説明

チップ型電子部品の収納テープおよびテーピング電子部品連の製造方法

【課題】カバーテープの熱圧着を確実に行うとともに、チップ型電子部品取り出し時にカバーテープを容易かつ確実に剥離することが可能で、チップ型電子部品の収納性、取り出し性に優れ、かつ、経済的なチップ型電子部品の収納テープ、それを用いたテーピング電子部品連及びその製造方法を提供する。
【解決手段】テープ本体20を、一方主面に収納穴21を備えた第1テープ部材11と、第1テープ部材11が嵌め込まれる嵌合凹部12aを有する第2テープ部材12とを接合することにより形成し、カバーテープ22を第1テープ部材11の一方主面11aに熱圧着することにより、収納穴21の開口部21aを封止する。
第1テープ部材として、第2テープ部材に比べて表面粗さが小さいものを用いる。
また、第1テープ部材としてバージンパルプ材からなるものを用い、2テープ部材として、再生紙からなるものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、表面実装型の積層セラミックコンデンサなどのチップ型電子部品を、長尺状収納部材(収納テープ)に収納したテーピング電子部品連に関し、詳しくはテーピング電子部品連を構成する収納テープ、および、収納テープにチップ型電子部品が収容されたテーピング電子部品連を効率よく製造するためのテーピング電子部品連の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チップ型電子部品の出荷形態や実装プロセスをより合理化するために、チップ型電子部品を長尺状収納テープに収納してなるテーピング電子部品連とすることが広く行われている。
【0003】
そして、従来のテーピング電子部品連としては、例えば、図11に示すように、紙製で長尺状の台紙(収納テープ)51に一定ピッチでチップ型電子部品52を収納するための収納穴(収納凹部)53を形成し、ここにチップ型電子部品52を収容した後、カバーシート54を収納穴53が封止されるように熱圧着している(例えば特許文献1参照)特開平4−57758号公報参照)。
【0004】
しかしながら、カバーシート54の熱圧着については、チップ型電子部品52を取り出して実装する際に剥がすことが前提となるので、それまで確実にチップ型電子部品52を封止できるように接合されていることが必要である反面、取り出し時にはスムーズに剥がせることが必要になる。そして、そのためには、熱圧着時の条件を高度に管理することが必要になる。
【0005】
ところで、カバーシート54の熱圧着に関しては、その前工程であるチップ型電子部品52の特性選別や外観選別の処理速度の向上にともなって、1つずつ送られてくるチップ型電子部品52を順次収納穴53に収容しながら、一定ピッチごとにカバーシート54を熱圧着するという熱圧着工程に費やすことが可能な時間が短くなり、熱圧着条件の調整だけでは対応しきれない場合も生じるに至っているのが実情である。
【0006】
そのため、例えば、収納テープ(台紙)に特殊な樹脂を添加して、接合性や剥離性を調整するなどの方法により対応することが必要になっており、それだけ材料コストも上昇するという問題点がある。
【特許文献1】特開平4−57758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、テープ本体の収納穴を封止するためのカバーテープによる封止工程の自由度が高く、確実にチップ型電子部品を封止することが可能である反面、取り出し時には容易にカバーテープを剥がすことが可能で、かつ経済性にも優れた、チップ型電子部品の収納テープおよびそれを用いたテーピング電子部品連の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)のチップ型電子部品の収納テープは、
チップ型電子部品が個別に収納される複数の収納穴を有するテープ本体と、前記収納穴の開口部を封止するカバーテープとを備えた、チップ型電子部品を収納するための収納テープであって、
前記テープ本体は、一方主面に前記収納穴を備えた第1テープ部材と、前記第1テープ部材が嵌め込まれる嵌合凹部を有する第2テープ部材とを接合することにより形成されており、かつ、
前記カバーテープを前記第1テープ部材の一方主面に熱圧着することにより、前記収納穴の前記開口部が封止されるように構成されていること
を特徴としている。
【0009】
また、請求項2のチップ型電子部品の収納テープは、
チップ型電子部品が個別に収納される複数の貫通収納穴を有するテープ本体と、前記収納穴の開口部を封止するカバーテープとを備えた、チップ型電子部品の収納テープであって、
