ正確に特定のプロテアーゼによる接合から切断した。
【0095】
図10に表されるデータは、固定NTHSにおけるCTHS融合体のアフィニティー精製の実現可能性に対して実験的証拠を提供した。6xHis−CTHS−GFP融合タンパク質を発現する大腸菌から得られる全溶解性タンパク質(1mg)は、特異的なタンパク質が共有結合している樹脂15μl(床体積)とインキュベートした。前記樹脂は以下のように作成した。NTHSはN末端(Cys−6xHis−NTHS)において、設計したシステイン残基と共にクローン化した。Cys−6xHis−NTHSが発現し、これを精製し、スルホ結合樹脂と結合させた(Pierce;Rockford,IL)。同様に処置し遮断した樹脂(空樹脂)は結合反応から得られるCys−6xHis−NTHSを除外することによって得た。還元BSA(レーン4)はCys−6xHis−NTHSと同様の方法で結合した。IgGを固定化した樹脂は以下のように作成した。ウサギIgGの全画分を、SUMO(Rockland immunochemicals;Gilbertsville,PA)の免疫性を持つウサギの血清から精製した。その後IgGをグリオキサール活性化ビーズ(Active Motif;Carsbad,CA)に結合させた。
【0096】
前記樹脂とタンパク質を室温で継続的に混合して1時間インキュベーションした後、前記樹脂を穏やかな遠心分離によって沈殿させて、増大濃度のPBSで4回洗浄した。洗浄した樹脂を30μlのSDS−PAGE検体緩衝液と混合し、2分間沸騰した。各検体10μlを12%SDS−PAGEに分散させて、クーマシーで染色した。NTHSを固定した樹脂上にあるCTHS−GFPの顕著な存在によって、CTHSとNTHSの間の特異的な相互作用と、CTHS融合体の精製アプローチとを示唆した。
【0097】
重要なことは、固定化したNTHSにおける前記CTHS融合タンパク質の精製によって、再構成された切断可能なSUMO構造が得られることである。しかしながら、そのような構造は、低濃度(〜2mM)の安価な阻害剤を添加することにより、真核細胞中に元来存在するSUMOプロテアーゼによる切断から確実に保護しうるものであった。そのような阻害物質の実施例は、亜鉛、コバルト、及びその他の金属の塩を含むが、これらに限らない。CTHS融合タンパク質の精製後、これらの阻害物質は前記切断の進行を可能にするために、効率的にEDTAとキレート化した。
【0098】
図10は、SUMOに対して産生したIgGが固体支持体に結合した場合にアフィニティー基質としても使用できることも示した。このような方法で精製したCTHS融合体は、NTHSと接触し、目的タンパク質を切断し放出するために再構成SUMOを産生した。
【実施例5】
【0099】
親和性を増強させて精製効果を高めるためのNTHS及びCTHSのアミノ酸配列の変性
NTHS、CTHS、或いはその両方の配列に突然変異を導入することにより、NTHSとCTHS間の親和性をさらに強化した。SUMO、Ub、Rub1、及び他のUbl1の詳細な3D構造が得られる場合、理論的アプローチを通じて様々な突然変異が予期された。指示された突然変異誘発は、例えば高い疎水性を有するアミノ酸を導入することなどに起因して、CTHSとNTHS間の相互作用を増強した。例えば、Leu81(CTHS中のEDL81DME(配列ID番号:88)に位置する)近辺に存在すると思われる、Lys41(NTHS中のKIKK41TTPL(配列ID番号:87)に位置する)は、メチオニンなどの疎水性アミノ酸に置き換えられる。ヒトのSUMO−1の同じ位置はメチオニンが占めているために、そのような置換は、再構成SUMOの一部における場合は、例えばUlp1に対する基質として役立つ能力など、NTHSのその他の特性に大概影響を与えない。
【0100】
或いは、CTHS及びNTHSにおいて帯電した残基を導入しても良い。例えば、Lys27(NTHS中のINLK27VSD(配列ID番号:90)に位置する)の近辺に存在すると思われる、Ile88(CTHS中のDNDI88IEAH(配列ID番号:89)に位置する)は、例えばGlu88などの陰性に帯電したアミノ酸と置き換えても良い。
【0101】
指令突然変異誘発に加えて、ランダムなCTHS或いはNTHSの突然変異誘発を行うことも可能である。突然変異分子を結合親和性によってスクリーニングし、よい強い親和性を示すものを選別し、発現とアフィニティー精製のために使用した。
【0102】
NTHSとCTHSの間の親和性を増強する別の方法は、NTHSのC末端とCTHSのN末端に新しいアミノ酸を付加することから成る(図3の"境界"として示されている)。例えば、NTHSのC末端に対して陽性に帯電した幾つかのアミノ酸残基(例えばLys或いはArg)を付加すること、及びCTHSのN末端に対して幾つかの陰性に帯電したアミノ酸残基(例えばGlu或いはAsp)を付加することは、逆帯電したアミノ酸残基の間に多様な塩橋の形成をもたらし、CTHSとNTHS間の相互作用を安定化する。その他の構造、ペプチド、或いは逆平行βシート、逆平行αへリックス(例えばロイシンジッパー或いはコイルドコイル)などこれらに限らないが強力に相互作用していることで知られているタンパク質、及び二両体を形成するタンパク質を、帯電したアミノ酸に対する代替物として使用しても良い。
【0103】
本発明の別の態様は、通常はNTHSと相互作用するCTHSの暴露された表面(CTHS表面とNTHSの相互作用)に強固に結合した小分子を同定するために、アフィニティー標識としてCTHSを使用することを含む。そのような分子の同定は、コンピューターに基づいて、CTHS表面とNTHSの相互作用(シリカにおける)の予測原子座標に対して、化学化合物の原子座標のライブラリーを選別することによって行うことが可能である。或いは、CTHS及びSUMOは、クロマトグラフの支持体に固定した化合物のライブラリーに対して選別することも可能である(ペプチド模倣アプローチ)。CTHSに選択的に結合しておりSUMOには結合していない小分子の候補物質を同定することは、CTHS表面と相互作用するNTHSとその化合物が相互作用していることを示している。同定した化合物はその後、CTHS融合タンパク質を選択的に精製するために使用するが、SUMO化されたタンパク質及び真核生物中に元来存在する遊離SUMOを産生するためには使用しない。シリカ或いは従来のアプローチによる化学的同定は、クロマトグラフ分離に対する親和性リガンドとしての使用に適した新たな構造を提供するためにさらに変性することが可能である。
【実施例6】
【0104】
CTHS融合タンパク質の従来のアフィニティー精製とSUMO加水分解酵素による切断
図4Aと4BはCTHS融合タンパク質の精製と切断の実施形態を表した図及びフローチャートである。この実施例はこれらの実施形態をより詳細に説明したものである。以下の表は様々なアフィニティー標識を有するCTHS融合体の親和性精製とその後の切断に使用可能な溶液を一覧表にしたものである。
【0105】
【表3】

【0106】
