説明

チップ移送装置

【課題】チップを支持部にセットする作業を簡素化することができるようにする。
【解決手段】複数のチップ18を同じ方向に整列させ、重ねて積載するための積載部と、該積載部からチップ18を一つずつ取り出す取出部と、該取出部によって取り出されたチップ18を反転させ、チップ18の後端18a及び先端18bの向きを変える反転装置と、該反転装置と隣接させて配設され、反転させられたチップ18を支持する支持部とを有する。積載部から取り出されたチップ18は、重力で反転させられて支持部に送られるので、チップ18を支持部にセットする作業を簡素化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液等の試料を生化学的に分析する場合、前記試料について多項目の検査が行われる。そのために、分注装置が使用され、該分注装置によって、試験管等の試料容器に収容された試料を、所定の量ずつ吸引し、検査に応じて設定された他の試験管等の検体容器に移し分ける作業、すなわち、分注が行われる。
【0003】
前記分注装置においては、ノズルを備えた分注ヘッドが移動自在に配設され、前記ノズルの下端にチップが着脱自在に取り付けられる。そして、分注装置は、前記分注ヘッドを試料容器側に移動させ、前記チップを試料容器内に挿入し、ピペット等の吸引作用によって、試料容器内の試料を前記チップ内に吸引した後、前記分注ヘッドを検体容器側に移動させて、吸引した試料を検体容器に注入する。
【0004】
ところで、分注装置を使用して各種の試料を分注する場合、前記チップは使い捨てにされ、一つの試料に対して一つのチップが使用される。したがって、試料が変更されるたびに、ノズルからチップを取り外し、新たなチップをノズルに取り付ける必要がある。
【0005】
そのために、チップ移送装置が配設され、該チップ移送装置において、ホッパ内のチップがベルトによって搬送され、分注装置に供給されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−287810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のチップ移送装置においては、新たなチップをノズルに取り付ける際に、作業者はチップを一つずつ支持部としてのラック等にセットする必要があり、そのための作業が煩わしい。
【0008】
本発明は、前記従来のチップ移送装置の問題点を解決して、チップを支持部にセットする作業を簡素化することができるチップ移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明のチップ移送装置においては、複数のチップを同じ方向に整列させ、重ねて積載するための積載部と、該積載部からチップを一つずつ取り出す取出部と、該取出部によって取り出されたチップを反転させ、チップの後端及び先端の向きを変える反転装置と、該反転装置と隣接させて配設され、反転させられたチップを支持する支持部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チップ移送装置においては、複数のチップを同じ方向に整列させ、重ねて積載するための積載部と、該積載部からチップを一つずつ取り出す取出部と、該取出部によって取り出されたチップを反転させ、チップの後端及び先端の向きを変える反転装置と、該反転装置と隣接させて配設され、反転させられたチップを支持する支持部とを有する。
【0011】
この場合、積載部から取り出されたチップは、重力で反転させられて支持部に送られるので、チップを支持部にセットする作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態におけるチップフィーダの要部を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における分注装置の要部を示す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるチップフィーダの概念図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるリフタユニットの平面図である。
【図5】図1のA−A断面図である。
