説明

チタニアと酸化ビスマスとを含んでなるミクロスフィア

本発明は、少なくとも50重量%のチタニアと、少なくとも5重量%の酸化ビスマスとを含んでなるミクロスフィア(すなわち、ビーズ)に関する。このガラスミクロスフィアは、ジルコニアをさらに含んでなる。また本発明は、かかるミクロスフィアを含んでなる再帰反射性物品、特に路面表示にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタニアと酸化ビスマスとを含んでなるミクロスフィア(すなわち、ビーズ)に関する。このガラスミクロスフィアは、ジルコニアをさらに含んでなる。また本発明は、かかるミクロスフィアを含んでなる再帰反射性物品、特に路面表示にも関する。
【背景技術】
【0002】
透過性ガラスおよびガラス−セラミックミクロスフィア(すなわち、ビーズ)は、再帰反射性シートおよび路面表示用の光学素子として使用されている。例えば、溶融法によって、かかるミクロスフィアを製造することができる。かかる溶融法は、粒子状材料の形態の原料組成物を溶融する工程を含み得る。例えば、空気または水中で溶融粒子を急冷して、固体ビーズを得ることができる。任意に急冷粒子を粉砕して、最終ビーズ用のより小さい所望のサイズの粒子を形成することができる。粉砕された粒子を、溶融および球状化するために十分な温度を有する火炎に通過させることができる。多くの原材料組成物に関して、これは約1500℃〜約2000℃の温度である。あるいは、溶融された原材料組成物を高速空気のジェット中に連続的に注入することができる。このジェットが液流に衝突する際に溶融液滴が形成される。液滴のサイズを制御するために、空気の速度および溶融物の粘度を調整する。例えば、空気または水中で溶融液滴を急冷して、中実ビーズを得ることができる。かかる溶融法によって形成されたビーズは、通常、本質的に完全に非晶質(すなわち、非結晶質)であるガラス質材料からなり、従って、このビーズはしばしば、「ガラス質」、「非晶質」または単に「ガラス」ビーズもしくはミクロスフィアと称される。
【0003】
ミクロスフィアに関連する例示的な特許の1つは、中実融合ミクロスフィアに関する米国特許第6,335,083号明細書(カサイら)である。一実施形態において、このミクロスフィアは、固体融合ミクロスフィアの総重量を基準として、少なくとも約70重量%の総含量でアルミナ、ジルコニアおよびシリカを含有し、ここではアルミナ、ジルコニアおよびチタニアの総含量はシリカ含量よりも高い。
【0004】
他の例示的な特許としては、透明な中実ミクロスフィアに関する米国特許第6,245,700号明細書および同第6,461,988号明細書(バド(Budd)ら)が挙げられる。これは、固体ミクロスフィアの総重量を基準として、少なくとも約75重量%の総含量でアルミナ、ジルコニアおよび/またはシリカに加えてチタニアを含有し、ここではアルミナ、ジルコニアおよびチタニアの総含量はシリカ含量よりも高い。
【0005】
米国特許第6,335,083号明細書(カサイら)、ならびに同米国特許第6,245,700号明細書および同第6,461,988号明細書(バド(Budd)ら)のミクロスフィアは、路面表示のような再帰反射性物品用の再帰反射性レンズ素子として使用するために十分な透過性および機械的特性を示すが、改善された特性を有するミクロスフィア組成物、およびかかるミクロスフィアの製造法は工業的に都合よいことが見出されるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、ミクロスフィアの総重量を基準として、少なくとも5%の酸化ビスマスと、少なくとも50%のチタニアとを含んでなる、ガラス−セラミック構造を含んでなるミクロスフィアを開示する。チタニア量は、好ましくは約92%以下である。このミクロスフィアは、ナノスケール結晶を含んでなるガラス−セラミック構造を含んでなる。このナノスケール結晶は、約100ナノメートル未満の寸法を有する。このナノスケール結晶は、好ましくはミクロスフィアの少なくとも20体積%(例えば、少なくとも50体積%)を成す。このミクロスフィアは、約100ナノメートルより大きい寸法の結晶を含んでなるが、ただし、かかる結晶はミクロスフィアの20体積%未満を成す。
【0007】
もう1つの態様において、本発明は、ミクロスフィアの総重量を基準として、少なくとも50%のチタニアと、少なくとも5%の酸化ビスマスと、少なくとも5%のジルコニアとを含んでなるミクロスフィアを開示する。チタニア量は約84%以下であってよい。かかるミクロスフィアは、ガラスまたはガラス−セラミックであり得る。
【0008】
これらの態様のそれぞれにおいて、ミクロスフィアは好ましくは透明である。さらに、酸化ビスマス量は30%以下であってよい。ミクロスフィアは、少なくとも10%のアルカリ土類金属酸化物を含んでなり得る。アルカリ土類金属酸化物の量は、典型的に35%以下である。このミクロスフィアは、約10%以下の酸化亜鉛を含んでなり得る。このミクロスフィアは好ましくは融合物である。このミクロスフィアは、好ましくは2.2より高い屈折率を有する。
【0009】
他の態様において、本発明は、バインダーと、本発明のガラス−セラミックおよび/またはガラスミクロスフィアとを含んでなる再帰反射性物品に関する。
【0010】
もう1つの態様において、本発明は、コア(例えば、セラミック)と、コア中に部分的に包埋された本発明のミクロスフィアとを含んでなる再帰反射性素子に関する。
【0011】
もう1つの態様において、本発明は、バインダーと、ミクロスフィアおよび/または反射素子とを含んでなる路面表示に関する。
【0012】
なおもう1つの態様において、本発明は、少なくとも1つの前記出発組成物を提供する工程と、この組成物を溶融して溶融液滴を形成する工程と、溶融液滴を冷却して急冷された融合ミクロスフィアを形成する工程と、急冷された融合ミクロスフィアを加熱する工程とを含んでなるミクロスフィアの製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、様々な組成のチタニア(TiO2)および酸化ビスマス(Bi23)を含んでなるミクロスフィア(すなわち、ビーズ)を提供する。ガラスミクロスフィアは、少なくとも5%の量でジルコニア(ZrO2)をさらに含んでなる。さらに、本発明のガラスおよびガラス−セラミックミクロスフィアは、好ましくは、少なくとも15%の少なくとも1つのアルカリ土類金属酸化物をさらに含んでなる。
【0014】
用語「ビーズ」および「ミクロスフィア」は、同義的に使用し、おそらく完全な球状ではないが実質的に球状である粒子である。用語「中実」は、中空ではないビーズを指し、すなわち、実質的な空洞または空隙を含まない。レンズ素子として使用する場合、ビーズは好ましくは球状であり、そして好ましくは固体である。中実ビーズは、特に、凍結融解サイクルに暴露される時に中空ビーズより典型的に耐久性である。
【0015】
本明細書に記載のミクロスフィアは、好ましくは透明である。用語「透明」は、光学顕微鏡で(例えば100倍で)観察時にビーズが可視光線を透過する特性を有することを意味し、そのため、ビーズとほぼ同一の屈折率を有するオイル中に両者が含浸された時に、ビーズと同一の性質を有するかのようにビーズ下の物体をビーズを通して明瞭に見ることができる。オイルはビーズに近い屈折率を有するべきであるが、(完全に屈折率が一致する場合に生じるように)ビーズが消えて見えるほど近いべきではない。ビーズ下の物体の外形、外周または端部は明瞭に認識できる。本明細書に記載のミクロスフィアは、好ましくは溶融法によって調製される。溶融法によって調製されたミクロスフィアは、本明細書において「融合物」と記載される。製造の容易さのため、ミクロスフィア組成物が、約1700℃未満、そして好ましくは約1600℃未満のような相対的に低い液体温度を示すことが好ましい。典型的に、液体温度は約1500℃未満である。
【0016】