典型的な250ml培養液から、遠心分離によって検体をペレット化し、デカンテーションによって上清を除去した。一般的には、250ml培養液から1.0〜1.5グラムの湿潤細胞が産生した。ペレット化した細胞はその後5〜10mlの溶解緩衝液に再懸濁した。この検体は超音波処理の間、氷上に保持した。適切なチップを用いて前記検体を50%の負荷サイクルで3〜5回超音波処理した(10秒パルス)。CTHS融合体のより良く再生するために、超音波処理した検体を1%トリトンX−100に調整し、4℃で30分間インキュベートした。溶解した検体(溶解溶液中)は、1mlカラムにロードした。前記カラムを5〜10容積の洗浄緩衝液で洗浄した。このカラムを2.5mlの溶出緩衝液で展開した。
【0107】
1mlのカラムからの一般的な収率は、融合タンパク質5mgであった。SUMO加水分解酵素による切断方法の2つの実施例は以下のように行った:すなわち1)5mgのNTHS(タンパク質予測収率と当量の濃度)の入った透析袋に500ユニットのSUMOプロテアーゼを加えて切断を行い、4℃で一晩インキュベートした;さらに2)透析或いは脱塩(ゲルろ過)によって溶出試薬を除去し、さらにその後この検体に5mgのNTHSと500ユニットのSUMOプロテアーゼを加え、さらに室温で2時間或いは4℃で一晩インキュベートした。この切断は電気泳動ゲルで監視しても良い。上記切断法から得られる前記反応産生物は、適切なアフィニティー樹脂で充填したカラムにロードした。目的タンパク質はNTHS、CTHS、及びUlp1のない流出の間に再生した。本明細書で記載したように、前記切断反応はカラムで直接行っても良い。SUMOプロテアーゼ(Ulp1)の1ユニットは、pH8.0の50mMのTris−HCl、0.5mMのDTT、150mMのNaCl中、室温60分で15μgの純粋なSUMO−Met−GFP(上限95%)を切断する酵素の量として定義した。
【0108】
前記切断の後、目的タンパク質を保存し、目的とする用途に直接使用するか、更なる精製工程に用いた。溶出試薬の除去(透析或いは脱塩による)及びCTHS融合体を精製するために最初に使用した樹脂に検体を通過することによって、夾雑タンパク質の大部分を捕捉し、目的タンパク質の純度は95%になった。
【0109】
当記載方法は図4に示し、3つのタンパク質成分全てにおいて同一のアフィニティー標識を使用することを主に意図した(例えば標識−NTHS,標識−CTHS−PassengerProtein、標識−Ulp1)。しかしながら、用途によっては、前記標識は必ずしも同一ではなく、3つの成分全てが標識を必ずしも有するものではない。さらに、2若しくはそれ以上の標識が同じタンパク質に兼ね備えられていても良い(例えば図9に表したGST−6xHis−CTHS−GFPを参照)。以下の方法で2つの標識を使用することは、精製手順を迅速化する利点がある:(1)GST樹脂上でのGST−6xHis−CTHS−GFPの精製及びGSHを用いた溶出後;(2)融合体を6xHis−NTHSと6xHis−Ulp1に接触させ、切断可能にするためにインキュベートした;(3)GST−6xHis、6xHis−NTHS、及び6xHis−Ulp1を除去するために、前記混合体を直接Ni−樹脂カラムに適用した;さらに(4)GFP或いは目的タンパク質を流出中に再生した。選択的に、前記GST−6xHis−CTHS−GFPコンストラクトは6xHis標識を含まなくて良く、6xHis−NTHSに対するその親和性のためにNi樹脂上に保持していてもよい。これらの方法は前記除去工程の前に溶出試薬を除去する必要性をなくした。
【実施例7】
【0110】
記載技術の使用に対する他のユビキチン様タンパク質(Ubls)の適合
上記で提示した実施例は、目的タンパク質の発現、精製、及び放出に対する部分的なSUMO配列(CTHS及びNTHS)の実用性を示した。原則として、ユビキチンを含むUbl(例えば表1及び図1)はいずれも類似の方法に利用し得るものである。この実施例は、他のUblの半分或いはドメインの産生方法と、類似の用途の使用方法を記述している。図3にSUMOの3D構造及びNTHSとCTHSの境界の位置を示した。図14、15、及び25に、CTHSとNTHSの正確な境界位置と2種類の配列を提供したる。前記CTHSとNTHSの境界は、図14或いは図25に示した。CTHSとNTHSのバージョン1及びバージョン2が適合する場合でも、効率的な切断を達成した(図7B)ことに留意することが重要である。図26は、表1に記載した各Ublに対するN末端ドメイン(NTDs)とカルボキシ末端ドメイン(CTDs)の実施例である。NTD及びCTD各々に対して2種類のものが与えられている。他のUblに対するNTD及びCTD(すなわち図26に記載していないもの)は、以下のように推測し利用できる。(1)前記Ublのアミノ酸配列は、手動或いは専門のソフトウエアを用いて、SUMO(図14或いは25)或いは他のUbl(図26)のアミノ酸配列と協調する(例えばwww.ncbi.nlm.nih.gov./BLASTにおけるアライメント対)。密接に関連することで知られている別の1つのUbl(例えばRub1はNedd8と協調する)と協調するのに十分である;(2)図26で与えられる実施例に関して境界線を測定する;(3)個別にコードされたDNA配列を遺伝子配列から推測する;(4)上述した標準的な方法によって、CTDとNTDをコード化した配列をクローニングする;(5)上記で記載したように、目的タンパク質のコード配列に対してCTDを機能的に連結する;(6)上記に記載したように、タンパク質を発現し精製する;及び(7)切断可能構造の再構築と特異的加水分解酵素による切断(例えばRub1のCTDとNTDを使用する場合のDEN−1;図1参照)。
【実施例8】
【0111】
記載技術の使用に対するユビキチン折り畳みタンパク質(Ubfs)の適合性
実施例VII(7)は、SUMOとユビキチンを含む、任意のUblの部分的な配列の(例えば表1及び図1参照)目的タンパク質の発現、精製、及び切断に対する利用可能な方法に関する情報を提供する。構造的にはUblsは特異ではないが、進化的ではないか或いは機能的に関連しておらず、最小限の配列類似性或いは全く配列類似性がない他のタンパク質に対して容易に追跡可能な構造的類維持性を有し得ることを重視することが重要である(44)。これらのタンパク質はユビキチン折り畳みを有するものとして分類してもよい(ベータ−Grasp折り畳み或いはベータ−Graspドメインとも呼ばれる)(24,54〜59)。ユビキチン折り畳みタンパク質(Ubfs)の実施例は表4に提供した(文献54〜59も参照)。これらのタンパク質を他のものと分離し特異的な分類に定めた構造的特徴は、2143の順位にβシートが特異的に位置する構造中に折り畳まれた分子中にある、βシート及びαへリックスの配列(β−β−α−β−β)であった(25)。興味深いことに、前記最初の2つのβシート(2と1)は、後の2つ(4と3)と同様に逆平行であり、最初と最後のもの(1と4)は平行であった。この配置は、β2、逆平行β1、平行β4、逆平行β3と呼ばれる。前記ユビキチン折り畳みに対してわずかな変化が観察された。構造決定基(βシートとαへリックス)の長さと接続ループは異なっていても良い。幾つかのタンパク質は更なるβシート或いはαへリックスを含んでいても良いが(例えば前記βシートにおいて過剰ならせん構造と、前記ループにおいて非常に短いヘリックスをUblsが有する)、全体の折り畳みが(β2、逆平行β1、平行β4、逆平行β3)容易かつ明らかに認識された。毎年更新されるUbfファミリーは、以下のURLにおけるSCOPデータベース(タンパク質の構造分類)において見出された(scop.mrc−lmb.cam.ac.uk/scop/data/scop.b.e.bi.html)。
