説明

ダイボンディング装置

【課題】ダイボンディング装置において、薄い或いは脆い半導体チップを適切にピックアップしてボンディングする。
【解決手段】半導体チップをピックアップしてボンディングするボンディングツール11が先端に取り付けられるシャフト12と、平板リンク20,30を介してシャフト12が取り付けられ、シャフト12の延びる方向に沿って直線移動するボンディングヘッド50と、を備えるダイボンディング装置100であって、平板リンク20,30は、シャフト12の延びる方向と交差する面に沿って延び、ボンディングヘッド50に取り付けられる環状板21,31と、環状板21,31と同一面に配置され、環状板21,31の内側にある中空部分24,34を渡る渡り板22,32と、を含み、渡り板22,32にシャフト12が取り付けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイボンディング装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップをリードフレーム等の基板に接合し、半導体チップの各電極と基板の電極或いはリードフレームのリードとを接続する半導体装置の製造の後工程においては、半導体チップを基板等に接合するためのダイボンディング装置や、基板等に接合した半導体チップの電極とリードフレームのリードとをワイヤで接続するワイヤボンディング装置等のボンディング装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。また、μGBA・ICの製造においては、TABテープのインナーリードを半導体の電極に圧着するシングルポイントボンディング装置等が用いられる(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
このようなワイヤボンディング装置、或いはシングルポイントボンディング装置では、ボンディングツールであるキャピラリやシングルポイントボンディングツール等を半導体チップの電極に対して接離する方向に移動させて、ワイヤ或いは、インナーリードを半導体チップの電極に圧接させるとともに超音波加振によってワイヤ或いは、インナーリードを半導体チップの電極に接合する。このため、各ボンディング装置には、それぞれボンディングツールを半導体チップの面に対して垂直方向に移動させることが必要となる。このような従来技術のボンディング装置では、例えば、特許文献1の図7に記載されているように、ボンディングツールが取り付けられたアームを回転させて、アーム先端に取り付けられているボンディングツールを半導体チップの電極表面に対して略垂直に接離させる構造が用いられていた。
【0004】
しかし、この構造では、アームの長さを長くしてもボンディングツール先端は円弧状の移動をするため、半導体チップの電極に対して常に垂直方向にボンディングツールを移動させることが困難であった。
【0005】
そこで、特許文献1の図3に示すように、回転するアームの先端にボンディングツールを取り付けることに代えて、ボンディングツールを2枚の平行ばねによって支持し、キャピラリを半導体チップに対して垂直方向に接離させることが提案されている。また、特許文献2の図7に示すように、2枚の板を平行に配置し、その中央部分を挟み板によって挟んで剛性を高くし、2枚の板の各両端にそれぞれ1つずつ、合計4つの回転ヒンジを形成し、この4つの回転ヒンジによってシングルポイントボンディングツールを半導体チップの電極面に対して垂直方向に移動させる平行リンク構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−127097号公報
【特許文献2】特開2000−323522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、半導体チップを基板等に接合するためのダイボンディング装置は、ダイシングされたウェハから半導体チップをピックアップし、ピックした半導体チップを基板またはリードの上にボンディングして接合するものである。このダイボンディング装置は半導体チップを吸着してピックアップするツールであるコレットが取り付けられたボンディングヘッドを半導体チップの表面に対して垂直方向に移動させるため、垂直方向に移動するスライダを用いていることが多い。半導体チップをピックアップする際或いは半導体チップを基板等の上にボンディングする際には、コレットをある程度の押圧荷重で半導体チップに押しつける必要がある。しかし、半導体チップに大きな押圧力が掛ってしまうと半導体チップが破損してしまうことから、コレットとボンディングヘッドとの間にはボンディングヘッドの下降距離によってコレットの半導体チップへの押圧力を調整できるような荷重ばねを取り付け、半導体チップをピックアップ或いは基板等の上にボンディングする際に過剰な押圧力が半導体チップに加わらないように構成しているものが多い。
