説明

ダイエット用器具

【課題】効果的に耳のツボを刺激できる共に、見た目や装着性に優れた新規なダイエット用器具の提供。
【解決手段】
耳介Eに存在する経穴を刺激するツボ刺激手段10と、当該ツボ刺激手段10を耳介Eに取り付ける取付手段20と、当該取付手段20に取り付けられる装飾部材30とを備える。これによって、効果的に耳のツボを刺激できる共に、見た目や装着性も向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性の装身具として一般的に用いられているイヤリングなどに東洋医学的ダイエット機能を付与したダイエット用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年飽食時代を迎え、食事メニューが欧米型の高カロリー食になったこともあってわが国でもカロリーオーバーに起因する肥満が増加している。代謝量を超えて摂取されたカロリーは、皮下脂肪として体内に蓄積され高脂血症や動脈硬化という生活習慣病引き金にもなるため、メタボリック症候群なる言葉も生まれて社会的に警戒感が高まってきた。従来は、高齢者による皮下脂肪の経年蓄積が問題視されていたが、近年は過食と運動不足が若年層にも広がり、社会的に大きな問題となっている。特に女性は美容上の観点からも「太りすぎ」を極端に警戒しており、若年層からいわゆるダイエットに余念がない。
【0003】
ダイエットの手法には、運動以外に肥満部位の強制振動付与や低カロリー喫食、脂肪排出機能食品の摂取など様々なものが喧伝されているが、ホルモン異常など病的なもの以外は過食(カロリーオーバー)に原因があるので「食べ過ぎ抑制」が最も理にかなったダイエット法といる。しかるに過食時代にあってこれまでの生活習慣の結果、カロリーオーバーになっている場合、主体的に自己抑制を行って「食べ過ぎ」を抑制することはなかなか困難である。このため、食欲を司る迷走神経に働きかけて食欲を抑制する物理的療法が最近注目されている。
【0004】
この療法は、東洋医学の経絡経穴を利用したもので、胃腸の働きを抑制する副交感神経(迷走神経)の作用を活発化させて食欲を穏やかに抑制するものある。東洋医学によれば、全身には365箇所の経穴(ツボ)が存在し、それぞれが経絡に連結して様々な働きをする。このうち肥満に効果のあるツボ治療として、中国や韓国では腹部のツボ刺激(体針)や低周波通電が主に行われているが、わが国では耳ツボダイエットに人気がある。
【0005】
耳ツボダイエットは、外耳を構成する耳介にある食欲抑制や新陳代謝を高める経穴(ツボ)を物理的に刺激する方法で、専門的には当該経穴に鍼を打つ、または短鍼を埋め込むことが行われている。また、対象者本人が自ら楊枝などを用いてツボ刺激を行うことも奨励されている。しかしながら、ツボ刺激によるダイエットは緩やかな効果を招来するものであり、長期に亘って持続的、反射的に行わなければならないが、耳介は人目に触れる場所であるため、ダイエット効果の期待される短鍼埋め込みは美容上問題があるうえに素人が簡単に行うことはできない。また、経穴に鍼を打つ、また爪楊枝などによる刺激は、持続的な刺激でないため、ダイエット効果が薄い。
【0006】
そのため、このような耳のツボを持続的かつ自動的に刺激するための器具が従来から種々提案されている。例えば、以下の特許公報1では、耳のツボを押圧する押圧突起を、固定部によって耳に固定するように構成した固定具が提案されている。また、以下の特許文献2では、耳介外縁に装着する固定部に、これよりツボ側に延長する支持部を設け、この支持部の先端にツボ刺激部を備えた耳ツボ健康器が提案されている。また、以下の特許文献3では、リング部の一端側に耳ツボを刺激するための突起部を備えたダイエット用イアリングが提案されている。また、以下の特許文献4には、第1および第2のリング部材の先端に、耳ツボに当接するトルマリン含有体を備えた耳ツボ刺激具が提案されている。さらに、以下の特許文献5には、耳穴に挿入しうる略キノコ型の装着部に装置ケーシングを備え、その装置ケーシングから延びる接触電極を耳のツボに接触させて電気的刺激を加えるような構成をしたツボ刺激装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−12256号公報
【特許文献2】特開2005−6919号公報
【特許文献3】実用新案登録第3126179号公報
【特許文献4】実用新案登録第3074764号公報