【0112】
これらの配列の一部としてユビキチン折り畳み(ベータ−Graspドメイン)を含むタンパク質で利用できる文献の主要部分の注意深い分析によって、全てのドメインが組み換えタンパク質として容易に産生することを明らかにした。さらに、幾つかのデータは、これらのドメインがそのようなベータ−Graspドメインを含む大きなタンパク質を安定化する天然シャペロンとしての機能を果たすことを示した。従って、ベータ−Grasp折り畳みが、その全体或いは部分的に(例えばCTHS)、C末端で融合した組み換えタンパク質の発現、安定性、及び溶解性を増強するために、融合パートナーとしてうまく利用できるということが、我々の結論である。重要なことは、以上に記載した全ての方法が任意のUbfsを用いて直接利用できることである。さらに、任意のUbfのNTDを、発現し、固体支持体に固定し、さらにCTDの精製のために親和性基質として使用し、目的タンパク質と融合することが可能である。
【0113】
本明細書において、前記融合タンパク質の発現、安定性、及び溶解性を増強する標識としてのUbfsの使用方法と、前記目的タンパク質を有する前記UbfのCTDの前記融合体を精製するための親和性基質の一部として前記UbfのNTDの使用方法を提供する。図3において、SUMOの3D構造、及びNTHDとCTHD間のおおよその境界位置を示した。図14、15、及び25において、CTHSとNTHSの正確な境界位置と2種類の配列を提供した。CTHSとNTHSの境界は、図14或いは図25としていずれにも紹介した。図26において表1に記載した各Ub1に対するNTDとCTDの実施例を提供した。図27において表4に記載した幾つかのUfdに対するNTDとCTDの実施例を提供した。NTDとCTD其々に対して2つのバージョンを提供した。他のUfdに対するNTDとCTD(すなわち図27には記載していないもの)は、以下のように推定し利用することができる。(1)前記Ufdのアミノ酸配列(ユビキチン折り畳みドメイン)は、手動或いは専門的なソフトウエアを用いて、図27で見出された同種のUfdのアミノ酸配列と協調する(例えばwww.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTにおけるアライメント対)。密接に関連していることで知られている別のUfdの1つとの協調が十分に行われる(例えばCIDAはCPANと協調可能である);(2)前記境界線は図27において提供した実施例に関して決定される;(3)コーディングDNA配列はそれぞれ、遺伝子配列から推測される;(4)CTDとNTDをコード化した配列のクローニングは、上述のように標準的な方法によって行われる;(5)CTDは、上述したように、目的タンパク質のコーディング配列に機能的に連結する;(6)特異的なプロテアーゼに対する認識部位(例えばRvRRなどの多塩基切断、及びトロンビン、Xa因子、エンテロキナーゼ、及びTevの認識配列)は前記CTDの後及び前記プロテアーゼの前にコンストラクト中に設計可能である;(7)タンパク質は上述のように発現し精製される;及び(8)切断は特異的なプロテアーゼによって行われ、この反応産生物は上述したように精製される。とりわけ、本発明の観点において前記切断部位は移動可能な実体であってもよく、また、前記融合タンパク質は前記NTD、前記切断部位、及び前記目的タンパク質を含んでいても良く、固定されたCTDによって精製されても良い。
【0114】
仮に、溶解した第二構造に基づき、新たなタンパク質或いはその一部がユビキチン折り畳みを有するものとして分類される場合、融合標識としての使用に適した前記配列の境界は以下の基準を用いて決定することが可能である:(1)全長標識は、2つのβシート、αへリックス、及び二つのβシートに対してコーディング配列を含まなくてはならない(β2、逆平行−β1、平行−β4、逆平行−β3);(2)次に続くβシートと共にαへリックスに接触下ループの有無にかかわらず、NTDは2つの逆平行βシートとαへリックスを含まなくてはならない(β−β−α−、しかし、前記αへリックスは必ずしも全長にあるものではない);及び(3)余分なシート及び/又はヘリックスによって遮断されるか否かに関らず、CTDは2つの逆平行βシートを含まなくてはならない(しかし、最初のβシートは必ずしも全長でなくてもよい)。
【0115】
【表4】

【実施例9】
【0116】
タンパク質の量と質を改善するSUMOのカルボキシ末端の半分を有する融合体のタンパク質の様々な分類の実施例
GFPを発現する全てのpETベクターの設計と作成は上記に記載してきた。GFPと同様に、任意のDNA配列は6xHis−CTHSを有する融合体としてクローン化可能であった。さらに、例えば、上述のものと同一或いは類似の単純な切り貼り方法によって、目的の融合タンパク質の前記6xHis−CTHS−タンパク質は、酵母(例えばYep)、バキュロウイルス(すなわちpFastBac)、哺乳類(例えばpCDNA3)或いは他の宿主ベクターのいずれにも再クローン化することが可能であった。細胞増殖、タンパク質発現、集菌、溶解、及び融合体の精製は、上述のように行うか、或いは他の場所で記載された確立した方法の1つに従って行った。融合体の切断とNTHSとUlp1の除去は、例えば実施例III(3)に記載したように行った。本明細書に記載したシステムは現在使用されている他のシステムと比べると幾つかの素晴らしい利点を有するものであった。1若しくはそれ以上のこのような利点は、本明細書で記載したシステムの使用方法が他のシステムよりも好ましいものであるという前例をつくりうるものであった。タンパク質製造に対する工業的必要性によって、以下のタンパク質分類或いはタンパク質群が、本発明の使用方法から得られる利点が最も高いものの1つとして実証されることを提案しうるものであった。発現システムを選択する場合に考慮されうる幾つかの因子は、(1)様々なシステムにおけるタンパク質の発現の成功、(2)特異的N末端の必要性、及び(3)グリコシル化の必要性、であった。これらの因子は其々、本明細書で記載したシステムによってうまく解決しうるものであった:(1)CTHSがタンパク質の産生を増強する、(2)Ulp1による頑強な切断が任意のアミノ末端の産生を可能にする、及び(3)昆虫或いは哺乳類細胞における発現が必要な翻訳後変性の導入を可能にする。表5において、本発明の方法で記載し使用した代表的な分子とタンパク質発現のGenBank受入番号を提供した。
【0117】
【表5】

【実施例10】
【0118】
大腸菌、酵母、昆虫、及び哺乳類細胞におけるタンパク質分泌物を高めるためのSUMO(CTHS)のカルボキシ末端の半分の使用
CTHSの基本的な特性(例えば小さいサイズでありコンパクトな構造であるなど)は、分泌信号と組み合わせてCTHSを使用することを可能にするはずである。上述した全てのベクターの設計と作成は、CTHSのN末端とアフィニティー標識に機能的に連結することによって、適切な分泌信号を可能にするために使用可能であった(表6参照)。
【0119】
【表6】

【0120】
大腸菌は効率的に発現せず、中程度の大きさと大きなタンパク質を分泌し、従って、生体には好ましくなかった。しかし、特定のペプチドは効率的に発現し、非常に大量に大腸菌から分泌され(53)、更にCTHSを有する融合体によって前記ペプチドの収率と量を更に改善することが可能であった。原核生物におけるタンパク質の細胞外産生物に対してより頻繁に用いられるシステムは、Bacillus brevis、Caulobacter crescentus、及びその他の幾つかのものを含むものであった。他の宿主(酵母、昆虫、及び哺乳類細胞)は、細胞外タンパク質の産生にも使用した。前記分泌物は、適切に折り畳まれたタンパク質のみが分泌されることを確実にする経路を媒介する小胞体を含んでいた。従って、少なくとも幾つかの場合には、細胞外におけるタンパク質産生物は、(1)開始物質がほとんど汚染されていないタンパク質と非タンパク質性の物質を含み、さらに(2)ほとんどのタンパク質が適切に折り畳まれている、という理由により都合が良い可能性があった。捕獲においては、もし必要であれば更に精製し、CTHSをUlp1によって都合よく切断し、適切な親和性支持体を使用して除去した。
【0121】
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上記において本発明の好ましい実施形態を記載し、具体的に実証してきたが、そのような実施形態が本発明を限定することを意図するものではない。以下の請求項に記載したような本発明の要旨を逸脱しない範囲でそこに様々な改良が加えられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、ユビキチンとユビキチン様タンパク質(Ub1s)の接合経路を図解した模式図である。"C末端加水分解酵素"列における矢印はタンパク質前駆体の切断を示している。今までに説明した酵素のみが与えられている。特定の経路における特定の酵素を記載していないのはそのような酵素の存在を否定しているものではない。
【図2】図2は、CTHS融合タンパク質を産生するために使用されるクローニング方法を図で説明したものである。このクローニング方法において、CTHSを有する融合として発現されるために前記タンパク質をコード化した核酸配列は、5’末端におけるBsaIサイトと3’末端におけるHindIIIおよびBsaIサイトを導入したプライマーと共にPCRによって増幅される。前記CTHSのためにコード化したベクターは、例えばCTHSエンコード領域の前記3’末端におけるHindIIIサイトとEsp31サイトなどを含む。前記PCR産生物はBsaIで切断され、前記ベクターはHindIIによって切断され、さらに適切な制限酵素(ここではEsp31を意味する)によって前記ベクターに切断されたPCR産生物を挿入することが可能となる。
【図3A】図3Aおよび3Bは、SUMO(Smt3)タンパク質の3次元構造を示しており(16、17)、アミノおよびカルボキシ末端と、NTHSとCTSの間の境界を矢印で示している。図3Aおよび3Bの違いは同じタンパク質の異なる眺望によるものである。前記分子の骨格は棒状の構造で示しており、高度な秩序構造は厚い矢印(βシート)またはコイル状の矢印(αへリックス)で示している。下段の2つのパネルは、CTHSの骨格のみを示したNTHSの構造(左のパネル)と、NTHSの構造のみを示したCTHSの構造(右のパネル)とを示したものである。NTHSとCTHSの正確な配列は図14と図15に描かれている。
【図3B】図3Aおよび3Bは、SUMO(Smt3)タンパク質の3次元構造を示しており(16、17)、アミノおよびカルボキシ末端と、NTHSとCTSの間の境界を矢印で示している。図3Aおよび3Bの違いは同じタンパク質の異なる眺望によるものである。前記分子の骨格は棒状の構造で示しており、高度な秩序構造は厚い矢印(βシート)またはコイル状の矢印(αへリックス)で示している。下段の2つのパネルは、CTHSの骨格のみを示したNTHSの構造(左のパネル)と、NTHSの構造のみを示したCTHSの構造(右のパネル)とを示したものである。NTHSとCTHSの正確な配列は図14と図15に描かれている。
【図4A】図4Aは従来のアフィニティー標識と基質を用いた特定の精製スキームを含む工程を図で説明したものである。
【図4B】図4Bは精製スキームのフローチャートである。簡潔に述べると、切断可能なSUMO構造は、精製CTHS融合タンパク質と精製NTHSを補足することにより再構成される。再構成において、前記NTHS−CTHS構造はUlp1プロテアーゼによって切断可能になり、前記目的タンパク質は放出される。CTHS、NTHS、及びプロテアーゼの除去は、適切なアフィニティー基質のクロマトグラフィーによって成し遂げられる。アフィニティー標識の実施例は、GST、6xHis、MBP、およびHAエピトープが含まれるが、これらに制限されない。精製スキームを示すさらに詳細な説明は実施例VI(6)を参照。
【図5A】図5Aは、目的タンパク質のアミノ末端に対するCTHSの結合よって、大腸菌における発現の増強および/または前記タンパク質の溶解性を促進していることを示したクーマシー着色ゲルを示したものである。
【図5B】図5Bは、様々なコンストラクトを発現する細胞から得られた溶解性分画物における蛍光強度(LabSystemsのFluorscan Ascent FLで測定した場合のArbitary Units(AU))のグラフである。pET24d大腸菌において緑色蛍光タンパク質(6xHis−GFP)、6xHis−CTHS−GFP、6xHis−SUMO−GFP、GST−6xHis−CTHS−GFP、およびGST−6xHis−SUMO−GFP融合がエンコードされた発現ベクターは、大腸菌Ropsetta pLysS菌株(Novagen)で発現された。発現は、LB培地中、1mM IPTGを用いて、26℃、2時間で誘導された。1〜6のレーン(lanes)は全細胞タンパク質を表し、7〜12のレーンは溶解タンパク質を表す。分子量マーカーを含んだ最初のレーンのゲルは、ゲルの左側の数によってその数が示されている。矢印は前記融合タンパク質の移動位置を示している。
【図6A】図6Aは、酵母細胞において発現した6xHis−CTHS−GFP融合タンパク質のウエスタンブロットであり、目的タンパク質のアミノ末端に対するCTHSの結合において、前記タンパク質の発現が増強し、CTHS−GFP融合が酵母において切断されていないことを実証したものである。酵母BJ1991株は以下のプラスミドの1つによって形質転換された:6xHis−CTHS−GFP、6xHis−SUMO−Met−GFP(切断可能)、6xHis−SUMO−Pro−GFP(切断不可)、または6xHis−GFP。前記プラスミドは硫酸銅調整プロモーターの条件下において前記融合タンパク質を発現する。前記細胞をSDS−PAGEバッファー中で沸騰させて、このサンプルの粘性を下げるために短時間超音波処理することにより全細胞抽出物を調整した。全酵母タンパク質の20μgを15%SDS−PAGEミニゲルに分散させ、GFPに対するウサギポリクローナル抗体および第2HRP接合抗体を用いたウエスタンブロットによって分析した。
【図6B】図6Bは、昆虫細胞において発現した6xHis−CTHS−GFP融合タンパク質のウエスタンブロットであり、昆虫細胞においてCTHS−GFP融合は切断されていないことを示したものである(レーン4と8)。CTHS−GFPを有するバキュロウイルスに感染したHigh Five細胞は感染後72時間で収集した。SDS−PAGE緩衝液中で前記細胞を沸騰させ、このサンプルの粘性を下げるために短時間超音波処理して全細胞抽出物を調整した。前記全タンパク質の20μgを15%SDS−PAGEミニゲルに分散させた。酵母細胞からの抽出物は(図6Aと同様にレーン1〜3および5〜7)は標準として使用した。抗GFP(レーン1〜4)または抗SUMO抗体、および第2HRP接合抗体を用いてウエスタンブロットを行った。GFP単独(レーン1と4)、CTHS−GFP(レーン2、4、6、及び8)、及びSUMO−プロリンGFP(3と7)をロードして各タンパク質の移動位置を示した。
【図7A】図7Aは、精製6xHis−NTHS(レーン1〜3)、精製6xHis−NTHS、及びSUMO加水分解酵素Ulp1(レーン4〜6)、またはSUMO加水分解酵素Ulp1(レーン7〜9)とインキュベートした大腸菌から精製した6xHis−CTHS−GFP融合タンパク質のクーマシー染色ゲルである。反応産生物はSDS−PAGEに分散させて、クーマシーで染色した。標準分子量は右に示している。明らかに、反応混合物中にすべての成分がある場合のみ、遊離GFPの放出が観察される。
【図7B】図7Bは、SUMO加水分解酵素Ulp1(レーン5〜8)及び精製6xHis−NTHS(レーン5〜6)或いは6xHis−NTHS−1(レーン7〜8)とインキュベートした大腸菌から精製した6xHis−CTHS−GFP(レーン3、5、7)及び6xHis−CTHS−1−GFP(レーン4、6、8)融合タンパク質のクーマシー染色ゲルである。反応産生物はSDS−PAGEに分散しクーマシーで染色した。レーン1と2は精製した6xHisNTHSと6xHis−NTHS−1の対照である。標準分子量は左に示している。明らかに、CTHSとNTHSの組み合わせが使用されている場合はいずれも遊離GFPが観察される。タンパク質バンドの同定はゲル右側である。
【図8】図8は、酵母細胞から部分的に精製し、NTHSの存在下、単独(レーン1)、Ulp1と共に(レーン2)、或いはUlp1と共に(レーン3)インキュベートした6xHis−CTHS−GFP融合タンパク質のウエスタンブロットである。反応産生物はSDS−PAGEに分散し、ニトロセルロース上に転写して、抗GFP抗体をプローブした。レーン4は、前記6xHis−CTHS−GFPを大腸菌から精製したレーン3と類似の反応結果を示した。
【図9】図9は、精製GST−CTHS−GFP融合タンパク質のクーマシー染色ゲルであり、単独で(レーン1)、精製6xHis−NTHS(レーン2)と共に、Ulp1と共に(レーン3)、或いは精製6xHis−NTHSとSUMO加水分解酵素Ulp1と共に(レーン4と5)インキュベートしたものである。レーン6はレーン4と5と類似の反応を示しているが、精製6xHis−CTHS−GFPと共に行ったものである。反応産生物はSDS−PAGE上に分散し、クーマシーで染色した。標準分子量の位置は左に示した。タンパク質バンドの同定はゲル右側にある。
【図10】図10は、固定NTHSまたは抗SUMOIgGs上におけるCTHS−GFPの精製を表したクーマシー染色ゲルである。6xHis−CTHS−GFP融合を発現する大腸菌からの全溶解タンパク質(1mg)は、特定のタンパク質が共有結合で結合した樹脂15μl(床容積)と共にインキュベートした。このサンプルは洗浄し、12%SDS−PAGE上に分散し、クーマシーで染色した。標準分子量は右に示している。CTHS−GFPの位置は右に示している。
【図11】図11は、昆虫細胞から精製されたGST−6xHis−CTHS−GFP融合タンパク質のクーマシー染色ゲルであり、単独で(レーン2〜3)、精製6xHis−NTHSと共に(レーン5〜6)、或いは精製6xHis−NTHSとSUMO加水分解酵素Ulp1と共に(レーン8〜9)インキュベートしたものである。反応産生物は、SDS−PAGE上に分散し、クーマシーで染色した。標準分子量は右に示している。明らかに、反応混合物中においてすべての成分が存在する場合のみ、遊離GFPが観察される。大腸菌から精製したCTHS−GFPを有する反応対照は、レーン4と7に表している。タンパク質バンドの同定はゲル右側である。
【図12】図12は、SUMOのアミノ酸配列(配列ID番号:1)とヌクレオチド配列(配列ID番号:2)である。
【図13A】図13Aは、pET−6xHis−SUMOプラスミドにおいて出現した場合の6xHis−SUMOのアミノ酸配列(配列ID番号:3)とヌクレオチド配列(配列ID番号:4)である。
【図13B】図13BはpET−6xHis−SUMOプラスミドのマップである。
【図13C】図13Cは6xHis−SUMO(配列ID番号:3)の配列の側面に位置する領域(配列ID番号:35)を示したものである。
【図14A】図14Aは、NTHSのアミノ酸配列(配列ID番号:5)とヌクレオチド配列(配列ID番号:6)を示したものである。
【図14B】図14Bは、pET−6xHis−NTHSプラスミドにおいて出現した場合の6xHis標識NTHSのアミノ酸配列(配列ID番号:7)とヌクレオチド配列(配列ID番号:8)を示したものである。
【図15A】図15Aは、CTHSのアミノ酸配列を(配列ID番号:5)とヌクレオチド配列(配列ID番号:10)を示したものである。
【図15B】図15Bは、pET−6xHis−CTHSプラスミドにおいて出現した場合の6xHis−CTHSのアミノ酸配列(配列ID番号:11)とヌクレオチド配列(配列ID番号:12)を示してものである。
【図15C】図15Cは、pET−6xHis−CTHSプラスミッドのマップである。
【図15D】図15Dは、6xHis−CTHS(配列ID番号:11)配列の側面に位置する領域(配列ID番号:36)を示したものである。
【図16】図16は、GFPのアミノ酸配列(配列ID番号:13)とヌクレオチド配列(配列ID番号:14)である(強化緑色蛍光タンパク質)。
【図17】図17は、pET−6xHis−GFP、YepおよびpFastBacプラスミドにおいて出現した場合の6xHis−GFP融合タンパク質のアミノ酸配列(配列ID番号:15)とヌクレオチド配列(配列ID番号:16)を示したものである。
【図18】図18は、pET−6xHis−SUMO−GFP、YepおよびpFastBacプラスミドにおいて出現した場合の6xHis−SUMO−GFP融合タンパク質のアミノ酸配列(配列ID番号:17)とヌクレオチド配列(配列ID番号:18)を示したものである。
