説明

チップ取外し機構付きピペット

本発明は、チップ取外し要素(6.1)を含むピペットに関し、このチップ取外し要素がチップに対して移動すると、チップが取り外される。このリムーバー要素は、回転可能なランプ部材(15.1)を含む機構を用いて操作される。前記ランプ部材は、高い位置と低い位置を有する、1つ以上のセグメントを含む円形状のランプ表面を備え、このランブ表面が単一セグメントを介して回転すると、ランプ表面は、最初に、前記チップに対して移動して、次に元に戻れるように前記リムーバー要素(6.1)を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を分配するのに使用されかつチップリムーバーを有する、プランジャー作動式のピペットに関する。本発明は、このチップリムーバーを明らかにすることに関する。
【背景技術】
【0002】
プランジャー作動式のピペットにおいて、チップ要素は、通常、液体を順次分配すべき液体を引出すために用いられる交換可能な先端容器またはチップを備えている。また、通常、ピペットは、チップリムーバーを含み、このチップリムーバーは、チップ要素に沿って摺動可能なカラーと、このカラーを下方に押圧する力を与えるばねとを含んでいる。電気作動のピペットもまた利用可能であり、この場合、プランジャーは、電気モータによって作動される。このようなピペットであっても、チップリムーバーは、しばしば手動で操作されてきた。
【0003】
米国特許第4,399,712号明細書は、電気作動式のピペットを開示する。この特許において、チップリムーバーは、プランジャーと同等のモータによって駆動される。この構造において、プランジャーは、2つのナットを有し、このナットは、ハウジングに固定されかつモータ駆動のリードねじに螺合している。
【0004】
チップを取り除く時間になると、プランジャーは、底部位置に駆動され、ナットが、スプリング付勢されたチップ取外しカラーを下方に押圧する。このチップが取り外されると、モータは、相対的に逆方向に駆動される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1において定められるピペット、請求項9において定められるチップ取外し機構、及び請求項10において定められるチップ取外し方法が、今回発明された。他の請求項には、本発明のいくつかの実施形態が開示されている。
【0006】
本発明によれば、チップ取外し機構は、1つ以上のセグメントを備える円形状のランプ表面を有する、回転可能なランプ部材を含み、各セグメントは、ランプ表面の頂部位置と底部位置を有する。基本的な状態では、リムーバー要素は、頂部位置にある。ランプ部材の回転に応答して、ランプ部材は、リムーバー要素を先端方向に押し出す。セグメントは、次のセグメントの初期位置にランプ部材を停止させる。ランプ部材は、電気モータ等のモータによって回転することができる。セグメントが自動的に好ましい位置に移動した後、モータを停止させる。
【0007】
本発明によれば、チップの取外し機能は、一方向の回転動作によって行うことができる。これは単純な制御となり、戻り動作にモータによる駆動を必要としない。また、この機能は、モータによって2方向に駆動する場合のように簡単に故障することがないので、動作において、より信頼性を増すことなる。
【0008】
ランプ部材は、リムーバー要素の頂部端上に配置することができる。このランプ表面は、リムーバー要素に接触する同様な表面に対向することができる。
【0009】
ランプ部材は、リムーバー要素の移動方向に平行な軸回りに回転することができる。しかし、この軸は、例えば、リムーバー要素の移動方向に対して垂直または傾斜させることができる。
【0010】
ランプ表面は、例えば、円周当たり1つのセグメントを有する。底部位置と頂部位置の間に1つのほぼ垂直部分を設けることができる。底部位置と頂部位置との間にあるこのセグメント形状は、例えば、平坦または波形とすることができる。また、円周当たりいくつかのセグメント、通常は、同一のセグメントを有することもできる。また、セグメントは、1つの円周の長さを越える長さを有することも可能である。
【0011】
取外し機構の制御は、リムーバーが頂部位置に戻った後、自動的にモータをターンオフさせることが望ましい。これは、例えば、ランプ部材の回転位置を識別できる角度センサによって実行することができる。選択的に、プランジャーの位置を識別できるリニアセンサを用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
添付の図面は、本発明の以下の記載の一部を構成し、本発明のいくつかの実施形態を取り扱ういかに続く詳細な説明に関係する。
本発明のいくつかのピペットは、さらに詳細に説明される。
【0013】
ピペット1.1は、ハウジング2.1と、ピペットの底部端位置にあるチップ要素3.1とを含み、チップ要素は、液体のために、底部端に取り付けられたチップ容器またはチップを有する。ハウジングは、この頂部端にピペットプランジャーを作動させるための作動ボタン4を備えている。この構造は、例えば、フィンランド特許第64752号(対応するヨーロッパ特許第112887号)に開示されたものと同等である。
