説明

チェック・ノードでBCJRアルゴリズムを使用する高速収束LDPC復号方法。

DVB−S2標準規格で使用されるIRA符号などのLDPC符号を復号する方法であって、符号グラフは、第1変数ノード(システマティック)、次数2を有する第2変数ノード(パリティ)、およびジグザグ接続性によって第2変数ノードに接続されたチェック・ノードを含み、a)各グループのチェック・ノードは、内部変数ノードと呼ばれる変数ノードによって接続される、グループ化され、b)グループ(GR)ごとに、b1)2状態トレリスに対して事後最大(MAP)タイプのアルゴリズムを使用することによって前記グループのすべてのチェック・ノードを合同で更新するサブステップ(71)と、b2)前記少なくとも1つの内部第2変数ノードを除く前記グループに接続されたすべての第1変数ノードおよびすべての第2変数ノード(PNi−1,i、PNi,i+1)を更新するサブステップ(72、73)とを実行し、c)ステップb)を反復して繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信方法を対象とし、詳細には、LDPC(Low−Density Parity−Check)符号を用いて符号化された符号語の復号方法を対象とする。
【0002】
本発明は、さらに詳細には、IRA(Irregular Repeat Accumulate)符号を利用するデータ通信システムを対象とするがこれに限定されない。IRA符号とは、たとえば、second international conference on Turbo Codes、フランス国ブレスト、2000年9月で提示されたHui Jin他の「Irregular Repeat−Accumulate Codes」と題する論文に記載されている。
【0003】
本発明は、たとえばDVB−S2(Digital Video Broadcast)標準規格、WLAN 802.11n標準規格、またはWIMAX 802.16e標準規格で展開されたLDPC符号複合方法も対象としている。
【背景技術】
【0004】
Low−Density Parity−Check(LDPC)符号は、1962年にGallagerによって導入され、1996年にMacKayおよびNealによって再発見された。LDPC符号は、計算および実装の複雑さに起因して、長い間、実用化には至らなかった。しかし、シミュレーション計算を扱うに足りるより高い計算能力を引き出したマイクロエレクトロニクスの進歩によって、現在は実装が可能となっている。その優れた誤り訂正性能に起因して、LDPC符号は、将来の遠隔通信の標準と期待されている。
【0005】
LDPC符号は、その疎なM×Nパリティ検査行列Hによって定義される線形ブロック符号である。パリティ検査行列Hは、それぞれ列次数および行次数と呼ばれる、1列あたりj個の1、1行あたりk個の1を含む。(j,k)−regular LDPC符号は、均一な重みの行次数および列次数を有し、そうでない場合には、この符号はirregularと呼ばれる。パリティ検査符号は、2部グラフによって表すことができる。M個のチェック・ノードは、パリティ制約に対応し、N個の変数ノードは、符号語のデータ記号を表す。グラフの辺は、パリティ検査行列内の1に対応する。
【0006】
LDPC符号エンコーダ内では、サイズ(N−M)の符号化すべきパケットに、サイズ(N−M)×Nの生成行列Gが乗ぜられる。この乗算は、長さNの符号化されたベクトルとなる。生成行列Gおよびパリティ検査行列Hは、関係GHt=0を満足し、ここで、0は、零行列である。
【0007】
一般的に言って、LDPC符号復号器は、復号モジュールを含み、この復号モジュールは、長さNの符号化されたベクトルを受け取り、パリティ検査行列Hを使用することによって長さNの中間ベクトルを送達する。次に、デマッピング(demapping)モジュールが、長さ(N−M)の復号されたベクトルを前記中間ベクトルから抽出する。
【0008】
より正確には、LDPC符号は、硬決定または軟決定のいずれかの形で、メッセージ受渡しアルゴリズムを使用して復号される。この復号は、反復処理であり、この反復処理は、変数ノードとチェック・ノードとの間でメッセージを交換する。通常は、Belief Propagation(BP)アルゴリズムが使用され、このアルゴリズムは、変数ノードとチェック・ノードとの間でソフト情報を反復して交換する。符号性能は、主に、パリティ検査行列Hのランダムさ、符号語サイズN、および符号レートR=(N−M)/Nに依存する。
【0009】
チャネル符号化部分は、UMTS、WLAN、およびWPANなどの無線通信システムにおける非常に重要な構成要素である。特にWLANおよびWPANの領域では、復号の待ち時間が、決定的に重要である。Low Density Parity Check符号は、近い将来のこの種のシステムに関する有望な候補と考えることができる。これらの符号は、DVB−S2標準規格および一部の光ファイバ通信システムで展開されつつある。
【0010】
この符号は、いくつかの非常に興味深い特性を有している。この特性によって、これらの符号が待ち時間のクリティカルな応用例に対して選択できる。
【0011】
新しいDVB−S2標準規格は、強力な順方向誤り訂正(FEC)システムを特徴とする。このFECは、理論的限界に近い伝送を可能にする。これは、LDPC符号を使用することによって可能にされ、このLDPC符号は、ターボ符号の性能さえしのぐことができる。柔軟性を提供するために、R=1/4からR=9/10までの範囲の11個の異なる符号レート(R)が規定されている。符号語長は64800ビットまでである。この膨大な最大符号語長が、優れた通信性能の理由である。64800ビットの符号語長を説明する。
【0012】
DVB−S2符号について、64800個のいわゆる変数ノード(VN)および64800×(1−R)個のチェック・ノード(CN)が存在する。この2タイプのノードの接続性は、標準規格で規定される。変数ノードは、情報ノードおよびパリティ・ノードを含む。LDPC符号の復号に関して、この2タイプのノードの間で、ノード処理が複雑とはならない間に反復してメッセージが交換される。一般に、1回の反復中、まず変数ノード(VN)が処理され(更新され)、次にチェック・ノード(CN)が処理される(更新される)。
【0013】
後記する「2フェーズMP」と称するこの従来の2フェーズアルゴリズムまたはメッセージ受渡しの問題は、低い収束速度すなわち、固定された回数の反復の間に到達する通信性能にかかるものである。
【0014】
Mansour他の論文、題名「High−Throughput LDPC Decoders」、IEEE Transactions on a Very Large Scale Integration Systems(VLSI)、vol.11、no 6、976〜996頁、2003年12月に、ノードの更新されたメッセージが他のノードに直接に渡されるときに収束速度を改善できることが示されている。より正確には、この論文によれば、チェック・ノードの部分集合が、別々に処理され、新たに計算されたメッセージが、対応する変数ノードに即座に渡される。変数ノードは、その発信メッセージを更新する。したがって、次のチェック・ノード部分集合は、新たに更新されたメッセージを受け取り、これによって収束速度が改善される。このスケジューリングは、この論文では「Turbo Decoding Message Passing」と呼ばれ、その後、「ターボMP」と呼ばれている。
【0015】
Hocevarの論文、題名「A reduced complexity decoder architecture via layered decoding of LDPC codes」、Proc.IEEE Workshop on Signal Processing Systems(SiPS ’04),Austin, USA、2004年10月、107〜112頁、ならびにColavolpeの論文、題名「Design and Performance of Turbo Gallager Codes」、IEEE Transactions on Communications、vol.52、no 11、1901〜1908頁、2004年11月に、Mansour他の論文の教示に類似する教示がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、従来技術の復号方法より高速の収束速度を有するLDPC符号の新しい復号方法を提案することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による新しい復号方法は、具体的には、複数のチェック・ノードの同時最大事後(MAP)確率を計算することによって、効率的に活用される穴をあけられた符号語として伝送された符号語を解釈する。各チェック・ノードは、基本的な2状態トレリスと考えられる。言い換えると、本発明の一態様によれば、本明細書で「内部パリティ・ノード」と呼ばれるパリティ・ノードを介して相互に接続されたチェック・ノードのグループ、あるいは、最終的に、このように単一のグループを形成するすべてのチェック・ノードが合同で更新され、すべての内部パリティ・ノードは更新されない。これは、各チェック・ノードを別々に更新し、例外なしにすべてのパリティ・ノードを更新する従来の復号方法とは異なる。
【0018】
前記したように、あるノードの更新は、このノードから別のノードに放たれるすべてのメッセージが更新されることを意味する。
【0019】
したがって、本発明の態様によれば、LDPC符号化された符号語を復号する方法であって、前記LDPC符号が、チェック・ノードと第1変数ノード、たとえば情報ノードおよびジグザグ接続性によってチェック・ノードに接続された次数2の第2変数ノード、たとえばパリティ・ノードを含む変数ノードとを含む2部グラフによって表される方法が提案されている。
【0020】
本発明のこの態様の一般的な構成によれば、前記方法は、a)内部第2変数ノードと呼ばれる少なくとも1つの第2変数ノードを介して相互に接続されたチェック・ノードの少なくとも1つのグループをすべてのチェック・ノードから定義することと、b)グループごとに、b1)最大事後(MAP)タイプのアルゴリズムを使用することによって前記グループのすべてのチェック・ノードを合同で更新するサブステップ(71)と、b2)前記少なくとも1つの内部第2変数ノードを除く前記グループに接続されたすべての第1変数ノードおよびすべての第2変数ノードを更新するサブステップ(72、73)と、を実行することと、c)ステップb)を反復して繰り返すことと、を含む。
【0021】
一実施形態によれば、すべてのチェック・ノードが、単一のグループを形成する時に、ステップb)は、b1)最大事後(MAP)タイプの前記アルゴリズムを使用することによってすべてのチェック・ノードを合同で更新することと、b2)すべての前記第2変数ノードを除くすべての第1変数ノードを更新することと、を含む。
【0022】
言い換えると、この実施形態によれば、すべての第2変数ノードは、いわゆる「内部第2変数ノード」となる。
【0023】
しかし、本発明のこの実施形態は、特にMAPアルゴリズムを使用することによるチェック・ノードの合同更新のゆえに、収束速度の改善を可能にするが、それでも全トレリス計算(チェック・ノードの更新)のフェーズと情報ノードを更新するフェーズという2つのフェーズが、使用されている。
【0024】
全トレリスの小さい部分を復号し、情報ノードを介して情報を更新し、その後、トレリスの次のセクションを計算することがより効率的となる。
【0025】
言い換えると、本発明の他の実施形態によれば、ステップa)は、チェック・ノードを、少なくとも1つの内部第2変数ノードを介して相互に接続された少なくとも2つのチェック・ノードの少なくとも2つのグループに分割することを含み、各グループは、接続する第2変数ノードと呼ばれる1つの第2変数ノードによって隣接するグループに接続される。さらに、サブステップb2)は、前記グループのチェック・ノードに接続されたすべての第1変数ノードを更新することと、前記内部第2変数ノードを更新せずに前記グループに接続された各接続する第2変数ノードを更新することとを含む。
【0026】
チェック・ノードは、グループごとに、前記グループのすべてのチェック・ノードが、それぞれ異なる第1変数ノードに接続されるように分割されることが好ましい。これは、この方法の収束速度をさらに改善する。
【0027】
MAPタイプのアルゴリズムは、好ましくは、いわゆるLogMAPアルゴリズムまたはいわゆるMaxLogMAPアルゴリズムとすることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、LDPC符号は、Irregular Repeat−Accumulate(IRA)符号である。