【0008】
一方、近年、半導体チップの厚さは非常に薄く、その強度が低くなってきている。また、ガリウムヒ素等の脆い素材を用いた半導体チップも多く用いられるようになってきている。このため、従来の様なピックアップ荷重が加わるとこのような薄い或いは脆い半導体チップが破損する場合があるという問題があった。しかし、半導体のピックアップ荷重を低減するために荷重ばねを弱くすると、コレットをボンディングヘッドに対して上下方向にスライドさせるZ方向ガイドの摩擦力のために適切な押圧荷重をかけることができない場合やZ方向ガイドに引っ掛かりなどが発生して一時的に過剰な押圧荷重がかかってしまうという問題があった。また、このZ方向ガイドに代えて、例えば、特許文献1,2に記載されている様な平行ばねや平行リンクを用いた場合、平行ばねや平行リンク自体の曲げ剛性が大きいことから、ボンディングヘッドが下降すると荷重ばねの反力と平行リンク等の変形反力がコレットの半導体チップへの押圧力として掛ってしまう。このため、ボンディングヘッドの下降距離によって半導体チップへの押圧力を適切に調整することができず、薄い或いは脆い半導体チップをピックアップ或いは基板等の上にボンディングする際に必要な小さな押圧荷重をかけられず、薄い或いは脆い半導体チップを適切にピックアップして基板等の上にボンディングすることが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、ダイボンディング装置において、薄い或いは脆い半導体チップを適切にピックアップしてボンディングすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のダイボンディング装置は、半導体チップをピックアップしてボンディングするボンディングツールが先端に取り付けられるシャフトと、少なくとも1つの平板リンクを介してシャフトが取り付けられ、シャフトの延びる方向に沿って直線移動するボンディングヘッドと、を備えるダイボンディング装置であって、平板リンクは、シャフトの延びる方向と交差する面に沿って延び、ボンディングヘッドに取り付けられる環状板と、環状板と同一面に配置され、環状板の内側にある中空部分を渡る渡り板と、を含み、渡り板にシャフトが取り付けられていること、を特徴とする。
【0011】
本発明のダイボンディング装置において、平板リンクの環状板は、外縁の対向する2つ固定点でボンディングヘッドに固定され、渡り板は、環状板の各固定点を結ぶ方向と交差する方向に延び、シャフトの接続される中央から環状板に接続される両端に向かって幅が小さくなること、しても好適であるし、環状板は、各固定点から渡り板に接続される両端に向かって幅が小さくなっていること、としても好適であるし、環状板は、略四角環状で、各固定点が対向する2辺の中央にそれぞれ配置されていること、としても好適である。
【0012】
本発明のダイボンディング装置において、シャフトは、離間して平行に配置された2つの平板リンクによってボンディングヘッドに取り付けられていること、としても好適である。
【0013】
本発明のダイボンディング装置において、回転ガイドによってボンディングヘッドに回転自在に取り付けられ、一端がシャフトに接続され、他端にボンディングツールを半導体チップに押し付ける押圧荷重を付与するスプリングが接続されるレバーを含み、回転ガイドは、2枚の板ばねを十字型に交差させた十字板ばねであること、としても好適であるし、十字板ばねは、4つの端点を有し、そのうちの1つの端点は、レバーに接続され、他の3つの端点は、それぞれボンディングヘッドに取り付けられていること、としても好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ダイボンディング装置において、薄い或いは脆い半導体チップを適切にピックアップしてボンディングすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態におけるダイボンディング装置の構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるダイボンディング装置の平板リンクを