【図6】図1のB−B断面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるシュータの要部を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるチップ供給部の概略図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるチップ供給部の動作を示す第1の図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるチップ供給部の動作を示す第2の図である。
【図12】本発明の実施の形態における反転装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図2は本発明の実施の形態における分注装置の要部を示す概念図である。
【0015】
図において、10は分注装置であり、該分注装置10によって、試験管等の図示されない試料容器に収容された血液等の試料を、所定の量ずつ吸引し、検査に応じて設定された他の試験管等の図示されない検体容器に移し分ける作業、すなわち、分注が行われる。前記分注装置10は、分注機11、水平方向(矢印A方向)に移動自在に配設されたチップリリーサ12、図示されないチップ移送装置等を備え、該チップ移送装置は、後述されるストッカ、チップフィーダ、シュータ、チップ供給部等から成る。
【0016】
前記分注機11は、上下方向(矢印B方向)に移動自在に配設された分注ヘッド14、該分注ヘッド14に取り付けられた筒状のノズル16等を備え、該ノズル16に樹脂製のチップ18が着脱自在に取り付けられる。前記ノズル16は、筒状の本体部21、及び該本体部21の下端に形成され、本体部21より外径が大きくされた嵌(かん)合部23を備える。
【0017】
また、前記チップ18は、筒状の本体部24、及び該本体部24に隣接させて、かつ、径方向外方に向けて突出させて形成された環状のヘッダ部25を備え、ヘッダ部25側の端部である後端18aから本体部24側の端部である先端18bにかけて外径が徐々に小さくされる。
【0018】
前記ヘッダ部25の外径が本体部24の外径より大きくされることによって、ヘッダ部25と本体部24との間に段差が形成され、該段差を利用して、チップ18をラック等の支持部としての図示されない支持具に宙づりの状態でセットすることができるようになっている。また、前記ヘッダ部25の内径は嵌合部23の下端の外径よりわずかに大きくされ、分注機11が分注ヘッド14及びノズル16を下降させ、ヘッダ部25内に嵌合部23を嵌入させることによって、ノズル16にチップ18を取り付けることができる。前記後端18aは、ヘッダ部25における他の部分より外径が大きくされ、フランジを構成する。
【0019】
なお、必要に応じて、前記ヘッダ部25の内周面にOリング等の図示されないシール部材を配設することができる。該シール部材は、ヘッダ部25内に嵌合部23を嵌入させたときに、ヘッダ部25と嵌合部23との間の隙(すき)間をシールする。
【0020】
そして、前記本体部21は、上端において、コネクタ27を介して管体28と接続され、該管体28は、切替部材としての図示されないバルブを介して更に負圧発生源としての図示されない真空ポンプと接続される。前記バルブを切り替えることによって、前記ノズル16内と真空ポンプとの間、又はノズル16内と大気との間を連通させ、ノズル16内に選択的に負圧を発生させることができる。
【0021】
前記分注装置10を使用して試料を分注する場合、まず、前記分注装置10は、分注ヘッド14を試料容器側に移動させ、下降させて、前記チップ18の先端18bを試料容器内の試料に挿入し、所定の時間、前記バルブによって前記ノズル16内と真空ポンプとの間を連通させる。これに伴って、ノズル16内に負圧が発生し、図示されないピペット等の吸引作用によって、所定の量の試料が前記チップ18内に吸引される。続いて、前記分注装置10は、分注ヘッド14を上昇させ、検体容器側に移動させ、前記バルブによって前記ノズル16内と大気との間を連通させる。これに伴って、ノズル16内が大気圧になるので、チップ18内の試料は検体容器内に排出される。
【0022】
このようにして、所定の分注が終了すると、チップリリーサ12がノズル16側に移動させられ、下降させられる。この場合、前述されたように、チップ18は、ヘッダ部25内に嵌合部23を嵌入させることによってノズル16に取り付けられるので、前記チップ18がノズル16に取り付けられた状態で、ヘッダ部25と嵌合部23との間に段差が形成される。したがって、チップリリーサ12を下降させ、ヘッダ部25を押し下げることによって、チップ18がノズル16から取り外される。そして、新たな試料について分注を行う場合、新たなチップ18がノズル16に取り付けられる。なお、ノズル16から取り外されたチップ18は廃棄される。