【0029】
LDPC符号は、たとえばDVB−S2 LDPC符号とすることができる。
【0030】
LDPC符号は、WLAN 802.11n標準規格またはWIMAX 802.16e標準規格で展開された符号とすることもできる。
【0031】
各符号化された符号語は、無線通信システムの無線媒体から受信することができる。
【0032】
本発明の他の態様によれば、LDPC符号化された符号語を復号する復号器であって、前記LDPC符号が、チェック・ノードと第1変数ノードおよびジグザグ接続性によってチェック・ノードに接続された次数2の第2変数ノードを含む変数ノードとを含む2部グラフによって表され、前記復号器が、チェック・ノードを更新するように適合されたチェック・ノード処理手段および変数ノードを更新するように適合された変数処理手段を含む処理手段と、前記処理手段をアクティブ化するように適合された制御手段とを含む、復号器として構成してもよい。
【0033】
本発明のこの態様の一般的な特徴によれば、すべてのチェック・ノードは、内部第2変数ノードと呼ばれる少なくとも1つの第2変数ノードを介して相互に接続されたチェック・ノードの少なくとも1つのグループを定義し、前記チェック・ノード処理手段は、最大事後(MAP)タイプのアルゴリズムを実施し、グループのすべてのチェック・ノードを合同で更新するように適合され、前記制御手段は、前記処理手段を反復してアクティブ化するように適合され、各反復中に、前記グループのすべてのチェック・ノードを合同で更新するため、ならびに前記少なくとも1つの内部第2変数ノードを除く前記グループに接続されたすべての第1変数ノードおよびすべての第2変数ノードを更新するために、グループごとに前記チェック・ノード処理手段および前記変数ノード処理手段をアクティブ化するように適合される。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、すべてのチェック・ノードは単一のグループを形成し、前記チェック・ノード処理手段はすべてのチェック・ノードを合同で更新するように適合され、各反復中に、前記制御手段は、前記チェック・ノード処理手段を合同で更新するためおよびすべての前記第2変数ノードを除くすべての第1変数ノードを更新するために、前記チェック・ノード処理手段および前記変数ノード処理手段をアクティブ化するように適合される。
【0035】
本発明の他の実施形態によれば、複数のチェック・ノードは、少なくとも1つの内部第2変数ノードを介して相互に接続された少なくとも2つのチェック・ノードの少なくとも2つのグループに分割される。各グループは、接続する第2変数ノードと呼ばれる1つの第2変数ノードによって隣接するグループに接続される。前記制御手段は、前記処理手段を反復してアクティブ化するように適合され、各反復中に、前記グループのすべてのチェック・ノードを合同で更新するため、前記グループのチェック・ノードに接続されたすべての第1変数ノードを更新するため、および前記内部第2変数ノードを更新せずに前記グループに接続された各接続する第2変数ノードを更新するために、グループごとに前記チェック・ノード処理手段および前記変数処理手段をアクティブ化するように適合される。
【0036】
本発明のもう1つの態様によれば、上で定義された復号器を含む、無線通信システムの端末を備えてもよい。
【0037】
本発明の他の利益および特徴は、後記する詳細な説明および図面によってさらに明らかになる。しかしながら、これらの記載および図面等に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次の説明では、特に言及しない限り、LDPC符号は、DVB−S2標準規格を定義する「ETSI EN 302 307 v1.1.1 (2004−06)」で定義されたDVB−S2 LDPC符号としている。しかしながら、本発明は、そのような符号に限定されず、たとえばWLAN 802.11n標準規格またはWIMAX 802.16e標準規格で展開されたものなど、任意の他のLDPC符号に使用することができる。
【0039】
LDPC符号のパリティ検査行列Hは、疎な2進行列である。有効な符号語xの組は、Hx=0を満足しなければならない。
【0040】
Hの1列は、符号語の1ビットに関連し、1行は、パリティ検査に対応する。Hの行の非ゼロ要素は、対応するビットがこのパリティ検査に寄与することを意味する。この符号は、タナー・グラフと呼ばれる2部グラフによって最も良く記述される。タナー・グラフは、符号ビットとパリティ検査との間の関連のグラフ表現である。符号ビットは、変数ノードVN(円)として示され、パリティ検査は、チェック・ノードCN(正方形)として示され、辺でこれらが接続されている。各ノードの辺の数を、ノード次数と呼ぶ。ノード次数がすべての変数ノードについて同一の場合に、パリティ検査行列Hをregularと呼び、そうでない場合に、パリティ検査行列Hをirregularと呼ぶ。
【0041】
DVB−S2パリティ検査行列は、2つの別個の部分すなわち、システマティック情報専用のランダム部分およびパリティ情報に属する固定部分からなる。
【0042】
DVB−S2符号のタナー・グラフを図1に示す。それぞれ符号語のシステマティック・ビットおよびパリティ・ビットに対応する2つのタイプの変数ノードすなわち、情報ノードINと呼ばれる変数ノードの第1部分集合と、パリティ・ノードPNと呼ばれる変数ノードの第2部分集合とが存在する。
【0043】
順列Πは、情報ノードINとチェック・ノードCNとの間の接続性のランダム行列部分を表す。パリティ・ノードPNは、すべてが次数2を有し、固定されたジグザグ・パターンでチェック・ノードCNに接続される。
【0044】
N個のチェック・ノードは、情報ノードから来る一定個数の付随する辺を有し、ここでは、チェック・ノード・グルーピングaと呼ばれる。
【0045】
さらに、チェック・ノードの次数は、情報ノードおよびパリティ・ノードから来る付随する辺の個数に対応する。ここで、第1チェック・ノードCNは、次数4を有するが、他のすべてのチェック・ノードは、次数5を有する。
【0046】
K個の情報ノードは、2つの部分集合fおよびfから構成される。fおよびfは、それぞれ、次数jおよび次数3の情報ノードの個数を指定する。
【0047】
情報ノードおよびチェック・ノードの接続性は、次のDVB−S2符号化規則によって定義される。
【数1】

