説明

ダルマ

【課題】願い事をするときは一方の目に黒目を表示させ、願い事が叶ったときには他方の目に黒目を表示させ、従来のダルマと同じような黒目の入れ方ができる上、日常のささやかな願い事を繰り返しできる新しい発想のダルマを提供すること
【解決手段】ダルマ本体1には白目と黒目とが上下に配置された右目玉表示体4aと左目玉表示体4bとを上下に回動可能且つ、白目若しくは黒目がダルマ本体1の前面に形成された開口部3から視認できるように配置し、上記右目玉表示体4aと左目玉表示体4bとを上記開口部3から黒目が表示される方向にそれぞれ個別に回動させる回動操作部材5と、回動状態をそれぞれ個別に維持する維持部材20と、維持部材20による維持状態を解除する解除操作部材6とを備えるとともに、上記回動操作部材5と、解除操作部材6とは後端をダルマ本体1の背面から後方に突出させ外部から操作可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダルマ、詳しくは願い事を繰り返しお願いすることができるダルマに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昔から開運の縁起物として、願い事をするときダルマの一方の目に黒目を書き入れ、願いが叶った時に他方の目に黒目を書き入れる慣わしがあるが、黒目を綺麗に書き入れることができなかったり、書き入れる筆がなかったりすることから、黒目を書き入れないで済むダルマが提案されている(例えば、特許文献1)。このダルマは、両目に黒目が予め書き入れてあり、一方の目には不透明な剥離紙が貼られており、願いが叶ったときには剥離紙を剥がして両目に黒目が表示されるようにしたものである。
【特許文献1】実開平6−29592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、上述のダルマでは一方の目には既に黒目が表示されており、黒目が表示された状態で願い事をすることになり、願い事が叶うように祈りながら黒目を書き入れることはできないし、願いが叶わなかったときには、そのままの状態で新たな願い事をしなければならず、叶わなかった願いを引きずりながら新たな願い事をするのには抵抗感があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、願い事をするときは一方の目に黒目を表示させ、願い事が叶ったときには他方の目に黒目を表示させるとともに、願い事が叶わなかったときには一旦黒目の表示を全てリセットし、新たに願い事をするときに改めて黒目を表示させることができ、昔からのダルマと同じような黒目の表示のさせ方ができる上、日常のささやかな願い事を繰り返しできる新しい発想のダルマを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係るダルマは、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)ダルマ本体には白目と黒目とが上下に配置された右目玉表示体と左目玉表示体とを上下に回動可能に配置し、上記目玉表示体の白目若しくは黒目はダルマ本体の前面に形成された開口部から視認できるようにしたこと
(ロ)上記右目玉表示体と左目玉表示体とを上記開口部から黒目が表示される方向にそれぞれ個別に回動させる回動操作部材と、回動状態をそれぞれ個別に維持する維持部材と、維持部材による維持状態を解除する解除操作部材とを備えたこと
(ハ)上記回動操作部材と、解除操作部材とは後端をダルマ本体の背面から後方に突出させ外部から操作可能にしたこと
【0006】
なお、前記解除操作部材は維持部材による目玉表示体の維持を同時に解除することができるようにすればよい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、昔から使用されているダルマと同様に願い事をしながら片方の目に黒目を表示させ、願いが叶えばもう一方の目に黒目を表示させることができるし、もし叶わない場合には黒目が表示されたまま新たな願い事をするような抵抗感が解消され、新たな気持ちで願い事をしながら黒目を入れることができるし、繰り返し願い事ができるので日常のささやかな願い事もダルマに託すことができる新しい発想のダルマを提供することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、一度の操作で両方の黒目を同時にリセットすることができ、両目から確実に黒目を消すことができるとともに、一気に初期状態にすることができるので新たな気持ちで願い事をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1(a)(b)は、本発明に係るダルマの正面側斜視図及び背面側斜視図を示し、このダルマは本体1の前面に顔2が表示され、顔2には目を模した円形の開口部3が形成されている。