説明

ダイアル式操作装置

【課題】 コンパクトに構成でき、かつ意匠上の制約も小さいダイアル式操作装置を提供する。
【解決手段】 ダイアル操作部10と、該ダイアル操作部10の回転操作に伴い該ダイアル操作部10に生ずる正逆両方向の回転角度変位を、該ダイアル操作部10の回転軸線と直交する面内の直線軌道上の直線往復変位に変換する変位変換手段100と、変換された直線往復変位を検出し、その検出結果に基づいてダイアル操作部10の回転角度位置情報を出力する変位検出出力手段70とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両(特に、自動車)等に備えられた電子機器の操作に使用するダイアル式操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平11−273506号公報
【0003】
自動車等の車両においては、搭載される電子機器、例えば空調装置やカーオーディオシステム、さらにはカーナビゲーションシステムを操作するための操作ユニットが車内に設けられる。操作ユニットには、車両の搭乗者が必要に応じて操作するための操作部が設けられる。このうち、空調装置の風量調整操作部、温度調整操作部あるいは吹き出し口選択操作部や、カーオーディオシステムの音量操作部などにダイアル式操作装置が多く採用されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1のダイアル式操作装置は、いずれダイアル操作部の回転軸線を含む中央部に、プッシュスイッチやLED表示部などの非回転の補助デバイスが組み込まれており、該補助デバイスとの干渉を避けるため、ダイアル操作部の回転変位の検出部をダイアル外周位置に設ける配慮がなされている。特許文献1においては、ダイアル周方向に沿って基板上に印刷されたカーボン抵抗膜を用いた可変抵抗によりダイアル操作部の角度位置情報を得るようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成では、操作パネルに対応した基板上に大きな円弧状のカーボン抵抗膜を印刷形成しなければならず、基板コストの高騰につながる上、カーボン抵抗膜を配置するための平面スペースが余分に必要であり、他の回路素子等のためのスペースが圧迫されて基板実装効率が悪い欠点がある。
【0006】
本発明の課題は、コンパクトに構成でき、かつ意匠上の制約も小さいダイアル式操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明のダイアル式操作装置は、ダイアル操作部と、該ダイアル操作部の回転操作に伴い該ダイアル操作部に生ずる正逆両方向の回転角度変位を、該ダイアル操作部の回転軸線と交差する面内の直線軌道上の直線往復変位に変換する変位変換手段と、変換された直線往復変位を検出し、その検出結果に基づいてダイアル操作部の回転角度位置情報を出力する変位検出出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記本発明のダイアル式操作装置においては、ダイアル操作部に生ずる回転角度変位を回転軸線と交差する面内の直線往復変位に変換し、その直線往復変位に基づいてダイアル操作部の回転角度位置情報を出力するようにした。これにより、変位検出方向がダイアル操作部の回転軸線に交差する直線軌道上に限られるため、変位検出に必要な機構の平面占有スペースを従来よりも小さくすることが可能となる。つまり、従来は、変位検出機構の配置にダイアルスイッチの外周に沿った円弧状の二次元に拡がる平面スペースが必要であったのに対し、上記ダイアル式操作装置の場合は、二次元の平面スペースではなく、一次元的な直線状の狭いスペースで済む。このため、ダイアル式操作装置をコンパクトに構成でき、設計上ないし意匠上の制約も小さく柔軟な対応することが可能である。
【0009】
本発明のダイアル式操作装置では、変位変換手段を、該ダイアル操作部の回転操作に伴って回転するダイアルギアと、該ダイアルギアと噛合するとともに該ダイアルギアの回転に伴い直線軌道に沿って往復変位するラックギアとを備えて構成することができる。この構成によると、ダイアル操作部の正逆両方向の回転をシンプルな構造で直線往復変位に変換することができる。
【0010】
