説明

チトクロームP450誘導アッセイ

チトクロームP450の発現、特にCYP3A4アイソフォームの発現を誘導することができる化合物の同定方法について記載する。本方法は活性化プレグナンX受容体(PXR)と結合する1個以上のタンデムに配置されたシス作用性エレメントを異種プロモーターと機能的に連結した複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子を提供する。PXR活性化を介するCYP3A4発現のインデューサーである検体はレポーター遺伝子の発現を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチトクロームP450の発現、特にCYP3A4アイソフォームの発現を誘導することができる検体の同定方法に関する。本方法は活性化プレグナンX受容体(PXR)と結合する1個以上のタンデムに配置されたシス作用性エレメントを異種プロモーターと機能的に連結した複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子を提供する。PXR活性化を介するCYP3A4発現のインデューサーである検体はレポーター遺伝子の発現を誘導する。
【背景技術】
【0002】
チトクロームP450(CYP)は多数の薬剤、発癌性物質、農薬及び生体異物の水酸化に関与しており、多くのCYPは生体異物により50〜100倍まで強力に誘導可能である。薬物療法では、CYP誘導に関して2つの大きな問題がある。第1に、誘導により薬物代謝の増加の結果として全身循環が低下することにより治療効果が低下する可能性がある。第2に、誘導により反応代謝物形成が増加する結果として中毒と解毒の間に望ましくない不均衡が生じる可能性がある(Lin and Lu,Clin.Pharmacokinet.35:361−390(1998))。
【0003】
CYP酵素の多くは誘導性であることが知られているが、CYP3A4誘導は文献に記載されている誘導による薬物−CYP相互作用の最重要原因であると思われる(Whitlockら,In Cytochrome P450:Structure,Mechanism and Biochemistry(Second edition).Ortiz de Montellano(Ed.).Plenum Press,New York(1995).pp.367−390)。これはCYP3A4がヒト肝の総CYP含量の約40%を占め、臨床使用される薬剤の60%を上回る量を代謝するためである。薬剤候補は望ましくないCYP3A4誘導による相互作用を招く可能性があるので、新規薬剤候補についてそのCYP3A4誘導可能性を評価することが重要になってきている。
【0004】
in vivo動物モデルは誘導データのin vitro/in vivo外挿に影響を与える因子に関する多少の有用な情報を提供することができるが、誘導応答差が種によって有意であるため、新規薬剤候補のヒトCYP3A4誘導を評価するために動物モデルを使用することはできない。新規薬剤候補のCYP3A4誘導可能性を評価するために、肝スライス、不死化細胞株、及び初代肝細胞等の数種のin vitroモデルが確立されている(Silvaら,Drug Metab.Disp.26:490−496(1998);Kostrubskyら,Drug Metab.Disp.27:887−894(1999);Maurel,Adv.Drug Dev.Rev.22:105−132(1996);LeCluyse,Eur.J.Pharma.Sci.13:343−368(2001))。これらのモデルのうちで、ヒト初代培養肝細胞は学術及び産業実験室でCYP3A4誘導を評価するために広く使用されている。初代培養肝細胞はCYP誘導を評価するための最も有望なin vitroモデルであるが、ヒト肝細胞の入手可能性は非常に限られていることが多い。従って、in vitroシステムの使用はヒトCYP3A4誘導の可能性を高スループットスクリーニング方式で評価することができる唯一の手段である。
【0005】
その近位領域のヌクレオチド配列が発表されて以来(Hashimotoら,Eur.J.Biochem.218:585−595(1993))、CYP3A4遺伝子のプロモーターは生体異物に対する応答性を付与するシス作用性エレメントについて詳細に分析されている。数種の重要なエレメントが同定されている。近位エレメントprPXRE(近位ER6又はpER6)は転写因子の核内受容体ファミリー(Mangelsdorfら,Cell 83:835−839(1995))の認識配列であり、ER6(塩基間隔6のエバーテッドリピート)と呼ばれるTGA(A/C)CTヘキサマーモチーフ2コピーを含む。prPXREはリファンピシンによるレポーター遺伝子発現の比較的低度の活性化を付与する(Barwickら,Mol.Pharmacol.50:10−16(1996);Oggら,Xenobiotica 29:269−279(1999))。prPXREエンハンサーエレメントはリファンピシン応答性活性化が比較的低い。他方、Goodwinら,(Mol.Pharmacol.56:1329−1339(1999))とLiddle and Goodwin(WO9961622)はCYP3A4転写開始部位から約8kb上流の生体異物応答性エンハンサーモジュール(XREM)と呼ぶ230bp遠位エレメントを同定し、ヒトPXR活性のアクチベーターによるCYP3A4の強力なエンハンサーであると特徴付けた。XREMは塩基間隔29で2個の核内受容体(NR)結合部位dNR1(遠位DR3又はdDR3)及びdNR2(遠位ER6又はdER6)を含む。dNR1(遠位DR3又はdDR3)エレメントは塩基間隔3のダイレクトリピートと呼ばれるTGA(A/C)C(T/C)ヘキサマー2コピーを含む。dNR2(遠位ER6又はdER6)エレメントは塩基間隔6のエバーテッドリピートと呼ばれるTGAA(A/C)(T/C)ヘキサマー2コピーを含む。Sueyoshi and Negishi(Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.41:123−143(2001)はCYP3Aファミリーのエンハンサーエレメントについて考察している。
【0006】
ヒトCYP3A4プロモーターの調節は非常に複雑であることが分かっている。例えば、プレグナンX受容体(PXR)、構成的アンドロゲン受容体(CAR)、レチノイドX受容体(RXR)、ビタミンD受容体(VDR)、グルココルチコイド受容体及び転写因子等の多くのヒト核内受容体はCYP3A4転写活性の調節に関与している(Pascussiら,Biochim.Biophys.Acta 1619,243−253(2003))が、これらの核内受容体のうちで、PXRはRXRと一緒になってCYP3A4転写活性の調節に主要な役割を果たすと思われる(PXRとRXRの結合を開示するWO9935246(Evans and Blumberg)参照)。PXRは各種親油性化合物により活性化され、その多く(例えばリファンピシンや他の薬剤等)は公知CYP3Aインデューサーである(Bertilssonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:12208−12213(1998);Blumbergら,Genes Dev.12:3195−3205(1998);Lehmannら,J.Clin.Invest.102:1016−1023(1998))。WO9935246(Evans and Blumberg)、WO9948915(Kliewer and Willson)及びKliewerら,Cell 92:73−82(1998)はヒトPXRのヌクレオチド配列とヒトPXRを活性化又は阻害する能力について化合物をスクリーニングするためのアッセイでヒトPXRを使用する方法を開示している。ヒトCARをコードするヌクレオチド配列は米国特許第6,579,686号(Collins and Park)に開示されており、WO9317041(Moore and Baes)はCARに関連すると思われるポリペプチドを開示している。
【0007】
HepG2等の細胞株は一般に大量のRXRを発現するが、PXRはほんの僅かしか発現しない。レポーター遺伝子に融合したCYP3A4プロモーター(その全部又は一部)をHepG2細胞にトランスフェクションすると、リファンピシンによる明白な誘導が生じるが、ヒトPXRとコトランスフェクトした場合に限られる(Blumbergら,Genes Dev.12:3195−3205(1998);Goodwinら,Mol.Pharmacol.56:1329−1339(1999))。これらの知見に基づき、薬剤の誘導可能性をスクリーニングするためのPXRレポーター遺伝子アッセイが開発された(Mooreら,J.Biol.Chem.275:15122−15127(2000);El−Sankaryら,Drug Metab.Disp.29:1499−1504(2001);Luoら,Drug Metab.Disp.30:795−804(2002);Drocourtら,Drug Metab.Disp.,29,1325−1331(2001))。
【0008】
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)によると、ヒトPXRはヒトRXRと一緒になってCYP3A4プロモーター配列モチーフprPXRE、dNR1、及びdNR2と直接結合することが判明した(Blumbergら,Genes Dev.12:3195−3205(1998);Lehmannら,J.Clin.Invest.102:1016−1023(1998);Goodwinら,Mol.Pharmacol.56:1329−1339(1999))。例えば、CYP3A4プロモーターのヌクレオチド−7839〜−7208及び−362〜+64から構成される発現ベクター(ΔCYP3A4プロモーター)をレポーター遺伝子と機能的に連結し、発現ベクターをヒトPXR発現ベクターとHepG2細胞にトランスフェクトすると、リファンピシン処理後にレポーター遺伝子の発現の誘導が観察された(Goodwinら,Mol.Pharmacol.56:1329−1339(1999);WO9961622(Liddle and Goodwin))。最近、同様のEMSA実験により、ヒトCARがprPXRE及びdNR1の両者と直接結合し、程度は低いが、dNR2とも結合することが実証されており、CYP3A4がCARリガンドにより誘導可能であることが示されている(Goodwinら,Mol.Pharmacol.62:359−3652002)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記ヒトPXRレポーターアッセイはCYP誘導可能性について薬剤をスクリーニングするのに有用であることが分かっている。しかし、上記アッセイでは低レベルでCYP誘導を生じる薬剤を検出することができない。従って、CYP誘導レベルの低い薬剤を検出できるような誘導応答を提供することが可能なアッセイが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は活性化プレグナンX受容体(PXR)と結合する1個以上のタンデムに配置されたシス作用性エレメントを異種プロモーターと機能的に連結した複合プロモーターと、チトクロームP450の発現、特にCYP3A4アイソフォームの発現を誘導することができる検体を同定するために、レポーター遺伝子と機能的に連結した前記複合プロモーターを使用する方法を提供する。PXRを介するCYP3A4発現のインデューサーである検体はレポーター遺伝子の発現を誘導する。
【0011】
従って、本発明はPXR結合部位を含む核酸の不在下でPXRにより誘導不能な異種プロモーターをもつ核酸と機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む核酸を含む複合プロモーターを提供する。これはPXR結合部位を各々もつ1個以上の核酸を異種プロモーター、好ましくはPXR結合部位の不在下でPXRにより誘導不能な異種プロモーターをもつ核酸と機能的に連結した複合プロモーターである。各々PXR結合部位を含む2個以上の核酸が存在する場合には、核酸は異種プロモーターとタンデムに連結される。異種プロモーターと機能的に連結されたPXR結合部位は異種プロモーターをプロモーターからの転写のPXR誘導に対して応答性にする。
【0012】
上記プロモーターの別の態様では、PXR結合部位はdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される。更に別の態様では、dDR3は配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号5のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号8のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号2のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号11のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号12のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号10のヌクレオチド配列を含む。
【0013】
上記プロモーターの更に別の態様では、上記複合プロモーターは少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のdDR3結合部位を含むか、少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のpER6結合部位を含むか、少なくとも3個のdDR3結合部位を含むか、又はdDR3結合部位3個とdER6及びpER6結合部位各1個を含む。更に別の態様では、複合プロモーターは少なくとも3個のdDR3部位を含む。上記複合プロモーターの特に好ましい態様では、2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位をもつ核酸は配列番号18のヌクレオチド配列を含む。別の態様では、複合プロモーターは配列番号13を含むCMVプロモーターと機能的に連結した配列番号18を含む。
【0014】
本発明は更にPXR結合部位の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む核酸を含むレポーター遺伝子発現カセットを提供する。
【0015】
更に別の側面では、レポーター遺伝子発現カセットはPXR結合部位を含む核酸の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子をコードする第3の核酸と機能的に連結した異種プロモーターをもつ第2の核酸と機能的に連結した2個以上のPXR結合部位を含む第1の核酸を含む。
【0016】
従って、本発明はPXR結合部位を含む核酸の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子をコードする第3の核酸と機能的に連結した異種プロモーターをもつ第2の核酸と機能的に連結した各々PXR結合部位をもつ2個以上のタンデムに配置された核酸を含む第1の核酸を含むレポーター遺伝子発現カセットを提供する。
【0017】
上記レポーター遺伝子発現カセットのいずれか1種の別の態様では、PXR結合部位はdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される。更に別の態様では、dDR3は配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号5のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号8のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号2のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号11のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号12のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号10のヌクレオチド配列を含む。
【0018】
上記レポーター遺伝子発現カセットの更に別の態様では、第1の核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のdDR3結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のpER6結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも3個のdDR3結合部位を含むか、又は前記核酸はdDR3結合部位3個とdER6及びpER6結合部位各1個を含む。更に別の態様では、核酸は少なくとも3個のdDR3部位を含む。上記レポーター遺伝子発現カセットの特に好ましい1態様では、2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む核酸は配列番号18のヌクレオチド配列を含む。別の好ましい態様では、レポーター遺伝子発現カセットはクローン102−SEAPのレポーター遺伝子発現カセットを含む。
【0019】
上記レポーター遺伝子カセットの特定態様では、レポーターは分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)である。
【0020】
本発明は更にPXR結合部位の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む核酸を含む細胞を提供する。
【0021】
別の側面では、前記細胞はPXR結合部位の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む核酸を含む第1の核酸と、異種プロモーターと機能的に連結したPXRをコードする第2の核酸を含む。
【0022】