ここで、
は、第jパリティ・ビットであり、
は、第m情報符号ビットであり、
x、q、およびnは、DVB−S2標準規格によって指定される符号レート依存のパラメータである。
【0048】
この符号化規則が、パリティ検査行列の項目を決定する。第m列は、各行jに非ゼロ要素を有し、したがって、順列Πは、すべてのチェック・ノードCNと情報ノードINとの間に1つの辺を生成する。
【0049】
パリティ・ノードPNとチェック・ノードCNとの間の固定されたジグザグ・パターン接続性は、次の符号化方式によって定義される。
【数2】

【0050】
これは、単純なアキュムレータである。パリティ検査行列の対応する部分は、各列に2つの非ゼロ要素を有し、正方帯行列を形成する。
【0051】
従来通りに、LDPC符号は、メッセージ受渡しアルゴリズム(「2フェーズMP」)を使用して復号することができる。このアルゴリズムは、変数ノードとチェック・ノードとの間で反復してソフト情報を交換する。交換されるメッセージは、一般に、対数尤度比(LLR)である。LLR値は、伝送されるビットが「0」または「1」のどちらであるかを判断することを可能にする符号と、この判断の信頼度を表す大きさとを含む。次数iの各変数ノードは、次の関係に従ってメッセージkの更新を計算する。
【数3】

ここで、λは、その変数ノードからの更新されるLLRであり、λchは、その変数ノードの対応するチャネルLLRであり、λは、その変数ノードの付随する辺のLLRである。
【0052】
チェック・ノード・メッセージ更新は、一般に、メッセージkについて、次の関係に従って計算される。
【数4】

ここで、λはチェック・ノードからの更新されるLLRであり、λは、チェック・ノードの付随する辺のLLRである。
【0053】
DVB−S2標準規格は、1/4と等しい符号レートRから9/10と等しい符号レートRまでの範囲にわたるLDPC符号をサポートする。DVB−S2符号ごとに、チェック・ノードCNおよびパリティ・ノードPNは、ジグザグ・パターンで接続される。言い換えると、2つの連続するチェック・ノードは、次数2のパリティ・ノードによって接続される。
【0054】
次数2の変数ノードは、対応するチャネル値を単純に加算された第1の付随する辺の入力が、第2の付随する辺の出力であり、逆も同様であるという特性を有する。
【0055】
したがって、従来技術のように、ノードの更新は、カノニカル・スケジューリング(canonical scheduling)で行うことができる。第1ステップでは、すべての変数ノードを更新しなければならず、第2ステップでは、すべてのチェック・ノードを更新しなければならない。
【0056】
この2フェーズメッセージ受渡しアルゴリズム(「2フェーズMP」)は、LDPC符号に関する最も一般的に適用される復号アルゴリズムである。しかし、この2フェーズ更新の問題は、その遅い収束速度である。
【0057】
本発明では、より高速の収束速度を有する新しい復号方法が提案されている。
【0058】
LDPC符号器は、次のように、実現される可能性がある。符号器は、その次数分布に対応する情報ビットを繰り返す繰返しユニットを含む。この展開されたシーケンスが、インターリーブされ(Π)、これに、Σaと表されるパリティ・グループ化が続く。このグループ化は、ビットのパリティ検査合計(modulo 2)を計算する。その結果が、その後、2状態RSC符号器によって累算される。結果のパリティ・シーケンス
【数5】

およびシステマティック情報
【数6】

が、伝送される。この符号器の結果のタナー・グラフは、パリティ・ノードの固定されたジグザグ接続性をもたらす。
【0059】
その一方で、チェック・ノードは、終端された2状態トレリスと考えることができる。これは、図2において、次数jのチェック・ノードCNについて示されている。トレリスの終端するビットは、時間ステップj−1でのトレリス状態に対応し、これは、グループ化Σj−1にも対応する。
【0060】
パリティ検査グループ化Σおよび2状態RSC符号器を用いる従来の線形符号化方式は、2状態RSC符号器および穴をあけるユニットを用いる符号化方式と同等であることが観察された。
【0061】
言い換えると、本発明による新しい復号方法は、伝送された符号語を、穴をあけられた符号語として解釈する。これは、同一グループのチェック・ノードに接続されたパリティ・ノード(「内部」パリティ・ノードと呼ぶ)を更新せずにチェック・ノードを合同で(すべてのチェック・ノードを一緒にまたはチェック・ノードのグループによってのいずれかで)更新することにつながる。もちろん、従来のLDPC符号器の変更は、本発明の復号方法を実行するためには不要となる。
【0062】
本発明の第1実施形態を、図3に示す。
【0063】
この図では、すべてのチェック・ノードが、単一のグループを形成し、全トレリスETRによって表される。
【0064】
したがって、すべてのパリティ・ノードPNが、内部パリティ・ノードであると考えられる。
【0065】
この第1実施形態による方法の流れを、図4に概略的に示す。
【0066】
より正確には、ステップ40で、すべての情報ノードが、まず、対応するチャネルLLR値λch、実際にはこれらのチャネル値に含まれるシステマティック情報を用いて初期化される。
【0067】
その後、初期化済みメッセージが、2状態トレリスETRに渡され、置換される。
【0068】
ステップ41で、複数のメッセージが、これまでに周知のBCJRアルゴリズムを適用することによって全2状態トレリスETCを介して計算される。当業者は、L.Bahl、J.Cocke、F.Jelinek、およびJ.Raviv、「Optimal Decoding of Linear Codes for Minimizing Symbol Error Rate」、IEEE Transaction on Information Theory、vol.IT−20、284〜287頁、1974年3月において詳細を参照することができる。
【0069】
また、パリティ・ノードPNを更新せずに、すべてのチェック・ノードが合同で更新される、すなわち、チェック・ノードから情報ノードへのすべてのメッセージが、合同で更新される。しかし、パリティ・ノードが更新されないので、受け取られるLLR値
【数7】