【0023】
ところで、チップ18をノズル16に取り付ける場合、ラック等の支持具にチップ18をセットし、前記分注ヘッド14を下方に移動させ、ヘッダ部25内に嵌合部23を嵌入させることになるが、作業者が手作業でチップ18を支持具にセットする場合、セットする作業が煩わしいだけでなく、前記支持具にチップ18をセットするのに必要な時間が長く、チップ18をセットするための作業効率が極めて低い。
【0024】
そこで、本実施の形態においては、チップ18を自動的に支持具にセットすることができるようになっている。
【0025】
次に、チップ18を支持具にセットするためのチップ移送装置について説明する。
【0026】
図1は本発明の実施の形態におけるチップフィーダの要部を示す平面図、図3は本発明の実施の形態におけるチップフィーダの概念図、図4は本発明の実施の形態におけるリフタユニットの平面図、図5は図1のA−A断面図、図6は図1のB−B断面図、図7は図6のC−C断面図、図8は本発明の実施の形態におけるシュータの要部を示す断面図、図9は本発明の実施の形態におけるチップ供給部の概略図、図10は本発明の実施の形態におけるチップ供給部の動作を示す第1の図、図11は本発明の実施の形態におけるチップ供給部の動作を示す第2の図、図12は本発明の実施の形態における反転装置の概念図である。
【0027】
図において、31はチップ18を搬送するための搬送装置としてのチップフィーダであり、該チップフィーダ31は、複数のチップ18を収容するチップ収容部としてのホッパ32、前記チップフィーダ31が設置される床面、すなわち、設置面に対して所定の角度θ1で傾斜させて配設され、ホッパ32内のチップ18を一つずつ取り出し、上方に向けて搬送する搬送ユニットとしてのコンベヤ33、該コンベヤ33の幅方向における両側(左右)に、コンベヤ33より上方に立ち上げて形成された壁体34、35等を備える。なお、本実施の形態においては、該壁体34、35のうちの一方の壁体34の所定の箇所、本実施の形態においては、駆動側スプロケット41より設定された距離だけ上方に、切欠、開口等によって排出口38が形成される。
【0028】
前記ホッパ32は、上端部に投入口36を備えるとともに、下端部に前記コンベヤ33の下端部に臨ませて形成された送出口37を備える。前記投入口36から投入されたチップ18は、ホッパ32内において、先端18bを各種の方向に向けて収容され、送出口37を介して一つずつコンベヤ33の下端部に送り出される。
【0029】
また、前記コンベヤ33は、下端部において回転自在に配設された第1の回転体としての前記駆動側スプロケット41、上端部において回転自在に配設された第2の回転体としての従動側スプロケット42、前記駆動側スプロケット41と従動側スプロケット42との間に張設され、矢印C方向に走行自在に配設された走行部材としてのチェーン43、前記駆動側スプロケット41を回転させる搬送用の駆動部としてのモータ44、前記チェーン43の外周面に沿って配設され、チェーン43の走行に伴って、チップ18を一つずつ保持した状態で移動させられるリフタユニット組立体45等を備える。そして、前記モータ44を駆動して駆動側スプロケット41を回転させると、チェーン43が矢印C方向に走行させられ、従動側スプロケット42が従動させられる。
【0030】
前記チェーン43は、走行方向における駆動側スプロケット41より下流側で、かつ、従動側スプロケット42より上流側の部分(以下「上半部」という。)43u、及び走行方向における従動側スプロケット42より下流側で、かつ、駆動側スプロケット41より上流側の部分(以下「下半部」という。)43dを備える。
【0031】
また、前記リフタユニット組立体45は、前記チェーン43の外周面に、互いに隣接させて配設された複数のリフタユニット46を備える。該各リフタユニット46は、チェーン43の被固定部としての図示されないアタッチメントプレートに固定された平板状の基部としてのリフタベース47、及び該リフタベース47に、コンベヤ33の幅方向に対して所定の角度θ2で傾斜させて取り付けられ、チップ18を保持するための保持部材としてのリフタ48を備える。
【0032】
前記各リフタベース47は、コンベヤ33の幅方向における複数箇所、本実施の形態においては、2箇所で固定部材としてのボルト51、52によってチェーン43に固定され、前記各リフタ48は、その長さ方向における複数箇所、本実施の形態においては、2箇所で固定部材としてのボルト53、54によってリフタベース47に固定される。なお、固定部材として、前記ボルト51〜54に代えて、ねじ、リベット等を使用することができる。
