説明

ダイス分解掃除用装置

【課題】ダイスの分解掃除を安全に且つ短時間で行うことが可能であり、作業効率を格段にアップすることが可能なダイス分解掃除用装置を提供する。
【解決手段】ダイスDの両端部が一方の昇降テーブル13の支持部材23と他方の昇降テーブル13の支持部材19との間でシャフト43、44等を介して把持された状態で、ダイスDはダイス反転用ハンドル34の回転操作により上下反転とるとともに、その反転されたダイスDを各昇降テーブル13を介して下降してテーブル24に載置固定し、また、この状態で分割ダイBをテーブル24のメイン部24Aに固定し、ハンドル36、35の回転操作を行うことにより分割ダイC及び分割ダイAを、サイド部24B、24Cと共に分割ダイBの両側で傾倒された状態で保持する。この状態で、ダイスDを構成する分割ダイA、分割ダイB及び分割ダイCの掃除を行う。
が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイスの分解掃除を安全に且つ短時間で行うことが可能であり、作業効率を格段にアップすることが可能なダイス分解掃除用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、フィルム等の押出成形ラインで使用されるダイスには、長期使用するに伴って、ダイスの内部に滞留物等が残留し、これが原因となって成型されるフィルムの厚さ精度が悪化する。かかる場合には、ダイスを分解して掃除するしかなく、ダイス内部の壁面に付着した滞留物を除去すべく掃除する必要がある。
【0003】
例えば、特開平6−155562号公報に記載されたブロー成形用ダイスの掃除方法では、樹脂の交換時にダイスを複雑な分解工程を経てダイスの分解作業を行い、ダイス構成部品に付着残留した樹脂を強制的に除去して掃除を行った後に再度ダイスの組み立てが行われる。
【0004】
また、ダイスの分解及び掃除は、ダイスを昇温して樹脂が溶融している状態で行なうのが良く、従って、迅速かつ安全に作業を行う必要がする。また、ダイス自体が大型である場合には、高温で且つ重量(約3トン)があることから、作業の安全性を確保することは勿論、作業手順を十分考慮して行う必要がある。
【0005】
例えば、特開2002−136910号公報に記載された大型のダイスを分解して掃除を行う場合には、ダイスが大重量であることを勘案して、専用装置を使用してダイスの分解、掃除、組立てが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−155562号公報
【特許文献2】特開2002−136910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたダイスの掃除方法では、ダイスの分解、掃除、組立てに煩雑な作業を必要とすることから長時間を要する。
また、特許文献2に記載された大型のダイスの分解、掃除、組立てを行うには一般に長時間を必要とし、また、ダイスが大型で重量が大きいことに起因して、分解掃除用の専用装置を使用したとしても非常に手間がかかり煩雑なものであり、また、安全上問題が残る。
【0008】
本発明は前記従来の問題点を解消するためになされたものであり、ダイスの分解掃除を安全に且つ短時間で行うことが可能であり、作業効率を格段にアップすることが可能なダイス分解掃除用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため請求項1に係るダイス分解掃除用装置は、複数の分割片に分割可能な成型用ダイスを分解掃除するダイス分解掃除用装置であって、基台と、前記基台上に配設され、前記ダイスの両端を把持する把持機構と、前記把持機構により把持した状態でダイスを昇降させる昇降機構と、前記把持機構により把持した状態でダイスを上下反転させる反転機構と、前記基台に設けられ、前記反転機構により反転したダイスが前記昇降機構により下降されて載置固定される載置固定機構と、前記ダイスを各分割片に分割する分割機構と、前記分割機構により分割された分割片を傾倒させる傾倒機構