説明

チップ電子部品

【目的】 部品本体の長手方向両端部上にそれぞれ端部電極が形成され、かつ部品本体の長手方向中央部上に中央電極が形成された、3端子のチップ電子部品において、これが実装される基板の撓みにより基板から剥離されることに耐える、撓み強度の改善を図る。
【構成】 各端部電極26,27の、部品本体22の長手方向の寸法bをより大きくし、各端部電極26,27の面積が、当該端部電極にとって必要な電気特性を満足させるに足りる面積を超えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、チップ電子部品に関するもので、特に、チップ電子部品に備える外部電極の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば3端子のチップ電子部品は、図2R>2に示すような外観を有している。ここに示したチップ電子部品1は、たとえばセラミックフィルタを構成するものであり、直方体状の部品本体2を備える。部品本体2は、たとえば、圧電基板3ならびにその両主面を覆うように形成された樹脂層4および5を備える。部品本体2の長手方向両端部上には、それぞれ、外部電極としての端部電極6および7が形成され、かつ、部品本体2の長手方向中央部上には、同じく外部電極としての中央電極8が形成されている。これら端部電極6および7ならびに中央電極8は、それぞれ、圧電基板3上に形成された電極(図示せず)と電気的に接続され、端子電極として機能するものである。
【0003】端部電極6および7ならびに中央電極8は、それぞれ、一例として、次のような具体的断面構造を有している。すなわち、端部電極6および7ならびに中央電極8は、それぞれ、部品本体2の主面上に位置する主面電極部9と部品本体2の端面上に位置する端面電極部10とで互いに異なる断面構造を有している。主面電極部9は、銅ペーストの焼付けによる厚膜層、その上の銅の蒸着膜およびその上の銀の蒸着膜から構成される。端面電極部10は、モネルのスパッタ膜、その上の銅の蒸着膜、およびその上の銀の蒸着膜によって構成される。
【0004】上述したチップ電子部品1は、適当な回路基板上に表面実装される。すなわち、基板上に設けられた導電ランドに対して、直接、電極6〜8が半田付けされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、チップ電子部品1が基板に表面実装された状態で、基板が撓んだとき、特に端部電極6および7における半田付け部分に応力が集中し、チップ電子部品1が基板から剥離してしまうことがある。このような基板の撓みに対して、実装されたチップ電子部品1が剥離されずに耐え得る度合、すなわち撓み強度を評価するため、図3に示すような試験が行なわれている。
【0006】図3に示すように、チップ電子部品1を表面実装した基板11は、互いに所定の間隔を隔てて配置された支持棒12および13によって支持されながら、矢印14で示すように押圧される。これによって、基板11を撓ませ、その結果、チップ電子部品1が基板11から剥離したときの支持棒12および13による基板11の支持点とチップ電子部品1の底面との距離が撓み寸法15として評価される。
【0007】たとえば、図2において、チップ電子部品1の長手方向寸法Lが7mmであり、電極6〜8のそれぞれの、部品本体2の長手方向の寸法aが1.0mmであり、図3に示した基板11として、厚さ0.8mmのガラス・エポキシ基板を用いた場合、支持棒12および13間の距離を9.0mmとしたとき、撓み寸法15は4.0〜5.0mm程度となっている。通常、この撓み寸法15が3.0mm以上であれば、実用上問題ないとされるが、ばらつきを含めた工程能力指数(Cp)でみたとき、1.2程度とやや不足している。なお、工程能力指数は、1.33以上のとき十分であると評価される。
【0008】それゆえに、この発明の目的は、上述したような3端子のチップ電子部品において、撓み強度についての改善を図ろうとすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、直方体状の部品本体、この部品本体の長手方向両端部上にそれぞれ形成される端部電極、および部品本体の長手方向中央部上に形成される中央電極を備える、チップ電子部品に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0010】すなわち、各端部電極の、部品本体の長手方向の寸法をより大きくし、各端部電極の面積が、当該端部電極にとって必要な電気特性を満足させるに足りる面積を超えていることを特徴としている。