別の側面では、細胞はPXR結合部位の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸と、異種プロモーターと機能的に連結したCARをコードする第2の核酸を含む。
【0023】
従って、本発明はPXR結合部位を含む核酸の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子をコードする第3の核酸と機能的に連結した異種プロモーターをもつ第2の核酸と機能的に連結したPXR結合部位をもつ2個以上のタンデムに配置された核酸を含む第1の核酸を含むレポーター遺伝子発現カセットを含む細胞を提供する。
【0024】
上記細胞のいずれか1種の別の態様では、PXR結合部位はdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される。更に別の態様では、dDR3は配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号5のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号8のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号2のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号11のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号12のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号10のヌクレオチド配列を含む。
【0025】
上記細胞の更に別の態様では、第1の核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のdDR3結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のpER6結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも3個のdDR3結合部位を含むか、又は前記核酸はdDR3結合部位3個とdER6及びpER6結合部位各1個を含む。更に別の態様では、前記核酸は少なくとも3個のdDR3部位を含む。上記細胞の特に好ましい1態様では、2個以上のPXR結合部位を含む第1の核酸は配列番号18のヌクレオチド配列を含む。
【0026】
上記細胞の特定態様では、細胞は更にPXR又はCARをコードする第2の核酸を含む。更に別の態様では、細胞は内在PXRを発現するか又は細胞は内在RXRを発現する。更に別の態様では、PXRはヒトPXRであるか又はCARはヒトCARである。
【0027】
更に別の態様では、細胞はHepG2である。更に別の態様では、細胞は肝細胞、特にラット、マウス、及びヒト肝細胞から構成される群から選択される肝細胞である。肝細胞は初代肝細胞が好ましい。
【0028】
更に別の態様では、レポーターは分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)である。
【0029】
本発明の別の側面では、検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法として、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む第1の核酸を含む細胞を提供する段階と;検体を含む培地で細胞をインキュベートする段階と;レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む方法を提供する。別の態様では、異種プロモーターは2個以上のPXR結合部位の不在下で誘導不能である。
【0030】
別の側面では、本発明は検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法として、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸と、PXRをコードする第2の核酸を含む細胞を提供する段階と;検体を含む培地で細胞をインキュベートする段階と;レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む方法を提供する。
【0031】
更に別の側面では、本発明は検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法として、好ましくはPXR結合部位の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸を含む細胞を提供する段階と;検体を含む培地で細胞をインキュベートする段階と;レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む方法を提供する。
【0032】
上記方法のいずれか1種の別の態様では、PXR結合部位はdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される。更に別の態様では、dDR3は配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号5のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号8のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号2のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号11のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号12のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号10のヌクレオチド配列を含む。
【0033】
上記方法の更に別の態様では、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のdDR3結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のpER6結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも3個のdDR3結合部位を含むか、又は前記核酸はdDR3結合部位3個とdER6及びpER6結合部位各1個を含む。上記方法の特に好ましい態様では、核酸の2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位は配列番号18のヌクレオチド配列を含む。
【0034】
上記方法の特定態様では、細胞は更にPXRをコードする第2の核酸を含む。更に別の態様では、細胞は内在PXRを発現するか又は細胞は内在RXRを発現する。更に別の態様では、PXRはヒトPXRである。
【0035】
更に別の態様では、細胞はHepG2又は初代肝細胞である。
【0036】
更に別の態様では、レポーターは分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)である。
【0037】
更に別の側面では、本発明は検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法として、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸と、PXRをコードする第2の核酸を含む初代培養肝細胞を提供する段階と;検体を含む培地で培養液をインキュベートする段階と;レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む方法を提供する。
【0038】
更に別の側面では、本発明は検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法として、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸と、CARをコードする第2の核酸を含む初代培養肝細胞を提供する段階と;検体を含む培地で培養液をインキュベートする段階と;レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む方法を提供する。
【0039】
更に別の側面では、本発明は検体がCARの活性化によりCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法として、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸と、CARをコードする第2の核酸を含む初代培養肝細胞を提供する段階と;検体を含む培地で培養液をインキュベートする段階と;レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCARの活性化によりCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む方法を提供する。
【0040】
更に別の側面では、本発明は検体がPXR又はCARの活性化によりCYP3A4の発現を誘導するか否かを判定する方法として、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸とPXRをコードする第2の核酸を含む初代培養肝細胞と、第1の核酸とCARをコードする第3の核酸を含む第2の初代培養肝細胞を提供する段階と;検体を含む培地で各培養液をインキュベートする段階と;レポーター遺伝子の発現を測定し、第1の培養液では検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加するが、第2の培養液では増加しないならば、検体はPXRの活性化によりCYP3A4の発現を誘導できると判断し、第2の培養液では検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加するが、第1の培養液では増加しないならば、検体はCARの活性化によりCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む方法を提供する。
【0041】
上記方法の他の態様では、肝細胞はラット、マウス、及びヒト肝細胞から構成される群から選択される。特定態様では、肝細胞はラット肝細胞が好ましい。
【0042】
上記方法のいずれか1種の更に別の態様では、PXR結合部位はdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される。更に別の態様では、dDR3は配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号5のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号8のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号2のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号11のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号12のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号10のヌクレオチド配列を含む。
【0043】
上記方法の更に他の態様では、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のdDR3結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のpER6結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも3個のdDR3結合部位を含むか、又は前記核酸はdDR3結合部位3個とdER6及びpER6結合部位各1個を含む。上記方法の特に好ましい態様では、2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位は配列番号18のヌクレオチド配列を含む。
【0044】
更に別の側面では、本発明は検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法として、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む核酸を含む初代培養肝細胞を提供する段階と;検体を含む培地で培養液をインキュベートする段階と;レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む方法を提供する。
【0045】
上記方法のいずれか1種の更に別の態様では、PXR結合部位はdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される。更に別の態様では、dDR3は配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号5のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号8のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号2のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号11のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号12のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号10のヌクレオチド配列を含む。
【0046】
上記方法の更に別の態様では、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のdDR3結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のpER6結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも3個のdDR3結合部位を含むか、又は前記核酸はdDR3結合部位3個とdER6及びpER6結合部位各1個を含む。上記方法の特に好ましい態様では、2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位は配列番号18のヌクレオチド配列を含む。
【0047】
本発明は更にレポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸を含む第1の容器を含むキットを提供する。異種プロモーターはPXR結合部位の不在下でPXRにより誘導不能であることが好ましい。場合により、PXRをコードし、異種プロモーターと機能的に連結した第2の核酸を含む第2の容器が提供される。前記キットの別の側面では、第1の容器はPXR結合部位を含む核酸の不在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子をコードする第3の核酸と機能的に連結した異種プロモーターをもつ第2の核酸と機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸を含むレポーター遺伝子発現カセットを含む。
【0048】
前記キットの別の側面では、キットは更にレポーター遺伝子の発現を測定するための試薬を含む。更に別の側面では、キットは更に核酸を細胞にトランスフェクトするための試薬を含む。更に別の側面では、キットは更に細胞を含む。
【0049】
上記キットの別の態様では、PXR結合部位はdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される。更に別の態様では、dDR3は配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号1のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号5のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号8のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号2のヌクレオチド配列を含むか、又はdDR3は配列番号11のヌクレオチド配列を含み、dER6は配列番号12のヌクレオチド配列を含み、pER6は配列番号10のヌクレオチド配列を含む。
【0050】
上記キットの更に別の態様では、第1の核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のdDR3結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のpER6結合部位を含むか、前記核酸は少なくとも3個のdDR3結合部位を含むか、又は前記核酸はdDR3結合部位3個とdER6及びpER6結合部位各1個を含む。更に別の態様では、核酸は少なくとも3個のdDR3部位を含む。上記方法の特に好ましい態様では、2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位は配列番号18のヌクレオチド配列を含む。
【0051】
キットの特定態様では、レポーターは分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)である。
【0052】