とを備え、前記ダイスの各分割片は、前記傾倒機構を介して傾倒された状態で掃除されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前記請求項1に係るダイス分解掃除用装置では、ダイスが把持機構により把持された状態で反転機構を介して上下反転されるとともに、その反転されたダイスが昇降機構を介して下降されて載置固定機構に載置固定され、また、この状態で分割機構を介してダイスが複数の分割片に分割されるとともに、傾倒機構を介して各分割片が傾倒され、ダイスの各分割片は、傾倒機構を介して傾倒された状態で掃除されるので、ダイスの各分割片の掃除を極めて安全に且つ短時間で行うことが可能となる。これにより、ダイスの分解掃除の作業効率を格段にアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ダイス分解掃除装置の正面図である。
【図2】ダイス分解掃除装置の平面図である。
【図3】ダイス分解掃除装置の左側面図である。
【図4】ダイス分解掃除装置の右側面図である。
【図5】ダイスの取外しを行う際の前工程を示す説明図である。
【図6】ダイスの取外し工程を示す説明図である。
【図7】ダイスを取外した後ダイスをブラケット近傍まで下降させる工程を示す説明図である。
【図8】ダイスの上下反転を行う工程を示す説明図である。
【図9】反転されたダイスをテーブルに固定する工程を示す説明図である。
【図10】ダイスを構成する分割ダイBをテーブルに固定するとともにダイスを分解可能な状態にする工程を示す説明図である。
【図11】ダイスを構成する分割ダイCを開く工程を示す説明図である。
【図12】分割ダイCをブラケットに固定する工程を示す説明図である。
【図13】分割ダイCを傾倒する工程を示す説明図である。
【図14】ダイスを構成する分割ダイAと分割ダイBとの連結を解除し、分割ダイAを分割ダイBから開く工程を示す説明図である。
【図15】分割ダイAをテーブルに固定する工程を示す説明図である。
【図16】分割ダイAを傾倒する工程を示す説明図である。
【図17】分割ダイAの傾倒を解除し、分割ダイAを分割ダイBに対して閉じる工程を示す説明図である。
【図18】分割ダイAと分割ダイBとを連結する工程を示す説明図である。
【図19】分割ダイCの傾倒を解除し、分割ダイCを分割ダイBに対して閉じる工程を示す説明図である。
【図20】テーブルに対する分割ダイBの固定を解除する工程を示す説明図である。
【図21】ダイスの取付を行う際の前工程を示す説明図である。
【図22】ダイスの上下反転を行う工程を示す説明図である。
【図23】ダイスの取付工程を示す説明図である。
【図24】ダイスの取付工程が終了した後における後工程を示す説明図である。
【図25】ダイスの取付工程が終了した後における後工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るダイス分解掃除用装置について、本発明を具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。先ず、本実形態に係るダイス分解掃除用装置の概略構成について図1乃至図4に基づき説明する。
【0013】
図1乃至図4において、ダイス分解掃除用装置1は、平面視で長方形状の基台2を備えており、かかる基台2における四隅の下部にはキャスターカバー3が固定されている。各キャスターカバー3の内部には、ダイス分解掃除用装置1を床面4上を自在に移動可能とすべくキャスター5が回転可能に取り付けられている。また、基台2における外側の四隅には、ダイス分解掃除用装置1を床面4上で移動しないように位置固定する固定部材6が設けられている。
【0014】
ここに、ダイス分解掃除用装置1は、後述するダイスDの配置位置との関係から床面4上で通常定められた配置位置に固定され、その配置位置には、レール7が敷設されている。