この開口部3は右目用の右開口部3a、左目用の左開口部3bとから構成され、この開口部3a、3bから目玉表示体4(右目玉表示体4a、左目玉表示体4b)の前面が視認できるようになっている。そして、背面には後述する、目玉表示体4(右目玉表示体4a、左目玉表示体4b)を回動させる回動操作部材5(5a、5b)と、回動状態をリセットする解除操作部材6の後端が後方に突出し、背面から押し操作できるようになっている。
【0010】
図2は上記ダルマAの構造を説明する分解斜視図を示し、このダルマは本体1が前筐体10と後筐体11とで形成されネジ14で一体になるように構成されている。前筐体10には右目用の右開口部3aと左目用の左開口部3bとが形成され、後筐体11には回動操作部材5(5a、5b)を摺動可能にガイドする筒状のガイド部12(12a、12b)と、解除操作部材6を摺動可能にガイドする筒状のガイド部13とが形成され、このガイド部12、13は後筐体11に開口し、回動操作部材5(5a、5b)と解除操作部材6の後端は背面から後方に突出している。
【0011】
表示体4(右目玉表示体4a、左目玉表示体4b)は側面視略扇状に形成され、前面の下部には黒い円形に塗られた黒目15、上部は白色に塗られた白目16とが形成され、扇のカナメに相当する部分の両側面から側方に突出して軸部17が形成され、前筐体10に形成された軸支部(図示せず)に上下に回動可能に支持されている。この表示体4の下側には、回動操作部材5(5a、5b)の先端が係合する係合板18と、後述する維持部材20の係合爪26の先端が係合する係合凸部19とが形成され、下面に形成されたフック21にスプリング22の一端が掛けられ、このスプリング22で表示体4は支軸17を中心に下方に回動するように付勢されている。
【0012】
維持部材20は、右目玉表示体4a、左目玉表示体4bに対応して右目用の維持部材20a、左目用の維持部材20bからなり、軸体25から前方に係合爪26、上方にリセット爪27がそれぞれ突出して側面視略L字状に形成され、軸体25の両端が本体1に形成された軸受(図示せず)に軸支されて上下に回動可能に配置されている。そして、軸体25から下方に突出して形成されたフック28にスプリング22の他端が掛けられ、このスプリング22で維持部材20は上方に回動するように付勢されているので、係合爪26は常に上記表示体4の下面に当接している。
【0013】
回動操作部材5は、丸棒状に形成され、右目玉表示体4a、左目玉表示体4bに対応して右目用の回動操作部材5a、左目用の回動操作部材5bからなり、前筐体10にネジ31で固定されたガイド部材30に形成されたガイド筒32に前部が挿通し、後部が後筐体11のガイド部12(12a、12b)にガイドされて前後にスライド可能に配置され、後端が後筐体11の背面から後方に突出するとともに、先端50は表示体4の係合板18の背面に当接するように配置されている。
【0014】
解除操作部材6は丸棒状に形成され、後部が後筐体11のガイド部13に挿通して前後にスライド可能に配置され、後端が後筐体11の背面から後方に突出するとともに、中央上面に立設した係合板35がガイド部材30の背面に形成された2枚のガイド板36に挟まれて、軸方向に回転しないようになっているとともに、両側面から所定間隔を置いて押圧板37a、37bが形成され、この押圧板37a、37bの先端はそれぞれ維持部材20a、20bのリセット爪27の背面に当接する位置に配置され、解除操作部材6を後方から押し操作したときには、押圧板37a、37bの先端がリセット爪27を押して維持部材20を前方に押圧し、係合爪26をスプリング22に抗して下方に回動させ表示体4の係止を解除させることができるようになっている。
【0015】
次に、上記構成のダルマの使用態様について説明する。先ず、ダルマを初期状態にするため、解除操作部材6を押し操作する(図3(a)、図4(a)参照)。押圧板37(37a、37b)が維持部材20(20a、20b)のリセット爪27に対応しているので、押圧板37はリセット爪27を前方に押圧し、維持部材20を軸体25を中心に下方に回動させるので係合爪26と係合凸部19との係合が外れ、目玉表示体4はスプリング22に付勢されて、下方に回動し、黒目15は本体1の開口部3より低い位置に移動するので開口部3には白目16が対応し、両目から黒目15が視認できない初期状態にすることができる(図5(a)参照)。