上記方法及びキットにおいて、第1の核酸は上記のようなレポーター遺伝子発現カセットであることが好ましい。本明細書に記載する上記方法の特定態様では、第2の核酸は異種プロモーター、好ましくはPXR又はCARにより誘導不能なプロモーターをもつ第2の核酸と機能的に連結したPXR又はCARをコードする第1の核酸を含む遺伝子発現カセットであることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明はヘモプロテインのチトクロームP−450(P450)スーパーファミリーの各種メンバー、特にCYP3A4アイソフォームの転写活性化(又は発現)を媒介する能力について検体(分子、化合物、薬剤候補等)をスクリーニングするためのアッセイを提供する。前記アッセイはプレグナンX受容体(PXR)又は構成的アンドロゲン受容体(CAR)を発現し、最小プロモーターと機能的に連結したタンデムアレーに配置されたCYP3A4プロモーターの3種のエンハンサーエレメントのうちの少なくとも1種の多重コピーを含むPXR又はCARにより誘導可能な新規複合又は合成プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子を含む組換え細胞を提供する段階と、検体の存在下で組換え細胞をインキュベートする段階と、レポーター遺伝子の発現を測定する段階を含む。CYP3A4プロモーターからの転写活性のメディエーターである検体はPXR又はCARと結合し、PXR又はCARを活性化することによりアッセイでその効果を発揮する。その後、活性化されたPXR又はCARはPXR又はCARにより誘導可能な複合プロモーターを介してレポーター遺伝子の発現を誘導する。PXR又はCARの転写活性のメディエーターでない検体はPXR又はCARと結合せず、活性化しないか、あるいはPXR又はCARと結合するが、PXR又はCARを活性化しない。いずれの場合も、PXR又はCARにより誘導可能な複合プロモーターからの転写は生じない。
【0054】
本発明の新規複合プロモーターは転写活性化に応答して天然CYP3A4プロモーターよりも高い誘導倍率を提供する。例えば、CYP3A4転写インデューサーリファンピシンは天然CYP3A4プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子又は約−7839〜−6000bpのCYP3A4プロモーター領域を約−362〜53bpの領域と連結し、更にレポーター遺伝子と機能的に連結した従来技術の欠失CYP3A4(ΔCYP3A4)プロモーター等のその変異体と比較して、本発明の複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子の誘導倍率のほうが高い(図2A又は4;Goodwinら,Mol.Pharmacol.56:1329−1339(1999);Drocourtら,Drug.Metab.Disp.29:1325−1331(2001);実施例2参照)。本発明の複合プロモーターは天然CYP3A4プロモーター又はΔCYP3A4プロモーターよりも感度が高いため、化合物及び薬剤候補をCYP3A4誘導能についてスクリーニングするためのより高感度のアッセイを提供する。本発明は更にPXR又はCAR結合又は活性化に対して応答性の複合プロモーターの作製方法を提供する。
【0055】
一般に、プロモーターは(1)コアプロモーターと転写単位の5’非翻訳領域(UTR)を含む最小プロモーターと、(2)転写アクチベーターの結合部位から構成される1個以上のエンハンサーエレメントの2個のエレメントから構成される。コアプロモーターは転写の開始を媒介する短いヌクレオチド配列である。一般に、コアプロモーターはTATAボックスとCAATボックスに関連するG−Cリッチ領域を含む。これらのエレメントはRNAポリメラーゼIIをプロモーターと結合させ、ポリメラーゼがRNA開始部位を見いだすのを助ける。プロモーターによってはTATAボックス又はCAATボックスをもたないものもあり、その代わりに転写開始部位を含む開始エレメントを含む。5’UTRはRNA転写産物の安定性を強化する役割を果たす。長い5’UTRは通常、転写又は翻訳レベルで遺伝子発現を調節する調節配列をもつイントロンを含む。エンハンサーエレメントは特定プロモーターから転写されるRNAの量を増加するヌクレオチド配列である。エンハンサーエレメントはコアプロモーターのすぐ上流(近位エンハンサー)の場合と、プロモーターから数千塩基対上流又は下流(遠位エンハンサー)の場合がある。エンハンサーエレメントは応答エレメントと呼ぶ1個以上の短いヌクレオチド配列を含む。応答エレメントはRNA転写開始複合体の形成を強化する転写因子と結合する。天然プロモーター(又は最小プロモーター)は転写単位の5’末端に由来する単一ヌクレオチドフラグメントから構成される。一般に、天然プロモーターはコアプロモーターと5’UTRを含み、ヌクレオチドフラグメント長に応じて所定の天然プロモーターは更にそのエンハンサーエレメントの1個以上と、場合により、イントロンを含む場合がある。一般に、複合プロモーターはコアプロモーターと、1個以上のエンハンサーエレメントと、少なくとも2個が異なる起源に由来する5’UTRから構成されるか、又は遠位エンハンサーエレメントを同一起源の最小プロモーターと組合わせたものである。
【0056】
PXR又はCARにより誘導可能な本発明の複合プロモーターはプロモーターからの転写をPXR又はCARにより調節又は誘導できるようにPXR又はCAR結合部位から構成される少なくとも2個のエンハンサーエレメントを含む複合エンハンサーと機能的にシス連結した最小又はコアプロモーターを含む。各エンハンサーエレメント(又は結合部位)は複合エンハンサーにおいて一般にタンデムに配置された1個のPXR又はCAR結合部位を含むオリゴマーを含む。各エンハンサーエレメントオリゴマーとその隣接エンハンサーエレメントオリゴマーの関係は頭−尾、頭−頭、又は尾−尾のいずれでもよい(オリゴマーの配置例については図6参照)。所定態様では、エンハンサーエレメントオリゴマーの1個以上はタンデム配置ではなく、複合エンハンサーの他のエンハンサーエレメントオリゴマーから離して配置される。複合エンハンサーのエンハンサーエレメントオリゴマーは最小又はコアプロモーターの上流に配置してもよいし、下流に配置してもよい。複合エンハンサーのエンハンサーエレメントオリゴマーは最小又はコアプロモーターに隣接して配置してもよいし、最小又はコアプロモーターから離して配置してもよい。例えば、複合エンハンサーは最小又はコアプロモーターの遠位末端に配置してもよいし、最小又はコアプロモーターの遠位末端(5’)から約13kb上流に配置してもよい。あるいは、複合エンハンサーは最小又はコアプロモーターの近位末端(3’)に配置してもよいし、最小又はコアの近位末端から約13kb下流に配置してもよい。例えば、PXR又はCARにより誘導可能なレポーターはレポーター遺伝子の近位末端(5’末端)に配置された最小又はコアプロモーターと、レポーターの遠位末端(3’)に配置されたエンハンサーエレメントを含むことができる。他の態様では、複合エンハンサーは複合エンハンサーの一部が最小プロモーターの上流に配置され、複合エンハンサーの別の部分が別の位置(例えば、最小プロモーターの下流)に配置されるように、最小プロモーターとその周囲の各位置に配置されたエンハンサーエレメントオリゴマーから構成される。本明細書で使用する機能的に連結とは最小プロモーターが複合エンハンサーの(部分的又は完全な)制御下にあることを意味する。エンハンサーエレメント又は複合エンハンサーが最小プロモーターにすぐ隣接する必要はない。最小又はコアプロモーターはCYP3A4に由来しないことが好ましく、エンハンサーエレメントの不在下でPXR又はCARにより誘導されないことが好ましい。
【0057】
天然CYP3A4プロモーターはCYP3A4プロモーターのPXR又はCAR誘導を可能にする3個のエンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位をもつ。これらのエンハンサーエレメントはヌクレオチド−176〜−146に由来するCYP3A4プロモーターの領域に配置されたエバーテッドリピートから構成される近位エンハンサーエレメントpER6(prPXRE又はER6)と、ヌクレオチド−7839〜−7208に由来するCYP3A4プロモーターの領域(XREM領域)に配置された夫々第1及び第2の遠位エンハンサーエレメントdDR3(ダイレクトリピート又はdNR1又はDR3)及びdER6(エバーテッドリピート又はdNR2又はER6)である。完全なCYP3A4プロモーターは約7.8kbである。これに対して、ΔCYP3A4プロモーターは約2254bpである。図2AはΔCYP3A4プロモーターにおけるエンハンサーエレメントの位置を示す。
【0058】
近位エンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位pER6はそのエバーテッドリピート5’−AGKTCA−3’に由来する塩基間隔6のヘキサマー5’−TGAMCT−3’から構成され、前記式中、MはA又はCであり、KはG又はTである。従って、pER6はフォワード鎖ヌクレオチド配列5’−TGAMCT−N−AGKTCA−3’(配列番号1)(式中、MはA又はCであり、KはG又はTであり、Nは任意ヌクレオチドである)とそのと相補鎖を含む。CYP3A4プロモーターのpER6エンハンサーエレメントはフォワード鎖ヌクレオチド配列5’−TAGAATATGAACTCAAAGGAGGTCAGTGAGT−3’(配列番号2)をもつヌクレオチド−176〜−146に含まれるCYP3A4プロモーターの領域に由来する。エバーテッドリピートを下線で示す。
【0059】
第1の遠位エンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位dDR3はヘキサマー5’−TGAMCY−3’(式中、MはA又はCであり、YはT又はCである)の1対のダイレクトリピートから構成され、各ヘキサマーは塩基間隔3である。従って、dDR3はフォワード鎖ヌクレオチド配列5’−TGAMCY−N−TGAMCY−3’(配列番号4)(式中、MはA又はCであり、YはT又はCである)とそのと相補鎖を含む。CYP3A4プロモーターのdDR3エンハンサーエレメントはフォワード鎖ヌクレオチド配列5’−GAATGAACTTGCTGACCCTCT−3’(配列番号5)をもつヌクレオチド−7736〜−7716に含まれる。ダイレクトリピートを下線で示す。
【0060】
第2の遠位エンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位dER6はそのエバーテッドリピート5’−KRTTCA−3’(式中、MはA又はCであり、YはT又はCであり、KはG又はTであり、RはG又はAである)に由来する塩基間隔6のヘキサマー5’−TGAAMY−3’から構成される。従って、dER6はフォワード鎖ヌクレオチド配列5’−TGAAMY−N−KRTTCA−3’(配列番号7)(式中、MはA又はCであり、KはG又はTであり、RはG又はAであり、Nは任意ヌクレオチドである)とそのと相補鎖を含む。CYP3A4プロモーターのdER6エンハンサーエレメントはフォワード鎖ヌクレオチド配列5’−CCCTTGAAATCATGTCGGTTCAAGCA−3’(配列番号8)をもつヌクレオチド−7693〜−7668に含まれるCYP3A4プロモーターの領域に由来する。エバーテッドリピートを下線で示す。
【0061】
本発明の複合プロモーターでは、pER6はヌクレオチド配列5’−TGAMCT−N−AGKTCA−3’(配列番号1)を含むオリゴマーを含み、dDR3はヌクレオチド配列5’−TGAMCY−N−TGAMCY−3’(配列番号4)を含むオリゴマーを含み、dER6はヌクレオチド配列5’−TGAAMY−N−KRTTCA−3’(配列番号7)を含むオリゴマーを含み、前記式中、MはA又はCであり、KはG又はTであり、RはG又はAであり、YはT又はCであり、Nは任意ヌクレオチドである。本発明の複合プロモーターに含まれるpER6エンハンサーエレメントの例としては5’−TGAACTCAAAGGAGGTCA−3’(配列番号10)と5’−TAGAATATGAACTCAAAGGAGGTCAGTGAGT−3’(配列番号2)が挙げられる。dDRエンハンサーエレメントの例としては5’−TGAACTTGCTGACCC−3’(配列番号11)と5’−GAATGAACTTGCTGACCCTCT−3’(配列番号5)が挙げられる。dER6エンハンサーエレメントの例としては5’−TGAAATCATGTCGGTTCA−3’(配列番号12)と5’−CCCTTGAAATCATGTCGGTTCAAGCA−3’(配列番号8)が挙げられる。
【0062】
本発明の複合プロモーターはタンデムに配置された2個以上のオリゴマーを含み、各オリゴマーは異種プロモーター、好ましくは異種最小プロモーターと機能的に連結したPXR又はCAR結合部位を含む。従って、複合プロモーターは異種プロモーターと機能的に連結した複合エンハンサーを含む。好ましい側面では、複合エンハンサーは各種配置、向き、及びコピー数で配置されたdDR3及びdER6エンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位各1コピー以上と、場合により、pER6エンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位1コピー以上を含むか、あるいはpER6及びdER6エンハンサーエレメント各1コピー以上と、場合により、dDR3エンハンサーエレメント1コピー以上を含む。複合エンハンサーは少なくとも2個の異なるエンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位(例えば、少なくともdDR3及びdER6各1個)を含むことが好ましい。特定側面では、複合エンハンサーは少なくとも3個のdDR3エンハンサーエレメントを含むことが好ましい。例として、図6は本発明の複合プロモーターの数種におけるサイトメガロウイルス(CMV)最小プロモーターと機能的に連結したエンハンサーエレメントの数種の配置を示す。図6に示すように、本発明の複合エンハンサーは各PXR/CAR結合部位が別のPXR/CAR結合部位と隣接するタンデム配置でPXR/CAR結合部位を含む。更に図6に示すように、複合エンハンサーにおけるPXR/CAR結合部位の向きは頭−頭、尾−頭、又は尾−尾の任意組合わせでを含む。例えば、実施例1のクローン26−SEAPの複合プロモーターはpER6を2コピーとdER6を1コピーから構成される複合エンハンサーを含み、全3個のエンハンサーエレメントは天然の向きでCMV最小プロモーターと機能的に連結されている。実施例1のクローン102−SEAPはdER6を1コピーとdDR3を4コピーから構成される複合エンハンサーを含み、dDR3エレメント1コピーのみが天然の向きでCMVプロモーターと機能的に連結されている。
【0063】
図6に示す複合プロモーターのうちの数種は従来技術ΔCYP3A4プロモーターの応答に比較してCYP3A4アクチベーターリファンピシンに応答して特に強いシグナルを発生することが認められた。図9に示すように、クローン102−SEAPはバックグラウンドの23倍のシグナルを発生し、クローン33−SEAPはバックグラウンドの14倍のシグナルを発生し、クローン61−SEAPはバックグラウンドの11倍のシグナルを発生した。これに対して、従来技術のΔCYP3A4プロモーターはバックグラウンドの6倍のシグナルしか発生しなかった。上記複合プロモーターの予想外のシグナル強度の増加により、従来技術アッセイよりも高感度で堅牢なCYP3A4アクチベーターの同定用アッセイを開発することが可能になった。クローン102−SEAPのシグナル強度はバックグラウンドの23倍であったため、PXRのアクチベーターである検体からCARのアクチベーターである検体を同定するために使用可能なアッセイを開発することが可能になった。
【0064】
下記実施例に示すように、複合プロモーターはサイトメガロウイルス極初期1(CMV)最小プロモーターと機能的に連結したpER6及びdER6エンハンサーエレメント1コピー以上と好ましくは更にdDR3エンハンサーエレメント1コピー以上を任意順序で含む複合エンハンサーを含むことができる。CMV最小プロモーターのヌクレオチド配列は5’−TAGGCGTGTA CGGTGGGAGG CCTATATAAG CAGAGCTCGT TTAGTGAACC GTCAGATCGC CTGGAGACGC CATCCACGCT GTTTTGACCT CCATAGAAGA CACCGGGACC GATCCAGCCT−3’(配列番号13)を含む。本発明はCMV最小プロモーターに限定されず、代替最小プロモーターを含むこともできる。他の最小プロモーター又はその最小部分を得ることができるプロモーターの例としては限定されないが、β−アクチン(β−Act)、α−フェトプロテイン(AFP)、免疫グロブリンβ(B29)、細菌LPSの単球受容体(CD14)、ロイコシアリン、シアロフォリン(CD43)、白血球共通抗原(LCA)(CD45)、マクロシアリンホモログ(CD68)、癌胎児性抗原(CEA)、c−erbB2/neu癌遺伝子(c−erbB2)、シクロオキシゲナーゼ2アイソフォーム(プロスタグランジン−エンドペルオキシドシンターゼ2)(COX−2)、desman、延長因子1(EF1)、E2F転写因子1(E2F−1)、初期増殖応答1(EGR1)、真核生物開始因子4A1(eIF4A1)、エラスターゼ−1、エンドグリン(ENG)、フェリチン重鎖(FerH)、フェリチン軽鎖(FerL)、フィブロネクチン(FN)、VEGF−受容体1(Flt−I)、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、グリア線維性酸性蛋白質(GFAP)、グルコース調節蛋白質78(GRP78)、グルコース調節蛋白質94(GRP94)、熱ショック蛋白質70(HSP70)、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(hsvTK)、細胞間接着分子2(CD102)(ICAM−2)、インターフェロンβ(IFNB)、β−キネシン(β−Kin)、L−プラスチン(リンパ球細胞質蛋白質1)(LP)、ミオグロビン(Mb)、ムチン様糖蛋白質(乳癌関連抗原、DF3)(MUC1)、オステオカルシン−2(OG−2)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK−1)、前立腺特異抗原(PSA)、界面活性剤蛋白質B(SP−B)、シナプシンI(SYN1)、チロシナーゼ関連蛋白質(TRP1)、チロシナーゼ(Tyr)、及びユビキチンB(Ubi B)の天然プロモーターが挙げられる。
