説明

チップレシーバとそれを有するヘッジトリマ

【課題】 ヘッジトリマ用のチップレシーバの捕集性を向上する。
【解決手段】 チップレシーバは、ヘッジトリマのブレードユニットに取り付けられる。チップレシーバは、ブレードユニットの刃先とは反対側に位置し、刃先によって刈り取られた枝葉を受け止める。チップレシーバは、ブレードユニットの長手方向に伸びる長手リブや、エッジに形成された複数の突起など、受け止めた枝葉の落下を抑制する凹凸形状を有している。この構造によると、チップレシーバから落下する枝葉の量が減少し、チップレシーバの捕集性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッジトリマ用のチップレシーバ(葉受板又は排葉板とも称される)に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッジトリマは、生垣の刈り込みに用いられる動力工具である。ヘッジトリマは、直線状に伸びるブレードユニットを有しており、そのブレードユニットには、長手方向に沿って枝葉を刈り取る複数の刃先が設けられている。ブレードユニットは、エンジンやモータなどの原動機によって駆動される。ユーザは、ブレードユニットを生垣に沿って移動させることで、生垣を簡単に刈り込むことができる。
【0003】
ヘッジトリマによる生垣の刈り込み後、生垣には切り取られた枝葉が多く残り、ユーザはその枝葉を収集する必要がある。しかしながら、切り取られた枝葉は、生垣の奥深くに入り込むことも多く、それを収集する作業は簡単ではない。その結果、切り取られた枝葉を収集に、ユーザは多くの時間と労力を割くことになる。
【0004】
上記の問題に対して、ヘッジトリマ用のチップレシーバが製品化されている(例えば特許文献1)。チップレシーバは、受け皿状の部材であり、ヘッジトリマのブレードユニットに取り付けられる。チップレシーバは、ブレードユニットの刃先とは反対側に位置し、刃先によって刈り取られた枝葉を受け止める。即ち、切り取られた枝葉が、生垣の内部へ落下することなく、チップレシーバによって捕集される。ユーザは、生垣の刈り込みを行いながら、チップレシーバによって捕集された枝葉を、生垣の外へ振り落とすことができる。切り取られた枝葉のうち、生垣に残存する量を少なくすることができるので、ユーザは切り取られた枝葉の収集を容易に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−307058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チップレシーバは、高い捕集性が求められる。即ち、ブレードユニットによって切り取られた枝葉のより多くを捕集することが求められる。例えば、特許文献1のチップレシーバは、深底形状を有しており、より多くの枝葉を保持できる。本発明もまた、捕集性の高いチップレシーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
チップレシーバによって受け止められた枝葉は、他の枝葉によって押されたり、ユーザがヘッジトリマを移動させたりすることによって、チップレシーバから落下することがあり、そのことがチップレシーバの捕集性を低下させる一因となっている。そのことから、本発明では、受け止められた枝葉の落下を妨げる凹凸形状を設けることによって、チップレシーバの捕集性を向上させる。
【0008】
本発明に係るチップレシーバは、ヘッジトリマのブレードユニットに取り付けられるチップレシーバであって、少なくとも一方側に複数の刃先が並ぶブレードユニットの他方側に位置し、複数の刃先によって刈り取られた枝葉を受け止める受け止め部を有しており、その受け止め部には、受け止めた枝葉の落下を妨げる凹凸形状が設けられている。ここで、チップレシーバは、ブレードユニットに直接的に固定される必要はなく、例えばヘッジトリマの本体に固定されるものでもよい。チップレシーバは、ブレードユニットに対して、特定の位置に取り付けられるものであればよい。
【0009】
チップレシーバは、ブレードユニットによって刈り取られた枝葉を、ブレードユニット側から受け入れる構造を有している。そのため、チップレシーバ上の枝葉が、ブレードユニット側から落下しやすい。そこで、本発明の一形態では、前記した受け止め部が、ブレードユニットの長手方向に伸びる長手リブを有することが好ましい。この構造によると、チップレシーバ上の枝葉が、ブレードユニット側へ移動して落下することを抑制することができる。
【0010】
前記した長手リブは、反ブレードユニット側に向って下方に傾斜する傾斜面を有することが好ましい。この構造によると、長手リブに接触する枝葉には、自重によって反ブレードユニット側に向う力が作用する。それにより、枝葉がブレードユニット側へ移動して落下することを抑制することができる。ここで、傾斜面が下方に傾斜するとは、ブレードユニットの複数の刃先を水平に位置させた場合に、傾斜面が鉛直下方に傾斜することを意味する。
【0011】
前記した長手リブは、長手方向に垂直な断面が三角形であり、ブレードユニットの長手方向に伸びる峰部を有し、その峰部の反ブレードユニット側に前記傾斜面が形成されていることが好ましい。この構造によると、長手リブの断面形状を複雑にすることなく、長手リブに前記した傾斜面を設けることができる。
【0012】
前記した長手リブの峰部は、長手リブの幅方向中央よりもブレードユニット側に位置していることが好ましい。この構成によると、前記した傾斜面をより広く設けることができ、枝葉の移動及び落下をさらに抑制することができる。
【0013】
長手リブの断面形状を三角形にした場合、その三角形の形状によっては、長手リブのブレードユニット側に、ブレードユニットに向かって下方に傾斜する傾斜面が形成される。このような傾斜面は、枝葉をブレードユニットに向けて移動させることがあり、好ましくない。そこで、前記した長手リブの峰部は、長手リブのブレードユニット側の縁部の上方、又は、長手リブのブレードユニット側の縁部よりもブレードユニット側に位置していることが好ましい。この構造によると、前記した好ましくない傾斜面が、長手リブに形成されることがない。
【0014】
前記した受け止め部は、複数の長手リブを有することが好ましい。この場合、少なくとも一つの長手リブの傾斜面が、反ブレードユニット側に隣接する他の長手リブまで伸びていることが好ましい。この構造によると、前記した傾斜面をより広く設けることができ、枝葉の移動及び落下をさらに抑制することができる。
【0015】
また、複数の長手リブが存在する場合、ブレードユニット側に位置するものほど、その高さは低いことが好ましい。この構造によると、ブレードユニットによって次々に刈り取られる枝葉が、複数の長手リブをスムーズに乗り越えて、チップレシーバの奥へ移動することができる。
【0016】
前記した長手リブの表面には、複数の溝又は孔が形成されていることが好ましい。この構造によると、チップレシーバ上の枝葉が、複数の溝又は孔に引っ掛かることで、チップレシーバ上で移動することが抑制される。
【0017】
前記溝又は孔は、前記長手リブの伸びる方向に対して交差する方向に伸びていることが好ましい。この構造によると、長手リブでは抑制できない方向への枝葉の移動を、複数の溝又は孔によって抑制することができる。
【0018】
本発明に係るチップレシーバでは、受け止め部のエッジの少なくとも一部に、複数の突起が形成されていることが好ましい。
チップレシーバの受け止め部は、多くの枝葉を受け止められるように、その周囲に上方へ立ち上がる壁部を設けることができる。しかしながら、受け止め部の周囲に壁部を設けていても、例えば刈り取られた長い枝などは、受け止め部のエッジ(壁部の上縁)に乗り上げることがある。受け止め部のエッジに乗り上げた枝は、ユーザがヘッジトリマを移動させた場合に、チップレシーバのエッジから滑り落ちやすい。このとき、受け止め部のエッジの少なくとも一部に、突起が繰り返し形成されていると、受け止め部のエッジに乗り上げた枝が、チップレシーバから滑り落ちることを抑制することができる。
【0019】
前記した突起の間隔は、ブレードユニットの刃先の間隔よりも狭いことが好ましい。ヘッジトリマでは、ブレードユニットの刃先の間隔よりも太い枝を切ることはできない。そのことから、エッジに形成する突起の間隔は、ブレードユニットの刃先の間隔よりも広くする必要がない。従って、突起の間隔は、刃先の間隔よりも狭い範囲で設計することが有効である。
【0020】
前記した突起のブレードユニット側の表面は、凹状に湾曲していることが好ましい。この構造によると、刈り取られた枝葉が、受け止め部のエッジに乗り上げたり、エッジを越えて落下したりすることを抑制することができる。
【0021】
前記した受け止め部は、長手リブに交差する横リブをさらに有することが好ましい。この構成によると、長手リブでは抑制できない方向への枝葉の移動を、横リブによって抑制することができる。特に、ユーザがヘッジトリマを移動させる際、ブレードユニットが大きく振られることも多い。この場合、チップレシーバ上の枝葉は、ブレードユニットの長手方向に遠心力を受け、ブレードユニットの長手方向に沿って移動しようとする。横リブは、このような枝葉の移動を効果的に抑制することができる。
【0022】
前記した横リブは、長手リブよりも高いことが好ましい。刈り取られた枝葉は、長手リブを乗り越えて、チップレシーバの内部へと移動する必要がある。そのことから、長手リブの高さは、あまり高くしない方がよい。それに対して、刈り取られた枝葉は、チップレシーバの上でブレードユニットの長手方向に移動する必要は特にないので、横リブは比較的に高く形成することができる。従って、横リブを長手リブよりも高くなるように設計することで、チップレシーバの捕集性を高めることができる。
【0023】