【特許文献5】特開平9−28812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1乃至3に提案されているようなツボ刺激器具は、リングの先端やツボ刺激部をツボに押圧させているだけであるため、ツボ刺激効果が乏しいうえに、やや不自然な状態で耳介に装着されるため、目立ってしまって見た目が良くない。また、前記特許文献4に提案されている耳ツボ刺激具は、トルマリン含有体から微弱静電流を半永久的に発生させることでツボを刺激するとのことであるが、その効果は殆ど確認できないだけでなく、第1および第2のリング部材によって耳の表裏から単にツボ部分を挟むような構成となっているため、簡単にずれたり外れたりしてしまう。また、前記特許文献5に示すようなツボ刺激装置の場合も、目立ってしまって見た目が良くないうえに、通常の生活において毎日の装着や取り外しが極めて困難であり、実用性が低い。
【0009】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、効果的に耳のツボを刺激できる共に、見た目や装着性に優れた新規なダイエット用器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために第1の発明は、
耳介に存在する経穴を刺激するツボ刺激手段と、当該ツボ刺激手段を耳介に取り付ける取付手段と、当該取付手段に取り付けられる装飾部材とを備えたことを特徴とするダイエット用器具である。
【0011】
このような構成によれば、耳介に存在する経穴(耳ツボ)を刺激するツボ刺激手段を、取付手段によって耳介に取り付ける構成となっているため、効果的に耳のツボを刺激できる共に、優れた装着性を発揮できる。また、この取付手段に装飾部材を取り付けてイヤリングなどとして機能させることができるため、見た目も大幅に向上する。
【0012】
ここで本発明でいう、耳介に存在する経穴(耳ツボ)とは、特にダイエットに効果があるといわれるツボであれば特に限定されるものではないが、例えば精神を安定させるツボでストレスなどでイライラした気持ちを鎮めてくれるといわれる「神門」、消化を高めるとともに空腹による腹痛や不快感を抑えるといわれる「胃」、腸や胃、肝臓、すい臓などの機能を高め、太りにくい体質をつくることを助けるといわれる「食道」、胃の働きを正常にして消化・吸収力を高めるといわれる「噴門」、食欲を抑え、体脂肪がエネルギーに変換されやすくなり、また、呼吸器の肺の働きを高めるといわれる「肺」、ホルモンなどの分泌をスムーズにし、生理不順などを解消し、肥満を防ぐ効果があるといわれる「内分泌」、過剰な食欲を抑える効果があり、押すだけでなくつまんで刺激を与えても効果があるといわれる「飢点」などがある。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記ツボ刺激手段は、少なくとも一対の小電極と、当該一対の小電極のうちの一方の小電極を経穴の皮膚に密着配置すると共に他方の小電極を当該経穴を挟むようにその裏側の皮膚に密着配置して前記小電極間に直流電流を通電する電極保持部とを備えたことを特徴とするダイエット用器具である。
【0014】
このような構成によれば、一対の小電極間を常時一方向に流れる微弱な直流電流によって耳のツボを耳介の両側から持続的かつ効果的に刺激することができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、
前記一対の小電極のうちの一方の小電極を金属から構成すると共に、他方の小電極を前記金属よりも標準単極電位の低い導電性鉱物から構成し、当該一対の小電極を保持する前記電極保持部を導電性材料で形成したことを特徴とするダイエット用器具である。
【0016】
このような構成によれば、電流が一方の小電極から耳ツボを介して他方の小電極に流れ、これが導電性材料からなる電極保持部を通って一方の小電極に戻るという導電性閉回路を構成することができる。
【0017】
第4の発明は、第3の発明において、
前記一方の小電極を金(Au)を主体とする材料で形成すると共に前記他方の小電極を酸化亜鉛を主体とする材料で形成したことを特徴とするダイエット用器具である。
【0018】
このような構成によれば、後に詳述するようにこれら一対の小電極が直流電源としても機能するため、構造が簡単になると共に微弱な直流電流を持続的に発生して通電することができる。なお、酸化亜鉛の代わりに亜鉛合金、スズ酸化物あるいはゲルマニウムなどを用いても良い。