【図19】図19は、pET−6xHis−CTHS−GFP、YepおよびpFastBacプラスミドにおいて出現した場合の6xHis−CTHS−GFP融合タンパク質のアミノ酸配列(配列ID番号:19)とヌクレオチド配列(配列ID番号:20)を示したものである。
【図20】図20は、Tevプロテアーゼ認識部位のあるGSTタンパク質(グルタチオントランスフェラーゼ)のアミノ酸配列(配列ID番号:21)とヌクレオチド配列(配列ID番号:22)を示したものである。
【図21】図21は、pET−GST−6xHis−SUMO−GFP、Yep、およびpFastBacプラスミドにおいて発現した場合のGST−6xHis−CTHS−GFP融合のアミノ酸配列(配列ID番号:23)とヌクレオチド配列(配列ID番号:24)を示したものである。
【図22】図22は、pET−GST−6xHis−CTHS−GFP、YepおよびpFastBacプラスミドにおいて出現した場合のGST−6xHis−CTHS−GFP融合のアミノ酸配列(配列ID番号:25)とヌクレオチド(配列ID番号:26)を示したものである。
【図23】図23は、pET−Cys−6xHis−NTHSをコード化した場合のCys−6xHis−NTHSタンパク質のアミノ酸配列(配列ID番号:27)とヌクレオチド配列を示したものである。
【図24】図24は、Ulp1SUMOプロテアーゼ(加水分解酵素)の触媒ドメインのアミノ酸配列(配列ID番号:29)とヌクレオチド(配列ID番号:30)を示したものである。
【図25】図25は、CTHS−1のアミノ酸配列(配列ID番号:31)とヌクレオチド配列(配列ID番号:32)、pET−6xHis−CTHS−1プラスミドにおいて出現した場合の6xHis−CTHS−1のアミノ酸配列(配列ID番号:33)とヌクレオチド配列(配列ID番号:34)、NTHS−1のアミノ酸配列(配列ID番号:91)とヌクレオチド配列(配列ID番号:92)、pET−6xHis−NTHS−1プラスミドにおいて出現した場合の6xHis−NTHS−1のアミノ酸配列(配列ID番号:93)とヌクレオチド配列(配列ID番号:94)を示したものである。
【図26A】図26A〜Cは、様々なUbl1のカルボキシ末端とアミノ末端部分の配列を示したものである。各ドメインにおいて2つのバージョンが与えられる。前記ドメインの配列は、SUMOタンパク質で得られる結果から推定されるものであり、実施例で説明されている。
【図26B】図26A〜Cは、様々なUbl1のカルボキシ末端とアミノ末端部分の配列を示したものである。各ドメインにおいて2つのバージョンが与えられる。前記ドメインの配列は、SUMOタンパク質で得られる結果から推定されるものであり、実施例で説明されている。
【図26C】図26A〜Cは、様々なUbl1のカルボキシ末端とアミノ末端部分の配列を示したものである。各ドメインにおいて2つのバージョンが与えられる。前記ドメインの配列は、SUMOタンパク質で得られる結果から推定されるものであり、実施例で説明されている。
【図27A】図27A〜Cは、様々なUfds(ドメインを折り畳んだユビキチン)のカルボキシ末端とアミノ末端の配列を示したものである。各ドメインにおいて2つのバージョンが与えられる。前記ドメインの配列は、実施例VIII(8)で説明されているように、溶解性3D構造から推定される。
【図27B】図27A〜Cは、様々なUfds(ドメインを折り畳んだユビキチン)のカルボキシ末端とアミノ末端の配列を示したものである。各ドメインにおいて2つのバージョンが与えられる。前記ドメインの配列は、実施例VIII(8)で説明されているように、溶解性3D構造から推定される。
【図27C】図27A〜Cは、様々なUfds(ドメインを折り畳んだユビキチン)のカルボキシ末端とアミノ末端の配列を示したものである。各ドメインにおいて2つのバージョンが与えられる。前記ドメインの配列は、実施例VIII(8)で説明されているように、溶解性3D構造から推定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主細胞における目的タンパク質の発現を増強する方法であって、
a)融合タンパク質をコード化した核酸コンストラクトを提供する工程であって、前記コンストラクトは、i)機能的に結合したユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列、ii)前記目的タンパク質をコード化した核酸配列、を含む工程と、
b)前記宿主細胞において、前記核酸コンストラクトを発現する工程であって、前記融合タンパク質における前記ユビキチン様(Ubl)分子の前記カルボキシ末端ドメインの存在が、前記宿主細胞において前記目的タンパク質の発現レベルを増強するものである工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記ユビキチン様(Ubl)分子は、SUMO、ユビキチン、RUB、HUB、APG8、APG12、URM1、FAT10、Ubi−L、及びISG15から成る群から選択されるものである。
【請求項3】
請求項2の方法において、
前記ユビキチン様(Ubl)分子はSUMOである。
【請求項4】
請求項1の方法において、
ユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した前記核酸配列は、配列ID番号:9及び配列ID番号:31から成る群から選択される配列を有するものである。
【請求項5】
請求項1の方法において、
前記宿主細胞は、酵母細胞、大腸菌、細菌性細胞、哺乳類細胞、及び昆虫細胞から成る群から選択されるものである。
【請求項6】
請求項1の方法において、
融合タンパク質をコード化した前記核酸コンストラクトは、ベクター内にあるものである。
【請求項7】
目的タンパク質を産生する方法であって、
a)融合タンパク質をコード化した核酸コンストラクトを提供する工程であって、前記コンストラクトは、i)機能的に結合したユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列、ii)前記目的タンパク質をコード化した核酸を含み、前記融合タンパク質は、発現した場合、前記Ub1分子の切断部位は即座に前記目的タンパク質のアミノ末端になるように、前記目的タンパク質のアミノ末端に結合したユビキチン様(Ub1)分子のカルボキシ末端ドメインを有するものである、核酸コンストラクトを提供する工程と、
b)前記宿主細胞において前記核酸コンストラクトを発現する工程と、
c)前記発現された融合タンパク質を同じユビキチン様(Ubl)分子のアミノ末端ドメインと接触させ、それにより再構成されたUblを産生する工程と、
d)前記再構成されたUb1分子を前記Ub1分子に対して特異的なプロテアーゼと接触させ、前記目的タンパク質が産生されるように、前記融合タンパク質を切断する工程と
を有する方法。
【請求項8】
目的タンパク質を精製する方法であって、