前記テープ本体は、厚み方向に貫通する貫通収納穴を備えた第1テープ部材と、前記第1テープ部材が嵌め込まれる嵌合凹部を有する第2テープ部材とを接合することにより形成されているとともに、
前記カバーテープを前記第1テープ部材の一方主面に熱圧着することにより、前記貫通収納穴の一方の開口部が封止され、かつ、
前記第1テープ部材が接合される前記第2テープ部材により、前記貫通収納穴の他方の開口部が封止されるように構成されていること
を特徴としている。
【0010】
また、請求項3のチップ型電子部品の収納テープは、請求項1または2の発明の構成において、前記第1テープ部材は前記第2テープ部材に比べて表面粗さが小さいことを特徴としている。
【0011】
また、請求項4のチップ型電子部品の収納テープは、請求項1〜3のいずれかの発明の構成において、前記第1テープ部材はバージンパルプ材からなり、前記第2テープ部材は再生紙からなるものであることを特徴としている。
【0012】
また、本願発明(請求項5)のテーピング電子部品連は、
請求項1,3,4のいずれかの収納テープの、前記収納穴にチップ型電子部品が収納され、かつ、前記収納穴の開口部が、前記カバーテープにより封止されていることを特徴としている。
【0013】
また、本願発明(請求項6)のテーピング電子部品連は、
請求項2,3,4のいずれかの収納テープの、前記貫通収納穴にチップ型電子部品が収納され、かつ、前記貫通収納穴の一方の開口部が、前記カバーテープにより封止され、他方の開口部が前記第2テープ部材により封止されていることを特徴としている。
【0014】
また、本願発明(請求項7)のテーピング電子部品連の製造方法は、
チップ型電子部品を個別に収納する有底の収納穴が複数列並ぶように形成された第1テープ集合体を用意する工程と、
前記収納穴にチップ型電子部品を収納する工程と、
前記収納穴の開口部を封止するようにカバー部材をセットし、一括して前記カバー部材を前記第1テープ集合体に熱圧着する工程と、
前記第1テープ集合体および前記カバー部材を、前記収納穴の各列ごとに切断することにより、前記第1テープ集合体が分割された第1テープ部材の前記収納穴に前記チップ型電子部品が収納され、前記収納穴の開口部が、前記カバー部材が分割されたカバーテープにより封止された構造を有する部品収納封止構造体を得る工程と、
前記第1テープ部材を嵌め込むことができる嵌合凹部を有する第2テープ部材に、前記第1テープ部材を嵌め込んで接合する工程と
を備えることを特徴とするテーピング電子部品連の製造方法。
【0015】
また、請求項8のテーピング電子部品連の製造方法は、
チップ型電子部品を個別に収納する貫通した貫通収納穴が複数列並ぶように形成された第1テープ集合体を用意する工程と、
前記貫通収納穴の一方の開口部を封止するようにカバー部材をセットし、一括して前記カバー部材を前記第1テープ集合体に熱圧着する工程と、
前記カバー部材を下にした状態で、他方の開口部から前記貫通収納穴にチップ型電子部品を収納する工程と、
前記第1テープ集合体およびカバー部材を、前記貫通収納穴の各列ごとに切断することにより、前記第1テープ集合体が分割された第1テープ部材の前記貫通収納穴の一方の開口部が、前記カバー部材が分割されたカバーテープにより封止され、かつ、前記貫通収納穴に前記チップ型電子部品が収納された構造を有する部品収納構造体を得る工程と、
前記部品収納構造体の前記カバーテープにより封止されていない方の面側を、第2テープ部材の嵌合凹部に嵌め込み、前記部品収納構造体と第2テープ部材を接合することにより、前記部品収納構造体の前記貫通収納穴の他方の開口部を封止する工程と
を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明のチップ型電子部品の収納テープは、テープ本体を、一方主面に収納穴を備えた第1テープ部材と、第1テープ部材が嵌め込まれる嵌合凹部を有する第2テープ部材とを接合することにより形成し、カバーテープを第1テープ部材の一方主面に熱圧着することにより、収納穴の開口部が封止されるように構成しているので、第1テープ部材及びカバーテープの材質として、適切なものを選択しておくことにより、テーピング工程の条件に対応するような条件で、確実にカバーテープの熱圧着を行うことが可能で、かつ、チップ型電子部品取り出し時にカバーテープを容易かつ確実に剥離することが可能なチップ型電子部品の収納テープを提供することができる。
また、第2テープ部材にはカバーテープを熱圧着する必要がないので、第2テープ部材の材質に制約がなく、特に高級な材料を必要としないため、コストの低減を図ることができる。