溶融物からの初期形成時に、なおいくらかの結晶化度を含有する実質的に非晶質であるビーズが形成される。急冷時に組成物は、好ましくは明澄で透明なガラスミクロスフィアを形成する。さらなる加熱処理時に、ガラス−セラミック構造、すなわち、初期の非晶質構造内から結晶が成長したミクロ構造の形態で、ビーズは結晶化度を高めることができ、それによってガラス−セラミックビーズとなる。急冷ビーズの加熱処理時に、ナノスケールガラス−セラミック構造、すなわち、初期の非晶質構造内から寸法が約100ナノメートル未満の結晶が成長したミクロ構造の形態で、ビーズは結晶化度を高めることができ、それによってガラス−セラミックビーズとなる。ナノスケールガラス−セラミックミクロ構造は、ナノスケール結晶を含んでなる微結晶ガラス−セラミック構造である。本発明の目的のため、結晶相の存在と一致するX線回折を示すミクロスフィアは、ガラス−セラミックミクロスフィアと考えられる。この分野におけるおおよその指針は、約1体積%未満の結晶を含んでなる材料は、典型的な粉末X線回折測定において検出可能な結晶化度を示さない。かかる材料は、セラミックまたはガラス−セラミック材料よりは、しばしば「X線非晶質」またはガラス材料として考えられる。検出性のために1体積%以上の量で存在することを典型的に必要とするX線回折測定によって検出可能な結晶を含んでなるミクロスフィアは、本発明の目的のため、ガラス−セラミックミクロスフィアと考えられる。タイプ150 100 00 ワイド ランジ ゴニオメーター(Wide Range Goniometer)、密封銅ターゲットX線源、比例検出器、可変性受け取りスリット、0.2°入射スリットおよびグラファイト回折ビームモノクロメーターを有するフィリップス オートメーテッド バーティカル ディフラクトメーター(Philips Automated Vertical Diffractometer)(ニュージャージー州、マーワー(Mahwah,New Jersey)のフィリップス エレクトロニクス インストロメンツ カンパニー(Philips Electronics Instruments Company))を使用して、45kVの電源電圧、35mAの電源電流、0.04°のステップサイズおよび4秒のドウェルタイムの測定設定によってX線回折データを集めることができる。本明細書で使用される場合と同様に、「ガラスミクロスフィア」は、1体積%未満の結晶を有するミクロスフィアを指す。好ましくは、ガラス−セラミックミクロスフィアは、10体積%より多い結晶を含んでなる。より好ましくは、ガラス−セラミックミクロスフィアは、25体積%より多い結晶を含んでなる。最も好ましくは、ガラス−セラミックミクロスフィアは、50体積%より多い結晶を含んでなる。
【0017】
好ましい実施形態において、ミクロスフィアは、加熱処理によって、なお透明性を残す微結晶ガラス−セラミック構造を形成する。良好な透明性のため、寸法が約100ナノメートルより大きい結晶の体積分率をミクロスフィアがほとんど含まないか、含まないことが好ましい。好ましくは、ミクロスフィアは、寸法が約100ナノメートルより大きい結晶を20体積%未満含んでなり、より好ましくは10体積%未満、そして最も好ましくは約5体積%未満である。好ましくは、結晶相の結晶サイズは、最大直線形寸法が約20ナノメートル(0.02ミクロン)未満である。この大きさの結晶は、典型的に可視光を効率的に分散せず、従って透過性を著しく減少させない。
【0018】
本発明のビーズは、再帰反射性物品のレンズ素子として特に有用である。本発明による透過性ビーズは、少なくとも約2.0、典型的に少なくとも約2.1、より典型的に少なくとも2.2、好ましくは少なくとも約2.3、そしてより好ましくは少なくとも約2.4の屈折率を有する。水中または湿潤環境における再帰反射性適用のために、ビーズは、好ましくは高い屈折率を有する。本発明の組成物の有利点は、相対的に高い屈折率を有するミクロスフィアを提供する能力であり、従って湿潤反射率が増加する。
【0019】
かかる高屈折率ビーズは過去に論証されてきたが、かかるビーズ組成物は、通常、相対的に高い濃度のPbO、CdOまたはBi23を含有する。かかる高濃度のBi23の存在によって、望ましくない黄色着色が導かれる。またBi23供給源は一般的に、他のほとんどの金属酸化物供給源よりも高価であり、従って、高濃度のBi23を含有するミクロスフィアを製造しないことが好ましい。PbOおよびCdOは、屈折率を高めるために含まれ得る。しかしながら、これらの成分は典型的に避けられる。
【0020】
本発明のビーズを様々な大きさで製造および使用することができる。より大きいビーズの製造時に副産物として直径2μmまたは3μmまでのビーズのフラクションが形成されることもあるが、直径10μmより小さいビーズを慎重に形成することは一般的ではない。従って、ビーズは、好ましくは少なくとも20μm(例えば、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm)である。一般的に、高い屈折率のビーズの使用においては、直径が約2ミリメートル未満、しばしば、直径が約1ミリメートル未満(例えば、750μm未満、500μm未満、300μm未満)であることが求められる。
【0021】
ビーズの成分は酸化物と記載され、すなわち、再帰反射性物品と同様に完全に加工されたガラスおよびガラス−セラミックビーズに成分が存在するものとして仮定される形態、ならびにビーズ中の化学元素およびそれらの特性を正確に説明する形態である。ビーズを製造するために使用される出発材料は、炭酸塩のような酸化物以外のいくつかの化学化合物を含み得る。他の出発材料は、成分溶融の間に変性されて酸化型となる。従って、本発明のビーズの組成物は、理論的酸化物を基準として論じる。
【0022】
本明細書に記載の組成物は、使用される出発材料の量を基準として理論的酸化物を基において報告される。これらの値は、溶融および球状化工程中に揮発する一過性材料(例えば、一過性中間体)に関しては必然的に説明しない。典型的に、例えばボリア(B23)、アルカリ金属酸化物および酸化亜鉛は、いくぶん一過性である。従って、最終ビーズの分析時に、最終ミクロスフィアを製造するために添加されたボリアおよび/またはアルカリ金属酸化物の最初の量の5%程度は加工時に損失し得る。しかしながら、従来通り、出発材料の量およびガラス形成組成物の総重量を基準として最終ミクロスフィアの全成分を算出し、理論的酸化物の重量パーセントで報告される。
【0023】
本発明によるミクロスフィアは、チタニアおよび酸化ビスマスを含む。本発明のガラスミクロスフィアおよびガラス−セラミックミクロスフィアは両方とも、少なくとも50%、そしてより好ましくは少なくとも55%のチタニアを含んでなる。本発明のガラス−セラミックミクロスフィア中のチタニア量は、92%以下の範囲である。本発明のガラスミクロスフィアのチタニア量は、84%以下の範囲よりわずかに少ない。ガラスおよびガラス−セラミックミクロスフィアの両方に関して、チタニア量は好ましくは80%未満である。
【0024】
チタニアは、1840℃の融点を有する高屈折率の金属酸化物であり、そしてその光学的および電気的特性のため典型的に使用されるが、硬度または強度のために一般的ではない。ジルコニアと同様に、チタニアはガラス組成物の結晶化を引き起こすことが知られている強核化剤である。その個々の高い融点にもかかわらず、特定の酸化物の混合物中の成分として、チタニアは、かかる酸化物の混合物を含んでなるミクロスフィアの屈折率を著しく上昇させながら、液体温度を低下することができる。さらに、チタニアを含有する第四級組成物は、ガラスへと容易に冷却され、そしてガラス−セラミックへと制御可能に結晶化される。従って、チタニア、酸化ビスマスおよび任意にジルコニアを含んでなる本発明の組成物は、相対的に低い液体温度、非常に高い屈折率値、適切に加熱処理された時に高い結晶化度、有用な機械特性および高い透明性を提供する。
【0025】
本発明のガラスミクロスフィアおよびガラス−セラミックミクロスフィアの両方は、少なくとも5%の酸化ビスマスを含んでなる。さらに、酸化ビスマス量は30%以下の範囲である。いくつかの実施形態において、酸化ビスマス量は25%以下の範囲である。他の実施形態において、酸化ビスマス量は、20%(例えば、16%、17%、18%、19%)以下の範囲である。いくつかの好ましい実施形態において、酸化ビスマス量は、15%(例えば、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%および14%)以下の範囲である。
【0026】
本発明のガラスミクロスフィアが少なくとも5%のジルコニアを含んでなることに対して、ガラス−セラミックミクロスフィアは、任意に、なお好ましくはジルコニアを含んでなる。本発明のガラスミクロスフィアおよびガラス−セラミックミクロスフィアの両方に関するジルコニア量は、30%以下の範囲である。一般的に、ジルコニアは化学的および機械的耐性に寄与し、そして好ましいビーズの高い屈折率に寄与する。驚くべきことに、50%の過剰量でチタニアおよび5%の過剰量で酸化ビスマスを含有する組成物へのジルコニアの添加は、優れたガラス形成特性を導く。またジルコニアおよび酸化ビスマスを含んでなる組成物は、50%過剰量のチタニアと一緒になって、50体積%より高い結晶化度および高い透過性を有するガラス−セラミック構造への制御された結晶化を示す。最終的に、ジルコニアおよび酸化ビスマスを含んでなる組成物は、50%過剰量のチタニアと一緒になって、結晶化後、非常に高い屈折率値(例えば、2.3より高い)を示す。
【0027】
加えて、ビーズは、好ましくは、バリア(BaO)、ストロンチア(SrO)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)のようなアルカリ土類金属酸化物を少なくとも1つ含んでなる。特定の好ましい実施形態において、アルカリ土類金属酸化物の総量は、少なくとも5%(例えば、6%、7%、8%、9%、10%)である。さらに、アルカリ土類金属酸化物の総量は典型的に35%までの範囲である。多くの好ましい実施形態は、15%未満のように、20重量%未満のアルカリ土類金属酸化物を含有する。いくつかの実施形態において、バリアおよびカルシアはほぼ等しい量で含まれる。さらに、いくつかの実施形態において、アルカリ土類金属酸化物の総量は、酸化ビスマスおよび/またはジルコニアの約2倍である。
【0028】
1以上の成分の総含量が上記のとおりである組成物において、ビーズは、列挙された成分の1つのみ、列挙された成分の様々な組み合わせ、または列挙された成分の全てを含み得る。例えば、ビーズ組成物が、総含量で35重量%のバリア、ストロンチア、マグネシアおよびカルシアを含むと言う場合、ビーズ組成物は、これらの成分のうちのいずれか1つを35重量%の量で含むか、またはこれらの成分の2、3または4つの組み合わせを総量35重量%で含み得る。
【0029】
液体温度を低下させるため、および急冷中のガラス形成を補助するために、アルカリ金属変性剤は特に有用である。アルカリ土類金属酸化物の添加によって、アニールの際の結晶化の傾向が増加するが、明澄なガラスへと冷却する能力が向上する。マグネシアおよび他のアルカリ土類金属酸化物の添加も、あるいは加熱処理工程中の結晶化の制御および得られたミクロ構造への影響によって、粉砕強度の改善をもたらし得る。アルカリ土類金属酸化物が多すぎると、酸性環境に対してより乏しい機械強度または乏しい化学耐性をもたらし得る。
【0030】
あるいは、またはそれに加えて、本発明のビーズは、好ましくは、20重量%以下の酸化亜鉛(ZnO)を含む。典型的に、酸化亜鉛の量は約15%(例えば、10%)未満である。少量の酸化亜鉛を含んでなる本発明のガラスおよびガラス−セラミックビーズは、最高屈折率値を有する傾向がある。
【0031】
このミクロスフィアは、少量(例えば、それぞれ典型的に5%未満)の、リチウム(Li2O)、ナトリウム(Na2O)、カリウム(K2O)、アルミニウム(Al23)、ケイ素(SiO2)、イットリウム(Y23)、スズ(SnO2)、ホウ素(B23)、ハフニウム(HfO2)、ゲルマニウム(GeO2)、リン(P25)、アンチモン(Sb25)、モリブデン(MoO3)、タングステン(WO3)およびそれらの組み合わせのような元素の酸化物を任意に含んでもよい。典型的に、かかる無機酸化物の総量は10%未満であるが、それらの存在がビーズの所望の特性(例えば屈折率)に悪影響を及ぼさないことを条件として、より多くの量が存在してもよい。
【0032】
機械特性の改善のために、特定の金属酸化物が含まれてもよい。例えば、典型的にそれぞれ5%までの量の以下の群から選択される1以上の金属酸化物が、機械特性を改善し得る:SiO2、Al23、HfO2、La23およびY23。かかる金属酸化物、例えば、Al23およびSiO2のいくつかに関して、高濃度によって望ましくない屈折率の低下がもたらされる傾向がある。
【0033】
本発明のガラス−セラミックミクロスフィアは、典型的に少なくとも5体積%の総量で1以上の結晶相を含む。結晶化度は、非晶質ビーズの加熱処理によって典型的に発達されるが、本発明によって、溶融液滴の急冷によって形成されたいくつかのガラス−セラミックビーズは、第2の加熱処理をせずに結晶を含有し得る。かかる結晶相は、チタニア(例えば、アナターゼ、ルチル)、ジルコニア(例えば、バデレアイト)および/または酸化ビスマス(例えば、ビスマイト)の相対的に純粋な単一成分の金属酸化物相を含み得る。また、かかる結晶相は、相対的に純粋な多成分の酸化金属相(例えば、Bi4Ti312、ZrTiO4)を含み得る。かかる結晶相は、相対的に純粋な単一成分または多成分の金属酸化物相とイソ構造である結晶固体溶液を含み得る。最終的に、かかる結晶相は、結晶構造および/または組成の点で少なくとも1つの以前に報告されなかった結晶相を含み得る。この組成物は、加熱処理後も透過性を残すように制御された結晶化特性を示す。
【0034】
本発明のビーズには着色剤も含まれ得る。かかる着色剤としては、例えば、CeO2、Fe23、CoO、Cr23、NiO、CuO、MnO2、V25等が挙げられる。典型的に、本発明のビーズは、ビーズの総重量(理論的酸化物を基準)を基準として、約5重量%以下(例えば、1%、2%、3%、4%)の着色剤を含む。また、蛍光のため、プラセオジム、ネオジム、ユーロピウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムのような希土類元素も任意に含まれてよい。好ましくは、ミクロスフィアは、酸化鉛(PbO)および酸化カドミウム(CdO)を実質的に含まない。
【0035】
本発明によるミクロスフィアは、例えば、米国特許第3,493,403号明細書(トング(Tung)ら)に開示の通り、従来プロセスによって調製することができる。1つの有用なプロセスにおいて、出発材料は、それぞれの出発材料が好ましくは約0.01μm〜約50μmの大きさであるように粒子の形態で測定され、そして完全混合される。この出発原材料は、溶融または加熱処理時に酸化物を形成する化合物を含む。これらとしては、酸化物(例えば、チタニア、ビスマイト、任意のジルコニア、および任意のアルカリ土類金属酸化物)、水酸化物、酸塩化物、塩化物、硝酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩、アルコキシド等、ならびに様々なそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、チタン酸カルシウム(CaTiO3)およびチタン酸バリウム(BaTiO3)のような多成分金属酸化物も使用することができる。
【0036】
全ての出発材料が液体形状になるまで、ガス燃焼または電気炉にて酸化物混合物を溶融させる。高速空気のジェット中に液体バッチを注入することができる。得られた流れに、所望の大きさのビーズが直接形成される。この方法において、形成されたビーズの割合が所望の寸法を有するように空気の速度を調整する。典型的に、かかる組成物は十分低い粘度および高い表面張力を有する。
【0037】
