チュービング装置の施工管理システム
【課題】 施工状況の把握に有効な情報を画面表示するチュービング装置の施工管理システムを提供すること。
【解決手段】 モータ圧検出手段65,66、シリンダ圧検出手段67,68およびストローク検出手段69と、チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段51と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段55と、演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段54とを有し、演算処理手段が、計画深度までに予想される周面摩擦トルクおよび、ケーシングを実際に地盤へ回転圧入している場合の実回転トルクと実周面摩擦トルクを算出し、表示手段にケーシングの深度に対応させた予想される周面摩擦トルクのグラフと、実回転トルクと実周面摩擦トルクの各グラフを表示するようにしたチュービング装置の施工管理システム50。
【解決手段】 モータ圧検出手段65,66、シリンダ圧検出手段67,68およびストローク検出手段69と、チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段51と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段55と、演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段54とを有し、演算処理手段が、計画深度までに予想される周面摩擦トルクおよび、ケーシングを実際に地盤へ回転圧入している場合の実回転トルクと実周面摩擦トルクを算出し、表示手段にケーシングの深度に対応させた予想される周面摩擦トルクのグラフと、実回転トルクと実周面摩擦トルクの各グラフを表示するようにしたチュービング装置の施工管理システム50。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持したケーシングを地盤に回転圧入させ、またそうしたケーシングの引抜きを行うチュービング装置の操作を補助する施工管理システムに関し、特に計画深度までのケーシングの回転圧入に対する情報や計画深度で埋設するケーシングの引抜き情報を提供するようにしたチュービング装置の施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築、土木等の基礎工事では、例えば地中に円筒体のケーシングを押し込み、そうしたケーシング内の土砂を排出し、その中に鉄筋籠を建て込みコンクリートを打設するオールケーシング工法が採用されている。そうしたオールケーシング工法には、そのケーシングを所定の深さまで地盤の中に回転圧入させ、コンクリート打設後にはそのケーシングを引き抜くことを行うチュービング装置が使用される。
【0003】
そのチュービング装置は、ケーシングを地中に回転圧入させる場合、チャック機構によって把持したケーシングに対して油圧モータからなる回転駆動機構によって回転を与え、油圧シリンダからなるスラストシリンダによって、回転するケーシングをチャック機構及び回転駆動機構を備えたフレームごとワンストローク分下降させる。すなわち、スラストシリンダが伸びた状態でケーシングを把持し、収縮によってそのケーシングが回転しながら押し下げられる。こうした回転圧入は、スラストシリンダのワンストローク毎に掴み替えを繰り返えしながら行われる。
【0004】
一方、コンクリート打設後にそのケーシングを引き抜く場合には、回転圧入時とは逆にスラストシリンダが収縮した状態でケーシングを把持し、回転させながら或いは回転させずにスラストシリンダが伸びて引き抜きが行われる。引抜きの場合も回転圧入と同様に、スラストシリンダのワンストローク毎の掴み替えを繰り返しながら行われる。
【0005】
ところで、従来から作業状況を把握するため、チュービング装置に直接設けられた操作盤や、接続された管理装置等のディスプレイには油圧モータにかかる回転圧入時のトルクが表示される。そして、オペレータはその表示を確認しながら計画深度まで適切にケーシングを回転圧入することができるか否かを判断する。
ディスプレイに表示される回転トルクは、ケーシング下端に装着された掘削ビットで地盤を掘削する際の掘削トルクと、ケーシングの周面と地盤との摩擦で生じる周面摩擦トルクとの和である。従って、ディスプレイに表示される回転トルクからは、掘削トルクと周面摩擦トルクのそれぞれの値は分からない。周面摩擦トルクは、土質、排土状況、深度等の施工条件により変化し、予想した値より大きくなることもある。
【0006】
一方、スラストシリンダの圧力によって算出される引抜き力は、ケーシングの重量の他、ケーシングと共に上下するチュービング装置自身を構成するフレームやチャック機構などの機械重量、更にはケーシングが地盤との間に生じる周面摩擦抵抗の和である。そして、この引抜き力も同様に操作盤や管理装置等のディスプレイに表示され、それをオペレータが確認する。なお、周面摩擦抵抗は、施工が進むに従ってケーシングが継ぎ足されるためケーシング重量が増加し、土質、排土状況、深度等の施工条件により変化することがあり、予想した値よりも大きくなってしまうことがある。
【0007】
そこで、回転トルクや周面摩擦抵抗が予想以上に大きくなってしまうと、最悪の場合、チュービング装置の能力を超えてしまって掘削が不能になったり、引抜きが不能になる場合が想定される。従って、オールケーシング工法を行うに当たっては、オペレータが操作盤、管理装置等に表示される回転トルク或いは引抜き力の値を確認しながら操作し、それらの値が大きくなった場合には、掘削や引抜きに対して現時点の状況から今後に起こる状態を予想し、チュービング装置によるケーシングの押込み力の調整や、更にはこのまま進めるか、注水やポンピングによる土砂の取り込みが必要かなどの判定が行われていた。
【特許文献1】特開平11−173058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、そうした注水やポンピングによる土砂の取り込みの判定には経験と熟練した能力が必要であったため、ケーシングの回転圧入や引抜きを行うチュービング装置を誰もが現場の状況に合わせて容易に操作することはできなかった。
オペレータは、例えばオールケーシング工法を実行する場合には、施工前にチュービング装置の機械能力やボーリング調査によって得られた地質データ等から周面摩擦トルクや掘削トルク、周面摩擦抵抗などの予想に基づいた試算を行い、ケーシングの回転圧入や引抜きの可否を判断していた。
【0009】
そうした試算には深度や地質に合わせて煩雑な計算を立てる必要があり、計算の間違いなども考えられる。そして、例えば施工中にディスプレイに表示される回転トルクや引抜き力が大きく変化するような場合、オペレータは試算した計画値とその表示値とを比較検討することになる。しかし、計画値と表示値とを比較したり、深度を基準としたグラフなどを見て両方の変化の傾向から状況を判断し、チュービング装置を適切に操作したりすることは熟練した能力がなければ困難であった。
【0010】
よって、本発明は、かかる課題を解決すべく、施工状況の把握に有効な情報を画面表示するチュービング装置の施工管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、ケーシングを把持するチャック機構と、把持したケーシングを回転させる油圧モータを使用した回転駆動機構と、把持したケーシングを昇降させる油圧シリンダを使用した昇降機構とを備えたチュービング装置における施工状況を表示するものであって、前記油圧モータを回転させる作動油の圧力を検出するモータ圧検出手段、前記油圧シリンダを伸縮させる作動油の圧力を検出するシリンダ圧検出手段および、前記油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出手段と、前記チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段と、前記演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段とを有し、前記演算処理手段が、計画深度までに予想される周面摩擦トルクおよび、前記ケーシングを実際に地盤へ回転圧入している場合の実回転トルクと実周面摩擦トルクを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた予想される周面摩擦トルクのグラフと、実回転トルクと実周面摩擦トルクの各グラフを表示するようにしたものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、前記演算処理手段が、実回転トルクから実周面摩擦トルクの差を取った掘削トルクを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該掘削トルクを表示するようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、前記演算処理手段が前記掘削トルクTbから油圧シリンダによるケーシングを押し込む押込み力Fを除した値Tb/Fを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該Tb/Fを表示するようにしたものであることが好ましい。
【0013】
本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、ケーシングを把持するチャック機構と、把持したケーシングを回転させる油圧モータを使用した回転駆動機構と、把持したケーシングを昇降させる油圧シリンダを使用した昇降機構とを備えたチュービング装置における施工状況を表示するものであって、前記油圧モータを回転させる作動油の圧力を検出するモータ圧検出手段、前記油圧シリンダを伸縮させる作動油の圧力を検出するシリンダ圧検出手段および、前記油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出手段と、前記チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段と、前記演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段とを有し、前記演算処理手段が、ケーシングを引き抜くのに要する予定の摩擦力、チュービング装置の引抜き能力およびチュービング装置の実引抜き力を算出し、前記表示手段に計画深度までの予定引抜き力と引抜き能力の各グラフおよび、ケーシングの深度に対応させて実引抜き力のグラフを表示するようにしたものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、前記演算処理手段が、前記油圧シリンダによるシリンダ力および、ケーシングの摩擦力に前記チュービング装置の上廻り重量とケーシング重量とを加算した引抜き抵抗を算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該シリンダ力と引抜き抵抗とを表示するようにしたものであることが好ましい。