また、チップ型電子部品の寸法などが変化しても、第1テープ部材のみの変更で対応することが可能になるため、少量生産にもフレキシブルに対応することができる。
【0017】
また、請求項2のチップ型電子部品の収納テープのように、テープ本体を、貫通収納穴を備えた第1テープ部材を用い、カバーテープを第1テープ部材の一方主面に熱圧着することにより、貫通収納穴の一方の開口部が封止され、かつ、第1テープ部材を、嵌合凹部を有する第2テープ部材と接合することにより、貫通収納穴の他方の開口部が封止されるように構成した場合にも、第1テープ部材とカバーテープの材質として、適切なものを選択しておくことにより、テーピング工程の条件に対応するような条件で、確実にカバーテープの熱圧着を行うことが可能で、しかも、チップ型電子部品取り出し時に容易かつ確実にカバーテープを剥離することが可能なチップ型電子部品の収納テープを提供することができる。
また、この収納テープの場合にも第2テープ部材にはカバーテープを熱圧着する必要がないので、第2テープ部材の材質に制約がなく、特に高級な材料を必要としないため、コストの低減を図ることができる。
また、チップ型電子部品の寸法などが変化しても、第1テープ部材のみの変更で対応することが可能になるため、少量生産にもフレキシブルに対応することができる。
【0018】
また、請求項3のチップ型電子部品の収納テープのように、第1テープ部材として、表面粗さが第2テープ部材より小さいものを用いることにより、第1テープのカバーテープの接合性は確保されるので、第2テープ部材として特に高品質のものを用いる必要がなく、低コストで、カバーテープの熱圧着によるチップ型電子部品の封止信頼性の高い、経済性に優れた収納テープを提供することが可能になる。
【0019】
また、請求項4のチップ型電子部品の収納テープの場合、表面が平滑で、けば立ちなどの少ないバージンパルプ材からなる第1テープ部材が用いられているので、カバーテープを熱圧着することによるチップ型電子部品の封止信頼性の高い収納テープを提供することが可能になるとともに、第2テープ部材として特に高品質のものを用いることが不要になるので、収納テープ全体としてのコストの低減を図ることができる。
【0020】
また、請求項5および6のテーピング電子部品連は、本願発明の収納テープを用いているので、チップ型電子部品の封止信頼性が高く、かつ、チップ型電子部品取り出し時のカバーテープの剥離性(剥離の容易性や、剥離時のけば立ちの少なさなど)に優れたテーピング電子部品連を提供することができる。
【0021】
また、請求項7のテーピング電子部品連の製造方法では、第1テープ集合体の収納穴にチップ型電子部品を収納した後、収納穴の開口部を封止するようにカバー部材を第1テープ集合体に熱圧着し、第1テープ集合体およびカバー部材を、収納穴の各列ごとに切断し、得られる第1テープ部材を第2テープ部材に嵌め込んで接合するようにしているので、本願請求項5のテーピング電子部品連を容易かつ確実に製造することができる。
【0022】
すなわち、請求項7のテーピング電子部品連の製造方法によれば、収納穴が形成された第1テープ集合体と他の部分を構成する第2テープ集合体を別々に構成し、第1テープ集合体の収納穴にチップ型電子部品を収容してカバー部材を適切な条件で熱圧着し、しかる後に、テープ本体の大きさを規定する所定の外形寸法を備えた第2テープ集合体に第1テープ集合体を接合するようにしているので、収納穴をマトリクス状に並べた第1テープ部材にまとめてチップ型電子部品を振り込むことが可能で、その後のカバー部材による封止も一括して効率よく行うことが可能になる。また、その分だけ熱圧着の時間にも余裕ができるため、所望の条件でカバー部材(カバーテープ)の封止を行うことができるようになる。
【0023】
また、第1テープ部材の表面性状やカバーテープの剥離特性などより厳しい条件を要求される場合には、例えば第1テープ部材にのみ、特殊な処理を施したものやバージンパルプ材からなる高品位紙を用いればよく、第2テープ部材に低コストの再生紙を用いることができるなどコスト削減、省資源の面でも有意義である。
【0024】
また、請求項8のテーピング電子部品連の製造方法では、第1テープ集合体の貫通収納穴の一方の開口部をカバー部材を熱圧着して封止し、他方の開口部から貫通収納穴にチップ型電子部品を収納した後、第1テープ集合体およびカバー部材を、貫通収納穴の各列ごとに切断することにより、第1テープ部材の貫通収納穴の一方の開口部が、カバーテープにより封止され、かつ、貫通収納穴にチップ型電子部品が収納された部品収納構造体を得、この部品収納構造体と第2テープ部材を接合して、貫通収納穴の一方の開口部を封止するようにしているので、本願請求項6の構成を備えたテーピング電子部品連を容易かつ確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は本願発明のチップ型電子部品の収納テープを用いたテーピング電子部品連の要部を示す平面図、図2(a)は側面断面図、図2(b)は正面断面図である。