【0033】
チェーン43に各リフタベース47を取り付け、リフタユニット46に隣接させて配設した状態で、各リフタ48を互いに平行に、かつ、壁体34、35間にわたって延在させて配列することによって、互いに隣接する二つのリフタ48と壁体34、35との間に、チップ18を保持する保持空間spが形成される。そして、各リフタ48の配列間隔(互いに隣接するリフタ48の対向面間の距離)をw1とし、チップ18の後端18aの外径をd1としたとき、前記配列間隔w1は、
d1<w1<2×d1
にされ、好ましくは、
1.05×d1<w1<1.3×d1
にされる。
【0034】
また、前記リフタベース47の上面から壁体34、35の上面までの距離で表される壁体34、35の高さをh1とし、リフタベース47の上面からリフタ48の頂点(頂線)pkまでの高さをh2としたとき、
h1=h2
にされ、
d1≦h1=h2<2×d1
にされ、好ましくは、
d1≦h1=h2<1.3×d1
にされ、本実施の形態においては、
d1=h1=h2
にされる。
【0035】
したがって、前記保持空間sp内に一つのチップ18だけが保持され、二つ以上のチップ18が保持されることはない。
【0036】
ところで、前述されたように、チップ18は、ホッパ32内において、先端18bを各種の方向に向けて収容されるので、送出口37を介して一つずつコンベヤ33の下端部に送り出されたときに、チップ18の少なくとも一部が、壁体34、35上、リフタ48上等に位置したり、保持空間sp内において、後端18aを上方に、先端18bを下方に向けて保持されたりして、保持空間sp内において適正な状態で保持されないことがある。
【0037】
そこで、本実施の形態においては、前記保持空間sp内で後端18aを下方に、先端18bを上方に向けて斜めに保持されたチップ18を、適正な状態で保持されたチップ18とし、適正な状態で保持されたチップ18だけが、コンベヤ33によって矢印C方向に搬送され、前記排出口38から排出されるようになっている。
【0038】
そして、少なくとも一部が、壁体34、35上、リフタ48上等に位置するチップ18、保持空間sp内において、後端18aを上方に、先端18bを下方に向けて保持されたチップ18等はコンベヤ33から落下させられる。
【0039】
そのために、チップ18の少なくとも一部が、壁体34、35の上面に位置したときに、チップ18が壁体34、35の上面を滑ったり、転がったりして容易に落下するように、チップ18及び壁体34、35の形状、材料等に基づいて前記コンベヤ33の角度θ1が設定される。
【0040】
また、リフタ48は、その長さ方向におけるほぼ中央において形状が異ならせて形成され、下方の半分(図4における左下の部分)に、主としてヘッダ部25を保持するための第1の保持部55を、上方の半分(図4における右上の部分)に、主として本体部24を保持するための第2の保持部56を備える。そして、前記第1、第2の保持部55、56は、いずれも、リフタベース47の上面から垂直に立ち上げて形成され、チップ18を支持するための支持面S1、コンベヤ33の走行方向における支持面S1より上流側において、リフタベース47の上面から垂直に立ち上げて形成された背面S2、前記支持面S1の上端から傾斜させて形成された第1の傾斜面S3、及び前記背面S2の上端から傾斜させて形成された第2の傾斜面S4を備え、前記第1、第2の傾斜面S3、S4の上端に頂点pkが形成される。
【0041】
そして、前記第1の保持部55における支持面S1の高さ(リフタベース47の上面から支持面S1の上端までの距離)をhs1とし、前記第2の保持部56における支持面S1の高さ(リフタベース47の上面から支持面S1の上端までの距離)をhs2としたとき、
hs1>hs2
にされる。なお、高さhs1は、支持面S1で本体部24及びヘッダ部25を十分に支持することができる値に、高さhs2は、支持面S1で本体部24だけを十分に支持することができ、ヘッダ部25を支持することができない値にされる。
【0042】
したがって、チップ18が、保持空間sp内において、後端18aを下方に、先端18bを上方に向けて保持されると、図5に示されるように、ヘッダ部25が第1の保持部55の支持面S1によって支持され、本体部24が第2の保持部56の支持面S1によって支持される。その結果、チップ18を保持空間sp内に適正な状態で保持することができる。
【0043】
また、チップ18が、保持空間sp内において、後端18aを上方に、先端18bを下方に向けて保持されると、図7に示されるように、ヘッダ部25を第2の保持部56の支持面S1によって支持することができないので、チップ18はコンベヤ33から落下させられる。