約1500℃〜約1900℃の範囲の温度で、そしてしばしば、例えば約1700℃の温度で加熱することによって出発材料の溶融を典型的に達成する。出発材料を溶融するために、水素−酸素バーナーまたはアセチレン−酸素バーナーを使用する直接加熱法、あるいはアークイメージオーブン、太陽オーブン、グラファイトオーブンまたはジルコニアオーブンを使用するオーブン加熱法を使用することができる。
【0038】
あるいは、液体を水中で急冷し、乾燥させ、そして粉砕して、最終ビーズに望ましい大きさの粒子を形成する。粉砕した粒子をふるいにかけることによって、それらを確実に適切な範囲の大きさにすることができる。次いで、粉砕した粒子を、粒子を再溶融および球状化するために十分な温度を有する火炎に通過させることができる。
【0039】
好ましい方法において、最初に出発材料をより大きい供給粒子へと形成する。水素−酸素バーナーまたはアセチレン−酸素バーナーまたはメタン−空気バーナーのようなバーナーに供給粒子を直接供給し、次いで、水中で急冷させる(例えば、水カーテンまたは水浴のような形態で)。出発材料を溶融および粉砕、凝集、または焼結することによって供給粒子を形成してよい。約2000μmまでの大きさ(最大寸法の長さ)の凝集粒子を使用することができるが、約500μmまでの大きさの粒子が好ましい。水との混合、スプレー乾燥、ペレット化等のような様々な周知の方法によって凝集粒子を製造することができる。出発材料は、特に凝集物の形態で、得られたビーズの粒径のより良好な制御のために分類され得る。凝集の有無にかかわらず、水平配向のバーナー炎を有するバーナーに出発材料を供給してよい。典型的に、その基部で供給粒子を火炎中に供給する。この水平配向は、所望のレベルの透過性を有する球状粒子を非常に高い収率(例えば、100%)で製造することができるため望ましい。
【0040】
溶融液滴を冷却するための手順には、空気冷却または急速冷却が含まれ得る。例えば、水または冷却オイルのような冷却媒体中に出発材料の溶融液滴を滴下することによって急速冷却を達成する。加えて、空気またはアルゴンのような気体中に溶融液滴を噴霧する方法を使用することができる。得られた急冷融合ビーズは典型的に、再帰反射性物品中のレンズ素子として使用するために十分に透過性である。特定の実施形態に関して、それらは、再帰反射性物品における直接的な使用のために十分に硬質で強く、かつ靭性である。しかしながら典型的に、それらの機械特性を改善するために、その後の加熱処理工程が望ましい。また、加熱処理および結晶化によって屈折率の増加が導かれる。
【0041】
好ましい実施形態において、ビーズ前駆体を形成し、その後加熱することができる。本明細書で使用される場合、「ビーズ前駆体」は、ビーズ出発組成物を溶融および冷却することによってビーズの形状へと形成された材料を指す。このビーズ前駆体は、本明細書において急冷融解ビーズとも称され、そして機械特性および透過性が所望のレベルである場合、さらに加工することなく使用するために適切である。所定の量の原材料(例えば、チタン原材料、ビスマス原材料、任意の原材料)を含有する出発組成物を溶融し、所定の粒径の溶融液滴を形成し、そしてそれらの溶融液滴を冷却することによって、ビーズ前駆体を形成する。得られるビーズ前駆体が所望の原材料を所定の割合で含有するように出発組成物を調製する。溶融液滴の粒径は、通常、約10ミクロン(μm)〜約2,000μmの範囲である。溶融液滴の粒径によって、ビーズ前駆体の粒径、ならびに最終的な透明な融合ビーズの粒径を制御することができる。
【0042】
従って、特定の好ましい実施形態において、その後、ビーズ前駆体(すなわち、急冷融合ビーズ)を加熱する。好ましくは、ビーズ前駆体の融点より低い温度で、この加熱工程を実行する。典型的に、この温度は少なくとも約750℃である。好ましくは、これは約850℃〜約1000℃であるが、ただし、ビーズ前駆体の融点を超えることはない。ビーズ前駆体の加熱温度が低すぎる場合、得られるビーズの屈折率または機械特性の増加の影響は不十分である。逆に、加熱温度が高すぎる場合、大きい結晶からの光散乱のためビーズの透過性が減少し得る。屈折率を増加するため、結晶化度を発達させるため、そして/または機械特性を改善するためのこの加熱工程の時間に関する特定の制限はないが、少なくとも約1分の加熱が標準的に十分であり、そして加熱は、好ましくは、約5分〜約100分間で実行されるべきである。加えて、加熱処理前の約600℃〜約800℃の範囲内の温度における予熱(例えば、約1時間)は、ビーズの透過性および機械特性をさらに増加し得るため都合よい。
【0043】
後者の予熱法は、相内で均一に分散された状態で微細結晶相を成長させるためにも適切である。溶融物からビーズの形成時に、高レベルのジルコニアまたはチタニアを含有する組成物において、ジルコニウム、チタン等の酸化物を含有する結晶相を形成することもできる(すなわち、その後の加熱を行なわない)。チタニアおよびジルコニアの高い組み合わせ濃度(例えば、80%より高い組み合わせ濃度)を含むことによって、結晶相は著しく容易に形成される(溶融物から直接、またはその後の加熱処理時のいずれか)。
【0044】
溶融プロセスから製造されたミクロスフィアは、「融合物」として特徴付けられる。完全ガラス質融合ミクロスフィアは、高密度、固体、原子論的に均質なガラス網構造を含んでなり、これから、その後の加熱処理の間にナノ結晶が核化および成長し得る。しかしながら、溶融プロセスの他に、米国特許第4,564,556号明細書(ランジ(Lange))に記載されるようなゾルゲル技術によって本発明のミクロスフィアを調製してもよい。ゾルゲルビーズは、焼結コロイド状シリカのような非晶質材料と、化学的前駆体分解または焼結の間に結晶化するジルコニアのようなナノ結晶成分との混合物を典型的に含む。
【0045】
米国特許第4,772,511号明細書(ウッド(Wood))に記載の試験手順に従って、本発明のビーズの粉砕強度値を決定することができる。この手順を使用して、このビーズは、好ましくは少なくとも約350MPa、より好ましくは少なくとも約700MPaの粉砕強度を実証する。
【0046】
米国特許第4,758,469号明細書(ランジ(Lange))に記載の試験手順に従って、圧縮空気によって被動される砂の流れに本発明のビーズを暴露することによって、その耐久性を実証することができる。この手順を使用することによって、それらの最初の反射明度の約30%〜約60%が保持されることによって明らかとなるように、ビーズは、破断、チッピングおよび摩耗に耐性を示す。
【0047】
本発明による透明な(好ましくは、融合)ビーズは、宝石、研磨材、耐摩耗性コーティング、ならびに多種多様な再帰反射性物品に使用するために適切である。いくつかの態様において、ビーズは直接利用される。あるいは、またはビーズと組み合わせて、米国特許第5,774,265号明細書および米国特許第3,964,821号明細書に記載のようにコア(例えば、セラミック、ポリマー)と、コア中に部分的に埋め込まれた本発明のビーズとを含んでなる反射素子を利用してもよい。
【0048】
本発明の反射物品は、本発明のビーズおよび/またはバインダー材料中に少なくとも部分的に埋め込まれたかかるビーズを含んでなる反射素子を含んでなるという共通の特徴を共有する。
【0049】
態様によっては、ビーズおよび/または反射素子は、液体(例えば、路面)表示の適用において利用される。ここで、ビーズおよび/または反射素子は、液状化バインダー上で連続的または同時に滴下されるか、あるいは液状化バインダー内で配合される。液状化バインダーは、米国特許第3,645,933号明細書、米国特許第6,132,132号明細書および米国特許第6,376,574号明細書に記載のように路面塗料であってよい。他のバインダー材料としては、米国特許第3,036,928号明細書、米国特許第3,523,029号明細書および米国特許第3,499,857号明細書に記載のような熱可塑性プラスチック、ならびに米国特許第3,046,851号明細書および米国特許第4,721,743号明細書に記載のようなエポキシおよび米国特許第6,166,106号明細書に記載のようなポリ尿素を含む二部反応性バインダーが挙げられる。