各固定部材6は支持カバー8を有しており、その支持カバー8内には、レール7上を移動可能な車輪9が回転可能に取り付けられている。また、支持カバー8には、図3、図4に示すように、ピン支持部材10が回動可能に支持されており、かかるピン支持部材10の下端部にはピン11が固定されている。ピン11は、床面4に形成されたピン孔12に嵌入される。
【0015】
これより、ダイス分解掃除用装置1は、各キャスター5との協働により、車輪9がレール7上を移動することにより、床面4における所定の設置位置まで移動され、また、その設置位置にてピン支持部材10のピン11がピン孔12に嵌入されて、床面4の設置位置に固定される。
【0016】
また、基台2の上部にて、図1、図2おける右側端部及び左側端部には、昇降テーブル13、13が配設されている。ここに、右側端部の昇降テーブル13は、基台2の右側に配設されたギアモータ14、モータ軸15、ギアボックス16及び駆動軸17からなるテーブル駆動機構18に駆動連結されており、これより右側端部の昇降テーブル13は、テーブル駆動機構18を介して昇降するように駆動される。この昇降テーブル13の上端部には支持部材19が固設されている。
また、左側端部の昇降テーブル13は、テーブル駆動機構18に連結された右側端部の昇降テーブル13の駆動ギアボックス20、駆動シャフト21及び駆動ギアボックス22を介して駆動連結されており、これに基づき左側端部の昇降テーブル13は、右側端部の昇降テーブル13の昇降動作に同期して昇降動作を行う。この昇降テーブル13の上端部には支持部材23が固設されている。
【0017】
前記各昇降テーブル13、13の間で、基台2の上部には、テーブル24が配設されている。テーブル24は、図2に示すように、長四角形状のメイン部24A、メイン部24Aの右側で両側に配置されるとともにメイン部24Aから分割可能に構成された一対の右サイド部24B、24B及びメイン部24Aの左側で両側に配置されるとともにメイン部24Aから分割可能に構成された一対の左サイド部24Cから構成されている。
【0018】
メイン部24Aの中央部には、4個のダイ固定用ボルト孔25が形成されている。また、右サイド部24Bの片側(図2中下側)にはダイ固定用ボルト孔26、右サイド部24Bの反対側(図2中上側)にダイ固定用ボルト孔27が形成されている。同様に、左サイド部24Cの片側(図2中下側)にはダイ固定用ボルト孔26、左サイド部24Cの反対側(図2知友上側)にはダイ固定用ボルト孔27が形成されている。
ここに、後述するように、ダイDは3つの分割ダイA、B、Cに分割可能に構成されており、前記メイン部24Aのダイ固定用ボルト孔25は、ボルトを介して分割ダイBをテーブル24に固定するためのものであり、右サイド部24Bのダイ固定用ボルト孔26及び左サイド部24Cのダイ固定用ボルト孔26はそれぞれ分割ダイCを固定するためのものであり、また、右サイド部24Bのダイ固定用ボルト孔27及び左サイド部24Cのダイ固定用ボルト孔27はそれぞれ分割ダイAをテーブル24に固定するためのものである。
尚、その詳細については後述する。
【0019】
一対の右サイド部24Bのそれぞれの外側には、ブラケット28A(図2中下側)、ブラケット28B(図2中上側)が3本のネジ29を介して固定されている。また、一対の左サイド部24Cのそれぞれの外側には、ブラケット30A(図2中下側)、ブラケット30B(図2中上側)が3本のネジ31を介して固定されている。
ブラケット28Aには、図1に示すように、ダイスDを開放する際に開放用ネジが取り付けられるとともに分割ダイCを固定するボルトが取り付けられる取付孔32、及び、ダイスDを閉じる際に閉塞用ネジが取り付けられる取付孔33が形成されている。同様に、ブラケット30Aには、ダイスDを開放する際に開放用ネジが取り付けられるとともに分割ダイCを固定するボルトが取り付けられる取付孔32、及び、ダイスDを閉じる際に閉塞用ネジが取り付けられる取付孔33が形成されている。