前記した受け止め部の表面の少なくとも一部には、粗面化処理が施されていることが好ましい。この構造によると、受け止め部と枝葉との間の摩擦抵抗を高めることができ、チップレシーバ上の枝葉の移動及び落下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のチップレシーバは、受け止めた枝葉の落下を妨げる凹凸形状を有することにより、刈り取られた枝葉をより多く捕集することができる。切り取られた枝葉のうち、生垣に残存する量を少なくすることができるので、ユーザは切り取られた枝葉の収集を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例のチップレシーバとヘッジトリマを示す図。
【図2】チップレシーバの平面図。
【図3】チップレシーバの正面図。
【図4】図2中のIV−IV線断面図。
【図5】チップレシーバのエッジを拡大して示す図。
【図6】表面が凹状に湾曲する突起を例示する図。
【図7】表面が凹状に湾曲する突起を例示する図。
【図8】長手リブの一つの変形例を示す図。
【図9】長手リブの他の一つの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施例のチップレシーバ10とそれを有するヘッジトリマ100について、図面を参照しながら説明する。なお、チップレシーバ10は、葉受板又は排葉板と称されることもある。また、ヘッジトリマ100は、生垣バリカン又は園芸用バリカンと称されることもある。
【0027】
最初に、ヘッジトリマ100について説明する。ヘッジトリマ100は、生垣の刈り込みに用いられる園芸用動力工具の一種である。ヘッジトリマ100は、本体102と、本体102から直線状に伸びるブレードユニット110を有している。本体102は、原動機であるエンジンを内蔵している。また、本体102は、ユーザが把持するメイングリップ104及びフロントグリップ106を有している。フロントグリップ106には、ユーザが操作する各種のスイッチやレバーが設けられている。ユーザは、二つのグリップ104、106を把持し、ヘッジトリマ100を保持することができる。
【0028】
ブレードユニット110は、複数の上刃先112及び複数の下刃先114を有している。数の上刃先112及び複数の下刃先114は、それぞれ、ブレードユニット110の長手方向に沿って一定の間隔D1で並んでいる。ブレードユニット110は、いわゆる片刃タイプであり、上刃先112及び下刃先114がブレードユニット110の一方側110aのみに設けられている。複数の下刃先114は、本体102のエンジンにより、ブレードユニット110の長手方向に沿って往復駆動される。それにより、上刃先112と下刃先114が離反と交差を繰り返す。ユーザは、ブレードユニット110を生垣に沿って移動させることで、生垣を刈り込むことができる。
【0029】
次に、チップレシーバ10について説明する。図1に示すように、チップレシーバ10は、受け皿状の部材であり、樹脂材料によって形成されている。ただし、チップレシーバ10は、金属材料などの他の材料によって形成してもよい。チップレシーバ10は、直線状に伸びる板状の固定部12と、固定部12の一方側に広がる受け止め部20を有している。チップレシーバ10の固定部12は、複数のねじ14によって、ブレードユニット110に固定される。そのために、固定部12には、ねじ14を挿通させるための複数の孔16が形成されている。
【0030】
固定部12をブレードユニット110に固定すると、チップレシーバ10の受け止め部20は、ブレードユニット100の刃先112、114とは反対側110bに配置される。受け止め部20は、底部22と壁部24を有している。壁部24は、底部22の周囲(固定部12との境界は除く)に設けられており、底部22から曲線的に立ち上がっている。受け止め部20は、刃先112、114の後方に位置し、刃先112、114によって刈り取られた枝葉を受け止める。
【0031】
仮にヘッジトリマ100がチップレシーバ10を有さないと、刈り込み後の生垣には切り取られた枝葉が多く残り、ユーザはその枝葉を収集する必要がある。切り取られた枝葉は、生垣の奥深くに入り込むことも多く、それを収集する作業は簡単ではない。それに対して、ヘッジトリマ100がチップレシーバ10を有すると、切り取られた枝葉の多くがチップレシーバ10によって捕集される。ユーザは、生垣の刈り込みを行いながら、チップレシーバ10によって捕集された枝葉を、生垣の外へ振り落とすことができる。切り取られた枝葉のうち、生垣に残存する量を少なくすることができるので、その後にユーザは切り取られた枝葉の収集を容易に行うことが可能となる。
【0032】
次に、チップレシーバ10の詳細な構造について説明する。図1、図2、図4に示すように、受け止め部20の底部22には、三本の長手リブ30が形成されている。三本の長手リブ30は、ブレードユニット110の長手方向に伸びている。三本の長手リブ30は、チップレシーバ10上の枝葉が、ブレードユニット110側へ移動することを妨げる。それにより、チップレシーバ10によって受け止められた枝葉が、ブレードユニット110側から落下することが防止される。