【0065】
最小プロモーターと機能的に連結したエンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位を含む2個以上のオリゴマーを含む複合エンハンサーを含む複合プロモーターを更にアッセイ可能な産物をコードするレポーター遺伝子と機能的に連結し、レポーター遺伝子発現カセットとする。複合エンハンサーは少なくとも2個の異なるエンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位(例えば、少なくともpER6及びdER6各1個)を含むことが好ましく、3個の異なるエンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位(例えば、少なくともprER6、dER6、及びdDR3各1個)を含むことがより好ましい。レポーター遺伝子発現カセットはレポーター遺伝子の下流にポリアデニル化部位と転写終結部位をもつ3’UTRを含むことが更に好ましい。特に好ましい1態様では、レポーター遺伝子発現カセットのプロモーターはクローン102−SEAP又はCMV最小プロモーター等の異種プロモーターと機能的に連結した配列番号18のヌクレオチド配列の複合プロモーターを含む。
【0066】
一般に、レポーター遺伝子発現カセットはプラスミド、コスミド、ファージミド、ウイルス、バクテリオファージ、トランスポゾン、人工染色体、又は真核細胞にトランスフェクトすることができる他のベクター等のベクターの成分として含まれる。一般に、ベクターがプラスミドの場合には、ベクターはベクターを真核細胞で増殖できるようにSV40複製起点等の複製起点を含むことが好ましい。ベクターはベクターを含む組換え細胞を選択又は同定するための手段を含むことが更に好ましい。例えば、ベクターはベクターを含むトランスフェクトされた細胞にネオマイシン又はカナマイシン耐性を付与する遺伝子あるいはセルソーター等を使用してトランスフェクトされた細胞をトランスフェクトされていない細胞から分離することができるグリーン蛍光蛋白質又はルシフェラーゼ等の遺伝子を含むことができる。1例として、pVIj−SEAP−polyEcoRVベクターはCMV最小プロモーターと機能的に連結した分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子を含む。実施例に示すように、このベクターを使用してCMV最小プロモーターと機能的に連結したPXR/CAR結合部位のタンデムアレーを各々含む数種のベクターを構築し、SEAPレポーター遺伝子と機能的に連結した複合プロモーターを得た。上記ベクターのうちの数種を使用し、検体がPXR又はCAR活性化を介してCYP3A4発現を誘導できるか否かを調べた。
【0067】
本発明は更に上記核酸分子のいずれか1種を含むベクターで形質転換又はトランスフェクトした組換え宿主細胞、特に少なくともレポーター遺伝子発現カセットレポーター遺伝子を含むベクターで形質転換又はトランスフェクトした組換え宿主細胞を提供する。例えば、宿主細胞はクローン102−SEAP又は異種プロモーターと機能的に連結した配列番号18のヌクレオチド配列の複合プロモーターをレポーター遺伝子と機能的に連結したレポーター遺伝子発現カセットで形質転換又はトランスフェクトすることができる。特定態様では、SEAPをコードするレポーター遺伝子に複合プロモーターを機能的に連結することが好ましい。特定態様では、PXR又はCAR又は両者をコードする遺伝子発現カセットを含むベクターで宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトする。組換え宿主細胞としては大腸菌等の細菌、酵母等の真菌細胞、植物細胞、限定されないが、ウシ、ブタ、非ヒト霊長類、ヒト、又は齧歯類起源の細胞株等の哺乳動物細胞、及び限定されないが、ショウジョウバエやカイコ由来細胞株等の昆虫細胞が挙げられる。例えば、昆虫発現システムの1例はバキュロウイルス発現ベクター(pAcG2T,Pharmingen,San Diego,CA)とタンデムに配置されたSpodoptera frugiperda(Sf21)昆虫細胞(Invitrogen)を利用する。
【0068】
組換え細胞は哺乳動物細胞が好ましく、ラット、マウス、霊長類、又はヒト細胞が好ましい。組換え細胞は初代細胞又は不死細胞株のいずれから作製してもよい。特定態様では、組換え細胞はRXRを内在的に産生する細胞に由来することが好ましい。下記実施例に開示するように、ヒト肝細胞癌に由来する不死細胞株であるHepG2細胞、又は初代ラットもしくはヒト肝細胞にレポーター遺伝子発現カセットをトランスフェクトし、本発明の方法で使用する新規組換え細胞を作製した。HepG2細胞は特に好ましい表現型である内在RXRを一般に高レベルで産生する。HepG2細胞は米国特許第4,393,133号(Knowles)に開示されている。HepG2細胞ソースとしてはIstituto Zooprofilattico Sperimentale(アクセション番号IZSBS BS TCL79;IZSBS,Via A.Bianchi 7,Brescia,25100,イタリー);American Type Culture Collection(アクセション番号HB8065及びCRL−11997;ATCC,10801 University Boulevard,Manassas,Virginia;20110);及びGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(アクセション番号ACC 180;DSMZ,Mascheroder Weg 1b,Braunschweig,D−38124,ドイツ)が挙げられる。他の細胞株としては限定されないが、H−4IIE細胞(ATCC CRL−1548)、HeLa(ATCC CCL−2)、Hep3b(ATCC HB8064)、WiDr(ATCC CCL−218)、HCT116(ATCC CCL−247)、MCF−7(ATCC HTB−22)、及び293(ATCC CRL−1573)が挙げられる。
【0069】
特に、本発明はレポーター遺伝子と機能的に連結した複合プロモーターとするためにエンハンサーエレメント又はPXR結合部位の不在下でPXRにより誘導不能な異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のエンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位を含む複合エンハンサーを含むレポーター遺伝子発現カセットを含む組換え細胞を提供する。異種プロモーターはCMV最小プロモーター等の最小プロモーターが好ましい。複合エンハンサーは少なくとも2個の異なるエンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位(例えば、少なくともdDR3及びdER6各1個)を含むことが好ましい。特定側面では、複合エンハンサーは少なくとも3個のdDR3エンハンサーエレメントを含むことが好ましい(例えば、図6に示す複合エンハンサーは各々dDR3少なくとも3コピーを含む)。特に好ましい態様では、複合プロモーターはクローン102−SEAP又は異種プロモーターと機能的に連結した配列番号18のヌクレオチド配列の複合プロモーターを含む。PXR又はCARにより誘導可能なレポーターを含むレポーター遺伝子発現カセットは組換え細胞に一過性にトランスフェクトするか又は組換え細胞のゲノムに安定的に組込むことができる。
【0070】
組換え細胞でPXR又はCARを内在的又は異所的に発現させることができる。組換え細胞は更にPXR又はCARの異所発現用構成的プロモーター又は誘導的プロモーターと機能的に連結したPXR又はCARをコードする第2の核酸を含むことが好ましい。ヒトPXRのヌクレオチド配列はWillson and Kliewerら,Cell 92:73−82(1998)、WO9935246(及びUS 6,756,491)(Evans and Blumberg)、WO9948915(Kliewerら)、及びWO9919354(Berkenstam and Dahlberg)に開示されており、GenBankアクセション番号AF061056である。マウス、ラット、及びウサギに由来するPXRがクローニングされ、配列決定されている(Klieweerら,Cell 92:73−82(1998);Jonesら,Molec.Endocrinol.14:27−39(2000);Zhang,Arch.Biochem.Biophys.368:14−22(1999))。他の非ヒトPXRの例はWO02094865(Kliewerら)に開示されている。ヒトCARのヌクレオチド配列はWO9317041(Moore(並びにUS 5,686,574、5,710,017、及び5,756,448)and Baes)及びUS 6,579,686(Collinsら)に開示されている。PXR又はCARと機能的に連結されたプロモーターは構成的プロモーターが好ましく、天然プロモーターでも複合プロモーターでもよい。第2の核酸を組換え細胞に一過性にトランスフェクトするか又は組換え細胞のゲノムに安定的に組込むことができる。組換え細胞はレチノイドX受容体(RXR)も発現することが好ましい。RXRの発現は内在性でもよいし、組換え細胞に一過性にトランスフェクトするか又は組換え細胞のゲノムに安定的に組込まれる構成的又は誘導的プロモーターと機能的に連結したRXRをコードする第3の核酸を提供することにより異所性でもよい。RXR発現は内在性であることが好ましい、第1、第2、及び場合により第3の核酸を細胞に安定的に組込むと、予めトランスフェクション段階を実施する必要がなくなるため、CYP3A4の発現に影響を与える検体の同定方法を簡略化する細胞株が得られる。
【0071】
一過性又は安定的にトランスフェクトされた真核細胞を作製する方法は当分野で周知であり、例えばSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd Edition;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,(1989)又はSambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York(2001))に記載されている。
【0072】
例えば、遺伝子発現レポーターカセットとPXR又はCARをコードする核酸を含む一過性にトランスフェクトされた細胞を作製するためには、細胞を組織培養プレートにプレーティングし、レポーター遺伝子発現カセットを含む第1の核酸と、PXR又はCARをコードする第2の核酸をトランスフェクトする。現今では、PXR又はCARはヒト又は霊長類に由来するものが好ましい。核酸は上記ベクターのいずれか1種の成分、例えば、プラスミドの成分として提供することができる。遺伝子発現レポーターカセットをコードする核酸と、PXR又はCARをコードする核酸は別々のベクターで提供することもできるし、同一ベクターの成分として提供することもできる。所定側面では、トランスフェクションはRXRをコードする第3の核酸を含む。第3の核酸は第1の核酸と第2の核酸を含む同一ベクターの成分とすることができる。核酸が細胞に取込まれるために十分な時間、細胞をインキュベートした後に、トランスフェクション培地を捨て、CYP3A4活性を試験しようとする検体を含む培地に交換する。トランスフェクトした核酸が発現するために十分な時間、通常は約48時間後にレポーター遺伝子の発現をアッセイする。
【0073】
例えば、安定的にトランスフェクトされた細胞を作製するためには、細胞を組織培養プレートにプレーティングし、レポーター遺伝子発現カセットを含む第1の核酸と、PXR又はCARをコードする第2の核酸をトランスフェクトする。現今では、PXR又はCARはヒト又は霊長類に由来するものが好ましい。核酸は核酸を含む細胞を選択するための手段をコードする遺伝子を更に含む。組換え細胞を選択するために有用な遺伝子としては限定されないが、G418又はカナマイシン耐性を付与するネオマイシン遺伝子、ピューロマイシン耐性を付与するpac遺伝子、ハイグロマイシンB耐性を付与するハイグロマイシン耐性遺伝子、及びミコフェノール酸耐性を付与するキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼが挙げられる。核酸は上記ベクターのいずれか1種の成分、例えば、プラスミドの成分として提供することができる。遺伝子発現レポーターカセットをコードする核酸と、PXR又はCARをコードする核酸は別々のベクターで提供することもできるし、同一ベクターの成分として提供することもできる。所定側面では、トランスフェクションはRXRをコードする第3の核酸を含む。第3の核酸は第1の核酸と第2の核酸を含む同一ベクターの成分とすることができる。核酸が細胞に取込まれるために十分な時間、細胞をインキュベートした後に、トランスフェクション培地を捨て、トランスフェクトされていない細胞からトランスフェクトされた細胞を選択するための手段を加えた培地に交換する。選択手段の例としては限定されないが、G418、カナマイシン、ハイグロマイシンB、ミコフェノール酸、及びピューロマイシンが挙げられる。G148を使用して組換え細胞を選択するためには、上記ベクターは更にネオマイシンをコードする遺伝子を含む。選択手段を含む培地で細胞を数回継代後に、トランスフェクトされてない細胞は死滅し、組換え細胞は残存する。組換え細胞を培養すると、検体がCYP3A4発現のアクチベーターであるか否かを判定するために下記のように使用することができる組換え細胞のストックが得られる。
【0074】
一般に、CYP3A4発現のアクチベーターである検体を同定するための本発明の方法は以下の段階を含む。本明細書に開示するように作製され、本明細書に開示するような複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含む核酸を含む組換え細胞を提供する。好ましい1態様では、複合プロモーターはクローン102−SEAPの複合プロモーター又は異種プロモーターと機能的に連結した配列番号18のヌクレオチド配列を含む複合プロモーターを含む。遺伝子発現カセットは細胞で自律複製することができるベクター上に提供することができる。例えば、ベクターは真核細胞で機能的な複製起点をもつプラスミドとすることができる。他の態様では、遺伝子発現カセットは細胞のゲノムに安定的に組込まれる。好ましい側面では、組換え細胞は更にプロモーターと機能的に連結したPXR又はCAR、好ましくはヒトPXR又はCARをコードする遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含む第2の核酸を含む。PXR又はCARをコードする遺伝子発現カセットは細胞で自律複製することができるベクター上に提供することができる。例えば、ベクターは真核細胞で機能的な複製起点(例えばSV40複製起点)をもつプラスミドとすることができる。他の態様では、PXR又はCARをコードする遺伝子発現カセットは細胞のゲノムに安定的に組込まれる。
【0075】
CYP3A4の発現誘導能を試験する検体を加えた培地に組換え細胞を加え、公知CYP3A4インデューサーの存在下で組換え細胞をインキュベートする陽性対照を基準として細胞が検出可能なレポーター遺伝子産物を産生するために十分な時間、組織培養皿又は組織培養プレートのウェルで増殖させる。一過性にトランスフェクトされた細胞の場合には、48時間で通常は十分である。その後、レポーター遺伝子産物の生産量又は基質に対するレポーター遺伝子の活性を測定することによりレポーター遺伝子の発現を判定する。
【0076】
細胞により分泌されるか又は細胞の外膜に結合したレポーター遺伝子産物の場合には、培地を取出し、レポーター遺伝子産物を分析するか、又はレポーター遺伝子産物の基質を添加し、産物に対するレポーター遺伝子の活性を測定する。SEAPは標識基質に対するその活性を測定することによりその発現を判定する分泌レポーター遺伝子産物の1例である。胎盤性アルカリホスファターゼ(PLAP)は細胞外膜に結合したレポーター遺伝子産物の1例である。分泌されず、外膜に結合しないレポーター遺伝子の場合には、組織培養プレートから細胞を回収し、細胞を溶解させ、レポーター遺伝子産物生産量を測定するか又は基質に対するレポーター遺伝子産物の活性を測定することにより発現を判定することができる。あるいは、細胞により取込まれるレポーター遺伝子産物の基質を組換え細胞に添加し、細胞により取込まれた基質に対するレポーター遺伝子の活性を測定する。1例は米国特許第6,472,205号、6,291,162号、5,955,604号、及び5,741,657号、並びにWO9630540(いずれもTsienら)に開示されているβ−ラクタマーゼレポーターシステムと基質である。
【0077】
現今ではレポーター遺伝子はSEAP遺伝子が好ましいが、本発明の他の態様では、レポーター遺伝子はグリーン蛍光蛋白質(GFP)遺伝子、ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ(cobA)遺伝子、β−ガラクトシダーゼ(LacZ)遺伝子、β−グルクロニターゼ(Gluc)遺伝子、β−ラクタマーゼ(BLA)遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、ルシフェラーゼ、PLAP遺伝子等でもよい。
【0078】