また同様に、ブラケット28Bには、図1に示すように、ダイスDを開放する際に開放用ネジが取り付けられるとともに分割ダイAを固定するボルトが取り付けられる取付孔32、及び、ダイスDを閉じる際に閉塞用ネジが取り付けられる取付孔33が形成されている。同様に、ブラケット30Bには、ダイスDを開放する際に開放用ネジが取り付けられるとともに分割ダイAを固定するボルトが取り付けられる取付孔32、及び、ダイスDを閉じる際に閉塞用ネジが取り付けられる取付孔33が形成されている。
【0020】
また、基台2の左側端部に設けられた昇降テーブル13に隣接して、ダイス反転用ハンドル34が配設されており、かかるハンドル34は、右側昇降テーブル13のシャフト押え部材19と左側昇降テーブル13のシャフト押え部材23との間にダイスDを把持した状態でダイスDを180度回転して上下反転させるものである。その詳細については後述する。尚、ダイス反転用ハンドル34には、図示しないロック機構が付設されている。
【0021】
基台2の右側で昇降テーブル13の近傍には、2つのハンドル35、36が設けられている。ハンドル35は、ギアボックス37、38を介して、テーブル24の右サイド部24B及び左サイド部24C(図2中上側に存在)に固定された軸支持部材39、39に固着された駆動軸40に駆動連結されている。これにより、ハンドル35の回転操作を行うと、ハンドル35の回転はギアボックス37、38から駆動軸40に伝達され、後述するように、軸支持部材39、39及びテーブル24の右サイド部24B、左サイド部24C共に、上下反転されたダイスDの分割ダイAを45度傾倒させる。
【0022】
また同様に、ハンドル36は、ギアボックス37、38を介して、テーブル24の右サイド部24B及び左サイド部24C(図2中下側に存在)に固定された軸支持部材39、39に固着された駆動軸40に駆動連結されている。これにより、ハンドル36の回転操作を行うと、ハンドル36の回転はギアボックス37、38から駆動軸40に伝達され、後述するように、軸支持部材39、39及びテーブル24の右サイド部24B、左サイド部24C共に、上下反転されたダイスDの分割ダイCを45度傾倒させる。
【0023】
前記のように構成されたダイス分解掃除用装置1の上方には、ダイスDがネック41を介して吊り下げられている。ここに、ダイスDは樹脂フィルム等の押出成形に使用され、図3、図4に示すように、3つの分割ダイA、B、Cに分割可能に構成されている。
尚、ダイスDには、各分割ダイA、B、Cを相互に組み立てる際に使用する組立ボルト(図示せず)を締結するためのボルト孔42が複数形成されている。
また、ネック41は、ダイスDに樹脂材料を供給する樹脂供給用配管に接続されるものであり、ネック41と樹脂供給用配管とはボルトを介して相互に連結されている。
【0024】
続いて、ダイス分解掃除用装置1を使用して、ダイスDの分解掃除を行う方法について図5乃至図16に基づいて説明する。
先ず、図5に示すように、ダイスDの両端部に取り付けられているサイドプレート(図示せず)が取り外される。この後、ダイスDの組立に使用されている組立ボルトが、分割ダイA、分割ダイB、分割ダイCのそれぞれに一本残されるとともに、その他の組立ボルトが取り外される。
【0025】
更に、ネック41を介して吊り下げられているダイスDの一端部(図5中左端部)に取付部材43Aを介してウォームホイール付シャフト43が取り付けられ、また、ダイスDの他端部(図5中右端部)に取り付け部材44Aを介してシャフト44が取り付けられる。
【0026】
次に、図6に示すように、ギアモータ14等を駆動することにより、昇降テーブル13、13が上昇され、シャフト43の取り付けられているウォームホイール43Bと左側の昇降テーブル13に付設されているウォーム(図示せず)とが噛み合わされる。また、左側の昇降テーブル13に設けられた支持部材23に対してシャフト押え部材45が取り付けられ、シャフト43はシャフト押え部材45により支持部材23に支持される。右側の昇降テーブル13に設けられた支持部材19に対してシャフト押え部材46が取り付けられ、シャフト44はシャフト押え部材46により支持部材19に支持される。これにより、ネック41を介して吊り下げられているダイスDは、各昇降テーブル13、13に受け取られる。この後、ダイスDはネック41から切り離される。
