説明

チューブの安全化装置

【課題】生物学的なサンプルを回収保存する分野において、たとえば血液または組織サンプルを収容可能な低温チューブ(1)の安全性を高めることができるスリーブ装置(7)を得る。
【解決手段】本発明は、栓を含む生物学的サンプルの回収保存容器を安全化する装置に関し、前記装置の連動後、前記装置の中身へのあらゆる接近が、(栓ではなく)前記容器の不可逆的かつ裸眼で認められる物理的な変化を必然的に発生するような少なくとも一つの手段を含み、前記物理的な変化が、必ずしもというわけではないが、たとえば、前記手段の切断または破砕からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的なサンプルを回収保存する分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、たとえば血液または組織サンプルを収容可能な低温チューブの安全性を高めることができるスリーブ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
低温チューブは、一般に、チューブと栓との二つの基本部品からなる円筒形のプラスチック容器である。この二つの部品を組み立てて密封すると(一般にねじ止めによる)、低温チューブ内部で可変温度でサンプルを保存できる。モデルに応じて温度が−196℃まで下がりうるので(液体窒素)、「低温」チューブという用語が使われている。
【0004】
従来技術では、既に、液体窒素下での凍結用サンプルを収容可能なチューブが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、チューブと栓とからなる対に、第三の部品すなわち安全化スリーブを付加するものである。以下、この部品を「スリーブ」と呼ぶ。
【0006】
サンプルを回収保存するチューブの安全化手段は、
−いったんチューブを閉めたらサンプルが物理的に無傷の状態であることを保証する要素(安全性の高い不可侵手段、栓ではなく容器に結合される最終的かつ交換不能な侵入証拠物)と、
−空チューブが無傷の状態であること、すなわち、使用前の低温チューブ内部が良好に閉鎖されて完全に無菌状態で空であることを保証する要素と、
−チューブの、ひいてはチューブが収容するサンプル(未確認サンプル=使い捨てサンプル)の、劣化しない単一の識別手段を保証する要素と、
−サンプルの画一性を保証する要素とを含む。
【0007】
従来技術に対応する低温チューブは、こうした安全性の要求事項に応えないか、または応えても非常に不完全であるか、あるいは部分的である。
【0008】
低温チューブの安全化は、たとえば法医学の領域での分析が中心的な役割を果たすことが増えているために、ますます重要になっている。たとえばDNA分析は、ますます多くの事件で証拠に代わるものとして用いられている。従って、ユーザ(この場合には法廷)が、物理的かつ法的に信頼性の高いサンプルの提供を望むならば、今後は、(サンプリング、トレーサビリティ、および保存に関して)安全性の高い容器の使用が必要である。
【0009】
そのため、本発明の目的は、上記の保証レベルに対応する最大の安全性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明は上記のタイプであって、その最も広い意味において、栓を含む生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置に関し、前記装置の連動後、前記装置の中身へのあらゆる接近が、(栓ではなく)前記容器の不可逆的かつ裸眼で認められる物理的な変化を必然的に発生するような少なくとも一つの手段を含み、前記物理的な変化が、必ずしもというわけではないが、たとえば、前記手段の切断または破砕からなることを特徴とする。
【0011】
好適には、前記安全化装置を、ユーザが任意にいつでも連動可能である。
【0012】
有利には、前記手段が前記安全化装置に結合される。
【0013】
好適には、前記手段が、分離式タブである。
【0014】
好適には、前記安全化装置は、容器から切り離せない。
【0015】
有利には、前記安全化装置の連動が、前記装置に容器を不可逆的の押し込むことによって行われる。
【0016】
好適には、前記安全化装置と前記容器とが異なる材料からなる。
【0017】
有利には、前記安全化装置が、統一的な消えない識別刻印を可能にする材料からなる。
【0018】
変形実施形態によれば、前記安全化装置が、コントラストの高い刻印を読み取り可能な材料からなる。
【0019】
実施形態によれば、前記手段は、安全化装置と栓とに最終的かつ交換不能に結合可能な舌片である。
【0020】
実施形態によれば、前記舌片の結合が、破砕により損傷しない接着テープで行われる。
【0021】
別の実施形態によれば、前記舌片の結合が、溶接により行われる。
【0022】
有利には、前記安全化装置が、さらに、中身に関する少なくとも一つの情報を含む物理的な要素を挿入可能な窪みを含む。
【0023】
好適には、前記挿入が、前記識別刻印を覆わないで不可逆的に行われる。
【0024】
好適には、前記挿入が、不可逆的に行われる。
【0025】