【0050】
他の態様において、露出レンズ、被包性レンズ、包埋レンズまたは密閉レンズシートを含む再帰反射性シート中にビーズおよび反射素子が利用される。代表的な路面表示シート材料(テープ)は、米国特許第4,248,932号明細書(トング(Tung)ら)、米国特許第4,988,555号明細書(ヘドブロム(Hedblom))、米国特許第5,227,221号明細書(ヘドブロム(Hedblom))、米国特許第5,777,791号明細書(ヘドブロム(Hedblom))および米国特許第6,365,262号明細書(ヘドブロム(Hedblom))に記載される。路面表示シート材料に加えて、再帰反射性標識のために有用なシートに本発明のミクロスフィアを組み入れてもよい。
【0051】
路面表示シート材料は、一般的に、バッキングと、バインダー材料の層と、バインダー材料の層中に部分的に包埋されたビーズの層とを含んでなる。様々な材料、例えば、ポリマーフィルム、金属箔および繊維ベースシートから、典型的に厚さが約3mm未満のバッキングを製造することができる。適切なポリマー材料としては、アクリロニトリル−ブタジエンポリマー、ミラブル(millable)ポリウレタンおよびネオプレンゴムが挙げられる。バッキングは、粒子状繊維または滑り抵抗粒子も含み得る。バインダー材料は、任意に、鏡面顔料のような無機顔料のような着色剤と一緒に、様々な材料、例えば、ビニルポリマー、ポリウレタン、エポキシドおよびポリエステルを含み得る。路面表示シートは、バッキングシートの底部に接着剤、例えば、感圧接着剤、接触接着剤またはホットメルト接着剤も含み得る。
【0052】
様々な既知のプロセスによって路面表示シートを製造することができる。かかるプロセスの代表例としては、バッキングシート上への樹脂、顔料および溶媒の混合物のコーティング、バッキングの湿潤表面上への本発明によるビーズの滴下、ならびに構造体の硬化が挙げられる。次いで、接着剤の層をバッキングシートの底部上にコーティングすることができる。
【0053】
本発明のビーズを組み入れた再帰反射性シートまたは液体表示材料に関する他の適用としては、湿潤反射率が望ましい海洋設置時のグラフィックおよび標識が挙げられる。例えば、モーター船舶、浮動マーカーまたは静止海洋線構造体に適用されたグラフィックスおよび標識は本発明のビーズを組み入れ得る。
【実施例】
【0054】
本発明の実施例と比較例とを参照することによって、以下に本発明の説明を提供する。さらに、本発明がこれらの実施例に限定されないことも理解されるべきである。全てのパーセントは、特記されない限り、組成物の総重量を基準として重量パーセントによるものである。
【0055】
実施例1
16gの酸化ジルコニウム(商品名「CF−PLUS−HM」でカーペンター エンジニアリング プロダクツのZ−テック デビジョン(Z−TECH division of Carpenter Engineering Products),(ニューハンプシャー州、ボウ(Bow,New Hampshire))から市販品として入手可能)、130gの酸化チタン(商品名「T315−500」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、18gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、23.4gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)および32.1gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)を、350gの水および1600gの直径1cm酸化ジルコニウム製粉媒体と一緒に磁器ジャーミル中で組み合わせた。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
65% TiO2
9% Bi23
9% BaO
9% CaO
8% ZrO2
【0056】
スラリーを24時間製粉し、次いで、100℃で一晩乾燥させ、均質に分散された成分を有する混合粉末ケーキを得た。乳鉢および乳棒による粉砕後、乾燥されて大きさが決められた粒子(直径<250ミクロン)を、以下、「ベツレヘム(Bethlehem)バーナー」と称される水素/酸素トーチ(商品名「ベツレヘム ベンチ バーナー(Bethlehem Bench Burner)PM2D モデル−B」でベツレヘム アパラータス カンパニー(Bethlehem Apparatus Company),ペンシルバニア州、ヘラータウン(Hellertown Pennsylvania)から市販品として入手可能)の火炎中に供給した。ベツレヘムバーナーは、以下の速度、標準リットル/分(SLPM)で水素および酸素を送達した。
【0057】
【表1】

【0058】
粒子を火炎によって溶融させ、水急冷容器へと移送した。急冷させた粒子を乾燥させ、次いで2回目のベツレヘムバーナーの火炎に通過させて再び溶融させ、そして水急冷容器へと移送した。光学顕微鏡を使用して、ビーズを採集および検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。ビーズに関して測定された屈折率を表Iに示す。F.ドナルド ブロス(F.Donald Bloss),「アン イントロダクション トゥ ザ メソッヅ オブ オプティカル クリスタログラフィー(An Introduction to the Methods of Optical Crystallography)」,ホルト ラインハート アンド ウィンストン(Holt,Rinehart and Winston),ニューヨーク(New York),第47頁〜第55頁(1961)に開示されているベック(Becke)法によって、屈折率を測定することができる。この開示は本明細書に参照として組み入れられる。
【0059】
実施例2
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。12gの酸化ジルコニウム(商品名「CF−PLUS−HM」でカーペンター エンジニアリング プロダクツのZ−テック デビジョン(Z−TECH division of Carpenter Engineering Products),(ニューハンプシャー州、ボウ(Bow,New Hampshire))から市販品として入手可能)、140gの酸化チタン(商品名「T315−500」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、16gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、20.6gの炭酸バリウム(商品名「タイプ(Type)S」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)および28.6gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
70% TiO2
8% Bi23
8% BaO
8% CaO
6% ZrO2
【0060】
光学顕微鏡を使用してビーズを検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。ビーズに関して測定された屈折率を表Iに示す。
【0061】
実施例3
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。24gの酸化ジルコニウム(商品名「CF−PLUS−HM」でカーペンター エンジニアリング プロダクツのZ−テック デビジョン(Z−TECH division of Carpenter Engineering Products),(ニューハンプシャー州、ボウ(Bow,New Hampshire))から市販品として入手可能)、126gの酸化チタン(商品名「T315−500」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、18gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、20.6gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)および28.6gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