【0027】
前記のようにダイスDが昇降テーブル13、13で支持された後、図7に示すように、ダイスDの先端リップ47が各ブラケット28、30の上端近傍に至るまで各昇降テーブル13、13が下降される。
【0028】
前記のようにダイスDが図7示す状態まで下降された後、ダイス反転用ハンドル34のロック機構が解除され、ダイス反転用ハンドル34が回転操作される。ダイス反転用ハンドル34の回転操作が行われると、左側の昇降テーブル13に付設されているウォームが回転され、かかるウォームの回転に基づきシャフト43のウォームホイール43Bが回転される。これにより、シャフト43は回転されることとになり、この結果、ダイスDはシャフト43、44の回りに180度回転され、上下反転される。この状態が図8に示されており、ダイスDは上下反転されているのが分かる。
尚、前記のようにダイスDを比較的低い位置まで下降させて上下反転を行うのは、ダイスDを低い位置で安定させて安全に上下反転を行うためである。
【0029】
前記のようにダイスDの上下反転が行われた後各昇降テーブル13が下降され、ダイスDは、図9に示すように、テーブル24上に載置される。
この後、シャフト押え部材45、46が取り外され、昇降テーブル13、13が20mm程度降下される。これにより、左側の昇降テーブル13に付設されたウォームとシャフト43のウォームホイール43Bとの噛合が解除される。また、シャフト43、44がダイスDから取り外される。更に、テーブル24のメイン部24Aに形成された4個の固定用ボルト孔25に固定用ボルト48を嵌入締結して、ダイスDの分割ダイBをメイン部24Aに固定する。この状態で、前記したように、分割ダイA、分割ダイB、分割ダイCのそれぞれに一本残されていた組立ボルトが全て取外される。この状態が図10に示されている。
【0030】
次に、図11に示すように、ダイ開放用ネジ49が各ブラケット28、30(図2中下側のブラケット28、30)の取付孔32から分割ダイCに取り付けられる。そして、ダイ開放用ネジ49に設けられたナット50が回転される。これにより、分割ダイCは、各ブラケット28、30に固定された状態で、分割ダイA、Bから図11中右方向に開放される。
【0031】
ダイ開放用ネジ49が各ブラケット28、30の取付孔32から取り外された後、取付孔32にはダイ固定用ボルト51が嵌入締結される。また同様に、ダイ固定用ボルト52が、図2における右サイド部24B及び左サイド部24Cにおけるダイ固定用ボルト孔26に嵌入締結される。これにより、分割ダイCは、テーブル24の各サイド部24C、24Bに固定される。
【0032】
前記のように分割ダイCを各サイド部24C、24Bに固定した後、ハンドル36の回転操作が行われる。これにより、ハンドル36の回転がギアボックス37、38から駆動軸40に伝達され、分割ダイCは、軸支持部材39、39及びテーブル24の右サイド部24B、左サイド部24C共に、駆動軸40の回りに45度傾倒される。この状態が図13に示されている。
【0033】
この後、分割ダイBと分割ダイAとを連結固定している連結ボルト53(図13参照)が取り外される。
続いて、前記分割ダイCの場合と同様に、ダイ開放用ネジ54が各ブラケット28、30(図2中上側のブラケット28、30)の取付孔32から分割ダイAに取り付けられる。そして、ダイ開放用ネジ54に設けられたナット55が回転される。これにより、分割ダイAは、各ブラケット28、30に固定された状態で、分割ダイBから図14中左方向に開放される。
【0034】
ダイ開放用ネジ54が各ブラケット28、30の取付孔32から取り外された後、取付孔32にはダイ固定用ボルト56が嵌入締結される。また同様に、ダイ固定用ボルト57が、図2における右サイド部24B及び左サイド部24Cにおけるダイ固定用ボルト孔27に嵌入締結される。これにより、分割ダイAは、テーブル24の各サイド部24C、24Bに固定される。
【0035】