以下、添付図面に関して単に例としてなされた本発明の実施形態の説明により、本発明がいっそう理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に示したように、サンプルを収容可能なチューブ1は、低温に耐えられるポリプロピレン(PP)製の容器である。チューブは、外ねじピッチ2と、スリーブを2段階で最終的に連動させる機構(one−way assembly)とを備える。
【0027】
第一の刻み目3は、最終的にチューブにスリーブを結合する役割を果たす取付用の刻み目である。
【0028】
第二の刻み目4は、スリーブにより分離可能なタブによる不可侵装置の連動用の刻み目である。こうした第一レベルの安全性を「第一レベルの安全性」または「第一レベルの不可侵性」と呼ぶ。
【0029】
場合によってはチューブのフランジ5が、連動位置で様々な不可侵装置を通すのに必要な通過溝6を有する。
【0030】
図2、3に示したように、スリーブ7は、任意の剛性材料、たとえばポリアミド(PA)からなる。スリーブはサンプルと接しないことに留意されたい。その場合、チューブの仕様とスリーブの仕様は非常に異なり、時には正反対である。
【0031】
これにより、表示または安全化のためのあらゆる付加物をスリーブに直接自在に付加できる。このようにして、液体窒素内でのラベル標示が満足のいくものでないとき、劣化しない認証としてレーザによるスリーブへの標示が可能になる。
【0032】
好適には、操作時に、サンプルまたはそのレベルを確認することが、いっそう実用的である。その場合、容積その他の標示8は、金型内でスリーブに直接刻まれる。このシステムにより、高価な標示ステップを回避できる。
【0033】
スリーブは、たとえばラベル貼付領域またはレーザ標示領域を有する。
【0034】
スリーブの底は、スリーブの下部に刻みを入れられるように平らでなめらかである。
【0035】
さらに、スリーブは、自動ねじ止め用の連結機構9を備える。
【0036】
また、スリーブは、たとえば無線周波数チップ(RFID)等の、サンプルに関する情報を所持する物理要素を収容可能な、側面摺動部を有する。この摺動部は、スリーブの下にある標示領域を隠さないように側面にある。
【0037】
しかも、スリーブは、切断が不可逆的で第一の安全レベルを示す要素として構成された、主要安全要素を含む。
【0038】
好適には、この要素が、スリーブに結合される分離式タブ11である。タブの特徴は、図8に示すように、安全システムが連動されている場合、栓を開けると割れるというものである。
【0039】
スリーブは、さらに、場合によってはスリーブと栓とに一緒に結合される舌片を、肉厚部分なしに垂直位置に収容かつ固定することができる領域12を有する。
【0040】
この舌片は、溶接や、公知のタイプの不可侵接着テープ等の手段により、スリーブに結合可能である。
【0041】
図4に示したように、栓は、液体窒素または窒素蒸気中で密封性を確保するための柔軟なパッキンを備えた、かぶせるねじ栓である。
【0042】
栓は、上部をねじ切りした自動ねじ止め装置と、たとえば、円板の形状を呈するカラーコードの係止装置とを備える。
【0043】
図4に示した特定の実施形態によれば、ねじ止め装置は、第二の安全性レベルを示す舌片支持体13を係止により受容可能である。
【0044】
栓は、さらに、図5に示したように、肉厚部分なしに閉鎖位置で舌片を通過可能にする通過溝14を有する。
【0045】
実施形態によれば、栓は、さらに、チューブ内部でサンプルの操作付属品を直接受容可能な内側係止部材を内部に有し、たとえばサンプルの採取および使用を容易にする。
【0046】
さらに、また、分離式の第一レベルの安全タブ11を連動位置で収容する窪み15を、その下部に有する。
【0047】
「チューブ、スリーブ、栓」のアセンブリが、サンプルの操作を安全化するために用いられる。その場合、必要な安全性レベルに応じて使用形態を決定可能である。
【0048】
第一の使用形態によれば、標準試験所の場合、栓は、チューブにねじ止めされ、スリーブは、図6に示すように第一の刻み目3に連動される。その場合、ユーザは、栓のねじをゆるめてサンプルをチューブ内部に入れ、再び栓を締めて、図7に示したように第二の刻み目4に連動させることによって自分で第一レベルの不可侵性を連動させることができる。
【0049】
この使用形態では、チューブの供給業者によりチューブの無菌レベルが保証される。それに対して、第二の刻み目に連動後は、チューブを開けると、分離式タブ11が割れてしまう。図8でこれを見ることができる。
【0050】
本発明の第二の使用形態によれば、法医学用のチューブの場合、ユーザは、図7に示したように第二の刻み目4に連動して栓を閉めた装置を受け取る。これにより、分離式タブ11に手を触れない場合、あらゆる使用前にチューブが確実に空であって無菌状態にあることが保証される。
【0051】
使用後、チューブにサンプルを入れると、図9に示したように、スリーブと栓とに一緒に結合される舌片13により、第二レベルの安全化装置によって不可侵性が保証される。
【0052】
以上、本発明について例として説明した。当業者が、特許の範囲を逸脱せずに発明の様々な変形実施形態を実施できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】サンプルを入れる管を示す図である。