63% TiO2
12% ZrO2
9% Bi23
8% BaO
8% CaO
【0062】
光学顕微鏡を使用してビーズを検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。ビーズに関して測定された屈折率を表Iに示す。
【0063】
実施例4
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。20gの酸化ジルコニウム(商品名「CF−PLUS−HM」でカーペンター エンジニアリング プロダクツのZ−テック デビジョン(Z−TECH division of Carpenter Engineering Products),(ニューハンプシャー州、ボウ(Bow,New Hampshire))から市販品として入手可能)、120gの酸化チタン(商品名「T315−500」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、20gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、25.7gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)および35.7gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
60% TiO2
10% ZrO2
10% Bi23
10% BaO
10% CaO
【0064】
光学顕微鏡を使用してビーズを検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。X線回折分析によって、非晶質状態でビーズが急冷されたことが確認された。図1は、X線回折データのプロットである。ビーズに関して測定された屈折率を表Iに示す。米国特許第4,772,511号明細書(ウッド(Wood))に記載の試験手順に従って、ミクロスフィアに関して粉砕強度値を決定した。ミクロスフィアは、粉砕強度が540MPaであると測定された。
【0065】
実施例5
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。14gの酸化ジルコニウム(商品名「CF−PLUS−HM」でカーペンター エンジニアリング プロダクツのZ−テック デビジョン(Z−TECH division of Carpenter Engineering Products),(ニューハンプシャー州、ボウ(Bow,New Hampshire))から市販品として入手可能)、130gの酸化チタン(商品名「ケミラ(Kemira)110」でケール マックジー(Kerr McGee)(オクラホマ州、オクラホマ シティ(Oklahoma City,Oklahoma))から市販品として入手可能)、24gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、20.6gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)および28.6gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
65% TiO2
12% Bi23
8% BaO
8% CaO
7% ZrO2
【0066】
光学顕微鏡を使用してビーズを検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。ビーズに関して測定された屈折率を表Iに示す。
【0067】
実施例6
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。16gの酸化ジルコニウム(商品名「CF−PLUS−HM」でカーペンター エンジニアリング プロダクツのZ−テック デビジョン(Z−TECH division of Carpenter Engineering Products),(ニューハンプシャー州、ボウ(Bow,New Hampshire))から市販品として入手可能)、126gの酸化チタン(商品名「ケミラ(Kemira)110」でケール マックジー(Kerr McGee)(オクラホマ州、オクラホマ シティ(Oklahoma City,Oklahoma))から市販品として入手可能)、16gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、20.6gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)および19.7gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)、5gの酸化アルミニウム(商品名「16SG」でアルコア インダストリアル ケミカルズ(ALCOA Industrial Chemicals),(ペンシルバニア州、ピッツバーグ(Pittsburgh,Pennsylvania))から市販品として入手可能)および10gのウォラストナイト((CaSiO3)粉末、商品名「バンシル(Vansil)W−30」でR.T.バンダービット(R.T.Vanderbilt)(コネチカット州、ノーウォーク(Norwalk,Connecticut))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
63% TiO2
8% ZrO2
8% Bi23
8% BaO
8% CaO
2.5重量% Al23
2.5重量% SiO2
【0068】
光学顕微鏡を使用してビーズを検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。ビーズに関して測定された屈折率を表Iに示す。
【0069】
実施例7
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。20gの酸化ジルコニウム(商品名「CF−PLUS−HM」でカーペンター エンジニアリング プロダクツのZ−テック デビジョン(Z−TECH division of Carpenter Engineering Products),(ニューハンプシャー州、ボウ(Bow,New Hampshire))から市販品として入手可能)、120gの酸化チタン(商品名「ケミラ(Kemira)110」でケール マックジー(Kerr McGee)(オクラホマ州、オクラホマ シティ(Oklahoma City,Oklahoma))から市販品として入手可能)、20gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、19.3gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)、26.8gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)、10gの酸化亜鉛(商品名「ZX0090−1」でEM サイエンス(EM Science)(ニュージャージー州、チェリーヒル(Cherry Hill,New Jersey))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
60% TiO2
10% ZrO2
10% Bi23
7.5% BaO
7.5% CaO
5% ZnO
【0070】
光学顕微鏡を使用してビーズを検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。ビーズに関して測定された屈折率を表Iに示す。