a)融合タンパク質をコード化した核酸コンストラクトを提供する工程であって、前記コンストラクトは、i)機能的に結合したユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列、ii)前記目的タンパク質をコード化した核酸を含み、前記融合タンパク質は、発現した場合、前記Ub1分子の切断部位は即座に前記目的タンパク質のアミノ末端になるように、前記目的タンパク質のアミノ末端に結合したユビキチン様(Ub1)分子のカルボキシ末端ドメインを有するものである、核酸コンストラクトを提供する工程と、
b)前記宿主細胞において前記核酸コンストラクトを発現する工程と、
c)前記発現した融合タンパク質を、精製標識を有する同じユビキチン様(Ub1)分子のアミノ末端ドメインと接触させ、それにより再構成されたUblを産生する工程と、
d)前記精製標識と特異的に結合することが可能な固体支持体上において前記再構成されたUblを精製する工程と、
e)前記精製され再構成されたUblを、前記Ublに対して特異的なプロテアーゼと接触させ、それにより前記目的タンパク質が精製されるように前記融合タンパク質を切断する工程と
を有する方法。
【請求項9】
請求項8の方法において、
前記精製標識は、ポリヒスチジン標識(6xHis)、ポリアルギニン標識、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、S−標識、インフルエンザウイルスHA標識、チオレドキシン、ブドウ球菌タンパク質A標識、FLAG(商標)エピトープ、AviTagエピトープ、及びc−mycエピトープ、から成る群から選択されるものである。
【請求項10】
請求項8の方法において、
前記融合タンパク質は、前記と同じユビキチン様(Ubl)分子の前記アミノ末端ドメインが免疫沈降によって、SUMO(配列ID番号:1)及びCTHS(配列ID番号:9)から成る群から選択されるタンパク質に対して特異的な抗体と接触する前に精製されるものである。
【請求項11】
目的タンパク質を精製する方法であって、
融合タンパク質をコード化した核酸コンストラクトを提供する工程であって、前記コンストラクトは、i)ユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列、ii)前記目的タンパク質をコード化した核酸配列、及びiii)少なくとも1つの第1の精製標識をコード化した核酸配列を含み、前記融合タンパク質は、発現した場合、ユビキチン様(Ub1)分子の切断部位が即座に前記目的タンパク質のアミノ末端になるように目的タンパク質のアミノ末端に結合した、ユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインのアミノ末端に結合した少なくとも1つの第1の精製標識を有する、核酸コンストラクトを提供する工程と、
b)前記宿主細胞において前記融合タンパク質をコード化した前記核酸コンストラクトを発現する工程と、
c)少なくとも1つの第1の精製標識に特異的に結合することが可能である固体支持体上において、前記再構成された融合タンパク質を精製する工と、
d)前記精製された融合タンパク質を第2の精製標識を有する同じユビキチン様(Ubl)分子のアミノ末端ドメインに接触させ、それにより再構成されたUblを産生する工程と、
e)前記第2の精製標識に特異的に結合することが可能な固体支持体上において、前記再構成されたUblを精製する工程と、
f)前記精製され再構成されたUblを前記Ubl分子に対して特異的なプロテアーゼと接触させ、それにより前記目的タンパク質が精製されるように、前記融合タンパク質を切断する工程と
を有する方法。
【請求項12】
請求項11の方法において、
前記少なくとも1つの第1の精製標識及び前記第2の精製標識は、ポリヒスチジン標識(6xHis)、ポリアルギニン標識、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、S−標識、インフルエンザウイルスHA標識、チオレドキシン、ブドウ球菌タンパク質A標識、FLAG(商標)エピトープ、及びc−mycエピトープから成る群から選択されるものである。
【請求項13】
請求項11の方法において、
前記少なくとも1つの第1の精製標識及び前記第2の精製標識は、同じである。
【請求項14】
請求項11の方法において、
前記少なくとも1つの最初の精製標識及び前記第2の精製標識は、異なるものである。
【請求項15】
請求項11の方法において、
同じユビキチン様(Ubl)分子の前記アミノ末端ドメインは、前記精製された融合タンパク質に接触する前に、前記第2の精製標識に特異的に結合することが可能な前記固体支持体に結合されるものである。
【請求項16】
請求項11の方法において、
前記少なくとも1つの第1の精製標識は、1つ以上であり、且つ前記第1の精製標識は、異なるものである。
【請求項17】
請求項15の方法において、
前記第2の精製標識は、システイン残基であり、且つ前記固体支持体は、チオール活性基を有するものである。
【請求項18】
請求項11の方法において、
前記Ubl分子に対して特異的な前記プロテアーゼは、Ulp1である。
【請求項19】
請求項11の方法において、
前記Ubl分子に対して特異的な前記プロテアーゼは、更に第3の精製標識を含むものである。
【請求項20】
請求項19の方法において、
前記第3の精製標識は、前記第2の精製標識と同じである。
【請求項21】
請求項19の方法において、
前記第3の精製標識は、前記第2の精製標識と異なるものである。
【請求項22】
請求項19の方法であって、さらに、
前記Ubl分子に対して特異的な前記プロテアーゼを前記第3の精製標識と結合可能な固体支持体と接触させ、それにより前記特異的プロテアーゼを前記目的タンパク質から除去し、前記目的タンパク質を精製する工程とを有する方法。
【請求項23】
ユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインと、ユビキチン様(Ubl)分子のアミノ末端ドメインとの間の親和性を増強する方法であって、
前記カルボキシ末端ドメインと前記アミノ末端ドメインに対して機能的に結合する部位を有する方法。
【請求項24】
請求項23の方法において、ユビキチン様(Ubl)分子の前記カルボキシ末端とユビキチン様(Ubl)分子の前記アミノ末端ドメインとはそれぞれCTHSとNTHSである、前記方法。
【請求項25】
請求項23の方法において、
ユビキチン様(Ubl)分子の前記カルボキシ末端ドメインとユビキチン様(Ubl)分子の前記アミノ末端ドメインとに結合している前記部位は、逆平行βシート構造を有するものである。
【請求項26】
請求項23の方法において、
ユビキチン様(Ubl)分子の前記カルボキシ末端ドメインとユビキチン様(Ubl)分子の前記アミノ末端ドメインとに結合している前記部位は、逆平行αへリックス構造を有するものである。
【請求項27】
請求項23の方法において、
ユビキチン様(Ubl)分子の前記カルボキシ末端ドメインに結合した前記部位は、負に帯電したアミノ酸を有し、さらにユビキチン様(Ubl)分子の前記アミノ酸ドメインに結合した前記部位は、正に帯電したアミノ酸を有するものである。
【請求項28】
請求項23の方法において、
ユビキチン様(Ubl)分子の前記カルボキシ末端ドメインに結合した前記部位は、正に帯電したアミノ酸を有し、さらにユビキチン様(Ubl)分子の前記アミノ酸ドメインに結合した前記部位は、負に帯電したアミノ酸を有するものである。
