説明

ターボ機関用バーナー、該バーナー用ガイドプレート、及び該バーナーを有するターボ機関

開示されているのは、燃焼室に設けられかつスペーサを介して内壁部部分に作用するガイドプレートを有するターボ機関用バーナーと、ガイドプレートであって、当該ガイドプレートの固定部分は、燃焼室の内壁部分に固定するための複数の盛り上がり部(48)を備えるガイドプレート、及びそのようなバーナーを有するターボ機関である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書きに記載のターボ機関用バーナー、請求項3のおいて書きに記載の当該バーナー用ガイドプレート、及び請求項11に記載の当該バーナーを有するターボ機関に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機関用バーナーの燃焼室内で進行する燃焼過程の際に熱線が発生し、当該熱線は、特に燃焼室を形成する空間の内壁を加熱する。このように加熱されることによって、壁の厚さが大きい場合もしくは材料が重なり合っている場合には、大きな熱応力が生じる。各燃焼室の内壁部分は、一般に対流によって冷却される。このような対流の際には、外気が、燃焼室から内壁部分の背向する外面を介して供給される。燃焼室は、熱応力を低減させ且つ対流による冷却を最適化するために、一般に薄肉のプレート構造、例えば燃焼室ライナから成っている。横断面を変更するための処置、又は燃料・空気混合気の流れ若しくは空気の流れを案内するための処置、例えばガイドプレートや回転運動発生器が溶接されている。ガイドプレートは、燃焼室の内壁部分と溶接するための固定部分と、当該固定部分から背向する流体ガイド縁部と、を有している円錐状のリングとして形成されている場合がある。溶接後には、ガイドプレートは、その固定部分において広範囲に燃焼室の内壁部分と当接し、それによって材料の重なり合いが広範囲に形成され、熱応力の発生を促進する。重なり合う領域では、単に片側の材料のみが冷却されるので、熱応力を十分に低減させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、実証済みの流体技術上の境界条件を保持しつつ、熱による消耗を最小限に抑えるターボ機関用バーナーを提供することである。さらには、そのようなターボ機関用バーナーを有するターボ機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴を有するバーナーと、請求項3の特徴を有するガイドプレートと、請求項11の特徴を有するターボ機関とによって解決される。
【0005】
本発明に係るターボ機関用バーナーは、燃焼室と、気流を回転させながら供給するための回転運動発生器と、燃焼室の気流を案内するための、燃焼室に設けられたガイドプレートとを備えている。ガイドプレートは、燃焼室の内壁部分に固定するための固定部分を有している。本発明では、固定部分が、複数のスペーサを介して燃焼室の内壁部分と接合されている。この接合は、従来通り溶接によって実施されている場合がある。また、スペーサによって、ガイドプレートの固定部分と燃焼室の内壁部分との間において、材料が広範囲に重なり合うことが防止される。一方、ガイドプレートの固定部分と燃焼室の内壁部分との間で空気の分流が流れるので、内壁部分の両側が冷却される。すなわち本発明では、従来通り、燃焼室に背向する内壁部分の外面が冷却され、さらには、燃焼室に対向する内壁部分の内面も冷却される。同様に、ガイドプレートを固定するための溶接接合部も、その両側において冷却される。
【0006】
スペーサが、個別の部材であり、又は、例えば固定部分の盛り上がり部や燃焼室の内壁部分の盛り上がり部になっている場合がある。当該盛り上がり部は、固定部分又は内壁部分を波状に変形することによって実現される。
【0007】
本発明に係るターボ機関のバーナー用ガイドプレートは、気流を案内するための流体ガイド縁部と、当該流体ガイド縁部から背向しているガイドプレートをバーナーの内壁部分に固定するための固定部分とを備えている。本発明では、固定部分には複数の盛り上がり部が形成されており、固定部分は、当該盛り上がり部を介してバーナーの燃焼室の内壁部分に固定可能である。
【0008】
好ましい実施例では、盛り上がり部がそれぞれ、固定部分の固定縁部から流体ガイド縁部に延伸している。それによって、盛り上がり部の間に、実質的に気流の流れる方向に延伸する複数の通路が形成される。このことは、ガイドプレートの固定部分と燃焼室の内壁部分との間においてほとんど方向を変えることなく、噴入される空気の分流を流すことができるという利点を有している。
【0009】