【0071】
実施例8
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。19.4gの酸化ジルコニウム(商品名「CF−PLUS−HM」でカーペンター エンジニアリング プロダクツのZ−テック デビジョン(Z−TECH division of Carpenter Engineering Products),(ニューハンプシャー州、ボウ(Bow,New Hampshire))から市販品として入手可能)、116.4gの酸化チタン(商品名「ケミラ(Kemira)110」でケール マックジー(Kerr McGee)(オクラホマ州、オクラホマ シティ(Oklahoma City,Oklahoma))から市販品として入手可能)、19.4gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、25.0gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)、34.6gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)および30.4gの硝酸第二鉄((Fe(NO33−9H2O)、商品名「I110−500」でフィッシャー(Fisher)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
58.2% TiO2
9.7% ZrO2
9.7% Bi23
9.7% BaO
9.7% CaO
3% Fe23
【0072】
ビーズの外観は黒色であった。それらは、約40ミクロン〜250ミクロンであると測定された。急冷された黒色ガラスビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で850℃まで加熱し、850℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、ビーズは黒色外観から黄色外観へと変化した。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0073】
実施例9
実施例1に従ってビーズを調製した。急冷されたビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で850℃まで加熱し、850℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0074】
実施例10
実施例2に従ってビーズを調製した。急冷されたビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で850℃まで加熱し、850℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0075】
実施例11
実施例3に従ってビーズを調製した。急冷されたビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で850℃まで加熱し、850℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0076】
実施例12
実施例4に従ってビーズを調製した。急冷されたガラスビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で850℃まで加熱し、850℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。X線回折分析によって、加熱処理されたビーズが実質的に結晶であることが確認された。図2はX線回折データのプロットである。体積パーセント結晶化度は、60〜70%であると推定された。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0077】
実施例13
実施例5に従ってビーズを調製した。急冷されたビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で850℃まで加熱し、850℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0078】
実施例14
実施例6に従ってビーズを調製した。急冷されたビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で850℃まで加熱し、850℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0079】
実施例15
実施例7に従ってビーズを調製した。急冷されたビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で850℃まで加熱し、850℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0080】
実施例16
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。120gの酸化チタン(商品名「クロノス(KRONOS)1000」でクロノス(KRONOS),(ニュージャージー州、クランベリー(Cranbury,New Jersey))から市販品として入手可能)、26.6gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、34.5gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)および47.5gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
60% TiO2
13.3% Bi23
13.3% BaO
13.3% CaO
【0081】
光学顕微鏡を使用してビーズを検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。急冷されたビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で765℃まで加熱し、765℃で30分間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。X線回折によって、約10体積%の総結晶相濃度を有する少なくとも1つの結晶相の存在が確認された。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0082】
実施例17
実施例1に明示された手順に従って、以下の原材料を使用してビーズのバッチを調製した。126gの酸化チタン(商品名「24,857−6」でアルドリッチ ケミカル カンパニー(Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin))から市販品として入手可能)、28gの三酸化ビスマス(商品名「B−339」でフィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)(ニュージャージー州、フェア ローン(Fair Lawn,New Jersey))から市販品として入手可能)、20.6gの炭酸バリウム(商品名「タイプ S(Type S)」でケミカル プロダクツ コーポレイション(Chemical Products Corporation)(ジョージア州、カータースビル(Cartersville,Georgia))から市販品として入手可能)、28.6gの炭酸カルシウム(商品名「ハバーカーブ(Hubercarb)Q325」でアクロケム コーポレイション(Akrochem Corporation)(オハイオ州、アクロン(Akron,Ohio))から市販品として入手可能)および19.9gの炭酸ストロンチウム(商品名「28,983−3」でアルドリッチ ケミカル カンパニー(Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin))から市販品として入手可能)。以下のベース組成によって、ビーズの調製のために適切な割合で成分を組み合わせた。