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態におけるダイボンディング装置の半導体チップをピックアップする前の状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるダイボンディング装置の半導体チップをピックアップする状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態におけるダイボンディング装置の平板リンクの変形状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態におけるダイボンディング装置の平板リンクの変形状態を示す側面図である。
【図7】本発明の実施形態におけるダイボンディング装置のボンディングヘッドの沈み込み量に対する押圧荷重の変化を示すグラフである。
【図8】本発明の他の実施形態におけるダイボンディング装置の平板リンクを示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態におけるダイボンディング装置の平板リンクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示す様に、本実施形態のダイボンディング装置100は、図示しないXY方向への移動装置に取り付けられたリニアガイド62と、リニアガイド62に沿ってZ方向に移動するスライダ61と、スライダ61に固定され、スライダ61と共にZ方向に移動するボンディングヘッド50とを備えている。ボンディングヘッド50は、スライダ61に固定される本体51と、本体51からY方向に延びる一対の下アーム52と一対の上アーム53と、下アーム52にブッシュ55を介してボルト54によって固定された下平板リンク20と、上アーム53にブッシュ55を介してボルト54によって固定された上平板リンク30と、下平板リンク20と上平板リンク30とにそれぞれ固定されたシャフト12と、シャフト12の下側の先端に取り付けられている半導体チップを吸着するボンディングツール11とを備えている。下平板リンク20と上平板リンク30とは平行に配置されている。シャフト12の上端にはシャフト12よりも外径の大きなエンドブロック13が取り付けられており、エンドブロック13の本体51側の下面は、上アーム53にボルト54で固定された逆U字型のストッパ56の上面に当たるよう構成されている。なお、図1においては、Z方向は垂直方向であり、XY方向は互いに直交する水平面を示す。以下説明する他の図面においても同様である。
【0017】
また、本体51の上部には回転ガイドである十字板ばね45を介してレバー40がボンディングヘッド50に対して回転自在に取り付けられている。レバー40の先端部41(シャフト12側或いはY方向プラス側)とシャフト12のエンドブロック13とは連結板49によって連結されている。また、レバー40の後端部(スライダ61側あるいはY方向マイナス側)にはバランスウェイト48がボルト42によって固定されている。バランスウェイト48の下側の本体51に設けられた穴57にはボンディングツール11を半導体チップに押し付ける押圧荷重を付与するスプリング58が取り付けられている。スプリング58の上端はバランスウェイト48に接触している。
【0018】
十字板ばね45は、水平ばね板46と、垂直ばね板47とを十字に組み合わせたもので、水平ばね板46の後端(スライダ61側あるいはY方向マイナス側)はボンディングヘッド50の本体51にボルト42によって固定され、先端(シャフト12側あるいはY方向プラス側)は、レバー40の中央ブロック44の下面にボルト42によって固定されている。また、垂直ばね板47の下端はボルト42によってボンディングヘッド50の本体51の上部に固定されており、その上端は、レバー40の中央ブロック44の垂直面にボルト42によって固定されている。このように、十字板ばね45は水平ばね板46の先端と後端、垂直ばね板47の上端と下端との4つの端部を有しており、隣接する水平ばね板46の後端と垂直ばね板47の下端とはボンディングヘッド50の本体51に固定され、水平ばね板46の先端と垂直ばね板47の上端とはレバー40の中央ブロック44に固定されている。そして、水平ばね板46と垂直ばね板47との交差するX方向に延びる線が回転軸となり、十字板ばね45はレバー40をX軸周りに回転自在に支持する。
【0019】