好ましくは、盛り上がり部が、流体ガイド縁部に向いており、平坦な流体ガイド部分に移行する。直線状の流体ガイド縁部を有する平坦な流体ガイド部分を保持することは、実証済みの、流体に有利な境界条件がそのまま変わることがないという利点がある。
【0010】
盛り上がり部は、複数の波の山と波の谷とを有し、波状に形成されている場合がある。このとき、波の谷は、ガイドプレートの固定部分と燃焼室の内壁部分との間において対流による冷却を実施するために、空気を案内するための通路として利用される。
【0011】
実施例では、盛り上がり部が、湾曲した矩形状の形態であり、階段状に形成されている。
【0012】
好ましくは、波の山と谷とがそれぞれ、同一の形状であり、固定部分上に均等に設けられている。これにより、ガイドプレートの周囲に亘って均一に冷却される。
【0013】
好ましい実施例では、ガイドプレートが、短い長手方向側面と長い長手方向側面とを有している台形状の部材から成る、円錐状のガイドプレートリングである。このとき、流体ガイド縁部は短い長手方向側面に設けられ、固定縁部は長い長手方向側面に設けられている。
【0014】
本発明に係るターボ機関は、ガイドプレートを有するバーナーを備えており、当該ガイドプレートは、固定部分を有して、領域的にスペーサを介し、燃焼室の内壁部分から離隔して配置されている。
【0015】
本発明のその他の有利な実施例は、さらなる従属請求項の対象である。
【0016】
次に、本発明の好ましい実施例について、以下の概略的な図面に基づいて詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るバーナーの燃焼室の、極めて簡略化された部分縦断図である。
【図2】本発明に係るガイドプレートの第1の実施例である。
【図3】本発明に係るガイドプレートの第2の実施例である。
【図4】本発明に係るガイドプレートの第3の実施例である。
【図5】本発明に係るガイドプレートの第4の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係るターボ機関用バーナー2の燃料噴入又は空気噴入の領域における、該バーナーの部分的な縦断面図を表わす。バーナー2は、板を溶接することによって製造されており、円形のバーナー底部6によって軸線方向に形成されている燃焼室4を有している。バーナー底部6には、燃料8を燃焼室4に噴入するための、図示しないノズルが設けられている。燃焼室4は、バーナー底部6から円錐状に開いており、径方向において燃焼室ライナ10によって実質的に形成されている。
【0019】
バーナー底部6と燃焼室ライナ10との間には、空気14を噴入且つ回転させた状態で該空気を供給するための回転運動発生器12が設けられている。回転運動発生器12は、燃焼室4を径方向に取り囲み、バーナー2の長手軸線16に対して軸線方向に向けられている。燃焼室4が円錐状に形成されているので、回転運動発生器12は、傾斜して延在している流入口18を備えている。該流入口は、空気14を燃焼室4に導入するためのものである。バーナー底部6から離隔配置され且つ流入口18を形成している弓状の回転運動発生器12の縁部分20が、燃焼室4の円錐状の内壁部分22と突合せ継手状に接合されている。
【0020】
回転運動発生器12に背向する内壁部分22の縁領域26と燃焼室ライナ10の階段状の端部分24との間に、リング状空間28が形成されるように、燃焼室ライナ10が、階段状の端部分24において内壁部分22と接合されている。
【0021】
回転運動発生器12と内壁部分22との接合領域には、本発明に係るガイドプレート30が設けられており、当該ガイドプレート30は、ガイドプレートリングに変形されている。ガイドプレートリング30は円錐状に形成されており、固定部分32及び、当該固定部分32から背向する流体ガイド縁部34とを有している。ガイドプレートリング30は、流体ガイド縁部34が回転運動発生器12の縁部分20を越えて流入口18に突き出るように、図2に詳細に示す固定部分32を介して内壁部分22の内面36に設けられている。図2から図5を参照すると、固定部分22の本発明に係る盛り上がり部48によって、内壁部分22とガイドプレートリング30の固定部分32との間に、図示しない複数の通路が形成されている。バーナー2の駆動時には、回転運動発生器12の流入口18を通って噴入される空気14の分流が当該通路を流れ、それによって内壁部分22の内面36が対流によって部分的に冷却されるので、ガイドプレートリング30と内壁部分22とに作用する熱応力が低減される。同様に、ガイドプレート30の固定部分32が空気14の分流によって冷却される。通路を通過する空気14の分流の流入と貫流が、通路内で生じる圧力低下によって促進される。
【0022】