本発明のダイアル式操作装置では、変位変換手段は、ダイアルギアの回転変位を減速させてラックギアに伝達する減速ギア機構を有するものとすることができる。具体的には、減速ギア機構は、第一の回転ギアと該第一の回転ギアよりも小径の第二の回転ギアとを同軸上に有する減速ギアを備え、第一ギアはダイアルギアと噛合し、第二ギアはラックギアと噛合するものとすることができる。この構成によると、ダイアル操作に伴うダイアルギアの大きな外周回転変位を減速により縮小してラックギアに伝達でき、直線往復変位の距離レンジを短くすることができ、変位検出に必要な機構の平面占有スペースをより小さくすることができる。
【0011】
本発明のダイアル式操作装置では、ダイアル操作部の回転軸線方向において被操作側の端面を第一端面とし、これと反対側の端面を第二端面として、ダイアル操作部は円筒状の本体部を有し、該本体部の内側には、該ダイアル操作部の第一端面側に露出する形で非回転の補助デバイスが組み込むことができる。この構成によると、ダイアル操作部本体の内側に別デバイスを設けることができ、操作機能を増すことができる。具体的には、補助デバイスは、円板状のボタン本体と、該ボタン本体の裏面に突出形成されて回転軸線方向に進退可能な進退筒とを有し、該進退筒の前進によりスイッチ操作がなされる押しボタンスイッチとすることができ、回転操作とプッシュ操作の双方を実現する操作装置とすることができる。
【0012】
本発明のダイアル式操作装置では、変位検出出力手段は、直線軌道上を往復する摺動電気接点部と、該摺動電気接点部の往復方向に形成されるとともに該摺動電気接点部により抵抗分割される抵抗導体とを有した可変抵抗器を備えるものとして構成できる。この構成によると、可変抵抗器の抵抗導体の長手方向を直線軌道方向に一致させることができ、ひいては可変抵抗器の平面占有スペースを大幅に削減することができる。また、可変抵抗器の採用により、ダイアル操作部の回転角度位置情報を電圧出力として容易に取り出すことができ、また、その電圧値からダイアル操作部の絶対角度位置を直接読み取ることができるので、カウンタ等の余分な回路要素も不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一適用対象である車内操作ユニットUの正面外観の一例を示すものである。この車内操作ユニットUは、車内電子機器としての自動車(車両)用空調装置の操作を行なうためのものであり、樹脂製の筐体200(操作パネル)を有する。筐体200の前面部(車内操作ユニットUの前面を形成する)には、各々本発明の実施形態となるダイアル式操作装置1A,1B,1C(以下、総称する場合には符号「1」で代表させる)が設けられている。ダイアル式操作装置1A,1B,1Cは、横一列に隣接した形で筐体200上にそれぞれ回転操作可能に取り付けられている。
【0014】
ダイアル式操作装置1A,1B,1Cは、いずれも空調機能の操作用であり、ダイアル式操作装置1Aは空調温度の設定部として、ダイアル式操作装置1Bは空調の吹き出し口切り替え設定部として、ダイアル式操作装置1Cは吹き出し風量の切り替え設定部としてそれぞれ機能するものである。筐体200の前面には、各ダイアル式操作装置1A,1B,1Cのダイアル操作部10の周方向に沿って機能表示領域201A,201B,201Cが形成されている。いずれも、ダイアル操作部10を回転操作して、その機能指示マーク2Iを、機能表示領域201A,201B,201C上の定められた角度位置に合わせることにより、目的とする機能選択状態(あるいは機能設定状態)が得られるようになっている。
【0015】
温度設定が半連続的に変更可能となるように、ダイアル式操作装置1Aのダイアル操作部10は、他の2つのダイアル式操作装置1B,1Cよりも保持可能な角度位置が細分化されている。他方、ダイアル式操作装置1B,1Cは、いずれも互いに等角度間隔で配列した5つの角度保持位置を有している。吹き出し口設定用のダイアル式操作装置1Bでは、その5つは「フェイス吹き出し、フェイス+足元吹き出し、足元吹き出し、足元+デフ吹き出し、デフ吹き出し」であり、風量設定用のダイアル式操作装置1Cでは、「オフ(吹き出し停止)、ロー(風量段階I:オートでもよい)、風量段階II、風量段階III、ハイ(風量段階IV)」である。
【0016】