前記のように分割ダイAを各サイド部24C、24Bに固定した後、ハンドル35の回転操作が行われる。これにより、ハンドル35の回転がギアボックス37、38から駆動軸40に伝達され、分割ダイAは、軸支持部材39、39及びテーブル24の右サイド部24B、左サイド部24C共に、駆動軸40の回りに45度傾倒される。この状態が図16に示されている。
【0036】
図16に示すように、テーブル24のメイン部24Aに対して固定用ボルト48を介して固定された分割ダイBに対して、分割ダイCが右方向に45度傾倒されるとともに、分割ダイAが左方向に45度傾倒された状態で、各分割ダイA、B、Cにおける樹脂流面の掃除が行われる。
【0037】
前記のように各分割ダイA、B、Cの掃除が終了した後、前記した作業手順とは逆の作業手順を経てダイスDの組立が行われる。
即ち、ダイスDを組み立てるには、先ず、ハンドル35が前記の場合とは逆方向に回転操作され、これにより分割ダイAは分割ダイBに向かって閉じられて図15の状態に戻される。
【0038】
この後、ダイ固定用ボルト56、57が取付孔32、固定用ボルト孔27からそれぞれ取り外されるとともに、ダイ閉塞用ボルト58が取付孔33に嵌入される。そして、ダイ閉塞用ボルト58を回転することにより、ダイ閉塞用ボルト58の先端部で分割ダイAを押圧する。これにより、分割ダイAは、分割ダイBに向かって閉じられる。この状態が図17に示されている。
【0039】
続いて、分割ダイAと分割ダイBとを相互に連結する連結ボルト53が取り付けられ、分割ダイAと分割ダイBとが相互に連結される。そして、ダイ閉塞用ボルト58が取り外される。この状態が図18に示されている。
【0040】
この後、ハンドル36が前記の場合とは逆方向に回転操作され、これにより分割ダイCは分割ダイBに向かって閉じられる。また、ダイ固定用ボルト51が取付孔32から取り外されるとともに、ダイ固定用ボルト52がダイ固定用ボルト孔26から取り外される。更に、ダイ閉塞用ボルト59が取付孔33に嵌入される。そして、ダイ閉塞用ボルト59を回転することにより、ダイ閉塞用ボルト59の先端部で分割ダイCを押圧する。これにより、分割ダイCは、分割ダイBに向かって閉じられる。この状態が図19に示されている。そして、ダイ閉塞用ボルト59が取り外される。
【0041】
この後、ダイスDを組み立てるための組立ボルトが全てのボルト孔42に締結される。また、分割ダイBをテーブル24のメイン部24Aに固定している固定用ボルト48が固定用ボルト孔25から取り外される。この状態が図20に示されている。
【0042】
更に、ダイスDの一端部(図21中左端部)に取付部材43Aを介してウォームホイール付シャフト43が取り付けられ、また、ダイスDの他端部(図21中右端部)に取り付け部材44Aを介してシャフト44が取り付けられる。
【0043】
次に、図22に示すように、ギアモータ14等を駆動することにより、昇降テーブル13、13が上昇され、シャフト43の取り付けられているウォームホイール43Bと左側の昇降テーブル13に付設されているウォーム(図示せず)とが噛み合わされる。また、左側の昇降テーブル13に設けられた支持部材23に対してシャフト押え部材45が取り付けられ、シャフト43はシャフト押え部材45により支持部材23に支持される。右側の昇降テーブル13に設けられた支持部材19に対してシャフト押え部材46が取り付けられ、シャフト44はシャフト押え部材46により支持部材19に支持される。これにより、ダイスDは、各昇降テーブル13、13に受け取られる。
【0044】
前記のようにダイスDが昇降テーブル13、13で支持された後、各昇降テーブル13、13を上昇させる。この後、ダイス反転用ハンドル34のロック機構が解除され、ダイス反転用ハンドル34が回転操作される。ダイス反転用ハンドル34の回転操作が行われると、左側の昇降テーブル13に付設されているウォームが回転され、かかるウォームの回転に基づきシャフト43のウォームホイール43Bが回転される。このように、シャフト43が回転され、この結果、ダイスDはシャフト43、44の回りに180度回転され、上下反転される。この状態が図22に示されており、ダイスDは上下反転されているのが分かる。