図2を参照しながら上平板リンク30の構造の詳細について説明する。図2に示す様に、上平板リンク30は、薄いステンレス鋼やバネ鋼などを加工したもので、シャフト12の延びるZ方向と垂直なXY面内に沿って延びている。上平板リンク30は、環状板31と、環状板31の内側の中空部分34をY方向に渡る渡り板32とを備えている。環状板31と渡り板32とは同一平内に配置されている。環状板31は、略四角環状で各辺は、X方向とY方向とに延びている。そして、Y方向に延びる一対の第1の辺31aの長手方向の中央はブッシュ55を介してボルト54によって上アーム53の上面に固定されている。このボルト54によって上アーム53に固定されている第1の辺31aの部分はそれぞれ上平板リンク30の固定点33である。また、環状板31のX方向に延びる一対の第2の辺31bの各中央は渡り板32によってY方向に接続されている。そして、渡り板32の中央にはシャフト12が固定されている。図2に示す様に、渡り板32の中心線72はシャフト12の中心線71を通る線である。シャフト12が渡り板32に取り付けられる部分はリング14によって補強されている。図2に示す様に、渡り板32はシャフト12の中心線71を通ってY方向に延び、シャフト12が固定されている中央部分は幅が広く、環状板31と接続される端部に向ってその幅が小さくなるテーパー形状となっている。また、Y方向に延びる一対の第1の辺31aはボルト54によって固定される固定点33の部分は幅が広く、第2の辺31bに向うにつれて第1の辺31aの幅が小さくなるように構成されている。そして、2つの固定点33とシャフト12とは、一つの直線73の上に配置され、X方向に一列に並んでいる。以上、上平板リンク30の構造について説明したが、下平板リンク20の構造も上平板リンク30と同様の構造である。
【0020】
以上説明したように構成される本実施形態のダイボンディング装置100によって半導体チップをピックアップする際の動作について説明する。図1,2を参照して説明した部分には同様の符号を付してその説明は省略する。図3に示す様に、ピックアップしようとする半導体チップ90は、裏面にダイシングテープ83が貼り付けられた状態でピックアップステージ81の上に吸着固定されている。ダイシングテープ83は、周囲に向って引っ張られた状態で、各半導体チップ90の間には微小な隙間ができている。ダイボンディング装置100は、図示しないXY移動装置によってボンディングヘッド50を移動させ、シャフト12の下端に取り付けられたボンディングツール11の位置をピックアップしようとする半導体チップ90の真上にもってくる。
【0021】
次に、図4に示す様に、ダイボンディング装置100は、図示しない制御部の指令によって、ボンディングヘッド50が取り付けられているスライダ61をZ方向下向きに降下させる。そして、制御部はボンディングツール11の先端が半導体チップ90の表面に接してから更に、高さΔZだけスライダ61及びボンディングヘッド50を降下させる。すると、図4に示す様に、シャフト12は、2つの平板リンク20,30にガイドされてボンディングヘッド50に対して高さΔZだけ上方に移動し、シャフト12の上端のエンドブロック13も高さΔZだけ上方に移動する。そして、エンドブロック13に連結板49によって接続されているレバー40の先端部41も高さΔZだけ上方に移動する。レバー40は、十字板ばね45の水平ばね板46と垂直ばね板47との交差する線に沿ってX軸周りに回転し、レバー40の後端部43は下向きに高さΔZだけ移動する。すると、スプリング58がZ方向に長さΔZだけ縮み、その反力によってレバー40の後端部43を押し上げ、レバー40の先端部41に連結板49を介して接続されているエンドブロック13、シャフト12に対して下向きに力Fを加える。ボンディングツール11の内部は、図示しない真空装置によって真空となっているので、この力Fによってボンディングツール11が半導体チップ90の表面に押し付けられると、ボンディングツール11は半導体チップ90を吸着する。その後、図示しない制御部によってスライダ61が上昇すると、ボンディングツール11は半導体チップ90をピックアップする。
【0022】