図2では、円錐状のガイドプレートリング30が、台形状に形成された帯状部材38によって形成されている。帯状部材38は、短い長手方向側面40と、その反対側に位置する長い長手方向側面42とを有している。当該2つの長手方向側面40,42は、互いに背向し合う2つの短側面44,46を介して互いに接合されている。短側面44,46は、ガイドプレートリング30を形成するために、突合せ継手状に当接されている場合がある。
【0023】
短い長手方向側面40は、流体ガイド縁部34を備えている。当該流体ガイド縁部34は、図2を参照すると、帯状部材38が変形されていない状態においては直線状に形成されている。
【0024】
固定部分32が、長い長手方向側面42から流体ガイド縁部34に向かって延伸している。当該固定部分32が、波状に形成されている複数の盛り上がり部48を備えているので、複数の波の山50a、50b、50c…と、波の谷52a、52b、52c…とが形成されている。燃焼室4に取り付けられた状態では、ガイドプレートリング30は、少なくとも部分的に波の山50a、50b、50c…を介して内壁部分22の内面36に固定されている。好ましくは、該ガイドプレートリングは、スポット溶接のような従来の溶接技術によって固定されている。盛り上がり部48又は波の山50a、50b、50c…は、いわばスペーサとして機能する。当該スペーサによって、固定部分32が内壁部分22から離隔して配置され、その結果として、構成部品が平面的に重なり合うことが防止される。このとき、波の谷52a、52b、52c…が、図1を用いて上述した内壁部分22の両面が対流によって冷却されるように空気14の分流が通過する通路として機能する。同様に、燃焼室4内部において発生する本発明に係る対流による冷却によって、ガイドプレートリング30を固定するための溶接接合部が、ガイドプレートリング30の固定領域において冷却される。
【0025】
盛り上がり部48は、長い長手方向側面42によって形作られる固定縁部54から、流体ガイド縁部34に向かって延伸しており、固定部分32に隣接する平坦な流体ガイド部分56に移行する。該盛り上がり部がこのように延伸していることによって、取り付けられた状態において、波の山50a、50b、50c…は、流れの方向又は径方向外側において延在している。波の山50a、50b、50c…と波の谷52a、52b、52c…とは、それぞれ同一の波形形状を備えており、固定部分32に亘って均等に分割されているので、その結果として、当該波の山と波の谷とが、固定部分32の両側において対称的に延在している。
【0026】
波形形状の固定部分32が、ガイドプレートリング30にある程度の弾性をもたらすので、冷却性能の改善に加えて、熱応力がより良好に解消又は最小限に抑えられる。その際、上述の波形形状の均一性によって、熱応力がガイドプレート30の周囲に亘って均一に除去され、ガイドプレートリング30には新たな応力が発生しないようになる。
【0027】
図3、図4、及び図5はそれぞれ、本発明に係るガイドプレート58,60,62のさらなる実施例を示している。当該ガイドプレート58,60,62と、図2に記載されたガイドプレート30との本質的な相違は、盛り上がり部48の数、すなわち固定部分32に形成された波形の周波数が図2〜図5に亘り増加しているという点である。それゆえ、図3、図4、及び図5に表わすガイドプレート58,60,62については詳述しない。
【0028】
盛り上がり部48を様々な形状とすること、及び/又は該盛り上がり部をガイドプレート30の周囲に亘って固定部分32に不均等に設けることも、同様に想到することができ、その結果として、内壁部分22の周囲に亘って対流による冷却の効果が異なることに留意すべきである。さらなる形状として、例えば長方形のカーブ又は鋸歯のカーブの形態で階段状に形成されることが挙げられる。さらに、通路を漏斗状に固定縁部に向かって拡開することが想到される。その結果として、通路では、空気14の分流を貫流させるためのより強い噴射効果が生じる。また、盛り上がり部を内壁部分22に形成し、ガイドプレートリング30の固定部分32を平面状に形成することも想到される。さらに、盛り上がり部48を、外部のスペーサまたは個別に実施されるスペーサに置き換え、内壁部分22と固定部分との間に当該スペーサを設けることも想到される。さらに、ガイドプレート30の形状は任意であり、本発明がリング状の形態に制限される訳ではないことに留意すべきである。
【0029】
本願は、燃焼室に設けられ、且つ、スペーサを介して内壁部に作用するガイドプレートを有するターボ機関用バーナーと、ガイドプレートの固定部分が燃焼室の内壁部分に固定するための複数の盛り上がり部を備えているガイドプレートと、そのようなバーナーを有しているターボ機関を開示する。
【符号の説明】