【0019】
第5の発明は、第1の発明において、
前記ツボ刺激手段は、少なくとも一対の小電極と、当該一対の小電極のうちの一方の小電極を1つの経穴の皮膚に密着配置すると共に他方の小電極を他の経穴の皮膚に密着配置して前記小電極間に直流電流を通電する電極保持部とを備えたことを特徴とするダイエット用器具である。
【0020】
このような構成によれば、一対の小電極間を常時一方向に流れる微弱な直流電流によって耳の2箇所以上のツボを同時に持続的かつ効果的に刺激することができる。
【0021】
第6の発明は、第2または第5の発明において、
前記電極保持部は、前記一対の小電極間に直流電流を通電する直流電源を独立して備えたことを特徴とするダイエット用器具である。
【0022】
このような構成によれば、独立した直流電源によって一対の小電極間に一定値の微弱な直流電流を安定して通電することができる。
【0023】
第7の発明は、第6の発明において、
前記一対の小電極間に流す直流電流は、0.1〜50μAであることを特徴とするダイエット用器具である。
【0024】
この程度(0.1〜50μA)の微弱な直流電流であれば、より効果的に耳ツボを刺激することができる。すなわち、0.1μA未満では耳ツボに対する刺激が小さくて効果が乏しく、反対に50μAを越えると皮膚などの生体組織が過剰に刺激されて無用なトラブルを起こす可能性があるからである。なお、交流電流の場合では、人体の容量成分を介して筋肉や骨成分にも電流が流れて組織加熱に利用されるため、神経刺激に対する効率が低く望ましくない。
【0025】
第8の発明は、第6の発明において、
前記ツボ刺激手段は、直流電源の電流値を調整すべく限流抵抗を有することを特徴とするダイエット用器具である。
【0026】
このように直流電源を独立して備えた場合に、その電流値を調整すべく限流抵抗を備えることにより、所望の微弱直流電流を安定して通電することができる。
【0027】
第9の発明は、第1乃至8の発明において、
前記取付手段は、前記耳介の耳朶を用いて前記ツボ刺激手段を前記耳介に取り付けることを特徴とするダイエット用器具である。
【0028】
このように耳介の耳朶を用いて取り付けるようにすれば、容易かつ安定してツボ刺激手段を耳介の所望の位置に固定することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、耳介に存在する経穴(耳ツボ)を刺激するツボ刺激手段を、取付手段によって耳介に取り付ける構成となっているため、効果的に耳のツボを刺激できる共に、優れた装着性を発揮できる。また、この取付手段に装飾部材を取り付けてイヤリングなどの身飾品として機能させることができるため、見た目も大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るダイエット器具100の第1の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図2】耳介(外耳)Eの経穴位置を示す図である。
【図3】本発明に係るダイエット器具100の第2の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図4】耳介(外耳)Eの経穴位置を示す図である。
【図5】本発明に係るダイエット器具100の第3の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図6】絶縁基板14を裏面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係るダイエット器具100の第1の実施の形態を示したものである。図示するようにこのダイエット器具100は、耳介Eに存在する経穴(ツボ)を刺激するツボ刺激部10と、このツボ刺激部10を耳朶E1に取り付ける取付部20と、この取付部20に取り付けられる装飾部材30とから主に構成されている。
【0033】
ツボ刺激部10は、図1に示すように一対の小電極11a,11bと、この一対の小電極11a,11bを保持するための電極保持部12とから構成されている。小電極11a,11bは、いずれもその先端が丸く加工された円錐状になっており、その一方の小電極11aは、金(Au)などの金属から形成されると共に、他方の小電極11bは、n型半導体として働く酸化亜鉛などの導電性鉱物(標準単極電位の低い導電性鉱物)から形成されている。