【0044】
なお、図1において、18−1は、本体部24が壁体35上に位置するチップ、18−2は、本体部24が壁体35上に、ヘッダ部25がリフタ48上に位置するチップ、18−3は、後端18aを上方に、先端18bを下方に向けて保持されたチップであり、いずれも、矢印方向に落下させられる。
【0045】
このようにして、コンベヤ33を矢印C方向に所定の距離だけ走行させると、少なくとも一部が、壁体34、35上、リフタ48上等に位置したり、保持空間sp内において、後端18aを上方に、先端18bを下方に向けて保持されたりしたチップ18がコンベヤ33から落下させられ、その後、保持空間sp内に適正な状態で保持されたチップ18だけがコンベヤ33によって搬送され、排出口38に臨む位置に到達すると、保持空間sp内に保持されたチップ18は排出口38を介してコンベヤ33から矢印D方向に排出され、コンベヤ33に隣接させて配設された、図8に示される案内装置としてのシュータ61に送られる。
【0046】
そのために、前記排出口38における壁体34の下側の内周面34aは、リフタ48が傾斜させられる角度θ2と等しい角度で傾斜させられる。また、該角度θ2及びリフタ48の材料は、チップ18が重力でリフタ48の支持面S1に対して摺動し、下方に移動するように設定され、選択される。
【0047】
そして、保持空間spにおける排出口38と対向する側の断面積を大きくし、かつ、コンベヤ33から排出されるチップ18とリフタベース47とが干渉するのを防止するために、リフタベース47における壁体34と対向する側の下流側の端部に面取りが施され、テーパ部47aが形成される。
【0048】
本実施の形態においては、コンベヤ33によってチップ18が、同じ方向に向けて、本実施の形態においては、後端18aを下方に、先端18bを上方に向けて整列させて搬送されるので、コンベヤ33から排出されたチップ18の方向を修正する必要がない。したがって、方向修正装置等を配設する必要がないので、チップ移送装置のコストを低くすることができる。
【0049】
また、本実施の形態においては、前記保持空間sp内で後端18aを下方に、先端18bを上方に向けて斜めに保持されたチップ18を、適正な状態で保持されたチップ18とし、適正な状態で保持されたチップ18だけが、コンベヤ33によって矢印C方向に搬送され、前記排出口38から排出されるようになっているが、前記保持空間sp内で後端18aを上方に、先端18bを下方に向けて斜めに保持されたチップ18を、適正な状態で保持されたチップ18とすることもできる。その場合、リフタ48において、下方の半分に、主として本体部24を保持するための第1の保持部が、上方の半分に、主としてヘッダ部25を保持するための第2の保持部が形成される。
【0050】
次に、図8に基づいてシュータ61について説明する。
【0051】
該シュータ61は、コンベヤ33から排出された各チップ18を案内し、整列させて、チップ供給部81における積載部としての管状のストッカ75に排出する。
【0052】
そのために、前記シュータ61は、本体部62、及び該本体部62の上端に着脱自在に取り付けられた蓋(ふた)体としてカバー63を備え、前記本体部62は、コンベヤ33から排出されたチップ18を案内する案内部64、及び該案内部64の下端に連結され、案内部64によって案内されたチップ18を、順次重ねて同一軸上に整列させる整列部65を備える。前記案内部64は、傾斜させて延在させて配設された第1の案内部としての中空の傾斜部67、及び該傾斜部67の下端に連結され、垂直方向に延在させて配設された第2の案内部としての中空の垂直部68から成る。なお、前記カバー63は、本体部62と共に、チップ18を導入するための導入口60を形成する。
【0053】
前記傾斜部67内には、傾斜させられ、かつ、コンベヤ33側から垂直部68側にかけて断面積が徐々に小さくされ、チップ18の姿勢を、傾斜状態から直立状態に変更する案内路71が形成され、前記垂直部68内には、前記案内路71の下端における断面積と等しい断面積を有し、姿勢が直立状態に変更されたチップ18を下方に向けて案内する案内路72が形成される。
【0054】
したがって、導入口60を介して案内路71内に進入したチップ18は、案内路71内を内周面に沿って摺動しながら下方に向けて移動させられ、その間に、姿勢が傾斜状態から直立状態に変更され、続いて、案内路72内に進入し、案内路72内を内周面に沿って摺動しながら下方に向けて移動させられる。
