説明

ターンテーブル駆動方式の掘削機

【課題】ターンテーブル方式の回転駆動伝達装置の起動時の衝撃的接触面圧荷重を緩和する。
【解決手段】 ターンテーブル1の回転中心とケリーロッド4の中心を合致させてあり、ターンテーブルが矢印の方向に回転する際にターンテーブル1のトルク伝達面11が接触する回転駆動力伝達用突起41との間の隙間は実質的にゼロであり、反対面側とターンテーブル1のトルク伝達面との間に隙間(α)が形成してある。隙間が実質的にゼロであるので、ターンテーブル1の回転起動時の衝撃的接触面圧荷重が緩和され、ケリーロッド4の回転駆動力伝達用突起41が損傷されにくくなり、ケリーロッドの使用期間を長くすることができ、経済的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンテーブル駆動方式の掘削装置において、両側面に駆動力伝達用の突起を有するケリーロッドの回転駆動力の伝達の際の集中荷重を緩和し、均等に伝達するようにしたターンテーブルの構造に関し、更に詳しくはケリーロッドの回転駆動力伝達用突起の挿入部に関する。
【背景技術】
【0002】
駅ビルを構築するなど駅の改良工事においてプラットホーム下の地盤に基礎杭用の杭穴を施工する場合、プラットホームに開口を設けて掘削装置を設置することが特許文献1(特許4064984号公報)で提案されているが、乗降客が利用するプラットホームの開口を囲む囲いを設ける必要があり、乗降客の通行を妨げるという問題があるので、駆動部を掘削装置のトップに設けず、ターンテーブル駆動方式を採用することによってプラットホームに開口を設ける必要のない超低空頭空間に設置可能とした掘削装置を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4064984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ターンテーブル駆動方式の掘削装置は、図1に示すように、外周にリングギア(図示しない)が形成してあるターンテーブル1が回転可能にフレーム2に支持され、駆動モータ3がアイドルギアを介してターンテーブル1を回転駆動し、ターンテーブル1の中央部の挿入穴に挿入されたケリーロッド4の両側面に設けた突起41、41を介して回転駆動力をケリーロッド4に伝達し、ケリーロッド4の先端部に取り付けたビット32によって掘削がおこなわれる。
【0005】
ターンテーブルからケリーロッドに回転力が伝達される回転トルク伝達部を拡大したのが図2であり、従来はケリーロッド4の駆動力伝達用突起41のトルク伝達面とターンテーブルのトルク伝達面11との間には、図2(1)に示すように同じ大きさの隙間(d)を対称に形成してあった。
【0006】
ターンテーブルの起動時に、ターンテーブルが図2(2)の矢印の方向に回転して回転駆動力が駆動力伝達用突起のトルク伝達面を介してケリーロッドに伝達されるとき、ターンテーブルのトルク伝達面11と回転駆動力伝達用突起41に傾斜した隙間が生じケリーロッドの回転駆動力伝達用突起41の先端角部45は線接触状態になり過大な面圧が生じ、変形や損傷を起こすことがあり、ケリーロッドの寿命を短くする問題があった。
本発明は、ターンテーブルの起動時にケリーロッドの回転駆動力伝達用突起のトルク伝達面に過大な接触面圧荷重を与えることなく円滑に起動回転が行われるようにし、回転駆動力伝達用突起の変形や損傷を極力少なくするようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ターンテーブルのトルク伝達面と回転駆動力伝達用突起のトルク伝達面の隙間が、ターンテーブルが起動時に接触する側の隙間を実質的にゼロとし、回転駆動力伝達用突起の反対側にのみ隙間(α)を設け、隙間を回転駆動力伝達用突起41の両側面において非対称とすることにより、ターンテーブルの起動回転時に回転駆動力伝達用突起のトルク伝達面が均等な面接触状態となり、接触面圧荷重を小さくすることで変型や損傷がおこらないようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
回転駆動力伝達用突起41のトルク伝達面の両側の隙間を実質的にゼロにするとケリーロッドをターンテーブルに挿入する際に余裕がないため挿入が困難になるが、ターンテーブルが起動時に接触する側のみ隙間を実質的にゼロにし、反対面側には隙間(α)を形成してあるため、挿入を容易におこなうことができる。
