説明

チェックバルブ

【課題】破損を減少させるストップを備えたチェックバルブを提供する。
【解決手段】チェックバルブ10は、開口16を有するハウジング14と、ペタル下流面20から延びるヒンジループ18を有するペタル12と、を備える。ペタル12は、閉鎖位置にある場合に開口16を塞ぐとともに、該開口を通る流体の流れを許容するように開放位置へと回転する。ハウジング下流側26に配設されたポスト24は、ピンホール28,32を有し、該ホールを通ってヒンジピン30およびストップピン34が第1および第2のポスト24間に延びる。ストップピン34の周囲に設けられたストップピンカラー36は、環状部38を有し、かつピン34から距離42に亘って離間した内壁を有する。ストップピンカラー36の薄壁部分により、バルブ10が開いたときのペタル12との衝撃が吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェックバルブアッセンブリに関し、特に、チェックバルブアッセンブリのペタルストップに関する。
【背景技術】
【0002】
チェックバルブは、バルブ内を一方向に流れる流れを許容するとともに、これと対向する方向への流れを防ぐ構造として周知である。チェックバルブは、通常、ハウジングの開口部に位置する1つまたは複数のペタル(petal)を有する。ペタルが開口部に亘って閉鎖位置に付勢されるように、ペタルの位置はヒンジ式になっている。チェックバルブの上流の流体(気体や液体)の圧力がクラッキング圧力に達すると、チェックバルブの上流と下流との圧力差の変化によりペタルが開いてバルブを通って流体が流れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、チェックバルブは、ペタルが開く角度を制限する1つまたは複数の物理的なストップを有する。ペタルが閉鎖位置から開放位置へと移動するとき、ペタルは1つまたは複数のストップに接触するため、ペタルはさらに開かなくなる。ある作動状態では、ペタルが激しくストップに衝突すると過大応力が生じて、ペタルが破損し始める。その後、衝突を繰り返すことにより、ストップがさらに破損して、ペタルおよびチェックバルブがさらに破損して故障してしまう。
【0004】
したがって、当業界では、ペタルの破損を減少させるとともに、従来のチェックバルブに対してより耐用年数の長い開放位置ストップを有するチェックバルブが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、チェックバルブは、少なくとも1つのバルブ開口を有するバルブハウジングを有する。少なくとも1つのペタルは、バルブハウジングに配設され、閉鎖位置にある場合に少なくとも1つのバルブ開口を実質的に塞ぐように構成される。少なくとも1つのペタルは、ヒンジ軸を中心として開放位置へと回転し、これにより、少なくとも1つのバルブ開口を通る流体の流れを許容する。チェックバルブは、ペタルが開放位置を超えて回転しないようするとともに、過大応力状態を防ぐ少なくとも1つの可撓性ペタルストップを備える。
【0006】
上記および他の利点および特徴は、図面とともに示す以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。以下に図面について簡単に説明する。
【0007】
発明を実施するための形態において、図面を参照しながら本発明の例示的な実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】可撓性ペタルストップを有するチェックバルブの一実施例を示す概略図。
【図2】図1における領域2の拡大図。
【図3】可撓性ペタルストップを有するチェックバルブの他の実施例を示す概略図。
【図4】図3における領域4の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、チェックバルブ10の一実施例を示す。チェックバルブ10は、バルブハウジング14に設けられる1つまたは複数のペタル(petal)12(フラップとも呼ぶ)を有する。バルブハウジング14は、1つまたは複数のペタル12が配設される少なくとも1つのバルブ開口16を有する。図1に示すバルブ開口16は、実質的に環状であるが、楕円形、半円形や矩形など他の形状を有していてもよい。1つまたは複数のペタル12は、閉鎖位置においてペタル12がバルブ開口16を塞いでチェックバルブ10を閉じるように配置される。
【0010】
各ペタル12は、ペタル下流面20から延びる1つまたは複数のヒンジループ18、つまり耳部を有する。一実施例では、ペタル12のヒンジループ18は、図1に示すように、互いに嵌合する。チェックバルブに組み立てられたとき、ヒンジループ18の中心(図示せず)は、実質的に同一線上または同軸上にヒンジ軸22に沿うように位置する。2つのポスト24は、バルブハウジング14の下流側26から延びる。各ポスト24は、ヒンジピンホール28を有する。ヒンジピン30は、第1のポスト24のピンホール28および各ヒンジループ18を通って第2のポスト24まで延びる。一実施例では、各ポスト24は、ストップピンホール32をさらに有し、このストップピンホール32を通ってストップピン34が第1のポスト24から第2のポスト24へと延びる。他の実施例では、ストップピン34は、バルブハウジング14の一体部分として形成されてもよく、または、チェックバルブ10の他の構成要素として配設されてもよい。
【0011】
一実施例では、ストップピン34の周囲には少なくとも1つのストップピンカラー(つば部)36が延在する。図1には、単一のストップピンカラー36を図示しているが、他の数(例えば、2,3の)ストップピンカラー36を設けてもよい。一実施例では、単一のストップピン34に沿って複数のストップピンカラー36を配設してもよい。各ストップピンカラー36は、ストップピン34と実質的に同軸上の環状部38を有し、かつストップピン34から距離42に亘って離間した内壁40を有する。環状部38の各端部は円錐端部44である。図2に示すように、各円錐端部44において、ストップピンカラー36の内壁40は、ストップピン34に向かって距離42から先細(テーパ状)になっている。一実施例では、円錐端部44の先端部46は、ストップピン34と接触する。ストップピンカラー36は、チェックバルブ10が開いたときにペタル12との衝突から生じる衝撃荷重を吸収してたわむ特定の薄壁部分48を有する。