【0011】
【作用】この発明では、上述した構成を採用したことにより、端部電極における半田付け部分の面積を拡大することができる。
【0012】
【発明の効果】したがって、この発明によれば、撓み強度の向上に対してより有効に作用する端部電極における半田付け部分の面積の拡大が図られるので、撓み強度が向上されたチップ電子部品を得ることができる。
【0013】
【実施例】図1は、この発明の一実施例によるチップ電子部品21の外観を示す斜視図である。チップ電子部品21は、図2に示したチップ電子部品1と同様、たとえばセラミックフィルタを構成するものであり、直方体状の部品本体22を備える。部品本体22は、圧電基板23ならびにその両主面をそれぞれ覆うように形成される樹脂層24および25を備える。
【0014】部品本体22の長手方向両端部上には、それぞれ、外部電極としての端部電極26および27が形成され、かつ、部品本体22の長手方向中央部上には、同じく外部電極としての中央電極28が形成されている。電極26〜28のそれぞれの断面構造は、図2に示した電極6〜8と実質的に同様とされる。これら電極26〜28は、それぞれ、端子電極として機能し、チップ電子部品21が適当な回路基板上に表面実装されたとき、基板上に設けられた導電ランドに対して、直接、電極26〜28が半田付けされる。
【0015】ここまで述べた構成は、図2に示したチップ電子部品1に備える構成と実質的に同様である。
【0016】この実施例において、図1を図2と比較すればわかるように、各端部電極26および27の、部品本体22の長手方向の寸法bが、対応の寸法aより大きくされ、各端部電極26および27の面積が、当該端部電極26および27にとって必要な電気特性を満足させるに足りる面積を超えている。
【0017】チップ電子部品21がセラミックフィルタの場合、中央電極28がアース電極であり、端部電極26および27が入・出力電極であるため、端部電極26および27が中央電極28に接近しすぎると、すなわち寸法cが小さすぎると、電極間容量が増加し、帯域外減衰特性が悪化する。そのため、寸法cは、電極間容量の増加が問題とならない範囲で選ばれなければならず、通常、寸法cの最小値は0.7mmとされる。たとえば、チップ電子部品21の長手方向寸法Lが7mmの場合、上述した寸法cの最小値を維持しながら、中央電極28の、部品本体22の長手方向の寸法dを図2に示した寸法aと同様の1mmとすれば、寸法bは、2.0mmにまで大きくすることができる。
【0018】なお、上述した寸法cを0.7mmとすると、基板への実装位置または半田付け時の位置のずれ、あるいはリフロー半田による半田付け時の半田ボールによる電極間ショート等が懸念されるため、実際には、寸法cには余裕が持たされ、寸法aは1.2〜1.4mm程度にまで拡大される。寸法aを1.2mmとしたとき、前述した撓み寸法は4.5〜5.5mmとなり、工程能力指数は2.4となり、余裕のある値を実現することができる。
【0019】上述した実施例は、チップ電子部品21がセラミックフィルタを構成する場合について説明したが、この発明は、3端子を備えるチップ電子部品であれば、どのような形式のチップ電子部品に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例によるチップ電子部品21の外観を示す斜視図である。
【図2】この発明にとって興味ある従来のチップ電子部品1の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示したチップ電子部品1を実装した基板11を撓ませ、撓み強度を評価する状態を示す正面図である。
【符号の説明】
21 チップ電子部品
22 部品本体
26,27 端部電極
28 中央電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】 直方体状の部品本体、前記部品本体の長手方向両端部上にそれぞれ形成される端部電極、および前記部品本体の長手方向中央部上に形成される中央電極を備える、チップ電子部品において、各前記端部電極の、前記部品本体の長手方向の寸法をより大きくし、各前記端部電極の面積が、当該端部電極にとって必要な電気特性を満足させるに足りる面積を超えていることを特徴とする、チップ電子部品。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate