説明

チオトロピウム塩類を投与することを含む心疾患のリスクに対する保護の方法

本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、心疾患のリスクに対して患者を保護する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、心疾患のリスクに対する患者の保護の方法に関する。
【0002】
(背景技術)
慢性疾患、例えば、限定されるわけではないがCOPDの様な慢性的な呼吸器疾患に罹患している患者において、心疾患のリスクが大幅に増加することが度々観察される。病気に関連している症状に加えて、上述の心疾患のリスクが増大することにより、虚血性冠動脈疾患、虚血性心疾患、狭心症及び症候性心筋虚血にかかる確率が増大する。
【0003】
本発明は、慢性疾患に罹患する患者をこの増加する心疾患のリスクから保護する方法に関する。
【0004】
(発明の詳細な説明)
従って本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、患者を心疾患のリスクから保護する方法に関する。他の実施態様において、本発明は治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、慢性疾患に罹患する患者を心疾患のリスクから保護する方法に関する。他の好ましい実施態様において、本発明は治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、慢性疾患に罹患する患者を心疾患のリスクから保護する方法であって、慢性疾患がCOPDであるものに関する。
【0005】
ここで前述する心疾患は、虚血性冠動脈疾患、虚血性心疾患、狭心症及び症候性心筋虚血を含む。
【0006】
従って、好ましい実施態様において、本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、心疾患のリスクに対して患者を保護する方法であって、心疾患が虚血性冠動脈疾患、虚血性心疾患、狭心症及び症候性心筋虚血から選ばれるものに関する。他の好ましい態様において、本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、心疾患のリスクに対して患者を保護する方法であって、患者が慢性疾患に罹患しており、心疾患が虚血性冠動脈疾患、虚血性心疾患、狭心症及び症候性心筋虚血から選ばれるものに関する。
さらに好ましい実施態様において、本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、心疾患のリスクに対して患者を保護する方法であって、患者が慢性疾患に罹患しており、その慢性疾患がCOPDであり、及び心疾患が虚血性冠動脈疾患、虚血性心疾患、狭心症及び症候性心筋虚血から選ばれるものに関する。
【0007】
増加する心疾患のリスクに付随する有害事象は、急性冠症候群、不安定狭心症、冠動脈疾患、冠状動脈閉塞、冠動脈狹窄症、冠動脈不全、冠動脈アテローム性動脈硬化症、冠動脈血栓症、虚血性心筋症、心筋虚血、冠動脈解離、心筋梗塞及び急性心筋梗塞の中から選択される。
【0008】
従って、他の好ましい実施態様において、本発明は治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、有害事象のリスクに対して患者を保護する方法であって、有害事象が急性冠症候群、不安定狭心症、冠動脈疾患、冠状動脈閉塞、冠動脈狹窄症、冠動脈不全、冠動脈アテローム性動脈硬化症、冠動脈血栓症、虚血性心筋症、心筋虚血、冠動脈解離、心筋梗塞及び急性心筋梗塞から選ばれるものに関する。
【0009】
他の好ましい実施態様において、本発明は、従って、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、有害事象のリスクに対して患者を保護する方法であって、当該患者が慢性疾患に罹患しており、有害事象が急性冠症候群、不安定狭心症、冠動脈疾患、冠状動脈閉塞、冠動脈狹窄症、冠動脈不全、冠動脈アテローム性動脈硬化症、冠動脈血栓症、虚血性心筋症、心筋虚血、冠動脈解離、心筋梗塞及び急性心筋梗塞から選ばれるものに関する。
【0010】
他の好ましい実施態様において、本発明は、従って、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、有害事象のリスクに対して患者を保護する方法であって、当該患者がCOPDに罹患しており、有害事象が急性冠症候群、不安定狭心症、冠動脈疾患、冠状動脈閉塞、冠動脈狹窄症、冠動脈不全、冠動脈アテローム性動脈硬化症、冠動脈血栓症、虚血性心筋症、心筋虚血、冠動脈解離、心筋梗塞及び急性心筋梗塞から選ばれるものに関する。
【0011】