【0034】
一方、電極保持部12は、上向きコ字形に形成されており、取付部20と一体化されたベース部12aと、このベース部12aの両端にそれぞれピン結合によって揺動自在に設けられた一対の保持片12b、12cと、この保持片12b、12cを互いに接近する方向に付勢するコイルバネ12dとから構成されている。そして、この保持片12b、12cの先端部分に、それぞれ前記一対の小電極11a,11bを互いに対向するように設けることで、一方の小電極11を耳介Eの所定の経穴(ツボ)の皮膚に密着配置すると共に他方の小電極11bをその経穴を挟むようにその裏側の皮膚に密着配置して保持するようになっている。さらに、この電極保持部12を構成するベース部12aと、保持片12b、12cとはそれぞれ金属などの導電性材料でかつ美観に優れた材料、例えば18金製の貴金属材料や別の金属に金メッキや金蒸着、スパッタ、金ペースト印刷などを用いることが望ましい。
【0035】
取付部20は、ツボ刺激部10と一体化となった下向きコ字形のベース部21と、このベース部21の内側に、互いに対向するように設けられた押さえ部22およびネジ23とから構成されている。そして、この押さえ部22とネジ23との間に耳朶E1を入れ、ネジ23を回してその耳朶E1を締め付けることで取付部20、すなわち本発明に係るダイエット器具100全体を耳介Eに装着できるようになっている。なお、この取付部20を構成するベース部21と、抑え部22と、ネジ23もそれぞれ電極保持部12と同様に18金製の貴金属材料で構成するか、または別の金属に金メッキや金蒸着、スパッタ、金ペースト印刷などして美観を高めるようにすることが望ましい。
【0036】
装飾部材30は、装飾性を高めるべく例えば真珠の飾り玉や貴金属、宝石などから形成されており、取付部20のベース部21に直接、あるいは図示するようにリング状の吊り部材31などを介して取り付けられている。
【0037】
次に、このような構成をしたダイエット器具100の取り付け方法および作用・効果を説明する。先ず、このダイエット器具100を耳介Eに取り付けるためには、ツボ刺激部10の電極保持部12を構成する保持片12b、12cを開き、図1に示すように耳穴上部の経穴(飢点)位置の軟骨の内側と外側の皮膚にそれぞれ小電極11a,11bが接する状態になるように保持片12b、12cを閉じてその部分を小電極11a,11bで挟む。この際、小電極11a,11bは軟骨の内側と外側のいずれであっても良い。
【0038】
この状態で手を離しても保持片12b、12cおよびコイルバネ12dによるクランプ作用により、小電極11a,11bがその位置に保持され、経穴(飢点)を圧迫する状態となる。次いで、取付部20の押さえ部22とネジ23との間に耳朶E1を入れ、ネジ23を締め付けて挟み込み、その耳朶E1に取付部20を固定する。これによって、耳介Eの経穴(飢点)を小電極11a,11bで圧迫した状態で本発明に係るダイエット器具100全体を耳介Eに装着することができる。
【0039】
そして、こうした方法によって本発明のダイエット器具100を耳介Eに取り付けると、小電極11a,11bによって経穴(飢点)を適度に圧迫刺激するだけでなく、数μA程度の直流の微弱電流が一方の小電極11aからその経穴(飢点)を介して他方の小電極に11bに流れ、これが導電性材料からなる電極保持部12を通って一方の小電極11aに戻るという導電性閉回路が形成されるため、この導電性閉回路を流れる微弱電流によって経穴(飢点)を持続的かつ効果的に刺激することができる。
【0040】
すなわち、一方の小電極11aを金(Au)で形成すると共に、他方の小電極11bをn型半導体として働く酸化亜鉛(一対の小電極のうち標準単極電位の低い導電性鉱物)などで形成することにより、小電極11a−経穴(飢点)−小電極11b−保持片12c−ベース部12a−保持片12b−小電極11aという導電性閉回路が得られる。このとき、小電極11a(金)と小電極11b(酸化亜鉛)との化学ポテンシャル差に基づいて小電極11b→保持片12c→ベース部12a→保持片12b→小電極11aのように小電極11bの自由電子が保持片12c、ベース部12a、保持片12bを通過して小電極11aに移動し、過剰となった電子が小電極11aから経穴(飢点)の皮膚内に、また、過剰となった小電極11b内の自由正孔が小電極11bと皮膚の界面に形成される作り付け電界(Build−in potential)によって経穴(飢点)皮膚内に注入される。
