説明

ダンプトラックの荷台に緩衝シートを敷設する方法

【課題】本発明は、ダンプトラックの荷台に対して傷・騒音防止用のゴムシートを敷設するための新規な方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ダンプトラックの荷台の前端部の幅方向にパイプサポートを固定し、該パイプサポートの管に対して複数のシャックルを取り付ける。各シャックルの連結軸をゴムシートに形成された穴に貫通させて螺合することによって、前記ゴムシートと前記パイプサポートを連結する。本発明の方法によれば、ゴムシートをいつでも簡単に取り外すことができるため、車検の取り直しが不要になる。また、本発明の方法の実施にあたって、荷台を改造する必要がない上に、建築・土木現場で広く用いられる汎用道具を流用して実施することができるため、追加のコストがほとんどかからない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプトラックの荷台に緩衝シートを敷設する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルトやコンクリート殻などを積載するダンプトラックの荷台に対して、床鉄材の傷防止ならびに騒音防止のためにゴムシートに代表される緩衝材を敷設することが行なわれている。図5は、従来方法によってゴムシートが荷台に敷設されたダンプトラック10を示す。なお、図5(a)は、その上面図を示し、図5(b)は、その側面透視図を示す。
【0003】
ダンプトラック10の荷台12には、床面14の全体を覆う形で一枚のゴムシート16が敷設されている。ここで、荷台12は、積載物を下ろす際に後方に傾けられるため、ゴムシート16は、その際にずり落ちることがないように床面14に固定される必要がある。この点につき、荷台12の外周には、ゴムシート16を床面14に固定するための複数の固定部材50が設けられている。
【0004】
図5(b)に、固定部材50の断面拡大図を丸で囲んで示す。図5(b)に示す例においては、固定部材50は、等辺山形鋼52と、押えボルト54と、押え金具56とから構成されている。等辺山形鋼52の一辺は、荷台12の前立板17(あるいは、側あおり板18)に溶接固定されており、他の一辺には雌ねじ加工が施されている。この雌ねじに押えボルト54を螺合し、押え金具56を介してゴムシート16を床面14側に押圧することによって、ゴムシート16を荷台12に固定している。同様の方法として、特開2004−51029号公報(特許文献1)は、ダンプトラックの荷台の周囲に雌ねじ加工した角鋼を溶接し、当該角鋼と帯鉄の間にゴムシートを挟み込む形でボルト固定するゴムシートの取付方法を開示する。
【0005】
しかしながら、上述した従来法には、ゴムシートを固定するための部材を荷台に溶接するなどの改造を要するという問題があり、さらに、荷台にゴムシートを常時固定する態様では、100kg超となるゴムシートの重量を加えた総重量で車検を通し直す必要が生じるため、余計なコストが発生してしまうといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−51029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、ダンプトラックの荷台に対して、傷・騒音防止用の緩衝シートを敷設するための新規な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ダンプトラックの荷台に対して傷・騒音防止用の緩衝シートを敷設するための新規な方法につき鋭意検討した結果、建築・土木現場で広く用いられる汎用道具を流用して緩衝シートを荷台に取付ける簡便な方法を見出し、本発明に至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明によれば、ダンプトラックの荷台の前端部の幅方向にパイプサポートを固定し、該パイプサポートの管に対して複数のシャックルを取り付け、各シャックルの連結軸をゴムシートに代表される緩衝シートに形成された穴に貫通させて螺合することによって、前記緩衝シートと前記パイプサポートを連結することを特徴とする、ダンプトラックの荷台に緩衝シートを敷設する方法が提供される。
【0010】
