説明

タービン用の抽気ユニット及び関連する方法

【課題】蒸気タービン用の抽気ユニットを提供する。
【解決手段】本蒸気タービン(10、200)用の抽気ユニット(100)は、該蒸気タービン(10、200)の選択段の下流に取付けられかつ該選択段を外気からシールする端部プレート(102)と、端部プレート(102)を貫通して選択段から蒸気を抽気する抽気パイプとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的にはタービン技術に関する。より具体的には、本発明は、タービンの作動形態を変化させるつまりタービンに抽気出口を付加するための抽気ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
産業界で使用される2つのタイプの蒸気タービンには、復水蒸気タービン及び抽気蒸気タービンがある。復水蒸気タービンは、部分的凝縮(復水)状態で蒸気を排出するが、抽気蒸気タービンでは、蒸気は、様々な位置から引出されかつウォータボイラなどを予熱するようなその他の産業プロセスに使用される。バルブにより、抽気蒸気タービンから抽出(抽気)する蒸気を制御する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様は、装置を提供し、本装置は、蒸気タービンの選択段の下流に取付けられかつ該選択段を外気からシールする端部プレートと、端部プレートを貫通して選択段から蒸気を抽気する抽気パイプとを含む。
【0004】
本発明の第2の態様は、蒸気タービンを提供し、本蒸気タービンは、回転シャフトに結合された複数の回転ブレードを各々が備えた複数の段と、選択段の下流に取付けられ、該選択段を外気からシールし、かつ回転シャフトがそれをシール状態で貫通するのを可能にする回転シャフト開口部を備えた端部プレートと、端部プレートを貫通して選択段から蒸気を抽気する抽気パイプとを含む。
【0005】
本発明の第3の態様は、方法を提供し、本方法は、少なくとも1つの段を備えた蒸気タービンを準備するステップと、蒸気タービンの選択段の下流にシール状態で端部プレートをマウント取付けしかつ該端部プレートが該端部プレートを貫通して該選択段から蒸気を抽気する抽気パイプを備えることによって該蒸気タービンに抽気出口を付加するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】蒸気タービンの一部切欠き斜視図。
【図2】図1の蒸気タービン用の抽気ユニットの端部プレートの斜視図。
【図3】蒸気タービン上に設置した、図2の抽気ユニットの概略断面図。
【図4】蒸気タービン上に設置した、図2の抽気ユニットの拡大断面図。
【図5】蒸気タービン上に設置した端部プレートの細部の拡大断面図。
【図6】蒸気タービン上に設置した、図3の抽気ユニットの別の実施形態の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照すると、図1は、本発明の教示を適用することができるタイプの蒸気タービンのまさに1つの実施例である複流低圧蒸気タービン10の一部切欠き斜視図を示している。蒸気タービン10は、回転シャフト14と複数の軸方向に間隔を置いて配置されたロータホイール18とを備えたロータ12を含む。複数の回転ブレード20が、各ロータホイール18に対して機械的に結合される。より具体的には、ブレード20は、各ロータホイール18の円周方向周りで延びる列の形態で配置される。複数の固定ベーン22が、シャフト14の円周方向周りで延びかつこれらベーンは、隣接ブレード20列の軸方向間に配置される。固定ベーン22は、ブレード20と協働してタービン段を形成しかつタービン10を通る蒸気流路の一部分を形成する。
【0008】
作動中に、蒸気24は、タービン10の入口26に流入しかつ固定タービン22を通して送られる。しかしながら、蒸気入口構成は、変化させることができることに留意されたい。ベーン22は、下流方向にブレード20に対して蒸気24を導く。蒸気24は、残りの段を通って流れ、ブレード20に力を与えてシャフト14を回転させる。タービン10の少なくとも一端部は、ロータ12から離れるように軸方向に延びることができ、またそれに限定されないが、発電機及び/又は別のタービンのような負荷又は機械(図示せず)に取付けることができる。
【0009】
図1に示すような本発明の1つの実施形態では、タービン10は、5つの段を含む。5つの段は、L0、L1、L2、L3及びL4と呼ぶ。段L4は第1段でありかつ5つの段のうちで最小のもの(半径方向において)である。段L3は、第2段でありかつ軸方向における次の段である。段L2は、第3段でありかつ5つの段のうちの中央に位置したものとして示している。段L1は、第4段でありかつ最後から2番目の段である。段L0は、最終段でありかつ最大のもの(半径方向において)である。5つの段は、単に1つの実施例として示しておりまた各タービンは、5つよりも多い又は少ない段を有することができることを理解されたい。また、本明細書に説明するように、本発明の教示は、複数段タービンを必要とするものではない。