好ましくは、本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、有害事象のリスクに対して患者を保護する方法であって、有害事象が急性冠症候群、狭心症、不安定狭心症、冠動脈疾患、冠状動脈閉塞、冠動脈狹窄症、冠動脈不全、冠動脈アテローム性動脈硬化症、冠動脈血栓症、虚血性心筋症、心筋虚血及び冠動脈解離から選ばれるものに関する。
【0012】
他の好ましい実施態様として、本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、有害事象のリスクに対して患者を保護する方法であって、当該患者が慢性疾患に罹患しており、有害事象が急性冠症候群、狭心症、不安定狭心症、冠動脈疾患、冠状動脈閉塞、冠動脈狹窄症、冠動脈不全、冠動脈アテローム性動脈硬化症、冠動脈血栓症、虚血性心筋症、心筋虚血及び冠動脈解離から選ばれるものに関する。
【0013】
他の実施態様として、本発明は、治療有効量のチオトロピウム塩を投与することを含む、有害事象のリスクに対して患者を保護する方法であって、当該患者がCOPDに罹患しており、有害事象が急性冠症候群、狭心症、不安定狭心症、冠動脈疾患、冠状動脈閉塞、冠動脈狹窄症、冠動脈不全、冠動脈アテローム性動脈硬化症、冠動脈血栓症、虚血性心筋症、心筋虚血及び冠動脈解離から選ばれるものに関する。
【0014】
さらに、本発明は、前述の心疾患と有害事象のリスクに対して患者を保護を目的とした医薬品の製造における治療有効量のチオトロピウム塩の使用に関する。
【0015】
さらに、本発明は、前述の心疾患と有害事象のリスクに対して患者を保護を目的とした医薬品の製造における治療有効量のチオトロピウム塩の使用であって、当該患者が慢性疾患に罹患しているものに関する。
【0016】
さらに、本発明は、前述の心疾患と有害事象のリスクに対して患者を保護を目的とした医薬品の製造における治療有効量のチオトロピウム塩の使用であって、当該患者がCOPDに罹患しているものに関する。
【0017】
「治療有効量」という用語は、組織、器官、動物、人間に生物学的又は医学的反応を引き起こすと研究者または臨床家に認識される薬物又はは薬剤の量を意味する。
【0018】
本発明の他の態様では、各個別の投与量が好ましくは1〜20μg、さらに好ましくは2〜15μgのチオトロピウム1'を投与することを含む、上述の方法に関する。本発明の他の態様では、各個別の投与量5-10μgのチオトロピウム1'を投与することを特徴とする上述の方法に関する。
【0019】
本発明の他の態様では、チオトロピウム塩を1日あたり1回又は2回投与し、好ましくは1回投与する上述の方法に関する。本発明の他の態様では、チオトロピウム塩を朝又は晩に投与する上述の方法に関する。
【0020】
本発明では、チオトロピウム塩の使用は溶媒和物や水和物の使用を含み、水和物が好ましく、一水和物が最も好ましい。
本発明による使用においては、チオトロピウム塩は、カウンターイオンとしてのチオトロピウム1'に加えて、一価の負荷電を有する陰イオンX-を含む。陰イオンX-は、好ましくは塩化イオン、臭化イオン、ヨー化イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、硝酸イオン、マレイン酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、フマル酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、安息香酸イオン及びp−トルエンスルホン酸イオンから選択され、塩化イオン、臭化イオン、ヨー化イオン、硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンがカウンターイオンとして好ましい。すべての塩の中で塩化物、臭化物、ヨー化物及びメタンスルホン酸塩が特に好ましい。臭化チオトロピウムは本発明において特に重要であり、WO 02/30928に開示された結晶性の臭化チオトロピウム一水和物の形状であることが好ましい。別の好ましい実施例はWO 03/000265又はWO 05/042527に開示されている、臭化チオトロピウム無水物である。これら二つの無水化合物の中でWO 05/042527に開示されているほうがとりわけ興味深い。
【0021】
前記チオトロピウムの量について、単回投与量中の活性物質であるチオトロピウム1'の量に基づき、当業者は例えば臭化チオトロピウム及び/又は臭化チオトロピウム一水和物の対応量を容易に計算することができる。
【0022】