【0014】
このピペット1.1には、チップ取外し機構5.1が設けられている。この機構は、チップ要素3.1に沿って摺動可能なチップ取外しカラー6.1を含む。ハウジング2.1の側面を摺動可能な作動ロッド7.1がチップ取外し機構の頂部端に固定されている。作動ロッドの頂部端の近くに、内側延長部8があり、ハウジングは、その下側に外方支持体9を備える。この延長部と支持体の間に戻りばね10が設けられ、作動ロッドをその頂部位置に押圧する。作動ロッドの頂部端には、横方向ブラケット11が設けられている。このブラケットは、ランプ受け面12.1に固定される。この頂部面は、スパイラル状に1つの円周の表面の回り伸び、この表面上方から見て横方向に下降している応答面を有する。円周の開始点に(その結果、同様にその終点に)垂直の段差がある。ハウジングは、ロッドの上方に上部部分を有し、このロッドは、電気モータ13(たとえば直流モータ)、即ち、下方に伸びるモータの駆動軸に固定される。ギア装置14を介して駆動軸がランプ部材15.1に設けられ、このランプ部材は、底部表面を有しかつランプ受け面の頂部上で回転可能である。底部表面は、ランプ受け面の応答表面に対して補完しかつ固定されるランプ表面を有する。
【0015】
ランプ部材15.1が、上部から見て逆時計回りに回転する過程において、ランプ表面は、ランプ受け面12.1を押圧して、作動ロッド7.1及びチップ取外しカラー6.1を下方に移動する。ランプ部材とランプ受け面は、チップ取外しカラーがピペットのチップ要素に取り付けられるチップを取り外すのに十分な移動を与える。1回転後、ランプ表面とこれに応答する表面は、互いに垂直点で再び整合し、これにより、ランプ受け面、作動ロッド、及びチップ取外しカラーは、戻りばね10に応答して、それぞれの頂部位置に戻る。こうして、チップ取外し動作は、1つの方向にモータ13を駆動することにより得られる。
【0016】
ハウジングの側面には、カバー16があり、このカバーは、ハウジングの側面にあるチップ取外し機構の各要素を覆うために設けられている。このカバーによって、ピペットは、より広くなるように設計されたハンドグリップ部の上側部分を有することになり、手に良くフィットさせることができる。これにより、モータ13、ギア装置14、ランプ部材15.1、及びランプ受け面12.1を側部側に配置するスペースを設けることができる。これら部材の軸線は、作動ロッド及びブラケット11に対してずれた位置にあり、横方向内側ではなく外側に広がっている。
【0017】
カバー16の頂部表面には、チップ取外し機構用の作動スイッチ17が設けられている。
【0018】
ピペット1.2は、チップ取外し機構5.2と、周辺波形状の表面を有するランプ受け面12.2、及びランプ部材15.2とを除いて、その他の点では、ピペット1.1と同等である。この表面は、4つの波型を含み、これにより、チップの取外しのために1/4円の回転を必要とする。取外し機構を頂部位置に戻すために、ランプ部材は、その取外し位置からさらに回転(または回転できるように)させなければならない。
【0019】
ピペット1.3は、その底部端にチップ要素3.3を備えるハウジング2.3を有する。プランジャーが電気モータ18とリードねじによって作動する。この構造は、例えば、ヨーロッパ特許第576967号に開示されているものと同種のものである。
【0020】
ピペット1.3は、チップ取外し機構5.3を備えている。この取外し機構は、チップ要素3.3に沿って摺動可能なチップ取外しカラー6.3を含んでいる。取外し機構の頂部端には、ハウジング2.3に沿って摺動可能な作動ロッド7.3が取り付けられている。この作動ロッド上方には、シャフトを有する電気モータ(例えば、直流モータ)が取り付けられ、さらにギア装置14によってランプ部材15.3がロッドの上部端の頂部で回転可能である。
【0021】
ランプ部材15.3は底部端を有し、この底部端は、作動ロッド7.3の頂部端12.3に対して横たわるランプ表面を取り囲む。ランプ表面は、円形の種々の部分において、異なる高さレベルを有する。
【0022】
作動ロッドが作動するとき、チップ取外しカラー6.3が頂部位置にあり、ランプ表面は、ロッド頂部端に対して最も高い位置にある。チップを取外し時間になると、モータ13は、ランプ部材の初期回転を開始し、そして、ロッド頂部端表面上でランプ表面が摺動し、その結果、ランプ表面は、ロッド頂部端に整合して最も低い位置となる。これは、ランプ表面が作動ロッド、そしてチップ取り外しカラーを下方に押圧する結果となる。ランプ表面は、1つのセグメントからなり、この表面レベルは、より高い位置から低い位置に降下し、そして、最も高い位置にまで、もとり部分として戻ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】プランジャーが手動で操作されるピペットを示す図である。