【図2】本発明による栓をした、またはしない安全スリーブを示す図である。
【図3】本発明による栓をした、またはしない安全スリーブを示す図である。
【図4】安全スリーブに結合される栓が、本発明による安全舌片を備えるところを示す図である。
【図5】安全スリーブに結合される栓が本発明による安全舌片を備え、この舌片が閉鎖位置にあるところを示す図である。
【図6】チューブが、第一の刻み目によりスリーブに連動するところを示す図である。
【図7】チューブが、第二の刻み目によりスリーブに連動するところを示す図である。
【図8】分離式の安全タブが割れた後のスリーブを示す図である。
【図9】安全舌片を所定の位置に設置後のスリーブを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 低温チューブ
2 外ねじピッチ
3 第一の刻み目
4 第二の刻み目
5 チューブのフランジ
6 通過溝
7 スリーブ
8 標示
9 連結機構
11 分離式タブ
12 舌片の収容固定領域
13 舌片
14 通過溝
15 窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栓を含む生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置であって、前記安全化装置の連動後、前記装置の中身へのあらゆる接近が、(栓ではなく)前記容器の不可逆的かつ裸眼で認められる物理的な変化を必然的に発生するような少なくとも一つの手段を含み、前記物理的な変化が、必ずしもというわけではないが、たとえば、前記手段の切断または破砕からなることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記安全化装置を、ユーザが任意にいつでも連動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項3】
前記手段が前記装置に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項4】
前記手段が分離式タブであることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項5】
前記装置が、容器から切り離せないことを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項6】
前記装置の連動が、前記装置に容器を不可逆的に押し込むことによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項7】
前記装置と前記容器とが異なる材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項8】
前記装置が、統一的な消えない識別刻印を可能にする材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項9】
前記装置が、コントラストの高い刻印を読み取り可能な材料からなることを特徴とする、請求項8に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項10】
前記手段が、装置と栓とに最終的かつ交換不能に結合可能な舌片であることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項11】
前記舌片の結合が、破砕により損傷しない接着テープで行われることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項12】
前記舌片の結合が、溶接により行われることを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項13】
前記装置が、さらに、中身に関する少なくとも一つの情報を含む物理的要素を挿入可能な窪みを含むことを特徴とする、請求項1に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項14】
前記挿入が、前記識別刻印を覆わないで不可逆的に行われることを特徴とする、請求項8および13に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。
【請求項15】
前記挿入が、不可逆的に行われることを特徴とする、請求項13に記載の生物学的なサンプルの回収保存容器の安全化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−525384(P2007−525384A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548354(P2006−548354)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000090
【国際公開番号】WO2005/073102
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506240702)
【氏名又は名称原語表記】BARA,Nicolas
【住所又は居所原語表記】9,rue Francaise,F−75002 Paris,France
【Fターム(参考)】