本発明においては、前記緩衝シートを2枚の1m幅の緩衝シートから構成することが好ましく、1枚の緩衝シートに対して少なくとも2つの前記シャックルを用意することが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記パイプサポートの台板および受板と前記荷台の側あおり板との間に防滑シートを介在させて固定することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明においては、前記荷台の任意の箇所に追加のシャックルを取付け、前記パイプサポートに取付けられた前記シャックルと前記追加のシャックルとを連結ワイヤーを介して連結することによって、前記緩衝シートの落下を防止することが好ましく、前記連結ワイヤーとして、玉掛ワイヤーを用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明によれば、ダンプトラックの荷台に対して改造を施す必要がなく、また、緩衝シートを荷台に簡便に取付け、取外すことができる。本発明の方法は、主に、建築・土木現場で広く用いられる汎用道具を流用して実施することができるため、コスト面において有利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の方法によってゴムシートを荷台に敷設したダンプトラックを示す図。
【図2】ダンプトラックの荷台の前方端部近傍を拡大して示した図。
【図3】図2のA−A’線の断面図。
【図4】ダンプトラックが積載したコンクリート殻を降ろす態様を示す図。
【図5】従来方法によってゴムシートが荷台に敷設されたダンプトラックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0016】
図1は、本発明の方法によって緩衝シートを荷台に敷設したダンプトラック10を示す。以下の説明においては、緩衝シートとしてゴムシートを採用した場合を例にとって説明するが、本発明における緩衝シートは、ゴムシートに限定されるものではなく、その目的に適った適切な材料によって形成されるものであればどのようなものであってもよい。なお、図1(a)は、その上面図を示し、図1(b)は、その側面透視図を示す。また、図2は、図1(a)に示した上面図において、ダンプトラック10の荷台12の前方端部近傍を拡大して示した図である。以下、図1および図2に示した実施形態に基づいて、本発明の方法を具体的に説明する。
【0017】
本実施形態においては、まず、荷台12の幅より長い使用長を持つ1本のパイプサポート22と、1枚のゴムシートに対して少なくとも2つのシャックル24を用意する。パイプサポート22およびシャックル24は、建築・土木現場で広く用いられる汎用道具であるので、これを入手して本発明の方法に流用することは容易であろう。
【0018】
本発明の方法は、荷台12の床面14全面を覆う1枚のゴムシートを使用して実施することもできるが、床面14を幅方向に二分割した2枚のゴムシート30を使用することが好ましい。そのようにすれば、汎用品である1m幅のゴムシート反物を流用して緩衝材を構成することができるので、荷台のサイズに合わせてゴムシートを特注する必要がなく、コストを低減することができる。又、ゴムシートは繊維入りゴムシートを使用するとより耐久性を増す事が可能となる。なお、ゴムシート30の長手方向の一方の端部には、シャックル24の連結軸を通すための穴を形成しておく。1枚のゴムシート30につき、少なくとも2つの穴を形成することによって、ゴムシート30のズレを防止することができる。これらの穴は、金属製のリベットなどを使用して補強することが好ましい。
【0019】
次に、用意したパイプサポート22を荷台12の前方端部において幅方向に取付ける。この際、パイプサポート22をしっかり固定するために、パイプサポート22の台板および受板と側あおり板18との間にゴムシートなどの防滑シート28を介在させることが好ましい。
【0020】
図3は、図2のA−A’線の断面図を示す。パイプサポート22を荷台12にしっかりと固定した後、図3(a)に示すように、シャックル24から連結軸を抜いたシャックル本体24aのU字形の凹みをパイプサポート22の管(下柱管あるいは上柱管)に嵌込んだ状態で、穴30aが形成されたゴムシート30の端部をシャックル本体24aのU字形の凹みに差し込む。続いて、図3(b)に示すように、ゴムシート30の穴30aを連結軸24bが貫通する形でシャックル本体24aに連結軸24bを螺合することによって、1枚のゴムシート30とパイプサポート22とを2つのシャックル24を介して連結する。
【0021】
なお、使用の過程でパイプサポート22に緩みが生じた場合、積載物を降ろす際にパイプサポート22が側あおり板18から外れてしまい、ゴムシート30とともに地面に落下してしまうことが予想される。ゴムシート30の総重量は、100kgを超えるため、これを再び荷台12の上に載せ直すためには、ユニックなどの重機が必要になる。この点に鑑みて、本発明に好ましい実施形態においては、さらに、少なくとも2本の連結ワイヤー26と追加の2つのシャックル24を用いて、ゴムシート30の落下防止措置を講ずることが好ましい。