図5、図6を参照して、ボンディングツール11が半導体チップ90の表面に接した後、ボンディングヘッド50が更に高さΔZだけ降下した際の上平板リンク30の変形とシャフト12の移動について詳細に説明する。ボンディングツール11が半導体チップ90の表面に接した後、ボンディングヘッド50が更に高さΔZだけ降下すると、図5に示す様に、上平板リンク30を固定している上アーム53もボンディングツール11が半導体チップ90の表面に接した際の高さよりも高さΔZだけ降下するので、上平板リンク30の固定点33もボンディングツール11が半導体チップ90の表面に接した際の高さよりも高さΔZだけ降下する。一方、シャフト12は先端のボンディングツール11が半導体チップ90の表面に接しているので、それ以上降下しないので、上平板リンク30のシャフト12を固定している渡り板32の中央と、2つの固定点33との間にはΔZだけ高さの差ができることとなる。上平板リンク30の固定点33によって中央が上アーム53に固定されている各第1の辺31aは、図5及び図6(a)に示す様に、固定点33から第2の辺31bに向かって上方に湾曲していく。また、図5、図6(b)に示す様に、第2の辺31bの間を渡っている渡り板32は、第2の辺31bからシャフト12の取り付けられている中央部が盛り上がるように上方に向って変形する。更に、図5、図6(b)に示す様に、第2の辺31bは渡り板32が接続されている中央部分が第1の辺31aに接続されている両端から盛り上がるように上に向って変形する。図6(a)に示すように、第1の辺31aの上方への湾曲により、固定点33と第1の辺31aの両端或いは第2の辺31bとの間には、ΔZだけの高さの差ができる。また、図6(b)に示す様に、第2の辺31bの盛り上がり変形によって第1の辺31aの両端と第2の辺31bの中央部との間には、ΔZの高さの差ができる。更に、図6(b)に示すように、渡り板32の盛り上がり変形によって第2の辺31bの中央とシャフト12の取り付けられている渡り板32の中央との間には、ΔZだけの高さの差ができる。そして、この高さの差ΔZ,ΔZ,ΔZの合計が高さΔZとなる。つまり、ΔZ+ΔZ+ΔZ=ΔZ、となる。
【0023】
このように、上平板リンク30は、固定点33から延びる第1の辺31aの曲げ変形と、第2の辺31bの盛り上がり変形と、第2の辺31bとの間に渡された渡り板32の盛り上がり変形とによってシャフト12をボンディングヘッド50に対して高さΔZだけZ方向に移動させる。また、第1の辺31aと渡り板32の第2の辺31bに接続する端部はその幅が小さくなっているので、第2の辺31bの両端、及び渡り板32の両端にそれぞれリンクを形成し、各リンクの回転によってシャフト12をZ方向に移動させる。
このため、シャフト12のZ方向の移動に対する抵抗がほとんど発生しない。また、本実施形態のダイボンディング装置100は、下平板リンク20と上平板リンク30の2つの平板リンクを平行に配置し、これによってシャフト12がZ方向に移動可能に支持するので、シャフト12が半導体チップ90の表面に対して垂直方向にスムーズに移動することができる。さらに、図4に示す様に、レバー40は十字板ばね45によって回転支持されているので、回転軸受けなどのような摩擦抵抗がなく、回転に対する抵抗がほとんど発生しない。
【0024】
このため、ボンディングツール11が半導体チップ90の表面に接した後、ボンディングヘッド50が高さΔZだけ沈み込んだ際に半導体チップ90の表面に掛かる力は、図7に示す様に、沈み込み高さΔZに対して正比例するようになる。つまり、F=K×ΔZ、となる。これにより制御部は、ボンディングヘッド50の沈み込み量ΔZを制御することによって、半導体チップ90に加わる押圧荷重を正確に制御することができる。このため、薄い或いは脆い半導体チップ90をピックアップする際に、より小さな押圧荷重を正確に制御することができ、薄く強度の低い或いは脆い半導体チップ90損傷させずに適切にピックアップすることできる。また、本実施形態のダイボンディング装置100は、従来のボンディング装置の様にシャフト12をZ方向にスライドさせたり、レバー40を回転支持したりする部分のような摺動部が無いことから、磨耗がなく長寿命であり、かつ、摩擦抵抗の変化による押圧荷重が変化することもなく、長期間に渡り安定した動作をすることができる。
【0025】
以上、本実施形態のダイボンディング装置100によって半導体チップ90をピックアップする際の動作について説明したが、半導体チップ90を基板或いはリードフレーム等の上に接合する際の動作も同様で、半導体チップ90に掛かる小さな押圧力を正確に制御できるので、薄く強度の低い或いは脆い半導体チップ90を損傷させずに基板或いはリードフレーム等の上に適切にボンディングすることができる。また、半導体チップの上に更に半導体チップをボンディングする際にも同様に半導体チップ90を損傷させずに適切にボンディングを行うことができる。
【0026】