また、ターンテーブルの回転起動時の衝撃的荷重が緩和されるので、ケリーロッドが損傷されにくくなり、ケリーロッドの使用期間を長くすることができ、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ターンテーブル駆動方式の超低空頭掘削装置の概念図。
【図2】従来のターンテーブルにケリーロッドが挿入された状態の拡大平面図。
【図3】本発明のターンテーブルにケリーロッドが挿入された状態の拡大平面図。
【図4】ケリーロッドの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ケリーロッド4は、図4に示すように管体の両側面にチャンネル鋼などの鋼材が溶接されて回転駆動力伝達用突起41が形成されている。管体の両端部にはフランジ43が設けてあり、補強リブ42が設けてある。一方のフランジにはケリーロッド同士を接続する際の長短のガイド44、44が設けてあり、接続時の位置合わせを容易にしており、他方のフランジ43の対応する位置には位置合わせ用の穴が形成してある。
【0011】
ケリーロッド4の接続はボルト46でおこない、一方のフランジにボルトが補助具によって予め取り付けてあり、狭い空間での接続作業を容易にしている。他方のフランジ43には対応した位置に接続用の穴が形成してある。管体の側面にはケリーロッド4を取り扱う際のクレーンのフックなどを引っ掛ける金具47が設けてある。
【0012】
この、ケリーロッド4をターンテーブル1の挿入穴にセットした状態が図3である。
ターンテーブル1の回転中心とケリーロッド4の中心が合致するようにセットしてあり、ターンテーブル1の回転方向を矢印で示している。ターンテーブル1の回転駆動力はトルク伝達面11からケリーロッド4の回転駆動力伝達用突起41に伝えられてケリーロッド4が回転する。
ターンテーブルが矢印の方向に回転する際にターンテーブル1のトルク伝達面11が接触する回転駆動力伝達用突起41との間の隙間は実質的にゼロである。一方、回転駆動力伝達用突起41の反対面側とターンテーブル1のトルク伝達面との間に隙間(α)が形成してある。
回転駆動力伝達用突起41の幅をLとすると、ターンテーブル1のトルク伝達面が回転駆動力伝達用突起41に接触する側は回転中心からL/2の距離であり、他方側はL/2+αであり、両者の間に隙間αが形成される。
【0013】
ケリーロッド4の反対側面の回転駆動力伝達用突起41とターンテーブル1のトルク伝達面11との関係も前述と同じ関係にしてあり、図3においては上下で逆になっている。
【0014】
ターンテーブル1が回転すると、隙間が実質的にゼロであるためターンテーブルの起動回転に伴う回転駆動力伝達用突起41に対する衝撃的接触面圧荷重を小さくすることができ、回転駆動力伝達用突起41の変形や損傷を防止することができる。
【符号の説明】
【0015】
1:ターンテーブル
11:トルク伝達面
2:フレーム
3:モータ
4:ケリーロッド
41:回転駆動力伝達用突起
42:補強リブ
43:フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブルの中央部の穴に挿入されたケリーロッドの両側面に設けた回転駆動力伝達用突起とターンテーブルのトルク伝達面を接触させて回転駆動力をケリーロッドに伝達する掘削機において、駆動力伝達用突起とターンテーブルのトルク伝達面の隙間が、ターンテーブルが起動時に接触する側の隙間を実質的にゼロとし、回転駆動力伝達用突起の反対側にのみ隙間(α)を設け、隙間を回転駆動力伝達用突起の両側面において非対称とすることにより、ターンテーブルの起動時に回転駆動力伝達用突起のトルク伝達面に衝撃的接触面圧荷重を緩和したターンテーブル駆動方式の掘削機。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−53482(P2013−53482A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193391(P2011−193391)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【出願人】(599112113)株式会社東亜利根ボーリング (25)
【Fターム(参考)】