いずれのダイアル式操作部1も、図4に示すように、ダイアル操作部10と、該ダイアル操作部10の回転操作に伴い該ダイアル操作部10に生ずる正逆両方向の回転角度変位を、該ダイアル操作部10の回転軸線と交差する面内、本実施形態では直交する面内の直線軌道上の直線往復変位に変換する変位変換伝達機構(変位変換手段)100と、変換された直線往復変位を検出し、その検出結果に基づいてダイアル操作部10の回転角度位置情報を出力する変位検出出力手段をなすリニア可変抵抗ユニット70とを備える。本実施形態では、図4において、ダイアル操作部10の回転軸線方向において被操作側(つまり、筐体200の前面側でユーザーが操作のために手を伸ばしてくる側である:図4では図面上側)の端面を第一端面とし、これと反対側の端面を第二端面と定める。
【0017】
ダイアル操作部10は円筒状の本体部21を有し、該本体部21の内側には、該ダイアル操作部10の第一端面側に露出する形で非回転の補助デバイス3が組み込まれている。図1に示すように、補助デバイス3はいずれも押しボタンスイッチであり、オン/オフ状態を示すインジケータ(ここでは、LED等の発光デバイスからなる)4が設けられている。該補助デバイス3は、円板状のボタン本体と、該ボタン本体の裏面に突出形成されて前記回転軸線方向に進退可能な進退筒とを有し、該進退筒の前進によりスイッチ操作がなされる。この補助デバイス3の動作機構を本体部21の内側に確保するため、リニア可変抵抗ユニット70は回転軸線に関する半径方向において該補助デバイス3よりも外側に設けられている。
【0018】
本体部21は、筐体200上に回転軸線回りに回転可能かつ該回転軸線方向における第一端面の位置が不変となるように取り付けられている。他方、変位変換伝達機構100は、図3及び図4に示すように、ダイアル操作部10の回転操作に伴って回転するダイアルギア152と、該ダイアルギア152と噛合するとともに該ダイアルギア152の回転に伴い予め定められた直線軌道に沿って直線往復動作するラックギア153とを備えて構成された変位変換伝達機構である。ダイアルギア152は、本体部21の下端23側(第二端面側)の外周面の周方向に沿って設けられており、また、ラックギア153は、リニア可変抵抗ユニット70の中央上部に設けられた円筒状の可動部71と一体に連結されている。そして、ダイアルギア152の歯152aとラックギア153の歯153aとが互いに噛合している。可動部71は、ダイアルギア152の回転に基づいて、リニア可変抵抗ユニット70の長手方向に沿って往復動作可能とされており、この往復動作に基づいて、可動部71の下端に設けられた後述する摺動電気接点部76が、リニア可変抵抗ユニット70に設けられた後述する抵抗導体75上を摺動する。支持基体61は、本実施例では、リニア可変抵抗ユニット70や、押しボタンスイッチにより付勢されるタクトスイッチ62(スイッチ本体)を実装するための配線基板である(以下、基板61ともいう)。
【0019】
変位変換伝達機構100は、ダイアルギア152の回転変位をラックギア153によって直線軌道上の直線往復変位に変換するものであり、変換された直線往復変位は、可動部71によりラックギア152と一体に往復動作するリニア可変抵抗ユニット70によって検出し、該検出結果に基づいてダイアル操作部1の回転角度位置情報を出力される。つまり、本実施例における、リニア可変抵抗ユニット70は、変位検出手段として機能するとともに、変位出力手段としても機能する変位検出出力手段である。本実施形態では、リニア可変抵抗ユニット70の上面から突出する可動部71(後述の摺動電気接点部76と一体にスライドするものである)を、ラックギア152に形成された係合孔153cに挿通・係合させることにより両者の連結を行なっている。
【0020】
本実施形態では、リニア可変抵抗ユニット70は、図2に示すように、直線軌道上を往復する摺動電気接点部76と、該摺動電気接点部76の往復方向に形成されるとともに該摺動電気接点部76により抵抗分割される抵抗導体75とを有した可変抵抗器77を備えるものである。図3〜図5に示すように、可変抵抗器77は基板61以上に実装されている。図2に示すように、抵抗導体75は一端(端子72A:#1)が信号電源(ここでは、+5V)に接続され、他端(端子72B:#2)が接地される。摺動電気接点部76は、該摺動電気接点部76により抵抗導体75が分割されて生ずる抵抗ハーフブリッジの分圧電圧の出力点(端子72C:#3)として機能する。