63% TiO2
14% Bi23
8% BaO
8% CaO
7% SrO
【0083】
光学顕微鏡を使用してビーズを検査した。それらは直径が約40ミクロン〜250ミクロンであると測定され、そしてビーズの大部分は明澄で、実質的に欠陥(例えば、光学的に可視の封入体、泡)が存在しないものであった。急冷されたビーズをアルミナるつぼ中に配置し、そして10℃/分の速度で750℃まで加熱し、750℃で1時間保持し、次いで、環境中への熱の自然散逸を通して、炉によってゆっくり冷却させた。室温まで冷却後、炉からビーズを取り出した。加熱処理後、光学顕微鏡を使用して観察した時に、ビーズは実質的に明澄なままであった。X線回折によって、約10体積%の総結晶相濃度を有する少なくとも1つの結晶相の存在が確認された。ビーズの測定された屈折率を表Iに示す。
【0084】
【表2】

【0085】
個々に組み入れられるように、全ての特許、特許文献および出版物の全開示は参照として本明細書に組み入れられる。本質から逸脱することなく本発明の上記実施形態に様々な修正を行なうことができることは、当業者に明白であろう。本発明は、請求の範囲内の全てのかかる修正を包括するように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の例示的なガラスビーズのX線回折プロット。
【図2】本発明の例示的なガラス−セラミックビーズのX線回折プロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス−セラミック構造を含んでなるミクロスフィアであって、当該ミクロスフィアの総重量を基準として、少なくとも5重量%の酸化ビスマスと、少なくとも50重量%のチタニアとを含んでなるミクロスフィア。
【請求項2】
前記ミクロスフィアが透明である、請求項1に記載のミクロスフィア。
【請求項3】
酸化ビスマスの量が30重量%以下である、請求項1に記載のミクロスフィア。
【請求項4】
チタニアの量が約92重量%以下である、請求項1に記載のミクロスフィア。
【請求項5】
少なくとも10重量%のアルカリ土類金属酸化物をさらに含んでなる、請求項1に記載のミクロスフィア。
【請求項6】
前記少なくとも10重量%のアルカリ土類金属酸化物が、少なくとも5重量%のCaOと、少なくとも5重量%のBaOとを含んでなる、請求項5に記載のミクロスフィア。
【請求項7】
前記少なくとも10重量%のアルカリ土類金属酸化物が、少なくとも5重量%のCaOと、少なくとも5重量%のBaOと、少なくとも5重量%のSrOとを含んでなる、請求項5に記載のミクロスフィア。
【請求項8】
アルカリ土類金属酸化物の量が35重量%以下である、請求項5に記載のミクロスフィア。
【請求項9】
約20重量%以下の酸化亜鉛をさらに含んでなる、請求項1に記載のミクロスフィア。
【請求項10】
前記ミクロスフィアが融合物である、請求項1に記載のミクロスフィア。
【請求項11】
前記ミクロスフィアが2.2より高い屈折率を有する、請求項1に記載のミクロスフィア。
【請求項12】
前記ミクロスフィアがナノスケール結晶を含んでなるガラス−セラミック構造を含んでなる、請求項1に記載のミクロスフィア。
【請求項13】
前記ナノスケール結晶が約100ナノメートル未満の寸法を有する、請求項12に記載のミクロスフィア。
【請求項14】
前記ナノスケール結晶が前記ミクロスフィアの少なくとも20体積%を成す、請求項12に記載のミクロスフィア。
【請求項15】
前記ナノスケール結晶が前記ミクロスフィアの少なくとも50体積%を成す、請求項12に記載のミクロスフィア。
【請求項16】
前記ミクロスフィアが約100ナノメートルより大きい寸法の結晶を含んでなり、そして前記結晶が前記ミクロスフィアの20体積%未満を成す、請求項12に記載のミクロスフィア。
【請求項17】
バインダーと請求項1に記載のミクロスフィアとを含んでなる再帰反射性物品。
【請求項18】
セラミックコアと前記コア中に部分的に埋め込まれた請求項1に記載のミクロスフィアとを含んでなる再帰反射性素子。
【請求項19】
バインダーと請求項1に記載のミクロスフィアとを含んでなる路面表示。
【請求項20】
バインダーと請求項18に記載の反射素子とを含んでなる路面表示。
【請求項21】
a)請求項1に記載の出発組成物を用意する工程と、
b)前記出発組成物を溶融して、溶融液滴を形成する工程と、
c)前記溶融液滴を冷却して、急冷された融合ミクロスフィアを形成する工程と、
d)前記急冷融合ミクロスフィアを加熱する工程と
を含んでなるミクロスフィアの製造方法。
【請求項22】
ミクロスフィアの総重量を基準として、少なくとも50重量%のチタニアと、少なくとも5重量%の酸化ビスマスと、少なくとも5重量%のジルコニアとを含んでなるミクロスフィア。
【請求項23】
前記ミクロスフィアが透明である、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項24】
前記ミクロスフィアがガラスである、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項25】
前記ミクロスフィアがガラス−セラミックである、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項26】
酸化ビスマスの量が30重量%以下である、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項27】
チタニアの量が約84重量%以下である、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項28】
少なくとも10重量%のアルカリ土類金属酸化物をさらに含んでなる、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項29】
前記少なくとも10重量%のアルカリ土類金属酸化物が、少なくとも5重量%のCaOと、少なくとも5重量%のBaOとを含んでなる、請求項28に記載のミクロスフィア。
【請求項30】
前記少なくとも10重量%のアルカリ土類金属酸化物が、少なくとも5重量%のCaOと、少なくとも5重量%のBaOと、少なくとも5重量%のSrOとを含んでなる、請求項28に記載のミクロスフィア。
【請求項31】
アルカリ土類金属酸化物の量が35重量%以下である、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項32】
約10重量%以下の酸化亜鉛をさらに含んでなる、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項33】
前記ミクロスフィアが融合物である、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項34】
前記ミクロスフィアが2.2より高い屈折率を有する、請求項22に記載のミクロスフィア。
【請求項35】
a)請求項22に記載の出発組成物を用意する工程と、
b)前記出発組成物を溶融して、溶融液滴を形成する工程と、
c)前記溶融液滴を冷却して、急冷された融合ミクロスフィアを形成する工程と
を含んでなるミクロスフィアの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−501183(P2007−501183A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532440(P2006−532440)
【出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/012173
【国際公開番号】WO2005/000756
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】