説明

チャック付き袋

【課題】収容物の形態がいかようなものでも、収容物を必要な量だけ簡単確実に取出すことができるチャック付き袋を提供する。
【解決手段】正面部2と背面部3を備えた筒状に形成された袋本体5の前記背面部3に、両端のシール部分6、6に達する長さを有する収容物の出し入れ口7と、この出し入れ口7を開閉するチャック8を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、袋本体の背面部に収容物の出し入れ口を設け、この出し入れ口をチャックで開閉することができるようにし、収容物の出し入れが容易で防湿保存に適したチャック付き袋に関する。
【背景技術】
【0002】
湿気を嫌う商品の包装用袋として、従来から用いられている一般的なチャック付き袋は、防湿性の樹脂シートを用いて筒状に形成された袋本体の上部にチャックを設け、上端部をシール部分とすると共に、収容物の充填後に下端をシール部分とした構造を有し、上端部のシール部分を切断除去し、出し入れ口となるチャックを開くことで、収容物の出し入れを行い、チャックを閉じることで収容物を防湿保存するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−18819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来のチャック付き袋は、袋本体の上端にチャックを設けた構造になっているため、例えば、収容物が茶葉のような場合、その取出しには上端の開口から袋の内部に手を差し込んでつまみ出すことになるが、内容物の減量と共に袋の内部に対して手を深く差し込まなければならず、内容物の取り出し作業が面倒になる。
【0005】
また、収容物の取出し方法として、袋の上端を開口させた状態で袋を傾け、収容物を滑り出させるようにすることもできるが、このような方法は、どうしても取出し量に過不足が生じやすいものである。
【0006】
更に、収容物がスパゲティのような長いものである場合、上記のように袋を傾けて取出すことになるが、全てのスパゲティが同時に滑り出すことになるので必要量の取出しが難しいという問題がある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、収容物の形態がいかような場合でも、収容物を必要な量だけ簡単確実に取出すことができるチャック付き袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するため、この発明は、正面部と背面部を備えた筒状に形成された袋本体の両端をシール部分で封止する袋であって、前記背面部に、両端のシール部分に達する長さを有する収容物の出し入れ口と、この出し入れ口を開閉するチャックを設けたものである。
【0009】
上記袋本体の背面部は、幅方向の中央部で両側に分離された一対の背面部半体で形成され、両背面部半体の分離された端縁間が収容物の出し入れ口となり、前記両背面部半体の分離された端縁にそれぞれ外方に屈曲する合掌片を連ねて設け、両合掌片の対向面間の途中にチャックを設け、この両合掌片の外端部をシール部分で封止した構造とすることができる。
【0010】
上記袋本体が、正面部と背面部間の両側に、内側に向けて折り込まれた左右の側面部を有するガゼット袋に形成されているようにすることができる。
【0011】
ここで、上記袋本体は、防湿性と熱可塑性を有する樹脂シートを用い、この樹脂シートが、正面部と一対の背面部半体、左右の側面部、両合掌片を形成できる幅を有し、前記樹脂シートを各部及び片に折り曲げて扁平な袋本体とした折り畳み状態で長さ方向に走行させ、この走行途中で対向させた両合掌片間に雄チャックテープと雌チャックテープからなるチャックを供給して溶着すると共に、雄チャックテープと雌チャックテープをかみ合わせた状態で両合掌片の外端部をシール部分で封止し、この後、樹脂シートを所定の長さに切断し、その一方端部をシール部で閉じることによってチャック付き袋となる。
【0012】