【0030】
2 バーナー
4 燃焼室
6 バーナー底部
8 燃料
10 燃焼室ライナ
12 回転運動発生器
14 空気
16 長手軸線
18 流入口
20 縁部分
22 内壁部分
24 端部分
26 縁領域
28 リング状空間
30 ガイドプレート(ガイドプレートリング)
32 固定部分
34 流体ガイド縁部
36 内面部分
38 帯状部材
40 短い長手方向側面
42 長い長手方向側面
44 短側面
46 短側面
48 盛り上がり部
50a、50b、50c 波の山
52a、52b、52c 波の谷
54 固定縁部
56 流体ガイド部分
58 ガイドプレート
60 ガイドプレート
62 ガイドプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室(4)と、気流を回転させながら供給するための回転運動発生器(12)と、前記燃焼室(4)の気流を案内するためのガイドプレート(30;58;60;62)とを有する、ターボ機関用バーナーにおいて、
前記ガイドプレート(30;58;60;62)は、該ガイドプレートの固定部分(32)で、複数のスペーサを介して、前記燃焼室(4)の内壁部分(22)に固定されていることを特徴とするバーナー。
【請求項2】
前記スペーサが、前記ガイドプレート(30;58;60;62)の前記固定部分(32)の盛り上がり部(48)あるいは前記燃焼室(4)の前記内壁部分(22)の盛り上がり部(48)であることを特徴とする請求項1に記載のバーナー。
【請求項3】
請求項1あるいは2に記載のバーナーのためのガイドプレートであって、気流を案内するための流体ガイド縁部(34)、及び、ガイドプレート(30;58;60;62)をバーナー(2)の燃焼室(4)の内壁部分(22)に固定するための、前記流体ガイド縁部(34)から背向する固定部分(32)を有するガイドプレートにおいて、
前記ガイドプレート(30;58;60;62)を前記内壁部分(22)に固定するための前記固定部分(32)は、複数の盛り上がり部(48)を備えることを特徴とするガイドプレート。
【請求項4】
前記盛り上がり部(48)が、固定縁部(54)から、前記流体ガイド縁部(34)の方向に延伸していることを特徴とする請求項3に記載のガイドプレート。
【請求項5】
前記盛り上がり部(48)は、前記流体ガイド縁部(34)の方向に向かっており、平らな流体ガイド部分(56)へと移行することを特徴とする請求項4に記載のガイドプレート。
【請求項6】
前記盛り上がり部(48)は、波の山(50a、50b、50c…)と波の谷(52a、52b、52c…)とを有して波状に形成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のガイドプレート。
【請求項7】
前記波の山(50a、50b、50c…)と前記波の谷(52a、52b、52c…)とはそれぞれ、均一的な形状を備え、前記固定部分(32)上に均等に設けられていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のガイドプレート。
【請求項8】
前記盛り上がり部(48)は、長方形のカーブの形状で、階段状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のガイドプレート。
【請求項9】
前記ガイドプレート(30;58;60;62)は、短い長手方向側面(40)と長い長手方向側面(42)とを有する台形状の部材(38)であって、該台形状の部材(38)は変形された状態では円錐状のガイドプレートリングを形作ることを特徴とする請求項3から8のいずれか一項に記載のガイドプレート。
【請求項10】
前記流体ガイド縁部(34)は前記短い長手方向側面(40)に設けられ、前記固定縁部(54)は前記長い長手方向側面(42)に設けられていることを特徴とする請求項9に記載のガイドプレート。
【請求項11】
請求項1に記載のバーナーを有していることを特徴とするターボ機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−501098(P2011−501098A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530336(P2010−530336)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008936
【国際公開番号】WO2009/053049
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(501473888)マン ターボ アーゲー (21)
【氏名又は名称原語表記】MAN TURBO AG