(入力メッセージ)に含まれるパリティ情報
【数8】

が、考慮に入れられる。
【0070】
より正確には、BCJRアルゴリズムは、各ビットが送信済みである最大事後(MAP)確率をu=0またはu=1として計算する。Bahl論文でのオリジナルの確率ベース定式化は、多数の乗算を含んでいる。そして、Log−MAPアルゴリズムになるように対数領域に移植される。Log−MAPアルゴリズムも、これまでに当業者に周知な技術である。当業者は、たとえば、P.Robertson、P.Hoeher、およびE.Villebrun、「Optimal and Sub−Optimal Maximum a Posteriori Algorithms Suitable for Turbo Decoding」、European Transactions on Telecommunications(ETT)、vol.8、no 2、119〜125頁、1997年3月〜4月を参照することができる。
【0071】
入力kのMAP確率は、
【数9】

と計算される。
【0072】
情報ノードのLLR
【数10】

は、システマティック入力を表し、パリティ・ノード・メッセージ
【数11】

は、パリティ情報を表す。式(4)は、3つの確率を使用して表すことができ、これらの確率は、符号器状態
【数12】

、k∈{0 … E}およびm,m’∈{1,2}を表し、Eは、INメッセージの個数である[図3を参照されたい]。
【0073】
分岐メトリックス
【数13】

は、
【数14】


【数15】

との間で遷移が行われた確率である。これは、入力メッセージ
【数16】

および
【数17】

、符号構造、ならびにu=0またはu=1の仮定から導出される。詳細について、当業者は、前記したRobertson他の文献を参照することができる。
【0074】
これらの分岐メトリックスを使用することによって、確率
【数18】

が取得されることができ、この確率は、初期状態ならびに受信シーケンス
【数19】

および
【数20】

を与えられて、符号器が状態
【数21】

に達した確率を表している。これは、次のように計算される。
【数22】

【0075】
この計算は、順方向再帰(forward recursion)と呼ばれる。逆方向再帰(backward recursion)を実行することによって、状態
【数23】

および受信シーケンスの残り
【数24】

を与えられて符号器が(既知の)最終状態に達した確率
【数25】

がもたらされる。
【数26】

αおよびβは、両方とも状態メトリックスと呼ばれる。式(4)は、次のように書き直される。
【数27】

【0076】
すべての事後値
【数28】

が計算された時に、それ自体の古い情報の確認を避けるために適当な入力メッセージ
【数29】

を引くことによって決定される外来情報
【数30】

が、情報ノードに戻って渡される。したがって、
【数31】

は、
【数32】

と計算される。
【0077】
言い換えると、
【数33】

は、チェック・ノードによって合同で更新され、情報ノードに戻って渡されるすべてのメッセージのベクトルを表す。
【0078】
ステップ42で、すべての情報ノードが、アクティブであり、前記した式(3)に従って更新される。言い換えると、情報ノードからチェック・ノードへのすべてのメッセージが、前記した従来の式(3)に従って更新され、この式(3)では、λchが、LLRチャネル値のシステマティック情報である。
【0079】
すべての情報ノードがステップ42で更新された後に、反復が終了し、新しい反復を開始することができる(ステップ43)。
【0080】
この反復復号処理は、従来の停止判断基準に達するまで継続される。
【0081】
たとえば、停止判断基準は、指定された通信性能を得るのに必要な所定の反復回数とすることができる。
【0082】
たとえば、復号可能なブロックまたは符号語については、付随する辺の対数尤度比のチェック・ノード合計を考慮に入れた停止判断基準が、非常によい停止判断基準となる。
【0083】
本発明の復号器DCDの例を、図5に概略的に示す。
【0084】
より正確には、復号器DCDは、変数ノード処理手段VPM、チェック・ノード処理手段CPM、ならびに変数ノード処理手段VPMおよびチェック・ノード処理手段CPMを制御する制御手段CTLMを含む処理手段PRMを含む。
【0085】
したがって、各LDPC符号化された符号語ENCWは、復号器DCDによって受け取られ、この復号器は、対応する復号された符号語DCWを送達する。
【0086】
変数ノード処理手段VPMは、上の式(3)に従って情報ノードを更新するためにソフトウェアによって実現されることができる。
【0087】
変数ノード処理手段は、ハードウェアによって、たとえばアキュムレータを使用することによっても実現されることができる。
【0088】
チェック・ノード処理手段は、従来のMAPユニットによって、ハードウェアまたはマイクロプロセッサ内のソフトウェアのいずれかによって実現されることができる。
【0089】
制御手段は、ハードウェアによってまたはマイクロプロセッサ内のソフトウェアによってのいずれかでも実現されることができる。
【0090】
1つの単一を使用する実施形態では、制御手段は、前記処理手段PRMを反復してアクティブ化し、前記チェック・ノードを合同で更新するためおよびすべてのパリティ・ノードを除いてすべての情報ノードを更新するために、各反復中に前記チェック・ノード処理手段CPMおよび前記変数ノード処理手段VPMをアクティブ化するように適合される。
【0091】
図4に示された実施形態によれば、全トレリスETRにわたって使用されるLog−MAPアルゴリズムは、2フェーズが使用されている。一方のフェーズは、トレリス計算(チェック・ノードの合同更新)用であり、他方のフェーズは、情報ノードをアクティブ化し、更新するためのものである。
【0092】
しかし、トレリスの小さいセクションを復号し、情報ノードを介して情報を更新し、その後、トレリスの次のセクションを計算することが、より効率的である。
【0093】
そのような実施形態を、図6および7により具体的に示す。
【0094】
全トレリスは、チェック・ノードのグループGRに対応するより小さいセクションTRSに区分される。1つのトレリス・セクションに用いられる情報ノード辺の個数を、セクション・サイズSと称する。
【0095】
本実施例では、S=6としている。言い換えると、各トレリス・セクションTRSは、3と等しいグループ化を有する2つのチェック・ノードのグループGRに対応する。
【0096】
図1に示されたオリジナルのタナー・グラフでは、2つの隣接するチェック・ノードが一つのパリティ・ノードを介して接続される。このパリティ・ノードを、本明細書では「内部」パリティ・ノードと称する。これは、たとえば第1グループGRのパリティ・ノードPNまたは図6の第1トレリス・セクションTRSにあてはまる。
【0097】
より一般的に、図6の例に示されているように、各グループGR(トレリス・セクションTS)は、2つの内部パリティ・ノードPNおよびPNn+1に関連する最後のトレリス・セクションTRSを除いて、1つの内部パリティ・ノードTNに関連する。
【0098】
後記するように、本発明では、これらの内部パリティ・ノードのすべてが反復復号方法中に更新されない。
【0099】
さらに、各トレリス・セクションTRSまたはグループGRは、本明細書で「接続する」パリティ・ノードと呼ばれる1つのパリティ・ノードによって、隣接するグループに接続される。
【0100】
本実施例では、グループGRは、接続するパリティ・ノードPN1,2によってグループGRに接続されている。より一般的に言えば、グループGRは、接続するパリティ・ノードPNi−1,iを介してグループGRi−1に、接続するパリティ・ノードPNi,i+1を介してグループGRi+1に接続されている。
【0101】
現在の例では、チェック・ノードは、2つのチェック・ノードのグループに分割されている。しかし、1つのグループまたは1つのトレリス・セクション内のチェック・ノードの個数は、異なるものとすることができ、グループごとに異なるものとすることができる。
【0102】
しかし、本復号方法は、各グループのすべてのチェック・ノードが、それぞれ異なる情報ノードに接続されるときに、より効率的となる。
【0103】
この実施形態による復号方法の流れが図7に示される。
【0104】
端的に言うと、情報ノードから始めて、対応するメッセージが、第1トレリス・セクションに渡される。Log−MAPアルゴリズムを使用して、新しい外来情報が、計算され、参加する情報ノードすなわち、前記第1トレリス・セクションに接続された情報ノードに戻って渡される。参加する情報ノードの出力メッセージは、上の従来の式(3)に従って更新される。次に、次のトレリス・セクションが処理される。1つの反復は、すべてのトレリス・セクションがそのメッセージを更新した時に終了する。2つのトレリス・セクションの境界の間のメッセージ受渡しは、接続するパリティ・ノードを介して行われ、この接続するパリティ・ノードは、次数2の標準変数ノードであり、上の従来の式(3)に従って更新される。
【0105】
より正確には、図7を参照すると、第1ステップ70は、LLRチャネル値λch(システマティック情報)を使用する情報ノード初期化である。この初期化ステップ70は、図4の初期化ステップ40に類似する。
【0106】
次に、反復1(it=1)が始まる。
【0107】
反復1は、第1トレリス・セクションTRSまたはチェック・ノードの第1グループGR(i=1)の処理から始まる。グループGRのすべてのチェック・ノードが、上で説明したLog−MAPアルゴリズムを使用することによって合同で更新される。
【0108】
言い換えると、全トレリス内の1つのセクションだけが処理される。かかるトレリスのセクション処理は、「ウィンドウイング」と呼ばれ、当業者に知られている。境界での状態メトリックスは、それぞれ順方向再帰または逆方向再帰を伴う獲得フェーズによって従来通りに計算することができる。しかし、獲得フェーズを、ここでは避けることができる。すなわち、2状態RST符号器のパリティ・ビットが、次の時間ステップにトレリスを終了させるからである。したがって、この終了条件を使用して、パリティ・ノード情報が使用可能であるときには必ず、順方向再帰または逆方向再帰を開始することができる。
【0109】
グループGRのすべてのチェック・ノードが更新された(ステップ71)後に、すべての参加する情報ノードINを、上の従来の式(3)に従って更新する(ステップ72)。いわゆる参加する情報ノードINは、チェック・ノードの第1グループGRを表す第1トレリス・セクションTRS1に接続された情報ノードである。
【0110】
次に、当然のことながら、内部パリティ・ノードPNを除いて、この第1トレリス・セクションTRSに接続されたパリティ・ノードを更新する。
【0111】
本実施例では、第1トレリス・セクションTRSに接続されたパリティ・ノードは、接続するパリティ・ノードPN1,2である。
【0112】
この接続するパリティ・ノードは、前記した式(3)に従って従来通りに更新される。ここで、λchは、パリティ情報である(ステップ73)。
【0113】
次に、第2トレリス・セクションTRSが処理される。
【0114】
より正確には、このトレリス・セクションTRSに対応するすべてのチェック・ノードが、合同で更新される(ステップ71)。次に、すべての参加する情報ノードが更新され(ステップ72)、その後、接続するパリティ・ノードPN1,2およびPN2,3が更新される。
【0115】
復号は、最後のトレリス・セクションTRSに達するまで継続される。
【0116】
再度、この最後のトレリス・セクションTRSに対応するチェック・ノードが、合同で更新されると(ステップ71)、すべての参加する情報ノードが更新され(ステップ72)、最後に、接続するパリティ・ノードPNn−1,nが、再び更新される(ステップ73)。
【0117】
また、この最後のトレリス・セクションにおいては、内部パリティ・ノードPNおよびPNn+1は、更新されない。
【0118】
この段階で、反復1が終了し、次の反復(it=it+1、ステップ76)を開始することができる。
【0119】
復号処理は、既に前記した図4の説明のように、停止判断基準に達した時に停止する。
【0120】
本実施例では、トレリス・セクションは、各反復中に、最初のトレリス・セクションから最後のトレリス・セクションへと連続して処理されて終える。
【0121】
しかし、本発明によれば、各反復中に任意の順序でトレリス・セクションを連続して処理することも可能となる。
【0122】
セクション・サイズSは、少なくとも2つのチェック・ノードの合同MAP処理を保証するために、チェック・ノードのグループ化または次数の倍数になるように選択される。Sの適切な値は、S=10aとすることができる(「a」は、チェック・ノードのグループ化または次数である)。
【0123】
本発明にかかる他の実施形態を実施することを可能にする復号器は、図5に示された復号器に類似するハードウェアとすることができる。もちろん、制御手段は、図7に示された異なるステップを実行するために実現され、またはプログラムされる。さらに、変数処理手段VPMは、情報ノードまたは接続するパリティ・ノードのいずれかを更新するのに使用される。
【0124】
本発明による復号方法の変換速度は、従来技術による従来の「2フェーズMP」およびMansour論文で開示されたいわゆる「ターボMP」より高速であり、両方の従来技術の方法は、例外なしに、すべてのパリティ・ノードが更新されると共に、チェック・ノードが別々に更新される。
【0125】
本発明による復号方法は、高い符号レート柔軟性をサポートする。
【0126】
さらに、本発明による復号方法は、必要な反復の回数をかなり減らし、さらに、エラー・フロアをより低くする。
【0127】
一例として、図8に、異なるメッセージ受渡しアルゴリズムすなわち、従来の2フェーズ・メッセージ受渡し(「2フェーズMP」)、いわゆるターボ・メッセージ受渡しアルゴリズム(「ターボMP」)、および、ここでは「セクション化されたMP」と呼ばれる本発明の第2実施形態による復号方法を使用するirregular LDPC符号の通信性能を示す。
【0128】
図8の左側のフレーム誤り率(FER)曲線は10回の反復を仮定し、図8の右側の曲線は2フェーズMP、ターボMP、およびセクション化されたMPについて、それぞれ40回、40回および30回の反復を仮定する。
【0129】
はチャネル上のビット情報伝送の平均エネルギであり、Nは前記チャネルの雑音エネルギである。
【0130】
100kのブロックは、AWGNチャネル上でシミュレートされる。LDPC符号は、1600ビットおよび(λ3=0.52,λ4=0.24,λ5=0.08,λ9=0.04,λ31=0.12)のIN次数分布を有するirregular LDPC符号である。さらに、グループ化a(チェック・ノード次数)は、7と等しく、結果の符号レートは、R=0.5である。
【0131】
セクション化されたMPは、S=70のセクション・サイズを使用し、このサイズは、符号レートR=0.5の10個のCNの合同処理に対応する。セクション化されたMPの収束速度は、必ずターボMPおよび2フェーズMPより速い。
【0132】
特に、低符号レートについて、収束速度の差は、注目すべきものとなる。一方、R=0.125および10回の反復について、ターボMPおよび2フェーズMPのFERは、収束を開始することすらしていなかった。
【0133】
さらに、2フェーズMPを使用するときには、セクション化されたMPの30回の反復の後で得られる通信性能を達成するために、約200回の反復が必要である。
【0134】
もう1つの重要な利益は、複数のCNの合同計算に起因して、エラー・フロアを下げることができることである。セクション化されたMPは、ターボMPより低いエラー・フロアを有し、ターボMPは、2フェーズMPより低いエラー・フロアを有する。
【0135】
LDPC復号器DCDを、無線通信システムの受信器TP(図9)、たとえば、衛星チャネルを介して符号化された符号語を受信する、たとえば復調器DMDとして他の従来の構成要素を含むDVB−S2受信器に組み込むことができる。
【0136】
この復号器は、基地局または任意の他のアクセス・ポイントに組み込むこともできる。
【0137】
しかし、本発明は、前記した応用例に限定されないことは言うまでもない。たとえば、LDPC符号化された符号語を、有線通信システム、たとえばxDSLシステムまたは光ファイバ・システムから受信することも可能である。また、復号器を、そのような有線通信システムの要素に組み込むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】DVB−S2 LDPC符号の2部グラフを示す図である。
【図2】次数jのチェック・ノードと2状態トレリスとの間の対応を示す図である。
【図3】トレリス表現を用いて提示されたLDPC符号のグラフ表現を示す図である。
【図4】本発明にかかる方法の第1実施形態に関係する流れ図を概略的に示す図である。
【図5】本発明にかかる復号器の実施形態を概略的に示す図である。
【図6】S=6のセクション・サイズを有するトレリス・セクションと共に提示されたLDPC符号の表現を概略的に示す図である。
【図7】本発明にかかる方法のもう1つの実施形態に関係する流れ図を概略的に示す図である。
【図8】フレーム誤り率(FER)に関係する曲線を示す図である。
【図9】本発明にかかる無線通信システムの端末を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LDPC符号化された符号語を復号する方法であって、
前記LDCP符号は、2部グラフによって表され、
前記2部グラフは、チェック・ノードと変数ノードと、から構成されており、
前記変数ノードには、第1変数ノード(IN)およびジグザグ接続性によって前記チェック・ノード(CN)に接続された次数2の第2変数ノード(PN)が含まれており、
a)内部第2変数ノード(PN)と呼ばれる少なくとも1つの第2変数ノードを介して相互に接続されたチェック・ノードの少なくとも1つのグループ(GR)をすべての前記チェック・ノードから定義することと、