本発明において、チオトロピウム塩は吸入により投与することが好ましい。この目的の為に、チオトロピウム塩は吸入可能な剤形に調製しなければならない。吸入可能な調製物には吸入用粉末、噴霧剤含有定量エアロゾル、又は噴霧剤を含まない吸入可能な溶液が含まれる。本発明において、チオトロピウム塩を含む吸入用粉末は生理的に許容可能な賦形剤と混合してもよい。本発明の範囲内において、噴霧剤を含まない吸入可能な溶液という用語には、濃縮液又は滅菌済みの吸入可能な調製済み溶液も含むものとする。本発明の範囲内で使用される処方については、明細書の次の部分でさらに詳細に記載する。
【0023】
本発明において、0.01〜2%のチオトロピウムを含む吸入用粉末が好ましい。本発明において使用する吸入用粉末は、0.03〜1%のチオトロピウムを含むことがとりわけ好ましく、0.05〜0.6%が好ましく、0.06〜0.3%が特に好ましい。本発明において吸入用粉末が約0.08〜0.22%のチオトロピウムを含むことがとりわけ最も重要である。
前述の明細書に記載したチオトロピウムの量はチオトロピウムカチオンの含有量に基づく。
【0024】
本発明の目的のために使用する賦形剤は、当該技術において既知の現行の方法を用いて、適切な粉砕及び/又はスクリーニングにより調製する。本発明で使用する賦形剤は異なる平均粒径を含む賦形剤の画分を混合して得られる賦形剤の混合物であってもよい。
【0025】
本発明によるインハレット(吸入用カプセル inhalette)に使用する吸入用粉末の調製に使用する生理的に許容可能な賦形剤の例には、単糖類(例えば、グルコース、フルクトース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース、トレハロース)、少糖類及び多糖類(例えば、デキストラン類、デキストリン類、マルトデキストリン、デンプン、セルロース)、多価アルコール類(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、シクロデキストリン類(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、χ-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)、アミノ酸類(例えば、塩酸アルギニン)又は塩類(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)、又はそれらの混合物を含む。好ましくは単糖類又は二糖類が使用され、とりわけラクトース又はグルコースが好ましい、限定はされないが、その水和物の形が好ましい。本発明の目的の為にはラクトースが特に好ましい賦形剤である。
【0026】
本発明の範囲における吸入用粉末の賦形剤は、250μmまでの最大平均粒径を有し、平均粒径の範囲は10〜150μmが好ましく、15〜80μmが最も好ましい。上記の賦形剤に平均粒径が1〜9μmのより微細な賦形剤画分を加えることが適切な場合もある。より微細な賦形剤は前項に列挙した可能な賦形剤の群から選ぶこともできる。平均粒径は当該技術で既知の方法(例えば WO 02/30389のパラグラフA及びCを参照)で測定することができる。つまるところ本発明による吸入用粉末を調製する為には、好ましくは平均粒径が0.5〜10μmであることを特徴とし、1〜5μmであることが特に好ましい微粉砕した結晶性臭化チオトロピウム無水物を賦形剤混合物に加える(例えばWO 02/30389、パラグラフBを参照)。有効成分の粉砕と微粉砕の過程は先行技術により既知である。
【0027】
特に調製した賦形剤混合物を賦形剤としてまったく使用しない場合には、平均粒径が10〜50μmで、粒子径0.5〜6μmの微粒子画分を10%含む賦形剤を使用することが好ましい。
【0028】
平均粒径はここでは乾式分散法を用いたレーザー回折計により測定された容量分布の50%値を意味する。平均粒径は当該技術で既知の方法により測定される(例えばWO 02/30389パラグラフA及びCを参照)。同様に、この場合における10%微粒子画分は、レーザ回折計を用いて測定された容積分布の10%値を意味する。言い換えれば、本発明の目的において10%の微粒子画分とは、10%の量の粒子が見られる粒度の上限(容積分布に基づく)を示すものである。
【0029】
特に逆に明示されない限り、本発明の範囲内で示されるパーセンテージは常に質量%である。
【0030】
特に好ましい吸入用粉末においては、平均粒径が約12〜35μmであることを特徴とする賦形剤が好ましく、13〜30μmであることが特に好ましい。当該吸入用粉末においてはまた、10%の微粒子画分が約1〜4μmであることが好ましく、約1.5〜3μmであることが好ましい。
【0031】
本発明の吸入用粉末は、本発明が根拠とする問題によれば一回量の精度という意味において高度な均一性を特徴とする。これは、ほぼ<8%、好ましくは<6%、最も好ましくは<4%である。
【0032】