【0021】
ダイアル操作部10の回転角度位置は該分圧電圧に反映されるので、例えば、この分圧電圧をECU等で構成されたコントローラ150Cに入力することができる。コントローラ150Cは、該分圧電圧の入力値から、ダイアル操作部10の操作角度位置に対応した機器設定指示内容を把握し、駆動デバイス、ここではモータ150M(のドライバ150D)に駆動指示を出す。モータ150Mは、空調温度の設定用のダイアル式操作装置1Aでは、冷気/暖気のエアミックスダンパーを駆動するものであり、空調の吹き出し口切り替え設定用のダイアル式操作装置1Bでは、吹き出し口切り替えダンパーを駆動するものである。また、吹き出し風量の切り替え設定用のダイアル式操作装置1Cでは、モータ150Mはファンモーターである。
【0022】
リニア可変抵抗ユニット70の可動部71は、ダイアル操作部10の回転操作を行なうにより、ラックギア153とともに図5の左右方向に進退し、図6に示すように、可動部71の位置に一義的に対応する分割比で、摺動電気接点部76が抵抗導体75を分割する。これにより、パッド72Cに現われる分圧電圧は、図7に示すように、リニア可変抵抗ユニット70の可動部71の移動量(直線往復変位)Hに対してリニアに変化する。なお、本実施形態では、抵抗導体75の公称抵抗値を10kΩと定めている。移動量Hは、ダイアル操作部10の回転角度変位とリニアに対応するので、選択すべき機能選択状態(あるいは設定すべき機能設定状態)の数に応じた分圧電圧値をコントローラ150Cに予め設定しておくとともに、コントローラ150Cでは設定された分圧電圧値に対応する機能を実現するための出力制御を行なわせることで、ダイアル操作部10の回転角度位置に応じた機能選択(あるいは機能設定)が可能となる。
【0023】
例えば、ダイアル操作部10が風量設定用の切り替え設定部として機能し、吹き出し風量を5段階(オフ(吹き出し停止)、ロー(風量段階I)、風量段階II、風量段階III、ハイ(風量段階IV))に切り替えるものである場合について説明する。図7における可動部71の移動量Hは、ダイアル操作部10の回転角度変位とリニアに対応するので、図8に示すように、検出される分圧電圧の検出範囲(0V〜5V)から等間隔おきに5つの分圧電圧値を定めて、それぞれの値をダイアル操作部10の回転角度位置に対応させる。そして、コントローラ150Cにおいて、定められた5つの分圧電圧値をそれぞれ5段階の吹き出し風量制御に対応させる。本実施例においては、図8に示すように、分圧電圧5Vのときにオフ(吹き出し停止)、3.75Vのときにロー(風量段階I)、2.5Vのときに段階に風量段階II、1.75Vのときに風量段階III、0Vのときにハイ(風量段階IV)となるように定められている。これにより、ダイアル操作部10の回転角度変位に応じた5段階の吹き出し風量制御が可能となっている。なお、ダイアル操作部10が吹き出し口設定用の切り替え設定部として機能するものであっても同様であり、また、空調温度設定用の切り替え設定部として機能するものである。
【0024】
次に、ダイアル操作部10の円筒状の本体部21は、筐体200の前面から突出形成された円筒状の外周面を有する回転支持凸部50に対し同心的に外挿されている。また、該回転支持凸部50の基端位置において、操作パネル200が蓋として配置されるケース部300には、ケース300の外周を残す形で該回転支持凸部50の周囲を取り囲む溝部53が形成されている。該溝部53にはリニア可変抵抗ユニット70が配置され、その底部54がリニア可変抵抗ユニット70の設置面を形成している。該底部54に配置されたリニア可変抵抗ユニット70は、操作パネル200がケース300上に取り付けられることで隠蔽される。可動部71は、図4に示すように、貫通孔55にて該溝部53の底部54から突出している。
【0025】