図1,図2(a),(b)に示すテーピング電子部品連10は、テープ本体20に設けられた複数の収納穴21のそれそれにチップ型電子部品(例えば積層セラミックコンデンサ)1が収納され、収納穴21の開口部21aがカバーテープ22により封止された構造を有している。なお、図1,図2(a),(b)に示すテーピング電子部品連10の、チップ型電子部品1が収納穴21に収納されていない状態のものがテーピング電子部品連10を構成する本願発明にかかる収納テープとなる。
【0027】
テープ本体20は、チップ型電子部品1が個別に収納される有底の収納穴21が一方主面11a側に所定の間隔をおいて複数形成された第1テープ部材11と、第1テープ部材11が嵌め込まれる、長手方向に沿った溝状の嵌合凹部12aを有する第2テープ部材12とから形成されている。なお、第2テープ部材12には、特に図示しない搬送機構のピンと係合する送り穴13が形成されている。
また、第1テープ部材11は、第2テープ部材12の嵌合凹部12aに嵌め込まれ、接着剤により接合することにより一体化されている。そして、第1テープ部材11の一方主面11aにカバーテープ22を熱圧着することにより、収納穴21の開口部21aが封止されている。
【0028】
この実施例1のテーピング電子部品連10においては、カバーテープ22が熱圧着される第1テープ部材11として、第2テープ部材12と比べて表面粗さが小さい、バージンパルプ材を用いた高品質の紙系材料からなるものが用いられており、カバーテープ22を熱圧着する必要のない第2テープ部材12としては、第1テープ部材11と比べて表面粗さが大きい、再生紙からなるものが用いられている。
すなわち、カバーテープ22が熱圧着される第1テープ部材11としては高品質のバージンパルプ材からなるものが用いられており、カバーテープ22を熱圧着する必要のない第2テープ部材12としては、安価な再生紙からなるものが用いられている。
【0029】
また、カバーテープ22としては、熱溶着性の材料からなる樹脂テープが用いられており、熱圧着により第1テープ部材11の一方主面11aに接合されている。
したがって、この実施例1のテーピング電子部品連10を構成するチップ型電子部品の収納テープにおいては、第1テープ部材11として、上述のように、表面が平滑で、けば立ちのないバージンパルプ材からなるものが用いられているため、カバーテープ22を第1テープ部材11に確実に熱圧着して信頼性の高い封止性能を実現することができるとともに、チップ型電子部品1の取り出し時にカバーテープ22を剥離するにあたって、けば立ちなどが生じたり、剥離に要する力にばらつきを生じたりせずにカバーテープを確実に剥離することができるという良好な剥離性を実現することができる。
【0030】
また、カバーテープ22を熱圧着する必要のない第2テープ部材12には再生紙を用いているので、コストの低減を図ることができる。
なお、第1テープ部材11と第2テープ部材12との接合に用いる接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂系の接着剤のように、収納テープの剛性向上に寄与するもの、酢酸ビニル系接着剤のような紙系材料との接着性に優れた接着剤などを適宜選択して使用することが可能であり、また、それらを適宜組み合わせて使用することも可能である。
さらに、ゴム系接着剤などのように柔軟性に優れ、収納テープの屈曲性を損なわない接着剤を用いることも可能である。
【0031】
また、第1テープ部材11と第2テープ部材12とを接合するにあたっては、接着剤を用いずに、第1テープ部材11と第2テープ部材12を嵌合させることにより両者を接合するようにすることも可能である。
また、第1テープ部材11と第2テープ部材12の相互もしくは片側に爪部や鉤部、あるいはスナップ機構部などの係合部を設けて互いに係合させることにより両者を接合させる方法を採用することも可能である。
【0032】
また、紙系材料の繊維どうしがからみつくアンカー効果を利用して第1テープ部材11と第2テープ部材12の摩擦抵抗を大きくして、接合性の向上を図るように構成することも可能である。