【0055】
また、前記整列部65は、案内部64側からストッカ75側にかけて断面積が徐々に小さくされた角錐(すい)形状の案内路73を備える。そして、該案内路73の下端における排出口の内径をd11とし、ストッカ75の内径をd12としたとき、内径d11、d12は、互いに等しくされ、チップ18の後端18aの外径d1よりわずかに大きくされる。なお、案内路73を円錐形状にすることができる。
【0056】
したがって、案内路73内に進入したチップ18は、案内路73内を内周面に沿って摺動しながら下方に向けて移動させられ、その間に、軸心がストッカ75の軸心と一致させられて、案内路73の下端の排出口からストッカ75に排出される。
【0057】
その結果、ストッカ75に順次排出された各チップ18は、ストッカ75内の積載室76において、同じ方向に整列させられて、本実施の形態においては、後端18aを下方に、先端18bを上方に向けて、上方のチップ18のヘッダ部25内に下方のチップ18の本体部24を挿入した状態、すなわち、先端18bを上方のチップ18の後端18aの開口内に挿入した状態で重ねて積載される。なお、チップ18を十分に積載することができるように、ストッカ75は所定の長さにわたり、垂直な方向に延在させられる。
【0058】
このように、本実施の形態において、チップ18は、整列部65によって整列させられてストッカ75に排出され、先端18bを上方のチップ18の後端18aの開口内に挿入した状態でストッカ75内に重ねて積載されるので、ストッカ75内に多数のチップ18を収容することができる。したがって、分注装置10を小型化することができる。
【0059】
なお、本実施の形態において、チップ18は、ストッカ75内の積載室76において、後端18aを下方に、先端18bを上方に向けて積載されるようになっているが、前述されたように、前記保持空間sp内で後端18aを上方に、先端18bを下方に向けて斜めに保持されたチップ18を、適正な状態で保持されたチップ18とする場合、チップ18は、ストッカ75内の積載室76において、後端18aを上方に、先端18bを下方に向けて積載される。
【0060】
次に、図9〜12に基づいてチップ供給部81について説明する。
【0061】
該チップ供給部81は、前記ストッカ75、該ストッカ75の下方に配設され、ストッカ75からチップ18を一つずつ取り出すための取出部82、該取出部82の下方に配設され、取り出されたチップ18を反転させる反転装置83、該反転装置83と隣接させて配設され、反転させられたチップ18をノズル16に取り付けるための取付部84等を備える。
【0062】
前記取出部82は、反転装置83上に取り付けられ、前記ストッカ75を支持する支持ブロック101、該支持ブロック101内において、ストッカ75の下端に臨ませて、軸sh1を揺動中心にして揺動自在に配設された揺動体としての支持部材103、該支持部材103に取り付けられ、チップ18と選択的に係止させられる係止部材としてのロッカーアーム105、反転装置83上においてブラケット106に取り付けられ、前記ロッカーアーム105を揺動させるための取出し用の駆動部としてのソレノイド107、前記支持部材103の上端部とブラケット106の上端部との間に配設され、前記支持部材103の上端部をブラケット106側に向けて付勢する付勢部材としてのスプリング108等を備える。なお、前記支持部材103及びロッカーアーム105によって分離部材111が構成される。
【0063】
前記支持ブロック101は、前記積載室76と連通させて形成され、ストッカ75の内径d12と等しい内径を有する貫通孔113、及び前記分離部材111を収容する収容部115を備え、前記貫通孔113と収容部115との間に、図示されない長溝状の連通部が形成される。
【0064】
また、前記ロッカーアーム105は、基部m1、該基部m1の一端、本実施の形態においては、下端から貫通孔113に向けて突出させて形成された第1の腕部m2、及び前記基部m1の他端、本実施の形態においては、上端から貫通孔113に向けて突出させて形成された第2の腕部m3を備え、第1、第2の腕部m2、m3の各先端部に、第1、第2の係止部q1、q2が形成される。なお、前記第1、第2の腕部m2、m3は、基部m1から互いに離れる側にわずかに傾斜させて形成される。
【0065】
そして、前記ソレノイド107は、進退自在に配設された出力部材としての可動鉄心114を備え、該可動鉄心114の先端が前記支持部材103の上端部に当接させられる。
【0066】
