説明

ダニ検知キット

【課題】
簡便かつ短時間でダニの密度を検知できるキットを提供する。
【解決手段】
ニンヒドリンを含有する粘着剤を、シート状の支持体に塗布してなることを特徴とするキットを用いることにより、ダニ類を検知できる。本キットに用いるニンヒドリンの量は0.1g/m以上であることが好ましく、ダニの誘引物質を併用することが好ましい。本キットをダニの棲息すると思われる場所に置き、一定時間後に回収し50℃以上の熱を加えることにより、ダニが紫〜赤紫色に発色するため、容易にダニの密度を調査できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内に棲息するダニを簡便に検知できるダニ検知キットおよびそれを用いたダニの検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内に棲息するヒョウヒダニ類(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等)によって、引き起こされるダニアレルギーは、多くの国々で環境衛生上の問題として重要視されている。また、イエダニやツメダニ類(クワガタツメダニ、ミナミツメダニ等)は人を刺すことにより、被害を与える。これらのダニを効率良く防除するためには、ダニの棲息密度を正確に把握する必要がある。従来のダニの検知方法としては、ごみを採取して、実体顕微鏡も用いてカウントする方法や、生理食塩水による浮遊法が用いられていた(非特許文献1)。これらの方法は専門知識や技術、経験および高価な機器が必要であるという問題点があった。また、ダニの誘引組成物と粘着捕獲器を用いるダニ類の捕獲材は知られていた(特許文献1)が、単にダニ類を捕獲・誘殺するのみであり、捕獲したダニを検知する方法については全く開示も示唆もされていなかった。
【0003】
【特許文献1】特開平6−256109号公報
【非特許文献1】ダニ汚染の実態と最新防止策、日本技術経済センター編P.22
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋内に棲息するダニ類を簡便に検知できるダニ検知キットおよびそれを用いたダニの検知方法を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、ダニ類を簡便に検知できるダニ検知キットについて鋭意検討を行った。その結果、ニンヒドリンを含有する粘着剤を、シート状の支持体に塗布してなることを特徴とするキットを用いることにより、ダニ類を検知できることを見出した。ダニ類を効率的に捕集するためには、ダニ類の誘引物質を併用することが好ましい。本キットをダニの棲息すると思われる場所に置き、一定時間後に回収し50℃以上の熱を加えることにより、ダニが紫〜赤紫色に発色するため、容易にダニの密度を調査できることを見出し本発明に至った。
【発明の効果】
【0006】
本発明のダニ検知キットを用いることにより、屋内に棲息するダニを簡便に検知できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、ニンヒドリンを含有する粘着剤を、シート状の物質に塗布してなることを特徴とするダニ検知キットおよびそのキットを用いることを特徴とするダニの検知方法に関するものである。ここで用いる粘着剤はダニをトラップするものであれば特に制限はなく、たとえばニカワ、澱粉、松油、蜜蝋、天然ゴム等の天然粘着物質、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、スチレンージエン系ブロック共重合体、アクリル系ポリマー、ポリビニールエーテル、ポリ酢酸ビニル等の合成粘着剤等を用いることができる。また、それらの粘着剤の軟化剤としてプロセスオイル、パラフィン、ポリブテン、動植物油、液状ブチルゴム等を使用しても良い。ニンヒドリンを粘着剤に含有させる場合には、ニンヒドリンをそのまま用いても良いが、一般的にはニンヒドリンを溶解する適当な溶媒、たとえば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン等に溶解してから粘着剤と均一に混合する。
【0008】
支持体の材質も特に制限はなく、たとえば紙、布、不織布、木板、合板、合成樹脂フィルム、合成樹脂板等があげられる。ニンヒドリンの量は多いほど発色がはっきりするため好ましく、その量は支持体の表面積あたりで0.1g/m2以上であることが特に好ましい。
【0009】
また、ダニ類を効率的に捕集するためには、ダニ類の誘引物質を併用することが好ましい。ダニ類の誘引物質としてはダニ類を誘引するものであれば、特に制限は無く使用できるが、乾燥酵母、蔗糖、小麦粉、チョコレート、鰹節、及びそれらの混合物、動物用粉末飼料、集合フェロモン、性フェロモン等が特に好ましい。
【0010】
上記のダニ検知キットを用いることにより、屋内に棲息するダニの密度を容易に検知することができる。さらに詳細に説明すると、本検知キットを屋内のダニの発生が疑われる場所、たとえば、畳、絨毯、ベッド、布団等の上に置き、一定時間後に本キットを回収する。さらにアイロン等で50℃以上に加熱することにより、ダニの存在部分が発色する。発色部分をカウントすることにより、容易にダニの密度を判定することができる。
【0011】
次に製造例および実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明がこれらによって限定されることはない。
【0012】
(製造例1)
ニンヒドリン100mgをメチルアルコール10mlに溶解し、ニンヒドリンのメチルアルコール溶液を作成した。本溶液を所定濃度になるようにポリ酢酸ビニルと均一に混合し、6cm×8cmの大きさの厚紙に均一に塗布することにより、ダニ検知キットを製造した。
【0013】
(製造例2)
ニンヒドリン100mgをアセトン10mlに溶解し、ニンヒドリンのアセトン溶液を作成した。本溶液をニンヒドリン量が1g/mとなるように、ゴキブリ用粘着材(アース製薬株式会社製、ゴキブリホイホイ)の粘着面に均一に塗布した。アセトンを揮散させることにより、ダニ検知キットを製造した。
【0014】
(比較例1)
1mlのメチルアルコールをポリ酢酸ビニルと均一に混合し、6cm×8cmの大きさの厚紙に均一に塗布することにより、ニンヒドリンを含有しないダニ検知キットを製造した。
【実施例1】
【0015】
製造例1で作成したダニ検知キット及び比較例1で製造したニンヒドリンを含有しないダニ検知キット上に、ヤケヒョウヒダニを放飼した。1時間後に表面温度を60℃にセットしたヒートプレート上に3分間置き、観察を行なった。なお、実験は3反復で行った。結果は第1表に示す。
【表1】

【0016】
1g/m以上のニンヒドリンを含有する本発明キットは、ダニが存在する場合にはその部分が濃い赤紫色に発色したのに対し、ダニが存在しない場合には発色が認められなかった。また、0.1g/mのニンヒドリンを含有する本発明キットの場合には、ダニの存在下でごく薄い発色が認められた。すなわち、本発明ダニ検知キットを用いることにより、容易にダニの存在を検知することができた。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンヒドリンを含有する粘着剤を、シート状の支持体に塗布してなることを特徴とするダニ検知キット。
【請求項2】
ニンヒドリンの量が0.1g/m以上であることを特徴とする請求項1に記載のダニ検知キット。
【請求項3】
ダニの誘引物質を併用することを特徴とする請求項1および2に記載のダニ検知キット。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載のダニ検知キットを用いるダニの検知方法。
【請求項5】
請求項1、2または3に記載のダニ検知キットでダニを捕集した後50℃以上に加熱して発色させることを特徴とするダニの検知方法。



【公開番号】特開2006−34160(P2006−34160A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217760(P2004−217760)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(397070417)シントーファイン株式会社 (31)
【Fターム(参考)】