説明

タンパク質製造の改良

本発明は、タンパク質製造及び細胞培養技術の分野に関係する。CERTが新規なin vivo PKD基質として認定された。PKDによるセリン132のリン酸化は、ゴルジ膜に存在する、CERTの脂質標的ホスファチジルイノシトール4-ホスフェートに対するCERTの親和性の低下をもたらし、さらにセラミド移転活性を低下させて、PKDは脂質恒常性の調節因子と認定された。本発明は、CERTがその対応する局面においてPKD活性化及び形質膜へのPKD依存タンパク質輸送で決定的に重要であることを示す。PKDとCERTの相互依存性は、したがってゴルジ膜の完全性維持及び分泌性輸送にとって要である。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)及び(b)の工程を含む、対象の異種タンパク質を製造する方法:
a.ステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質の発現又は活性を高める工程、及び
b.前記対象のタンパク質の発現を実施する工程。
【請求項2】
STARTドメインタンパク質が、PCTP(配列番号:27)、StarD7、GPBP、StarD10、StarD8、StarD13、DLC-1、StarD4(配列番号:21)、StarD6(配列番号:25)、StarD5(配列番号:23)、MLN64、StAR、THEA-2、CACH若しくはStarD9等の哺乳動物のSTARTドメインファミリーのメンバー、又は前記の誘導体若しくは変異体である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
STARTドメインタンパク質が、ERストレスにより誘発されることを特徴とする、及び/又は、StarD4(配列番号:21)、StarD5(配列番号:23)、StarD6(配列番号:25)又はホスファチジルコリン移転タンパク質(PCTP)(配列番号:27)等のSTARTドメインのみから成るという構造的特徴を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
STARTドメインが、少なくともSTARTドメインコンセンサス配列(配列番号:28)、又はCERTL(配列番号:19)の少なくとも219アミノ酸STARTドメイン、又はCERT及びCERT S132A(配列番号:17)の少なくとも223アミノ酸STARTドメイン、又はStarD4(配列番号:21)の少なくともSTARTドメイン、又はStarD5(配列番号:23)の少なくともSTARTドメイン、又は前記の誘導体若しくは変異体を含む、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
STARTドメインタンパク質が、セラミド移転タンパク質CERT(配列番号:11又は配列番号:13)又は前記の誘導体若しくは変異体である、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
STARTドメインタンパク質が変異したセラミド移転タンパク質CERTであり、前記変異が、CERTの任意のセリン、スレオニン又はチロシンの位置にあるリン酸化部位を不能にさせる及び/又は欠失させる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
STARTドメインタンパク質が変異したセラミド移転タンパク質CERTであり、前記変異が、CERTの132位のタンパク質キナーゼD(PKD)リン酸化部位を不能にさせる及び/又は欠失させる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
変異CERTがCERTS132A(配列番号:15)である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、対象の前記タンパク質を発現するコントロール細胞と比較して、対象の前記タンパク質の比細胞生産性の増加を前記細胞でもたらすが、前記コントロール細胞では、ステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質の発現又は活性が増加していない、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
生産性の増加が、約5%から約10%、約11%から約20%、約21%から約30%、約31%から約40%、約41%から約50%、約51%から約60%、約61%から約70%、約71%から約80%、約81%から約90%、約91%から約100%、約101%から約149%、約150%から約199%、約200%から約299%、約300%から約499%、又は約500%から約1000%である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記細胞が、真核細胞、例えば酵母、植物、蠕虫、昆虫、鳥類、魚類、爬虫類又は哺乳動物細胞である、請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記真核細胞が哺乳動物細胞である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、サル腎CV1、サル腎COS、ヒトレンズ上皮PER.C6TM、ヒト胎児腎、HEK293、ベビーハムスター腎、アフリカミドリザル腎、ヒト子宮頸癌、イヌ腎、バッファローラット肝、ヒト肺、ヒト肝、マウス乳癌若しくはミエローマ細胞、イヌ、ブタ若しくはマカク細胞、ラット、ウサギ、ネコ、ヤギ細胞、好ましくはCHO細胞である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記CHO細胞が、CHO野生型、CHO K1、CHO DG44、CHO DUKX-B11、CHO Pro-5、好ましくはCHO DG44である、請求項13に記載方法。
【請求項15】
対象のタンパク質が膜タンパク質又は分泌タンパク質である、請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
対象のタンパク質が抗体又は抗体フラグメントである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
抗体が、モノクローナル、ポリクローナル、哺乳動物、ネズミ、キメラ、ヒト化、霊長類化、霊長類、ヒト抗体であるか、又は前記のフラグメント若しくは誘導体、例えば抗体、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖及び重鎖、Fab、F(ab')2、Fc、Fc-Fc融合タンパク質、Fv、単鎖Fv、単一ドメインFv、四価単鎖Fv、ジスルフィド結合Fv、ドメイン欠失、ミニボディ、ジアボディ、又は上記フラグメントの1つと別のペプチド若しくはポリペプチドとの融合ポリペプチド、Fc-ペプチド融合物、Fc-トキシン融合物、足場タンパク質である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2つのポリペプチドをコードする核酸配列を含む1つ以上のベクター系を細胞に導入する工程を含む、細胞における対象の膜タンパク質又は分泌タンパク質の比細胞生産性を高める方法であって、