また、前記ソレノイド107は図示されない制御部に接続され、該制御部のチップ取出制御処理手段は、チップ取出制御処理を行い、ストッカ75からチップ18を一つずつ分離させて取り出す。
【0067】
そのために、前記チップ取出制御処理手段は、前記ソレノイド107を駆動し、分離部材111を、図10に示される第1の状態及び図11に示される第2の状態に置く。前記第1の状態において、第1の係止部q1は係止位置を、第2の係止部q2は退避位置を採り、前記第2の状態において、第1の係止部q1は退避位置を、第2の係止部q2は係止位置を採る。
【0068】
すなわち、ソレノイド107を非通電にすると、可動鉄心114が後退させられて、初期位置に置かれ、このとき、分離部材111は軸sh1を中心にして、図10及び11における時計回りに回動させられ、第1の状態に置かれる。
【0069】
その結果、第1の係止部q1は係止位置に、第2の係止部q2は退避位置に置かれる。それに伴って、第1の係止部q1は、ストッカ75内において積載されたチップ18のうちの、最も下のチップ18の後端18aと係止させられ、ストッカ75内に積載されたチップ18を保持する。なお、このとき、最も下のチップ18は、一部を貫通孔113内に進入させてストッカ75内に置かれ、下から2番目のチップ18は、後端18aを第1の係止部q1より上方に位置させてストッカ75内に置かれる。
【0070】
そして、ソレノイド107を通電すると、可動鉄心114が前進させられて、作動位置に置かれ、このとき、分離部材111は軸sh1を中心にして、図10及び11における反時計回りに回動させられ、第2の状態に置かれる。
【0071】
その結果、第1の係止部q1は退避位置に、第2の係止部q2は係止位置に置かれる。それに伴って、第1の係止部q1は、ストッカ75内に積載されたチップ18を保持しなくなり、チップ18はストッカ75内を下方に向けて移動させられるが、第2の係止部q2が、下から2番目のチップ18の後端18aと係止させられ、下から2番目のチップ18より上方のチップ18を保持する。
【0072】
したがって、ソレノイド107の通電及び非通電を交互に繰り返すことによって、ストッカ75内のチップ18を一つずつ取り出し、反転装置83に送ることができる。
【0073】
なお、前記第1、第2の係止部q1、q2が係止位置に置かれたときの、チップ18の後端18aの最も分離部材111側の部位と、第1、第2の係止部q1、q2の先端との間の距離で表される係止距離をε1とし、前記第1、第2の係止部q1、q2が退避位置に置かれたときの、チップ18の後端18aの最も分離部材111側の部位と第1、第2の係止部q1、q2の先端との間の距離で表される退避距離をε2とすると、
ε1>ε2
にされる。
【0074】
次に、反転装置83について説明する。
【0075】
該反転装置83は、互いに隣接させて配設された第1、第2の挟持部材としての壁体121、122を備え、該壁体121、122は、平坦な頂面Sa、Sb、該頂面Sa、Sbの端部から斜め下方に向けて延びる傾斜面Sc、Sd、該傾斜面Sc、Sdの下端から下方に向けて延びる側面Se、Sf、互いに対向する面Sg、Sh等を備え、前記頂面Sa、Sbに前記支持ブロック101が取り付けられる。前記傾斜面Sc、Sdは、上端から下端にかけて所定の曲率半径を有する弧状の部分、及び直線状の部分を備える。
【0076】
そして、前記面Sg、Shには、前記傾斜面Sc、Sdに沿って、切欠124、125が一定の幅で帯状に形成され、面Sg、Shにおける切欠124、125が形成された部分(以下「切欠部」という。)間の距離をδ1とし、面Sg、Shにおける切欠124、125が形成されない部分(以下「非切欠部」という。)間の距離をδ2とすると、
δ2<d1<δ1
にされる。また、切欠部と非切欠部との間に、チップ18の後端18aと係止させられてチップ18を案内し、重力で反転させる係止案内部としての段差128、129が形成される。なお、前記切欠124、125及び段差128、129は、傾斜面Sc、Sdと平行に形成され、いずれも、上端から下端にかけて弧状の部分及び直線状の部分を備える。
【0077】
そして、前記各切欠部によって挟まれた空間によって、取出部82から取り出されたチップ18を案内する案内領域AR1が形成され、該案内領域AR1の上端に貫通孔113が配置される。
【0078】
したがって、チップ18は、後端18aを下方に、先端18bを上方に向けて貫通孔113から矢印E方向に取り出された後、後端18aを前記段差128、129と摺動させて案内領域AR1内を重力で下方に移動させられる。その間に、チップ18は、矢印F、G方向に回動させられ、先端18bが、各非切欠部によって挟まれた空間内で徐々に下方に向けられる。