分析されている細胞株の大半では、CARは構成的に活性化されると思われ、肝細胞株等の多くの細胞ではCYP3A4の活性化におけるCARの関与をPXRの関与から区別することができないので、CARを介してCYP3A4発現を活性化する検体を同定するための簡単な細胞アッセイは現今では当分野で入手できないと考えられている。クローン102−SEAPとPXR又はCARをコードする遺伝子発現カセットをラット初代培養肝細胞にコトランスフェクトすると、CARとの相互作用を介してCYP3A4発現を活性化する検体からPXRとの相互作用を介してCYP3A4発現を活性化する検体を区別できることを本発明者らは発見した。例えば、図14に示し、実施例6に記載するように、ラット初代培養肝細胞にレポーター遺伝子発現カセットとしてクローン102−SEAPをトランスフェクトするか、又はヒトCARをコードする遺伝子発現カセットをコトランスフェクトした。クローン102−SEAPをラット初代肝細胞に単独トランスフェクトし、トランスフェクトした細胞をCARのインデューサーであることが分かっている化合物で処理すると、レポーター遺伝子の有意誘導は認められなかった。クローン102−SEAPをラット初代肝細胞にヒトCARをコードする遺伝子発現カセットとコトランスフェクトすると、多少の構成的CAR活性化が認められた。他方、CARを介してCYP3A4活性を誘導することが分かっている化合物はコトランスフェクトしたヒトCARを介してレポーター遺伝子の有意発現を誘導することができた(図14)。クローン102−SEAPをラット初代肝細胞にヒトPXRをコードする遺伝子発現カセットとコトランスフェクトすると、この場合も多少の構成的PXR活性化が認められた。他方、PXRを介してCYP3A4活性を誘導することが分かっている化合物はレポーター遺伝子の有意発現を誘導することができた(図14)。以上の結果によると、レポーター遺伝子の発現は化合物とコトランスフェクトしたヒトPXR又はCARの相互作用のみを介して誘導され、相互作用は受容体に特異的であることが分かった。
【0079】
図9に示すように、クローン102−SEAPにおけるレポーター遺伝子の発現誘導はバックグラウンドの約23倍であった。プロモーターの23倍の誘導能は初代肝細胞におけるPXR及びCAR発現を検出するのに重要な因子であった。クローン102−SEAPの複合プロモーターに比較して同等以上の誘導能をもつ他の配置のPXR結合部位を含む複合プロモーターも初代肝細胞を使用する上記アッセイで使用することができた。従って、本発明は更にCARとの相互作用のみによりCYP3A4発現を活性化する検体と、PXRとの相互作用のみによりCYP3A4発現を活性化する検体と、PXR又はCARとの相互作用によりCYP3A4発現を活性化する検体の同定方法を提供する。
【0080】
CARとの相互作用を介してCYP3A4発現を活性化する検体を同定するためには,本明細書に開示するようなレポーター遺伝子発現カセット、好ましくはクローン102−SEAPの複合プロモーター又は異種プロモーターと機能的に連結した配列番号18のヌクレオチド配列を含む複合プロモーターとレポーター遺伝子を機能的に連結したレポーター遺伝子発現カセットと、CAR、好ましくはヒトCARをコードする遺伝子発現カセットを初代培養肝細胞、好ましくはラット肝細胞にコトランスフェクトし、組換え細胞培養液を作製する。細胞にバッチトランスフェクトし、組織培養皿又は多重ウェル組織培養皿のウェルにプレーティングするか、あるいは組織培養皿又はウェルの表面に既に結合している場合にはトランスフェクトする。いずれの場合も、レポーター遺伝子とCARをコードする遺伝子発現カセットの取込みに十分な時間、組換え細胞を増殖培地でインキュベートした後に被験検体を加えた培地で組換え細胞をインキュベートする。
【0081】
CARによるCYP3A4活性の公知インデューサーの存在下で組換え細胞をインキュベートする陽性対照で判定できるようなCARの活性化によるレポーター遺伝子の発現に十分な時間、組換え細胞をインキュベートした後、レポーター遺伝子の発現を判定する。検体を含まず、検体のビヒクルを含む陰性対照を加えることが望ましい。SEAPをコードするレポーター遺伝子の場合には、培地のアリコート中でSEAPの活性を測定することにより発現を判定することができる。好ましい1態様では、レポーター遺伝子と機能的に連結した複合プロモーターはクローン102−SEAPを含む複合プロモーターである。
【0082】
PXRを介してCYP3A4を活性化する検体を同定するためには、PXRをコードするが、CARをコードしない遺伝子発現カセットを使用して上記コトランスフェクションを実施する。PXRはヒトPXRであることが好ましい。陽性対照はPXRによるCYP3A4の公知インデューサーの存在下で組換え細胞のアリコートをインキュベートする。
【0083】
PXR又はCARとの相互作用のみを介してCYP3A4を活性化するかあるいはPXR又はCARを介してCYP3A4を活性化する検体を同定するためには、上記コトランスフェクションの各々からの組換え細胞培養液を提供する。コトランスフェクションの各々からの組換え細胞と共に同一検体をインキュベートした後にレポーター遺伝子の発現を検出する。PXRとの相互作用のみを介してCYP3A4発現を活性化する検体はPXRをコードする遺伝子発現カセットを含む組換え細胞培養液中でしかレポーター遺伝子を発現しない。CARとの相互作用のみを介してCYP3A4発現を活性化する検体はCARをコードする遺伝子発現カセットを含む組換え細胞培養液中でしかレポーター遺伝子を発現しない。PXR又はCARとの相互作用を介してCYP3A4発現を活性化する検体は両者培養液中でレポーター遺伝子を発現する。
【0084】
複数の検体を一度にスクリーニングするように上記のいずれか1種を応用することができる。例えば、多重培養に十分な量の細胞にレポーター遺伝子発現カセットをトランスフェクトする。トランスフェクションのアリコートを組織培養皿又は多重ウェル組織培養皿のウェルに別々にプレーティングし、組換え細胞が皿又はウェルの表面に接着してレポーター遺伝子発現カセットを取込むために十分な時間インキュベートする。次に、プレーティングした組換え細胞の各アリコートを、被験検体を加えた培地でインキュベートする。陽性対照と陰性対照を加えることが好ましい。対照で判定できるようなPXR又はCARの活性化によるレポーター遺伝子の発現に十分な時間、組換え細胞をインキュベートした後、レポーター遺伝子の発現を判定する。
【0085】
レポーター遺伝子発現カセットとしてクローン102−SEAPを単独でトランスフェクトし、PXR又はCARとの相互作用を介してCYP3A4活性を誘導することが分かっている化合物で処理したヒト初代培養肝細胞は前記化合物に対して応答性であることを本発明者らは更に発見した(実施例7及び図15参照)。この結果、本明細書に開示するような複合プロモーター、好ましくはクローン102−SEAPの複合プロモーターと比較して同等以上の誘導能をもつ複合プロモーターを含むレポーター遺伝子カセットをトランスフェクトしたヒト肝細胞はCYP3A4発現を活性化する検体を同定するための簡単なスクリーニングアッセイを提供することが示唆された。
【0086】
従って、本発明は更にPXR又はCARとの相互作用を介してCYP3A4発現を活性化する検体の同定方法として、本明細書に開示するようなレポーター遺伝子発現カセット、好ましくはクローン102−SEAPの複合プロモーター又は異種プロモーターと機能的に連結した配列番号18のヌクレオチド配列を含む複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子を初代培養肝細胞、好ましくはヒト肝細胞にトランスフェクトし、組換え細胞培養液を作製する段階を含む方法を提供する。細胞にバッチトランスフェクトし、組織培養皿又は多重ウェル組織培養皿のウェルにプレーティングするか、あるいは組織培養皿又はウェルの表面に既に結合している場合にはトランスフェクトする。いずれの場合も、レポーター遺伝子発現カセットの取込みに十分な時間、組換え細胞を増殖培地でインキュベートした後に、被験検体を加えた培地で組換え細胞をインキュベートする。PXR又はCARを介するCYP3A4活性の公知インデューサーの存在下で組換え細胞をインキュベートする陽性対照で判定できるようなPXR又はCARの相互作用を介するレポーター遺伝子の発現に十分な時間、組換え細胞をインキュベートした後、レポーター遺伝子の発現を判定する。検体を含まず、検体のビヒクルを含む陰性対照を加えることが望ましい。SEAPをコードするレポーター遺伝子の場合には、培地のアリコート中でSEAPの活性を測定することにより発現を判定することができる。好ましい1態様では、レポーター遺伝子と機能的に連結した複合プロモーターはクローン102−SEAPを含む複合プロモーターである。
【0087】
複数の検体を一度にスクリーニングするように上記方法を応用することができる。例えば、多重培養に十分な量の細胞にレポーター遺伝子発現カセットをトランスフェクトする。トランスフェクションのアリコートを組織培養皿又は多重ウェル組織培養皿のウェルに別々にプレーティングし、細胞が皿又はウェルの表面に接着してレポーター遺伝子発現カセットを取込むために十分な時間インキュベートする。次に、プレーティングした組換え細胞の各アリコートを、被験検体を加えた培地でインキュベートする。陽性対照としてPXR又はCARを介するCYP3A4活性の公知インデューサーの存在下で少なくとも1個のアリコートをインキュベートすることが好ましい。検体のビヒクルから構成される陰性対照も加えることも望ましい。対照で判定できるようなPXR又はCARの活性化によるレポーター遺伝子の発現に十分な時間、組換え細胞をインキュベートした後、レポーター遺伝子の発現を判定する。
【0088】
本発明の方法はCYP3A4発現誘導を媒介することができる検体を同定するための検体の高スループットスクリーニング(HTS)に特に有用である。多くの場合、有用な特性をもつ化学物質は所定の望ましい特性又は活性をもつ化合物(「リード化合物」と言う)を同定し、リード化合物の変異体を作製し、変異体化合物の特性と活性を評価することにより作製される。最新の傾向は薬剤発見の全側面についてタイムスケールを短縮する方向にある。高スループットスクリーニング(HTS)法は多数を迅速且つ効率的に試験することができるため、従来のリード化合物同定法に取って代わりつつある。
【0089】
1側面では、高スループットスクリーニング法は、多数の薬剤候補を含むライブラリーを提供する段階を含む。次にこのような「コンビナトリアル化学ライブラリー」を1回以上のアッセイでスクリーニングし、所望の特徴的活性を示すライブラリーメンバーの特定化学種又はサブクラスを同定する。こうして同定された化合物を従来の「リード化合物」として使用することができる。
【0090】
コンビナトリアルライブラリーの作製装置は市販されている(例えば、357 MPS,390 MPS,Advanced Chem Tech,Louisville,Kentucky;Symphony,Rainin,Woburn,Massachusetts;433A Applied Biosystems,Foster City,California;9050 Plus,Millipore,Bedford,Massachusetts参照)。溶液相化学用の多数の周知ロボットシステムも開発されている。これらのシステムとしては武田薬品工業(大阪市)により開発された自動合成装置等の自動ワークステーションや、化学者により実施される手動合成操作を模倣したロボットアームを使用する多くのロボットシステム(Zymate II,Zymark Corporation,Hopkinton,Massachusetts;Orca,Hewlett−Packard,Palo Alto,California)が挙げられる。上記装置のいずれも本発明で使用するのに適している。(改造する場合には)本明細書に記載するように動作できるようにこれらの装置に加える改造の種類と実施は当業者に自明である。更に、多数のコンビナトリアルライブラリー自体が市販されている(例えば、ComGenex,Princeton,New Jersey;Asinex,Moscow,ロシア;Tripos,Inc.,St.Louis,Missouri.;ChemStar,Ltd,Moscow,ロシア;3D Pharmaceuticals,Exton,Pennsylvania;Martek Biosciences,Columbia,Maryland参照)。
【0091】
本明細書に記載する任意アッセイを高スループットスクリーニングに利用することができる。上述したように、本明細書に開示する方法により検体をスクリーニングすることが好ましい。このようなスクリーニングの高スループットシステムは当業者に周知である。即ち、例えば、米国特許第5,559,410号は蛋白質結合の高スループットスクリーニング法を開示しており、米国特許第5,576,220号及び5,541,061号はリガンド/抗体結合の高スループットスクリーニング法を開示している。
【0092】
更に、高スループットシステムは市販されている(例えば、Zymark Corp.,Hopkinton,Massachusetts;Air Technical Industries,Mentor,Ohio;Beckman Instruments,Inc.Fullerton,California;Precision Systems,Inc.,Natick,Massachusetts参照)。これらのシステムは一般に全サンプル及び試薬ピペッティング、液体分配、時限インキュベーション、及びアッセイに適した検出器でのマイクロプレートの最終読取りを含む全工程を自動化する。これらのコンフィギュラブルシステムにより高スループットで迅速な始動と高度なフレキシビリティー及びカスタマイズが可能になる。このようなシステムの製造業者は詳細なプロトコールを提供している。即ち、例えば、Zymark Corp.は遺伝子転写、リガンド結合等の変化を検出するためのスクリーニングシステムについて記載した技術報告を提供している。
【0093】
本発明は更に検体がCYP3A4のインデューサーであるか否かを判定するためのキットを提供し、前記キットは複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子を含む核酸を含む容器を含む。レポーター遺伝子はSEAPをコードすることが好ましい。複合プロモーターは最小プロモーターと機能的に連結した少なくとも2個の異なるエンハンサーエレメント又はPXR/CAR結合部位(例えば、少なくともdDR3及びdER6各1個)を含む複合エンハンサーエレメントを含むことが更に好ましい。更に別の態様では、最小プロモーターはCMV最小プロモーターであることが好ましい。キットの更に別の態様では、キットは更にPXR又はCAR又は両者、好ましくはヒトPXR又はCARをコードする遺伝子を含む第2の核酸を含む容器を含む。キットは更に細胞にトランスフェクトするための試薬を含む1個以上の付加容器を含む。更に付加又は代替態様として、キットはレポーター遺伝子を検出するための試薬又はレポーター遺伝子の活性を測定するための試薬又は両者を含む1個以上の容器を含むことができる。
【0094】
以下の実施例は本発明を更に理解し易くすることを目的とする。
【実施例1】
【0095】
従来技術よりも強力なPXR応答性プロモーターを構築できるか否かを調べるために、CYP3A4プロモーターの応答性シス作用性ヌクレオチドエレメントのヌクレオチド配列を短いオリゴマーに化学的に合成した後、複合プロモーターにランダムに組立て、複数の複合プロモーター構築物から構成される組換えライブラリーを作製した後、転写活性についてスクリーニングした。ストラテジーを図2Bに示す。天然に存在する筋組織由来プロモーターよりも強力な筋特異的複合プロモーターを作製するために、同様のストラテジーがLiら,Nature Biotech.17:241−245(1999)により使用されている。
【0096】
核酸操作はSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd Edition;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,(1989)又はSambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York(2001))に記載の方法等の標準分子生物学法に従って実施した。プラスミド精製カラム(Qiagen,Valencia,California)を製造業者の指示に従って使用してLBブロスで一晩培養した培養液からプラスミドDNAを調製した。
【0097】
ヒトPXRと結合できることからpER6、dDR3、及びdER6エンハンサーエレメントを選択した。PXR応答性合成プロモーター構築のストラテジーを図2Bに示す。前記3種のエレメント(pER6、dDR3及びdER6)の各々の両鎖と末端の数個のヌクレオチドから構成される特異的オリゴマーを作製した。
【0098】
CYP3A4プロモーターのヌクレオチド−176〜−146に由来するpER6に対応する1本鎖オリゴマーの相補対を合成した。フォワードオリゴマーは5’−TAG AAT ATG AAC TCA AAG GAG GTC AGT GAG T−3’(配列番号2)とし、相補的オリゴマーは5’−ACT CAC TGA CCT CCT TTG AGT TCA TAT TCT A−3’(配列番号3)とした。2本鎖pER6を図3Aに示す。
【0099】
CYP3A4プロモーターの−7736〜−7716に由来するdDR3に対応する1本鎖オリゴマーの相補対を合成した。フォワードオリゴマーは5’−GAA TGA ACT TGC TGA CCC TCT−3’(配列番号5)とし、相補的オリゴマーは5’−AGA GGG TCA GCA AGT TCA TTC−3’(配列番号6)とした。2本鎖dDR3を図3Bに示す。
【0100】
CYP3A4プロモーターの−7693〜−7668に由来するdER6に対応する1本鎖オリゴマーの相補対を合成した。フォワードオリゴマーは5’−CCC TTG AAA TCA TGT CGG TTC AAG CA−3’(配列番号8)とし、相補的オリゴマーは5’−TGC TTG AAC CGA CAT GAT TTC AAG GG−3’(配列番号9)とした。2本鎖dER6を図3Cに示す。
【0101】
各オリゴマー対の相補的1本鎖オリゴマーの5’末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した。次に、各オリゴマー対の相補的1本鎖オリゴマーをアニールさせ、エンハンサーエレメントの2本鎖デュプレクスを形成した。次に、ランダムライゲーション反応でDNAリガーゼ6000単位を含むライゲーション混合物にこれらの3種の2本鎖デュプレクス各等量を加えた。16℃で16時間ライゲーション反応を進行させた後、ライゲーション反応産物をアガロースゲルにアプライし、Vで電気泳動させた。DNAサイズマーカーをゲルに加えた。約150〜約350bpの2本鎖DNAフラグメント集団(DNAフラグメント当たりエンハンサーエレメント約5〜15コピー)を含むことがマーカーにより示される領域に対応するアガロースゲルの領域をゲルから切り出し、Genomed,GmbH,Lohne,ドイツ製品JETSORBを製造業者の指示に従って使用してゲルからDNAを溶出させた。
【0102】
346bp SV40ポリアデニル化(SV40pA)配列の上流に配置したSEAPレポーター遺伝子をコードする1521bp核酸と機能的に連結した120bp CMV最小プロモーターの上流のプラスミドVIj−SEAP−polyEcoRVのEcoRV部位に溶出した2本鎖DNAフラグメントを平滑末端ライゲーションし、CMV最小プロモーターと機能的に連結した複合プロモーターを形成するように溶出した2本鎖DNAフラグメントの1個以上を任意順序及び任意組合わせで各々含む複数のプラスミドpVIj−cpr−SEAP(ここで「cpr」は「複合プロモーター」である)を作製した。プラスミドpVIj−SEAP(図5A)はSalucciら,Gene Therapy 9:1415−1421(2002)及びRizzutoら,Human Gene Therapy 11:1891−1900(2000)に記載されている。pVIj−SEAP−EcoRVプラスミドのヌクレオチド配列(配列番号21)を図5Bに示す。プラスミドpBVIj−SEAPはMontgomeryら,DNA Cell Biol.12:777−783(1993))に記載されているpV1Jプラスミドから誘導した。複合プロモーターを含むレポーター遺伝子カセットを含む上記プラスミドで大腸菌を形質転換し、複合プロモーターを特定配置で各々含む複数のクローンを含む組換えライブラリーを作製した。ライブラリーのアリコートを寒天プレートにプレーティングし、コロニーを生成した。EcoRV部位を挟むPCRプライマーを使用してPCRにより数百個のコロニーをスクリーニングし、任意エンハンサーエレメント約5コピーを含むプラスミドを含むクローンを同定した(データは示さず)。HepG2細胞での機能試験用に百個を上回るクローンを選択した。
【実施例2】
【0103】
実施例1でライブラリーのコロニーから単離した各DNAクローンを下記のようにヒトPXRをコードするプラスミドDNAとHepG2細胞に別々にコトランスフェクトし、複合プロモーターの1個と機能的に連結したSEAPを各々発現する一過性トランスフェクトHepG2細胞を作製した。SEAP転写のPXR活性化のインデューサーとして10μMリファンピシンの存在下と不在下でSEAPの発現を測定した。
【0104】
2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10%ウシ胎仔血清を補充した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Life Technologies,Bethesda,Maryland)でヒト肝癌細胞株HepG2を増殖させた。1:5分割比で細胞を週2回継代した。アッセイのためにHepG2細胞を分割し、6ウェル組織培養プレートに播種した。播種の翌日、SEAPレポーター遺伝子と機能的に連結した従来技術のΔCYP3A4プロモーターを含むライブラリー又は参照レポータープラスミドpZDCVSΔCYP3A4/SEAP(ΔCYP3A4/SEAP)に由来するライブラリーレポータープラスミドDNA0.9μgとヒトPXR遺伝子をコードする核内受容体(NR)ドナープラスミドDNA(pSG5dATG−hPXR)0.1μgを製造業者(Life Technologies,Bethesda,Maryland)に推奨されているプロトコールに従ってLipofectamine及びPLUS Reagentに加えたDNA混合物をプレーティングした細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションから3時間後に10μMリファンピシンを加えた新鮮なDMEM−GMに各ウェルの培地を交換し、Tropix Phospha−Lightシステムキット(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用してSEAP発現アッセイを実施した。対照アッセイはNRドナープラスミド DNAを加えずにライブラリーレポータープラスミドDNA 0.9μgから構成した。
【0105】
参照レポータープラスミド(ΔCYP3A4/SEAP)の模式図を図7に示す。このプラスミドはpZDCSプラスミド(プラスミドpZDCSはBiotechnology institute of CanadaでYves Durocher博士により作製され、その構築についてはDurocherら,Anal.Biochem.284:316−326(2000)にも記載されている)において、dDR3及びdER6を含むCYP3A4プロモーターの−7839〜−7208の第1のDNAフラグメントと、pER6を含むCYP3A4プロモーターの−362〜+64の第2のDNAフラグメントから構成される複合プロモーターとSEAPをコードする1521bp核酸を機能的に連結したものである。SEAP遺伝子の下流に215bpウシ成長ホルモン(BGH)ポリA配列を配置した。プラスミドΔCYP3A4/SEAPは以下のように構築した。SEAP遺伝子をpSEAP−BASIC(Clontech,Palo Alto,CA)から取出し、pcDNA3(Invitrogen)に挿入した。次に、SEAp遺伝子を取出し、pZeoSV2(Invitrogen,San Diego,CA)にクローニングし、プラスミドpZeo/SEAPを作製した。SV40エンハンサー−プロモーター領域をpZeo/SEAPから除去し、プラスミドpZDCVSを作製した。次にプラスミドpZDCVSをHindIIIとNheIで消化し、NheI及びBglII部位に挟まれるCYP3A4プロモーターの第1のDNAフラグメント(ヌクレオチド−7839〜−7208)と、BglII及びHindIII部位に挟まれる第2のDNAフラグメント(CYP3A4プロモーターのヌクレオチド−362〜+64)を作製するように設計されたPCRプライマーを使用してヒトゲノムDNAからPCR増幅したCYP3A4ゲノムフラグメントを消化したpZDCVSのHindIII及びNheI部位間に挿入し、プラスミドΔCYP3A4/SEAPを作製した。ΔCYP3A4/SEAPに配置した同様のΔCYP3A4プロモーターもGoodwinらによりMolec.Pharma.56:1329−1339(1999)に記載されている。
【0106】
ヒトPXRをコードするNRドナープラスミドpSG5dATG−hPXRの模式図を図8Aに示す。このプラスミドはStratagene,La Jolla,CAから入手可能なpSG5プラスミドにおいて、439bp SV40プロモーターSV40起点と機能的に連結した573bp ヒトβ−グロビン第1イントロンと134bp SV40ポリアデニル化部位の間に位置するプラスミドの多重クローニング部位にATG開始コドンを欠失させたヒトPXR(hPXR)をコードする1335bp核酸を挿入したものである。ヒトPXRをコードするDNAはヒト胎児肝cDNAライブラリーからPCR増幅した。使用した5’PCRプライマーはヒトPXRの公開配列に示されるLeu開始コドンの代わりにATG開始コドンを加えた。ヒトPXRをコードするPCR DNA産物をTAクローニングベクター(Invitrogen)にクローニングした。TAクローニングベクターにより提供されるEcoRI部位に挟まれたヒトPXRをコードするDNAをEcoRIで消化することによりTAクローニングベクターから除去した。次にDNAフラグメントをプラスミドpSG5のEcoRI部位に挿入し、プラスミドpSG5dATG−hPXRを作製した。
【0107】
トランスフェクション実験を数回実施し、百個を上回る選択クローンを試験した。ΔCYP3A4プロモーターからのSEAPの転写誘導倍率は恐らく細胞の状態により多少変動する(2〜7倍)が、各種ライブラリークローンの複合プロモーターからのSEAPの転写誘導とΔCYP3A4プロモーターからの転写誘導の相対シグナル比は常に維持した。
【0108】
典型的なスクリーニングアッセイの結果を図9に示す。図面から明らかなように、参照プラスミドΔCYP3A4/SEAPからのSEAPの転写はリファンピシンの存在下で約6倍誘導されたが、ライブラリープラスミドのうちの数種からのSEAPの転写はより高レベルまで誘導された。例えば、ライブラリーからのクローン102−SEAPの複合プロモーターからのSEAPの転写誘導は一貫してΔCYP3A4プロモーターからのSEAPの転写誘導の約4〜5倍良好であり(夫々誘導倍率23倍と6倍)、著しく高い総SEAPシグナルが得られた。特筆すべき点として、ライブラリーからの所定のクローンをトランスフェクトした細胞におけるSEAPの発現はΔCYP3A4/SEAPをトランスフェクトした細胞からのSEAP発現よりも高レベルまで誘導された。例えば、クローン61のSEAP転写誘導率は約11倍であったが、総SEAPシグナルはΔCYP3A4/SEAPからのシグナルと同等以下であった。これらのクローンはヒトPXRの存在下でバックグラウンド発現が低く、リファンピシンに対する応答性が高かった。試験したクローンのうちで、クローン102−SEAPは誘導倍率と強力で堅牢なレポーター(SEAP)シグナルの両面でCYP3A4インデューサーリファンピシンに対して高い応答性を生じることが確認された。以上に基づき、各種化合物に対して更に分析するためにクローン102−SEAPを選択した。
【0109】
これらのクローンの複合プロモーターのうちの数種のもののエンハンサー又は結合部位配置を図6に示す。クローンの数種のもののエンハンサーの配置を図6に示す。図6に示すクローンのヌクレオチド配列は以下の通りである。
【0110】
最小CMVプロモーターの上流に挿入したPXR結合部位を含むクローン26−SEAPに由来するヌクレオチド配列は5’−TAGAATATGAACTCAAAGGAGGTCAGTGAGTTAGAATATGAACTCAAAGGAGGTCAGTGAGTCCCTTGAAATCATGTCGGTTCAAGCA−3’(配列番号14)である。図6に示す順に、前記配列は5’→3’方向に2個のprER6エレメントと1個のdER6エレメントを含む。
【0111】
最小CMVプロモーターの上流に挿入したPXR結合部位を含むクローン33−SEAPに由来するヌクレオチド配列は5’−TGCTTGAACCGACATGATTTCAAGGG AGAGGGTCAGCAAGTTCATTCTAGAATATGAACTCAAAGGAGGTCAGTGAGTGAATGAACTTGCTGACCCTCTGAATGAACTTGCTGACCCTCTACTCACTGACCTCCTTTGAGTTCATATTCTA−3’(配列番号15)である。図6に示す順に、前記配列は5’→3’方向にdER6エレメント、dDR3エレメント、prER6、2個のdDR3エレメント、及びprER6エレメントを含む。
【0112】
最小CMVプロモーターの上流に挿入したPXR結合部位を含むクローン61−SEAPに由来するヌクレオチド配列は5’−AGAGGGTCAGCAAGTTCATTCAGAGGGTCAGCAAGTTCATTCTGCTTGAACCGACATGATTTCAAGGGAGAGGGTCAGCAAGTTCATTCTAGAATATGAACTCAAAGGAGGTCAGTGAGTAGAGGGTCAGCAAGTTCATTC−3’(配列番号16)である。図6に示す順に、前記配列は5’→3’方向に2個のdDR3エレメント、dER6エレメント、dDR3エレメント、prE6エレメント、及びdDR3エレメントを含む。
【0113】
最小CMVプロモーターの上流に挿入したPXR結合部位を含むクローン71−SEAPに由来するヌクレオチド配列は5’−TGCTTGAACCGACATGATTTCAAGGGCCCTTGAAATCATGTCGGTTCAAGCAACTCACTGACCTCCTTTGAGTTCATATTCTACCCTTGAAATCATGTCGGTTCAAGCAAGAGGGTCAGCAAGTTCATTCTGCTTGAACCGACATGATTTCAAGGGTGCTTGAACCGACATGATTTCAAGGG AGAGGGTCAGCAAGTTCATTCACTCACTGACCTCCTTTGAGTTCATATTCTAGAATGAACTTGCTGACCCTCTACTCACTGACCTCCTTTGAGTTCATATTCTA−3’(配列番号17)である。図6に示す順に、前記配列は5’→3’方向に2個のdER6エレメント、prER6エレメント、dER6エレメント、dDR3エレメント、2個のdER6エレメント、dDR3エレメント、prER6エレメント、及びprER6エレメントを含む。
【0114】
最小CMVプロモーターの上流に挿入したPXR結合部位を含むクローン102−SEAPに由来するヌクレオチド配列は5’−AGAGGGTCAGCAAGTTCATTCTGCTTGAACCGACATGATTTCAAGGGAGAGGGTCAGCAAGTTCATTCGAATGAACTTGCTGACCCTCTGAATGAACTTGCTGACCCTCT−3’(配列番号18)である。図6に示す順に、前記配列は5’→3’方向にdDR3エレメント、dER6エレメント、及び2個のdDR3エレメントを含む。この配列はprER6エレメントを含まない。
【実施例3】
【0115】
クローン102−SEAP DNAをトランスフェクトしたHepG2細胞のCYP3A4インデューサー同定能を評価した。
【0116】
実施例2に記載したように増殖させたヒト肝癌細胞株HepG2を分割し、6ウェル組織培養プレートのウェルに播種した。播種の翌日、クローン102−SEAP DNA又はΔCYP3A4/SEAP DNA 0.9μgとpSG5dATG−hPXR DNA 0.1μgをLipofectamine及びPLUS Reagentに加えたDNA混合物をプレーティングした細胞にトランスフェクトした。対照アッセイはNRドナープラスミドを加えずにクローン102−SEAP DNA 0.9μgから構成した。
【0117】
トランスフェクションから3時間後に、200μMオメプラゾール、10μMアンドロスタノール、100μMコール酸、6μMクロトリマゾール、125nMハイパーフォリン、12.5μMロバスタチン、100μM p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル、1mMフェノバルビタール、10μMリファンピシン、又は10μM RU486を加えた新鮮なDMEM−GMに各ウェルの培地を交換した。細胞を37℃で48時間インキュベートした後にSEAPアッセイ用にウェルから培地を採取した。SEAP発現アッセイはTropix Phospha−Lightシステムキットを使用して実施した。
【0118】
結果を図10及び11に示す。図10は各種化合物によるSEAP転写の誘導倍率を示す。図11はリファンピシンによる誘導の百分率として表したSEAP転写の誘導倍率を示す。これらの化合物による転写誘導に対するクローン102−SEAPの応答はヒト肝細胞及びHepG2/CYP3A4誘導アッセイの両者で発表されている結果と一致した(Luoら,Drug Metab.Disp.30:795−804(2002);Mooreら,J.Biol.Chem.275:15122−15127(2002);Raucy,Drug.Metab.Disp.31:533−539(2003))。参照ΔCYP3A4/SEAPプラスミド(データは示さず)と比較すると、参照レポータープラスミドは同様に挙動するが、クローン102は一貫して著しく高いシグナルを発生することが判明した。
【0119】
prER6、dER6、dDR3エンハンサー部位は天然CYP3A4プロモーターで相互に異なる距離に位置し、dER6及びdDR3では転写開始部位の約8kb上流であるが、本実施例に示す結果によると、dER6及びdDR3の転写強化能は距離に依存せず、それらの機能的効果は付加的である。クローン、特にクローン102−SEAPにおける各種結合部位の分布と向きの効果を理由付けするのは非常に難しいが、dDR3のマルチマー化と恐らく右向きがリファンピシン及び他のPXRリガンドに対する強力な応答を付与するのに主要な役割を果たしていると予想することができる。これはdER6及びpER6に関するこの部位に対するヒトPXR/ヒトRXR複合体の高い親和性に一致する(Goodwinら,Mol.Pharmcol.56:1329−1339(1999))。PXRの結合部位のみを含む人工プロモーターの使用に関する1つの問題は天然CYP3A4プロモーターのほうがin vivoで得られる応答をより忠実に反映する応答を再現できるのではないかという点である。しかし、この疑問はhPXRの不在下でHepG2アッセイを実施すると、参照レポータープラスミドCYP3A4/SEAPもクローン102−SEAPもリファンピシンに応答しなかったという事実により容易に解決される。どちらのレポータープラスミドもhPXRのコトランスフェクションに厳密に依存した。
【0120】
特にクローン102−SEAPにより例示される複合プロモーターは非常に高いシグナルとCYP3A4インデューサーに対する高い応答性の利点を明白に提供する。参照レポータープラスミドCYP3A4/SEAPと比較すると、特にクローン102−SEAPにより例示される複合プロモーターは薬剤候補のin−vitro高スループットスクリーニングで使用するのに適しており、従来よりも著しく堅牢なアッセイが得られる。
【実施例4】
【0121】
CARは多数のPXR応答性遺伝子のプロモーターで同様の部位を認識する別の核内受容体であるため、ヒトCARを発現したプラスミドとのコトランスフェクションでクローン102−SEAP DNAをを試験した。
【0122】