b)グループ(GR)ごとに、b1)最大事後(MAP)タイプのアルゴリズムを使用することによって前記グループのすべての前記チェック・ノードを合同で更新するサブステップ(71)と、b2)前記少なくとも1つの内部第2変数ノードを除く前記グループに接続されたすべての前記第1変数ノードおよびすべての前記第2変数ノード(PNi−1,i、PNi,i+1)を更新するサブステップ(72、73)と、を実行することと、
c)ステップb)を反復して繰り返すことと、からなる方法。
【請求項2】
すべての前記チェック・ノードは、単一のグループが形成され、
ステップb)には、
b1)前記最大事後(MAP)タイプの前記アルゴリズムを使用することによってすべての前記チェック・ノードを合同で更新すること(41)と、
b2)すべての前記第2変数ノードを除くすべての前記第1変数ノードを更新すること(42)と、が含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)には、前記チェック・ノードを、少なくとも1つの内部第2変数ノードを介して相互に接続された少なくとも2つのチェック・ノードの少なくとも2つのグループに分割することが含まれ、
各グループは、接続する第2変数ノードと呼ばれる1つの第2変数ノードによって隣接するグループに接続され、
サブステップb2)は、前記グループの前記チェック・ノードに接続されたすべての前記第1変数ノードを更新すること(72)と、前記内部第2変数ノードを更新せずに前記グループに接続された各接続する第2変数ノードを更新すること(73)と、が含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記グループのすべての前記チェック・ノードは、グループごとに、それぞれ異なる第1変数ノードに接続される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記MAPタイプの前記アルゴリズムは、いわゆるLogMAPアルゴリズムまたはいわゆるMaxLogMAPアルゴリズムである、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記LDPC符号の前記2部グラフは、第1変数ノードとして情報ノード(IN)および第2変数ノードとしてパリティ・ノード(PN)を含んでいる、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記LDPC符号は、Irregular Repeat−Accumulate(IRA)符号である、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記LDPC符号は、DVB−S2 LDPC符号またはWLAN 802.11n標準規格もしくはWIMAX 802.16e標準規格で展開された符号である、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
各符号化された符号語は、無線通信システムの無線媒体からまたは有線通信システムから受信される、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
LDPC符号化された符号語を復号する復号器であって、
前記LDPC符号は、チェック・ノードと、第1変数ノード(IN)およびジグザグ接続性によって前記チェック・ノード(CN)に接続された次数2の第2変数ノード(PN)を含む変数ノードと、が含まれた2部グラフによって表され、
チェック・ノードを更新するように適合されたチェック・ノード処理手段(CPM)および変数ノードを更新するように適合された変数処理手段(VPM)を含む処理手段(PRM)と、前記処理手段をアクティブ化するように適合された制御手段とを備え、
すべての前記チェック・ノードは、内部第2変数ノードと呼ばれる少なくとも1つの第2変数ノードを介して相互に接続されたチェック・ノードの少なくとも1つのグループを定義し、
前記チェック・ノード処理手段(CPM)は、最大事後(MAP)タイプのアルゴリズムを実施し、グループのすべての前記チェック・ノードを合同で更新するように適合され、
前記制御手段(CTLM)は、前記処理手段(PRM)を反復してアクティブ化するように適合され、各反復(it)中に、前記グループのすべての前記チェック・ノードを合同で更新するため、ならびに前記少なくとも1つの内部第2変数ノードを除く前記グループに接続されたすべての前記第1変数ノードおよびすべての前記第2変数ノードを更新するために、グループごとに前記チェック・ノード処理手段(CPM)および前記変数ノード処理手段(VPM)をアクティブ化するように適合される、復号器。
【請求項11】
すべての前記チェック・ノードは、単一のグループを形成し、
前記チェック・ノード処理手段は、すべての前記チェック・ノードを合同で更新するように適合され、
前記制御手段(CTLM)は、各反復中に、前記チェック・ノードを合同で更新するためおよびすべての前記第2変数ノードを除くすべての前記第1変数ノードを更新するために、前記チェック・ノード処理手段および前記変数ノード処理手段をアクティブ化するように適合される、請求項10に記載の復号器。
【請求項12】
前記チェック・ノードは、少なくとも1つの内部第2変数ノードを介して相互に接続された少なくとも2つのチェック・ノードの少なくとも2つのグループに分割され、
各グループは、接続する第2変数ノードと呼ばれる1つの第2変数ノードによって隣接するグループに接続され、
前記制御手段(CTLM)は、前記処理手段を反復してアクティブ化するように適合され、各反復中に、前記グループのすべての前記チェック・ノードを合同で更新するため、前記グループの前記チェック・ノードに接続されたすべての前記第1変数ノードを更新するため、および前記内部第2変数ノードを更新せずに前記グループに接続された各接続する第2変数ノードを更新するために、グループごとに前記チェック・ノード処理手段および前記変数処理手段をアクティブ化するように適合される、請求項10に記載の復号器。
【請求項13】
前記グループのすべての前記チェック・ノードは、グループごとに、それぞれ異なる第1変数ノードに接続される、請求項12に記載の復号器。
【請求項14】
前記MAPタイプの前記アルゴリズムは、いわゆるLogMAPアルゴリズムまたはいわゆるMaxLogMAPアルゴリズムである、請求項10ないし請求項13のいずれかに記載の復号器。
【請求項15】
前記メッセージは、対数尤度比(LLR)である、請求項10ないし請求項14のいずれかに記載の復号器。
【請求項16】
前記LDPC符号の前記2部グラフは、第1変数ノードとして情報ノード(IN)および第2変数ノードとしてパリティ・ノード(PN)を含む、請求項10ないし請求項15のいずれかに記載の復号器。
【請求項17】
前記LDPC符号は、Irregular Repeat−Accumulate(IRA)符号である、請求項16に記載の復号器。
【請求項18】
前記LDPC符号は、DVB−S2 LDPC符号またはWLAN 802.11n標準規格もしくはWIMAX 802.16e標準規格で展開された符号である、請求項16に記載の復号器。
【請求項19】
請求項10ないし請求項18のいずれかに記載の復号器を備える、無線通信システムまたは有線通信システム、たとえばxDSLシステムまたは光ファイバ・システムの要素。
【請求項20】
無線通信システムの端末または基地局またはアクセス・ポイントを形成する、請求項19に記載の要素。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−531897(P2009−531897A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502080(P2009−502080)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052986
【国際公開番号】WO2007/110436
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(301040578)エスティマイクロエレクトロニクス エヌヴィ (5)
【Fターム(参考)】