【図1a】図1のピペットに対するチップ取外し機構の一部分を不等角投影図法で示す図である。
【図2】プランジャーが手動で操作される別のピペットを示す図である。
【図3】プランジャーがモータによって操作されるピペットの一部分を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャーによって液体を排出させるためのチップを取付け、かつこのチップを外すためのチップ取外し機構を有するピペットであって、
前記チップ取外し機構は、前記チップに対して移動してチップを離脱させるリムーバー要素(6.1,7.1;6.3,7.3)を含み、さらに、前記チップ取外し機構は、回転可能でかつ円形状のランプ表面を有するランプ部材(15.1;15.2;15.3)含み、
前記ランプ表面は、1つ以上のセグメントを含み、前記ランプ表面は、高い位置と低い位置とを有し、このランプ表面により、単一のセグメントを介して回転するとき、チップに対して移動するように前記リムーバー要素(6.1,7.1;6.3,7.3)を押圧し、かつそれを元に戻すことを特徴とするピペット。
【請求項2】
前記ランプ部材(15.1;15.3)は、単一セグメントを備えるランプ表面を有することを特徴とする請求項1記載のピペット。
【請求項3】
前記ランプ部材(15.1)は、低い位置と高い位置との間にほぼ垂直な部分を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のピペット。
【請求項4】
前記ランプ部材(15.1)は、前記ランプ表面が前記リムーバー要素(7.1)に一体となった補完表面(12.1)に対向するランプ表面を有することを特徴とする請求項3記載のピペット。
【請求項5】
前記ランプ部材(7.1)を回転するためのモータ(13)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のピペット。
【請求項6】
前記ランプ部材(15.1;15.2;15.3)は、前記リムーバー要素(7.1;7.3)の頂部端の上方にランプ表面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のピペット。
【請求項7】
前記ランプ部材は、前記リムーバー要素(7.1;7.2)の移動方向にほぼ平行な軸回りに回転可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のピペット。
【請求項8】
前記プランジャーを作動させるために、手動操作要素またはモータ(18)を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のピペット。
【請求項9】
ピペットからチップを取外すためのピペットのチップ取外し機構であって、
前記チップ取外し機構は、前記チップに対して移動させると、前記チップが外れるリムーバー要素(6.1,7.1;6.3,7.3)を含み、さらに、
前記チップ取外し機構は、モータによって回転可能となり、かつ1つ以上のセグメントを含む円形状のランプ表面を有するランプ部材(15.1;15.2;15.3)を備えており、前記ランプ表面は、高い位置と低い位置とを有し、単一のセグメントを介して回転するとき、最初に、前記チップに対して移動させ、そして、次に元に戻すことができるように前記リムーバー要素(6.1,7.1;6.3,7.3)を押圧することを特徴とするピペットのチップ取外し機構。
【請求項10】
チップ取外し機構内に設けられたリムーバー要素(6.1,7.1;6.3,7.3)によってチップが押圧されて、ピペットから前記チップを取外すための方法であって、
前記チップ取外し機構は、前記ランプ部材(15.1;15.2;15.3)を用いて作動され、前記リムーバー要素の移動方向に平行な軸の回りにモータによって回転可能であり、
かつ前記ランプ部材は、1つ以上のセグメントを含む円形状のランプ表面を有し、このランプ表面は、高い位置と低い位置とを有し、これにより、前記ランプ表面が、単一セグメントを介して回転するとき、前記ランプ表面は、最初に、前記チップに対して移動して、次に元に戻れるように前記リムーバー要素(6.1,7.1;6.3,7.3)を押圧することを特徴とする方法。


【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−512945(P2007−512945A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540484(P2006−540484)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000694
【国際公開番号】WO2005/049209
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(501286093)サーモ エレクトロン オイ (13)
【Fターム(参考)】