更に、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、前記表示装置には計画深度に対応して土質とN値を表示するようにしたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るチュービング装置の施工管理システムによれば、ケーシングをチュービング装置によって回転圧入させている施工中に、演算処理手段によって算出された予想の周面摩擦トルクと、ケーシングの回転圧入によって実際に掛かる実周面摩擦トルクの他に実回転トルクが表示されるので、実回転トルクと周面摩擦トルクの変化の傾向を比較することで、その後の見通しを立てることが容易にできる。その際、本発明では、実回転トルクから実周面摩擦トルクの差を取った掘削トルクを表示したり、前記実回転トルクTから油圧シリンダによるケーシングを押し込む押込み力Fを除した値T/Fを表示することで、より判断が容易になる。また、計画深度に対応して土質とN値を表示することで、更に判断が容易になる。
【0016】
また、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムによれば、例えばケーシングをチュービング装置によって回転圧入させている施工中に引抜き動作を行うことにより、演算処理手段によってケーシングを引き抜くのに要する予定引抜き力の他、チュービング装置の引抜き能力およびチュービング装置の実引抜き力を算出して表示手段に、計画深度までの予定引抜き力と引抜き能力の各グラフおよび、ケーシングの深度に対応させて実引抜き力のグラフを表示するようにしたので、計画深度までケーシングを回転圧入させた場合に、チュービング装置の引抜き能力の範囲内に収まるか否かの判断が容易にできる。
その際、油圧シリンダによるシリンダ力や引抜き抵抗を表示することで、より判断が容易になり、計画深度に対応して土質とN値を表示することで、更に判断が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムについて、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。先ず図1は、チュービング装置の一例を示した断面図である。
このチュービング装置10は、ベースフレーム11に4本のスラストジャッキ20が四隅に立設され、上下に配置された中間フレーム12及び昇降フレーム13が昇降可能に取り付けられている。スラストジャッキ20は、駆動手段として油圧シリンダ21が設けられており、その伸縮によってベースフレーム11に対し中間フレーム12と昇降フレーム13とが上下に移動するよう構成されている。
【0018】
中間フレーム12には油圧モータ22が設置され、その油圧モータ22からコーン25へと減速機26、ピニオンギヤ27及びアイドラギヤ28を介して回転を伝達する回転駆動機構が設けられている。コーン25は、中間フレーム12に対して回転自在に取り付けられ、その外周ギヤ29がアイドラギヤ28と噛み合っている。そして、そのコーン25とケーシング1との間にはまり込むように、チャック30が同一円周上に複数配置されている。チャック30は楔形をしており、ベアリング31とリンク32を介しいて昇降フレーム13に吊設され、ケーシング1とコーン25との間に差し込んだ状態でケーシング1を把持するチャック機構を構成している。
【0019】
中間フレーム12と昇降フレーム13との間にはチャックシリンダ35が連結されている。そのため、そのチャックシリンダ35を伸縮すると、昇降フレーム13に対して中間フレーム12が上下し、それによってチャック30がケーシング1とコーン25との間で抜き差しできるようになっている。従って、チュービング装置10に対してケーシング1が各フレーム11,12,13を貫通するようにして挿入された後、チャックシリンダ35が収縮して中間フレーム12が引き上げられると、コーン25の上昇によってチャック30がケーシング1との間に差し込まれ、ケーシング1が複数のチャック30によって中心方向に把持される。
【0020】
次いで油圧モータ22から回転が出力され、それが減速機26を介してコーン25に伝達されると、コーン25に高トルクの回転が与えられ、チャック30によって把持されたケーシング1が回転する。また、このときスラストジャッキ20によってワンストローク分の押込み動作が行われるが、これは内設された油圧シリンダ21の収縮によって行われる。従って、油圧シリンダ21が収縮すると、昇降フレーム13及び中間フレーム12が引き下げられ、把持したケーシング1が地中へと押し込まれる。そして、このケーシング1には油圧モータ22によって回転が与えられているので、油圧シリンダ21のワンストローク分の縮み動作によってその距離だけ地中へと回転圧入される。
【0021】
油圧シリンダ21によるワンストローク分の収縮による回転圧入が終了すると、チャック30によるケーシング1の掴み替えが行われる。それには、チャックシリンダ35が伸びて中間フレーム12が押し下げられ、同時にコーン25が下降してチャック30がケーシング1との間から抜き取られる。そして、油圧シリンダ21の伸張によってスラストジャッキ20を伸ばした後、ケーシング1の上方がチャック30によって掴み替えられ、再び同じように油圧モータ22の回転と油圧シリンダ21の収縮によって回転圧入が行われる。こうした回転圧入とチャック30による掴み替えが繰り返され、ケーシング1が所定の計画深度まで打ち込まれる。
【0022】
そして、ケーシング1内の土砂を排出して中に鉄筋籠を建て込んでコンクリートを打設した後、ケーシング1はチュービング装置10によって引き抜かれて回収される。
引き抜き時にも、チャックシリンダ35の収縮によりコーン32を上昇させてケーシング1の把持が行われる。そして、油圧シリンダ21が伸ばされて昇降フレーム13が上昇し、中間フレーム12もともに上昇するのでケーシング1がチャック41に把持状態で油圧シリンダ21の伸び分だけ引き抜かれる。この場合も油圧シリンダ21のワンストローク分の伸縮によって掴み替えが繰り返されてケーシング全体が引き抜かれる。
【0023】
続いて図2は、チュービング装置の施工管理システムの一例についてその主要部を示すブロック図であり、特に施工管理システムがチュービング装置に組み込まれている構成を示している。この施工管理システム50は、チュービング装置の各動作を制御するものであり、各種信号に基づいて油圧シリンダ21やチャックシリンダ35の伸縮および、油圧モータ22のトルク切替(高、中、低)を行うものである。施工管理システム50には、演算処理を行うためのCPUやメモリを備える演算処理装置51が設けられており、その演算処理装置51には、以下に示す施工情報を表示するためのプログラムが記憶されており、入力される各種データに基づいて画面表示するよう構成されている。
【0024】
そして、演算処理装置51には入出力インターフェイス52が接続され、その入出力インターフェイス52を介して各種スイッチが接続されている。すなわち、演算処理装置51には、チャックシリンダ35への作動油の供給を操作する操作バルブを切り替えるためのスイッチ61、油圧シリンダ21への作動油の供給を操作する操作バルブを切り替えるためのスイッチ62、そして油圧モータ22への作動油の供給を操作する操作バルブを切り替えるためのスイッチ63が接続されている。
【0025】
ところで、ケーシング1を回転させる油圧モータ22には、右回転(圧入時の回転)の作動油圧力を検出する右回転圧センサ65と、左回転(引抜き時の回転)の作動油圧力を検出する左回転圧センサ66とが設けられている。また、ケーシング1を押込み又は引き抜く油圧シリンダ21には、ケーシング1を圧入する収縮時の作動油圧力を検出する押込み圧センサ67と、ケーシング1を引き抜く伸張時の作動油圧力を検出する引抜き圧センサ68とが設けられている。更に、油圧シリンダ21に対して、その伸縮によるストロークを検出するストロークセンサ69が設けられている。こうした各種センサ65〜69は、A/D変換器53を介して演算処理装置51に接続されている。
【0026】
演算処理装置51には、更にデータ入力手段であるキーボード54や、演算処理によって求められた結果を表示するためのディスプレイ55が接続されている。一方、演算処理装置51にはキーボード54からの入力の他に基本データ60がプログラムに組み込まれたり、或いはデータファイルとして予め格納されている。ここで図8乃至13は、施工管理システム50に予め組み込まれる基本データのテーブルを示した図である。図面上では記号で示しているが、実際には具体的な数値が表示される。
基本データには、図8の機械条件(テーブル1)、図9の地質条件(テーブル2)そして図10のケーシングデータ(テーブル3)がある。機械条件とは、チュービング装置の機種に応じた性能を示すものであり、最大トルク、最大引抜き力、油圧シリンダ21にかかる上廻り重量、および回転トルク変換係数である。また、地質条件とは砂礫や細砂、シルトなどに関する単位摩擦度であり、ケーシングデータとはケーシング径に対する単位重量である。
【0027】
こうした施工管理システム50を備えたチュービング装置10では、施工に当たって次の様な作業が行われる。
施工前にオペレータによってキーボード54から所定のデータが入力される。そして、このデータに基づいて施工状況を容易に把握することを可能とした施工管理データがディスプレイに表示される。ここで図11乃至図13は、キーボード54によって入力される入力データを示した図であり、図5は、データ入力によって施工管理システム50で実行される施工管理データの表示フローを示した図である。なお、図11乃至図13に示される値は便宜上記号で示しているが、実際には具体的な数値が表示される。
【0028】
オペレータによってキーボード54から入力される入力データには、図11の機械データ、図12のボーリングデータ、そして図13のケーシング構成データがあり、特に図示した太枠部分の項目について入力が行われる。
機械データは、図11に示すように、使用するチュービング装置10の機種、そのチュービング装置10による施工に用いるケーシング1の直径、そして最終的にケーシング先端が到達する計画深度であり、これらがキーボード54によってデータ入力される(S101)。その際、施工管理システム50のディスプレイ55に図11に示す機械データテーブルが表示され、太枠の該当箇所に所定のデータがオペレータによって入力される。
【0029】
そして、所定のデータが入力されると、演算処理装置51ではそれに伴って、図8に示す基本データのテーブル1から最大トルク、最大引抜き力、上廻り重量および回転トルク変換係数が読み出され、それらが図11に示すように各種機械データとして表示される。すなわち、各種機械データは施工に使用されるチュービング装置10の性能に関するデータであり、その油圧モータ22による最大トルクや油圧シリンダ21による最大引抜き力などである。そして、その中の上廻り重量とは、油圧シリンダ21がケーシング1と一緒に上下させるフレーム12,13や油圧モータ22などの構造部の重量であり、回転トルク変換係数とは、油圧モータ22を駆動させる作動油圧力から回転トルクを求めるための係数である。
【0030】
また、施工に先立ってボーリング調査が行われるが、そこで得られた情報が図12に示すように深度毎に地質データとして入力される(S102)。すなわち、施工管理システム50のディスプレイ55には図12に示すボーリングデータテーブルが表示される。深度を示すBDH(1),BDH(2),…BDH(n)は、例えば1メートル毎に区切られたものであり、対応する深度領域に砂礫PT(1) 、細砂PT(2) などボーリング調査で得られた地質状態がオペレータによって入力される。そして、これにより図9に示すテーブル2から所定層の地質について単位摩擦度が読み出される。一方、BDH(n)とBDH(n+1)との層間のケーシング総表面積が演算処理装置51によって算出され、更にそのケーシング総表面積に単位摩擦度を掛けた層間の摩擦力や、その摩擦力にケーシング1の半径を掛けた層間の周面摩擦トルクが算出され、それぞれの値が表示される。