【0033】
図4に示すように、各々の長手リブ30は、長手方向に垂直な断面が三角形である。各々の長手リブ30は、ブレードユニット110の長手方向に伸びる峰部34と、峰部34の反ブレードユニット110側に広がる傾斜面36を有している。傾斜面36は、反ブレードユニット110側に向って下方に傾斜している。ここで、傾斜面36が下方に傾斜するとは、ブレードユニット110の複数の刃先112、114を水平に位置させた場合を想定している。この構造によると、長手リブ30の傾斜面36に接触する枝葉には、自重によって反ブレードユニット110側に向う力が作用する。それにより、枝葉がブレードユニット110側へ移動して落下することが抑制される。なお、長手リブ30には、その断面形状を三角形にしなくとも、上記した傾斜面36を形成することはできる。
【0034】
上記した傾斜面36は、より広く設けることが好ましい。そのことから、本実施例では、長手リブ30の傾斜面36が、反ブレードユニット110側に隣接する他の長手リブ30まで伸びている(ただし、最も反ブレードユニット110側に位置する長手リブ30を除く)。即ち、三つの長手リブ30は、互いに隙間なく形成されており、底部22に階段状の凹凸形状を形成している。また、傾斜面36をより広く設けるためには、長手リブ30の峰部34が、長手リブ30の幅方向中央よりも、ブレードユニット110側に位置することが好ましい。峰部34がブレードユニット110側に位置するほど、傾斜面36をより広くすることができる。
【0035】
長手リブ30の断面形状を三角形にした場合、その三角形の形状によっては、長手リブ30のブレードユニット110側の側面32が、ブレードユニット110に向かって下方に傾斜することになる(図8参照)。ブレードユニット110側の側面32がこのように傾斜すると、枝葉をブレードユニット110に向けて移動させることになり、どちらかといえば好ましくない。そのことから、本実施例では、長手リブ30の断面形状を直角三角形とし、ブレードユニット110側の側面32が、水平面に対して垂直になるように設計されている。即ち、長手リブ30の峰部34が、長手リブ30のブレードユニット110側の縁部の上方に位置している。それにより、各々の長手リブ30では、ブレードユニット110側の側面32が水平面に対して垂直に伸びている。なお、長手リブ30の峰部34は、長手リブ30のブレードユニット110側の縁部に対して、さらにブレードユニット110側に位置させることもできる。この場合、長手リブ30のブレードユニット110側の側面32は、その法線が水平面よりも下方を向くことになる。
【0036】
図4に示すように、三本の長手リブ30では、ブレードユニット110側に位置するものほど、その高さが低く設計されている。この構造によると、ブレードユニット110によって次々に刈り取られる枝葉が、三本の長手リブ30をスムーズに乗り越えて、チップレシーバ10の奥へ移動することができる。
【0037】
図2に示すように、長手リブ30は、その表面に複数の溝38を有している。複数の溝38は、長手リブ30の傾斜面36に形成されている。各々の溝38は、矩形形状を有しており、長手リブ30の長手方向に対して交差する方向に伸びている。この構造によると、チップレシーバ10上の枝葉が、複数の溝38に引っ掛かることで、チップレシーバ10上で移動することが抑制される。特に、各々の溝38が長手リブ30とは異なる方向に伸びているので、長手リブ30では抑制できない方向への枝葉の移動を、効果的に抑制することができる。なお、長手リブ30には、溝38に代えて孔を形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0038】
図1、図2、図3、図4に示すように、受け止め部20のエッジ(壁部24の上縁)20aには、複数の突起50が形成されている。チップレシーバ10では、例えば刈り取られた長い枝が、受け止め部20のエッジ20aに乗り上げることがある。受け止め部20のエッジ20aに乗り上げた枝は、ユーザがヘッジトリマ100を移動させた場合に、受け止め部20のエッジ20aから滑り落ちやすい。この点に関して、本実施例のチップレシーバ10では、受け止め部20のエッジ20aに乗り上げた枝が、複数の突起50に引っ掛かることにより、チップレシーバ10から滑り落ちることを抑制することができる。なお、受け止め部20のエッジ20aには、複数の切欠を形成することによって、複数の突起50を設けることもできる。
【0039】