また、第1テープ部材11と第2テープ部材12の間に衝撃吸収剤(粘弾性ゴムやクッションシートなど)を挿入したり、マグネットを第1,第2テープ部材に練り込んで混入させ、磁性を持たせることにより、磁気吸着できるようにしたりすることも可能である。
【0033】
チップ型電子部品の厚みの変動に対応できるように、第1テープ部材11,第2テープ部材12の間に厚み調整用のシートや紙などを挿入するように構成することも可能である。
また、第1テープ部材の収納穴の加工精度が低い場合に、第2テープ部材に形成された第1テープ部材が嵌め込まれる嵌合凹部を少し大きめに形成しておき、第1テープ部材と第2テープ部材の接合の際に位置調整できるように構成することも可能である。
いずれにしても、第1テープ部材11と第2テープ部材12の接合方法に具体的な制約はなく、具体的な状況に応じて種々の方法を採用することができる。
また、第2テープ部材12としては長尺のものを用い、この第2テープ部材12に、カバーテープ22により開口部21aが封止された所定の長さの第1テープ部材11を連続して嵌め込んで接合するとともに、隣り合うカバーテープ22どうしを粘着テープなどの接続部材により接続した構成とすることができる。この場合、連続する複数のカバーテープ22を次々に剥離して、チップ型電子部品1をより効率よく連続的に供給することが可能になる。
【実施例2】
【0034】
この実施例2では、上記実施例1のテーピング電子部品連10の製造方法の一例について説明する。
(1)まず、図3に示すように、チップ型電子部品1を個別に収納する有底の収納穴21が複数列並ぶように形成された第1テープ集合体111を用意する。この第1テープ集合体111は、後の工程で分割されることにより第1テープ部材11(図1など参照)となるものである。
【0035】
(2)それから、図3に示すように、挿入治具31を用いて、チップ型電子部品1を第1テープ集合体111の収納穴21に収納する。このとき、挿入治具31の位置を固定しておき、第1テープ集合体111を、搬送機構のピンと、第1テープ集合体111の送り穴113を係合させて間欠搬送し、チップ型電子部品1を第1テープ集合体111の各収納穴21に収納する。なお、収納穴21を送り穴の代わりに用いるように構成することも可能である。
また、ゴムなど粘弾性材からなるローラやベルトを用いて第1テープ集合体111を搬送するように構成すること可能である。
【0036】
(3)次に、図4(a),(b)に示すように、収納穴21の開口部21aが封止されるように、第1テープ集合体111の一方主面111a上にカバー部材122をセットし、一括してカバー部材122を第1テープ集合体111に熱圧着する。このカバー部材122は、後の工程で分割されることによりカバーテープ22(図1など参照)となるものである。なお、図4(a)では、収納穴21の各列の間の領域を熱圧着部122aとしている。
なお、カバー部材122の熱圧着は、マルチこてを用いて一括して熱圧着することが可能であり、また、ローラーこてを用い、各列ごとに熱圧着してシールすることも可能である。熱圧着の方法はこれに限られるものではなく、さらに公知の種々の方法を用いることが可能である。
【0037】
(4)それから、第1テープ集合体111およびカバー部材122を、収納穴21の各列ごとに、所定の切断線L(図4(a)参照)に沿って切断する。
これにより、図5(a),(b)に示すように、
a)第1テープ集合体111(図4(a),(b))が分割されてなる、第1テープ部材11の収納穴21にチップ型電子部品1が収納されているとともに、
b)収納穴21の開口部21aが、カバー部材122(図4(a),(b))が分割されてなる、カバーテープ22により封止された構造を有する
部品収納封止構造体30が得られる。
なお、図4(a)ではチップ型電子部品1の図示を省略している。
【0038】
(5)その後、図6に示すように、第1テープ部材11(部品収納封止構造体30)を、第2テープ部材12の嵌合凹部12aに嵌め込んで接合する。これにより、図1,図2に示すような構造を有するテーピング電子部品連10が得られる。
なお、通常は、第2テープ部材12としては長尺のものを用い、この第2テープ部材12に、所定の長さの複数の第1テープ部材11(部品収納封止構造体30)を連続して嵌め込み、接合するとともに、隣り合う部品収納封止構造体30のカバーテープ22どうしを粘着テープなどの接続部材により接続しておくことにより、チップ型電子部品1の取り出し時に、連続する複数のカバーテープ22を次々に剥離して、チップ型電子部品1をより効率よく連続的に供給することができる。
【0039】