【請求項29】
ユビキチン様(Ubl)分子の記カルボキシ末端ドメインとユビキチン様(Ubl)分子のアミノ酸ドメインとの間の親和性を増強する方法であって、
前記カルボキシ末端ドメインと前記アミノ末端ドメインとに突然変異を挿入する工程を有する方法。
【請求項30】
請求項29の方法において、
前記突然変異は、前記カルボキシ末端ドメインと前記アミノ末端ドメインとの間の疎水性を増強するものである。
【請求項31】
請求項30の方法において、
Lys41は、疎水性アミノ酸で置換されるものである。
【請求項32】
請求項29の方法において、
前記突然変異は、帯電したアミノ酸を導入するものである。
【請求項33】
請求項32の方法において、
Ile88は、負に帯電したアミノ酸で置換されるものである。
【請求項34】
請求項8の方法であって、さらに、
工程c)の間に前記Ubl分子に対して特異的な前記プロテアーゼの阻害剤を有する方法。
【請求項35】
請求項34の方法において、
前記プロテアーゼ阻害剤は、重金属の塩から選択されるものである。
【請求項36】
請求項35の方法において、
前記重金属は、亜鉛及びコバルトから成る群から選択されるものである。
【請求項37】
請求項34の方法であって、さらに、
金属イオンキレートを用いることによって、前記プロテアーゼ阻害剤を除去する工程を有する方法。
【請求項38】
請求項37の方法において、
前記金属イオンキレートは、EDTAである。
【請求項39】
請求項11の方法であって、さらに、
前記特異的プロテアーゼとの接触の前に、前記固体支持体から前記再構成されたUblを溶出する工程を有する方法。
【請求項40】
請求項39の方法において、
前記再構成されたUblは、Ubl分子の過剰な前記アミノ末端ドメイン、或いはそれらの誘導体を添加することによって溶出されるものである。
【請求項41】
請求項39の方法において、
前記再構成されたUblは、pH、塩濃度、カオトロピック状態、及び極性から成る群から選択された溶媒の特性を変化させることにより溶出されるものである。
【請求項42】
ユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列を含む組換えベクターを有するキットであって、
前記Ubl分子は、SUMO、ユビキチン、RUB、HUB、APG8、APG12、URM1、FAT10、Ubi−L、及びISG15から成る群から選択されるものであって、さらに前記Ubl分子は、望ましい宿主細胞において発現に適したプロモーター、及び、前記UBL分子をコード化した核酸配列を有する、フレーム内(in‐frame)で目的タンパク質をコード化した核酸をクローニングするのに適した多重クローニング部位が機能的に結合されているものであるキット。
【請求項43】
請求項42のキットにおいて、
前記キットはさらに、前記ベクターの発現に適した宿主細胞を有するものである。
【請求項44】
請求項42のキットにおいて、
前記宿主細胞は、酵母細胞、大腸菌、昆虫細胞、哺乳類細胞からなる群から選択されるものである。
【請求項45】
請求項42のキットにおいて、
前記キットはさらに、未変性な野生型タンパク質とは異なるアミノ末端を産生するために、前記目的タンパク質をコード化した核酸配列を変化させるための試薬を有するものである。
【請求項46】
請求項45のキットにおいて、
前記キットは、部位特異的突然変異に適した試薬を有するものである。
【請求項47】
請求項46のキットにおいて、
前記キットは、オリゴヌクレオチドに基づいた部位特異的突然変異法を行うためのオリゴヌクレオチドを有するものである。
【請求項48】
宿主細胞からのタンパク質を精製するためのキットであって、
a)ユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列を有する組換えベクターであって、前記Ubl分子は、SUMO、ユビキチン、RUB、HUB、APG8、APG12、URM1、FAT10、Ubi−L、及びISG15の群から選択されるものであり、さらに前記Ubl分子は、望ましい宿主における発現に適したプロモーター、前記Ubl分子の前記カルボキシ末端をコード化した核酸配列を有する、フレーム内で精製標識をコード化した核酸配列、及び、前記Ubl分子の前記カルボキシ末端をコード化した前記核酸配列を有する、フレーム内で前記目的タンパク質をコード化した核酸をクローニングするのに適した多重クローニング部位と機能的に結合されるものである、組換えベクターと、
b)前記融合タンパク質から再構成されたUbl分子を切断することが可能なプロテアーゼ組成物と
を有するキット。
【請求項49】
請求項48において、
前記キットはさらに、前記ベクターの発現に適した宿主を有するものである。
【請求項50】
請求項49において、
前記宿主細胞は、酵母細胞、大腸菌、昆虫細胞、及び哺乳類細胞の群から選択されるものである。
【請求項51】
請求項48の前記キットであって、さらに、
a)前記精製標識に結合するための少なくとも1つの固体支持体と、
b)溶解緩衝液と、
c)洗浄緩衝液と、
d)溶出緩衝液と、
e)切断緩衝液と、
f)タンパク質の形態における前記Ubl分子の前記アミノ末端ドメインと、
g)第2の精製標識に機能的に結合した前記Ubl分子の前記アミノ末端ドメインをコード化した核酸と、
h)使用説明書と
から成る群から選択される少なくとも1つの項目を有するキット。
【請求項52】
宿主細胞において目的タンパク質の改変アミノ末端を産生するための方法であって、
a)前記目的タンパク質をコード化した核酸配列を提供する工程と、
b)前記核酸配列において前記N末端アミノ酸のコード配列を改変する工程と、
c)ユビキチン様(Ubl)分子のカルボキシ末端ドメインをコード化した核酸配列を前記核酸配列へ機能的に結合し、それにより融合タンパク質をコード化した核酸を産生する工程であって、前記ユビキチン様(Ubl)分子の前記カルボキシ末端ドメインは、前記目的タンパク質のアミノ末端に存在するものである工程と、
d)真核細胞において前記融合タンパク質をコード化した前記核酸を発現させる工程と、
e)前記Ubl分子のアミノ末端ドメインをコード化した核酸分子を発現し、それにより前記細胞において前記目的タンパク質を産生する工程であって、前記目的タンパク質は改変アミノ末端を有しているものである工程と
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【公表番号】特表2007−529191(P2007−529191A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517749(P2006−517749)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020778
【国際公開番号】WO2005/003313
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(504262133)ライフセンサーズ、インク. (2)
【Fターム(参考)】