また、押しボタンスイッチとして構成された補助デバイス3は、円板状のボタン本体3と、該ボタン本体3の裏面に突出形成された進退筒32とを有する樹脂成形体である(材質はダイアル操作部を構成する樹脂射出成形品2と同じくABS樹脂等である)。進退筒32は円筒状の回転支持凸部50に軸線方向に挿入され、該回転支持凸部50内を一定のストロークで進退可能とされている。そして、その前進時には、基板(支持基体)61上に実装されたタクトスイッチ62を自身の第二端面にて付勢する(常時は該タクトスイッチ62内に組み込まれた図示しないばねにより、スイッチが動作しない位置に逆付勢されている)。図3に示すように、進退筒32の外周面には軸線方向のガイドリブ33が形成され、円筒状の回転支持凸部50の内周面に形成されたガイド溝(1対の溝形成リブ52,52により形成される)51に嵌まり込んで、進退方向のボタン押圧操作がガイドされる。ガイドリブ33とガイド溝51との組は、進退筒32の回転支持凸部50に対する相対回転を阻止する役割も果たす。本実施形態では、ガイドリブ33とガイド溝51との組が、進退筒32の周方向に所定の間隔で複数設けられている。
【0026】
以下、ダイアル式操作装置の種々の変形例について説明する(既に説明した部分と共通の部分には、同一の符号を付与して詳細な説明は省略する。まず、変位検出出力手段は、上記のごときリニア可変抵抗ユニット以外にも種々のものが採用可能である。
【0027】
例えば、図9に示す構成は、押しボタンスイッチのスイッチ本体62が実装される基板61上に抵抗導体75aを直接パターニング形成した例である。これによると、抵抗導体を含めた別体のリニア可変抵抗ユニットを用いる場合よりも、更なる省スペース化を図ることができる。具体的には、基板61上にカーボン印刷された抵抗導体75aに沿って、これを抵抗分割するスライド部70’が往復動作する。また、該スライド部70’がスライドする直線軌道に沿って、信号電源に接続される端子72A(#1)から接地側の端子72B(#2)に向けて導通する複数本の抵抗導体75aと、抵抗導体75aに沿って形成されて分圧電圧の出力点をなす端子72C(#3)と接続される出力側導体78とがCu配線パターンとして形成されておいる。他方、スライド部70’には、その下面にこれら抵抗導体75aと出力側導体78と接触する摺動電気接点部76が形成されている。これにより、摺動可能するスライド部70’の摺動電気接点部76と、抵抗導体75aと出力側導体78との接触位置に応じて、端子72C(#3)からは分圧電圧が出力される。言い換えれば、スライド部70’の直線往復変位に応じた分圧電圧が端子72C(#3)から出力されるため、上記実施例と同様に、分圧電圧を出力することができる。
【0028】
また、変位変換伝達機構について、ダイアルギア152とラックギア153とを直接噛合せず、その間にダイアルギア152の回転変位を減速させてラックギア153に伝達する減速ギア機構を設けた構成としても良い。例えば、図10に示すように、第一の回転ギア161と該第一の回転ギアよりも小径の第二の回転ギア162とを同軸上に有する減速ギア160を備え、第一ギア161はダイアルギア152と噛合し、第二の回転ギア162はラックギア153と噛合する減速ギア機構を用いることができる。この構成によると、ラックギア153のスライド距離を短くすることができ、変位検出に必要な機構の省スペース化を図ることができる。なお、符号161a、162aは、第一の回転ギア161と第二の回転ギア162の歯を示している。
【0029】
また、図11に示すように、変位変換伝達機構は、ダイアル操作部10の回転操作に伴って回転するダイアルギア152と、該ダイアルギア152と噛合する回転ギア154aとベベルギア154bとを回転軸154cで連結した第一中間ギアユニット154と、該第一中間ギアユニット154のベベルギア154bと噛合して該第一中間ギアユニット154の回転を、これと垂直な回転軸線周りの回転に変換するベベルギア155aと、該ベベルギアの回転軸線を形成するねじ軸155bとを備えた第二中間ギアユニット155とを備える。第二中間ギアユニット155のねじ軸155bは、リニア可変抵抗ユニット70の摺動電気接点部と一体にスライド可能なナットブロック71aと螺合している。ダイアル操作部10の回転操作変位は、上記のねじ軸機構を介してナットブロック71aひいては摺動電気接点部の直線的なスライド変位に減速されつつ伝達される。
【0030】
なお、ベベルギア154b,154bの歯面角度を変更するか、あるいは、回転軸154c上にユニバーサルジョイントを設けることで、ねじ軸155bの回転軸線を、ダイアルギア152の回転軸線と直交する向きから傾けることも可能である。これにより、ダイアルギア152の回転軸線に対して垂直な方向から傾いた向きに(ただし、交差する向き(ねじれの位置にある場合を概念として含む)であることに変わりはない)リニア可変抵抗ユニット70の摺動電気接点部を往復動させる構成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の適用対象の一つである車内操作ユニットの一例を示す正面図。