【0041】
そして、経穴(飢点)皮膚内では注入された電子による皮膚内イオン還元作用が、注入された正孔による酸化作用が同時に生じることによって安定した起電力が維持されて、その導電性閉回路に微弱直流電流が流れる。つまり、これら一対の小電極11a,11bが経穴(飢点)表面に接触する電極としてだけでなく、直流電流を供給する電源として機能することになる。このような皮膚起電方式の電源は一般にμAオーダーと低く、また、発汗などで経穴(飢点)皮膚が濡れると自動的に発電を停止する(通電停止)ので極めて安全性が高い。本発明のダイエット器具100の場合、上記の導電性閉回路に計測器を導入して測定すると、電圧が0.6〜0.8V、電流が0.5〜3μAであった。
【0042】
このような作用によって、耳ツボダイエットを効果的に行うことができると共に、金色の本体に真珠の飾り玉や貴金属などの装飾部材30を備えることによって、耳介E部分を装飾するイヤリングとしても機能させることができるため、違和感がなくなり、見た目も向上する。そして、本発明のダイエット器具100を5人の被験者の両側の耳介Eに1日10時間1ヶ月間装着してその効果を調べたところ、5人の被験者の平均で4.2kg/月(6.8%)の体重減少が認められた。なお、本発明のダイエット器具100はいずれか一方の耳介Eのみに装着しても良く、両方の耳介Eに装着しても良いが、両方の耳介Eに装着する場合は、本発明のダイエット器具100を一組(2つ)用いることはいうまでもない。
【0043】
(第2の実施の形態)
図3は本発明に係るダイエット器具100の第2の実施の形態を示したものである。図示するようにこのダイエット器具100は、前記第1の実施の形態と同様に、耳介Eに存在する経穴(ツボ)を刺激するツボ刺激部10と、このツボ刺激部10を耳朶E1に取り付ける取付部20と、この取付部20に取り付けられる装飾部材30とから構成されている。そして、本実施の形態が前記第1の実施の形態に係るダイエット器具100と大きく異なる点は、ツボ刺激部10が独立した直流電源(電池)13を有していることである。
【0044】
すなわち、本実施の形態に係るツボ刺激部10は、図3に示すようにボタン型電池などからなる直流電源13を設けた平板状のベース部12aに、一対のバネ板12d−1、12d−2を介して保持片12b、12cを設けると共にこれら保持片12b、12cにそれぞれ小電極11a、11bを並行に取り付け、これら一対の小電極11a、11bをリード線13a、13bを介して直流電源13の正極側と負極側にそれぞれ電気的に接続した構造としたものである。なお、一対のバネ板12d−1、12d−2および保持片12b、12cは小電極11a、11bと電気的に絶縁された状態となっており、これらを介して直流電源13から小電極11a、11bに電気が流れることはない。
【0045】
一方、取付部20は、前記第1の実施の形態と同様に、ツボ刺激部10と一体化された上向きコ字形のベース部21と、このベース部21の内側に、互いに対向するように設けられた押さえ部22およびネジ23とから構成されている。そして、この押さえ部22とネジ23との間に耳朶E1を入れ、ネジ23を回してその耳朶E1を締め付けることで取付部20を耳介Eに装着できるようになっている。なお、本実施に形態においては、この取付部20を構成するベース部21と、抑え部22と、ネジ23は、電流の流れを防止すべくプラスチックなどの非導電性の材料で形成することが望ましい。
【0046】
他方、装飾部材30も前記第1の実施の形態と同様に、装飾性を高めるべく例えば真珠の飾り玉や貴金属などから形成されており、取付部20のベース部21に直接、あるいは前記第1の実施の形態と同様にリング状の吊り部材31を介して取り付けられている。
【0047】
次に、本実施の形態に係るダイエット器具100の取り付け方法および作用・効果を説明する。先ず、このダイエット器具100を耳介Eに取り付けるためには、図4に示すように耳穴上部の経穴(飢点)と、耳輪脚の終端部にある経穴(胃)の皮膚にそれぞれ小電極11a,11bの先端が接する状態になるように、取付部20を耳朶E1に取り付ける。つまり、本実施の形態では、2つの経穴(飢点、胃)に対してそれぞれ小電極11a,11bの先端が常時接する状態になるように取り付ける。なお、この小電極11a,11bは導電性の金属であれば良く、また、その組み合わせも問わないが、皮膚への長時間接触を考慮すれば、汗や脂などに触れても腐食されにくい(化学反応しにくい)金や白金などで形成することが望ましい。