【0016】
次に、願い事をするときは、願い事を紙に書いたり、頭の中で唱えたりしながら本体1の背面から後方に突出している回動操作部材5aを押し操作する(図4a参照)。回動操作部材5aの先端50は、右目玉表示体4aの係合板18を押圧しスプリング22に抗して軸部17を中心に右目玉表示体4aを上方に回動させるので、黒目15が上方に移動して本体1の右目の開口部3aに対応する位置に到達し、前面から右目の黒目15が視認できるようになる(図5(b)参照)。
【0017】
この状態では、維持部材20はスプリング22に付勢されて上方に回動し、係合爪26の先端が係合凸部19に係合する位置になっているので、回動操作部材5aの押し操作を解除しても右目玉表示体4aの回動状態は維持され、右目の黒目15は開口部3aから消えることはない。
【0018】
願い事が叶った場合は、左目玉表示体4bの黒目15を左目の開口部3bに表示させるために、右目玉表示体4aの場合と同様に、本体1の背面から後方に突出している回動操作部材5bを押し操作する。回動操作部材5bの先端50は、左目玉表示体4bの係合板18を押圧しスプリング22に抗して軸部17を中心に左目玉表示体4bを上方に回動させるので、黒目15が上方に移動して本体1の左目の開口部3bに対応する位置に到達し、前面から左目の黒目15が視認できるようになり、両目に黒目15が表示された状態になる(図5(c)参照)。
【0019】
新たに願い事をする場合は、解除操作部材6を押し操作してダルマを初期状態にし、新たに願い事をするため、紙に書いたり、頭の中で唱えたりしながら本体1の背面から後方に突出している回動操作部材5aを押し操作すればよい。
【0020】
このように、初期化を簡単に行なうことができるので、繰り返し願い事ができるので、合格祈願や安産祈願などの大きな願いに代えて、明日の天気を祈ったり、仕事が上手くいくように願ったり、デイトが成功するように祈ったり日常の願い事を気軽にすることができ、新しい発想のダルマを実現することができる。
【0021】
なお、願い事が叶わず、新たに願い事をする場合もダルマを初期状態にすれば、両目から黒目15が消えるので、叶わなかった願いを引きずりながら新たな願いをすることがなくなり、従来提案されているダルマのように黒目が残ったまま新しい願い事をする抵抗感がなくなり、新たな気持で願い事をするダルマを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)(b)は本発明に係るダルマの正面側斜視図及び背面側斜視図
【図2】上記ダルマの構造を説明する分解斜視図
【図3】(a)(b)は右目玉表示体のセットとリセットとを説明する要部側面図
【図4】(a)〜(c)は目玉表示体と回動操作部材及び解除操作部材との関係を説明する要部底面図
【図5】(a)〜(c)はダルマの使用状態を説明する正面側斜視図
【符号の説明】
【0023】
1 本体
2 顔
3 開口部
4 目玉表示体
4a 右目玉表示体
4b 左目玉表示体
5 回動操作部材
6 解除操作部材
20 維持部材
A ダルマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とする、ダルマ。
(イ)ダルマ本体には白目と黒目とが上下に配置された右目玉表示体と左目玉表示体とを上下に回動可能に配置し、上記目玉表示体の白目若しくは黒目はダルマ本体の前面に形成された開口部から視認できるようにしたこと
(ロ)上記右目玉表示体と左目玉表示体とを上記開口部から黒目が表示される方向にそれぞれ個別に回動させる回動操作部材と、回動状態をそれぞれ個別に維持する維持部材と、維持部材による維持状態を解除する解除操作部材とを備えたこと
(ハ)上記回動操作部材と、解除操作部材とは後端をダルマ本体の背面から後方に突出させ外部から操作可能にしたこと
【請求項2】
前記解除操作部材は維持部材による目玉表示体の維持を同時に解除する、請求項1記載のダルマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−213662(P2009−213662A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60273(P2008−60273)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(599131996)株式会社シャイン (9)
【Fターム(参考)】