【0079】
そして、チップ18は、後端18aを上方に、先端18bを下方に向けた状態で反転装置83から排出され、取付部84における支持部としての支持具131に重力で送られてセットされ、位置決めされて、支持具131によって支持される。
【0080】
なお、前記取付部84は取出部82の下端より所定の量だけ下方に形成されるので、チップ18は反転装置83から排出されると、支持具131上に落下する。したがって、チップ18が反動で反転装置83側に戻ることはない。仮に、反転装置83側に戻っても、段差128、129の下端の近傍が直線状に形成されるので、チップ18は、停止することなく、円滑に反転装置83から排出される。
【0081】
その後、分注ヘッド14(図2)が下方に移動させられ、ヘッダ部25内に嵌合部23を嵌入させることによって、ノズル16にチップ18が取り付けられると、分注ヘッド14が上方(図9における矢印H方向)に移動させられる。
【0082】
このように、本実施の形態においては、チップ18を重力で反転させ、重力で支持具131に送り、セットすることができるので、チップ18をセットするための作業を簡素化することができるたけでなく、前記支持具131にチップ18をセットするのに必要な時間を短くすることができ、チップ18をセットするための作業効率を高くすることができる。
【0083】
また、本実施の形態においては、保持空間sp内に、後端18aを下方に、先端18bを上方に向けて保持されたチップ18だけがコンベヤ33からシュータ61に排出され、後端18aを下方に、先端18bを上方に向けた状態でストッカ75に積載されるので、最も外径が小さい先端18a、本体部24とヘッダ部25との間の段差、後端18bとヘッダ部25における他の部分との間の段差等がコンベヤ33からシュータ61に排出される際に引っ掛かったり、先端18aが前記貫通孔113と収容部115との間の連通部に引っ掛かったりするのを防止するできる。したがって、チップ18を極めて円滑に搬送することができる。
【0084】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0085】
18 チップ
18a 後端
18b 先端
31 チップフィーダ
61 シュータ
75 ストッカ
81 チップ供給部
82 取出部
83 反転装置
131 支持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数のチップを同じ方向に整列させ、重ねて積載するための積載部と、
(b)該積載部からチップを一つずつ取り出す取出部と、
(c)該取出部によって取り出されたチップを反転させ、チップの後端及び先端の向きを変える反転装置と、
(d)該反転装置と隣接させて配設され、反転させられたチップを支持する支持部とを有することを特徴とするチップ移送装置。
【請求項2】
前記積載部において、各チップは先端を他のチップの後端の開口内に挿入した状態で積載される請求項1に記載のチップ移送装置。
【請求項3】
(a)前記積載部は、後端を下方に、先端を上方に向けて各チップを積載し、
(b)前記支持部は、後端を上方に、先端を下方に向けて各チップを支持する請求項1又は2に記載のチップ移送装置。
【請求項4】
前記取出部は、第1、第2の係止部を備え、第1の係止部をチップの後端と係止させることによって、前記積載部において積載された各チップを保持し、第2の係止部をチップの後端と係止させることによって、前記積載部からチップを一つずつ取り出す請求項1〜3のいずれか1項に記載のチップ移送装置。
【請求項5】
(a)前記取出部は、揺動自在に配設された揺動体、及び該揺動体に取り付けられた係止部材を備え、
(b)前記第1、第2の係止部は、前記係止部材の第1、第2の腕部の各先端部にそれぞれ形成される請求項4に記載のチップ移送装置。
【請求項6】
(a)前記チップの後端は他の部分より外径が大きくされ、
(b)前記反転装置は、チップの後端と係止させられてチップを案内し、反転させる係止案内部を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のチップ移送装置。
【請求項7】
前記係止案内部は、上端から下端にかけて弧状の部分を備える請求項6に記載のチップ移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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