【0048】
そして、これら一対の小電極11a,11bが2つの経穴(飢点、胃)のそれぞれに圧着するように本実施の形態に係るダイエット器具100を耳介Eに取り付けると、これら一対の小電極11a,11bによって2つの経穴(飢点、胃)を同時に圧迫刺激できるだけでなく、直流電源(ボタン電池)13からリード線13aを介して数μA程度の直流の微弱電流が一方の小電極11aから皮膚表面を介して他方の小電極に11bに流れ、これが他方のリード線13bを介して直流電源(ボタン電池)13に戻るという導電性閉回路が形成されるため、この導電性閉回路を流れる微弱電流によって2つの経穴(飢点、胃)を同時に持続的かつ効果的に刺激することができる。
【0049】
このとき、直流電流は小電極11a,11b間の耳介皮膚表面に広く分布するが、小電極11a,11bとの接触面積が小さいので、2つの経穴(飢点、胃)位置で電流密度が高い、すなわち効果的なツボ刺激が行われることになる。なお、本実施の形態ではボタン電池のような独立した直流電源13を有しているため、必要以上の比較的大きな直流電流が通電される場合がある。そのため、図3では図示していないが、通電電流値を制限するためにリード線13a、13bに限流抵抗を挿入して、回路電流を数μAに抑制することが望ましい。
【0050】
また、前記各実施の形態では、取付部20によって耳朶E1に固定するように構成したが、例えばヘッドホン方式のようにオーバーヘッド型のホルダーを用いてツボ刺激部10を固定するようにしても良い。
【0051】
(第3の実施の形態)
図5は本発明に係るダイエット器具100の第3の実施の形態を示したものである。このダイエット器具100も前記各実施の形態と同様に、耳介Eに存在する経穴(ツボ)を刺激するツボ刺激部10と、このツボ刺激部10を耳介Eに取り付ける取付部20と、この取付部20に取り付けられる装飾部材30とから構成されている。そして、本実施の形態が前記各実施の形態と大きく異なる点は、取付部20が絆創膏などのような皮膚に直接粘着する粘着シート24からなると共に、ツボ刺激部10がこの粘着シート24内に隠れるような短冊状(チップ状)に形成したことである。
【0052】
すなわち、この取付部20は、図5に示すようにその中央がドーム状に膨らんだ円形の可撓性の粘着シート(ゴム、プラスチックなど)24から構成されており、少なくともこの粘着シート24の下面の周縁部(好ましくは下面全体)には皮膚粘着用の粘着剤や粘着テープが貼り付けられた構造となっている。そして、この粘着シート24の内側に次述するような短冊状のツボ刺激部10全体を包み込むように収容する構造となっている。
【0053】
一方、ツボ刺激部10は、図5および図6に示すように短冊状の絶縁基板14の下面にそれぞれチップ状をした一対の小電極11a,11bを備えると共に、絶縁基板14の上面に直流電源13となるボタン型電池を配置し、その正極側と負極側とをそれぞれテープ状をした一対のリード線13a、13bを介して小電極11a,11bに接続した構造となっている。
【0054】
装飾部材30も前記各実施の形態と同様に、装飾性を高めるべく例えば真珠の飾り玉や貴金属あるいは図示するように宝石などから形成されており、取付部20の粘着シート24の頂部に粘着剤などによって取り付けられている。
【0055】
そして、本実施の形態に係るダイエット器具100にあっては、図4で示したように耳穴上部の経穴(飢点)と、耳輪脚の終端部にある経穴(胃)の皮膚にそれぞれ小電極11a,11bが接する状態になるように、取付部20の粘着シート24を耳介E上に貼り付ける。これによって、前記第2の実施の形態と同様に、2つの経穴(飢点、胃)に対してそれぞれ小電極11a,11bの先端が常時接する状態になるため、直流電源(ボタン電池)13からリード線13aを介して数μA程度の直流の微弱電流が一方の小電極11aから皮膚表面を介して他方の小電極に11bに流れ、これが他方のリード線13bを介して直流電源(ボタン型電池)13に戻るという導電性閉回路が形成され、この回路を流れる微弱電流によって2つの経穴(飢点、胃)を同時に持続的かつ効果的に刺激することができる。
【0056】