【図2】本発明のダイアル式回転操作装置の電気的構造の一例を示す回路図。
【図3】本発明のダイアル式回転操作装置の一実施形態を示す分解斜視図。
【図4】図4の縦断面図を示す説明図。
【図5】変位変換伝達機構の作用説明図。
【図6】リニア可変抵抗ユニットの等価回路図。
【図7】リニア可変抵抗ユニットの動作特性の一例を示すグラフ。
【図8】リニア可変抵抗ユニットの出力電圧と風量ダイアルの回転位置との関係を示すグラフ。
【図9】リニア可変抵抗ユニットの変形例を示す説明図。
【図10】変位変換伝達機構に減速ギア機構を設けた第一の変形例を示す説明図。
【図11】変位変換伝達機構に減速ギア機構を設けた第二の変形例を示す説明図。
【符号の説明】
【0032】
3 補助デバイス
10 ダイアル操作部
21 本体部
50 回転支持凸部
53 溝部
61 基板(支持基体)
70 リニア可変抵抗ユニット(変位検出出力手段)
71 可動部
75 抵抗導体
76 摺動電気接点部
100 変位変換伝達機構(変位変換手段)
152 ダイアルギア
153 ラックギア
160 減速ギア機構
200 筐体(操作パネル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアル操作部と、該ダイアル操作部の回転操作に伴い該ダイアル操作部に生ずる正逆両方向の回転角度変位を、該ダイアル操作部の回転軸線と交差する面内の直線軌道上の直線往復変位に変換する変位変換手段と、変換された前記直線往復変位を検出し、その検出結果に基づいて前記ダイアル操作部の回転角度位置情報を出力する変位検出出力手段とを備えたことを特徴とするダイアル式操作装置。
【請求項2】
前記変位変換手段は、前記ダイアル操作部の回転操作に伴って回転するダイアルギアと、該ダイアルギアと噛合するとともに該ダイアルギアの回転に伴い前記直線軌道に沿って往復変位するラックギアとを備えて構成される請求項1記載のダイアル式操作装置。
【請求項3】
前記変位変換手段は、前記ダイアルギアの回転変位を減速させて前記ラックギアに伝達する減速ギア機構を有する請求項2記載のダイアル式操作装置。
【請求項4】
前記減速ギア機構は、第一の回転ギアと該第一の回転ギアよりも小径の第二の回転ギアとを同軸上に有する減速ギアを備え、前記第一ギアは前記ダイアルギアと噛合し、前記第二ギアは前記ラックギアと噛合する請求項3記載のダイアル式操作装置。
【請求項5】
前記ダイアル操作部の前記回転軸線方向において被操作側の端面を第一端面とし、これと反対側の端面を第二端面として、前記ダイアル操作部は円筒状の本体部を有し、該本体部の内側には、該ダイアル操作部の前記第一端面側に露出する形で非回転の補助デバイスが組み込まれてなり、該補助デバイスは、円板状のボタン本体と、該ボタン本体の裏面に突出形成されて前記回転軸線方向に進退可能な進退筒とを有し、該進退筒の前進によりスイッチ操作がなされる押しボタンスイッチである請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のダイアル式操作装置。
【請求項6】
変位検出出力手段は、前記直線軌道上を往復する摺動電気接点部と、該摺動電気接点部の往復方向に形成されるとともに該摺動電気接点部により抵抗分割される抵抗導体とを有した可変抵抗器を備える請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のダイアル式操作装置。
【請求項7】
請求項5の要件を備えるとともに、前記押しボタンスイッチのスイッチ本体が実装される基板上に前記抵抗導体が直接パターニング形成されている請求項6記載のダイアル式操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−234482(P2007−234482A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56867(P2006−56867)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】