上述のように、有底の収納穴21が複数列並ぶように形成された第1テープ集合体111を用い、チップ型電子部品1を収納穴21に収納し、封止した後分割してテーピング電子部品連10を得るようにしているので、極めて効率よくテーピング電子部品連10を製造することができる。
【0040】
なお、第1テープ集合体111としては、例えば、長さ:1.0mm、幅0.5 mm、厚さ0.5mmのチップ型電子部品1をテーピングしてテーピング電子部品連10を製造する場合において、収納穴の列が10列、各列毎の収納穴のピッチが2mm、各列の長さ(分割後に得られるテーピング電子部品連10の長さ)が1000mmのものを用いることができる。
また、分割後のテーピング電子部品連(長さ1000mm)を所定の数だけつなぐことにより、ユーザの要求に応じた個数のチップ型電子部品がテーピングされたテーピング電子部品連を提供することができる。
【0041】
なお、第1テープ集合体111の構成は、上記の例に限らず、テーピングすべきチップ型電子部品の大きさや数などを考慮して、種々の変形を加えることが可能である。
また、上記実施例2のように、収納穴がマトリックス状に形成されたテープ集合体を用いるとともに、これらのマトリックス状に形成された収納穴を一括して封止することが可能なテープ部材(カバーテープ集合体)を用いるようにした場合、送り穴の形成領域を減らしてテープ材料の使用量を約1/2程度にまで低減することが可能になるとともに、テーピング時間を短縮して生産効率を大幅に向上させることができる。
【0042】
また、この実施例2のテーピング電子部品連は小型化が可能であることから、通常のリール巻品の在庫スペースに比べて大幅な省スペース化を図ることができる。
また、第1テープ集合体とカバー部材の材質として、適切なものを選択しておくことにより、チップ型電子部品の高速テーピングが可能で、かつ、チップ型電子部品取り出し時にカバーテープを剥離する際に、確実に剥離することが可能なテーピング電子部品連を提供することができる。
【0043】
また、本願発明の収納テープにおいては、テープ本体を第1テープ部材と第2テープ部材を組み合わせて形成するようにしているので、第1テープ部材の収納穴の大きさや配設態様などを調整するだけで、チップ型電子部品の寸法など、種々の条件に柔軟に対応することが可能で、生産効率が高いだけでなく、少量生産にもフレキシブルに対応することができる。
【実施例3】
【0044】
図7(a),(b)は本願発明の他の実施例(実施例3)にかかるテーピング電子部品連の構成を示す図である。
図7(a),(b)に示すテーピング電子部品連10aは、テープ本体20aに設けられた複数の貫通収納穴121のそれそれにチップ型電子部品1が収納され、貫通収納穴121の一方の開口部121aがカバーテープ22により封止され、貫通収納穴121の他方の開口部121bが第2テープ部材12により封止された構造を有している。
【0045】
なお、図7 (a),(b)に示すテーピング電子部品連10aの、チップ型電子部品1が貫通収納穴121に収納されていない状態のものがテーピング電子部品連10aを構成する本願発明にかかる収納テープとなる。
【0046】
次に、図7(a),(b)に示すテーピング電子部品連10aの製造方法について、図7、図8および図9を参照しつつ説明する。
(1)まず、図8(a)に示すように、チップ型電子部品1を個別に収納する貫通収納穴121が複数列並ぶように形成された第1テープ集合体111を用意する。この第1テープ集合体111は、後の工程で分割されることにより第1テープ部材11(図1など参照)となるものである。
【0047】
(2)それから、図8(b)に示すように、貫通収納穴121の一方の開口部121aが封止されるように、第1テープ集合体111の一方主面111a(図8(b)では下面側)にカバー部材122をセットし、一括してカバー部材122を第1テープ集合体111の一方主面111aに熱圧着する。
【0048】
(3)次に、図8(c)に示すように、カバー部材122を下にした状態で、他方の開口部121bから貫通収納穴121にチップ型電子部品1を収納する。
【0049】
(4)その後、第1テープ集合体111およびカバー部材122を、貫通収納穴121の各列ごとに切断することにより、図9に示すように、第1テープ集合体111(図8(a),(b),(c))が分割された第1テープ部材11の貫通収納穴121の一方の開口部121aが、カバー部材122(図8(b),(c))が分割されたカバーテープ22により封止され、かつ、貫通収納穴121にチップ型電子部品1が収納された構造を有する部品収納構造体30aを得る。
【0050】