a.第一のポリヌクレオチドは、ステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードし、かつ、
b.第二のポリヌクレオチドは対象のタンパク質をコードし、かつ
c.対象のタンパク質及びステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質が前記細胞によって発現される、
前記対象の膜タンパク質又は分泌タンパク質の比細胞生産性を高める方法。
【請求項19】
細胞における対象の膜タンパク質又は分泌タンパク質を発現する細胞のトランスフェクション効率を高める方法であって、
a.ステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする第一のポリヌクレオチドを前記細胞にトランスフェクトする工程、
b.続いて、対象のタンパク質をコードする第二のポリヌクレオチドを前記細胞にトランスフェクトする工程を含み、
c.前記第一及び第二のポリヌクレオチドが別個のベクター系に配置される、
前記トランスフェクション効率を高める方法。
【請求項20】
以下の2つのポリヌクレオチドを含む発現ベクター:
a.ステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする第一のポリヌクレオチド、及び
b.対象のタンパク質をコードする第二のポリヌクレオチド。
【請求項21】
STARTドメインタンパク質が、PCTP、StarD7、GPBP、StarD10、StarD8、StarD13、DLC-1、StarD4、StarD6、StarD5、MLN64、StAR、THEA-2、CACH又はStarD9等の哺乳動物のSTARTドメインファミリーのメンバー、又は前記の誘導体若しくは変異体である、請求項20記載の発現ベクター。
【請求項22】
STARTドメインタンパク質が、セラミド移転タンパク質CERT(配列番号:11又は配列番号:13)又は前記の誘導体若しくは変異体である、請求項20又は21記載の発現ベクター。
【請求項23】
変異CERTがCERTS132A(配列番号:15)である、請求項22記載の発現ベクター。
【請求項24】
前記第一のポリヌクレオチドが、分泌経路を介して細胞内のタンパク質輸送を高める、請求項20から23のいずれか1項記載の発現ベクター。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか1項記載の発現ベクターを含む細胞。
【請求項26】
前記細胞が、酵母、植物、蠕虫、昆虫、鳥類、魚類、爬虫類又は哺乳動物細胞等の真核細胞である、請求項25記載の細胞。
【請求項27】
前記真核細胞が哺乳動物細胞である、請求項26記載の細胞。
【請求項28】
前記哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、サル腎CV1、サル腎COS、ヒトレンズ上皮PER.C6TM、ヒト胎児腎、HEK293、ベビーハムスター腎、アフリカミドリザル腎、ヒト子宮頸癌、イヌ腎、バッファローラット肝、ヒト肺、ヒト肝、マウス乳癌若しくはミエローマ細胞、イヌ、ブタ若しくはマカク細胞、ラット、ウサギ、ネコ、ヤギ細胞、好ましくはCHO細胞である、請求項27記載の細胞。
【請求項29】
前記CHO細胞が、CHO野生型、CHO K1、CHO DG44、CHO DUKX-B11、CHO Pro-5、好ましくはCHO DG44である、請求項28記載の細胞。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか1項に記載の方法のいずれかによって製造される対象のタンパク質、好ましくは抗体。
【請求項31】
ステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質の発現を遮断するか又は低下させるために有用なポリヌクレオチド配列を含む医薬組成物。
【請求項32】
STARTドメイン配列が、セラミド移転タンパク質CERT(配列番号:11又は配列番号:13)又は前記の誘導体若しくは変異体である、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項33】
ポリヌクレオチド配列がRNAi、siRNA又はアンチセンス-RNAである、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項34】
ステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン、好ましくはCERT(配列番号:11又は配列番号:13)、又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質のインヒビター又はサプレッサーを含む医薬組成物。
【請求項35】
以下のa−cの工程を含む、STARTドメインタンパク質機能、好ましくはCERT機能の調整物質を認定する方法:
a.ステロイド生成急性調節関連脂質移転(START)ドメイン又は前記の誘導体若しくは変異体を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、好ましくはCERTを提供する工程、
b.工程a)の前記タンパク質を試験物質と接触させる工程、
c.タンパク質分泌の増加若しくは低下又は細胞表面タンパク質の発現に関係する影響を決定する工程。
【請求項36】
請求項31から34のいずれか1項記載の医薬組成物を適用することを含む、癌治療のための方法。
【請求項37】
対象のタンパク質の分泌及び/又は産生の増加を目的とする、STARTドメインタンパク質又はSTARTドメインタンパク質をコードするポリヌクレオチドの使用。
【請求項38】
請求項1から38のいずれか1項記載の方法、発現ベクター、細胞又は医薬組成物のいずれかの診断的使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7−1】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図4】
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【図7−2】
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【公表番号】特表2010−519917(P2010−519917A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552182(P2009−552182)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052493
【国際公開番号】WO2008/107388
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(503137975)ベーリンガー インゲルハイム ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (129)
【Fターム(参考)】