上記チャック付き袋は、袋本体の内部に商品を充填した後、他方端部をシール部で閉じることで包装状態となり、このチャック付き袋は、背面部において、両背面部半体間が長さ方向の全長にわたる出し入れ口となり、その外側に連成した両合掌片の外端部を封止するシール部分を切断除去すれば、チャックによって出し入れ口の開閉が可能になり、背面部から収容物を取出すことができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、袋本体の背面部に出し入れ口とこれを開閉するチャックを設けたので、背面部から収容物の出し入れが可能になり、収容物の量に関係なく収容物を必要な量だけつまみ出すことができ、袋の内部に対して手を深く差し込んだり、袋を傾けて滑り出させるような必要がないので、収容物の取り出し作業が円滑に行える。
【0014】
また、出し入れ口とこれを開閉するチャックを背面部の両端に達するように設けることにより、出し入れ口の開口長さを最大限に設定でき、長さのある収容物の取り出しが支障なく行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明に係るチャック付き袋の商品充填前の背面側から見た姿を示す斜視図
【図2】この発明に係るチャック付き袋の両端をシール部で封止した背面側から見た状態の姿を示す斜視図
【図3】(a)はこの発明に係るチャック付き袋の一方端部を拡大した背面図、(b)は(a)の矢印b−bでのチャック付き袋を拡大した横断面図、(c)は出し入れ口と両合掌片及びチャック部分の拡大図
【図4】この発明に係るチャック付き袋に商品を充填した背面側から見た状態の姿を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図示のように、この発明のチャック付き袋1は、防湿性と熱可塑性を有する樹脂シートを用い、正面部2と背面部3及び正面部2と背面部3間の両側に、内側に向けて折り込まれた左右の側面部4、4を有する筒状に形成された袋本体5の両端をシール部分6、6で封止する袋であって、前記背面部3に、両端のシール部分6、6に達する長さを有する収容物出し入れ口7と、この出し入れ口7を開閉するチャック8を設け、収容物を背面部3で出し入れできる構造になっている。
【0018】
上記袋本体5の背面部3は、例えば、袋本体5における幅方向の中央部で両側に分離された一対の背面部半体3a、3bで形成され、両背面部半体3a、3bの分離された端縁間が収容物の出し入れ口7となり、前記両背面部半体3a、3bの分離された端縁にそれぞれ外方に屈曲する合掌片9、9を連ねて設け、両合掌片9、9の対向面間の途中にチャック8を合掌片9、9の長さ方向の全長にわたって設け、この両合掌片9、9の外端部がシール部分10で封止され、前記チャック8とシール部分10の間が開封のために切断する非溶着部11となっている。
【0019】
この非溶着部11には、図3(a)のように、切断位置を指示するミシン目のような切断表示12を合掌片9、9の長さ方向に沿って施し、合掌片9、9の端部において、切断を誘導するノッチ13を設けるようにすることができる。
【0020】
図3(b)と(c)のように、上記チャック8は、雄チャックテープ8aと雌チャックテープ8bの組み合わせからなり、雄チャックテープ8aは一方合掌片9の内面に、また、雌チャックテープ8bは他方合掌片9の内面にそれぞれ溶着し、噛み合わせ状態で出し入れ口7を密閉し、噛み合わせを解くことで出し入れ口7を開くことができるようになっている。
【0021】
なお、袋本体5の背面部3に対して上記合掌片9、9を設ける位置は、図示のような袋本体5の幅方向の中央だけでなく、何れか一方の側縁に接近した偏り位置に設けるようにしてもよく、また、合掌片9、9の折れ曲がり方向の突出長さは、図示のような短いものから長いものまで任意に設定することができ、更に、チャック付き袋1の大きさは、収納せんとする製品の形態や量に合わせて長さと幅を任意に設定することができ、また、図示の場合、チャック付き袋1は、正面部2と背面部3間の両側に、内側に向けて折り込まれた左右の側面部4、4を有するガゼット袋を示したが、これに限定されるものではなく、正面部と背面部からなる筒状の扁平袋であってもよい。
【0022】
この発明のチャック付き袋1は、上記のような構成であり、袋を製造するには、例えば、既存の合掌袋製造装置を用い、チャック付き袋1の正面部2と一対の背面部半体3a、3b、左右の側面部4、4、両合掌片9、9を形成できる幅を有する樹脂シートを前記合掌袋製造装置に供給する。
【0023】
上記樹脂シートを、正面部2と一対の背面部半体3a、3b、左右の側面部4、4、センター位置で両合掌片9、9に折り曲げて扁平な袋本体5とした折り畳み状態で長さ方向に走行させ、この走行途中で対向させた一方合掌片9を一方側に倒して両合掌片9、9間にチャック8を供給し、表側となる他方合掌片9と一方チャックテープを合掌袋製造装置に設けられているセンターシールで連続的に溶着し、この後、両合掌片9、9を反対側に倒すことで一方合掌片9を他方チャックテープに被せ、裏側となる一方合掌片9を合掌袋製造装置に設けられているサイドシールで他方チャックテープを溶着し、袋本体5を形成する。
【0024】
この後、袋本体5を所定の長さに切断すると共に、一方の切断端部をシール部6で封止すれば、図1に示すように、他方の切断端部が開放した袋本体5が完成する。なお、切断端部のシール部6は、図3(a)のように、両合掌片9、9の端部にも連続して施され、熱可塑性樹脂を用いたチャック8の端部を押し潰すようになっている。
【0025】
上記した袋本体5には、開口する他方の切断端部から内部に商品を挿入し、その後、この他方の切断端部をシール部で封止すれば、図4のような包装形態となる。
【0026】
このように、袋本体5に対する商品の充填が他方の切断端部から行えることにより、袋本体5に対して商品の自動充填が可能になる。なお、図2は、チャック付き袋の構造を理解し易くするため、袋本体5を空にしたままで両切断端部にシール部6、6を施して封止した状態を示している。
【0027】
上記のように商品を充填したチャック付き袋1から収容物を取出すには、合掌片9、9のシール部10を非溶着部11での切断によって除去し、チャック8の噛み合わせを解いて出し入れ口7を開けばよく、チャック付き袋1の背面部3から収容物の取出しが行えることになる。
【0028】
上記チャック8と出し入れ口7は、チャック付き袋1の長さ方向の全長にわたって設けられているので、出し入れ口7を最大限に開くことができ、長さのある収容物であっても取り出しが支障なく行えることになる。
【0029】
また、収容物が茶葉のような細かいものやスパゲティのような長いもののように、その量や形態がいかようなものでも、関係なく収容物を必要な量だけつまみ出すことができ、袋の内部に対して手を深く差し込んだり、袋を傾けて滑り出させるような必要がないので、収容物の取り出し作業が円滑に行える。
【0030】
収容物の取出し後は、チャック8を噛み合わせて出し入れ口7を封止すれば、チャック付き袋1内に残った収容物を防湿状態で保存することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 チャック付き袋
2 正面部
3 背面部
3a、3b 背面部半体
4 側面部
5 袋本体
6 シール部分
7 収容物出し入れ口
8 チャック
9 合掌片
10 シール部分
11 非溶着部
12 切断表示
13 ノッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面部と背面部を備えた筒状に形成された袋本体の両端をシール部分で封止する袋であって、前記背面部に、両端のシール部分に達する長さを有する収容物の出し入れ口と、この出し入れ口を開閉するチャックを設けたチャック付き袋。
【請求項2】
上記袋本体の背面部は、幅方向の中央部で両側に分離された一対の背面部半体で形成され、両背面部半体の分離された端縁間が収容物の出し入れ口となり、前記両背面部半体の分離された端縁にそれぞれ外方に屈曲する合掌片を連ねて設け、両合掌片の対向面間の途中にチャックを設け、この両合掌片の外端部をシール部分で封止した請求項1に記載のチャック付き袋。
【請求項3】
上記袋本体が、正面部と背面部間の両側に、内側に向けて折り込まれた左右の側面部を有するガゼット袋に形成されている請求項1又は2に記載のチャック付き袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−116538(P2012−116538A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268498(P2010−268498)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(598108537)株式会社ミヤワキ (3)
【Fターム(参考)】