(5)それから、図10(a),(b)に示すように、第1テープ部材11(部品収納構造体30a)を、貫通収納穴121の他方の開口部側が、第2テープ部材12の下面側の嵌合凹部12aに嵌まり込むように組み合わせて、両者を接合する。これにより、図7(a),(b)に示すようなテーピング電子部品連10aが得られる。
【0051】
この実施例3のテーピング電子部品連およびその製造方法の場合にも、確実にカバーテープの熱圧着を行うことが可能で、しかも、チップ型電子部品取り出し時にカバーテープを剥離する際に、確実に剥離することが可能な、チップ型電子部品の収納性、カバーテープの剥離性に優れたテーピング電子部品連(チップ型電子部品の収納テープ)を提供することができる。
また、この実施例3の場合にも、第2テープ部材にはカバーテープを熱圧着する必要がないので、第2テープ部材に特に高級な材料を用いることが不要になり、コストの低減を図ることができる。
【0052】
なお、本願発明は、上記の各実施例に限定されるものではなく、第1テープ部材および第2テープ部材の構成材料、収納穴の配設態様、チップ型電子部品の種類などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上述のように、本願発明によれば、確実にカバーテープの熱圧着を行って、チップ型電子部品を封止し、かつ、チップ型電子部品取り出し時にカバーテープを剥離する際に、確実に剥離することが可能で、チップ型電子部品の収納性、取り出し性に優れ、かつ、経済性に優れたテーピング電子部品連、それに用いるチップ型電子部品の収納テープを提供することができる。
したがって、本願発明は、テーピング部品連として出荷されるチップ型電子部品の製造の分野や、該チップ型電子部品の収納テープなどの分野に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本願発明の一実施例(実施例1)にかかるチップ型電子部品の収納テープおよびそれを用いたテーピング電子部品連を示す平面図である。
【図2】(a)は本願発明の実施例1のチップ型電子部品の収納テープおよびそれを用いたテーピング電子部品連を示す側面断面図、(b)はその正面断面図である。
【図3】本願発明の実施例2のテーピング電子部品連の製造方法の一工程を示す平面図である。
【図4】本願発明の実施例2のテーピング電子部品連の製造方法の一工程において、カバー部材を第1テープ集合体に熱圧着した状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図5】本願発明の実施例2のテーピング電子部品連の製造方法の一工程において作製した部品収納封止構造体を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図6】本願発明の実施例2のテーピング電子部品連の製造方法の一工程において、部品収納封止構造体を第2テープ部材に嵌合させようとしている状態を示す平面図である。
【図7】本願発明の他の実施例(実施例3)にかかるチップ型電子部品の収納テープおよびそれを用いたテーピング電子部品連を示す図であり、(a)は側面断面図、(b)は正面断面図である。
【図8】(a),(b),(c)は本願発明の実施例3のテーピング電子部品連の製造方法を説明する図である。
【図9】本願発明の実施例3のテーピング電子部品連の製造方法の一工程において作製した、貫通収納穴にチップ型電子部品が収納された構造を有する部品収納構造体を示す平面図である。
【図10】図8に示す部品収納構造体を、第2テープ部材に嵌合させた状態を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
【図11】従来のチップ型電子部品の収納テープ、およびそれを用いたテーピング電子部品連を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 チップ型電子部品
10,10a テーピング電子部品連
11 第1テープ部材
11a 第1テープ部材の一方主面
12a 第2テープ部材の嵌合凹部
13 送り穴
20,20a テープ本体
21 収納穴
21a 収納穴の開口部
22 カバーテープ
30 部品収納封止構造体
30a 部品収納構造体
31 挿入治具
111 第1テープ集合体
111a 第1テープ集合体の一方主面
113 第1テープ集合体送り穴
121 複数の貫通収納穴
121a 貫通収納穴の一方の開口部
121b 貫通収納穴の他方の開口部
122 カバー部材
122a 熱圧着部
L 切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ型電子部品が個別に収納される複数の収納穴を有するテープ本体と、前記収納穴の開口部を封止するカバーテープとを備えた、チップ型電子部品の収納テープであって、