出発材料の質量を計った後、吸入用粉末は、当該技術において既知の方法を用いて賦形剤と活性物質から調製される。例えばWO 02/30390の開示を参照してもよい。従って、本発明の吸入用粉末は、例えば、以下に記載する方法によって得ることができる。以下に記載される調製方法における成分は、吸入用粉末の上述の組成物に記載される質量による割合で用いられる。
【0033】
まず、賦形剤と活性物質を適切な混合容器に入れる。使用される活性物質の平均粒径は0.5〜10μm、好ましくは1〜6μm、最も好ましくは2〜5μmである。賦形剤と活性物質は好ましくはメッシュサイズが0.1〜2mm好ましくは0.3〜1mm最も好ましくは0.3〜0.6mmの篩又は造粒篩を用いて添加される。好ましくは、混合容器に最初に賦形剤を入れ、続いて活性物質を添加する。この混合工程中、二つの成分は好ましくはバッチで加える。2つの成分を交互層で篩にかけることが特に好ましい。賦形剤と活性物資の混合は2つの成分がなお添加されつつ行われてもい。しかしながら好ましくは2つの成分が層状で篩にかけられると一度のみ混合が行われる。
【0034】
本発明の吸入用粉末は例えば計測チャンバ(例えばUS 4570630Aに従って)によって、又は他の手段(例えばDE 36 25 685Aに従って)によってリザーバーから一回量を量る吸入器を用いて投与することもできる。しかしながら、好ましくは、本発明の吸入用粉末は例えばWO 94/28958に記載の吸入器に用いられるカプセルに充填される(いわゆるインハレットを製造する為に)。
【0035】
最も好ましくは、本発明の吸入用粉末を含有するカプセルは、WO 03/084502A1(この内容を参考文献として本明細書に組み入れるものとする。)の図1に示される吸入器を用いて投与される。この吸入器は、2つの窓2を有するハウジング1、空気注入口がありスクリーンハウジング4によって固定されたスクリーン5を備えているデッキ3、2つの鋭利なピン7とスプリング8に対して可動なカウンタを備えた押しボタン9があるデッキ3に接続された吸入チャンバ6及びハウジング1、デッキ3、ぱっと開いたり閉じたりすることを可能にするスピンドル10によってカバー11に接続されるマウスピース12、並びに流動抵抗を調製するための通気孔13を特徴とする。
【0036】
本発明の結晶性臭化チオトロピウムを含む吸入用粉末を、粉末充填カプセルを用いて投与するために、その材料が合成プラスチックより選ばれ、最も好ましくはポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートより選ばれるカプセルを用いることが特に好ましい。特に好ましい合成プラスチック材料は、ポリエチレン、ポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレートである。本発明に従って特に好ましいカプセル材料の1つとしてポリエチレンが用いられる場合には、密度が900〜1000kg/m3、好ましくは940-980kg/m3、より好ましくは約960-970kg/m3(高密度ポリエチレン)のポリエチレンを用いることが好ましい。
本発明の合成プラスチックは、当該技術において既知の製造法を用いて種々の方法で処理することができる。本発明によればプラスチックの射出成形が好ましい。離型剤を用いない射出成形が特に好ましい。この製造法は明確に定義されており、特に再現性を特徴とする。
【0037】
他の態様において、本発明は本発明に従い上述の吸入性粉末を含有する上述のカプセルに関する。これらのカプセルは、約1〜20mgの、好ましくは約3〜15mgの、最も好ましくは約4〜12mgの吸入用粉末を含むことができる。本発明の好ましい製剤は4〜6mgの吸入可能粉末を含有する。本発明の製剤を8〜12mgの量で含有する吸入のためのカプセルは本発明によれば等価な重要性を有する。
【0038】
本発明による吸入用粉末を収容したカプセルは空のカプセルに本発明による吸入用粉末を充填することにより、技術分野において既知の方法によって生産される。
【0039】
吸入用粉末の例
以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明することを目的とし、以下に挙げる具体的な実施形態に本発明の範囲を限定するものではない。
【0040】
記載例は粉末混合物5.5mg中の活性成分量を示している。当該分野の当業者は下記に例証する処方に基づいて大量の粉末を調製することが可能である。
有効成分のほかには混合物には指示された賦形剤しか含まれない。記載例は適切な吸入器で吸入する為のカプセルにつめることもできる。別の記載例では多回投与ドライパウダー式吸入器(multiple dose drypowder inhalers (MDPIs))による使用も可能である。当該多回投与ドライパウダー式吸入器は、あらかじめ投与量を計測した形もしくは計量されていない形の粉末をリザーバーに有している。当該技術において適切な装置が既知である。
【0041】
処方例1:

臭化チオトロピウム一水和物:0.0225mg
ラクトース一水和物:合計5.5mgとなるよう添加
【0042】
処方例2:
臭化チオトロピウム: 0.0226mg
ラクトース一水和物:合計5.5mgとなるよう添加
【0043】
処方例3:

臭化チオトロピウム無水物: 0.0225mg
ラクトース一水和物:合計5.5mgとなるよう添加
【0044】
処方例4:

臭化チオトロピウム無水物: 0.0111mg
ラクトース一水和物:合計5.5mgとなるよう添加
【0045】
処方例5:

臭化チオトロピウム無水物: 0.0226mg
ラクトース一水和物*:合計5.5mgとなるよう添加
*)ラクトースには、特に添加した微粉砕した平均粒径約4μmのラクトース一水和物の微粒子画分5%が含まれている。
【0046】
処方例6:

臭化チオトロピウム一水和物: 0.0225mg
ラクトース一水和物*:合計5.5mgとなるよう添加
*)ラクトースには、特に添加した微粉砕した平均粒径約4μmのラクトース一水和物の微粒子画分5%が含まれている。
【0047】
処方例7:

臭化チオトロピウム無水物:0.0112mg
ラクトース一水和物*:合計5.5mgとなるよう添加
*)ラクトースには、特に添加した微粉砕した平均粒径約4μmのラクトース一水和物の微粒子画分5%が含まれている。
【0048】
噴霧剤含有エアロゾル懸濁液
チオトロピウム塩は噴霧剤を含有した吸入可能なエアロゾルとしても投与することができる。エアロゾル懸濁液は特にこの方法に適している。
【0049】
本発明は従って結晶性臭化チオトロピウムの懸濁液に関し、本発明によれば噴霧剤ガスはHFA227及び/又はHFA134aであり、また好ましくは、プロパン、ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル、CHClF2、CH2F2、CF3CH3、イソブタン、イソペンタン及びネオペンタンからなる群から選択される、一又はそれ以上の噴霧剤ガスと組み合わせることもできる。
【0050】
本発明においては、当該懸濁液は噴霧剤ガスとしてHFA227単独、HFA227とHFA134aの混合もしくはHFA134a単独で含むことが好ましい。
本発明において噴霧剤ガスとしてHFA227とHFA134aの混合液を懸濁液の処方に使用する場合は、2つの噴霧剤ガス成分の質量比は自由に変えて使用することができる。
本発明において、懸濁液の処方にプロパン、ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル、CHClF2、CH2F2、CF3CH3、イソブタン、イソペンタン及びネオペンタンからなる群から選択される一又はそれ以上の噴霧剤ガスを、噴霧剤ガスHFA227及び/又はHFA134aに追加して使用する場合にはこの追加する噴霧剤ガス成分は好ましくは50%未満、好ましくは40%未満、とりわけ好ましくは30%未満である。
【0051】
本発明においては、懸濁液は好ましくは臭化チオトロピウム結晶をチオトロピウムカチオンの量が0.001〜0.8%となるように、好ましくは0.08〜0.5%、特に好ましくは0.2〜0.4%含む。特に逆に明示されない限り、本発明の範囲内において示されるパーセンテージは常に質量パーセントである。
【0052】
場合によって、本発明の範囲内において懸濁製剤という用語は懸濁液という用語の代わりに使用される。二つの用語は本発明の範囲内において同義とみなす。
【0053】
本発明において、噴霧剤を含む吸入可能なエアロゾルもしくは懸濁製剤は、界面活性剤(surfactants)、補助剤、抗酸化剤、香料のような他の成分を含んでもよい。
【0054】
界面活性剤は本発明による懸濁液中に存在することもあり、界面活性剤は好ましくは、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ミバセット9-45、ミバセット9-08、イソプロピルミリスチン酸、オレイン酸、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブリッジ、オレイン酸エチル、三オレイン酸グリセリル、一ラウリン酸グリセリル、一オレイン酸グリセリル、一ステアリン酸グリセリル、一リシノール酸グリセリル、セチルアルコール、ステリルアルコール、塩化セチルピリジニウム、ブロック重合体、天然油、エタノール及びイソプロパノールからなる一群から選択される。上記懸濁補助剤のなかでポリソルベート20、ポリソルベート80、ミバセット9-45、ミバセット9-08又はイソプロピルミリスチン酸の使用が最も好ましい。ミバセット9-45又はイソプロピルミリスチン酸の使用がとりわけ好ましい。