図5は、受け止め部20のエッジ20aを拡大して示している。図5に示すように、エッジ20aに形成された突起50は、その頂部50aが円弧状に成形されている。この構造によると、エッジ20aに乗り上げた枝が、突起50の間に嵌り込みやすく、チップレシーバ10から滑り落ちにくくなる。また、突起50の間隔D2は、ブレードユニット110の刃先112、114の間隔D1よりも、狭く設計されている。ヘッジトリマ100では、刃先112、114の間隔よりも太い枝を切ることはできない。そのことから、エッジ20aに形成する突起50の間隔D2は、刃先112、114の間隔D1よりも広くする必要がない。従って、突起50の間隔D2は、刃先112、114の間隔よりも狭い範囲で設計することが有効である。
【0040】
図6、図7に示すように、突起50のブレードユニット110側の表面50bは、凹状に湾曲させることもできる。この構造によると、刈り取られた枝葉が、受け止め部20のエッジ20aに乗り上げたり、エッジ20aを越えて落下したりすることが抑制される。ここで、図6に示す突起50では、その表面50bが高さ方向に沿って湾曲しており、図7に示す突起50では、その表面50bが幅方向に沿って湾曲している。いずれの方向に湾曲ささせても、有意な効果を得ることができる。また、突起50の表面50bは、高さ方向と幅方向の両方向に沿って湾曲させることもできる。
【0041】
図1、図2、図3、図4に示すように、受け止め部20の底部22には、二本の横リブ40が形成されている。各々の横リブ40は、三本の長手リブ30に交差するように伸びている。各々の横リブ40は、チップレシーバ10上の枝葉が移動することを妨げ、枝葉がチップレシーバ10から落下することを抑制する。特に、各々の横リブ40は、長手リブ30と交差するように伸びているので、長手リブ30では抑制できない方向への枝葉の移動を、効果的に妨げることができる。ここで、ヘッジトリマ100のユーザは、例えばチップレシーバ10上の枝葉を生垣の外へ振り落とす際に、ブレードユニット110を大きく振るように移動させることも多い。この場合、チップレシーバ10上の枝葉は、ブレードユニット110の長手方向に遠心力を受け、ブレードユニット110の長手方向に沿って移動しようとする。しかしながら、このような枝葉の移動は、横リブ40によって効果的に抑制されることになる。なお、本実施例の横リブ40は、上記の遠心力を受けた枝葉を受け止められるよう、横リブ40の長手方向に沿って円弧上に湾曲している。また、本体102側に位置する横リブ40ほど、半径の小さい円弧に沿って湾曲している
【0042】
二本の横リブ40は、三本の長手リブ30よりも高く設計されている。その理由は、以下の通りである。即ち、ブレードユニット110で刈り取られた枝葉は、長手リブ30を乗り越えて、チップレシーバ10の内部へと移動する必要がある。そのことから、長手リブ30の高さは、あまり高くしない方がよい。それに対して、刈り取られた枝葉は、チップレシーバ10の上でブレードユニット110の長手方向に移動する必要は特にない。そのことから、横リブ40は比較的に高く形成することができる。従って、横リブ40を長手リブ30よりも高くなるように設計することで、チップレシーバ10の捕集性をより高めることができる。
【0043】
受け止め部20は、図示されないが、シボ加工が施されており、その表面が粗面化されている。それにより、受け止め部20と枝葉との間の摩擦抵抗が高められ、チップレシーバ10上の枝葉の移動及び落下が抑制される。なお、受け止め部20には、シボ加工に限られず、ブラスト処理や他の種類の粗面化処理を施すこともできる。
【0044】
以上のように、本実施例のチップレシーバ10は、ブレードユニット110の長手方向に伸びる長手リブ30、エッジ20aに形成された複数の突起50、長手リブ30に交差する横リブ40、表面に施された祖面化処理など、受け止めた枝葉の落下を抑制する様々な凹凸形状を有している。それにより、チップレシーバ10から落下する枝葉の量が少なく、チップレシーバ10の高い捕集性が実現されている。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば図8に示すように、長手リブ30は、必ずしも直角三角形の断面を有する必要はない。ただし、長手リブ30の断面を三角形とする場合、長手リブ30の幅方向中央位置よりも、その峰部34をブレードユニット110側(固定部12側)に位置させるとよい。それにより、峰部34に対して反ブレードユニット110側に位置する傾斜面36を、峰部34に対してブレードユニット110側に位置する傾斜面32よりも、広くすることができる。あるいは図8に示すように、長手リブ30は、必ずしも三角形の断面を有する必要はなく、壁状に伸びる簡素な構造にすることもできる。
【0046】
本実施例では、片刃タイプのブレードユニット110に用いられるチップレシーバ10を説明したが、当該チップレシーバ10に採用した様々な凹凸形状は、両刃タイプのブレードユニットに用いられるチップレシーバにも同様に採用することができる。ここで、両刃タイプのブレードユニットとは、複数の上刃先112及び下刃先114が、ブレードユニット110の両側に並ぶものを意味する。