【0022】
具体的には、シャックル本体24aのU字形の凹みをパイプサポート22の管に嵌込んだ後、連結軸24bを螺合する前に、両端が輪になった連結ワイヤー26の一方の輪をシャックル本体24aに通しておく。一方、連結ワイヤー26の他方の輪を別途用意したシャックル24の本体に通した状態で、当該シャックル本体24aを荷台の脇に固定された昇降用梯子19などに嵌込み、連結軸24bを螺合してこれを固定する。このようにすることによって、ゴムシート30は、2つのシャックル24と連結ワイヤー26を介して昇降用梯子19(すなわち、荷台12)に連結されるため、万が一、パイプサポート22が側あおり板18から外れてしまった場合であっても、ゴムシート30の落下が防止される。本実施形態における連結ワイヤー26についても建築・土木現場で広く用いられる玉掛ワイヤーを流用することができるであろう。なお、連結ワイヤー26を固定する先は、昇降用梯子19に限定されるものではなく、荷台12上のその他の適切な場所に固定してもよいことはいうまでもない。
【0023】
図4は、本発明の方法を適用したダンプトラック10が積載したコンクリート殻を降ろす態様を示す。図4(a)に示すように、ダンプトラック10の荷台12には、本発明の方法によってゴムシート30が敷設されている。ここで、図4(b)に示すように、ダンプトラック10の荷台12が後方に傾けられると、コンクリート殻は、荷台12の床面を滑って地面に落下する。その際、荷台12にゴムシート30が敷設されているため、荷台12の床面に傷がつくことが防止されると共に、コンクリート殻が床面を転がり落ちる際に生じる騒音が低減される。ここで、仮に、パイプサポート22が側あおり板18から外れてしまった場合であっても、ゴムシート30は、連結ワイヤー26およびシャックル24を介して昇降用梯子19(すなわち、荷台12)に連結されているため、図4(c)に示すように、地面に落下することなく荷台12の上に留まる。
【0024】
以上、説明したように、本発明の方法によれば、シャックル24の連結軸24bを外すだけで(あるいは、パイプサポート22を取り外すだけで)ゴムシート30をいつでも簡単に取り外すことができるため、車検の取り直しが不要になる。また、本発明の方法の実施にあたって、ダンプトラックの荷台を改造する必要がない上に、建築・土木現場で広く用いられる汎用道具を流用して実施することができるため、追加のコストがほとんどかからない。
【符号の説明】
【0025】
10…ダンプトラック
12…荷台
14…床面
16…ゴムシート
17…前立板
18…板
19…昇降用梯子
22…パイプサポート
24…シャックル
26…連結ワイヤー
28…防滑シート
30…ゴムシート
50…固定部材
52…等辺山形鋼
54…押えボルト
56…押え金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンプトラックの荷台の前端部の幅方向にパイプサポートを固定し、該パイプサポートの管に対して複数のシャックルを取り付け、各シャックルの連結軸を緩衝シートに形成された穴に貫通させて螺合することによって、前記緩衝シートと前記パイプサポートを連結することを特徴とする、ダンプトラックの荷台に緩衝シートを敷設する方法。
【請求項2】
前記緩衝シートは、2枚の1m幅の緩衝シートから構成され、1枚の緩衝シートに対して少なくとも2つの前記シャックルを用意することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パイプサポートの台板および受板と前記荷台の側あおり板との間に防滑シートを介在させて固定することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記荷台の任意の箇所に追加のシャックルを取付け、前記パイプサポートに取付けられた前記シャックルと前記追加のシャックルとを連結ワイヤーを介して連結することによって、前記緩衝シートの落下を防止することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記連結ワイヤーは、玉掛ワイヤーである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記緩衝シートは、ゴムシートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−101728(P2012−101728A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253404(P2010−253404)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)