図8、図9を参照して本発明の他の実施形態について説明する。図1から図7を参照して説明した部分には同様の符号を付して説明は省略する。図8に示す上平板リンク130は、図1から7を参照して説明した実施形態の上平板リンク30の略四角環状の環状板31を楕円形状の環状板131とし、その長円側に固定点133を設け、対向する短円を渡るように渡り板132を設けたものである。また、図9に示す実施形態は、図1から図7を参照して説明した実施形態の第1の辺31aの中央の外側にラグ35を設け、このラグ35を上アーム53に固定するように構成したものである。図8、図9に示すいずれの実施形態も図1から図7を参照して説明した実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0027】
11 ボンディングツール、12 シャフト、13 エンドブロック、14 リング、20 下平板リンク、21,31,131 環状板、22,32,132 渡り板、24,34 中空部分、30,130 上平板リンク、31a 第1の辺、31b 第2の辺、33,133 固定点、35 ラグ、40 レバー、41 先端部、42 ボルト、43 後端部、44 中央ブロック、45 十字板ばね、46 水平ばね板、47 垂直ばね板、48 バランスウェイト、49 連結板、50 ボンディングヘッド、51 本体、52 下アーム、53 上アーム、54 ボルト、55 ブッシュ、56 ストッパ、57 穴、58 スプリング、61 スライダ、62 リニアガイド、71,72 中心線、73 直線、81 ピックアップステージ、83 ダイシングテープ、90 半導体チップ、100 ダイボンディング装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイボンディング装置であって、
半導体チップをピックアップしてボンディングするボンディングツールが先端に取り付けられるシャフトと、
少なくとも1つの平板リンクを介して前記シャフトが取り付けられ、前記シャフトの延びる方向に沿って直線移動するボンディングヘッドと、
前記平板リンクは、前記シャフトの延びる方向と交差する面に沿って延び、前記ボンディングヘッドに取り付けられる環状板と、前記環状板と同一面に配置され、前記環状板の内側にある中空部分を渡る渡り板と、を含み、前記渡り板に前記シャフトが取り付けられていること、
を特徴とするダイボンディング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のダイボンディング装置であって、
前記平板リンクの前記環状板は、外縁の対向する2つ固定点で前記ボンディングヘッドに固定され、
前記渡り板は、前記環状板の前記各固定点を結ぶ方向と交差する方向に延び、前記シャフトが接続される中央から前記環状板に接続される両端に向かって幅が小さくなること、
を特徴とするダイボンディング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のダイボンディング装置であって、
前記環状板は、前記各固定点から前記渡り板に接続される両端に向かって幅が小さくなっていること、
を特徴とするダイボンディング装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のダイボンディング装置であって、
前記環状板は、略四角環状で、前記各固定点が対向する2辺の中央にそれぞれ配置されていること、
を特徴とするダイボンディング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のダイボンディング装置であって、
前記シャフトは、離間して平行に配置された2つの平板リンクによって前記ボンディングヘッドに取り付けられていること、
を特徴とするダイボンディング装置。
【請求項6】
請求項1から5に記載のダイボンディング装置であって、
回転ガイドによって前記ボンディングヘッドに回転自在に取り付けられ、一端が前記シャフトに接続され、他端に前記ボンディングツールを前記半導体チップに押し付ける押圧荷重を付与するスプリングが接続されるレバーを含み、
前記回転ガイドは、2枚の板ばねを十字型に交差させた十字板ばねであること、
を特徴とするダイボンディング装置。
【請求項7】
請求項6に記載のダイボンディング装置であって、
前記十字板ばねは、4つの端点を有し、そのうちの隣接する2つの端点は、前記レバーに接続され、他の2つの端点は、それぞれ前記ボンディングヘッドに取り付けられていること、
を特徴とするダイボンディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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