説明

チェーン駆動式コンベヤー

【課題】 チェーンが破断しても搬送効率が大幅に低下するのを防ぐことができるチェーン駆動式コンベヤーを提供する。
【解決手段】 このコンベヤー1は、センターリンク71の左右側部712、711の近傍に近接スイッチ100、100が設けられている。この近接スイッチ100、100は、検知面101、101をそれぞれセンターリンク71の左右側部712、711へ向けて配置されており、左右側部712、711の一方が破断して外側へ屈曲し、検知面101から所定距離(約15mm)のところまで接近してきたときに、左右側部712、711の一方を検知するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーン駆動式コンベヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車体の製造ラインにおいてワークを搬送するためにチェーン駆動式コンベヤーが使用されている。このチェーン駆動式コンベヤーは、一般的に、無端状に形成されたチェーンと、このチェーンに噛合してチェーンを駆動する駆動部とを中心にして構成されている。
【0003】
そして、ワークを搬送する場合には、チェーンにハンガー等を介してワークを載せて、駆動部でチェーンを駆動することでワークを各工程に搬送している。またこのようなチェーン駆動式コンベヤーの中には、ワークの搬送中にチェーンが破断した場合に駆動部にチェーンが絡まったのを判断することによって駆動部を停止させるものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したチェーン駆動式コンベヤーにおいては、駆動部にチェーンが絡まると復旧するのに時間がかかるため、搬送効率が大幅に低下してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、チェーンが破断しても搬送効率が大幅に低下するのを抑えることができるチェーン駆動式コンベヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明の請求項1記載のチェーン駆動式コンベヤーにおいては、無端状に形成されて搬送物が取り付けられるチェーンと、このチェーンに噛合してこのチェーンを駆動する駆動部とを備えたチェーン駆動式コンベヤーにおいて、前記搬送物の搬送中に破断される前記チェーンの破断部位の近傍にセンサーを設け、このセンサーは、前記破断部位が破断して外側へ屈曲されたときに、この破断部位を検知するように構成されたものとしている。
【0007】
かかる構成においては、チェーンが駆動部に絡まる前にセンサーがチェーンの破断部位を検知するため、復旧にかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載のチェーン駆動式コンベヤーにおいては、チェーンが駆動部に絡まる前にセンサーがチェーンの破断部位を検知するため、復旧にかかる時間を短縮することができる。よって、チェーンが破断しても搬送効率が大幅に低下するのを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す車体の製造ラインに設けられたチェーン駆動式コンベヤー1の要部側面図である。このチェーン駆動式コンベヤー1は、ワークXを吊り下げた状態で搬送するものであり、ラインに沿って上方に配設されたレール部2と、レール部2に移動可能に支持されたコンベヤー本体3と、コンベヤー本体3を駆動する図外の駆動部とを中心にして構成されている。
【0011】
レール部2は無端状に形成されており、第1のレール21と、第1のレール21の下方に対向して配置された第2のレール22と、両レール21、22を連結する複数の連結部材23とから構成されている。
【0012】
一方、コンベヤー本体3は、第1のレール21に移動可能に支持された第1の支持体4と、第1の支持体4の移動方向A(ワークXの搬送方向)側に当接した状態で第2のレール22に移動可能に支持された複数の第2の支持体5とから構成されている。
【0013】
さらに第1の支持体4は、図2に示すように、第1のレール21上を移動する複数の移動部6と、これらの移動部6に支持されたチェーン7とから構成されている。
【0014】
また各移動部6は、第1のレール21上を転動するローラー61と、ローラー61に回転軸62を介して支持され、チェーン7を挟持する挟持部63とから構成されている。
【0015】
またチェーン7は無端状に形成されており、各挟持部63に支持される複数のセンターリンク71と、隣合うセンターリンク71、71同士を上下から挟んでリンクピン72で軸支された上下一対の複数のサイドリンク73、74とから構成されている。
【0016】
センターリンク71は環状に形成されており、ワークXの搬送方向Aに対して水平になるように配置されている。
【0017】
一方、サイドリンク73、74も搬送方向Aに対して水平になるように配置されている。また下側のサイドリンク74には下方へ延出した下方延出部75が設けられており、この下方延出部75の搬送方向A側に第2の支持体5が当接されている。
【0018】
この第2の支持体5は、図1に示すように、サイドリンク74の下方延出部75の搬送方向A側に当接した当接部8と、当接部8の後方側(搬送方向Aと反対側)にリンク51を介して連結された前後一対の支持部9、9と、両支持部9、9の下側に吊り下げられて取り付けられたハンガー10とから構成されている。