【0012】
図3を参照すると、チェックバルブ10の一実施例では、ペタル12の開口角度を制限するように2つのポスト24が用いられる。ペタル12の破損を防止するため、ポスト端部50は、ペタル12からの衝撃荷重を吸収するように可撓性である。例えば、図4に示すように、各ポスト24は、ポスト端部50からポスト基部54に延びるポストスロット52を有する。ポスト24における可撓量は、ポストスロット52の深さ56および幅58によって決まる。さらに、ポストスロット52の底部におけるポスト端部50の幅は、ポスト24の可撓性を決定するために重要である。
【0013】
限定した数の実施例により本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施例は例示的なものであり、本発明は、上記の実施例に限定されないことを理解されたい。本発明は、開示されていない任意の数の変更形態、修正形態、代替、均等物を含むように、本発明の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【符号の説明】
【0014】
10 チェックバルブ
12 ペタル
14 バルブハウジング
16 バルブ開口
18 ヒンジループ
20 ペタル下流面
22 ヒンジ軸
24 ポスト
26 下流側
28 ヒンジピンホール
30 ヒンジピン
32 ストップピンホール
34 ストップピン
36 ストップピンカラー
38 環状部
40 内壁
42 距離
44 円錐端部
46 先端部
48 薄壁部分
50 ポスト端部
54 ポスト基部
52 ポストスロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバルブ開口(16)を有するバルブハウジング(14)と、
バルブハウジング(14)に配設される少なくとも1つのペタル(12)であって、該ペタル(12)が閉鎖位置にある場合に少なくとも1つのバルブ開口(16)を実質的に塞ぐとともに、少なくとも1つのバルブ開口を通る流体の流れを許容するようにヒンジ軸を中心として開放位置に回転する少なくとも1つのペタル(12)と、
開放位置を超えて少なくとも1つのペタル(12)が回転しないよう防ぐ少なくとも1つの可撓性ペタルストップ(24,36)と、
を備えるチェックバルブ(10)。
【請求項2】
可撓性ペタルストップ(36)は、
バルブハウジング(14)の第1のポストから第2のポストへと延びるストップピン(34)と、
ストップピン(34)に設けられた少なくとも1つの可撓性のストップピンカラー(36)と、
を備え、
ストップピンカラー(36)は、少なくとも1つのペタル(12)とストップピンカラー(36)との衝撃により生じる衝撃荷重を吸収するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項3】
少なくとも1つのストップピンカラー(36)の各々は、環状部(38)を有し、該環状部は、ストップピン(34)から所定の半径方向距離に亘って離間した内壁(40)を有することを特徴とする請求項2に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項4】
環状部はストップピン(34)と実質的に同軸であることを特徴とする請求項3に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項5】
少なくとも1つのストップピンカラー(36)は、厚さが一定の内壁(40)がストップピン(34)に向かって先細になる少なくとも1つの円錐部(44)を有することを特徴とする請求項2に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項6】
環状部(38)の少なくとも一方の端部に円錐部(44)が設けられることを特徴とする請求項5に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項7】
円錐部(44)の先端(46)はストップピン(34)と接触することを特徴とする請求項5に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項8】
少なくとも1つの円錐部(44)が2つの円錐部(44)を含むことを特徴とする請求項5に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項9】
可撓性ペタルストップ(24,36)は、バルブハウジング(14)から延びる少なくとも1つの可撓性ポスト(24)を含むことを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項10】
各可撓性ポスト(24)は、少なくとも1つのポストスロット(52)を有し、該ポストスロット(52)の大きさおよびポストの断面形状の少なくとも一方により、少なくとも1つの可撓性ポスト(24)の可撓量が決まることを特徴とする請求項9に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項11】
少なくとも1つのポストスロット(52)は、ポスト先端(50)からポスト基部(54)へと延びることを特徴とする請求項10に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項12】
少なくとも1つの可撓性ポスト(24)は、2つの可撓性ポスト(24)を含むことを特徴とする請求項9に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項13】
ペタルストップ(24)は、柔軟性を有し、衝撃荷重を吸収することを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブ(10)。
【請求項14】
少なくとも1つのペタル(12)は2つのペタル(12)を含むことを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−261589(P2010−261589A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104690(P2010−104690)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】