ヒトCARをコードするNRドナープラスミドを以下のように作製した。ヒトCARはヒト肝mRNA調製物からRT−PCRにより作製した。使用したPCRプライマーは5’−GAAGC TTGTT CATGG CCAGT AGGGA AGATG AGC−3’(配列番号19)及び5’−TGGCC TCAGC TGCAG ATCTC CTGGA GC−3’(配列番号20)とした。RT−PCR条件は94℃で15秒、94℃で30秒後に68℃で3分を30サイクル、次いで68℃で3分間とし、4℃で保存した。RT−PCRから得られたヒトCAR(hCAR)をコードする1047bp核酸をpCR3.1(Invitrogen,La Jolla,CA)のTAクローニング部位に挿入し、プラスミドpCR3.1−hCAR(図8B)を作製した。596bp CMV極初期プロモーターによりhCARの発現を誘導した。
【0123】
実施例2に記載したように増殖させたヒト肝癌細胞株HepG2を分割し、6ウェル組織培養プレートのウェルに播種した。播種の翌日、クローン102−SEAP DNA又はΔCYP3A4/SEAP DNA0.9μgとDNA pCR3.1−hCAR 0.1μgをLipofectamine及びPLUS Reagentに加えたDNA混合物をプレーティングした細胞にトランスフェクトした。対照はヒトCARをコードするDNAを省略した。前の実施例のヒトPXRをコードするDNAから付加対照を構成した。
【0124】
トランスフェクションから3時間後に、200μMオメプラゾール、10μMアンドロスタノール、100μMコール酸、6μMクロトリマゾール、125nMハイパーフォリン、12.5μMロバスタチン、100μM p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル、1mMフェノバルビタール、10μMリファンピシン、又は10μM RU486を加えた新鮮なDMEM−GMに各ウェルの培地を交換した。細胞を37℃で48時間インキュベートした後にSEAPアッセイ用にウェルから培地を採取した。SEAP発現アッセイはTropix Phospha−Lightシステムキットを使用して実施した。
【0125】
実施例3の結果と対照的に、ヒトCARをコードするプラスミドをHepG2細胞にコトランスフェクションすると、添加化合物の不在下でΔCYP3A4プロモーターの転写活性化が生じた。図12(SEAP任意単位として表した結果)及び図13(ヒトCARにより誘導される転写の構成的活性化により得られる最大活性化の百分率として表した結果)に示すように、ヒトCAR DNAをクローン102−SEAP DNA又はΔCYP3A4/SEAP DNAとコトランスフェクションした結果、SEAP転写誘導率は夫々44.2倍と3.4倍になった。クローン102−SEAPの複合プロモーターからの転写誘導率のほうが著しく高いことから、複合プロモーターは核内受容体による活性化に対してΔCYP3A4プロモーターよりも高感度であることが確認される。
【0126】
in vitroでCARリプレッサーであることが既に知られているクロトリマゾールやオメプラゾール等の化合物はクローン102−SEAP複合プロモーターとΔCYP3A4プロモーターのどちらからの転写にも明白に阻害効果を示した。また、抗黄体ホルモン薬であるRU486はヒトCARの構成的活性化の阻害剤であることが判明した。Mooreら,J.Biol.Chem.275:15122−15127(2000)では、ヒトCARにより3.3倍のレポータープラスミドからの転写が誘導されたが、RU486はCV1細胞で阻害効果を示さなかった。所定の他の化合物(例えば、ハイパーフォリン、ロバスタチン、及びp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)については、クローン102−SEAPレポータープラスミドの複合プロモーターからの転写は影響を受けなかったが、ΔCYP3A4プロモーターからの転写の中等度阻害が観察された(図13)。
【0127】
コトランスフェクトしたヒトCARによるクローン102−SEAPの複合プロモーターからの転写の高い活性化はdDR3に対するヒトCAR/ヒトRXR複合体の高い親和性により説明することができる(Goodwinら,Mol.Pharmacol.62:359−365(2002))。特にクローン102−SEAPにより例示される複合プロモーターは非常に高いシグナルとCYP3A4インデューサーに対する高い応答性の利点を明白に提供する。参照レポータープラスミドCYP3A4/SEAPと比較すると、特にクローン102−SEAPにより例示される複合プロモーターは薬剤候補のin−vitro高スループットスクリーニングで使用するのに適しており、従来よりも著しく堅牢なアッセイが得られる。
【実施例5】
【0128】
本発明のレポーター遺伝子発現カセットを含む細胞株は以下のように作製することができる。
【0129】
2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10%ウシ胎仔血清を補充した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Life Technologies,Bethesda,Maryland)にヒト肝癌細胞株HepG2を保存する。細胞約2×10個を100mm組織培養皿に播種し、実施例1からの遺伝子発現カセットとネオマイシン耐性を付与する遺伝子を含むプラスミド1μgを製造業者(Life Technologies,Bethesda,Maryland)に推奨されているプロトコールに従ってLipofectamine及びPLUS Reagentに加え、トランスフェクトする。トランスフェクションから3時間後に培地を新鮮なDMEM−GMに交換する。24時間後に細胞を分割し、G418選択DMEM(1mg/mL G418)で培養する。コロニーが形成されるまで培地を3日おきに交換する。個々のコロニーを単離し、6ウェルプレートに播種する。細胞がコンフルエントまで増殖した後、Tropix Phospha−Lightシステムキットを使用して公知CYP3A4アクチベーターの存在下でそのSEAP発現能を判定する。
【実施例6】
【0130】
本実施例は複合プロモーターとhCAR又はhPXRをコードする発現ベクターを新鮮なラット肝細胞にコトランスフェクトすると、検体により活性化されたhPXRを介して誘導される発現から検体により活性化されたhCARを介して誘導されるCYP3A4発現を識別するアッセイが得られることを実証する。
【0131】
24ウェルプレートでラット初代肝細胞へのEFFECTENEトランスフェクション試薬(Qiagen,Cat.No.301425)のトランスフェクション及びコトランスフェクションを以下のように実施した。
【0132】
トランスフェクションの前日に潅流したラット肝から肝細胞を単離し、10%ウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミン及びITS+Premix(DB Biosciences,Cat.No.354352)を補充したWilliams E培地1mL中、BIOCOAT 24ウェル(Bectin Dickinson Cat.No.354408)に細胞1×10個/ウェルをプレーティングした。4時間後に、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミン及びITS+Premixを加えたWilliams E培地1mLに細胞培地を交換し、細胞を正常増殖条件下で一晩インキュベートした。
【0133】
翌日、レポータートランスフェクションの場合にはトランスフェクション毎にクローン102−SEAP 0.4μgをEFFECTENE試薬DNA−濃縮用緩衝液Buffer ECと総容量350μLまで試験管で混合した。次にエンハンサー3.2μLを加え、1秒間ボルテックスすることにより混合した。レポーター/核内受容体コトランスフェクションの場合には、トランスフェクション毎にクローン102−SEAP 0.3μgとhPXR(ATG)/pSGS又はpCR3.1−hCAR 0.1μgをEffectene試薬DNA−濃縮用緩衝液Buffer ECと総容量350μLまで試験管で混合した。対照トランスフェクションでは、クローン102−SEAP 0.3μgと0.1μgのpUC19をコトランスフェクトした。コトランスフェクション後にエンハンサー3.2μLを加え、1秒間ボルテックスすることにより混合した。トランスフェクション/コトランスフェクション混合物を室温で5分間インキュベートした。次に、混合物を数秒間遠心し、試験管の頂部から液滴を除去した。次に、各混合物にEffectene Transfection Reagent 5μLを加え、混合物を10秒間ボルテックスすることにより混合した。次に混合物を10分間室温でインキュベートし、トランスフェクション複合体を形成させた。
【0134】
一方、細胞を含む24ウェルプレートの各ウェルの増殖培地をウェルから捨て、ウェル内の細胞を増殖培地1mLで1回洗浄した。次に新鮮な増殖培地350μLを各ウェルに加え、増殖培地350μLをトランスフェクション複合体の各試験管に加えた後、混合し、すぐにウェル内の細胞に滴下した。プレートを穏和に旋回させ、トランスフェクション複合体を細胞に均質に分布させた。細胞を正常増殖条件下でトランスフェクション培地と共に6時間インキュベートした。その後、トランスフェクション複合体を含む培地を捨て、抗生物質、グルタミン、ITS、及び10μMリファンピシン、1μM CITCO(6−(4−クロロフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−5−カルボアルデヒドO−(3,4−ジクロロベンジル)オキシム)、1mMフェノバルビタール又はDMSO単独を加えたWilliams E培地1mLに交換した。細胞を48時間37℃でインキュベートした。培地を細胞から除去し、Tropix Phospha−Lightシステムキットを使用してSEAP活性をアッセイした。
【0135】
対照反応では、クローン102−SEAP DNAとpUC19 DNAを新鮮なラット肝細胞にトランスフェクトし、クローン102−SEAPがコトランスフェクトした核内受容体の不在下で内在ラットCAR又はPXRを動員する化合物に対して応答するか否か(SEAPシグナルを培地で測定できるか否か)を調べておいた。図14に示すように、試験した検体の存在下で誘導は観察されなかった。リファンピシンの場合には、リファンピシンはラットでCARのインデューサーではないので予想通りであったが、マウスCARのインデューサーであることが知られているフェノバルビタールにより応答は誘発されなかった。齧歯類におけるCITCOの誘導可能性は不明であると考えられている。ラットCARを誘導するTCPOBOP(1,4−ビス[2−(3,5−ジクロロピリジルオキシ)]ベンゼン)等の強力な公知CARインデューサーを使用し、安定したトランスフェクション効率レベルを確保する条件下で実験を繰返すならば、同様の結果が得られると予想される。従って、以上の結果はラット肝細胞におけるクローン102−SEAPのバックグラウンド発現が無意味なまでに低かったことを示す。
【0136】
クローン102−SEAP DNAとhCAR又はhPXRをコードするDNAをラット肝細胞にコトランスフェクトすると、公知CAR又はPXRインデューサーの存在下でレポーター遺伝子発現の活性化の有意誘導が認められ、誘導は受容体に特異的であった。図14に示すように、リファンピシンはhCARを介する発現を誘導せずにhPXRを介する約2.6倍の発現を誘導し、フェノバルビタールはhCARを介する約4倍の発現とhPXRを介する約3.4倍の発現を誘導し、CITCOはhPXRを介する発現を誘導せずにhCARを介する約4.2倍の発現を誘導した。この結果、コトランスフェクションプロトコールは有効であり、クローン102−SEAPは検体とトランスフェクトしたhCAR又はhPXRの相互作用のみにより誘導されることが分かる。PXRインデューサーとhCAR又はCARインデューサーとhPXRの間に明白な交差反応性は認められなかった。更に、hCARはヒト肝で調節されるので、ラット肝細胞で調節されると思われる。即ち、大半の細胞株と異なり、コトランスフェクトしたラット肝細胞では、hCARは構成的に活性化されず、誘導的である。これはヒト肝、HepG2、及びラット肝細胞におけるhPXRの誘導能と同様である。以上の結果は肝細胞の状態、従ってトランスフェクション効率に強く依存したが、クローン102−SEAP DNAとヒトCAR又はPXRをコードする発現ベクターをコトランスフェクトしたラット肝細胞はCAR又はPXR又は両者を活性化する検体を識別する高感度アッセイとなることが実証された。
【0137】
以上の結果から、クローン102−SEAPの複合プロモーターと同等以上の強度をもつ複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子とhCARをコードする遺伝子発現カセットをコトランスフェクトしたラット肝細胞は、hCAR活性を誘導する可能性のみについて検体を試験するための手段となることが明らかである。以上の結果から更に、上記のような複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子とhPXRをコードする遺伝子発現カセットをコトランスフェクトしたラット肝細胞は、hPXR活性を誘導する可能性のみについて検体を試験するための手段となることも明らかである。
【実施例7】
【0138】
本実施例では、実施例6の方法を使用してクローン102−SEAP DNAを新鮮なヒト肝細胞にトランスフェクトした。DMSO又は10μMリファンピシン、5μMクロトリマゾール、10μM TPP、250μM CITCO、もしくは50μMアルテミシニンを加えた培地中、トランスフェクトした細胞を約48時間37℃でインキュベートした後にTropix Phospha−Lightシステムキットを使用してSEAP活性をアッセイした。結果を図15に示し、全5個の検体がレポーター遺伝子の発現のインデューサーであることが明らかである。
【0139】
これらの結果から明らかなように、クローン102−SEAP DNAはヒト肝細胞にトランスフェクトすることができ、検体がCAR又はPXRを介してCYP3A4活性を誘導する能力を評価するために使用することができる。本実施例から明らかなように、クローン102−SEAP又はクローン102−SEAPの複合プロモーターと同等以上の強度の複合プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子のみをトランスフェクトした新鮮なヒト肝細胞を使用してCAR又はPXRを介するCYP3A4活性をアッセイすると、PXR又はCARをコードする第2のベクターとレポーターをコトランスフェクトする必要がある従来技術のアッセイよりも改善される。
【実施例8】
【0140】
本実施例は多重ウェルフォーマットで実施される本発明のアッセイで使用するためにHepG2細胞にトランスフェクトする効率的で迅速な方法について記載する。この方法の利点は液内バッチトランスフェクションであるため、細胞を懸濁状態でトランスフェクトした後に多重ウェルプレートのウェルにプレーティングできるという点である。この方法は、各ウェルで別々にトランスフェクトする方法(非常に煩瑣で1個以上の96プレートで再現不能)及び大型(例えば15cm又はフラスコ)組織培養皿でトランスフェクトし、トランスフェクトした細胞を分割し、適切な寸法の容器(例えば96ウェル組織培養プレート)に再プレーティングする方法という時間がかかる低効率の2つの代替方法に比較して改善される。
【0141】
HepG2細胞を組織培養皿で約80%コンフルエントまで増殖させる。培地を捨て、細胞をPBSで洗浄する。細胞をトリプシン−EDTA溶液でトリプシン処理する。細胞が分離し始めたら完全DMEMを細胞に加えてトリプシンをブロックし、細胞を遠心管に移す。細胞を1200rpmで約3〜5分間遠心する。上清フラクションを捨て、回収される細胞の15cmプレート当たり約15〜20mLで細胞を培地に再懸濁する。適切な培地はHybridoma−SFM(GIBCO,Cat.No.12045−085)又はOpti−MEM(GIBCO,Cat.No.51985−026)であるが、Hybridoma−SFMが好ましい。再懸濁した細胞を1200rpmで約3〜5分間遠心し、回収される各15cmプレート当たり約15〜20mLで上記培地に再懸濁する。20mLシリンジ(1.2×40ゲージ)を使用し、細胞を約2回吸引排出することにより細胞塊を破砕する。細胞懸濁液をCell Strainer 70μm(Falcon Cat.No.35−2350)に通し、懸濁液を細胞約500,000個/mLまで希釈する。
【0142】
96ウェルプレート用のトランスフェクション複合体の作製は以下の通りである。この方法は他の多重ウェルフォーマットにも適応させることができる。(クローン102−SEAP DNA又は別の複合プロモーターもしくは天然プロモーターと機能的に連結したレポーター遺伝子)4.5μgとhPXR(ATG)/pSGS 0.5μgをHybridoma−SFM 500μLに加えることにより第1の混合物MixAを調製する。次にPLUS Reagent(Life Technologies,cat.# 11514−015)30μLを加え、混合物を15分間室温でインキュベートする。
【0143】
Lipofectamine(Life Technologies,Cat.No.18324−020)20μLをHybridoma−SFM 500μLに加えることにより第2の混合物MixBを調製する。
【0144】
15mLポリプロピレンFalcon試験管でMixAとMixBを合わせた後、約500,000個/mLの細胞4mLを加え、トランスフェクション混合物を調製する。トランスフェクション混合物を穏和に混合した後、15分間室温でインキュベートする。周期的に試験管を転倒させて細胞を懸濁状態に保つ。
【0145】
その後、各ウェルにトランスフェクション混合物の50μLアリコートを加える。この結果、細胞約20,000/ウェルとなる。細胞を少なくとも3時間37℃でインキュベートし、細胞を接着させ、トランスフェクションを進行させる。約3時間後にトランスフェクション混合物を取出し、DMSO又は検体を添加するか又は添加しないDMEM−GM培地100μLと交換する。37℃で48時間後に培地を取出し、hPXR活性の誘導をアッセイする。