【0010】
図2〜図5は、非抽気型蒸気タービン10を抽気蒸気タービン200(図3)に変化させる(転換する)つまり付加的抽気出口を付加して抽気蒸気タービンにするための抽気ユニット100を示している。一般的に、抽気ユニット100は、選択段にシールを設けまたそれを通して蒸気を抽気することができる抽気パイプを設けることによって、復水型蒸気タービン10を抽気蒸気タービン200に転換するつまり抽気型タービンへのための抽気出口を付加する。蒸気タービン10が復水型システムである場合には、一般的に蒸気により全ての所望の仕事を行なった後にそのシステム内の蒸気を凝縮(復水)することが可能になる。蒸気タービンが既に抽気型蒸気タービンである(その他の出口は図示していない)場合には、抽気ユニット100は、蒸気用の出口をさらに付加することができる。いずれにしても、本発明の実施形態によると、抽気した蒸気は、例えば脱塩プロセス、予熱ボイラなどのあらゆるその他の現在公知の又は今後開発される産業用途において用いることができる。
【0011】
1つの実施形態では、抽気ユニット100は、蒸気タービン10の選択段(例えば、図1におけるL0)の下流に取付けた端部プレート102と、端部プレートを貫通して選択段から蒸気を抽気する1以上の抽気パイプ104とを含む。図2は、4つの抽気パイプ104を備えた実施形態を示し、図3は、その2つが端部プレート102の垂直方向中心線に整列した状態になった3つの抽気パイプ104を備えた実施形態を示しており、また図4〜図5では、分かり易くするために抽気パイプを省略している。抽気ユニット100の下流段(図示せず)は、そのためにはおそらくケーシング106(図3〜図5)を残した状態で、除去するか又は該抽気ユニット100のための間隙を設けるように調整することができる。ケーシング106は、大気(外気)条件とすることができる。図3〜図5に最も良く示しているように、端部プレート102は、選択段を外気からシールする。選択段は、実際には蒸気タービン10内のあらゆる段を含むことができる。下流段は、除去するか又は抽気ユニット100のための間隙を設けるように調整することが必要となる可能性がある。抽気ユニット100は、選択段の蒸気条件に耐えることができるあらゆる好適な金属合金で作ることができる。
【0012】
図4〜図5に最も良く示しているように、端部プレート102は、例えば該端部プレート102上のフランジ114によって蒸気タービン10のケーシング112のグルーブ110内に取付けることができる。グルーブ110は、あらゆる公知の方法を使用してケーシング112内に機械加工することができ、或いはグルーブを備えた固定部品を付加することによって設けることができる。ケーシング112は、選択段を囲んだケーシングを含むことができ、或いは端部プレート102を取外し不能に固定することができるあらゆるその他の使い易い構造体を含むことができる。1つの実施形態では、端部プレート102は、該端部プレート102の周辺部とケーシング112とをシールするフレキシブルシール120を使用して、ケーシング112に対してシールすることができる。1つの実施形態では、フレキシブルシール120は、金属合金で、ケーシング112に結合されたその第1の脚部124と端部プレート102に結合されたその第2の脚部126とを有するU字形部材122に形成される。各脚部124、126は、例えばボルト止め又は溶接によってそのそれぞれの部分に結合することができる。図示していないが別の実施形態では、フレキシブルシール120は、V字形状を有することができる。フレキシブルシール120は、1つの一体形部品(図4)として形成することができ、或いは例えば互いにボルト止め又は溶接することができる2つの合せ半部分体(図5)を含むことができる。図5に仮想線で示している別の実施形態では、フレキシブルシール120の1つの脚部(例えば、脚部124)は、下流ケーシング106のようなケーシング112以外の構造体に結合することができる。いずれにしても、フレキシブルシール120は、端部プレート102とケーシング112との間からの蒸気漏洩を防止する。
【0013】
図2〜図3を参照すると、端部プレート102はまた、蒸気タービン10の回転シャフト14が該端部プレート102をシール状態で貫通するのを可能にする回転シャフト開口部150を含むことができる。1つの実施形態では、端部プレート102に対して、回転シャフトカラー152を取付けることができる。図2に最も良く示しているように、公知の方法での回転シャフト14との間のカラー152のシール作用を可能にする一対の蒸気パッキンシール開口部154を設けることができる。開口部154は、図2〜図3に示すように、蒸気の送給又は取出しのための適当な配管156を含むことができる。図6に示す別の実施形態では、端部プレート102は、回転シャフト14の端部を支持するための端部軸受190を含むことができる。このケースでは、回転シャフト14は、端部軸受190で終端する。
【0014】
1以上の抽気パイプ104は、例えば端部プレート102内の適当寸法の開口部130に溶接又はボルト止めすることができる。図3に示すように、1以上の抽気パイプ104は、その中に選択段が取付けられたケーシング112の下流におけるかつ該ケーシング112とは異なるケーシング106を貫通して延びることができる。この構造は、例えば周囲の構造、コスト、安全性の観点などのため、蒸気タービン10からケーシング106を除去するのが容易でない場合に必要となる可能性がある。
【0015】
図2にも示すように、1つの実施形態では、端部プレート102は、一対の合せ部分150A、150Bを含むことができる。図示するように、合せ部分150A、150Bは各々、互いに結合するためのマウント160を有するほぼ半円形プレートを含む。合せ部分150A、150Bは、例えば互いにボルト止め又は溶接することができる。図示した実施例では、合せ部分はほぼ半円形であるが、端部プレート102は、その設置及び製造を容易にするのを可能にするような多数の異なる方法でセグメント化することができる。例えば、2つよりも多い合せ部分を用いて、端部プレート102をより多くのモジュールにしてユーザが選択した数の抽気パイプと共に該端部プレート102を設置することができるようにすることができる。このケースでは、合せ部分は、より多くのパイ形状(回転シャフト開口部150を除いて)とすることができる。このケースでは、端部プレート102は、例えば6個のような設定数の合せ部分を含むことができ、またユーザは、合せ部分が抽気パイプ開口部130を含むか又は合せ部分には抽気パイプ開口部130がないかの何れかを選択することができる。各合せ部分は、適当なマウント160(図2)、蒸気パッキン開口部154(図2)及びフランジ114(図4〜図5)セクションを含むことになる。
【0016】
別の実施形態は、転換させたものとして蒸気タービン200(図3)を含む。この実施形態では、タービン200は、回転シャフト14に結合された複数の回転ブレード20を各々が備えた複数の段L4〜L0を含む。端部プレート102は、選択段の下流に取付けられ、かつ端部プレートは、選択段を外気からシールする。回転シャフト開口部150は、回転シャフト14が端部プレートをシール状態で貫通するのを可能にする。1以上の抽気パイプ104は、端部プレート102を貫通して選択段から蒸気を抽気するようになる。
【0017】
別の実施形態では、方法は、少なくとも1つの段L4〜L0を備えた蒸気タービン10を準備するステップと、選択段の下流にシール状態で端部プレート102をマウント取付けすることによって抽気出口を付加するステップとを含むことができる。端部プレート102は、該端部プレートを貫通して選択段から蒸気を抽気する抽気パイプを含む。このようにして、復水蒸気タービンは、抽気型蒸気タービン200(図3)に転換することができる。
【0018】
本明細書における「第1の」、「第2の」などの用語は、何らの順序、数量又は重要度を表すものではなく、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために使用しており、また本明細書における数詞を付していない表現は、数量の限定を表すものではなく、むしろ記載した事項の少なくとも1つが存在することを表している。数量と関連して使用する「約」と言う修飾語は、記述した数値を包含しかつ文脈によって決まる意図的意味を有する(例えば、特定の数量の測定に関連する誤差の程度を含む)。本明細書で使用する場合における「1以上の」という前置表現は、この表現が前置する用語のものの単数及び複数の両方を含み、従ってその用語のものの1以上を含む(例えば、1以上の金属という表現は、1種以上の金属を含む)ことを意図している。本明細書に開示した範囲は、包括的でありかつ独立して組合せ可能である(例えば、「最大約25重量%までの又はより具体的には約5重量%〜約20重量%」の範囲というのは、「約5重量%〜約25重量%」の範囲の端点及び全ての中間値などを含む)。
【0019】
本明細書では様々な実施形態について説明してきたが、それら実施形態における要素の様々な組合せ、変更又は改良を当業者が行なうことができ、またそれらも本発明の技術的範囲内にあることは、本明細書から分かるであろう。さらに、本発明の本質的な技術的範囲から逸脱せずに特定の状況又は物的事項を本発明の教示に適合させるように、多くの変更を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、また本発明は、提出した特許請求の範囲の技術的範囲内に属する全ての実施形態を包含することになることを意図している。
【符号の説明】
【0020】
10、200 蒸気タービン
12 ロータ
14 回転シャフト
18 ロータホイール
20 回転ブレード
22 固定ベーン
24 蒸気の流れ
26 入口
100 抽気ユニット
102 端部プレート
104 抽気パイプ
106、112 ケーシング
110 グルーブ
114 フランジ
120 フレキシブルシール
122 部材
124 第1の脚部
126 第2の脚部
150 シャフト開口部
152 シャフトカラー
154 シール開口部
156 配管
190 端部軸受
130 寸法の開口部
150A、150B 合せ部分
160 マウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン(10、200)の選択段の下流に取付けられかつ該選択段を外気からシールする端部プレート(102)と、
前記端部プレート(102)を貫通して前記選択段から蒸気を抽気する抽気パイプと、
を含む装置。
【請求項2】
前記抽気パイプが、複数の抽気パイプ(104)を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記端部プレート(102)が、前記蒸気タービン(10、200)のケーシング(106、112)のグルーブ(110)内に取付けられる、請求項1又は請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記抽気パイプが、その中に前記選択段が取付けられたケーシング(106、112)の下流におけるかつ該ケーシング(106、112)とは異なるケーシング(106、112)を貫通して延びる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記端部プレート(102)が、一対の合せ部分(150A、150B)を含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記一対の合せ部分(150A、150B)が各々、互いに結合する取付けブラケットを有するほぼ半円形プレートを含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記端部プレート(102)が、前記蒸気タービン(10、200)の回転シャフト(14)が該端部プレート(102)をシール状態で貫通するのを可能にする回転シャフト(14)開口部を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記端部プレート(102)が、前記回転シャフト(14)との間のシール作用を可能にする一対の蒸気パッキンシール開口部(154)を備えた回転シャフト(14)カラーをさらに含む、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記端部プレート(102)の周辺部と前記蒸気タービン(10、200)のケーシング(106、112)とをシールするフレキシブルシール(120)をさらに含む、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記フレキシブルシール(120)が、前記ケーシング(106、112)に結合されたその第1の脚部(124)と前記端部プレート(102)に結合されたその第2の脚部(126)とを有するU字形部材(122)を含む、請求項9記載の装置。
【請求項11】
蒸気タービン(10、200)であって、
回転シャフト(14)に結合された複数の回転ブレード(20)を各々が備えた複数の段と、
選択段の下流に取付けられ、該選択段を外気からシールし、かつ前記回転シャフト(14)がそれをシール状態で貫通するのを可能にする回転シャフト(14)開口部を備えた端部プレート(102)と、
前記端部プレート(102)を貫通して前記選択段から蒸気を抽気する抽気パイプと、を含む、
蒸気タービン。
【請求項12】
前記抽気パイプが、複数の抽気パイプ(104)を含む、請求項11記載の蒸気タービン。
【請求項13】
前記端部プレート(102)が、該蒸気タービン(10、200)のケーシング(106、112)のグルーブ(110)内に取付けられる、請求項11又は請求項12記載の蒸気タービン。
【請求項14】
少なくとも1つの段を備えた蒸気タービン(10、200)を準備するステップと、
前記蒸気タービン(10、200)の選択段の下流にシール状態で端部プレート(102)をマウント(160)取付けしかつ該端部プレート(102)が該端部プレート(102)を貫通して前記選択段から蒸気を抽気する抽気パイプを備えることによって該蒸気タービン(10、200)に抽気出口を付加するステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−185453(P2010−185453A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22642(P2010−22642)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】