【0031】
ケーシング1は、数メートルの長さのものが複数継ぎ足されて数十メートルの計画深度まで達するようにしている。従って、ケーシングの全長を把握するため、施工管理システム50のディスプレイ55には図13に示すケーシングテーブルが表示され、その太枠の該当箇所に継ぎ足し番号(ケーシング段数)に対応してケーシング長さがオペレータによって予め入力される(S103)。すると、図10に示すテーブル3からケーシング径に対する単位重量が読み出され、その値とケーシング長さによってケーシング重量が演算処理装置51によって算出され、その結果がディスプレイ55に表示される。
【0032】
図5に示すフロー図に戻り、以上のようにオペレータによってキーボード54などのデータ入力手段から所定のデータが入力されると(S101〜S103)、施工の終了が確認され(S104)、チュービング装置10が駆動状態であれば(S104:NO)演算処理装置51によって図8乃至図13に示す各値に基づいたデータ計測が行われる(S105)。ここで図6及び図7は、ステップ(S105)で実行されるデータ計測の手順を示したフロー図である。
【0033】
チュービング装置10は、起動スイッチによって運転を開始するが、そのスイッチ信号が演算入力手段51に送られ、また起動したチュービング装置10では油圧モータ22や油圧シリンダ21に対して設けられた各種センサ65〜69から検出信号がA/D変換器53を介して演算処理装置51へと送られてくる(S201)。
このチュービング装置10によるオールケーシング工法では、前述したように把持したケーシングに油圧モータ22から回転を与えるとともに、油圧シリンダ21によって地盤への押込み或いは引抜きが行われる。
【0034】
そこで先ず、ケーシング1が地盤に入り込んでいない無負荷の状態、すなわち作業開始状態か否かが確認される(S202)。無負荷の状態の確認は、オペレータによる入力信号によって行われる。スイッチ信号が入った施工開始時には(S202:YES)無負荷時の回転トルク(Pkint)が計測される(S203)。回転圧入時にはケーシングにチュービング装置10から右回転が与えられるようにしており、無負荷時の回転トルク(Pkint)は次式で求められる。
Pkint=PRint−PLint …(1)
ここで、PRintは無負荷時の右回転モータ圧力であり、PLintは無負荷時の左回転モータ圧力である。
【0035】
そして次に、オペレータによるリセット信号の入力が確認され(S204)、リセット信号を確認した場合には(S204:YES)ケーシングの深度がゼロにリセットされる(S205)。すなわち、ケーシングを把持するチャック機構がチャック開(非把持状態)からチャック閉(把持状態)に変化した時のストローク計入力値(AD(0))がストロークセンサ69から得られるストローク値のA(D)に置き換えられ、チャック機構がチャック閉からチャック開に変化する掴み替えの際のケーシングの計測深度(DH(0))がゼロリセットされる。
更に、ケーシングが継ぎ足された否かが確認される(S206)。ケーシングの継ぎ足し確認は、オペレータによる入力信号によって行われる。そこで、継ぎ足しが行われたのであれば(S206:YES)ケーシングの重量計算が行われ(S207)、そうでなければ(S206:NO)ケーシングの総重量は変化しないので(S207)スキップされて重量計算は行われない。
【0036】
一方、以上の工程でケーシングが地盤に入り込んでいる場合には(S202:NO/S204:NO)、無負荷時の回転トルク(Pkint)計測(S203)及びケーシング深度のリセット(S205)はスキップされる。
また、ケーシングが継ぎ足された場合には、段数(CM)の値が1ずつ加算される。これによって図13に示す予め入力されたデータから該当するケーシングの長さ(CH(n))が読み取られ、図10に示すテーブル3からは基本データであるケーシングの単位重量(CM(R))が読み取られて重量(CW(n))が算出される。そして、全てのケーシングの重量が加算され、チュービング装置10が回転圧入するか引き抜きを行う継ぎ足し時のケーシング総重量が算出される。
【0037】
ケーシングの重量計算が行われた後は、そのケーシング下端が位置する深度(DH)が次式によって算出される(S208)。
(DH)=(AD(0)−AD(D))+DH(0) …(2)
ここで、AD(D)は、ストロークセンサ69から得られるストローク値である。
【0038】
図7は、深度計算の手順を示したフロー図である。深度計算は、先ずチャックが閉状態か否かが確認される(S301)。そして、チャックが開いているときは(S301:NO)、掴み替え動作のために開いた直後であるか否かが確認される(S302)。開いた直後であれば(S302:YES)、次の押込み又は引抜きに備えてチャック開時の計測深度DH(0)がその時点の深度DHに置き換えられ(S303)、一旦置き換えられた後の開いた状態が継続している掴み替え動作時には(S302:NO)そのステップ(S303)がスキップされる。
【0039】
そして、チャックが閉状態のときは(S301:YES)ケーシングの回転圧入時又は引抜き時であり、その場合には、閉じた直後であるか否かが確認される(S304)。閉じた直後であれば(S304:YES)ストロークセンサ69から得られるストローク値AD(D)がチャック閉状態になった時のストローク計入力値AD(0)に置き換えられ(S305)、一旦置き換えられた後の回転圧入又は引抜き継続時には(S304:NO)そのステップ(S305)がスキップされる。そして、(2)式から深度(DH)が算出される(S306)。なお、チャック閉状態からチャック開状態にした時の計測深度DH(0)は、ケーシングの掴み替えを行う時の回転圧入による深度、或いは引抜きによる深度であって、地面をゼロにして深さ方向にプラスの値で示される。(AD(0)−AD(D))の値は、回転圧入時には収縮するためプラスになり、逆に引抜きの場合には伸張するためマイナスになる。
【0040】
図6に示すフロー図に戻り、計測した深さにおいてケーシングを回転させる実回転トルクの計算が次式に基づいて行われる(S209)。
(T)=((PR−PL)−Pkint)×Kt …(3)
ここで、PRは圧入側の右回転圧センサ65によって検出される油圧の値であり、PLは引抜き側の左回転圧センサ66によって検出される油圧である。無負荷時の回転トルク(Pkint)を表す(1)式と同様に、圧入側回転の場合に値がプラスになって、逆に引抜き回転の場合に値がマイナスになるようにしている。
【0041】
次に、現在進行中の作業が引抜きか否かの確認が行われる(S210)。これは、回転圧入時に所定のタイミングでケーシングの回転を止め、油圧シリンダ21を逆に伸張させてそのシリンダ力を計測するようにしているからである。従って、その引抜き時には(S210:YES)、油圧シリンダ21によるシリンダ力(引抜き力)が次式によって算出される(S211)。
F=PU×AU−PD×AD …(4)
ここで、PDは押込み側シリンダ圧力、ADは押込み側シリンダ受圧面積、PUは引抜き側シリンダ圧力、そしてAUは引抜き側シリンダ受圧面積である。
【0042】
そして次に、摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)の計算が行われる(S212)。例えば、深度(DH)が、BDH(n−1)<DH≦BDH(n)であった場合には、摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)は、図12に示すボーリングデータを基に次の(5)式、(6)式によってそれぞれ求められる。
P=P(1)+P(2)…P(n−1)+{πR(DH−BDH(n−1))}μ(PT(n))
…(5)
T=P・(R/2) …(6)
【0043】
こうして摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)とが算出されると、続いて実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)の計測確認が行われる(S213)。実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)の計測は、常に行われる訳ではなく所定のタイミングで行われる。実周面摩擦トルク(Tr)の計測は例えばワンストローク終了後であって、このときケーシング先端を少し浮かせた状態で計測が行われる。ケーシング先端における掘削トルクの影響を除いた状態で計測するためである。そして、前述した油圧シリンダ21を逆に伸張させて行うシリンダ力の計測もこのタイミングで行われる。
【0044】
従って、非計測時には(S213:NO)、次の(S214)がスキップされてデータ計測(S105,図5参照)が終了し、計測時には(S213:YES)、実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)が、(3)式及び(4)式とからそれぞれ算出される(S214)。なお、油圧モータ22による回転を止めた状態でケーシングを引抜くことができる条件は次の通りである。
Pr+CW+Bw<MPmax ・安全率(0.9) …(7)
P+CW+Bw<MPmax ・安全率(0.9) …(8)
Pmax+CWmax<MPmax ・安全率(0.9) …(9)
Pmax =P(1)+P(2)+…+P(n+1)
CWmax=CW(1)+CW(2)+…+CW(n+1)
【0045】
更に、回転できる条件は次の通りである。
Tr<MTmax ・安全率(0.9) …(10)
T<MTmax ・安全率(0.9) …(11)
Tmax <MTmax ・安全率(0.9) …(12)
Tmax =Pmax ×(R/2)
そして、(7),(8)式と(10),(11)式とは作業途中に計算をしながら判断され、(9)式と(12)式とは計画深度での試算である。
【0046】
回転圧入時と同様に摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)の計算が行われ(S212)、条件によっては実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)とがそれぞれ算出される(S214)。
このように、本実施形態ではケーシングの回転圧入時に、データ計測(S105)として実回転トルク計算(S209)、シリンダ力計算(S211)、摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)の計算(S212)及び実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)の計算(S214)が行われる。
【0047】
そして、こうしたデータ計測で得られた結果からディスプレイ55に施工管理データが表示される(S106)。図3及び図4は、ディスプレイ55上に表示される施工管理データを示した図であって、特に図3が回転圧入に対する施工管理データであり、図4が引抜きに対する施工管理データである。
施工管理データは、いずれもボーリング調査から得られた土質と、その土質に対応した土質強度を示すN値の折れ線グラフが表示され、更に計画深度に対するケーシングの深度が表示される。その他、回転圧入に対するデータとして実回転トルクと掘削トルクが表示され、引抜きに対するデータとして引抜き力と周面摩擦抵抗が表示される。
【0048】
そこで先ず、図3に示すケーシングの回転圧入に対する施工管理データを見てみる。実回転トルクの線図Aには、前記ステップ(S212)で求められた周面摩擦トルク(T)が、例えば一点鎖線で示すように計画深度にわたってグラフA1として表示される。そして、このグラフA1に重ねるように、回転圧入によるケーシングの深度変化に伴いステップ(S209)と(S214)とで求められた実回転トルク(T)と実周面摩擦トルク(Tr)とが表示される。このとき、実回転トルク(T)は折れ線グラフA2によって表示され、実周面摩擦トルク(Tr)はワンストローク終了後にケーシング先端を少し浮かせた状態で計測するため棒グラフA3にして表示される。更に、本実施形態では、実回転トルクと実周面摩擦トルクとを計測しているため、その差をとって掘削トルクが算出してグラフB1として表示されている。そして、更に掘削トルクの値は油圧シリンダ21による押込み力(F)に影響を受けるので、掘削トルク(Tb)と押込み力(F)とからTb/Fを同時に算出してグラフB2として表示されている。
【0049】
従って、チュービング装置10によってケーシングを回転圧入させている場合、オペレータはディスプレイ55に表示された回転トルクを示す線図Aと、掘削トルクを示す線図Bとを参考にしながら操作する。
線図Aによれば、油圧モータ22の実回転トルク(A2)と予想される周面摩擦トルク(A1)が同一画面上にグラフ表示され、その2つのデータの変化の傾向を比較してその後の見通しを立てることができる。例えば、実回転トルク(A2)の値が周面摩擦トルク(A1)の値から大きく外れるような場合は、チュービング装置10の能力を超えることも考えられる。従って、オペレータは作業を継続するかやり直しを行うかを容易に判断できる。
【0050】
ここで、本実施形態では線図Aで実回転トルク(A2)の他に実周面摩擦トルク(A3)を表示しているため、実回転トルク(A2)の変化の原因を予測することができる。すなわち、周面摩擦トルクは、単にケーシングを当該深度で回転させる為だけに要する力であるため、実周面摩擦トルク(A3)の値が周面摩擦トルク(A1)との変化を確認することにより、急に実回転トルクの値が上昇した場合、その原因が地盤の硬さにあるのか、それともケーシングが傾いていることによるかなど、初めてその現場で作業を行うオペレータでも判断が容易になる。
【0051】
更に、実回転トルクの実測値は周面摩擦トルク成分が大きく、掘削トルクを正確に求めることが難しかったため、従来においては油圧シリンダ21による押込み力を大きくしすぎてケーシング先端の掘削ビットを破損させるようなこともあった。しかし、本実施形態では実回転トルクと実周面摩擦トルクから掘削トルクを算出し、合わせてシリンダ力によって比較したTb/Fを算出してそれぞれをグラフB1,B2にして表示されるため、オペレータは油圧シリンダ21の押込み力を調節しながら掘削トルクを許容範囲内に抑えて掘削ビットの破損を防止することができる。
【0052】
次に、図4に示すケーシングの引き抜きに対する施工管理データを見てみる。引抜き力の線図Cには、前記ステップ(S211)で求められた油圧シリンダ21によるシリンダ力(C1)の棒グラフが表示されている。また、前記ステップ(S212)で求められた摩擦力(P)に上廻り重量(BW)とケーシング重量とを加算した引抜き抵抗(C2)の折れ線グラフも表示されている。この引抜き力(C1)は、回転圧入作業を行う過程で所定の間隔毎(例えば油圧シリンダ21のワンストローク毎)に引抜き動作を行って算出したものである。
【0053】
一方、引抜き比較の線図Dには、ケーシングを引き抜くのに要する予定の摩擦力(D1)のグラフと、チュービング装置の引抜き能力(D2),(D3)、そしてチュービング装置の実引抜き力(D4)とが表示される。チュービング装置の実引抜き力(D4)は、引抜き力(C1)から上廻り重量(BW)とケーシング重量とを差し引いた値で、回転圧入作業を行う過程で所定の間隔毎に引抜き動作を行いながら算出して示す棒グラフである。また、引抜き能力(D2),(D3)は、ケーシングを回転させないで引き抜く場合(D2)と、回転を加えて引き抜く場合(D3)であって、引抜き能力は最大引抜き力から上廻り重量とケーシング重量とを差し引いた値であるため、継ぎ足されるケーシング長さ毎の階段状に算出されている。
【0054】
従って、オペレータは、ディスプレイ55に表示された引抜き力を示す線図Cと、引抜き比較を示す線図Dを参考にしながら操作することになる。図4に示された場合であれば、計画深度までケーシングを回転圧入させた場合、予定の引抜き力(D1)のグラフとチュービング装置の引抜き能力(D2)とが交差してしまっているため、引抜きの最初はケーシングを回転させなければ引き抜けないことが分かる。そして、チュービング装置の実引抜き力(D4)が予定の引抜き力(D1)に沿って値が大きくなっているため、このまま作業が進めば引抜き能力(D3)の範囲内に収まることが予想できる。
【0055】
以上、本実施形態におけるチュービング装置の施工管理システムによれば、図3及び図4に示す施工管理データが表示されることで、上記したようにオペレータが施工状況を的確に把握することができ、そのためケーシングを計画深度まで適切に回転圧入し、そして引き抜きくための判断を適宜施工中に容易に行うことが可能になった。
【0056】
以上、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムについて一実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では施工管理システムをチュービング装置10内に収まるように構成されてたものを示したが、図14に示すように外部装置70が通信ケーブルでチュービング装置10の演算処理装置51に接続されたものであってもよい。その外部装置70は、CPUやメモリを備える演算処理装置71にキーボード72やディスプレイ73を備えたものなどであって、これにより離れた位置で管理及び操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】チュービング装置の一例を示した断面図である。
【図2】チュービング装置の施工管理システムの主要部を示すブロック図であり、特に施工管理システムがチュービング装置に組み込まれている構成を示している。
【図3】ディスプレイ上に表示される回転圧入時の施工管理データを示した図である。
【図4】ディスプレイ上に表示される引抜き時の施工管理データを示した図である。
【図5】データ入力によって施工管理システムで実行される施工管理データの表示フローを示した図である。
【図6】データ計測の手順を示したフロー図である。
【図7】深度計算の手順を示したフロー図である。
【図8】基本データのうち機械条件(テーブル1)を示した図である。
【図9】基本データのうち地質条件(テーブル2)を示した図である。
【図10】基本データのうちケーシングデータ(テーブル3)を示した図である。
【図11】機械データを示した図である。
【図12】ボーリングデータを示した図である。
【図13】ケーシング構成データを示した図である。
【図14】チュービング装置の施工管理システムの主要部を示すブロック図であり、特に施工管理システムが外部装置を備える構成を示している。
【符号の説明】
【0058】
1 ケーシング
10 チュービング装置
11 ベースフレーム
12 中間フレーム
13 昇降フレーム
21 油圧シリンダ
22 油圧モータ
30 チャック
50 施工管理システム
51 演算処理装置
52 入出力インターフェイス
53 A/D変換器
54 キーボード
55 ディスプレイ
61〜63 スイッチ
65〜69 センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持したケーシングを地盤に回転圧入させ、またそうしたケーシングの引抜きを行うチュービング装置の操作を補助する施工管理システムに関し、特に計画深度までのケーシングの回転圧入に対する情報や計画深度で埋設するケーシングの引抜き情報を提供するようにしたチュービング装置の施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築、土木等の基礎工事では、例えば地中に円筒体のケーシングを押し込み、そうしたケーシング内の土砂を排出し、その中に鉄筋籠を建て込みコンクリートを打設するオールケーシング工法が採用されている。そうしたオールケーシング工法には、そのケーシングを所定の深さまで地盤の中に回転圧入させ、コンクリート打設後にはそのケーシングを引き抜くことを行うチュービング装置が使用される。
【0003】
そのチュービング装置は、ケーシングを地中に回転圧入させる場合、チャック機構によって把持したケーシングに対して油圧モータからなる回転駆動機構によって回転を与え、油圧シリンダからなるスラストシリンダによって、回転するケーシングをチャック機構及び回転駆動機構を備えたフレームごとワンストローク分下降させる。すなわち、スラストシリンダが伸びた状態でケーシングを把持し、収縮によってそのケーシングが回転しながら押し下げられる。こうした回転圧入は、スラストシリンダのワンストローク毎に掴み替えを繰り返えしながら行われる。
【0004】
一方、コンクリート打設後にそのケーシングを引き抜く場合には、回転圧入時とは逆にスラストシリンダが収縮した状態でケーシングを把持し、回転させながら或いは回転させずにスラストシリンダが伸びて引き抜きが行われる。引抜きの場合も回転圧入と同様に、スラストシリンダのワンストローク毎の掴み替えを繰り返しながら行われる。
【0005】
ところで、従来から作業状況を把握するため、チュービング装置に直接設けられた操作盤や、接続された管理装置等のディスプレイには油圧モータにかかる回転圧入時のトルクが表示される。そして、オペレータはその表示を確認しながら計画深度まで適切にケーシングを回転圧入することができるか否かを判断する。
ディスプレイに表示される回転トルクは、ケーシング下端に装着された掘削ビットで地盤を掘削する際の掘削トルクと、ケーシングの周面と地盤との摩擦で生じる周面摩擦トルクとの和である。従って、ディスプレイに表示される回転トルクからは、掘削トルクと周面摩擦トルクのそれぞれの値は分からない。周面摩擦トルクは、土質、排土状況、深度等の施工条件により変化し、予想した値より大きくなることもある。
【0006】
一方、スラストシリンダの圧力によって算出される引抜き力は、ケーシングの重量の他、ケーシングと共に上下するチュービング装置自身を構成するフレームやチャック機構などの機械重量、更にはケーシングが地盤との間に生じる周面摩擦抵抗の和である。そして、この引抜き力も同様に操作盤や管理装置等のディスプレイに表示され、それをオペレータが確認する。なお、周面摩擦抵抗は、施工が進むに従ってケーシングが継ぎ足されるためケーシング重量が増加し、土質、排土状況、深度等の施工条件により変化することがあり、予想した値よりも大きくなってしまうことがある。
【0007】
そこで、回転トルクや周面摩擦抵抗が予想以上に大きくなってしまうと、最悪の場合、チュービング装置の能力を超えてしまって掘削が不能になったり、引抜きが不能になる場合が想定される。従って、オールケーシング工法を行うに当たっては、オペレータが操作盤、管理装置等に表示される回転トルク或いは引抜き力の値を確認しながら操作し、それらの値が大きくなった場合には、掘削や引抜きに対して現時点の状況から今後に起こる状態を予想し、チュービング装置によるケーシングの押込み力の調整や、更にはこのまま進めるか、注水やポンピングによる土砂の取り込みが必要かなどの判定が行われていた。
【特許文献1】特開平11−173058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、そうした注水やポンピングによる土砂の取り込みの判定には経験と熟練した能力が必要であったため、ケーシングの回転圧入や引抜きを行うチュービング装置を誰もが現場の状況に合わせて容易に操作することはできなかった。
オペレータは、例えばオールケーシング工法を実行する場合には、施工前にチュービング装置の機械能力やボーリング調査によって得られた地質データ等から周面摩擦トルクや掘削トルク、周面摩擦抵抗などの予想に基づいた試算を行い、ケーシングの回転圧入や引抜きの可否を判断していた。
【0009】
そうした試算には深度や地質に合わせて煩雑な計算を立てる必要があり、計算の間違いなども考えられる。そして、例えば施工中にディスプレイに表示される回転トルクや引抜き力が大きく変化するような場合、オペレータは試算した計画値とその表示値とを比較検討することになる。しかし、計画値と表示値とを比較したり、深度を基準としたグラフなどを見て両方の変化の傾向から状況を判断し、チュービング装置を適切に操作したりすることは熟練した能力がなければ困難であった。
【0010】
よって、本発明は、かかる課題を解決すべく、施工状況の把握に有効な情報を画面表示するチュービング装置の施工管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、ケーシングを把持するチャック機構と、把持したケーシングを回転させる油圧モータを使用した回転駆動機構と、把持したケーシングを昇降させる油圧シリンダを使用した昇降機構とを備えたチュービング装置における施工状況を表示するものであって、前記油圧モータを回転させる作動油の圧力を検出するモータ圧検出手段、前記油圧シリンダを伸縮させる作動油の圧力を検出するシリンダ圧検出手段および、前記油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出手段と、前記チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段と、前記演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段とを有し、前記演算処理手段が、計画深度までに予想される周面摩擦トルクおよび、前記ケーシングを実際に地盤へ回転圧入している場合の実回転トルクと実周面摩擦トルクを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた予想される周面摩擦トルクのグラフと、実回転トルクと実周面摩擦トルクの各グラフを表示するようにしたものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、前記演算処理手段が、実回転トルクから実周面摩擦トルクの差を取った掘削トルクを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該掘削トルクを表示するようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、前記演算処理手段が前記掘削トルクTbから油圧シリンダによるケーシングを押し込む押込み力Fを除した値Tb/Fを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該Tb/Fを表示するようにしたものであることが好ましい。
【0013】
本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、ケーシングを把持するチャック機構と、把持したケーシングを回転させる油圧モータを使用した回転駆動機構と、把持したケーシングを昇降させる油圧シリンダを使用した昇降機構とを備えたチュービング装置における施工状況を表示するものであって、前記油圧モータを回転させる作動油の圧力を検出するモータ圧検出手段、前記油圧シリンダを伸縮させる作動油の圧力を検出するシリンダ圧検出手段および、前記油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出手段と、前記チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段と、前記演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段とを有し、前記演算処理手段が、ケーシングを引き抜くのに要する予定の摩擦力、チュービング装置の引抜き能力およびチュービング装置の実引抜き力を算出し、前記表示手段に計画深度までの予定引抜き力と引抜き能力の各グラフおよび、ケーシングの深度に対応させて実引抜き力のグラフを表示するようにしたものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、前記演算処理手段が、前記油圧シリンダによるシリンダ力および、ケーシングの摩擦力に前記チュービング装置の上廻り重量とケーシング重量とを加算した引抜き抵抗を算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該シリンダ力と引抜き抵抗とを表示するようにしたものであることが好ましい。
更に、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムは、前記表示装置には計画深度に対応して土質とN値を表示するようにしたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るチュービング装置の施工管理システムによれば、ケーシングをチュービング装置によって回転圧入させている施工中に、演算処理手段によって算出された予想の周面摩擦トルクと、ケーシングの回転圧入によって実際に掛かる実周面摩擦トルクの他に実回転トルクが表示されるので、実回転トルクと周面摩擦トルクの変化の傾向を比較することで、その後の見通しを立てることが容易にできる。その際、本発明では、実回転トルクから実周面摩擦トルクの差を取った掘削トルクを表示したり、前記実回転トルクTから油圧シリンダによるケーシングを押し込む押込み力Fを除した値T/Fを表示することで、より判断が容易になる。また、計画深度に対応して土質とN値を表示することで、更に判断が容易になる。
【0016】
また、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムによれば、例えばケーシングをチュービング装置によって回転圧入させている施工中に引抜き動作を行うことにより、演算処理手段によってケーシングを引き抜くのに要する予定引抜き力の他、チュービング装置の引抜き能力およびチュービング装置の実引抜き力を算出して表示手段に、計画深度までの予定引抜き力と引抜き能力の各グラフおよび、ケーシングの深度に対応させて実引抜き力のグラフを表示するようにしたので、計画深度までケーシングを回転圧入させた場合に、チュービング装置の引抜き能力の範囲内に収まるか否かの判断が容易にできる。
その際、油圧シリンダによるシリンダ力や引抜き抵抗を表示することで、より判断が容易になり、計画深度に対応して土質とN値を表示することで、更に判断が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムについて、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。先ず図1は、チュービング装置の一例を示した断面図である。
このチュービング装置10は、ベースフレーム11に4本のスラストジャッキ20が四隅に立設され、上下に配置された中間フレーム12及び昇降フレーム13が昇降可能に取り付けられている。スラストジャッキ20は、駆動手段として油圧シリンダ21が設けられており、その伸縮によってベースフレーム11に対し中間フレーム12と昇降フレーム13とが上下に移動するよう構成されている。
【0018】
中間フレーム12には油圧モータ22が設置され、その油圧モータ22からコーン25へと減速機26、ピニオンギヤ27及びアイドラギヤ28を介して回転を伝達する回転駆動機構が設けられている。コーン25は、中間フレーム12に対して回転自在に取り付けられ、その外周ギヤ29がアイドラギヤ28と噛み合っている。そして、そのコーン25とケーシング1との間にはまり込むように、チャック30が同一円周上に複数配置されている。チャック30は楔形をしており、ベアリング31とリンク32を介しいて昇降フレーム13に吊設され、ケーシング1とコーン25との間に差し込んだ状態でケーシング1を把持するチャック機構を構成している。
【0019】
中間フレーム12と昇降フレーム13との間にはチャックシリンダ35が連結されている。そのため、そのチャックシリンダ35を伸縮すると、昇降フレーム13に対して中間フレーム12が上下し、それによってチャック30がケーシング1とコーン25との間で抜き差しできるようになっている。従って、チュービング装置10に対してケーシング1が各フレーム11,12,13を貫通するようにして挿入された後、チャックシリンダ35が収縮して中間フレーム12が引き上げられると、コーン25の上昇によってチャック30がケーシング1との間に差し込まれ、ケーシング1が複数のチャック30によって中心方向に把持される。
【0020】
次いで油圧モータ22から回転が出力され、それが減速機26を介してコーン25に伝達されると、コーン25に高トルクの回転が与えられ、チャック30によって把持されたケーシング1が回転する。また、このときスラストジャッキ20によってワンストローク分の押込み動作が行われるが、これは内設された油圧シリンダ21の収縮によって行われる。従って、油圧シリンダ21が収縮すると、昇降フレーム13及び中間フレーム12が引き下げられ、把持したケーシング1が地中へと押し込まれる。そして、このケーシング1には油圧モータ22によって回転が与えられているので、油圧シリンダ21のワンストローク分の縮み動作によってその距離だけ地中へと回転圧入される。
【0021】
油圧シリンダ21によるワンストローク分の収縮による回転圧入が終了すると、チャック30によるケーシング1の掴み替えが行われる。それには、チャックシリンダ35が伸びて中間フレーム12が押し下げられ、同時にコーン25が下降してチャック30がケーシング1との間から抜き取られる。そして、油圧シリンダ21の伸張によってスラストジャッキ20を伸ばした後、ケーシング1の上方がチャック30によって掴み替えられ、再び同じように油圧モータ22の回転と油圧シリンダ21の収縮によって回転圧入が行われる。こうした回転圧入とチャック30による掴み替えが繰り返され、ケーシング1が所定の計画深度まで打ち込まれる。
【0022】
そして、ケーシング1内の土砂を排出して中に鉄筋籠を建て込んでコンクリートを打設した後、ケーシング1はチュービング装置10によって引き抜かれて回収される。
引き抜き時にも、チャックシリンダ35の収縮によりコーン32を上昇させてケーシング1の把持が行われる。そして、油圧シリンダ21が伸ばされて昇降フレーム13が上昇し、中間フレーム12もともに上昇するのでケーシング1がチャック41に把持状態で油圧シリンダ21の伸び分だけ引き抜かれる。この場合も油圧シリンダ21のワンストローク分の伸縮によって掴み替えが繰り返されてケーシング全体が引き抜かれる。
【0023】
続いて図2は、チュービング装置の施工管理システムの一例についてその主要部を示すブロック図であり、特に施工管理システムがチュービング装置に組み込まれている構成を示している。この施工管理システム50は、チュービング装置の各動作を制御するものであり、各種信号に基づいて油圧シリンダ21やチャックシリンダ35の伸縮および、油圧モータ22のトルク切替(高、中、低)を行うものである。施工管理システム50には、演算処理を行うためのCPUやメモリを備える演算処理装置51が設けられており、その演算処理装置51には、以下に示す施工情報を表示するためのプログラムが記憶されており、入力される各種データに基づいて画面表示するよう構成されている。
【0024】
そして、演算処理装置51には入出力インターフェイス52が接続され、その入出力インターフェイス52を介して各種スイッチが接続されている。すなわち、演算処理装置51には、チャックシリンダ35への作動油の供給を操作する操作バルブを切り替えるためのスイッチ61、油圧シリンダ21への作動油の供給を操作する操作バルブを切り替えるためのスイッチ62、そして油圧モータ22への作動油の供給を操作する操作バルブを切り替えるためのスイッチ63が接続されている。
【0025】
ところで、ケーシング1を回転させる油圧モータ22には、右回転(圧入時の回転)の作動油圧力を検出する右回転圧センサ65と、左回転(引抜き時の回転)の作動油圧力を検出する左回転圧センサ66とが設けられている。また、ケーシング1を押込み又は引き抜く油圧シリンダ21には、ケーシング1を圧入する収縮時の作動油圧力を検出する押込み圧センサ67と、ケーシング1を引き抜く伸張時の作動油圧力を検出する引抜き圧センサ68とが設けられている。更に、油圧シリンダ21に対して、その伸縮によるストロークを検出するストロークセンサ69が設けられている。こうした各種センサ65〜69は、A/D変換器53を介して演算処理装置51に接続されている。
【0026】
演算処理装置51には、更にデータ入力手段であるキーボード54や、演算処理によって求められた結果を表示するためのディスプレイ55が接続されている。一方、演算処理装置51にはキーボード54からの入力の他に基本データ60がプログラムに組み込まれたり、或いはデータファイルとして予め格納されている。ここで図8乃至13は、施工管理システム50に予め組み込まれる基本データのテーブルを示した図である。図面上では記号で示しているが、実際には具体的な数値が表示される。
基本データには、図8の機械条件(テーブル1)、図9の地質条件(テーブル2)そして図10のケーシングデータ(テーブル3)がある。機械条件とは、チュービング装置の機種に応じた性能を示すものであり、最大トルク、最大引抜き力、油圧シリンダ21にかかる上廻り重量、および回転トルク変換係数である。また、地質条件とは砂礫や細砂、シルトなどに関する単位摩擦度であり、ケーシングデータとはケーシング径に対する単位重量である。
【0027】
こうした施工管理システム50を備えたチュービング装置10では、施工に当たって次の様な作業が行われる。
施工前にオペレータによってキーボード54から所定のデータが入力される。そして、このデータに基づいて施工状況を容易に把握することを可能とした施工管理データがディスプレイに表示される。ここで図11乃至図13は、キーボード54によって入力される入力データを示した図であり、図5は、データ入力によって施工管理システム50で実行される施工管理データの表示フローを示した図である。なお、図11乃至図13に示される値は便宜上記号で示しているが、実際には具体的な数値が表示される。
【0028】
オペレータによってキーボード54から入力される入力データには、図11の機械データ、図12のボーリングデータ、そして図13のケーシング構成データがあり、特に図示した太枠部分の項目について入力が行われる。
機械データは、図11に示すように、使用するチュービング装置10の機種、そのチュービング装置10による施工に用いるケーシング1の直径、そして最終的にケーシング先端が到達する計画深度であり、これらがキーボード54によってデータ入力される(S101)。その際、施工管理システム50のディスプレイ55に図11に示す機械データテーブルが表示され、太枠の該当箇所に所定のデータがオペレータによって入力される。
【0029】
そして、所定のデータが入力されると、演算処理装置51ではそれに伴って、図8に示す基本データのテーブル1から最大トルク、最大引抜き力、上廻り重量および回転トルク変換係数が読み出され、それらが図11に示すように各種機械データとして表示される。すなわち、各種機械データは施工に使用されるチュービング装置10の性能に関するデータであり、その油圧モータ22による最大トルクや油圧シリンダ21による最大引抜き力などである。そして、その中の上廻り重量とは、油圧シリンダ21がケーシング1と一緒に上下させるフレーム12,13や油圧モータ22などの構造部の重量であり、回転トルク変換係数とは、油圧モータ22を駆動させる作動油圧力から回転トルクを求めるための係数である。
【0030】
また、施工に先立ってボーリング調査が行われるが、そこで得られた情報が図12に示すように深度毎に地質データとして入力される(S102)。すなわち、施工管理システム50のディスプレイ55には図12に示すボーリングデータテーブルが表示される。深度を示すBDH(1),BDH(2),…BDH(n)は、例えば1メートル毎に区切られたものであり、対応する深度領域に砂礫PT(1) 、細砂PT(2) などボーリング調査で得られた地質状態がオペレータによって入力される。そして、これにより図9に示すテーブル2から所定層の地質について単位摩擦度が読み出される。一方、BDH(n)とBDH(n+1)との層間のケーシング総表面積が演算処理装置51によって算出され、更にそのケーシング総表面積に単位摩擦度を掛けた層間の摩擦力や、その摩擦力にケーシング1の半径を掛けた層間の周面摩擦トルクが算出され、それぞれの値が表示される。
【0031】
ケーシング1は、数メートルの長さのものが複数継ぎ足されて数十メートルの計画深度まで達するようにしている。従って、ケーシングの全長を把握するため、施工管理システム50のディスプレイ55には図13に示すケーシングテーブルが表示され、その太枠の該当箇所に継ぎ足し番号(ケーシング段数)に対応してケーシング長さがオペレータによって予め入力される(S103)。すると、図10に示すテーブル3からケーシング径に対する単位重量が読み出され、その値とケーシング長さによってケーシング重量が演算処理装置51によって算出され、その結果がディスプレイ55に表示される。
【0032】
図5に示すフロー図に戻り、以上のようにオペレータによってキーボード54などのデータ入力手段から所定のデータが入力されると(S101〜S103)、施工の終了が確認され(S104)、チュービング装置10が駆動状態であれば(S104:NO)演算処理装置51によって図8乃至図13に示す各値に基づいたデータ計測が行われる(S105)。ここで図6及び図7は、ステップ(S105)で実行されるデータ計測の手順を示したフロー図である。
【0033】
チュービング装置10は、起動スイッチによって運転を開始するが、そのスイッチ信号が演算入力手段51に送られ、また起動したチュービング装置10では油圧モータ22や油圧シリンダ21に対して設けられた各種センサ65〜69から検出信号がA/D変換器53を介して演算処理装置51へと送られてくる(S201)。
このチュービング装置10によるオールケーシング工法では、前述したように把持したケーシングに油圧モータ22から回転を与えるとともに、油圧シリンダ21によって地盤への押込み或いは引抜きが行われる。
【0034】
そこで先ず、ケーシング1が地盤に入り込んでいない無負荷の状態、すなわち作業開始状態か否かが確認される(S202)。無負荷の状態の確認は、オペレータによる入力信号によって行われる。スイッチ信号が入った施工開始時には(S202:YES)無負荷時の回転トルク(Pkint)が計測される(S203)。回転圧入時にはケーシングにチュービング装置10から右回転が与えられるようにしており、無負荷時の回転トルク(Pkint)は次式で求められる。
Pkint=PRint−PLint …(1)
ここで、PRintは無負荷時の右回転モータ圧力であり、PLintは無負荷時の左回転モータ圧力である。
【0035】
そして次に、オペレータによるリセット信号の入力が確認され(S204)、リセット信号を確認した場合には(S204:YES)ケーシングの深度がゼロにリセットされる(S205)。すなわち、ケーシングを把持するチャック機構がチャック開(非把持状態)からチャック閉(把持状態)に変化した時のストローク計入力値(AD(0))がストロークセンサ69から得られるストローク値のA(D)に置き換えられ、チャック機構がチャック閉からチャック開に変化する掴み替えの際のケーシングの計測深度(DH(0))がゼロリセットされる。
更に、ケーシングが継ぎ足された否かが確認される(S206)。ケーシングの継ぎ足し確認は、オペレータによる入力信号によって行われる。そこで、継ぎ足しが行われたのであれば(S206:YES)ケーシングの重量計算が行われ(S207)、そうでなければ(S206:NO)ケーシングの総重量は変化しないので(S207)スキップされて重量計算は行われない。
【0036】
一方、以上の工程でケーシングが地盤に入り込んでいる場合には(S202:NO/S204:NO)、無負荷時の回転トルク(Pkint)計測(S203)及びケーシング深度のリセット(S205)はスキップされる。
また、ケーシングが継ぎ足された場合には、段数(CM)の値が1ずつ加算される。これによって図13に示す予め入力されたデータから該当するケーシングの長さ(CH(n))が読み取られ、図10に示すテーブル3からは基本データであるケーシングの単位重量(CM(R))が読み取られて重量(CW(n))が算出される。そして、全てのケーシングの重量が加算され、チュービング装置10が回転圧入するか引き抜きを行う継ぎ足し時のケーシング総重量が算出される。
【0037】
ケーシングの重量計算が行われた後は、そのケーシング下端が位置する深度(DH)が次式によって算出される(S208)。
(DH)=(AD(0)−AD(D))+DH(0) …(2)
ここで、AD(D)は、ストロークセンサ69から得られるストローク値である。
【0038】
図7は、深度計算の手順を示したフロー図である。深度計算は、先ずチャックが閉状態か否かが確認される(S301)。そして、チャックが開いているときは(S301:NO)、掴み替え動作のために開いた直後であるか否かが確認される(S302)。開いた直後であれば(S302:YES)、次の押込み又は引抜きに備えてチャック開時の計測深度DH(0)がその時点の深度DHに置き換えられ(S303)、一旦置き換えられた後の開いた状態が継続している掴み替え動作時には(S302:NO)そのステップ(S303)がスキップされる。
【0039】
そして、チャックが閉状態のときは(S301:YES)ケーシングの回転圧入時又は引抜き時であり、その場合には、閉じた直後であるか否かが確認される(S304)。閉じた直後であれば(S304:YES)ストロークセンサ69から得られるストローク値AD(D)がチャック閉状態になった時のストローク計入力値AD(0)に置き換えられ(S305)、一旦置き換えられた後の回転圧入又は引抜き継続時には(S304:NO)そのステップ(S305)がスキップされる。そして、(2)式から深度(DH)が算出される(S306)。なお、チャック閉状態からチャック開状態にした時の計測深度DH(0)は、ケーシングの掴み替えを行う時の回転圧入による深度、或いは引抜きによる深度であって、地面をゼロにして深さ方向にプラスの値で示される。(AD(0)−AD(D))の値は、回転圧入時には収縮するためプラスになり、逆に引抜きの場合には伸張するためマイナスになる。
【0040】
図6に示すフロー図に戻り、計測した深さにおいてケーシングを回転させる実回転トルクの計算が次式に基づいて行われる(S209)。
(T)=((PR−PL)−Pkint)×Kt …(3)
ここで、PRは圧入側の右回転圧センサ65によって検出される油圧の値であり、PLは引抜き側の左回転圧センサ66によって検出される油圧である。無負荷時の回転トルク(Pkint)を表す(1)式と同様に、圧入側回転の場合に値がプラスになって、逆に引抜き回転の場合に値がマイナスになるようにしている。
【0041】
次に、現在進行中の作業が引抜きか否かの確認が行われる(S210)。これは、回転圧入時に所定のタイミングでケーシングの回転を止め、油圧シリンダ21を逆に伸張させてそのシリンダ力を計測するようにしているからである。従って、その引抜き時には(S210:YES)、油圧シリンダ21によるシリンダ力(引抜き力)が次式によって算出される(S211)。
F=PU×AU−PD×AD …(4)
ここで、PDは押込み側シリンダ圧力、ADは押込み側シリンダ受圧面積、PUは引抜き側シリンダ圧力、そしてAUは引抜き側シリンダ受圧面積である。
【0042】
そして次に、摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)の計算が行われる(S212)。例えば、深度(DH)が、BDH(n−1)<DH≦BDH(n)であった場合には、摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)は、図12に示すボーリングデータを基に次の(5)式、(6)式によってそれぞれ求められる。
P=P(1)+P(2)…P(n−1)+{πR(DH−BDH(n−1))}μ(PT(n))
…(5)
T=P・(R/2) …(6)
【0043】
こうして摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)とが算出されると、続いて実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)の計測確認が行われる(S213)。実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)の計測は、常に行われる訳ではなく所定のタイミングで行われる。実周面摩擦トルク(Tr)の計測は例えばワンストローク終了後であって、このときケーシング先端を少し浮かせた状態で計測が行われる。ケーシング先端における掘削トルクの影響を除いた状態で計測するためである。そして、前述した油圧シリンダ21を逆に伸張させて行うシリンダ力の計測もこのタイミングで行われる。
【0044】
従って、非計測時には(S213:NO)、次の(S214)がスキップされてデータ計測(S105,図5参照)が終了し、計測時には(S213:YES)、実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)が、(3)式及び(4)式とからそれぞれ算出される(S214)。なお、油圧モータ22による回転を止めた状態でケーシングを引抜くことができる条件は次の通りである。
Pr+CW+Bw<MPmax ・安全率(0.9) …(7)
P+CW+Bw<MPmax ・安全率(0.9) …(8)
Pmax+CWmax<MPmax ・安全率(0.9) …(9)
Pmax =P(1)+P(2)+…+P(n+1)
CWmax=CW(1)+CW(2)+…+CW(n+1)
【0045】
更に、回転できる条件は次の通りである。
Tr<MTmax ・安全率(0.9) …(10)
T<MTmax ・安全率(0.9) …(11)
Tmax <MTmax ・安全率(0.9) …(12)
Tmax =Pmax ×(R/2)
そして、(7),(8)式と(10),(11)式とは作業途中に計算をしながら判断され、(9)式と(12)式とは計画深度での試算である。
【0046】
回転圧入時と同様に摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)の計算が行われ(S212)、条件によっては実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)とがそれぞれ算出される(S214)。
このように、本実施形態ではケーシングの回転圧入時に、データ計測(S105)として実回転トルク計算(S209)、シリンダ力計算(S211)、摩擦力(P)と周面摩擦トルク(T)の計算(S212)及び実摩擦力(Pr)と実周面摩擦トルク(Tr)の計算(S214)が行われる。
【0047】
そして、こうしたデータ計測で得られた結果からディスプレイ55に施工管理データが表示される(S106)。図3及び図4は、ディスプレイ55上に表示される施工管理データを示した図であって、特に図3が回転圧入に対する施工管理データであり、図4が引抜きに対する施工管理データである。
施工管理データは、いずれもボーリング調査から得られた土質と、その土質に対応した土質強度を示すN値の折れ線グラフが表示され、更に計画深度に対するケーシングの深度が表示される。その他、回転圧入に対するデータとして実回転トルクと掘削トルクが表示され、引抜きに対するデータとして引抜き力と周面摩擦抵抗が表示される。
【0048】
そこで先ず、図3に示すケーシングの回転圧入に対する施工管理データを見てみる。実回転トルクの線図Aには、前記ステップ(S212)で求められた周面摩擦トルク(T)が、例えば一点鎖線で示すように計画深度にわたってグラフA1として表示される。そして、このグラフA1に重ねるように、回転圧入によるケーシングの深度変化に伴いステップ(S209)と(S214)とで求められた実回転トルク(T)と実周面摩擦トルク(Tr)とが表示される。このとき、実回転トルク(T)は折れ線グラフA2によって表示され、実周面摩擦トルク(Tr)はワンストローク終了後にケーシング先端を少し浮かせた状態で計測するため棒グラフA3にして表示される。更に、本実施形態では、実回転トルクと実周面摩擦トルクとを計測しているため、その差をとって掘削トルクが算出してグラフB1として表示されている。そして、更に掘削トルクの値は油圧シリンダ21による押込み力(F)に影響を受けるので、掘削トルク(Tb)と押込み力(F)とからTb/Fを同時に算出してグラフB2として表示されている。
【0049】
従って、チュービング装置10によってケーシングを回転圧入させている場合、オペレータはディスプレイ55に表示された回転トルクを示す線図Aと、掘削トルクを示す線図Bとを参考にしながら操作する。
線図Aによれば、油圧モータ22の実回転トルク(A2)と予想される周面摩擦トルク(A1)が同一画面上にグラフ表示され、その2つのデータの変化の傾向を比較してその後の見通しを立てることができる。例えば、実回転トルク(A2)の値が周面摩擦トルク(A1)の値から大きく外れるような場合は、チュービング装置10の能力を超えることも考えられる。従って、オペレータは作業を継続するかやり直しを行うかを容易に判断できる。
【0050】
ここで、本実施形態では線図Aで実回転トルク(A2)の他に実周面摩擦トルク(A3)を表示しているため、実回転トルク(A2)の変化の原因を予測することができる。すなわち、周面摩擦トルクは、単にケーシングを当該深度で回転させる為だけに要する力であるため、実周面摩擦トルク(A3)の値が周面摩擦トルク(A1)との変化を確認することにより、急に実回転トルクの値が上昇した場合、その原因が地盤の硬さにあるのか、それともケーシングが傾いていることによるかなど、初めてその現場で作業を行うオペレータでも判断が容易になる。
【0051】
更に、実回転トルクの実測値は周面摩擦トルク成分が大きく、掘削トルクを正確に求めることが難しかったため、従来においては油圧シリンダ21による押込み力を大きくしすぎてケーシング先端の掘削ビットを破損させるようなこともあった。しかし、本実施形態では実回転トルクと実周面摩擦トルクから掘削トルクを算出し、合わせてシリンダ力によって比較したTb/Fを算出してそれぞれをグラフB1,B2にして表示されるため、オペレータは油圧シリンダ21の押込み力を調節しながら掘削トルクを許容範囲内に抑えて掘削ビットの破損を防止することができる。
【0052】
次に、図4に示すケーシングの引き抜きに対する施工管理データを見てみる。引抜き力の線図Cには、前記ステップ(S211)で求められた油圧シリンダ21によるシリンダ力(C1)の棒グラフが表示されている。また、前記ステップ(S212)で求められた摩擦力(P)に上廻り重量(BW)とケーシング重量とを加算した引抜き抵抗(C2)の折れ線グラフも表示されている。この引抜き力(C1)は、回転圧入作業を行う過程で所定の間隔毎(例えば油圧シリンダ21のワンストローク毎)に引抜き動作を行って算出したものである。
【0053】
一方、引抜き比較の線図Dには、ケーシングを引き抜くのに要する予定の摩擦力(D1)のグラフと、チュービング装置の引抜き能力(D2),(D3)、そしてチュービング装置の実引抜き力(D4)とが表示される。チュービング装置の実引抜き力(D4)は、引抜き力(C1)から上廻り重量(BW)とケーシング重量とを差し引いた値で、回転圧入作業を行う過程で所定の間隔毎に引抜き動作を行いながら算出して示す棒グラフである。また、引抜き能力(D2),(D3)は、ケーシングを回転させないで引き抜く場合(D2)と、回転を加えて引き抜く場合(D3)であって、引抜き能力は最大引抜き力から上廻り重量とケーシング重量とを差し引いた値であるため、継ぎ足されるケーシング長さ毎の階段状に算出されている。
【0054】
従って、オペレータは、ディスプレイ55に表示された引抜き力を示す線図Cと、引抜き比較を示す線図Dを参考にしながら操作することになる。図4に示された場合であれば、計画深度までケーシングを回転圧入させた場合、予定の引抜き力(D1)のグラフとチュービング装置の引抜き能力(D2)とが交差してしまっているため、引抜きの最初はケーシングを回転させなければ引き抜けないことが分かる。そして、チュービング装置の実引抜き力(D4)が予定の引抜き力(D1)に沿って値が大きくなっているため、このまま作業が進めば引抜き能力(D3)の範囲内に収まることが予想できる。
【0055】
以上、本実施形態におけるチュービング装置の施工管理システムによれば、図3及び図4に示す施工管理データが表示されることで、上記したようにオペレータが施工状況を的確に把握することができ、そのためケーシングを計画深度まで適切に回転圧入し、そして引き抜きくための判断を適宜施工中に容易に行うことが可能になった。