前記テープ本体は、一方主面に前記収納穴を備えた第1テープ部材と、前記第1テープ部材が嵌め込まれる嵌合凹部を有する第2テープ部材とを接合することにより形成されており、かつ、
前記カバーテープを前記第1テープ部材の一方主面に熱圧着することにより、前記収納穴の前記開口部が封止されるように構成されていること
を特徴とするチップ型電子部品の収納テープ。
【請求項2】
チップ型電子部品が個別に収納される複数の貫通収納穴を有するテープ本体と、前記収納穴の開口部を封止するカバーテープとを備えた、チップ型電子部品の収納テープであって、
前記テープ本体は、厚み方向に貫通する貫通収納穴を備えた第1テープ部材と、前記第1テープ部材が嵌め込まれる嵌合凹部を有する第2テープ部材とを接合することにより形成されているとともに、
前記カバーテープを前記第1テープ部材の一方主面に熱圧着することにより、前記貫通収納穴の一方の開口部が封止され、かつ、
前記第1テープ部材が接合される前記第2テープ部材により、前記貫通収納穴の他方の開口部が封止されるように構成されていること
を特徴とするチップ型電子部品の収納テープ。
【請求項3】
前記第1テープ部材は前記第2テープ部材に比べて表面粗さが小さいことを特徴とする請求項1または2記載のチップ型電子部品の収納テープ。
【請求項4】
前記第1テープ部材はバージンパルプ材からなり、前記第2テープ部材は再生紙からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のチップ型電子部品の収納テープ。
【請求項5】
請求項1,3,4のいずれかの収納テープの、前記収納穴にチップ型電子部品が収納され、かつ、前記収納穴の開口部が、前記カバーテープにより封止されていることを特徴とするテーピング電子部品連。
【請求項6】
請求項2,3,4のいずれかの収納テープの、前記貫通収納穴にチップ型電子部品が収納され、かつ、前記貫通収納穴の一方の開口部が、前記カバーテープにより封止され、他方の開口部が前記第2テープ部材により封止されていることを特徴とするテーピング電子部品連。
【請求項7】
チップ型電子部品を個別に収納する有底の収納穴が複数列並ぶように形成された第1テープ集合体を用意する工程と、
前記収納穴にチップ型電子部品を収納する工程と、
前記収納穴の開口部を封止するようにカバー部材をセットし、一括して前記カバー部材を前記第1テープ集合体に熱圧着する工程と、
前記第1テープ集合体および前記カバー部材を、前記収納穴の各列ごとに切断することにより、前記第1テープ集合体が分割された第1テープ部材の前記収納穴に前記チップ型電子部品が収納され、前記収納穴の開口部が、前記カバー部材が分割されたカバーテープにより封止された構造を有する部品収納封止構造体を得る工程と、
前記第1テープ部材を嵌め込むことができる嵌合凹部を有する第2テープ部材に、前記第1テープ部材を嵌め込んで接合する工程と
を備えることを特徴とするテーピング電子部品連の製造方法。
【請求項8】
チップ型電子部品を個別に収納する貫通した貫通収納穴が複数列並ぶように形成された第1テープ集合体を用意する工程と、
前記貫通収納穴の一方の開口部を封止するようにカバー部材をセットし、一括して前記カバー部材を前記第1テープ集合体に熱圧着する工程と、
前記カバー部材を下にした状態で、他方の開口部から前記貫通収納穴にチップ型電子部品を収納する工程と、
前記第1テープ集合体およびカバー部材を、前記貫通収納穴の各列ごとに切断することにより、前記第1テープ集合体が分割された第1テープ部材の前記貫通収納穴の一方の開口部が、前記カバー部材が分割されたカバーテープにより封止され、かつ、前記貫通収納穴に前記チップ型電子部品が収納された構造を有する部品収納構造体を得る工程と、
前記部品収納構造体の前記カバーテープにより封止されていない方の面側を、第2テープ部材の嵌合凹部に嵌め込み、前記部品収納構造体と第2テープ部材を接合することにより、前記部品収納構造体の前記貫通収納穴の他方の開口部を封止する工程と
を具備することを特徴とするテーピング電子部品連の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−174252(P2008−174252A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7985(P2007−7985)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】