【0146】
本明細書では図例態様を参照して本発明を記載するが、当然のことながら本発明はこれらの態様に限定されない。当分野に通常の知識をもつ者が本明細書の教示に接するならば、付加変形及び態様も発明の範囲内に含まれることを認識しよう。従って、本発明は特許請求の範囲のみに限定される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】ヒトPXRとSEAPレポーター遺伝子に機能的に連結した従来技術のΔCYP3A4プロモーターから構成されるプラスミドをトランスフェクトしたHepG2細胞を使用する従来技術のCYP3A4誘導アッセイを示す模式図である。
【図2A】図2AはSEAPレポーター遺伝子と機能的に連結した従来技術のΔCYP3A4プロモーターの模式図である。ヒトPXR又はCAR結合部位dDR3、dER6及びpER6の位置を示す。
【図2B】図2BはヒトPXR又はCAR誘導に対して応答性の複合プロモーターを作製するためのストラテジーの模式図である。
【図3A】図3AはpER6フォワード鎖(配列番号2)と相補鎖(配列番号3)を含む2本鎖オリゴマーのヌクレオチド配列を示す。塩基番号はヒトCYP3Aプロモーター領域を表す。
【図3B】図3BはdER6フォワード鎖(配列番号5)と相補鎖(配列番号6)を含む2本鎖オリゴマーのヌクレオチド配列を示す。塩基番号はヒトCYP3Aプロモーター領域を表す。
【図3C】図3CはdDR6フォワード鎖(配列番号8)と相補鎖(配列番号9)を含む2本鎖オリゴマーのヌクレオチド配列を示す。塩基番号はヒトCYP3Aプロモーター領域を表す。
【図4A】図4Aはクローン102エンハンサーとCMV最小プロモーターを含む複合プロモーターに機能的に連結したSEAPレポーター遺伝子を含むSEAPレポーター遺伝子発現カセットを含むクローン102−SEAP(プラスミドpVIj−SEAP−polyEcoRV−#102)の模式図である。
【図4B】図4Bはクローン102−SEAPレポーター遺伝子カセットの模式図である。
【図4C】図4Cは図4Bに示すレポーター遺伝子カセットのヌクレオチド配列(配列番号22)を示す。クローン102エンハンサーは大文字で表し、CMV最小プロモーターは下線で表し、SEAPレポーター遺伝子は斜体で表す。
【図5A】図5AはプラスミドpVIj−SEAP−polyEcoRVの模式図である。
【図5B】図5BはpVIj−SEAP−polyEcoRVのヌクレオチド配列(配列番号21)を示す。EcoRV制限酵素部位に対応するヌクレオチド配列を下線で示す。
【図5C】5CはpVIj−SEAP−polyEcoRVのヌクレオチド配列(配列番号21)を示す。EcoRV制限酵素部位に対応するヌクレオチド配列を下線で示す。
【図6】本発明の複合プロモーターの数種のものの複合エンハンサーにおけるdDR3、dER6、及びpER6エンハンサーエレメントの位置と分布を示す模式図である。エレメントの向きは矢印で示す。各クローンを含むエンハンサーエレメントについて、右向きの矢印はエンハンサーエレメントが天然の向きであることを示し、左向きの矢印は天然以外の向きであることを示す。dDR3は白い矢印で示し、dER6は黒い矢印で示し、prER6は斜線の矢印で示す。
【図7】プラスミドpZDCVS−ΔCYP3A4/SEAPの模式図である。
【図8A】図8AはプラスミドpSG5−dATG−hPXRの模式図である。
【図8B】図8BはプラスミドpCR3.1−hCARの模式図である。
【図9】ヒトPXRをコードする核内受容体(NR)ドナープラスミドの存在下で複合プロモーターライブラリーに由来するクローン3、21、26、33、58、61、70、71、及び102をHepG2細胞にコトランスフェクトし、10mMリファンピシンの存在下と不在下でSEAP転写誘導能について試験したアッセイの結果を示す。陽性対照としてレポータープラスミドΔCYP3A4/SEAPを加えた。陰性対照はNRドナープラスミドを省略した。SEAPの発現をSEAP任意単位として報告する。棒線の上の数字はリファンピシンの存在下又は不在下におけるプロモーターからの転写誘導倍率を表す。
【図10】ヒトPXRをコードするNRドナーDNAの存在下で各種インデューサーの存在下と不在下におけるクローン102−SEAPの複合プロモーターの誘導能について試験したアッセイの結果を示す。陰性対照はNRドナープラスミドを省略した。SEAPの発現を任意SEAP単位として報告する。棒線の上の数字は指定化合物の存在下又は不在下におけるクローン102−SEAP複合プロモーターからの転写誘導倍率を表す。
【図11】ヒトPXRをコードするNRドナーDNAの存在下で各種インデューサーの存在下と不在下におけるライブラリークローン102−SEAPの複合プロモーターの誘導能について試験したアッセイの結果を示す。陰性対照はNRドナープラスミドを省略した。リファンピシンによる転写誘導率を100%とし、その百分率としてSEAPの発現を報告する。棒線の上の数字はリファンピシンによる誘導率に比較した指定化合物の存在下又は不在下におけるクローン102−SEAP複合プロモーターからの転写誘導倍率を表す。ΔCYP3A4/SEAPにおけるΔCYP3A4プロモーターの誘導能と比較して結果を示す。
【図12】ヒトCARをコードするNRドナーDNAの存在下で各種インデューサーの存在下と不在下におけるクローン102−SEAPの複合プロモーターの誘導能について試験したアッセイの結果を示す。陰性対照はNRドナープラスミドを省略した。SEAPの発現を任意SEAP単位として報告する。棒線の上の数字は指定化合物の存在下又は不在下におけるクローン102−SEAP複合プロモーターからの転写誘導倍率を表す。陽性対照としてΔCYP3A4/SEAPを加えた。
【図13】ヒトCARをコードするNRドナーDNAの存在下で各種インデューサーの存在下と不在下におけるクローン102−SEAPの複合プロモーターの誘導能について試験したアッセイの結果を示す。陰性対照はNRドナープラスミドを省略した。リファンピシンによる転写誘導率を100%とし、その百分率としてSEAPの発現を報告する。棒線の上の数字はリファンピシンによる誘導率に比較した指定化合物の存在下又は不在下におけるクローン102−SEAP複合プロモーターからの転写誘導倍率を表す。ΔCYP3A4/SEAPにおけるΔCYP3A4プロモーターの誘導能と比較して結果を示す。
【図14】初代ラット肝細胞が肝細胞単独にトランスフェクトした場合にクローン102−SEAPからの転写を活性化した内在PXR又はCAR活性を含まないことを示す。図から明らかなように、CARをコードする遺伝子カセットとクローン102−SEAP DNAを肝細胞にコトランスフェクトした場合には、CARアクチベーターのみがクローン102−SEAPから転写を誘導することができた。同様に図から明らかなように、PXRをコードする遺伝子カセットとクローン102−SEAP DNAを肝細胞にコトランスフェクトした場合には、PXRアクチベーターのみがクローン102−SEAPから転写を誘導することができた。SEAP任意単位として結果を表す。
【図15】クローン102−SEAPをトランスフェクトした初代ヒト肝細胞がPXR又はCARを介するCYP3A4のインデューサーを検出できることを示す。SEAP任意単位として結果を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法であって、
(a)レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む核酸を含む細胞を提供する段階と;
(b)検体を含む培地で細胞をインキュベートする段階と;
(c)レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む前記方法。
【請求項2】
PXR結合部位がdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
dDR3が配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6が配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6が配列番号1のヌクレオチド配列を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
核酸が少なくとも1個のdER6結合部位と少なくとも1個のdDR3結合部位を含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
細胞が内在PXRを発現する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
細胞が内在RXRを発現する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
細胞がHepG2である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
レポーターが分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位が配列番号18のヌクレオチド配列を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む核酸を含む複合プロモーター。
【請求項11】
2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位が配列番号18のヌクレオチド配列を含む請求項10に記載の複合プロモーター。
【請求項12】
レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む核酸を含むレポーター遺伝子発現カセット。
【請求項13】
レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む核酸を含む細胞。
【請求項14】
検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法であって、
(a)好ましくは第1の核酸の非存在下でPXRにより誘導不能であり、レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む核酸を含む細胞を提供する段階と;
(b)検体を含む培地で細胞をインキュベートする段階と;
(c)レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む前記方法。
【請求項15】
検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法であって、
(a)レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む第1の核酸と、PXRをコードする第2の核酸を含む細胞を提供する段階と;
(b)検体を含む培地で細胞をインキュベートする段階と;
(c)レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む前記方法。
【請求項16】
(a)レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む第1の核酸を含む第1の容器と;場合により、
(b)PXRをコードし、異種プロモーターと機能的に連結した第2の核酸を含む第2の容器を含むキット。
【請求項17】
更にレポーター遺伝子の発現を測定するための試薬を含む請求項16に記載のキット。
【請求項18】
更に核酸を細胞にトランスフェクトするための試薬を含む請求項16又は17に記載のキット。
【請求項19】
検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法であって、
(a)レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む第1の核酸と、PXRをコードする第2の核酸を含む初代培養肝細胞を提供する段階と;
(b)検体を含む培地で培養液をインキュベートする段階と;
(c)レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む前記方法。
【請求項20】
検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法であって、
(a)レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む第1の核酸と、構成的アンドロゲン受容体(CAR)をコードする第2の核酸を含む初代培養肝細胞を提供する段階と;
(b)検体を含む培地で培養液をインキュベートする段階と;
(c)レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む前記方法。
【請求項21】
検体が構成的アンドロゲン受容体(CAR)の活性化によりCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法であって、
(a)レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む第1の核酸と、CARをコードする第2の核酸を含む初代培養肝細胞を提供する段階と;
(b)検体を含む培地で培養液をインキュベートする段階と;
(c)レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCARの活性化によりCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む前記方法。
【請求項22】
検体がプレグナンX受容体(PXR)又は構成的アンドロゲン受容体(CAR)の活性化によりCYP3A4の発現を誘導するか否かを判定する方法であって、
(a)レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位を含む第1の核酸とPXRをコードする第2の核酸を含む初代培養肝細胞と、第1の核酸とCARをコードする第3の核酸を含む第2の初代培養肝細胞を提供する段階と;
(b)検体を含む培地で各培養液をインキュベートする段階と;
(c)レポーター遺伝子の発現を測定し、第1の培養液では検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加するが、第2の培養液では増加しないならば、検体はPXRの活性化によりCYP3A4の発現を誘導できると判断し、第2の培養液では検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加するが、第1の培養液では増加しないならば、検体はCARの活性化によりCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む前記方法。
【請求項23】
肝細胞がラット、マウス、及びヒト肝細胞から構成される群から選択される請求項19、20、21、又は22に記載の方法。
【請求項24】
肝細胞がラット肝細胞である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
PXR結合部位がdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される請求項19、20、21、又は22に記載の方法。
【請求項26】
dDR3が配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6が配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6が配列番号1のヌクレオチド配列を含む請求項19、20、21、又は22に記載の方法。
【請求項27】
2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位が配列番号18のヌクレオチド配列を含む請求項19、20、21、又は22に記載の方法。
【請求項28】
検体がCYP3A4の発現を誘導することができるか否かを判定する方法であって、
(a)レポーター遺伝子と機能的に連結した異種プロモーターと機能的に連結した2個以上のタンデムに配置されたプレグナンX受容体(PXR)結合部位を含む核酸を含む初代培養肝細胞を提供する段階と;
(b)検体を含む培地で培養液をインキュベートする段階と;
(c)レポーター遺伝子の発現を測定し、検体の存在下でレポーター遺伝子の発現が増加したならば、検体はCYP3A4の発現を誘導できると判断する段階を含む前記方法。
【請求項29】
PXR結合部位がdDR3、dER6、及びpER6から構成される群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
dDR3が配列番号4のヌクレオチド配列を含み、dER6が配列番号7のヌクレオチド配列を含み、pER6が配列番号1のヌクレオチド配列を含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
dDR3が配列番号5のヌクレオチド配列を含み、dER6が配列番号8のヌクレオチド配列を含み、pER6が配列番号2のヌクレオチド配列を含む請求項28に記載の方法。
【請求項32】
dDR3が配列番号11のヌクレオチド配列を含み、dER6が配列番号12のヌクレオチド配列を含み、pER6が配列番号10のヌクレオチド配列を含む請求項28に記載の方法。
【請求項33】
2個以上のタンデムに配置されたPXR結合部位が配列番号18のヌクレオチド配列を含む請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−510457(P2008−510457A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526376(P2007−526376)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008864
【国際公開番号】WO2006/018270
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】