【0019】
当接部8は、サイドリンク74の下方延出部75の搬送方向A側に当接した当接部本体81と、当接部本体81に回転自在に取り付けられた前後一対のローラ82、82とから構成されている。両ローラー82、82は第2のレール22に支持されており、両ローラー82、82が第2のレール22上を転動していくことで当接部8は第2のレール22上を移動するように構成されている。
【0020】
一方、支持部9は、支持部本体91と、支持部91本体に回転自在に取り付けられた前後一対のローラー92、92とから構成されている。両ローラー92、92は第2のレール22に支持されており、両ローラー92、92が第2のレール22を転動していくことで支持部9は第2のレール22上を移動するように構成されている。
【0021】
また、ハンガー10は支持部9の下側に吊り下げられて取り付けられており、このハンガー10にはワークXが載せられている。
【0022】
また前記駆動部はチェーン7に噛合するように形成されており、この駆動部が回転することによりチェーン7が搬送方向Aに駆動され、下方延出部75を介して第2の支持体5が搬送方向Aに移動していくことによりワークXを各工程に搬送するように構成されている。
【0023】
また、チェーン7のセンターリンク71は環状に形成されており、搬送中においてチェーン7にかかる引張り応力に対して、前記センターリンク71がいちばん強度が弱いため、センターリンク71の左右側部712、711が搬送中に破断される破断部位となっている。
【0024】
そして本実施の形態のコンベヤー1においては、図3に示すようにセンターリンク71の左右側部712、711の近傍に本発明のセンサーである近接スイッチ100、100が設けられている。
【0025】
この近接スイッチ100、100は、検知面101、101をそれぞれセンターリンク71の左右側部712、711へ向けて配置されており、図4に示すように、左右側部712、711の一方が破断して外側へ屈曲し、検知面101から所定距離(約15mm)のところまで接近してきたときに、左右側部712、711の一方を検知するように構成されている。なお、前記所定距離は、チェーン7が移動する際の幅方向の振れでは近接スイッチ100が検知しない範囲で設定されている。
【0026】
そしてこの近接スイッチ100は、ケーブル110を介してシーケンサー120の入力カード121に接続されている。そして、シーケンサー120の出力カード122はケーブル130を介して集合表示灯140に接続されており、近接スイッチ100からの検知信号が入力された場合には「センターリンク変形」と表示するように構成されている。
【0027】
かかる構成においては、チェーン7が前記駆動部に絡まる前に近接スイッチ100がチェーン7の破断部位712を検知するため、コンベヤー1の復旧にかかる時間を短縮することができる。よって、本実施の形態のチェーン駆動式コンベヤー1においては、チェーン7が破断しても搬送効率が大幅に低下するのを抑えることができる。またこの結果、製造ラインが長時間停止することがなくなり、生産効率の大幅な低下を抑えることができる。
【0028】
なお本実施の形態では、センサーとして近接スイッチ100を使用したが、この他に第2の実施の形態として図5に示すコンベヤー200のようにリミットスイッチ201を使用しても良い。
【0029】
また両実施の形態とも、センターリンク71の左右側の近傍にセンサーを配置したが少なくともセンターリンク71において破断しやすい側(片側)にセンサーを配置すれば良く、例えばチェーン7を途中で支持するために従動軸を備えたコンベヤーの場合には、従動軸と対向してセンターリンク71の外側にセンサーを配置すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す車体の製造ラインに設けられたチェーン駆動式コンベヤーの要部側面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】チェーン駆動式コンベヤーの模式平面図である。
【図4】図3において近接スイッチが作動した状態を示すチェーン駆動式コンベヤの模式平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示すチェーン駆動式コンベヤーの模式平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 チェーン駆動式コンベヤー
7 チェーン
100 近接スイッチ
201 リミットスイッチ
711 右側部
712 左側部
X ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に形成されて搬送物が取り付けられるチェーンと、このチェーンに噛合してこのチェーンを駆動する駆動部とを備えたチェーン駆動式コンベヤーにおいて、
前記搬送物の搬送中に破断される前記チェーンの破断部位の近傍にセンサーを設け、このセンサーは、前記破断部位が破断して外側へ屈曲されたときに、この破断部位を検知するように構成されたことを特徴とするチェーン駆動式コンベヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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