【0045】
前記のようにダイスDの上下反転が行われた後、各昇降テーブル13が上昇され、更にダイスDはネック41に連結される。この状態が図23に示されている。
【0046】
次に、左側昇降テーブル13において、支持部材23からシャフト押え部材45が取り外され、また、右側の昇降テーブル13の支持部材19からシャフト押え部材46が取り外される。この後、各昇降テーブル13は下降されてシャフト43に取り付けられているウォームホイール43Bと左側の昇降テーブル13に付設されているウォームとの噛合が解除される。この状態が図24に示されている。
【0047】
更に、ダイスDの一端部(図24中左端部)に取付部材43Aを介して取り付けられているウォームホイール付シャフト43が取り外され、また、ダイスDの他端部(図24中右端部)に取り付け部材44Aを介して取り付けられているシャフト44が取り外される。この状態が図25に示されている。
【0048】
この後、ダイスDの両端部に取付ボルトを介してサイドプレートが取り付けられる。更に、ダイスDを昇温させた後、サイドプレートの取付ボルト及びダイスDの組立ボルトの増締めが行われる。
前記した一連の作業手順を行うことにより、3つの分割ダイA、分割ダイB及び分割ダイCに分割可能なダイスDの分解掃除から組立までを行うことができる。
【0049】
以上説明した通り、本実施形態に係るダイス分解掃除用装置1では、ダイスDの両端部が一方の昇降テーブル13の支持部材23と他方の昇降テーブル13の支持部材19との間でシャフト43、44等を介して把持された状態で、ダイスDはダイス反転用ハンドル34の回転操作により上下反転されるとともに、その反転されたダイスDが各昇降テーブル13を介して下降されてテーブル24に載置固定され、また、この状態で分割ダイBがテーブル24のメイン部24Aに固定され、ハンドル36、35の回転操作を行うことにより分割ダイC及び分割ダイAは、サイド部24B、24Cと共に分割ダイBの両側で傾倒された状態で保持される。この状態で、ダイスDを構成する分割ダイA、分割ダイB及び分割ダイCの掃除が行われる。
従って、ダイスDの各分割ダイA、B及びCの掃除を極めて安全に且つ短時間で行うことが可能となる。これにより、ダイスDの分解掃除の作業効率を格段にアップすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ダイス分解掃除用装置
2 基台
13 昇降テーブル
14 ギアモータ
18 テーブル駆動機構
19 支持部材
23 支持部材
24 テーブル
34 ハンドル(ダイス反転用)
28A、28B ブラケット
30A、30B ブラケット
35、36 ハンドル(分割ダイ傾倒用)
41 ネック
D ダイス
A、B、C 分割ダイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割片に分割可能な成型用ダイスを分解掃除するダイス分解掃除用装置であって、
基台と、
前記基台上に配設され、前記ダイスの両端を把持する把持機構と、
前記把持機構により把持した状態でダイスを昇降させる昇降機構と、
前記把持機構により把持した状態でダイスを上下反転させる反転機構と、前記基台に設けられ、前記反転機構により反転したダイスが前記昇降機構により下降されて載置固定される載置固定機構と、
前記ダイスを各分割片に分割する分割機構と、前記分割機構により分割された分割片を傾倒させる傾倒機構とを備え、
前記ダイスの各分割片は、前記傾倒機構を介して傾倒された状態で掃除されることを特徴とするダイス分解掃除用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−166502(P2012−166502A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30826(P2011−30826)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】