なお、本実施の形態の場合も前記第2の実施の形態と同様に、通電電流値を制限するために、リード線13a、13bに限流抵抗15,15を挿入し、回路電流を数μAに抑制するようにしても良い。また、この前記第1の実施の形態と同様に小電極11a,11bの一方を金(Au)で形成し、他方をn型半導体として働く酸化亜鉛(一対の小電極のうち標準単極電位の低い導電性鉱物)で形成すれば、ボタン型電池のような独立した直流電源13を用いることなく微弱な直流電流を持続的に通電することが可能となる。
【0057】
このように本発明に係るダイエット器具100は女性が装身具として日常的に携行している時間中は耳ツボに効果的な物理刺激を与えることができる。また、鍼のような異物を身体に刺蔵しておくという専門的手法に頼ることなく、直流通電電流値を数μAに調節することによって誰でも安全に鍼同様の効果(皮膚表面だけでなく、内奥部まで届く効果)を長時間続けることが可能であり、ツボの神経を有効に刺激してダイエットを無理なく行うことができる。
【0058】
なお、本器具は装身具的用途を考慮すれば主に女性用であるが、保持具の形状を考慮すれば男性にも適用可能であることはいうまでもない。また、上記各実施の形態では、一対の小電極11a、11bを用いた例で説明したが、この小電極11a、11bは2対以上設けても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
100 ダイエット器具
10 ツボ刺激部(ツボ刺激手段)
11a、11b 小電極
12 電極保持部
12a ベース部
12b、12c 保持片
12d コイルスプリング
12d−1、12d−2 バネ板
13 直流電源
13a、13b リード線
14 絶縁基板
15 限流抵抗
20 取付部(取付手段)
21 ベース部
22 押さえ部
23 ネジ
24 粘着シート
30 装飾部材
31 吊り部材
E 耳介
E1 耳朶(みみたぶ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳介に存在する経穴を刺激するツボ刺激手段と、当該ツボ刺激手段を耳介に取り付ける取付手段と、当該取付手段に取り付けられる装飾部材とを備えたことを特徴とするダイエット用器具。
【請求項2】
請求項1に記載のダイエット用器具において、
前記ツボ刺激手段は、少なくとも一対の小電極と、当該一対の小電極のうちの一方の小電極を経穴の皮膚に密着配置すると共に他方の小電極を当該経穴を挟むようにその裏側の皮膚に密着配置して前記小電極間に直流電流を通電する電極保持部とを備えたことを特徴とするダイエット用器具。
【請求項3】
請求項2に記載のダイエット用器具において、
前記一対の小電極のうちの一方の小電極を金属から構成すると共に、他方の小電極を前記金属よりも標準単極電位の低い導電性鉱物から構成し、当該一対の小電極を保持する前記電極保持部を導電性材料で形成したことを特徴とするダイエット用器具。
【請求項4】
請求項3に記載のダイエット用器具において、
前記一方の小電極を金(Au)を主体とする材料で形成すると共に前記他方の小電極を酸化亜鉛を主体とする材料で形成したことを特徴とするダイエット用器具。
【請求項5】
請求項1に記載のダイエット用器具において、
前記ツボ刺激手段は、少なくとも一対の小電極と、当該一対の小電極のうちの一方の小電極を1つの経穴の皮膚に密着配置すると共に他方の小電極を他の経穴の皮膚に密着配置して前記小電極間に直流電流を通電する電極保持部とを備えたことを特徴とするダイエット用器具。
【請求項6】
請求項2または5に記載のダイエット用器具において、
前記電極保持部は、前記一対の小電極間に直流電流を通電する直流電源を独立して備えたことを特徴とするダイエット用器具。
【請求項7】
請求項6に記載のダイエット用器具において、
前記一対の小電極間に流す直流電流は、0.1〜50μAであることを特徴とするダイエット用器具。
【請求項8】
請求項6または7に記載のダイエット用器具において、
前記ツボ刺激手段は、直流電源の電流値を調整すべく限流抵抗を備えたことを特徴とするダイエット用器具。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載のダイエット用器具において、
前記取付手段は、前記耳介の耳朶を用いて前記ツボ刺激手段を前記耳介に取り付けることを特徴とするダイエット用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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