【0055】
本発明において懸濁液が界面活性剤を含む場合は、好ましくは0.0005〜1%、特に好ましくは0.005〜0.5%の量で使用される。
【0056】
本発明において懸濁液は補助剤を含んでもよく、補助剤は好ましくはアラニン、アルブミン、アスコルビン酸、アスパルテーム、ベタイン、システイン、リン酸、硝酸、塩酸、硫酸及びクエン酸からなる群から選択する。アスコルビン酸、リン酸、塩酸又はクエン酸の使用が好ましい。中でも塩酸又はクエン酸の使用が最も好ましい。
【0057】
本発明による懸濁液に補助剤が存在する場合には、本発明において、当該補助剤の濃度は、0.0001〜1.0%が好ましく、0.0005〜0.1%が好ましく、とりわけ0.001〜0.01%が好ましく、本発明によれば0.001〜0.005%がとりわけ重要である。
【0058】
本発明においては抗酸化剤を懸濁液に含むこともできる。本発明において抗酸化剤は好ましくはアスコルビン酸、クエン酸、エデト酸ナトリウム、エデト酸、トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール又はパルミチン酸アスコルビルからなる群から選択される。また、トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール又はパルミチン酸アスコルビルの使用が特に好ましい。
【0059】
本発明においては香料類を懸濁液に含むこともでき、好ましくはペパーミント、サッカリン、デントミント、アスパルテーム及び精油類(例えば、シナモン、アニシード、メントール、カンフル)からなる群から選択される。なかでも、ペパーミント又はデントミント(登録商標)の使用が特に好ましい。
【0060】
吸入により投与する観点から、有効成分を微粉砕した形状で提供することが重要である。この目的の為に本発明による結晶性臭化チオトロピウムは既知の方法を用いて微粉砕した形状で得る。活性物質を微粉砕する方法は技術分野において既知である。活性物質を微粉砕した後、活性物質の平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましく、1〜6μmであることが好ましく、1.5〜5μmであることが特に好ましい。少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%特に好ましくは少なくとも70%の有効成分粒子が上述した範囲内の粒子サイズを有することが好ましい。少なくとも80%あることがとりわけ好ましく、少なくとも90%以上あることが最も好ましい。
【0061】
他の態様では、本発明は、他の添加物を一切含まず、本発明による二つの有効成分のうち一のみを含む懸濁液に関する。
【0062】
本発明による懸濁液は当該技術で既知の方法により調製されてもよい。調製として、処方の成分を噴霧剤ガス又は複数のガス(低温においてでもよい)混合し適切な容器に充填する。
【0063】
上記、本発明による噴霧剤を含む懸濁液は当該技術において既知の吸入器(pMDIs=加圧式定量噴霧式吸入器)を用いて投与してもよい。従って他の態様では、本発明は、これらの懸濁液を投与するのに適した前述の一又はそれ以上の吸入器と組み合わせた懸濁液製剤の形の医薬組成物に関する。さらに、本発明は前述の発明の噴霧剤含有懸濁液を含むことを特徴とする吸入器に関する。
【0064】
本発明は、適切な弁と適合させると適切な吸入器で使用でき、上記発明の噴霧剤を含む懸濁液のうち一を含む容器(カートリッジ)に関する。適切な容器(カートリッジ)及び本発明による噴霧剤含有懸濁液を当該カートリッジに充填する方法は当該技術において既知である。
【0065】
チオトロピウムの医薬活性からみて本発明はまた、吸入又は経鼻投与用の医薬組成物を調製するため、好ましくは、抗コリン作用剤が治療の利益を奏することができる疾患の吸入又は経鼻治療用の医薬組成物を調製するための本発明による懸濁液の使用に関する。
【0066】
以下の例は本発明をより詳細に例証するが、これら実施例によりその内容が制限されるものではない。
【0067】
エアロゾル懸濁製剤の例
活性物質と噴霧剤ガスの他に成分を含む懸濁液の実施例は以下のとおりである:
【0068】
処方例8:


【0069】
処方例9:


【0070】
処方例10:


【0071】
処方例11:


【0072】
処方例12:


【0073】
処方例13:


【0074】
処方例14:


【0075】
処方例15:


【0076】
処方例16:


【0077】
処方例17:


【0078】
処方例18:


【0079】
処方例19:


【0080】
処方例20:


【0081】
処方例21:


【0082】
処方例22:


【0083】
噴霧剤を含有しないエアロゾル製剤
チオトロピウム塩を本発明に従い噴霧剤を含有しない吸入用溶液及び懸濁液を調製する為に使用することが特に好ましい。使用する溶媒は水でもアルコールでもよく、好ましくはエタノール溶液でもよい。溶媒は、水それ自体又は水とエタノールの混合物であってもよい。水に対するエタノールの割合は制限されないが、最大は、70容積パーセントまで、更に特に60容積パーセントまで、最も好ましくは30容積パーセントまでである。残りの容積は、水から構成される。を含む溶液又は懸濁液は、適切な酸を用いてpH2〜7、好ましくはpH2〜5に調整される。製剤のpHは、2.8〜3.05、好ましくは2.85〜3.0、最も好ましくは2.9であることがより好ましい。
【0084】
pHは無機又は有機酸類の中から選ばれた酸を用いて調製される。適切な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が含まれる。特に適切な有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。好ましい無機酸は、塩酸及び硫酸である。活性物質と酸付加塩をすでに形成した酸を用いることも可能である。有機酸の中で、アスコルビン酸、フマル酸、クエン酸が好ましい。所望により、それらが酸性にする特性に加えて特に他の特性を有する酸、例えば、香味剤、抗酸化剤又は錯化剤として、例えば、クエン酸又はアスコルビン酸の場合、上記の酸の混合物を用いることができる。
本発明によれば、pHの調整には塩酸を使用することが特に好ましい。
【0085】
本発明によれば安定剤又は錯化剤としてエデト酸(EDTA)又はその既知の塩の1つ、エデト酸ナトリウムの添加は、本製剤に不必要である。他の実施態様は、エデト酸及び/又はその上述の塩を含有してもよい。好ましい実施態様においては、エデト酸ナトリウムに基づく含量は、100mg/100ml未満であり、好ましくは50mg/100ml未満、より好ましくは20mg/100ml未満である。他の一実施態様においては、エデト酸ナトリウムの含量は、100mg/100ml未満であり、好ましくは50mg/100ml未満であり、より好ましくは20mg/100ml未満である。一般的に、エデト酸ナトリウムを含む吸入用溶液は、エデト酸ナトリウムの濃度が0〜10mg/100mlであることが好ましい。
【0086】
共溶媒及び/又は他の賦形剤もまた、本発明で用いられる噴霧剤を含まない吸入用溶液に添加することができる。好ましい共溶媒は、ヒドロキシル基又は他の極性基を有するもの、例えば、アルコール類(特にイソプロピルアルコール)、グリコール類(特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール)、ポリオキシエチレンアルコール類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類である。賦形剤及び添加剤という用語は、薬理的に許容しうる物質であって、活性物質ではないが活性物質製剤の質的な特性を改善するために薬理学的に適切な溶媒において1つの活性物質又は複数の活性物質とともに処方できるものを示す。好ましくは、これらの物質は、薬理効果がないが、又は、所望の治療と関連して、認知できる薬理効果若しくは、少なくとも好ましくない薬理効果もない。賦形剤及び添加剤としては、例えば、界面活性剤、例えば、大豆レシチン、オレイン酸、ソルビタンエステル類(例えばポリソルベート類)、ポリビニルピロリドン、他の安定剤、錯化剤、抗酸化剤及び/又は完成した医薬製剤の貯蔵寿命を保証し又は延長する防腐剤、香味剤、ビタミン及び/又は当該技術において既知の添加剤が挙げられる。添加剤には、薬理的に許容しうる塩、例えば、等張剤としての塩化ナトリウムも含まれる。
【0087】
好ましい賦形剤としては、pHを調整するためにすでに用いられていなければ、例えば、アスコルビン酸のような抗酸化剤、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及びヒトの体内に存在する類似したビタミン又はプロビタミンが挙げられる。
【0088】
防腐剤は、製剤を病原体による汚染から保護するために用いることができる。適切な防腐剤は、当該技術において既知のもの、特に、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸又は安息香酸塩、例えば、安息香酸ナトリウムである。製剤中の塩化ベンザルコニウムの濃度は50mg/100mlまでであることがとりわけ好ましい。この場合5〜20mg/100mlであることがさらに好ましく、さらには8〜15mg/100mlであることが好ましい。
【0089】
製剤は、溶媒の水及びチオトロピウム塩に加えて、塩化ベンザルコニウム及びエデト酸ナトリウムだけを含有することが好ましい。他の好ましい実施態様では、エデト酸ナトリウムを含まない。
【0090】
噴霧剤を含まない吸入用溶液は、本発明の範囲内においてはとりわけ、吸入器を使用して投与することもでき、吸入器は短時間で治療用の吸入に適したエアロゾルを作るために治療域の投与量にあたる少量の溶液製剤を噴霧することができる。本発明の範囲内において、吸入器は100μL未満の、好ましくは50μL未満の、さらに好ましくは10〜30μLの活性物質溶液を噴霧することができ、好ましくは一噴霧で、平均粒径が20μm未満、好ましくは10μm未満の、吸入可能な部分が治療有効量に相当するようなエアロゾルを噴霧できることが好ましい。
【0091】
計量した吸入用液状医薬組成物を、噴霧剤を使用しないで送達するためのこの種の装置は、例えば、国際特許出願WO 91/14468及びWO 97/12687に詳細に記載されている(特に図6a及び6b参照)。ここに記載している噴霧器(装置)は「Respimat(登録商標)」という名称で知られている。
【0092】
完成した製剤中のチオトロピウムの比率に基づくチオトロピウム塩の濃度は、要求される治療上の効果に依存する。チオトロピウムに反応するほとんどの愁訴にとって、製剤中のチオトロピウムの濃度は0.01g/100ml〜0.06g/100mlである。0.015g/100ml〜0.055g/100mlの量が好ましく、0.02g/100ml〜0.05g/100mlがさらに好ましい。本発明においては製剤中0.023+0.001g/100ml〜0.045+0.001g/100mlの濃度で含まれるのが最も好ましい。
【0093】
噴霧剤を含まないエアロゾル製剤の実施例
医薬品製剤100ml中:

*上で指定したチオトロピウムの量は、チオトロピウムカチオンを臭化チオトロピウム中の活性成分として明記する。1mgのチオトロピウムは1.2494mgの臭化チオトロピウム一水和物に相当する
【0094】
23〜28の実施例の処方の残りは精製水か注射用水で1.00g/cm3の密度になるよう調製し、温度は15〜31℃に調製する。
【0095】
もし、前述の製剤がRespimat装置で送達されるとすれば、装置の2回の噴射で22.1μlの製剤が送達される。従って、装置の2回の噴射で実施例23、25及び27では5μgのチオトロピウム(カチオンを基準として計算する)が送達される。装置の2回の噴射で実施例24、26及び28では10μgのチオトロピウム(カチオンを基準として計算する)が送達される。
患者の状態に応じて、例えば3回又は4回の噴射で投与してもよい。
【0096】
更なる実施例33〜42:
8mgのエデト酸ナトリウムを含むことを除いて実施例23〜32と同様に行った。
【0097】
更なる実施例43〜52:
12mgのエデト酸ナトリウムを含むことを除いて実施例23〜32と同様に行った。
【0098】
更なる実施例53〜62:
8mgの塩化ベンザルコニウムを含むことを除いて実施例23〜32と同様に行った。
【0099】
更なる実施例63〜72:
12mgの塩化ベンザルコニウムを含むことを除いて実施例23〜32と同様に行った。
【0100】
23〜32の実施例のなかで、処方例23〜28が特に重要であり、処方例23〜24が最も重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心疾患のリスクから患者を保護する目的の医薬品を調製する為の治療有効量のチオトロピウム塩の使用。
【請求項2】
心疾患が、虚血性冠動脈疾患、虚血性心疾患、狭心症及び症候性心筋虚血から選択される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
患者が慢性疾患に罹患している、請求項1又は2いずれか1項記載の使用。
【請求項4】
慢性疾患がCOPDである請求項3記載の使用。
【請求項5】
チオトロピウム塩を一日あたり1回又は2回、好ましくは1回投与する、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
チオトロピウム塩が、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルフォン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩の中から選択される、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。

【公表番号】特表2009−504602(P2009−504602A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525546(P2008−525546)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064956
【国際公開番号】WO2007/017436
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】