【0056】
以上、本発明に係るチュービング装置の施工管理システムについて一実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では施工管理システムをチュービング装置10内に収まるように構成されてたものを示したが、図14に示すように外部装置70が通信ケーブルでチュービング装置10の演算処理装置51に接続されたものであってもよい。その外部装置70は、CPUやメモリを備える演算処理装置71にキーボード72やディスプレイ73を備えたものなどであって、これにより離れた位置で管理及び操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】チュービング装置の一例を示した断面図である。
【図2】チュービング装置の施工管理システムの主要部を示すブロック図であり、特に施工管理システムがチュービング装置に組み込まれている構成を示している。
【図3】ディスプレイ上に表示される回転圧入時の施工管理データを示した図である。
【図4】ディスプレイ上に表示される引抜き時の施工管理データを示した図である。
【図5】データ入力によって施工管理システムで実行される施工管理データの表示フローを示した図である。
【図6】データ計測の手順を示したフロー図である。
【図7】深度計算の手順を示したフロー図である。
【図8】基本データのうち機械条件(テーブル1)を示した図である。
【図9】基本データのうち地質条件(テーブル2)を示した図である。
【図10】基本データのうちケーシングデータ(テーブル3)を示した図である。
【図11】機械データを示した図である。
【図12】ボーリングデータを示した図である。
【図13】ケーシング構成データを示した図である。
【図14】チュービング装置の施工管理システムの主要部を示すブロック図であり、特に施工管理システムが外部装置を備える構成を示している。
【符号の説明】
【0058】
1 ケーシング
10 チュービング装置
11 ベースフレーム
12 中間フレーム
13 昇降フレーム
21 油圧シリンダ
22 油圧モータ
30 チャック
50 施工管理システム
51 演算処理装置
52 入出力インターフェイス
53 A/D変換器
54 キーボード
55 ディスプレイ
61〜63 スイッチ
65〜69 センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングを把持するチャック機構と、把持したケーシングを回転させる油圧モータを使用した回転駆動機構と、把持したケーシングを昇降させる油圧シリンダを使用した昇降機構とを備えたチュービング装置における施工状況を表示する施工管理システムにおいて、
前記油圧モータを回転させる作動油の圧力を検出するモータ圧検出手段および、前記油圧シリンダを伸縮させる作動油の圧力を検出するシリンダ圧検出手段と、前記油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出手段と、前記チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段と、前記演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段とを有し、
前記演算処理手段が、計画深度までに予想される周面摩擦トルクおよび、前記ケーシングを実際に地盤へ回転圧入している場合の実回転トルクと実周面摩擦トルクを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた予想される周面摩擦トルクのグラフと、実回転トルクと実周面摩擦トルクの各グラフを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載するチュービング装置の施工管理システムにおいて、
前記演算処理手段が、実回転トルクから実周面摩擦トルクの差を取った掘削トルクを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該掘削トルクを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載するチュービング装置の施工管理システムにおいて、
前記演算処理手段が前記掘削トルクTbから油圧シリンダによるケーシングを押し込む押込み力Fを除した値Tb/Fを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該Tb/Fを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項4】
ケーシングを把持するチャック機構と、把持したケーシングを回転させる油圧モータを使用した回転駆動機構と、把持したケーシングを昇降させる油圧シリンダを使用した昇降機構とを備えたチュービング装置における施工状況を表示する施工管理システムにおいて、
前記油圧モータを回転させる作動油の圧力を検出するモータ圧検出手段および、前記油圧シリンダを伸縮させる作動油の圧力を検出するシリンダ圧検出手段と、前記油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出手段と、前記チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段と、前記演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段とを有し、
前記演算処理手段が、ケーシングを引き抜くのに要する予定の摩擦力、チュービング装置の引抜き能力およびチュービング装置の実引抜き力を算出し、前記表示手段に計画深度までの予定引抜き力と引抜き能力の各グラフおよび、ケーシングの深度に対応させて実引抜き力のグラフを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載するチュービング装置の施工管理システムにおいて、
前記演算処理手段が、前記油圧シリンダによるシリンダ力および、ケーシングの摩擦力に前記チュービング装置の上廻り重量とケーシング重量とを加算した引抜き抵抗を算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該シリンダ力と引抜き抵抗とを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載するチュービング装置の施工管理システムにおいて、
前記表示装置には計画深度に対応して土質とN値を表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項1】
ケーシングを把持するチャック機構と、把持したケーシングを回転させる油圧モータを使用した回転駆動機構と、把持したケーシングを昇降させる油圧シリンダを使用した昇降機構とを備えたチュービング装置における施工状況を表示する施工管理システムにおいて、
前記油圧モータを回転させる作動油の圧力を検出するモータ圧検出手段および、前記油圧シリンダを伸縮させる作動油の圧力を検出するシリンダ圧検出手段と、前記油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出手段と、前記チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段と、前記演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段とを有し、
前記演算処理手段が、計画深度までに予想される周面摩擦トルクおよび、前記ケーシングを実際に地盤へ回転圧入している場合の実回転トルクと実周面摩擦トルクを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた予想される周面摩擦トルクのグラフと、実回転トルクと実周面摩擦トルクの各グラフを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載するチュービング装置の施工管理システムにおいて、
前記演算処理手段が、実回転トルクから実周面摩擦トルクの差を取った掘削トルクを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該掘削トルクを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載するチュービング装置の施工管理システムにおいて、
前記演算処理手段が前記掘削トルクTbから油圧シリンダによるケーシングを押し込む押込み力Fを除した値Tb/Fを算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該Tb/Fを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項4】
ケーシングを把持するチャック機構と、把持したケーシングを回転させる油圧モータを使用した回転駆動機構と、把持したケーシングを昇降させる油圧シリンダを使用した昇降機構とを備えたチュービング装置における施工状況を表示する施工管理システムにおいて、
前記油圧モータを回転させる作動油の圧力を検出するモータ圧検出手段および、前記油圧シリンダを伸縮させる作動油の圧力を検出するシリンダ圧検出手段と、前記油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出手段と、前記チュービング装置などに関する基本データや入力データを基に所定の演算処理を行う演算処理手段と、その演算処理手段によって算出された結果に従って施工状況を表示する表示手段と、前記演算処理手段に所定のデータを入力するための入力手段とを有し、
前記演算処理手段が、ケーシングを引き抜くのに要する予定の摩擦力、チュービング装置の引抜き能力およびチュービング装置の実引抜き力を算出し、前記表示手段に計画深度までの予定引抜き力と引抜き能力の各グラフおよび、ケーシングの深度に対応させて実引抜き力のグラフを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載するチュービング装置の施工管理システムにおいて、
前記演算処理手段が、前記油圧シリンダによるシリンダ力および、ケーシングの摩擦力に前記チュービング装置の上廻り重量とケーシング重量とを加算した引抜き抵抗を算出し、前記表示手段にケーシングの深度に対応させた当該シリンダ力と引抜き抵抗とを表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載するチュービング装置の施工管理システムにおいて、
前記表示装置には計画深度に対応して土質とN値を表示するようにしたものであることを特徴とするチュービング装置の施工管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−92385(P2007−92385A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283063(P2005−283063)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】
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