【0047】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0048】
10:チップレシーバ
12:固定部
20:受け止め部
20a:受け止め部のエッジ
22:受け止め部の底部
24:受け止め部の壁部
30:長手リブ
36:長手リブの傾斜面
40:横リブ
50:突起
100:ヘッジトリマ
100:ブレードユニット
110:ブレードユニット
110a:ブレードユニットの一方側
110b:ブレードユニットの他方側(刃先の反対側)
112:上刃先
114:下刃先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッジトリマのブレードユニットに取り付けられるチップレシーバであって、
少なくとも一方側に複数の刃先が並ぶブレードユニットの他方側に位置し、複数の刃先によって刈り取られた枝葉を受け止める受け止め部を有し、
その受け止め部には、受け止めた枝葉の落下を妨げる凹凸形状が設けられていることを特徴とするチップレシーバ。
【請求項2】
前記受け止め部は、ブレードユニットの長手方向に伸びる長手リブを有することを特徴とするチップレシーバ。
【請求項3】
前記長手リブは、反ブレードユニット側に向って下方に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする請求項2に記載のチップレシーバ。
【請求項4】
前記長手リブは、長手方向に垂直な断面が三角形であり、ブレードユニットの長手方向に伸びる峰部を有し、その峰部の反ブレードユニット側に前記傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のチップレシーバ。
【請求項5】
前記長手リブの峰部は、長手リブの幅方向中央位置よりも、ブレードユニット側に位置していることを特徴とする請求項4に記載のチップレシーバ。
【請求項6】
前記長手リブの峰部は、長手リブのブレードユニット側の縁部の上方、又は、長手リブのブレードユニット側の縁部よりもブレードユニット側に位置していることを特徴とする請求項5に記載のチップレシーバ。
【請求項7】
前記受け止め部は、複数の長手リブを有し、
少なくとも一つの長手リブの傾斜面は、反ブレードユニット側に隣接する他の長手リブまで伸びていることを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載のチップレシーバ。
【請求項8】
前記受け止め部は、複数の長手リブを有し、
複数の長手リブは、ブレードユニット側に位置するものほど、低く形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のチップレシーバ。
【請求項9】
前記長手リブの表面には、複数の溝又は孔が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のチップレシーバ。
【請求項10】
前記溝又は孔は、前記長手リブの伸びる方向に対して交差する方向に伸びていることを特徴とする請求項9に記載のチップレシーバ。
【請求項11】
前記受け止め部のエッジの少なくとも一部には、複数の突起が形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のチップレシーバ。
【請求項12】
前記突起の間隔は、ブレードユニットの刃先の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項11に記載のチップレシーバ。
【請求項13】
前記突起のブレードユニット側の表面は、凹状に湾曲していることを特徴とする請求項11又は12に記載のチップレシーバ。
【請求項14】
前記受け止め部は、前記長手リブに交差する横リブをさらに有することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のチップレシーバ。
【請求項15】
前記横リブは、前記長手リブよりも高いことを特徴とする請求項14に記載のチップレシーバ。
【請求項16】
前記受け止め部の表面の少なくとも一部には、粗面化処理が施されていることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のチップレシーバ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のチップレシーバと、
そのチップレシーバを取付可能なブレードユニットを有するヘッジトリマ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−83203(P2011−83203A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236811(P2009−236811)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】